現代有機化学では

 鏡像異性体の片方だけを選択的に導くことができる触媒を不斉触媒と呼ぶ。最も信頼度の高いキラル配位子は、二つのナフタレン環が重なり、単結合でゆっくりとしか回転しないアトロプ異性のビナフチル化合物である。これらは蛍光センターや多孔性ポリマーさらにはキラル分割の固定層としても有用である。そのうち2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビナフチル(NOBIN)と1,1'-ビナフチル-2,2'-ジアミン(BINAM)が非常に有望であるが、よく知られているビナフトールほどには探索されていなかった。それは合成が複雑で出発化合物の事前の官能基化も必要だった。これがあかんのうきか。その中研究者らは、事前の官能基化をすることなく、クロスカップリング反応によって、一連のNOBIN、BINAMの合成に成功した[1]。温和な条件の反応だけど、キラル配位子とルイス酸触媒が必要である。亜鉛触媒を使ってNOBIN化合物を、Ni触媒でNOBINとBINAMが合成された。反応の適応範囲も広く、ある特定の反応の選択性を向上させるための自由度も大きい。NOBINの化学、これから伸びんで。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 April 1, p. 8.

DOI: 10.1038/s41929-019-0247-1

19.4.21

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1 mg以下の

 固体の反応剤をつかむことは人でもロボットでも骨の折れる作業である。その中今回新たなケムビーズが開発された[1]。およそ250μmの幅で、そこに触媒、配位子、無機塩基などの異なる300以上の固体を積むことが出来て、しかも18ヶ月以上安定である。中には水や湿気に敏感な反応剤を積み込むこともできる。ケムビーズをつくるために研究者らは、固体の反応剤とガラスビーズを混合し、それらを音響のミキサーを使って激しく振動させた。しんどかったかもしれないが、この振動によって、化合物とビーズが、ファンデルワールス力によって一体化している。ほぼ同じ量の反応剤がそれぞれのケムビーズに接着し、ハイスループットスクリーニングでも十分に正確である。反応混合物にビーズが加えられると反応剤がビーズから離れて溶液に入る。作成したケムビーズと通常の固体反応剤とが比較されて、反応速度に差がないこともわかった。すでに120以上のハイスループット反応が施され、その85%以上で条件最適化が達成されている。現在は0.5 から1 mgの固体を加えるのに使っているが、さらに小さなスケールのものの作成も見据えている。ケムビーズ、顕微鏡でも見てみたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 April 1, p. 6.

DOI: 10.1002/anie.201900536

19.4.20

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導電性グラフェン糸を

 大量に生産できる迅速かつ簡単な方法が、身体に装着できるエレクトロニクスの大量生産の道を開く[1]。ロマンを求めてか、マンチェスター大学の研究者らは、柔軟で洗浄できる糸を、およそ30分で1000 Kg製造することができる工業的な染色工程を使ってつくったと、述べている。それを実現するためにはまず、水の中にグラフェン酸化物の薄片を分散させる。ついで今日でも明日でも、アスコルビン酸とヒドロ亜硫酸ナトリウムとを使って部分的に薄片をグラフェンに還元する。その溶液にポリマーを加えて、薄片が凝集することを防ぐ。すでに利用されている糸を染色する機械の実験室レベルの複製を使って、一巻きの糸が染色された。部分的に還元されたグラフェン酸化物は、酸素を含む官能基を保持し、それが、綿のセルロースと結合し、10回以上の洗浄にも耐えることができる染色になっている。糸に小さな温度センサーを編み込み、織物の中に集積することもできた。セルロースで苦労〜するも、成果を得た。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 March 25, p. 11.

DOI: 10.1021/acsnano.9b00319

19.4.19

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檻のような分子である

 C60が、がっしりとした新しい囚人を収監した。このことは週間で発刊されている論文誌に掲載されている[1]。研究者らは以前H2やH2Oのような小さな分子をC60に入れ込むことには成功していた。その場合一旦C60を開き、分子を入れて縫合する必要がある。ただしより大きな分子を入れ込むには、より大きくC60の扉を開けなくてはいけないが、これが難しかった。その中今回、硫黄原子を含む17員環の比較的大きな扉をつくり、ここから高圧でメタンを入れ込んだ。ついで硫黄を酸化し、光化学反応で一酸化硫黄を外して環を閉じた。さらなる反応が穴を完全に塞ぎ、単一のメタンがC60の中に収まった。メタン分子はその中で自由に回転できる。それを対象として量子特性を解明できる。X線構造解析の結果は、メタンの水素原子は、球の殻に押し付けられていて、これが非局在化した核波動関数に相当する。同感できるかは難解で難しいけれども。なおさらに研究者らはO2やNH3のような他の分子を、縄で捕まえる如く入れ込もうとしている。これもいいわなあ、と言わな。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 March 25, p. 11.

DOI: 10.1002/anie.201900983

19.4.18

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岩の風化と関連する

 昔の地殻変動、とりわけ熱帯地方のそれが、大昔の氷河時代を引き起こしている可能性が報告された[1]。赤道近くの暖かくて湿った条件下、マグネシウムやカルシウムが豊富な鉱物と二酸化炭素の反応を加速し、炭酸塩としてガスを蓄積する。これまで地質学者は、火山からのCO2排出の変動が、昔の気候変動をもたらしていたと考えていた。また以前の研究では岩の風化は、およそ35百万年前にあった氷河時代と関連していることを示している。50百万年前には、アジアになった大陸と今はインドであるところが衝突し、ヒマラヤで観測されるMgやCaが豊富な継ぎ目ができた。この地殻の衝突の後に氷河時代が到来した、ヒョウはこなかったと思うけど、研究者らはここで、この自然の変化が起きたのは、この時の一度限りであったかどうかを解明するために、コンピューターモデルで、過去5億4千万年のデーターベースを構築した。それらのデータは、氷河時代と崩壊との間に相関があることを示していた。地殻変動が、ある種の鉱物を熱帯の表面に押し上げ、その後氷河になっていた。お近くの地殻でも起きたでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 March 25, p. 10.

DOI: 10.1126/science.aav5300

19.4.17

 

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日本の宇宙船

 はやぶさ2、小惑星探索は、やぶさかではない[1]。その対象は、リュウグウと名付けられた小惑星で、地球と火星の間くらいで、太陽の軌道を回る。そこには初期の太陽系で残された物質が含まれると考えられていた。今回のはやぶさ2は、水酸基の伸縮や水の曲げモードである1.8から3.2μmの範囲を観測することできる。その結果、そこは暗闇のようで、2.0μmの光は2%以下しか観測されなかった。また新しい結果は、以前に提案されていたように、小惑星は炭素質材料が豊富であることを示している。さらに、弱いものの一定の2.72 μmのシグナルが均一な成分を示していた。それは水和した粘土から導かれたと考えられるマグネシウム鉱物を含んでいる。ただしそこには氷や水を含んだ鉱物の証拠はなかった。共同著者の一人は、リュウグウにある物質は他の星にある宇宙物質とはマッチしておらず、むしろ、かつては湿気ていて、ついである温度まで加熱されて水を失った天体に類似である。と述べている。そのためリュウグウは、崩壊でできた破片、それは岩が暗くなって、そこから脱水、脱水酸基化されているようなものから、形成されている可能性もある。こちらのリュウグウでも優遇されるのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 March 25, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aav7432

19.4.16

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窒素分子を使った

 窒素原子が連続で連結した化合物の直接的かつ穏やかな合成方法が報告された[1]。有機ホウ素化合物が、二つの窒素原子をつなぐことができて、N4鎖が二つのホウ素部位を橋架けした錯体を与える。この研究は昨年、別のグループが、有機ホウ素配位子の間に窒素分子一つをバインドさせることに成功した成果をさらに拡大したものである。この研究分野は、大気中に豊富にある窒素分子を化学合成で使う方法の研究で、窒素固定の新しい工程が探索されている。今回の合成は、ジハロ有機ホウ素前駆体が通常の方法でまずは合成されて、それがおよそ4バールの窒素存在下-30 °CでKC8の溶液で還元された。X線構造解析や他の方法で構造が解明された。理論計算の結果は分子の特異なボンディングを明らかにしている。遷移金属の配位様式のように、窒素分子がエンドオンでボリレンを橋架けした様式であるものの、ホウ素の反応性は典型元素のようである。研究者らはさらにこの窒素の間に有機分子を組み込み、医薬品化合物の製造を探索している。ボロンの反応もどんどん討論しましょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 March 25, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aav9593

19.4.16

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ナトリウムを使って

 安価な塩化アリールを活性化する温和な方法が報告された[1]。ナトリウムは毒性もなく豊富に存在するが、化学者は歴史的に、その高い反応性のために使用を避けて来た。その金属は水とわずかでも接触すると発火し、安全性や取り扱いに関する重大な問題に直面する。例えば市販のナトリウム塊は、油に浸されていて、使うためには、不活性ガス雰囲気下、銀色のそれを切って重さを計る必要がある。今回研究者らは、油中での低い濃度(26 wt%)で金属を分散させたものを使って、安全性の問題を解決している。この濃度ではナトリウムは安全で、化学者はシリンジを使って空気中で重さを計ることができると研究者らは述べている。実際の反応では、塩化アリールとナトリウムが分散した液を30 °Cで取り扱い、有機ナトリウム反応剤が調製されて、それが根岸、鈴木カップリングや直接的Pd触媒のカップリングに利用される。今回の成果は、地球により多く存在する金属を使うという方向性を示した一つである。ナトリウムの反応機構、どうなっとりうむ。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 March 25, p. 7.

DOI: 10.1038/s41929-019-0250-6

19.4.14

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プロペラのような

 分子モーターがMOFの構造に組込まれて組織化された配列がつくられた[1]。MOFsは有機分子の支柱によって連結された金属をもとにした節を含む分子足場で、かなり多孔な結晶格子を形成できる。研究者らのMOFsは1 cm3あたりおよそ3X10の20乗のモーターユニットがある。それらが紫外光に晒されると同じ向きに回り出す。炭素–炭素二重結合で連結された二つの平面の分子パドルの動きが、光と熱で加速されている。紫外光は、パドルに力を加え、それらが共有している平面を外側に回転させると同時にわずかに熱が加わる。この熱によって、あるパドルが別の後ろにあるパドルを押し込み、それがもとの位置に戻るのを防ぐ。これが繰り返されてパドルは360 °回転する、と書いてんある。なお亜鉛をベースにしたMOFのいくつかの支柱がここではモーター分子と置き換えられている。ラマンスペクトルでは、モーターは溶液中と同様な動きを示し、25分かけて全回転し、この遅さが動きの詳細を理解することを可能にしている。分子モーター、仕事しても〜た〜です。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 March 25, p. 7.

DOI: 10.1038/s41565-019-0401-6

19.4.13

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メタンの膨大な

 埋蔵量が離れた場所にあって手つかずである。何年にも渡って、省エネ型で効率の高いメタンの液体への変換方法が探索されてきた。その結果、メタンをメタノールや炭化水素や別の液体に変換する商業プロセスも稼働中である。ただしこれらの方法は、費用のかかる金属を使い、600 °C以上の高温でメタンをまずは合成ガス(CO+H2)に変換しなくてはならず、巨大なスケールでない限り経済的に見合わない。その中、メタンをメタンスルホン酸(MSA)に直接変換する方法が探索された。最初はメタンと三酸化イオウの化学がその一助になるかが研究されて、金属が存在しない50 °Cでの反応を考えついた。その結果、パイロットプラントを建設し、数トン(素うどんではない)のMSAを、三酸化イオウと硫酸存在下で、99.9%純度で製造できた。そこではスルホニル化合物がプロトン化されたパーオキソニウムイオンが反応を駆動し、メタンから水素をヒドリドとして引き抜き、CH3+イオンがSO3と反応し、CH3SO2O+を与え、再びメタンからヒドリドが引き抜かれて生成物を与えると考えられている。強酸条件下では、メチルカチオンが、満ちるのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2019 March 25, p. 6.

DOI: 10.1126/science.aav0177

19.4.12

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«芳香環の