アルミニウムは

 軽量自動車、アルミ缶や調理器具を製造するために極めて重要だ。ただその製造過程で、鉄やスカンジムなどの金属を含む赤泥が生じ、およそ40億トンの赤泥が廃棄されている。今回研究者らは、この赤泥から鉄を取り出す方法を報告した[1]。これまでの赤泥からの鉄の抽出は、泥の焙煎と前処理を経て、酸化鉄を炭素によって還元していたが、この過程ではCO2が発生する。それに対して研究者らは、処理をしていない赤泥15 gを、アルゴンと水素10%を含む混合ガスで満たされるアーク加熱路の中の銅プレートの上に置いた。高温にすると鉱石は融けて、水素原子とアークから得られた電子が、水素イオンプラズマを発生させた。イオンは、粘性のある融解物の中の酸化鉄の酸素を剥がして、液体の鉄のポケットが形成する。酸素を除去すると鉄が沈澱してきた。反応の10分後加熱を止めて、銅プレートを水で冷やすと、融解物は小塊に素早く固化し、残った赤泥が、鉄を小塊の中で球状の粒子にさせた。このプロセスで赤泥の中の70%の鉄が抽出された。

 アークを上手〜く、使っている。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 5, p. 7.

DOI:10.1038/s41586-023-06901-z

24.2.22

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拡大顕微鏡法は

 通常の回折限界光学顕微鏡と同等の解像度を示す[1]。蛍光ラベルされた細胞組織をゲルに入れ込みタンパク質を消化する酵素で処理する。これによって組織の全方向への拡大が促進され、タンパク質はもとの相対的な位置を保ちながら引き出される。この新たな方法(decrowding expansion pathology)であるdExPathでは、タンパク質を消化する代わりに、タンパク質との接触を保ちながら軟化させる緩衝液を利用する。最初の部分拡大で、タンパク質の分離プロセスが始まる。ただタンパク質はお互いに接触しているために、分散した後に蛍光ラベルした抗体でラベルすることができ、ラベル化の密度とイメージの質を向上さることができる。研究者らはこのdExPathを用いて、様々な人の脳の病理学サンプルの多重イメージングを行った。サンプルとしては、神経膠腫、アルツハイマー病やパーキンソン病の患者さんからのものも含んでいた。いずれもこれまでは観測できなかった細胞集団や構造を観測することに成功した。

 細胞集団の、週だい、希望がなくても。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 5, p. 7.

DOI: 10.1126/scitranslmed.abo0049

24.2.21

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電子タバコ用の

 液体のおよそ75%にはベンズアルデヒドが含まれている[1]。さらに蒸気によって生じる熱がベンズアルデヒドと、電子タバコ用液体の主成分であるプロピレングリコールとの反応を加速させ、ベンズアルデヒドプロピレングリコールアセタール(BPGA)を与える。この分子の影響を検証するために研究者らは、子牛の肺の表面活性剤をベンズアルデヒドとBPGAに晒した。その結果、表面活性剤の張力の増加と圧縮率の低下を観測した。このことは分子が、呼吸のサイクルを困難にしていることを示唆している。ベンズアルデヒドやBPGAは、二つの疎水性タンパク質に接近することによって表面活性剤層と干渉する。分子ダイナミクスのシミュレーションも、とりわけBPGAは、通常肺リン脂質は肺でパッキングするが、これを妨げていることを示していた。肺表面活性剤の専門家は、電子タバコの蒸気がそのシステムを脆弱にし、肺に疾患がもたらされる可能性が上がることを指摘している。

 パッキング阻害、罰金はないけど、危惧される。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 5, p. 6.

DOI: 10.1021/acs.est.3c07874

24.2.20

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リン化合物は

 三価と五価の酸化状態をとり、その相互変換は難しくはない。この特徴を生かしたリンを触媒に用いたC–F結合の活性化が昨年報告された[1]。ただこの場合触媒となるリン化合物は特別に合成された。それに対して今回入手容易な、トリブチルホスフィンが触媒するC–F結合の活性化と続くPh2SiH2による還元が明らかにされた[2]。この反応の発見は、大学院生がZr錯体を用いたC–F活性化反応を探索している際に、予想外の副生成物が得られたことに端を発する。そこで彼女は、この反応にはホスフィン配位子が関わっているのではないかと考え、さらに反応性を調査した結果、たどり着いた。リン化合物は、遷移金属触媒と同様に、C-F結合に酸化的付加し、ヒドロシランのヒドリドがフッ素と入れ替わり、最後に還元的脱離で触媒の再生と生成物を与える。典型元素触媒は今も珍しくて、その開発は挑戦的な課題である。今回の結果はさらにそのようなタイプの探索を促すものであってほしいと研究者は願っている。

 ホスフィン、スフィンクスにはない、多分。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 5, p. 6.

DOI: 10.1021/jacs.2c13318

[2] DOI: 10.1021/jacs.3c10614

24.2.19

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クマムシは

 体長0.2 から1mmの小さな動物で熊のように歩く。また極端な温度や乾燥の状態にも耐えることができる。このような条件になると、クマムシはボールのようになって冬眠する。この謎解きのための研究中、ストレスが発生すると体の組織で活性酸素種の存在が観測されていた[1]。さらに理解を深めるために、過酸化水素を加えて酸化環境をクマムシに用意した。その結果、クマムシは丸くなった。このことは活性酸素種がクマムシに信号を送り、自らを守る行動を起こしていることを示していた。ついで酸化環境を除去したところ、丸い状態からもとに戻った。活性酸素種はストレスに対応するシステインを含む細胞にダメージを与える。そこでクマムシのシステインをブロックしたところ、クマムシはストレス要因が入り込むまでは完全に幸せだった。すなわちクマムシは、システインの酸化と還元の可逆なシステムを利用しているようである。ただクマムシが代謝の停止とどのように再スタートさせているかは今のところ説明できない。

 クマムシがいても、眩しくはないです。

[1] Chemical & Engineering News 2024 February 5, p. 3.

DOI: 10.1371/journal.pone.0295062

24.2.18

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水中スピーカーと

 水中聴音器を搭載したボートに乗っていた研究チームは、アラスカ東南部で無駄話をするクジラの群れに遭遇し、その会話を録音した[1]。その群れの中の一頭がTwainと名づけられたザトウクジラである。次の日再びTwainに出会った研究者らは、録音していたクジラ語のサウンドを流した。20分以上かけてTwainに対して38回それを放ったところ36回応答があった。これは会話なのかどうかを知るために研究者らは、Twainの振る舞いと応答を分析した。スピーカーから流れる音に対する彼女の応答の回数と、実際のクジラに対する応答の回数を計算した。その結果、彼女は、実際のクジラの群れよりもスピーカーに対してより素早く答えていた。さらにスピーカーと彼女のコンタクトが始まる頃には、彼女はボートに近づきその周りを旋回していた。この段階で最も速く反応し、反応時間と再生間隔が同期していた。これは会話の本質的な要素である発話交代をTwainが行っていたことを示唆している。彼女はその後、38回連続で「はい」と言われたら誰でもそうするように、興奮して泳ぎ去ってしまった。研究チームは、この水性の生き物とのチャットの練習が、地球外生命体とのコンタクトに役立つことを期待している。

 クジラに、ジラっと見られたかな。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 29, p. 40.

DOI: 10.7717/peerj.16349

24.2.16

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中国のお正月には

 ギョウザがつくられる[1]。ギョウザの生地は水と小麦粉が原料である。水の温度を変化させると生地の特性に影響し、違ったタイプのギョウザの皮になる。沸点近いお湯は、小麦粉のタンパク質を変性させて、デンプンをゼラチン化させる。これがグルテンの形成を抑えて、よりソフトであまり弾性がない生地を導く。一方で温度の低いお湯はグルテン形成を促し、より固い生地を与え、巻き上げる前にしばらく放置する必要がある。デンプン粒は水を吸収して膨れる。粒からはアミロースがにじみ出て、温度が上昇すると破裂し、生地の粘性を向上させる。中国では赤色は、幸せ、成功、幸運と関連し、新年のお祝いでは目立っている。歴史的に中国では、硫化水銀(辰砂)で壁画や陶磁器に色をつけていたが、毒性のため今は使われていない。紅花やあかねの根から抽出された染料や合成染料で衣服を赤色に染色する。爆竹は中国の新年を祝うのに使われる。最初の天然の爆竹は、竹の中で加熱されて、中で膨らませて爆発させていた。その後KNO3(75%)、 C(15%)、S (195)を含む黒い粉が、今はKClO4 (70%)、Al(30%)の閃光粉が使われている。

 ギョウザ、ぎょうさんだ。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 29, p. 29.

24.2.15

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抗ガン剤である

 パクリタキソールの合成法が開発されている一方で、天然ではどのような経路で導かれるのかが完全にはわかっていなかった。今回この複雑なオキセタンを含む多環状化合物が導かれる鍵中間体であるバッカチンIIIを形成する酵素が特定された[1]。これまでバッカチンIIIに含まれるオキセタン環は、エポキシ環の形成とその転位で導かれると考えられていた、その中今回、タキサンオキセタナーゼIと名づけられたチトクロームP450酵素が同定された。これがバッカチンIIIに含まれるオキセタン環を導く。タキサンオキセタナーゼIもエポキシ環を形成できるが、これがオキセタン環に変換されることはない。さらにオキセタン形成は、これまでには知られていない経路で導かれることが提唱されている。今回の酵素の同定を含む最近の発見をもとに研究者らは、合成生物学による大きなスケールでのバッカチンIIIの合成を行いたいとしている。

 バッカチンIII、ちゃっかり鎮座している。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 29, p. 9.

DOI: 10.1126/science.adj3484

24.2.14

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CO2を

 付加価値の高い物質、例えば燃料や化成品に変換しても、それらは数年後にはCO2を放出することになる。それに対して幾つかの研究グループは、CO2を固体の炭素材料に変換する方法を報告していた。ただそれらは600 °C以上の熱を要するか収率の低さが課題だった。その中今回カーボンナノファイバー(CNFs)を導く二段階法が開発された[1]。まず市販のPd触媒を用いてCO2と水を電気分解し、COとH2の混合物である合成ガスを導く。ついでこのガスを鉄–コバルト合金を含む熱化学反応容器に導入し、炭素を沈澱させて合金の表面にC NFsを成長させる。さらに金属コバルトを添加するとナノファイバーの成長が促進されて、1時間で触媒1gあたり平均2.5 gのCNFsが得られた。コンピューターモデリング、X線吸収・散乱顕微鏡法や電子顕微鏡による観察結果は、合金がCOのC–O結合の開裂を促し、金属性のコバルトがC–C結合の形成を促進していることを示していた。なお反応は工業的に適用できる比較的温和な370–450 °Cで進行する。

 コバルトを、ほうばると困るど。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 29, p. 9.

DOI: 10.1038/s41929-023-01085-1

24.2.13

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反応剤の濃度

 触媒量、光の強度を微調整して反応条件を最適化することは、とりわけ光化学触媒の場合には時間のかかる作業である。例えば光の強度は反応に大きく影響し、理想的な反応条件は、同様の基質の間でも、あるいは異なる研究室の装置でも変化する。そこで一般的な条件を開発するよりも、基質ごとの最適条件を特定したいと研究者らは考えた。すなわち機械学習によって一連の光化学反応を最適化できるRoboChemと呼ばれる自動化フロー化学システムを導入した[1]。RoboChemは1週間あたりおよそ10~20の合成を最適化できる。研究者らはRoboChemに、想定した範囲内でどの条件を変化させるべきかを伝える。するとRoboChemは、発光ダイオードを照射した光反応容器にチューブから650 μlの液体を流して実験を行う。ついでベンチトップのNMRで生成物を分析し、機械学習によって次の実験条件が提案される。このシステムを使って生成物の収率が2倍になった場合もあることから研究者らは、RoboChemを熱や電気化学反応へ拡大したいとしている。

 RoboChemで、冒険です。

[1] Chemical & Engineering News 2024 January 29, p. 7.

DOI: 10.1126/science.adj1817

24.2.12

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