グラフェンを製造する

 様々な方法が知られているもののそれらの方法では、大量の高品質なグラフェン製造はできない。危険な原料が必要、エネルギー負荷が大きいなどの課題がある。それに対して今回、フラッシュジュール焼結法で、石炭、食品廃棄物やプラスチックを、高品質なグラフェン数グラムに1秒以内に変換できることが報告された[1]。このプロセスでは、二つの電極の間に、石英とセラミック管があって、そこで炭素をもとにした材料を軽く加圧する。この小道具にコンデンサーバンクからの高電圧電気放電が施される。これによって炭素を含む材料は、3000 K以上の温度に1秒以内に到達し、アモルファス炭素がグラフェンに変換されて、他の化学物質は揮発性材料として放出される。その結果、グラフェンが素早く生成し、個別のグラフェンシートが簡単に抽出できる。論文では、最も大きなグラフェン合成の例として、フラッシュ一回で1 g合成が示されている。その後さらにフラッシュ一回で5 g合成も達成されている。フラッシュに人が集まりすぎるとラッシュになって、クラッシュするかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 February 3, p. 4.

DOI: 10.1038/s41586-020-1938-0

20.2.20

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午後11時

 御茶ノ水駅近くの、水ならぬ居酒屋さんから出て、タクシー乗り場へ移動。えっ、今日は日曜日かと思ってしまった。この曜日のこの時間帯、たくさんの人が行き交い、乗客を待つタクシーも数台いて、それを利用される方もいた雰囲気だったはずである。とりあえずタクシー乗車。聞けば今週になってムードが変わったらしい。「ともかく人が出ていない。このままじゃあ夜走ってもなあ」というお話も聞いた。ほどなくホテル付近に到着。思わず「お釣りはいいですよ」「ほんとですか、有難うございます」でお別れ。お別れしたものの、この大都会のために、という言い訳を糧にコンビニへ入った。いつもの情景、外国の方が務められるお店。不景気みたいなこの街のためにということで、多めのビールを手にしてレジで精算。おもわずWhere did you come from?と聞く。 I am from Uzbekistan。こちらはスタンスもわからず、Have a nice dayになってしまった。でもそれって、あり得ナイスデイかもしれないです。

20.2.19

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III族とV族の

 元素を一つずつ組込んだ半導体は、発光ダイオードや熱イメージングなどで広く利用されている。これらの二元系材料は、ガリウムやインジウムアンチモニドを含み、さらに多くの応用が期待できる。今回そのための、分子あるいはイオンをトラップできる、カゴ型のキャビティを持つ結晶であるチューナブルなクラスレートとして、無孔材料が調製できることが報告された。高温で両論量のIII族とV族の元素とルビジウムあるいはセシウムを反応させて、三つの種類の珍しいIII-VクラスレートであるCs8In27Sb19、Cs8Ga27Sb19、Rb8Ga27Sb19が合成された。これらは高い電荷キャリア移動度を保持し、従来のものと同様な重要な半導体特性を保持していた。例えばCs8In27Sb19のパラメーターの値は、高い半導体特性を示すInSbのそれと同等だった。クラスレートは1800年代に発見されたが、今も面白くて拡大している分野である。クラスメートにもお知らせを

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 9.

DOI: 10.1021/jacs.9b12351

20.2.18

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アミロイドβと

 タウタンパク質はどちらも、アルツハイマー病の悪役である。ただしこれら二つの関係は未だに曖昧だ。今回研究者らは、ノルエピネフィリンシグナルを含む受容体によって繋がっているかもしれないことを報告した[1]。α2Aアドレナリン受容体(α2AAR)は、アルツハイマー病の人の脳やそのマウスモデルでは上昇する。新しい研究では、アミロイドβオリゴマーが受容体の細胞外ループの一つのアロステリックな部位にバインドすることがわかった。アロステリック部位は、受容体の主なバインディング部位とは異なったバインディング部位で、それは受容体の配座変化を引き起こす。アミロイドβがバインドするとノルエピネフィリンシグナルの出力先を変化させて、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β(GSK3β)と呼ばれる酵素を活性化する。これがタウタンパク質の超ホスホリル化を引き起こす。タウの過剰リン酸化は、アルツハイマー病と関連するタンパク質沈着で見つかっている。ここでα2AARの主なバインディング部位にバインドできる薬を投与すると、アミロイドβの濃度は20 nMまで低下しGSK3β活性も低下していた。またマウスモデルでは、α2AARをブロックすると疾病の進行は抑えられていた。この疾病抑制、失敗しませんように。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 9.

DOI: 10.1126/scitranslmed.aay6931

20.2.17

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白髪は

 ストレスによってもたらされる。これは責任ある立場にある人に共通である。多くの頭には通常の時期よりも早い年齢で、淡いふさふさした髪が乗っている。ただし色が薄くなる生化学は、ふさふさした髪のミステリーである。これを見据えて〜る研究者らは、ストレスが引き起こすネズミの髪の毛の白髪化の生化学を調査することにした[1]。ストレスは身体全体に影響を及ぼすために、そのシステムが、ストレスと髪の毛の色と関連しているかを見つける必要があった。実験では、免疫系とストレスホルモンコルチゾールは除外された。その結果、ストレスに伴って放出されるノルエピネフィリンが鍵であることがわかった。ノルエピネフィリンは、副腎で製造されるが、ネズミの副腎が切除されても、ストレスによって白髪化が進行していた。ストレスがかかると、闘争応答を引き起こし、ノルエフェドリンが生産される交感神経系に、研究者らはたどり着いた。交感神経は、肌の中の毛包に到達する。またこれらの神経がノルエピネフィリンを放出すると、あるタイプの全ての幹細胞が誘発されて、染料を生産する細胞になり、それが幹細胞の保存部位にドロップされて、将来髪の毛の色が変化する可能性が生まれる。幹細胞、関西だけにあるわけではない。

 [1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 9.

DOI: 10.1038/s41586-020-1935-3

20.2.16

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材料科学者は

 10年以上にわたって材料の特性に関する複数のパブリックなデータベースを構築するアイデアを採用してきた。データベースがまたで〜たである。今回のソフトウエアであるプロプネットは。材料の特性間の数学的な関係をマッピングすることによって利用できるデータの提供を目的としており、これがこれまで測定されていない特性を提示できて、新しい材料開発やこれまでの材料の新たな利用方法を見つける可能性を示している[1]。例えば材料の原子の密度に関する実験的なデータを入れ込めば、プロプネットは、ユニットセルの中の原子あたりの体積を計算することができる。さらに特性同士の遠い関係も追跡できる。別の例として、半導体ウルツ鉱であるCdTeの20の特性に対する20の値を入力すると、プロプネットは41の新しい特性に対する629の値を計算していた。このプロプネットは。機械学習アルゴリズムとも組合せ可能である。さらにこのソフトウエアは、視覚的な長さと電子特性という、違った属性の性質の関係も示していた。プロプネットに関するブログ、ネットにアップされた。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 7.

DOI: 10.1016/j.matt.2019.11.013

20.2.15

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太陽光を吸収する

 半導体ペロブスカイトでつくられた太陽電池は近年、太陽光発電のロックスターである。ホルムアミジニウム鉛トリハライド(FAPbX3)のような金属有機ペロブスカイトは、結晶シリコンを作成するよりも安いプロセスで調製できてシリコンのそれと同様な性能を示す。ただし例えば最も高い性能を示すα-FaPbI3の安定性は低い。それらは熱や明るい太陽光にさらされると分解し構造変化し、素子の性能を失い商業化を妨げる。一方で、その格子を引っ張ったり押しつぶすことで、半導体に負荷をかけると結晶は安定化しその特性も変化する。そこで研究者らは圧力と他の複雑な物理的手段でペロブスカイトを歪ませたが、成功には至らなかった。その中研究者らは今回α-FAPBI3を、異なる格子次元をもつより安定なペロブスカイトの上で、溶液から成長させた[1]。この過程で2.4%まで圧縮された格子の結晶が得られた。別の歪んでいない結晶と比較するとその電荷キャリア移動度が向上し、室温で1年間保存しても、素子は、分解に対して素知らぬ様子だった。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 27.

DOI: 10.1038/s41586-019-1868-x

20.2.14

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ポリマー

 メカノ化学は、メカノホアと呼ばれる官能基に依存し、そこが引き伸ばしや押しつぶしに対して応答して化学的な変化が進行する。今回研究者らは、新しいメカノホアとして、2-メトキシ置換のジェミナルジクロロシクロプロパン(MeO-gDCC)を開発し、それをポリマー鎖に組み込んだ[1]。超音波でこのポリマーを強打すると、シクロプロパンの炭素–炭素結合が切断されて、塩化アリル中間体が発生、さらにpHの変化という化学信号が発せられる。ここで、MeO-gDCC からは67 プロトンが生まれる。単分子力場スペクトルは、メトキシ基の組込みがメカノ酸を、引っ張りに対してかなり繊細なものにしている。おそらくシクロプロパン環の開環の段階で遷移状態が安定化する。単分子実験は、実際の系とはかなり距離があるために、このメカノ酸をポリ(ジメチルシロキサン)とローダミンBとブレンドし、6 mmの幅のポリマーディスクがつくられた。それはプロトン化によってピンク色になる。ディスクを叩くとポリマーは酸を放出し、ディスク全体に広がり傷ができる。色の変化の広がりを測定すると、いつ衝撃があったかを、数分から30分の間で正確に類推することができた。メカノ酸の発生、今かの〜。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 6.

DOI: 10.1021/jacs.9b12861

20.2.13

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光を捕捉して

 化学反応を触媒するという二つのミッションを遂行できる新しいロジウム錯体が開発された[1]。今回の触媒は太陽スペクトルの全てを利用することができる。多くの人工光合成系は、複数の分子を混合し、水の分解反応を誘導している。このプロセスの水素側は、光を吸収して励起電子が発生する。礼金は不要であるが、これらの電子が水素発生触媒に移動して、二つのプロトンが結合して水素を与える。ただし常に光吸収体から電荷移動が必要で、その段階でのエネルギーロスがある。それに対してここでは一つの分子でそれを行っているためロスが抑えられる。その触媒は二つのロジウム原子を含み、ベンゾ[c]シノリンとN,N'-ジフェニルホルムアミドがペアになった二つの配位子が、ロジウムに配位している。これによってRh–Rh結合の距離が短くなり、励起状態の寿命が長くなっている。より実用的な系にするためには、水素発生効率の向上、水の酸化触媒との共存、Rhに代わる触媒も必要。路地裏でも使えますように。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 27, p. 5.

DOI: 10.1038/s41557-019-0397-4

20.2.12

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植物に

 寄生する回虫が生産する低分子(アスカロシド)に、植物はどのように応答するのかの研究が行われている[1]。初期の結果はascr#18と呼ばれるアスカロシドを植物が検出すると、植物の免疫応答が活性化されることを示していた。ただしascr#18分子はそこでとどまるわけではなかった。植物はペルオキソームβ酸化というプロセスを使ってascr#18を代謝していた。このプロセスは、寄生虫がアスカロシドを合成するのに使っているパスと同じである。またこのパスで植物はascr#9という別のアスカロシドをつくり、これを自分自身の根から土壌に排出していた。その土壌では、植物に入り込んでいない寄生虫がその分子を感じて、その植物は自分が寄生するものではないと判断する。これらの結果は、植物が寄生虫のシグナルを拝借あるいはハイジャクして、それを変化させ、寄生虫に立ち向かっていることを示していた。またこの寄生虫と植物のコミュニケーションは、どちらにも恩恵があって、植物へは過剰な寄生虫の寄生を防ぎ、寄生虫は、寄生されていない植物を選別することができる。パラサイトについてウエブサイトにもあるかと。

[1] Chemical & Engineering News, 2020 January 20, p. 11.

DOI: 10.1038/s41467-019-14104-2

20.2.11

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«アセチレンやブタンから