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2009年8月

選挙の日が終わった

選挙速報と選挙状況が主である。バンザイが連呼される。候補者の年齢には関係ない。Wikをチェックした。「バンザイ」の成り立ち、万歳と天皇・・・が項目である。小学5年生の時、結婚式につれていかれた。その後新婚旅行を見送る親についていった。新大阪駅。バンザイ三唱と だれかが音頭をとる。ついでに「がんばれ」などと他の方が叫んでいた憶えがある。なにを頑張るかもわからない。少し成長して、「バンザイ突撃」を学んだ。自爆行為であるらしい。しょせん「言葉」ではない。他のお祝いの言葉を持ってもいいよね と思う。そんな中、小選挙区で当選した前議員が、党の情勢を気遣って「バンザイ」を辞退した。これを契機としたい。
勝っても「バンザイ」しない。かわりに即席漫才はどうか
その例
「当選おめでとうございます」「今回は、選挙民が、○○党にトウセンボしていただきましたので」

・・・数時間経って、これは一大事、と思った。120名ほどの議員を出した政党のゆくえ、対抗軸になれるようエールを送らなくてはいけない。

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宇宙にもグリシンが

アメリカ航空宇宙局NASAは、1999年に宇宙船スターダストを打ち上げた[1]。2004年には、木星付近のヴィルド第2彗星近くを航行し、宇宙の「ちり」を集めたカプセルが2006年にユタ州に帰還した。宇宙船は現在、テルペン第1彗星探索のため、航行中である。宇宙で集められた「ちり」の解析のため、NASAは惑星協会と共同でStardust@Homeというプロジェクトを立ち上げ、ボランティアの協力も得て解析を開始した。「ちり」は、様々な有機化合物でできている。宇宙の星間にある炭化水素に比べてアルキル鎖の長い炭化水素、結晶性ケイ酸塩や窒素源を含む。一方で水和したケイ酸塩や炭酸塩は、検出されていない。そんな中今回、最も単純なアミノ酸であるグリシンを含んでいることがわかった[2]。このことは生命体をつくるのに必要な分子は、宇宙全体に広がっていることを示唆するが、そこから生命体までの道筋は、未だに誰も「ちり」ません。

[1] 宇宙船といえば、エンタープライズ、こちらはSF、以下連想ゲーム、スポック、J. Am. Chem. Soc. わかるかな
[2] Chemical & Engineering News August 24, 2009, p. 32.
09.8.27

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アマルガム

 辻二郎先生の月刊化学の記事[1]を読んでアマルガムが気になった。奈良時代には、大仏に金メッキをするために、水銀を数十トン単位で使っていたという。とんでもない話である。
アマルガムは水銀と金属との混ざりもの、合金のようなものである。鉄、白金以外の金属はアマルガムをつくる。銀アマルガムは虫歯治療に使う。辻先生もかつてそのお世話になったようだが、村井君の口内にも現存する。歴史的には、1800年代始めに、フランスで使われ始めたらしい。安価であること、加工性、強度、耐久性、静菌性の高さなどの理由で広まった。が現在ではあまり使われなくなってきた。健康への悪影響、見かけ、環境汚染などの理由である。前歯なら「にやっと笑うと」銀歯が飛び出す。007シリーズのジョーズ[2]やスピード2の悪役ガイガー[3]みたいになってしまう。環境汚染については、アマルガム調製時に水銀が放出されること、銀歯の方がなくなった際に火葬することで出る廃水銀が指摘されている。
 一方ナトリウムアマルガム、こちらは還元剤として用いられる。分子構造は、六角形の筒状になった水銀の中にナトリウムが直線上に並んでいるらしい。調製は、水銀の入った容器にナトリウムを入れる。入った瞬間「ジュッ」と音がして少し煙のようなものができる、容器が熱くなっている。得も言えない緊張感を体験できる。
 
スーパーレジ前の余ったガムを見たらこの話思い出してね。

[1]月刊化学2009, No. 9, 34 「奈良の大仏の鋳造と水銀公害」
[2] 「007私を愛したスパイ」などに登場、ジョーズは007に噛み付くけど、かわいい女の子とお友達になる。故ジャイアント馬場さんもこの役にノミネートされていたらしい
[3] 映画「スピード」の続編だが、スピードの方が断然面白い。キアヌ・リーブスとサンドラ・ブッロク「特殊な状況で結ばれた愛は長続きしない」みたいなセリフがあった。

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惜しくも

熱戦が続く甲子園、岐阜県勢は、新潟県代表の初の決勝進出に道を譲った。それでも大健闘の県立岐阜商業高校、岐阜市の伝統校である。Qちゃん(高橋尚子さん)、ベンちゃん(中日ドラゴンズ和田一浩選手)さらに大先輩高木守道さんらの母校である。高木さんは、高校卒業後ドラゴンズ入団、堅守巧打の二塁手であった。難しい打球を難なくさばく寡黙なプレーに、ライバルチームであったがあこがれた。現在は、少年野球教室で子供たちへの指導やCBCラジオで解説も行っておられる。CBCドラゴンズナイターである。たとえ「巨人—広島戦」でもドラゴンズナイターである。ドラゴンズOBが解説する。ラジオも工夫のためか、解説者がコマーシャルの後にメッセージを伝える。以下、お聴きください。
「小松辰雄です。直球勝負」
「落合英二です。選手の○○に迫ります。なんちゃって」
「彦野利勝です。歌も野球もCBCラジオで」
取りは高木さんの登場である。
「高木守道です。CBCを聴くのが普通です。」
09.8.23

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ポニョ、Ponyo

お腹まわりのことではない。
8月14日、アメリカ・カナダで「崖の上のポニョ」が封切りされた。英語では、「Ponyo on the cliff by the sea」 レッド・クリフといい、崖・壁が、はやり年か
英語版予告をチェック、声の出演
宗介の父:マット・デイモン(長嶋一茂)
ポニョの父:リーアム・ニーソン(所ジョージ)
グランマンマーレ:ケイト・ブランシェット(天海 祐希)
リーアム(スター・ウォーズのクワイ=ガン・ジン役など)の吹き替えに所さん、ケイト(エリザベス女王役など)の吹き替えに天海さん、ではない。アニメ経由である。ひと安心

英語版予告編(movie trailer)から抜粋、その下に日本語訳を書いた。
宗介:I think we call her Ponyo.
宗介の母:What is your mother like?
ポニョ:She is big and beautiful, but she is very scary.
私は、私たちが彼女のことをポニョと呼ぼうと、思います。
あなたのお母さんはどのような方ですか。
彼女は、大きくて美しい、しかし彼女は恐ろしいです。
 これでは退屈であるがテストに出題されればこう書く。では会話調に
彼女のこと、ポニョと呼ぼうと思うんだ。
お母さん、どんな人
大きくて美人だけど、とっても怖いの

この違った日本文が同じ英文に落ち着く。他にも英語を拾った。
Ponyo, You have to trust me.
I have never seen the ocean like this.
Good luck on you.
Don’t worry. Everything is going to be okay.
I promise Ponyo. I take care of her.

リスニングの教材に最適であるが、まだ手に入らない。それまでは「ナルニア国物語」のライオンさんに教えを請うか、こちらもリーアムである。
09.8.22

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分子を使って物まね

ラン(オーキッド)の花は、ミツバチのメスのフェロモン様物質を放出すること、これによって受粉が促されることは、化学擬態として知られている。その化合物は、炭化水素なので軽油みたいなものである。
 ヨーロッパのランは、炭素数21,23,25の三通りのアルケンを含む混合物、これはメスバチの性誘因フェロモン様であり、しかもその割合の多いものを発散する[1]。つまりメスバチがオスバチを誘惑するよりさらに誘惑度が高く、これによってオスバチを引き寄せ、受粉してもらうらしい。
 一方、中国に咲くランは、炭素数20のアルコール((Z)-11-Eicosen-1-ol)を発散する[2]。こちらは恋愛物語ではない。このアルコールはミツバチのフェロモンの一種で、スズメバチにとっては、エサを意味する化合物である。そこでスズメバチは、ミツバチがいると勘違いして、ラン攻撃を開始する。だが実際にはランの花しかなく、受粉が促進され、めでたしとなるらしい。
 ちなみに紫ランの色が基調で、「ロイヤルオーキッドサービス」を謳っているタイ国際航空。これでバンコクに飛ぶ。繁華街パッポン通りに行く。お姉様がテルペン類などを駆使してぼくたちを魅惑的する。と思っていたら喉仏があったりして、こちらの擬態にはご用心を

[1] Chemical & Engineering News June 2, 2008, p. 15.
[2] Chemical & Engineering News August 17, 2009, p. 37.
09.8.21

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マッくん、パッくんのコントで英会話

NHKラジオ第一、AM8:17頃、英語まじりで会話が始まった。

パッくん「マッくんの趣味は」
マッくん「アウトドアライフ」
パッくん「マッくん、森で暮しているの・・・・それはアウトドラリクレーション(outdoor recreation)・・・」
パッくん「アパートもおかしい。I live apartと言うと、別々に暮らしている という意味、アパートはアパートメント(apartment)、他に英語と思って使っている単語は?」
マッくん「シュークリーム」
パッくん「君は、靴ずみ(shoe cream)を食べるのか。あれは英語ではクリームパフ(cream puff)、他に」
マッくん「ナイーブ(naïve)」
パッくん「それは、うぶな、だまされやすいという意味、マッくんの奥さんはナイーブ、マッくんと結婚したんで」
 学習させていただきました。このコント、また今度。
09.8.20

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身体からもイソプレンが?

イソプレン:C5H8、IUPAC 名2-メチル-1,3-ブタジエン、これが重合して天然ゴム、またイソプレンは、生体系の分子構造の基本単位、たとえばテルペン、ビタミンA, Eなど ここまではよい、以下始めて知った[1,2]。

 イソプレンは、落葉樹から大気中に放出される。メタンに次ぐ量で、年間500X1012gの炭素に相当する。オークが最も多く放出する[3]。ある樹木が放出する量は、葉の重さや面積、光の強さや葉の温度によって、異なるらしい。夜の放出量は減少し、暑い日当りのよい日には、増加するらしい。ヒドロキシラジカルなどによって酸化を受け、液体となり水(油)滴などになる。これが樹木のまわりをおおうことで、太陽からの過熱やオゾンによる酸化を防ぐ。
 人の身体からも放出される炭化水素の一つである[4]。70 kgの人で17 mg/1 dayと推定されているが、その役割について記載はなかった。こちらも日焼け止めか。夏の暑い日、自分の身体から発散されるイソプレンを検知できるように、嗅覚を鍛えましょう。

[1]調べたきっかけは、Air chemistry of Isoprene(イソプレンの大気化学)という記事(C&E News 2009, 8.10, p.10)にScience 2009, 325, 730の論文が要約されていた。
[2][1]とWikipedia free encyclopediaから抜粋した。
[3]このベタなダジャレ気がつきましたか?
[4]この部分は、「要出典」とある。
09.8.19

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お札に化学文化を

16日朝刊一面の下段に、「アミノ酸」という題名の本の広告があった。広告はよくあるが、その横に、S体フェニルアラニンの化学構造式もあった。めずらしい。しかも高校の理科総合で出てくる様な表記ではなく、化学業界で使う表記である。前者はC,Hという元素記号と線を使う。後者は、直線をつなげて書く。直線が折れた角には炭素原子があり、その角から引かれる直線の数を4から引き算する。その答えは、その角(炭素)にある水素の数である。基本的にはジグザグであるが、たとえば×でもまあよい。ネオペンタン(2,2-ジメチルプロパン)である。窒素、酸素などが入った場合にはその元素上に水素があればHと書く。またカルボキシル基はCOOHと炭素と水素も合わせて書く。バツ印を見てネオペンタンと勝手に思ってしまうようになっていると、学習効果が出始めている。
250字程度で書き方が説明できるが高校の理科総合や化学Iでは教えない。高校で教えない内容を入学試験に出すと、あちらこちらから苦情が来て、新聞沙汰になる。が今朝は別の意味で新聞沙汰であった。
実は化学式は、国際語である。この国際語を操ることができれば、This gave this.だけでも外国の化学者ととりあえず会話になる。
 ちなみにシンガポール10000ドル紙幣には、二種類のトリペプチドの化学構造式が印字されている。「諭吉さんの横にグルタミン酸ソーダを入れようか。いやナフタレンのフロンティア軌道のほうがいい。」などということが話題になる豊かな国でありますように、
09.8.17

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人を描く、人を演じる

司馬遼太郎記念館を訪ねた。大阪府東大阪市に在る。司馬さんの書斎には、6万冊あまりの書籍が現存している。1923年生、1996没、40代に「龍馬がゆく」「坂の上の雲」、50代に「翔ぶが如く」を完成させた。いずれも文庫本にして八冊以上の書き物である。ある人が、ある時代の渦のなかで、その渦に巻き込まれながら生きた様を通してその時代を描いている。これらはもちろん幕末から明治のことである。先の書籍の多くは、事典、辞書の類が多く、それぞれの人物を描くために、これらの書籍を丹念に調べ上げたと言う。結果、人物が著作に躍動感を持ってよみがえる。学生時代、できたての文春文庫を読みあさったが、未だこれほどの大作のない自分である。
ちなみに「坂の上の雲」、13回シリーズ、3年に渡り、NHKがドラマ化する。大作をどう凝縮するのか、それほど期待してはいけないだろうが、モックン[1]が主人公の一人、秋山真之を演じる。青年時代から、海軍軍人となり作戦参謀、日本海海戦後、戦争の悲惨さに再び衝撃を受けたという人物の役づくり、こちらは大いに期待

[1] 本木雅弘、「おくりびと」でも主演してましたねえ。この映画の話はまた今度

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phですかfですか

So long sulphur「さよならイオウ」 という題で始まっていた[1]。はてイオウと決別か?いやそうではない。Nature Chemistry ではsulfurと記すかsulphurと記すかを議論した結果、sulfurになったとのこと。Natureではsulphurであるし、ロンドンホームの雑誌はオックスフォード英語スペルに従っている。Nature Chemistryもロンドンホームであるがしかし、化学である以上、IUPACの命名法であるsulfurに従ったという。
 phとスペルするのはギリシャ語由来でphi(ファイ)がphになるが、イオウの場合そうではない。ギリシャ語では、theionとスペルし、thio(チオ)という接頭語を思い出させる。ハイチオールCのチオもこれである。イオウはラテン語由来のようである。sulpurがsulphurになりsulfurになったと。ちなみに「azufre(スペイン語)、schwefel(ドイツ語)、soufre(フランス語)、zolfo(イタリア語)」という紹介はある。一方で中国語、韓国語、日本語などの紹介はない。漢字の「硫黄」も掲載してほしかった。「硫」の石は「非金属」を意味するなんて、ヨーロッパにはない表現方法なので、

[1] Nature Chemistry, vol. 1, 333 (2009)
09.8.11

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Alisonに聞き入ってしまった

FMから流れるモーリス・アンドレの音色が耳に入った。なけなしのお小遣いをもって、レコード店に走ったがその店にはなかった。普段ならば電車で行く店まで歩いた。ここで100円失うとLPは買えない。やっとの思いでアルバムを見つける。割腹のいいモーリスの写真にレコードは収められていた。がしかしこれを買うとお小遣いはすべて失う。でも聞きたい少年の心を動かした。汗だくで家に帰り、ハイドンのトラッペト協奏曲を聞く。しかも実に慎重に。レコードは傷つきやすい。16歳の頃の村井君のようである[1]。サウンドに自分が覆われた。
 数年後、ウイントン・マルサシスを耳にした。クラッシクを操る心豊かな黒人奏者に出会った。今度はCDショップを車で巡った。数軒捜して、ことなく手にした。サウンドに再び酔った。少し大人になっていた。
 それからおよそ25年、久しく忘れていた音色が耳に入った。アリソン・バルソム、Wikipedia free encyclopeidaに聞く。ロンドン管弦楽団の主席トランペット奏者、女性である。Y-Tubeで検索、口元の形は、理想の奏者である。息づかいを感じさせない。サウンドの包容性は先の二人に同様である。それ以上かもしれない。Y-TubeからAmazonに飛ぶ。検索して注文、次の日には聞きながらブログを書いている。そんな時代になった。
 時代は変わり出来上がりは簡単に手に入る。それでも楽器を奏でるための日常は変わらない。同じ練習を毎日、毎日繰り返す。それでも上達はしない。ある日、少し出来る様になったかもと思う。でもまた落ち込む。この繰り返しが自分を豊かにする。

[1]その後、育毛剤をたくさん使った。お蔭で、心臓に毛が生えた。

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園田先生、お誕生日おめでとうございます。

恩師、園田 昇先生の76回目のお誕生日である。昭和8年8月8日生、「アミンと一酸化炭素から尿素をつくる反応を粉末セレンが触媒する」ことも発見された。化学はもちろん他でもとてもおよばない。「物事が緊迫しているとき、渦中の人であってピンチなときでも、その事を少し離れた視座で見据えておられる、時には一人だけ見通しておられるのでは」と感じてしまう。
 25年ほど前のこと、先生とお二人でお葬式に参列したとき、会場までは駅に表示していた地図の通りに行ったが、なんだか回り道のようであった。帰りに先生は、「こういう古い街には必ず抜け道がある」と細い路地のあたりをスムーズに歩いて行かれた。無事、駅についた。
 同じく25年ほど前のこと、「論理的に考えて美しい研究をやりたい」と話した。先生は「論理的には違っていた、当初の目的は失敗であったというところから生まれる発見は、予想もしない大きなものになることもある。それを見逃したらいかんのや」と、その当時見出された多くの例を紹介していただいた。
 ピアノの名手でもある。4月に卒業生が集まったときにも披露していただいた。ちなみにYou Tubeで検索した。園田競馬場がでてきた。
09.8.8

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細心の準備と心構えで実験を

2009年1月16日彼女は息を引き取った。事故が起きたのは、2008年12月29日UCLAの研究室である。ビニルリチウムを調製するために、臭化ビニルにt-ブチルリチウム(t-BuLiおよそ160mL)を加えようとしていたところ、注射器の針がはずれ、火がついた。ドラフトにはふたの空いたヘキサンの瓶もあり、それに引火した。その後、彼女の身体にも引火し、・・・その後はC&E Newsの記事を読んで欲しい[1]。痛ましい光景である。・・・近くの実験者は、白衣をかぶせて火を消そうとしたらしい。なぜ消火器をとは思うが、常ではないことが起こった時の対応である。彼を責めることもできない。
 カリフォルニア労働安全衛生局が事故の背景を、様々な点で検証した。担当教授は、「研究室では、空気に敏感な化合物の扱いはアルドリッチ技術告示に従っている。」そこには、プラスチィクではなくガラスの注射器を推奨、器具の乾燥方法、薬品を移動させる場合の方法などが示されている。彼女の手順は一部それに沿っていないところもあったらしい。t-BuLiのボトルがクランプで留められていなかったかもしれない。注射器の乾燥が不十分であったか、数回使って詰まってしまい、それを抜こうとしたのか。本来義務づけられている安全講習に、彼女が出るのは1月の予定であった、研究室で四ヶ月も働いていたにもかかわらず。担当教授の研究室は、テキサスからカリフォルニアに7月1日に移動してきた。二つの州では安全のルールが違うため、10月の巡視ではいくつかの違反項目があった。など
彼女の家族の憤り、やるせなさも記されている。事故調査を直接担当した者は一名を除いてUCLAの人間であること、担当教授の対応に対する調査の不十分さ など
記事ではその後、会社に勤務する研究員のコメントや、スタンフォード大学、MIT、イギリスでの安全対策に対する事例、UCLAのその後の対応などが紹介されている。

安全と事故は隣り合わせである、化学実験室に限らず。 使っている場所の整理整頓、不要な物品の処分、消火器の位置確認などを怠らず、朝晩には身の回りの配置を確認し、慢心を戒め、化学研究に臨むべし。

[1] Chemical & Engineering News August 3, 2009, p. 29.
09.8.7

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高校生を化学へご招待I

「化学への招待」と銘打って高校生に話をする。参加者が40名程度であると聞いたので、半分の時間を分子模型で2-ブタノールの形を作成してもらうことにした。
 丸善HGSモデルを使ったが、水素の水色の玉は使わず、sp3の玉に、ピンクの棒を四本差し込んでもらってメタン完成、海岸にある波よけブロック「テトラポッドとそっくりでしょう。この109.5°という角度がポイント。」海岸では是非「メタンの模型だらけやと、感じてほしい」と話す。
 「家でメタンガスを使ったことある人?」だれも手を挙げない。「使ったことない人?」数名が手を挙げる。「わからない人?」数名が自身なさげに手を挙げる。では「家で湯をわかしたことがある人?」ほぼ全員が、自身を持って手を挙げてくれた。実は都市ガスの成分は主にメタンガスである。本来無色無臭であるが、臭いをわざとつけている。果物や香水の臭いでもいいが、出し続ける人がいると困るので、嫌な臭いにしている。それが何かを知りたい人は、化学へ進学してね。とPRも忘れない。
 エタンを作り、ねじれ形か重なり形かどちらが楽な形か選んでもらった。なんと8割がねじれ形に手を挙げた。考えている理由を尋ねた。「ねじれ形だと、安定な置き方がたくさんあって、重なり形のときは3つだったので」と答える。なんと斬新なものの見方か。ゆとり教育もまんざらではない。
 ジグザグ形でブタンを作成、真ん中の二つの黒い玉についた四つのピンクの棒のどこにでもよいので、緑の玉を差し込んでください。何通りの形ができるでしょうか。くるくる回さないでね。なんと9割の生徒が二通りに挙手。そこで鏡像の話、鏡像異性体の話をする。ついでに「異性については高校でしっかり学んできてね。」ともお願いした。
09.8.5

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高校生を化学へご招待II

分子模型を作り終えた後、これらは炭素、水素、酸素からできていること、「私たちは今、元素の王国にいる。」という「元素生活」の本を紹介。「自分と元素が深く関わりあっている」とこの本にはすでにある。と説明、高校生たちは神妙に(あるいは退屈そうに)聞いている。
 でつぎにアニメの抜粋をみせる。少しざわめきが起こる。アニメでは2029年、人類は痛感した。「すべての物は元素からできている」と[1]。なので「アニメの世界は遅れている」とコメント、でもどちらの世界も「元素消失、未来は君たちに託されている」し[2]、現実の世界ではもう「経済産業省や文部科学省などのお硬い役所が「元素戦略」プロジェクトをやっている」と話すが、あまり聞いている様子はない。騒がしくなってきた。「エレメントハンターや、7月からNHK教育でやっている。コナンの裏番・・・」「コナンって土曜日になったんか」「知らんのか・・・」「おれ、この前のやつ見逃した・・・」 
 意を決して「これで化学への招待終わりますね。分子模型の部品をケースにしまってください、ポケットに入れたりしないようにね。自分が旅芸人のようにこれを持って高校へも行くので[3]」「今日参加してもらった人には周期表をプレゼントします。」と伝えた。「やった〜」という声も聞こえた[4]。

[1] http://www9.nhk.or.jp/anime/elementhunters/
[2] http://elementhunters.com/
[3]「色香を分子がつくる。分子模型でも遊んでみよう」という題目で出前講義を受け付けています。概ねこんな内容です。ご希望の高校の方はご連絡いただければ、分子模型を持って出前させていただきます。
[4]昨年12月末、バス停で、ある先生にお会いした。「一杯いきましょうか。」「は、はい」話も盛り上がって、ほろ酔いになっていると「化学への招待というのがあって、1時間くらいお話してもらえる先生を捜さないといけない。」と言われる。・・・「構へんよ。」とお受けしてしまった。お酒の後押しが効きすぎた年末であった。
09.8.5

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化学オリンピックだよ〜ん

「化学オリンピックで、アメリカ金メダル獲得」という大見出しのあとに、台湾大勝利という小見出し。ついで本文が続く[1]。
7月18-27日イギリスケンブリッジで開催された第四回国際化学オリンピックで、台湾チームは他のどの国よりも多い4つの金メダルを獲得した。アメリカは金が一つに銀が三つであった。
64の国から、250名の高校生が参加し、金28、銀54、銅82が授与された。中国R. Wangが最高の金、ついでイスラエルA. Mauda, 台湾H. Yangの順。中国とロシアは金が三つに、銀が一つ、イングランドは銀四つ。この記事の後に、USチームの話が紹介されている。2002年以来金メダルがなかったが今年は一つ獲得したことに触れ、参加者の氏名、所属などが紹介されている。日本の紹介はない。

課題の一つは、「異なる濃度のドデシル硫酸ナトリウムの伝導度を測定し、その化合物の臨界ミセル濃度を決めるやり方を考案しなさい。」であったことも記されている。

 一方、国内の化学オリンピックの記事を見た。C&E ニューズと重複している部分は参加国と参加者の数、開催地と開催日くらいである。国内参加者の結果と彼らの氏名、所属高校、学年の紹介に紙面が使われている。台湾についてはどこにも見当たらない。そのことは日本化学会のホームページにもない。
 さて来年は東京で開催される(http://icho2010.org/top.html)。ホームページでは大会を支援するための寄附も募っています、公式グッズの販売もしています。皆さんご協力を[2]。

[1] Chemical & Engineering News August 3, 2009, p. 6.
[2]決して委員会のまわし者ではない。2009春季年会でぶらぶらしていると、「村井先生、このエコバックいいでしょう」と、ブースにいる女性から声をかけられた。調子にのって話していると、どこからともなくおじさんがやってきて「で化学オリンピック来年、日本ですよ。いま寄附していただくと先生のお名前もホームページに載りますので」と・・・喜んで寄附させていただきました。
09.8.3

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「学ぶ力」を学ぶ

内田樹先生[1]を訪ねる。以下そのページ(2009.8.1)の抜粋である。
学力とは読んで字の如く「学ぶ力」である。「学びに開かれてあること」のことであり、「学んで得た知識や技能や資格などなど」のことではない。それらはたかだか学力の副産物にすぎない。「学ぶ力」というのは次のようなことを言う。
で三つあると言う。自分なりにまとめれば、(1)自分には知らないことばかりと実感していること(2)それを学べる師匠を感覚的に見つけること(3)師匠をその気にさせること
で先生は続けられる。・・・この三つの条件を言葉で言うとこうなる。「学びたいんです。先生、教えてください。お願いします。」
・・・学力の劣化とは「学ぶ力」の劣化のことである。英語ができないとか漢字が書けないとか割り算ができないとか、そういうレベルのことではない。そのさらに根本にあるマインドの問題なのである。

 先の(1)、(2)、(3)の最初の(1)でさえ、簡単なようでそうでもない。知ったつもりでいることが多い。たとえそれが身近であっても見ようとも感じようともしない、さらには見たいものしか自分には入らない。そんな中せめて、学力の副産物の出来の善し悪しだけでシステムを変えようとする方に対しては、もの申す力と言葉を持たなくては

[1] http://blog.tatsuru.com/(内田樹の研究室)これを読んで、ほんの少しでも興味が湧いた方、是非、このブログも見てくださいね。
09.8.2

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西本智実さん

かんさい土曜ほっとタイム(NHKラジオ)面白人物ファイルに出演されていた。女性指揮者である。大阪府立今宮高等学校出身、「フロンティア軌道理論」の福井謙一先生は、その前身である今宮中学の出である。昔友達に聞いた話では、浮浪者が多い地域に隣接しているので、高校にその方が入ってくると、「・・・注意してください」と放送があったらしい。
 話をもどす。ラジオでは、「指揮者を演じているという雰囲気だと思いますが」と聞かれる。「全くそんなことはありません。もしそう思っていただくとラッキーかもしれないですね。」「指揮をすることは、見えない地図や建物を組み立てているようなもので、指揮の途中では、あの部分はすこし出だしが遅かったので、次の同様の部分では、もう少し早く合図をしたほうがよいとかを考えています。」
「指揮をするのは体力がいるので、筋トレをします。でも右と左でアンバランスな筋肉の付き方をしています。」
「ロシアに留学していたときは、個人的に寂しいということはあったが、苦労しているとは思わなかった。オーケストラの常任指揮者になった時には、オーケストラの人事からすべてのことに関わらなくてはならなかったので、非常に苦労した。」
インタビューが続く。「演奏が終わった瞬間、達成感を感じますか。」「もし感じたとしたらもう指揮者をやめているでしょうねえ。終わったときから反省会が自分の中で始まっている。あの部分はこうした方がよかったとか」(論文投稿を完了したときの感情と同じか。でも自分は少し安堵感も感じるのでまだまだ未熟か)
 ドイツベルリンに住み、サンクトペテルブルグ、プラハなどヨーロッバの各地で、オーケストラを導く。しかも振る曲は、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、リムスキー・コルサコフ、マーラーなどの大曲が多いとのこと、来年は、アメリカに挑戦することになったそうである。
 インタビューから「とてつもない学ぶ心」を実感してしまった。ヤング・グローバル・リーダー2007年[1]に選ばれたのも自然である。

[1]2009は誰が選ばれたのかをネット検索した。ミスチルの桜井和寿さんを初め7名の名前があった。メディアに露出度の多い経済評論家や知事の名前もあった。ぼやき川柳でもつくりたい気分である。
09.8.1

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