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2009年12月

大晦日です

 一年を振り返る。年の初めと同様に過ごしているので、自分にとっては、よい一年である。4月、学科に新しい先生方が赴任されて、ますます「古くからいる人」になった。「昔話」の人かもしれない。先日「学部生の英語教育について話す集まり」があった。それこそ昔はなかった。現状認識、教えるべき内容、講義実施方法など、先生方によって違う。これがよい。そもそも同じであるほうが恐ろしい。それでも、なんとか「こんなふうに、やっていきましょうか」と担当者全員が妥協感を持った方向が出れば、それが存外、いい加減に違いない。
 「話題を設定、議論し、初めは多論を併記し、先延ばし、ついで両論併記しつつ、収束させる」場をもっと持ちたい。特に四捨五入したら「ゼロ歳」世代(50歳未満)の方々の参画に大いに期待してます。

 では、よいお年を
09.12.31

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化学の先生、文学を語る

 11月末韓国シンポジウムの最終日、大学をすでに退職された日本の著名な先生と二人、バーで差し向かう。今は岡山と京都を行き来されている。岡山のアパートでは3階に居住、初めは2階を教会の方が使っていた様子。である人に「おまえは神をも恐れぬやつや」と言われてしまった。岡山には、化学の祖、宇田川榕菴(ようあん)ゆかりの場所もあるとのこと、ようあんの話も「ようあるんですね」とは、よう言わんと次の話へ
 今は「化学と文学」という原稿を書かれている。アガサ・クリスティが犯人にヒ素を使わせたことは言うに及ばず、小説には化合物が様々登場する。先生の若い頃からの愛読書「三四郎」のこと:「わし、あの美繭子(みねこ)って嫌いや。三四郎をたぶらかすような態度、その美繭子が買った香水が、ヘリオトロープ(ピペロナール)、だから鋭い香がぷんとする」とお話をもらう。「ヘリオトロープがみねこ、三毛猫は香気成分なかったですかねえ」「いや漱石の猫では、タカジャスターゼをくしゃみ先生は愛用。猫は、エビスビール飲んでたんやないか」と話は深夜に及んだ。
 先日、その先生から、原稿など(既に活字になった分も含めて)をお送りいただいた。暖かい贈り物である。
09.12.30

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半年前のこと

 6月28日Metzner先生夫妻に、ノルマンディーを案内していただいた。1944年6月6日、ナチス・ドイツが占領する西ヨーロッパ奪還のために、上陸作戦が始まった場所である。この作戦は、その数年前から計画され、古い船などを海岸に沈め、港をつくることも立案実行された。その残骸が今も沖には残る。連合国軍は、ナチス・ドイツ軍を標的とした艦砲射撃も行ったが、多くのフランス市民もその犠牲になったと、先生は話される。記念館では、主に連合国側の戦略・戦術が紹介されているが、落下傘部隊を始めとする徴兵された人からも多大な犠牲者が出た。眼前に広がるオハマ・ビーチで、凄惨な戦闘が行われたとは信じがたい[1]。ここでの犠牲者の霊を慰めるおびただしい数のモニュメント、そこを訪ねる人々の数や姿から、学びきれないほどのものをもらった。この一年で最も貴重な旅体験であった。
 ちなみに先生は、60代前半であるが、昨年退職、化学からは身を引かれた。旅行もされる。カンボジアに行って数ヶ月、臨時教員のように過ごされたらしい。

[1] スピルバーグ監督「プライベート・ライアン」では、冒頭20分ほどは、ここでの戦闘シーンが描かれている。

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棚がこないよ〜ん

 コンセント増設工事は、当初の工程表より2日早く完了。その間、古いコンセントの交換も作業に入っていたため、スチール棚も撤去した。棚の後ろに、い「たな」とコンセントに呼びかける。
 思い切って新しい棚をそこへ据え付けることにした。アスクルのカタログでサイズを確認、置いた時の「落ち着き感」や必要予算も考え、期日指定の納品を希望して、FAXを送った。数日後に電話がある。「納品が1月末になる、在庫切れでして」とのこと。とりあえずキャンセル、業者の方に至急来ていただく。それでもそれがフィット商品なので改めて注文。ちなみにアスクルの商品はほとんど輸入で、在庫切れになると時間がかかるらしい。注文の棚は、デンマーク製ではないかとのこと、だからデンのか?
 およそ一ヶ月、ダンボールと過ごすことになった。「誰かのテーマの参考文献は、どの箱の中やったか」の生活が目に浮かぶ。とほほ。
09.12.28

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時計を飾る

 横幅20cm弱のデジタル時計をいただいた。電気を入れないと、角材にしか見えない。表示板がどの向きにあるかも分からない。set, up, downというボタンがある側が裏である。日時、時刻、アラームすべてこの三つのボタンでセットできる。表示は赤色LEDである。電気エネルギーを光に変換する素子が組み込まれている。素知らぬ顔で「大きな古時計」に負けず、時を刻んでほしい。時間をかけて選んでいただきありがとうございます。淡褐色が白壁にマッチしています。
 プレゼントしていただいた方のお話では、置き時計はデジタルが主流、大きい時計は壁掛けタイプで目覚まし時計同様、アナログタイプもあるらしい。そのうち「時計回り」がどちらか分からない世代が誕生するかもしれない。教室に壁掛け時計を持参して「これがアナログ式時計で・・・」と伝える。くどいと「時間ですよ」になる。それでも「ほっとけい」と続けてみるか。
09.12.27

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アンモニア合成

 といえばハーバー・ボッシュ法。ある企業が昭和の初期から、そのプラントを改良し、日産(一日あたりの生産量)をどう拡大したか、技術革新・改良のことが、佐脇幸男さん著「ケミストにもいろいろ」にある。副題は「我が生涯の友、アンモニアとタンゴ」である。英単語ではない、アルゼンチンタンゴである。
 その中、アンモニア合成工業についても、詳説している。その日産をたどった。昭和初期25T/D(トン/一日)、昭和16年215T/D、昭和35年270T/D、昭和45年頃1650T/Dのプラント建設、この間に実現できた効率化は「20年前は、250T/Dを1200人の人員が担当したが、1650T/Dは60人でまかなった」ということからも伺うことができる。この頃1000トンクラスのプラントが他でも建設された。が1970年代の石油ショックによる原料高騰、ついで原文を引用する:「更に肥料輸出先の後進国や東欧諸国までもが自らアンモニアプラントをどんどん建設したために需要先まで失って、建設費を売却する前に競争力が喪失してしまいやがて次々と廃却される運命を辿った。」とある。
09.12.27

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電気工事中です

 実験室で、コンセント増設、取替工事が始まっている。その前の日に、実験台の上の物品など、学生さんの働きで、一時避難することができた。そのお蔭もあって工事はきびきびと順調に進む。減圧ラインなどの上には、シートがかぶせてある。廊下に、必要な新しいコンセントやケーブルなどが、整然と置かれている。6名の方が、必要な連絡事項のみ伝えあって、緊張感のある作業である。新しく設置したコンセントにペンキも塗られる。実験室向かいの部屋の電源を切るときは、お願いしますと、部屋に来られる。「電源切らないと、電気工事、できんのですわ」みたいなことは言わない。8時半頃から始まって、しばらく休憩、再び始まる。こちらとの打合せも的確である。常に事故と隣り合わせの現場だからであろう。この電気工事にしびれた。と思っていたら、「先生、写真撮らせてもらっていいですか」「いや〜こんなおじさんの写真とっても無駄・・・」「いやあのう工事前の・・・」あらら
09.12.26

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サンタ苦労す

 サンタクロースがいると信じれば、サンタさんが来る。プレゼントがある。ささやかでよい。「この物語を子どもたちに語る」「その場を演出する」ことは大切である。小学校3,4年生まではなんとかなる。
 12月24日、大きな靴下を置いて子どもが布団に入る。なぜかその日だけ、夜中に目が覚める。で父親も目が覚める。「プレゼントあった」と喜ぶ。「夜中だから寝なさい」ところがそうはいかない。「妹もプレゼントがあるか心配なので、見たい」と言う。で妹の靴下のある所へ静かに行って、その中を確かめる。「あった、きっと喜ぶと思う」と吹っ切れた様子と屈託のない笑顔、そこで布団に潜る。
と言う時期は短い。しばらくすれば
姉「サンタみたことあるの?」
妹「うん、薄め空けてたら、きた」
姉「どんな格好やった」
妹「ハゲで私服のサンタやった」と
 父も苦労す
09.12.25

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赤ワインのお話

 神秘的な雰囲気を醸し出す赤ワイン、懇親会などでも終わりかけには、「ワインないんですわ」の時もある。その赤ワインの分子レベルでの謎はさらに深い[1]。そこには、レスベラトロールが含まれる[2]。この化合物は、動物実験では、脳卒中から癌まで多くの疾病予防があること、さらにある種のハエ、ミミズの様な虫、肥満ネズミでは、長寿(アンチエイジング)に効果的であるという。
 レスペラトロールは、サーチュインと呼ばれる脱アセチル化酵素に働きかける、また多くの生化学経路にも影響する。相当数の研究がこのレスペラトロールとサーチュインについて取り扱っているが、どうも中には不確かな情報もあるらしい。それでも確かな結果も数多くあって、まだまだ今後もこの化合物と酵素の関係、それらの組合せの効果から目が離せないらしい。「アンチエイジング」がエイジニアリングになる日を祈りましょう、赤ワイン片手に
[1] Chemicals & Engineering News , 2009 December 14, p. 36.
[2]トランススチルベンを書き、右側のベンゼン環の3,5-位と、左側のベンゼン環の4位に水酸基を組込んだ化合物
09.12.24

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台湾にも行きたいわん

 台湾旅行から帰国された方から、お話をお聞きした。京劇、太極拳、「千と千尋の神隠し」のモデルになったと言われる街、お茶セミナー、台湾のわんちゃん、猫ちゃん、地下鉄の切符、孫文・蒋介石・毛沢東のフィギュア、孔子廟、衛兵交代式、故宮博物館のことなど、盛りだくさんであった。その中、二・二八事件について初めて聞いた。
 1945年、政治体制が変わり、中国国民党政府が台湾にできた。その1947年、政府役人の「闇タバコ販売」取締の過剰さが事件の発端とされているが、治安の悪化、政府役人の腐敗が背景にあって、政府対国民の間に軍事的衝突、30000人近い犠牲者を出した事件である。しかもこの事件について語ることが40年ほど抑制されていた。おそらく特に台湾の方々には、重くて複雑な事件であったのであろう。1989年公開の映画「悲情城市」は、このことを描き、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞している。冬休み見たい映画にリストした。
09.12.23

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テキサス・ロングホーンが

 2010年1月7日パサディナ(カリフォルニア州)で開催のローズボールに出場する。National championship である。そこでツアー企画がある。テキサス大学からのNews Letterで知る。オースチン、ダラスあるいはヒューストンからパサディナまでの往復チャーター機、ホテル2泊、ウエルカムパーティー、大学の公式パーティー、すべてのイベントの送り迎え、特別なお土産付きで、およそ2000ドル/1人。ただしゲームのチケット代は別。
 2006年のローズボールの相手は南カリフォルニア大学、残り19秒、quarterback Vince Youngがタッチダウン、41対38でテキサスがNational championになった。今回もゲームではThe Eyes of Texas、Texas Fightなんかを合唱し、この最後の興奮のため、多くのテキサンがツアーに参加するに違いない。なにせフットボールチームの監督一人の給料で、大学の先生2~3名は雇うことができる風土である。
09.12.23

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古橋廣之進さんのこと

 が「NHKラジオ朝、時の話題に」なる。昭和23年日本は、ロンドンオリンピックに出場できず、オリンピック開催の日に、東京のプールでの大会で、自由形に挑戦、いずれもオリンピック記録を上回る。翌年、全米選手権に招待される。400m,800m,1500m自由形で世界記録を樹立。ここで「フジヤマのトビウオ」と評された。だが昭和27年のオリンピック・ヘルシンキ大会では、体調不良から400 m自由形一つに絞れども、8位の結果、ラジオの実況アナが、涙声で「古橋を責めないで・・・古橋の活躍なくして戦後の日本の発展は有り得なかった・・・。古橋に有難う、を言ってあげて下さい」と伝えたらしい。翌年引退、世界記録33回も樹立しながら、オリンピックでのメダルはなし
 その後、日本の水泳界さらには、スポーツの発展に尽力され、オリンピック日本選手団団長を2回勤められた。「泳心一路」が座右の銘で、選手には、「魚になるまで泳げ」と指導されたとのこと
 自分たちは「偉大なる先人たちの贈り物」を引き継ぎ、生かしてもらっている。
09.12.22

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ゆず風呂にご案内

 プールから出て更衣室へ、そこへ洗面器を持った高齢の方が来る。「こっちは男じゃろ」とかおっしゃっている。泳ぐには持ち物が違うし、足下もおぼつかない。思わず「こちらはプールですが」「初めて来たんじゃ」「お風呂はあちらですが」「ゆず風呂に入るんや」と、どうも融通(ゆうずう)が利かない。やむを得ず、水着のままで、おじさまを廊下におつれする。「お風呂はあちらですが」しばらく間があって「はあ〜、こっちはプールかな、ほうか、あっちか、ありがとう」「そうです、そちらがゆず風呂への」「栄光の架け橋」[1]ですと、道をお「ゆず」りした。ご堪能ください。
 ちなみに柚子湯(ゆずを浮かべたお風呂)は、古来からの日本の習慣で、冬至の日に、湯治(温泉に入って病気などを治療すること。)というシャレを含んでいるらしい。

[1] オリンピックが「アテネであってね」の時に、「ゆず」が歌った。

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雪かき

 雪やこんこん、きつねもこんこん、雨戸を開けると、雪国だった。
 冬用タイヤに替えなくてはいけない。一人でやってもいいけど、10年ほど前、それでネジが曲がってしまった、性格みたいに。それ以来、ディーラーに依頼している。そこで電話「今日の予約はいっぱいですけど、お店に来ていただいた方から作業させていただきます」とのことで店へ。「タイヤの溝が少し減っておられるようですが」と指摘される「夏用タイヤを来春には新しくするつもりですので」「同じ車種の新型も出ましたので」と切り返される。作業完了して店を出る。
 街路では「だれかがしなくてはいけないこと」[1]である「雪かき」をしている。1年に一度の積雪がある程度の地域なので、積雪への耐性が弱い。今朝も橋の上はスケートリンクの様であった。素早い雪かき、活気(かっき)的である。

[1]村上春樹さんは、主人公に、自分の仕事(ライター)を「文化的雪かきだ」と言わせている[2]。メッセージとしては「誰かがしなくてはいけない」「終えても評価はない」「それでも実は大切なこと」かなあ。
[2] ダンス・ダンス・ダンスp.32、新潮文庫

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科学を伝える戦略も新しい

 JACSβ(http://pubs.acs.org/JACSbeta/index.html)というWeb Siteがある。化学関連の研究は「進化する分野でかつ、化学や他の様々な分野も取り込むもの」であることなどを伝えるための新しい方法を提供している。たとえばAudio Interviewsというコーナーがあって、JACSのエディター(ゲストも多い)が、注目したトピックスについてインタビューを受ける。

 そのWeb SiteではVideoで研究紹介するコーナーが立ち上がった。専門家も専門外の人も、より素早く内容を正しく理解できるようにとの願いから。で最初は、C. A. Mikin(ノースウエスタン大学)とStephen J. Lippard(MIT)グループの共同研究成果である。初めに二人の先生方がそれぞれ1分弱、研究の着眼点などを話す。その後担当の学生や博士研究員が担当したことをしゃべる。実験室も写り、学生のカメラ慣れした仕草も見事である。音楽はニュースインタビュー風に仕上げられている。
 先のInterviewsもこのVideoも、英語リスニングにも最適の教材である。
09.12.19

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ビールと泡の界面

 ジョッキにビールを注ぐ。上級者はこの時、ビールと泡が7 : 3になるようにする。「ビールは緩急のリズムをつけて注ぐ」らしい [1]。泡だらけになってしまって、慌ただしく飲んでしまうと、泡には苦み成分(イソフムロン)が少々多いので、苦みばしった人になる。しばらく待つとビールと泡の界面が少しずつ上昇し、程よいところで落ち着くこともある。これまでは醸造工程で、大麦の脂質伝達タンパク質は、完全に変性すると考えられてきたが、この工程で、タンパク質の構造変化は起こるものの、違った折り畳み構造になる[2]。これがビールとその泡の気液界面の安定化に貢献しているという。記事の最後には「タンパク質の安定性がビールの泡の安定性をどうやって決定しているのか、謎である」とある。
 で泡の安定性もいいけど、「泡沫(うたかた)の恋」の安定化タンパク質はないものか。

[1]サッポロビールホームページ
[2] Chemicals & Engineering News, December 14, 2009, p. 34.
09.12.18

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除光液も石油から

 つめをエナメルで飾る。「なめる」わけではない。しばらく前は単にマニュキュアだったのが、ネイルアートになる。うまくできない時には「滅入るわーと」になるかもしれない。それでも、つめを飾った作品を流す時には、除光液を使う。流し足りないときは「つめが甘い」。
 この液の主成分はアセトン(C3H6O)である。石油由来のベンゼンとプロペンから始まって、Friedel-Craft反応、続くフェノール製造の副生成物としてアセトンを得る。ところが場合によっては、爪が乾燥し黄ばみやすくなるらしいので、アセトンフリー除光液もある。成分は、炭酸プロピレン(C4H6O3)他とある。こちらもプロペンから製造される。酸化してプロピレンオキシドに変換した後、二酸化炭素との反応でポリ炭酸プロピレン製造、その副生成物として得る。ちなみにふたつの化合物の沸点差は、180℃以上、炭酸ジエチル(C5H10O3)に比べても100℃以上高い。試薬ベースの価格は、炭酸プロピレンがアセトンより5倍以上高い。
09.12.17

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編集委員会では

 CIF(シフ)のことも「シらフ」で議論した。投稿する論文に、X線構造解析結果の記載があれば、投稿時にCIFを、必ず添付してもらうかどうかについてである。

 CIF (crystallographic information File)とは、化合物の単結晶X線構造解析を行った後に、測定解析結果が記載されたファイルである。国際結晶学連合のホームページには、CheckCIFというシステムがあり、ここへCIFをアップすれば、解析結果の妥当性について検証してもらえる。不備な点がAlert(アラート、警告)としてリストに書き込まれる。このアラートがあまりに多いと「あら〜」と思うのだが、これの改善は、解析の門外漢や初心者には困難である。それでも「分子の三次元構造が見えるだけでよいので」などと、ぞんざいに扱ってはいけない。数年後に、間違ったX線構造解析結果の例として引用されてしまうこともある。測定の時には、専門の方によくご相談してハイクオリティなものに仕上げましょう。
 さて委員会は、懇親忘年会へ移った。こんどは「酔い心地」で議論が続く。帰り際、編集部の大切な方の自動車で駅まで送っていただいた。心臓がドキドキ・バクバク、一言も言葉を交わすこともできずにお別れした。改めて「お世話様でした。ありがとうございました。」

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新幹線名古屋駅できしめんを

 「きしめん」屋さんで食券を買うために、慌てて1000円札を入れてはいけない。自動販売機には5種類ずつ6段(逆かもしれないけど)合わせて30種類ほどのメニューのボタンがある。もっともシンプルな「きしめん」のボタンを押すつもりが、列車の時刻が気になったり、後ろに誰かが並ぶと、焦って最も上段のボタンを押してしまう。このボタンの配列が絶妙である。上段は、さまざまな具材がトッピングされた豪華版、当然価格も豪華であるが、どれも1000円で、わずかばかりのおつりがでる。二段目がその次の価格帯である。食べるつもりがなくても「かき揚げきしめん」のボタンを押せば、お金を「まきあげ」られる。お目当てのシンプルバージョン(と言ってもネギ、うすあげ、かつお節つき)は下から二段目右端、発見の難易度の高い場所に位置している。ちなみに位置が「月代わり」であるかどうか、上段のボタンの感度が一番高いかどうかなど確かめてはいないが、この「きしめん」話、紙面でも紹介したい。
09.12.15

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インフルエンザに感染

 研究室のメンバー数名が、新型インフルエンザに感染、いかんせん、こればかりは防げない。規則正しい生活を送っているメンバーでも感染する一方で、不規則な生活を送っていても、くぐりぬけることもある。
 そんな中、保健管理センターから連絡があったというメールをもらう。「研究室閉鎖までの状態ではないが、インフル(疑いを含む)以外の学生の健康管理、例えば健康体であってもマスク着用、入念な手洗い・うがいの励行」とある。こちらは、感染してしまった学生君が無事戻って来ることができる様にと祈る中で、このストックフレーズをいただいてしまった。「まずは、罹患した学生の回復を祈る」その上で、「今は元気な皆さんも、・・・などの対策をすべし」のほうがいいかな。
 で先の対策に加えて次のことも確認を「部屋を暖かくしすぎない、乾燥を防ぐ。共同利用の場所は清潔に」。
 罹患した人は、しっかり静養をせ〜よう。
09.12.14

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鳥取から、室蘭、金沢へ

 討論会が終わった。伊藤先生初め、お世話していただいた鳥取大学の先生、学生の方々、ありがとうございました。この会は、指名を受けた大学の研究室が主催し、一切のお世話をされる。化学の討論に加えて、ご当地の名物で参加者をもてなしていただくので、毎回恐縮する。次は室蘭、金沢と引き継がれる。
 鳥取では、特別に松葉ガニを振る舞っていただいた。奪い合いになって骨折、「松葉づえ」が必須になった参加者はいない。来年は「毛ガニ」こちらも奪い合って「けが人」にならないように、化学に集中したい。
 2年後は金沢、三度目のカニもいいけど、寒ブリも、と「いカニも」のコメントを担当の方からいただく。ただ例年のことは気にせず、時には質素倹約のときもいい、主役は化学である。
 口頭、ポスター発表いずれも「分子をつくる、そのかたち、動的挙動、光特性、電気化学特性、結合切断、形成の結果、その詳細など」を紹介していただく。概ね、村井君より若い発表者がその場に立つ。この数週間「つめ」の実験や議論を重ね、何度も発表用のパワーポイントファイルを推敲したに違いない、中には指導教員の叱責にも耐え、完成度を求めた学生さんもいる。そのフレッシュな発表にこそ討論会は盛り上がる。
09.12.13

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討論会です

 今回は、11分の発表時間に質問3分、それぞれに準備していたことを発表する。業界は有機化学とは言え、幅が広い。時には「すみません、ついていけない」という時もある。鼾(いびき)をかかない様にとに気を使う。座長の番、「アレンができている可能性」について質問がある。発表者は「ない」と言う。ここで「アレンは、あれへんのですね」と浮かんだが我慢して、「時間ですので・・・」で次へ進む。
 で村井君チームの発表、どきどきの14分、時間配分オーケー、質問コーナー、幸い質問をいただく、なんとか答えている。「・・・という実験結果はあります」と言う。「よしよし、できてるよ。good, good」加えて良い質問をいただく。「すみません、それは私にも責任がありまして・・・」とか思いながら質問時間も終わりに近づく。で座長さん「時間すぎてますけど・・・、短い質問ならば」と言う。ちょっと「そんな残酷なこと言わんと、みな時間通りに終わって、飲みたいやん、カニ食べたいやん」と座長に白い目線を送るが,伝わるすべもなし。
09.12.12

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鳥取にきました

 京都からスーパーはくとで、鳥取には、手取り早い。でも3時間、旅情に浸る。鳥取駅には「歓迎、第36回有機典型元素化学討論会」という看板があった。お世話様ですと思いつつ、「鳥取と言えば砂丘」早急に訪れたいと、わずかな時間で出向く。砂丘は、砂の湿り気具合で、スムーズに歩くことができる所と足が引きずられるところもある。らくだにのれば1800円、ネクタイしたおじさん一人が世話になるのは違和感があったので歩く。しばらく上ってはまた下る。海辺には深い緑の波、その干渉にひたる。青い目の人たちが写真に切り取られる。グル−プ旅行の人も砂場に入る。「砂に浮いた写真どうですか」「オーケー」といってジャンプする。「すんません、デジカメシャッター遅いんですわ」と二度、三度、被写体になった方は飛ぶ。こちらまで息切れが聞こえる。四度目「これ最高、すごいっすよ」と無事に撮影完了の様子
 12日からは、砂丘イリュージョンが始まる。ここに自分も「いる」〜じょんと言う皆さん、参加しましょう。

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凍結燃料で月へ

 Frozen Fuelという題名の記事[1]。フローズンと言えばマルガリータ、でもここでは燃料、ローマ字読みではフエルだが、使えば減る。それが凍っている。将来NASAのロケットにも搭載したいという推進剤を開発していたチームが、従来はおよそ3000℃で燃えるアルミニウムを使っていたのを、室温以下で可能にするという系を開発した。氷になりかけの水にアルミニウムのナノ粒子を加える。手で混ぜてもよいし、ブルブルと震える装置で混ぜてもよい。糊の様になったものを型に入れ、凍らす。なんだかアイスクリームの様である。アルミ(Alumi)と氷(ice)でできているのでAliceと名づけられた。記事の最後には「1950年代のテレビドラマHoneymoonsを引き合いにだすことはできない」とあるが、意味がわからない。そこにもAliceが登場する。我慢強いけど、口の悪い奥様、最後に月へ直行とは・・・こんな話アリスかねえ?
09.12.9

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スペイン芸術文学賞

 を村上春樹さんが受賞された。この賞はスペイン政府が授与する賞である。その政府の見る目に国の豊かさ、文化の香りを感じる。
 月がふたつある世界に行くわよ(1Q84)以前が、審査の対象のはずである。
 そこで「海辺のカフカ」へ飛ぶ。「世界でいちばんタフな15歳の少年になると家出した少年」の舞台のひとつは図書館である。そこに「文化公共施設・・・の公平性などを調査しております」という人が来る[1]。色々と不備を指摘する。そこで図書館を世話する大島さんが言う。「・・・もちろん不備だってあります。限界だってあります。・・・・・僕らができないことを見るよりは、できていることのほうに目を向けてください。それがフェアネスというものではありませんか」・・・さらに色々あって「・・・うんざりさせられるのは、想像力を欠いた人々だ。・・・その想像力の欠如した部分を、うつろな部分を、無感覚な藁くずで塞いでいるくせに、自分ではそのことに気づかないで表を歩きまわっている人間だ。そしてその無感覚さを、空疎な言葉を並べて,他人に無理に押しつけようとする人間だ」
 何度読んでも、また開いてしまう頁である。

[1] 村上春樹著「海辺のカフカ」19章
09.12.8

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さがし物は何ですか

 小春日和な日が続いた。そんな中「冬さがし、しましょう」という宿題を小学生がもらった。「自分さがし」に比べてはるかに良問、でも難題である。岐阜には富有(ふゆう)柿はあるけど、冬は何処に。しもやけ、湯たんぽ、早い日暮れ、つらら、霜柱、はな垂れ、てかてかの袖、ゆず風呂、みかん食べて手も黄色、おじさんの頭に思い浮かぶものはその程度である。ここは小学生の感性に期待したい。
 で「自分さがしの旅」は、1996年7月の中央教育審議会の第1次答申に登場する。そこには「また、教育は、子どもたちの[自分さがしの旅]を扶ける(たすける)営みともいえる。」とある。村井君には理解できない、[佐賀市への旅]ならばわかる。あるいは「探すことをやめたらみつかるものなのか」
 答申では「異質なものへの寛容・・・は、一層重要視されなければならない」とも記され「個性」という言葉が何度も登場する。中央からは「個性」より「こうせい、ああしなさい」と支持があるように思っていたがどうも違うらしい。それともこれは「夢の中へ」の話か。
09.12.7

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昭和元年の論文

 論文の複写のために、小雨降る中、図書館に行く。Gilman先生のJ. Am. Soc. Chem.(JACS)誌である。発行年は1926年、その年は昭和元年である。本学創立は昭和24年。他にもChemische Berichteの前身の論文誌が貯蔵されている。本学の前身のひとつは、1923年創立の岐阜高等農林学校。たしかに1926年のJACSには、その学校の名前がある。大正の頃に欧米に目を向け、農林学校であったにも関わらず化学の論文誌の定期購読を決められた先見性に、身が引き締まると同時に「どうして本学は、農学という名を捨ててしまったの」と思う。
 製本された83年まえの雑誌は、整然と保管され、目的のページへも簡単に行き着いた。カルボン酸エステルの酸素原子をイオウに置換えた化合物0.1モルにGrignard反応剤を加えている。今でも再現できる実験手順も記され、化合物の構造決定の手順も伺われる。Gilman先生33歳の時のお仕事である。その三年前、先生が担当される1年生向け有機化学の講義で、伴侶となる人に出会った。
09.12.6

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人工皮膚のお話

 北里大学黒柳能光先生のフォーラムに出席。工学部出身でその後、医学部で職を得て境界領域に身をおかれる。医療現場を目の当たりにして、迅速に提供できる人工皮膚を作りたいと熱望された。その結果、ヒアルロン酸とコラーゲンを足場として真皮(皮膚の層)を培養、-152℃で凍結乾燥、人工皮膚バンクとして、緊急の時に、全国へ送るところまで達成されている。この人工皮膚は、不織布も含み、それに至ったのは工学部出身であることが生かされたと言う。「人工皮膚」というと、損傷した部分に貼付けるようなイメージを持つが、実際には、「患部ではそれが解けて、ヒアルロン酸、コラーゲンなどが、患者さんの細胞成長因子を刺激して、身体になじむ様に、皮膚が出来上がっていく」と理解した。
 研究室の紹介もしていただいた。「研究室は楽しくなければ意味がない」、先生のご伴侶も工学部の同じ研究室で出会った、また写真に映し出されたメンバーにも、結婚した学生さんもいるという。翻って当方の研究室では・・・
09.12.5

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質保証と言われても

 質保証って、品質保証の「ひん」のないものかと思っていたらどうもそうではないらしい。

 所属する学部長先生のお話があった。様々な数字を示し、現状を紹介される。現状のままでは立ち行かなくなるので、「なんとかしなくては」という思いが伝わる。その中で、「学生の質の保証」とも話されていた。いったいこの「質保証」と言う言葉はどこからきたのかと思って、中央教育審議会/質保証で検索した。「高等教育の質保証」というのが出てきた。「質保証も自主的・自立的に!」とある。ここでの質は品質ではなさそうである。でYahoo 辞書で、「質」で始まる項目を検索、結果は「しち、約束を守る保証として相手に預けておくもの・・・」まさかこれではあるまい。さらに調べる。「シツ、ものを成り立たせている中身」とあった。一方で品質保証には、「製品の品質が所定の水準にあることを保証」とある。とはいえ学生もダイナミックに生きている。「彼は元気が取り柄です。」と言っても、時には風邪をひいてしまうこともある。化学や英語の学力はなおさらである。しばらく触れていないと確実に低下して水準以下になる。その逆もある。
09.12.4

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触媒のコンボ

 西洋なしキャンディを思い出させる香りがするシクロヘキサノン、6-ナイロンや6,6-ナイロン合成原料でもある。工業的にはシクロヘキサンの酸化反応でつくられる。一方でクメン法で工面(くめん)してきたフェノールのPd触媒による水素化反応でも合成できるが、この場合150℃以上の温度が必要でかつ、シクロヘキサノールも副生する。これを選択性100%でシクロヘキサノンだけをつくる系を50℃, およそ10気圧で、中国の化学者が達成した[1]。炭素やアルミナなどに担持されたPdナノ粒子と三塩化アルミニウム「いずれも市販品」の組み合わせによる。「catalyst combo」と記事にはある。comboは、ファーストフード店のバーガーセット(burger combo)などでも使われる言葉である。「こんな組合せで難しい系が達成されたとは」ということを記事は暗示しているのだろうか。
 ちなみにシクロヘキサノールへ還元されないのは、シクロヘキサノンが三塩化アルミに配位するため、つぎの還元にはヘイキサノンらしい。

[1] Chemistry & Engineering News, November 30, 2009, p.29.
09.12.3

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アリとバクテリア

アリとバクテリア
 アメリカ大陸には、「葉切りアリ」という名のアリがいる。キノコの菌胞をえさにするが、そのキノコをアリが育てる。でもからくりがわからない。ハキリアリの仕事は、ハッキリしている。森で木の葉を切っては下へと落とす。ハリキッているかどうかは知らない。その落葉がキノコのエサになるという。でそのキノコの菌胞をハキリアリが食す。不思議に思った研究グループが、葉っぱとキノコ園の窒素含有量を調べた。結果、キノコ園のほうが多い。この違いが謎であった[1]。でついに、そこには空気中の窒素を取り入れる(窒素固定)ことができるバクテリアがいることがわかった。室温での窒素固定プロセスは今も大切な科学上の課題であるが、バクテリアは室温でやってのける。しかもここではアリとバクテリアが共生しているらしい。キリギリスにも教えてあげたい[2]。
[1] Chemicals and Engineering News, November 23, 2009, p. 31
[2]イソップ寓話「アリとキリギリス」は、もとは「アミとセミ」であったらしい。アメリカでの話は、アリに説得されたキリギリスが「よし働こう」とアリの巣を、意気揚々とでる。他にも様々な「おち」「結末」がある。
09.12.2

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今年もあとひと月です

 師走:「し忘」れたことをする月
 今年は、研究室のコンセント改修工事のため、23日から研究室は冬休み。既設のコンセントも付け替えるので、棚に半分隠れているコンセントは、その棚を移動あるいは撤去しなくてはならない。雑誌、本、書類など主に紙類を箱に入れる。それまでは鎮静していたホコリが舞い散る。「そこはか」となく以前の化合物の香りのする資料もある。眺めていると、講義の準備を、し忘れていたことに気づく。
 前回、Wacker法をわかってもらうために、というので有機金属化学の基礎の話を始めたが、騒がしかったので、途中で村井君は不機嫌になってしまった。気を取り直して話をして、クイズも提出してもらった。本日はその続きである。有機金属化合物には、バイトアングルという角度がある。アルバイト関連語であると理解しているとヤバいと言わなくてはならない。・・・
 別のことがよぎる。所属学会の会費、継続雑誌の経費の支払い、部屋のすす払いも、お払い箱になるまえに済まさなくては・・・
09.12.1

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