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2010年2月

短期留学生が

 月曜日に帰国するというので、土曜日に訪ねてきた。昨年四月、指導教員ということで受講科目などについて話す機会があった。前期は主に本学留学生センターが担当する日本語についての講義、センターの方針や先生方の熱意もあって、めざましい上達ぶりであった。後期は学生実験に、村井君の講義も受けた。毎回最前列で聞いていた。「授業で使ったシャレを書け」と言う設問は白紙でも、他はかなり正答であった。で帰国二日前にわざわざ「丁寧な学生さんだなあ」と思っていたら「推薦状を書いて欲しい」とのこと「試験が終わって、環境関連の翻訳のお手伝いで忙しく、時間がすぐに過ぎて、今日になってしまった、申し訳ない」とのことである。内心「こちらも忙しや」と思うが「忙しいという字は、心を亡ぼすと書く」ので流して、帰国前に渡すことを約束する。まあわずかな時間で目一杯この国を知りたい・実感したいという気持ちにお答えすべく、週末のプランを一部変更する。
 出来上がって連絡、無事手渡す。で質問を受けた。「シャレって何ですか。おシャレですか」まさにそれがシャレです。最後に貴重なことを学びました。

10.2.28

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112元素は日本語でも「コペルシニウム」

 原子番号が104より大きい元素である超重元素は、原子核に多くの中性子と陽子があって、陽子同士の反発も大きくて安定ではない。それでも閉殻構造をとるいくつかの元素は安定であると言われてきた[1]。たとえば原子番号114, 120は半減期が100万年以上で地球上でも発見されるだろうと予測されている。そんな安定超重元素の最初の例は、106番元素シーボーギウム(Sg)である。シー坊ならぬシーボーグ先生(アメリカ)が発見者の一人であり、その名にちなみ106番は名付けられた。ご存命中の先生の名前にちなむことは不適当だと一時はIUPACに却下されたが、アメリカの押しの強さで成就したらしい。で次の安定超重元素として予測されていたのは、112番元素である。ホフマン先生(ドイツ)のチームが、加速器の改良を重ねて1996年に最初の原子ひとつを製造、2000年には二つ目のそれを測定することができ、2004年理研でも確認された。2009年4月にその命名の依頼をされたホフマン先生が「何にしうむ」とおよそ一ヶ月の間、学生や一般からも意見を聞き、「500年を遡る時代に生き、実験をもとにした現代科学に貢献した」コペルニクスにちなみ、copernicium(Cn)を提案した。しかも彼の惑星のアイデア(引力で引きつけられた二つのうち、一つがその周りを回る)は、微視的レベルでは「電子と原子核である」ということとも相まって落ち着いたそうである。しかもIUPACは、コペルニクスの誕生日2010年2月19日にこれを正式名称としてプレスリリースした[2]。

[1] Hofmann, S. Nature Chemistry, 2010, 2, 146.
[2] http://www.iupac.org/news/archives/2010/Element_112_Press_Release.pdf
10.2.27

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前期日程試験の日

 なので、試験時間中は静かであった。「高校生ギャルが」などと騒ぐ大学院生はいないと信じたい。本学工学部でも募集定員以上の方が受験された。数年前に「競争率が低い」「全国的な工学部離れ[1]」だから、たとえば一部分割して他学部と統合しなさいと迫られたこともあったが難を逃れた。日本で1919年に設置された「工」という銘を簡単に手放してはいけない。世界に先駆けて時の政府が設置し、最近でも総受験者数のおよそ20%が志願している学部である。にも関わらず「さらば工学部」などと強い口調で言われたこともある。唱えた人の本音を聞くすべもないが「大学改革」や「教育現場に競争原理を導入」などに絡めて、工学部を切り崩すため・かき回すために仕掛けられたようにも思える。「生涯賃金が文系に比べて低い」という話もあったが、どんな調査に基づく話なのかも分からずフレーズだけが一人歩きし、この文言自体「人生の価値をお金ではかる」という侘びしいものである。同じ頃カタカナ名を冠した学部や学科がいくつも誕生した。なかには率先して「工」の看板をおろした大学もあるが「理工学部」に変更した大学を除けば数校で、カタカナ名を冠した系のその後に比べて安定している。では実際の志願者数の変化はと言えば、1980年以降波打っているらしい。入学率(入りやすさ)と、数年後の志願者比率の上昇の間に相関があるかもと書かれている[2]。もちろんこの記事には「それでもこんな対応策いかがですか」と言ったこともつけ加えられている。

[1]「工学部離れ」という錯覚:濱中淳子、産官学連携ジャーナル、2009, 5(6), 67.
[2]工学部進学を選ぶ高校生は誰か:濱中淳子、産官学連携ジャーナル、2009, 5(7), 26.
10.2.26

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ドライクリーニングとは

 水の代わりに有機溶媒を使って衣類の洗濯を行うことである。19世紀半ば、フランスの染料業者の家で働くメイドがテーブルクロスにケロセン(概ねC6~18の炭化水素で航空機燃料にも使われる)をこぼしてしまったところ、クロスがきれいになったのに気づいた。それで有機溶媒を使った洗濯のサービスを始めたのが最初らしい。当時はケロセンやガソリンを使っていたので、時には火事になったり爆発したりとか、ドえライクリーニングになったこともあったらしい。第一世界大戦以降、塩素系有機溶媒が使われ始め、洗浄力の高さからも「テトラクロロエチレン(perc)」に落ち着き今も使われている。だがこのpercの有害性も話題になっている。米国環境保護庁(EPA)は危険性の評価の草案を提出したが、それぞれのデータの測定法の確からしさなどの吟味が十分でないなどの指摘を米国学術研究会議(NRC)から受けた[1]。NRCは、EPAの草案からpercがヒト発ガン性物質であるらしいという印象はあることは、認識しているものの、被爆量と発ガンの可能性の定量性あるデータを求めているようである。これらは大気、水、廃棄物中等におけるpercの基準値の策定に使われる。「洗濯板を使え」というご宣託はまだない。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, February 15, p. 38.
10.2.25

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卒論発表会の日

 午前中はプレビュー発表、2分/一人の持ち時間である。研究の背景ばかりで、結果を垣間見せない時には「実験はあまり手つかずだったのかなあ」「フラスコや試験管を倒すことしばしばで、実験結果として採用できなかったことの連続だったのかなあ」と思いながら聞かせてもらう。午後からはポスター発表3時間、全員の研究内容を聞くことはできなかった。「環境問題」「健康問題」から切り出した内容もあった。がまあ4年生なので、それは「仮初めの枕言葉」程度だと思って流し、また結果が「役に立つかどうか」も気にしない。むしろ一年前には「使いもしなかった言葉」を連ねて、中には深みのある内容を紹介しているという「想像もしなかった自分がいること」や「この一年で身に付けた化学の方法論」を実感してほしい。それぞれで到達度も異なるが、「卒業研究」に浸っていたこと、時には邁進できたこと、そのこと自体が意義深い。加えて発表会でやりとりした事柄で、新しい提案もできれば、なおさらすばらしい。
 論文の仕上げまで、抜からずにやりきりましょうね。
10.2.24

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地球温暖化説の

 捏造疑惑について紹介されている[1]。昨年11月17日イギリスの気候研究所のサーバーから交信メール1073件と文書3700ほどが流出したことが発覚の始まりらしい。実際には気温上昇はないが、データを改ざんし温暖化の未来予測を立てている疑惑である。「地球温暖化」というワードは、世界的に最もホットな政治的案件であるために、その後研究者、研究所、様々な国の国会議員、環境保護団体さらには科学誌も登場する。「温暖化説」懐疑派排斥運動や「東大の名を借り国費を投じた言論封殺行為」とする著者の強い弁もある。また地球温暖化がCO2の増加によるとしてきたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の存在そのものも危うい状況である。記事の最後には、アメリカ、ゴア元副大統領が「炭素取引への投資などで巨富を築いた」ことも書かれている。
 なおこの事件を、ある新聞記者は「クライメートゲート」と呼んだ。1972年6月起きたウォーターゲート事件[2]にちなんでいるが、こちらの事件では2年後、アメリカ現職大統領が辞任した。今回の舞台は米国内だけではない、世界を巻き込んだ騒ぎである。我が国でも「地球温暖化」「低炭素社会」がキーワードであるプロジェクトに多くの税金が投じられている。

[1] 月刊化学3月号、p. 34 (http://www.kagakudojin.co.jp/kagaku/201003.html?201003&3)
[2] アメリカ民主党全国大会オフィスへ不法侵入・盗聴器設置事件で、ニクソン大統領がこれに関わっていたことが明らかになった。映画「大統領の陰謀」ではダスティン・ホフマンとロバート・レッドフォード扮するジャーナリストが事件の核心に迫る。
10.2.23

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携帯の機種変更

 をした。今まで使っていたものは第二世代いわゆる2G(ツージー)これが通じなくなる。キャンペーン窓口から電話があって、色々説明を受ける。「そちらの都合なのでここまで来て変更してほしい」とおじさんは厚かましく迫る。担当の方は何度も「すみません」と言う。この「すみません」はお詫びではなくって「おだまりなさい。あなたとの会話はこれで終わりますよ」という意味である。
 である日携帯ショップに出向く。機種は無料だが、解約を2年に一度の決められた時以外に行うと手数料がいるらしい。命を全うした時には支払いが生じるシステムに組込まれているのか。またいつも様々なプランの説明があるので、ここでは「すみません、いまと同じプランで」と言う。それでも少々価格が変わる。携帯メールのための基本契約が二倍を超える。明細書が有料で105円、これで月々「立ち食いそば一杯」程は節約しなくてはならない。加えてユニバーサルサービス料8円も含まれるとのこと、このサービス、全国どこでも同じ基本料金で緊急通話などを使うことができるためのもので、携帯電話一台ずつ課金されるとのことである。ユニバーサルサービス支援業務のWebサイトには、平成21年度181億円の負担金とあるが使途の中身まではたどり着けなかった。使途、知っとったら教えて
10.2.22

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卒業生が

 訪ねてきた。証明書が必要であるとのこと。今は特許関係の事務所で働いている。この業界も不況で前年度と比べると依頼が減っているらしい。専門の事務所を通さず、特許出願書類作成を自社で行うところも多いのではないかとのことである。それでも自分自身も資格を取得するために試験を受けたい、その資格を持っていないと、特許庁の方やクライアント[1]の信頼を得ることが難しく、時には話にならないらしい。でどんな試験か聞くと、○○法・・・法など聞いたことがない法律の名前が列挙される。学生時代に学んだ事柄との隔たりは大きい、通信教育を受けてチャレンジするとのことである。
 同学年の友人の近況も聞く。子供を授かった人、いまお腹で育てている人、技術系で入社したけど東海地区で営業活動、そのついでに旧友の家も訪ね歩いているらしいなど聞いた。4年前の修士論文発表会で誰もこの状況は予想もしていなかった。だから面白い。

[1]映画「依頼人」では、自殺現場を目撃し、事件にまきこまれる少年が、スーザン・サランドロン扮する弁護士に、1ドルで弁護を依頼する。英語題名は「The Client」内容も「暗いやんと」思うかもしれないが、ご安心を
10.2.21

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修士論文発表会

 26名の発表を聞いた。発表を終えた学生が「まったりしている」というので「全員が終わるまでまったりするのは待ったりや」とアドバイス。発表者は八つの研究室に所属、理論から分析、錯体、物性、合成化学までと、こちらの範囲外の内容も多い。それでも三年間過ごした学生は専門の言葉を自在に操る。サイズ排除クロマトについて発表の学生、数週間前に「八枚切りと四枚切りの食パンの話」について後輩に講釈していた「初めて四枚切りを持った感触、わかるか」と、学位論文テーマもサイズの話だったのかと関連性を感じる。「ハニカム構造の錯体は合成できず、直線型になる。彼はハニカミ皇子か」「異核(いかく)錯体の発表者、体格(たいかく)はスリム」などと思いながら聞く。「聴衆の中には、こんなことを考えて聞いている人がいるかも」と想定して発表できれば優れものである。一見、気難しそうに見えても実は遊び心一杯の人もいればその逆もありである。時には質疑応答に苦労もしながら、なんとか全員完了した。発表会は、相転移する様なものである。計量化できない豊かさが身体にしみ込んだに違いない。
10.2.20

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Aggarwal先生が

 ニュースにあらわる[1]。光学活性なイオウイリドとアルデヒドとの反応から光学活性オキシランを合成する反応で、新しい型のスルフィドを使うことで高い実用性と選択性を実現している。すなわちAggarwal先生は、1959年に発表された反応:光学活性スルフィド(イソチオシネオール)を、リモネンと粉末イオウとからγ-テルピネン存在下110 ℃で反応させて調製すること、に注目されて今回の成果を達成された。しかもこの反応の原材料費は1gあたり1ドル以下である。
 先生は現在ブリストル大学に在籍されているが、オックスブリッジ[2]にならび称されるこの大学は、イングランド西部にあって、新設の化学棟の先生の部屋もさわやかな雰囲気であった。学生実験用ドラフトも50台ほどならび、夏休みなどには、小中学生のために化学実験の講座を開設、この指導は主にテクニシャンが行っているとのことであった。2008年5月に訪ねた際、同学科Gallagher先生と街を散策、紙くずの多さに驚き、その事を伝えたら「東京と比較するからや。パリと比べればややきれい、ローマと比べれば、めっちゃきれい」というコメントであった。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, February 8, p. 49
[2] オックスフォード大学、ケンブッリッジ大学を併せた呼び名
10.2.19

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ボーナス問題からダマセノン

 「授業で使ったしゃれを書け」というボーナス問題を出した。最も多かった答えは、テスト当日の『「テスト問題が手元にないという」問題のあるひとは?』であったが、中には言った覚えのない答えがある。「ダマセンの構造は、だません」?でしばし考えて、講義では取り上げなかったβ-ダマセノンのことではないかと、改めてこの化合物を調べた。バラの香り成分の一つである。ただこの化合物、バラでの含有割合は0.14%で、シトロネロールの38%に比較して小さい[1]。一方、人が臭いを感知できる最小量を加味した相対的臭気単位が計算されている。それによればβ-ダマセノンは70%で圧倒的に多い。ついでβ-イヨノン(19.2%)、シトロネロール(4.3%)と続く。つまりバラ成分としては低濃度だけれども香料としては鍵であって、嗅ぎ分けられる。このβ-ダマセノンはカロテノイドと呼ばれる天然色素が分解して生成するらしいが、この機構は1973年[2]に目(さかん)先生、磯江先生、勝村先生(大阪市立大学)らによって提案されている。

[1] http://www.leffingwell.com/rose.htm
[2] Isoe, S.; Katsumura, S.; Sakan, T. Helv. Chim. Acta, 1973, 56, 1514.
10.2.18

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シラバスって

 知ってる?「停留所は?料金は?」「それは市バスや、シラバスは乗り物やなくて、食べ物、ブラックバスの白い版」とシラバっくれる。

 学生にとって、シラバスは読み物である。そこから講義の内容を把握して、時には受講するかどうか選択する。ところが実際にはあまり読まない。紙媒体からネット版になってなおさらである。一方で大学教員は掲載しなくてはいけない。それでもシラバスについての鷲田先生(現大阪大学総長)と内田樹先生(現神戸女学院大学入試部長)のお話[1]を引用する。
鷲田「・・・(毎回の講義で、)何をするか事前に提出するじゃないですか。でも(講義が)予定通りに進むのは、学生の影響を一切受けなかった、ということでしょう。それって学生に失礼だと思うんです。・・・」
内田「・・・シラバスって何の意味もないですよ。あれは学校の授業を「教育サーヴィス」として商品化する仕掛けですもの。・・・」

 本学では、教員に『「授業のねらい」を学生にも理解できるよう具体的な表現で、学生の学習達成目標の記述を』とリクエストされている。「16回の講義を終えた君は、有機化学の達人になること間違いなし」では許してもらえまい。締切が迫る。頭のなかは、シラバスのことでシュラバ(修羅場)スッ。

[1] 鷲田清一、内田樹「大人のいない国」プレジデント社、p. 22。
10.2.17

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裸足で先生が

 街中を走る。マシーンの上も走る[1]。トレーニングでもない。今では外出するときには靴を履く。が日本でも靴を履くことが通常になったのは早くとも明治以降ではないだろうか。また今時のソフトシューズが世に出たのは1970年代半ばである。かつては裸足で歩き、サバンナでも裸足で獲物を追いかけた。それで足に起こった変化が調査・解析された[2]。靴を履いて走る場合、足を上げておろすのは、まずかかとをつけて、その次につま先が地面に到達する。一方アフリカを訪ね、今も裸足で生活するケニヤの方にお願いして走ってもらった。まず足の親指の根元付近が地面につき、その後に足全体で着地し始める。この動きは身体が受ける衝撃を和らげる。人類はそのような足を持っていたらしい。ケニヤの方の足が、Nature の表紙も飾っている。それから先生自身もある日、裸足で走られて「靴をはかなくてもいい、それでもはかない(果無い)ことはない、要るのは足」と感じられた。靴屋さんには、苦痛な話かもしれない。あしからず。

[1] http://www.youtube.com/NatureVideoChannel#p/a/u/2/7jrnj-7YKZE
[2] Nature, 2010, 463, 531.
10.2.16

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トウモロコシなどを発酵させると

 バーボン・ウイスキー。このアルコールが行政の一言で「役立たず」「役立ちそう」の間で転がっている。かつて米国環境保護庁(EPA)は、トウモロコシから作るエタノール、いわゆるバイオエタノールは、二酸化炭素排出量が、ガソリンを使用する場合と同等なので、再生可能燃料としては、認めることが出来ないとしていた。今回、EPAの長官が、このバイオエタノールを再生可能エネルギーであるとみなすと表明した[1]。ただしそれらは最新のCO2排出量の少ない設備で製造されることという条件付きである。この表明は、バイオエタノール製造業者を刺激し、2022年到達目標である、再生可能な自動車燃料の販売を360億ガロン(1363億リットル)まで押し上げる可能性がある。この達成にはまず、石炭よりむしろ天然ガスをエネルギー源とすること、トウモロコシ製造業者で、石炭をもとにしたエネルギーを使用している場合には、税金を控除し、再生可能エネルギー製造業者と見なすこと、オバマ政府は、5~10の商業用の二酸化炭素を補足する、あるいは吸収できることを実証するプロジェクトを立ち上げる計画を、90日以内にたてるために、省庁をまたぐ政府委員会を立ち上げた。とのことである。
 この政策のために、バーボンが消えると、北北西に進路も取れない[2]。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, Feb. 8, p. 40.
[2]ヒッチコック監督「北北西に進路を取れ」:主人公は、別人と間違えられ、大量のバーボンを飲まされた挙げ句、先の見えない出来事に巻き込まれていく。後半はマウントラシュモアにたどり着く。
10.2.15

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与謝野馨さんは

 数ある政治家の中で、政策を軸に物事を論じ、提案をし、新しいことを実現する難しさなどを実感されている方の一人であると思っている。その方が予算委員会の集中審議ということで「平成の脱税王」という表現をされた。さらに「やくざの世界」を例えに出された。この発言の前に、具体的資料を出されてその表現に至る出来事を紹介されたのではないかと思いたい。それでもこのレッテルの張り方には、相当な違和感があった。感じてしまったことは、与謝野さんには申し訳ない。
 一般に「本当にあったことを明らかにせよ」と勢いよく迫ることがある。気色ばった物言いで「物事の正しさ」を言う。が総じて「こと」は明らかにならないし、それを見ている側もその勢いに「そうだ・そうだ」とはならない。たとえそれが「確かにそうだよね」という場面であっても、それを通り越して、それは「やりすぎでしょう」に落ち着くことも多い。また声高な「正しさの主張」に、うんざりするときもある。
 与謝野さん、予算の算 段もしてね、今は野党とはいえ。
10.2.15

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成人力に「力士学」

 ○○力という言葉が安直に使われる。しばらく前「学士力」を見て、縦書き読み(右から読む)して「力士学?」これはお相撲さん界を探求する[1]学問かと思った。
 今度は成人力、OECD(経済開発機構)が実施する「国際成人力調査」(PIAAC)[2]である。本年4月に予備調査が始まる。「成人の必要不可欠で普遍的な能力」の測定を目的とした世界初の国際比較調査であるらしいが、「普遍的な能力」とは何かわからない。体力や我慢強さ、ましてや品格などは判定されない。「読解力」「数学力」「ITを活用した問題解決能力」が問われるが、たとえば三つ目の課題は「ネットを通して通販の商品を買う、友達と演劇鑑賞のためのチケットを予約する」とかである。この結果は「生涯学習や学校教育に関する施策の立案に活用されることが期待される」とある。この調査の対策のために「成人力映画」が作成されるかもしれない、決して力を抜いてはいけない、意味も変わる。

[1] たとえば朝青龍と内館さんの関係を考えることか。でそれについて:内館さんが審議会から身を引いてすぐに、朝青龍が引退したことを考えれば、内館さんは朝青龍を守っていたに違いない。「審議会の内館さんが苦言を呈しているくらいだから」ということで、世間は「まあしかたがないか」という奇妙な納得の仕方であったのではないかと勝手に思っている。内館さん自身、そのことも折り込みずみで、相撲界を盛り上げようとされたのではないかと思う。本人に「そうでしたか」などと聞いても、それは野暮な質問である。
[2] http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/1287165.htm
10.2.14

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研究室紹介のお世話

 をさせていただいた。対象は4月に四年生になる学生諸氏である。まず「それぞれの研究室が、工夫をこらした発表」であるので、「静かに目をこらして聞く。発表者をおこら(怒)してはいけない」(その時は懲らしめる、とは言わなかった)「面白い時は大いに笑って、でもブーイングは控えること、よければ拍手を」ということで始める。持ち時間は交代を含めて8分。研究内容を真摯に説明、それを噛み砕いて話す、研究の方向と生活・自然との関わりや研究室での生活例を紹介するなど様々であった。紹介していただいた研究室はいずれもすばらしい。概ね静かな雰囲気で無事終了。その後「話や見学しただけでは、どの研究室も扉の向こうには何があるかわからない、ただどこの扉の向こうでも先輩たちが生き生きと学んでいる」「研究室で生活することは、高い次元の場に身を投じることである」みたいな話をする。
 で村井君の所と言えば「縁・運も大切、幸運に恵まれなくとも、悪運が強ければよし」「おじさんは部屋に隔離されていて、ダジャレ考えたり、ブログ書いている、幸い未だ炎上せずで、エンジョ〜イしている」などのお話をする。
10.2.13

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四級−三級−四級炭素

 炭素上に炭素置換基三つに水素一つの場合は三級炭素、炭素置換基四つでは四級炭素と呼ばれている。そこで四級−三級−四級炭素が連続する化合物の合成法が開発された[1]。2-メチルシクロヘキサノンの2位にカルボキシルアリル基が結合した化合物(A)と1,1-ジシアノ-2-フェニルエテン(B)との反応である。いわゆるカスケード反応で、Pdが手を貸す(カス)ケド、あくまで触媒としてである。反応基質のひとつであるケトンから二酸化炭素(CO2)の脱離に伴ってπ-アリルパラジウムがする。Pdエノラートがエテンに攻撃し、ついでシアノ基の結合した炭素上にアリル基が着地して、四−三−四級ができる。間も四級であればさらに難易度は高いだろう。三級に感謝−サンキュー、で二酸化炭素を排出する反応であるが、地球温暖化には触れていない。化合物(A)のCO2を介して繋がっていた部分が、今度は化合物(B)を介して繋がる反応なので、記事では「切り貼り作戦(maneuver)」と呼んでいる。切り貼りで「はりきり」すぎると、ひっくり返る。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, Feb. 1, p.31.
10.2.12

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修士論文発表会が近い

 視線を一身に浴びる時である。まずは「聞き手は誰か、なにを期待しているか」を想定する。たとえば「ピアノの発表会で、化学の話をする人はいない。」が発表の準備をしていると自分自身の内容に入れ込みすぎて、この類のホールに落ちてしまうことがある。いきなりフルスロットで走られても、いつまでも低速走行でも、乗り心地が悪い。ここは同じ化学業界の方々が聞き手であっても幅は広い。まずは大学4年生も理解できる背景を述べる。つぎに専門分野の中で課題としたこと、実際の結果からまとめへと話は流れるが、位置づけばかりで、実験内容の紹介が希薄になってしまい「実際には実験はあまりせずに、口先だけか?」と思われるもの悔しい。聞いた側を「詳しくはよくわからないけど、課題をしっかり見据えて、深く掘り下げたような気がする」と酔わせたい。原稿の棒読みから、時に「間」を入れる、語りかけるようにも話してみる。パソコンの表示(色合い、アニメーション)も工夫できる。質疑応答の対策も鍵である。
 登壇の際に、ドライアイスを使ったり、バケツ一杯の紙吹雪を舞わせる、ブーケを胸にした発表者はまだいないが、これらはリスキーである。
10.2.11

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ベンゼンが持つ

 六つの炭素原子すべてをケイ素原子で置換えた化合物、ヘキサシラベンゼンは理論化学の域を出ない化合物であり、未だにその合成は達成されていない。一方でベンゼン同様、このヘキサシラベンゼンにも様々な異性体がある。そのうちの一つを、David Scheschkewitz(ロンドンインペリアルカレッジ)らのグループが合成し、構造などその特性を明らかにした。シクロヘキサンの椅子型配座を書く。それぞれの元素がケイ素で、あるケイ素原子を起点として、それぞれのケイ素原子に置換基を2,1,0,2,10ずつ加えた構造である。置換基のないケイ素原子二つをラジカルとするか、置換基のないどちらかをカルベンとして、置換基一つのケイ素原子もオクテットを満たすようにして、共鳴寄与式が書かれる。この型の共鳴による芳香族性は、ベンゼンで1,2-シフトが二カ所起こることで導かれ、ケイ素の形式酸化数が2,10,2,10となっている。このような現象をdismutational aromaticityと呼びたいとある。
スペインでは、Davidもカヌーを楽しんでいたが、オールを互い違いにこぎながらこの用語を考えたのかもしれない。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, Feb. 1, p.30.
10.2.10

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夏に黄色の

 花を咲かせるセイヨウオトギリ草、その葉っぱにはヒペリシンというアントラキノン系天然色素がある。昨日(キノン)・今日ではなく昔からあるはずである。これを摂取すると皮膚が光に敏感になってしまう。一方この草から抽出物されるハイバフォリンは抗うつ作用を示すと考えられている。ビシクロ[3.3.1]ノナ-3-エン-2,9-ジオン骨格にプレニル基が四つ、さらに置換基が組込まれた化合物である。柴崎先生(東京大学)らは、この化合物の鏡像異性体を初めて合成された[1]。鉄触媒を用いたディールスアルダー反応に続き、立体選択的クライゼン転位で四級炭素を構築、アルドール縮合反応で二環性化合物として、ビニルプンメラー転位によって含酸素部位を組み立てた。協奏反応が続く。「今日そうしよう」と始めたわけではなく、それまでの蓄積がなせる技である。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, January 25, p. 28.
10.2.9

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廊下で二年生と会う

 研究室と教員居室の階である。なので普段二年生は来ない。しかも日曜日、その学生たちと廊下で会う。「先生、帽子かわいいです。」「帽子だけ、ほめられてもなあ」「ふふふ、いや本当ですよ」と念を押される。「いつもは、むぼう(無謀、無帽)やけどな」「きゃっきゃっ」、無言よりはいいかと思いながら、「で、どこに行くの」と聞く。「○○先生の所に質問に」「○○先生のファンなの」「はあ」「僕には不安(フアン)なんやろう」「きゃっきゃっ」と立ち去る。
20分ほどして、「・・・に代入すれば」みたいな声が聞こえる。村井君の居室前を素通り、で担当科目の試験問題を作成していないことを思い出した。講義の感想を書いてもらった。なかには「・・・テストまでに勉強をがんばりたい」「反応を予測・予見ができないので危機感が・・・」というのもあった。まずはご安心を、「自分には知らないことがある」ことに気がつくことは、「学び」を起動させる貴重な段階である。また「後半戦でギャグがたくさん出ましたよね」というのもあったが、むしろ「ギャグ混じりの話を聞く感度」が向上してきたと実感してほしい。『「授業で使ったしゃれを書け」というボーナス問題を』というリクエストもあった。
10.2.8

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工学部OBとの懇談会

 に出席、「今日のこの会の目的は何ですか」「卒論・修論で、できていない学生は、ビシバシ落として鍛える」など、OBさんの言葉におび(OB)えながら聞き入る。
 大学は「面白そうなことがある」ところ
 問題を設定・発見する力をつけて、それらをどう解決するか、どうアプローチするかということを教えて欲しい。
 最後の答えは自分でみつけなくてはいけない、考え抜く力をどう鍛えていくのか。
 大学教育が「テクニック」としての目線だけになっているのではないか。社会で、足元からゴールまで、人材を育成していく時に、手取り足取りつきあわなくてはいけない若者が増えているように思うので、その力をつけていただきたいなど、
「学びの場の一つである大学」が本来行うべきことへの期待に、勇気づけられるとともに、改めて身を引き締めたくなった。かたや英語や資格等は、その力を高めておくこと、取得しておく事は、個人としてはいいことかもしれないけれども、社会に出ても必要に迫られれば、必至にやるものであるとのご指摘が大方であったと思う。
 今回の企画をしていただいた執行部の方々、参加していただいたOBの方々に感謝します。
10.2.7

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ないそデフレん

 略して「デフレ」か、需要が30~40兆円程度減少しているらしい。国内医薬品の市場規模が6~8兆円ということからも、この数字の大きさはわかる。その要因の一つとして教育や福祉など将来への不安、また明るい未来があれば購買意欲もあがって消費が拡大とも言われる。でも研究室の学生さんたちの休憩時の話を時々聞かせてもらう身としては、それだけではなかろうと思う。かつて彼らの話題のひとつは「自動車」であった。車種や新機能についても多かったが、今はとんとない。最近のi-Podやi-Padにしても「それを知らないと話題についていけない」というような切迫感はそれほど感じない。
「消費を拡大し、欲しいものが手元にあれば便利ですよ、豊かですよ」という幻想に飽きてきたのではないかと勝手に思っている。未曾有の経済危機と言われる中で「以前あったような勢いに回復・拡大したい」と言う言説は多い。たまには違ったアプローチを考えてみませんか。

 まずは「デフレが、おおデフル(大手振る)時代」みたいなおフレ(触れ)どうですか、オフレコで
10.2.6

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分子が迷路を

 間違えずに移動するビデオを見ることができる[1]。迷路に赤色の柔らかい液滴が入る。始めはもじもじしているが、一旦入ると勢いよくゴールに向かう。ゴール間近で速度が落ちるが、ついにたどり着く。その間およそ60秒である。心理学者がネズミと行う実験の様である。この液滴は塩化メチレンあるいは鉱油に2-ヘキシルデカン酸を含み、迷路はpH勾配がある。入口付近のpHは高く、出口付近では低くなっている。迷路のしかけはメイロう(明朗)である。酸塩基化学と表面張力がポイントで、液滴の酸と迷路の溝の塩基の間の界面での反応によって、対流の回転や渦が生じ、液滴がゴールに向けて移動するらしい。素敵な液滴である。この成果がChemWeb.comにも紹介されていた。英語では、迷路:mazeなので、これをAmeze-ing [3] chemistryとしていた。まさに驚くべきである。

[1] http://pubs.acs.org/cen/news/88/i03/8803notw9.html
[2] http://www.chemweb.com/alchemist-current/index_html#4
[3] amazing(驚くべき、みごとな)とかけている
10.2.5

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ヒドロゲルにたまゲル

 ゲルと言えば、ゼリーのような固体状で粘り気がある。見かけは同様であるが、多彩な才能を持つヒドロゲルが相田先生(東京大学)らによって作られた[1]。これは、成形可能、透明、環境調和型で、カットしても自己修復できる。粘土と、ポリアクリル酸ナトリウムとデンドリマー型高分子を室温、水中で混ぜると調製できる。プラスチックの代替品として、また強靭で透明なものとして利用することを視野に入れている。このゲルはこれらの特徴と自己修復、成形できる特性を併せ持った最初のものである。自己修復機能は、デンドリマーの末端にグアニジウム基が触手として、粘土と非共有結合相互作用できることに由来する。そのため切断されてもその切断面がただちに他の部分と繋がる。ただ空気に1分以上さらされると粘着力を失う。またゲル上にタンパク質を浮遊させてもその生理活性は保持されるため、異なる酵素を組込んだ複数の反応を引き起こすヒドロゲルとして、ヒロゲル(広げる)こともできる。この凄さに、ド(度)を失って[2]しまった。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, January 25, p. 28.
[2] ひどくあわてて心の平静を失うこと
10.2.4

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本年度の最後の講義

 が終わった。化粧品について話した。今時は、炭素同素体C60フラーレン入りもあるが「彼女彼氏にふら〜れへん」ためのものかどうかは知らない。
また商品の成分表示を見る習慣をつけること、「色材」「洗剤」「化粧品」「医薬品」などの個別の知識を増やすことは大切だが、これらを「どうひも解くか」という有機化学のアプローチの方法を身につけることが最も重要であること、他の講義も同様で「アプローチの方法」を身にしみ込ませ、つぎにそれを能動的・積極的にしかも無意識に活用できるよう修行できる場としても、大学や大学院があることも話す。
最後に内容強化のため「教科書(テキスト)」を今日からでも読むこと、しかもテキストだけに、気(キ)抜いたらテストになってしまうこと、そこで気(キ)がついても手遅れであることも伝えた。
 受講生全員、来週の試験に合格できるよう臨んでくださいね。来年度も同じダジャレを聞いていただくのはつらいので
10.2.3

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化粧品について

 知りたいと言うアンケート結果が多かったので、講義で取り上げる。どうせなら「高級化粧品を」と、いつもお世話になっている接客業の方から成分一覧をいただいた。クレンジング、化粧水、保湿クリーム、中には要冷蔵品もあるが、一覧だけなので常温保存である。それぞれ30, 50, 40種類以上の成分である。化粧品業界の用語もあるので、化学式への翻訳がままならない。幸い「大きなツバサ〜美肌生活のススメ〜」(http://www.ba-m-bi.com/)を見つけた。このページの成分辞典には、成分の効果に加えて化学構造式もある。とは言え30種類以上である。まずはアルコール、エステル、リン酸、糖類などに分類し、それぞれ何から作られているかを調べた。天然成分といっても、実際には化学合成品であることも多い。加えてそれぞれの成分が、単一の分子と対応するものもあれば、成分自体がさらに混合物の場合もある。たとえば植物抽出エキスが10種類以上あった。この成分がまたわからない。エキスのことはエキスパートに聞くとして、こちらはラストスパートして講義に間に合わせなくては、
10.2.2

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「主族元素」

 という言葉にあまりなじみがないが、main group elementの日本語訳である。一方業界では、これを典型元素と言うが、英語ではtypical element(representative element)になる。別の辞書では、三つの英語に二つの日本語を示しているものもある。化学辞典では、主族元素=典型元素である。周期表では1,2,13~18族が主族元素で、3~12族は遷移元素であった。がこのうち「12族元素(Zn, Cd, Hg)も典型元素でもいいのでは」という話である。すでに日本語版ウィキペディアではそう分類されている。一方で英語版Wikipediaではそこまで踏み込まず、論文が引用されている[1]。そこにはZn, Cdの原子半径、イオン半径、電気陰性度、それらの二元化合物の構造、酸素、窒素配位子と錯イオンを形成しうる性状などを比較してBe, Mgとの類似性を議論し、1905年にWernerが提案した周期表ではBe, Mgは今のZnの上に位置していることも書かれている。
 俗(族)っぽい話で、ぞくぞくさせてしまった。話に夢中になっても、賊にはご注意を

[1] Jensen, W. B. J. Chem. Ed. 2003, 80, 952.
10.2.1

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