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2010年3月

大西洋をクルージングして

 塩素化窒素化合物の探索を行う。言わば「塩素を捜す遠足」である。大気中のその化合物を測定する質量分析装置のバックグランドを確かめるために、内陸部でスイッチを入れた。その結果、塩化ニトリル(ClNO2)が相当量検出された[1]。これが端緒となって国際大気監視機関とタイアップして、さらに詳細な観測が行われた。これまで、五酸化二窒素に塩化物イオンが「ご参加」する反応を経由して塩化ニトリルが生成する系は、沿岸地域でのみ進行すると考えられてきた。塩化物イオンは主に海水由来であるために。なので内陸部での「塩素化の検討はよそうか」となっていたが、今回の観測で、内陸部でも沿岸地域の1/2~1/3の塩化ニトリルが存在することが明らかにできた。
 後に考えれば、廃棄物やバイオマスなどの燃焼物、半導体や石油化学工業から排出される塩化水素を考慮すれば、内陸部でも起こることであるとも記されている。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, March 15, p. 10.
10.3.31

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分子技術イニシャティブ

のシンポジウム[1]で座長をされた先生と建物を出てお会いした。「おヒサシぶり」です。今回もアメリカからの参加である。米国でも同様の提言があるのかとお聞きした。当然あるけれども、日本と違って端が主役である。ここで言う端とは、バイオやエレクトロニクスなどの融合部分である。その分コアな部分(いわば基礎学問の部分)が手薄である。今、日米の学生の「有機合成化学」のレベルを比べれば、日本のほうが「よい」ではないか、一方アメリカの学生は、他の分野の人と共同でプロジェクトを立ち上げることを自分から捜して実行する、いわば「お金儲け」はできるかもしれない、とのお話である。この分子技術、英語では「Molecular Engineering」か「Molecular Technology」のうちの後者に落ち着いた。Technologyのほうが広い意味を持ち、-logyとは基礎、純粋科学という意味を持つ。なのでMIT[2]やTIT[3]には、自然科学だけではなくて、文系(人文、社会科学)の先生方もたくさんおられるでしょう。と教えていただいた。

[1] 3月27日に開催された。「分子レベルからの新機能創出〜異分野融合による持続社会への貢献〜」とある。http://crds.jst.go.jp/about/chirashi.pdf
[2] Massachusetts Institute of Technology、通常「エムアイティ」と発音する。「みっと」ではみっともないのかも
[3]東京工業大学
10.3.30

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舍蜜開宗(せいみかいそう)

 を著すための資料として用いた書などが「認定化学遺産 第001号」となった[1]。表題の書は、宇田川榕菴1827年の著作である。主なオリジナルな書はラボアジェ[2]著「化学原論」でそれがオランダ語に訳されて榕菴の手に。榕菴は、西洋内科を学ぶ。それ以前は、杉田玄白「解体新書」にみられるように外科が主であったが、中が見えない臓器、いわゆる内科の時代に移った。それを学ぶうちに、薬物から「物質を正面から理解しようとする学問が西洋にあること」に日本人として初めて気がついた。これを機に「舍蜜開宗」に至る。ラボアジェの書に「酸っぱい素」と記されたものが「酸素」となり、オランダ語でも同様であった。それに榕菴が日本の漢字を当てはめる。が実は酸っぱい素は「O」ではなく「H」であるべきであったと、この話の語り部である芝哲夫先生はおっしゃる。NaClはsodium chlorideで、日本語は「塩化ナトリウム」である。陽イオンと陰イオンの順が逆であるが、当時のオランダ語は、陰、陽イオンの順であって、榕菴はここでもそれを忠実に日本語に訳している。彼は漢文が得意で「レ点」を中に入れようとした訳ではない、とのことである。80歳を超える芝先生の語りに酔ってしまった。
 ちなみにこの遺産は「武田科学振興財団杏雨書屋」(大阪、十三)に蔵されている。

[1] 第四回化学遺産市民公開講座より
[2] 「質量保存の法則」の発見者ではあるが、「徴税請負人」でもあったため、フランス革命の中で、ギロチンで処刑された。
10.3.29

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座長をつとめさせていただいた

 受賞講演と特別講演会である。会場はG-3(じ〜さん)であるが、発表者は気鋭の若い研究者である。講演者のご紹介で履歴を短縮するために「色々あって」としたところ、会場が笑いに包まれた。こちらは意図していなかった。「いいことが色々ありまして」と改めて伝える。講演はそれぞれ30分。これまでの有機化学を超える化学を樹立すべく、第三周期以降の元素を組込み合成、特徴を明らかにし、加えてそれを一般化しようと挑んできたことがにじみ出る迫力のある講演であった。最後には講演証の授与式も執り行った。
 午後は一般講演の座長G-2(じ〜に)会場、G-3の隣なので「じきに」移動できる。聴衆の方々は大人しく、座長質問をひねり出す。「置換反応が立体保持で進行する」これは摩訶不思議な、次は可能性のある機構の紹介だと思ったところで、講演が総括に入った。謎が明かされないままのミステリー小説の様相を呈する。それで「次回の発表も聞いてみよう」と思わせる作戦かもしれない。それには「まんまと引っかかった」ほうが面白い。
 終わった後、キャンパスを歩いていると、発表した学生さんのひとりから「先生、座長ありがとうございました」と言葉をもらった。こちらは「さしたること」はなにもしていない、恐縮である。
10.3.28

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基調講演の会場に

 急ぐ。会場はほとんど満席であった。最近開発された有機ELテレビが紹介される。大型テレビに加えて最近は、携帯電話や車載用有機Elも開発されたこと、後者は「レクサス」に搭載されているとのこと、このディスプレイ分野への有機ELの応用展開は、成熟度が高い一方で、照明器具への普及にはまだ時間がかかる。今の蛍光灯の器具をそのまま転用するわけにはいかないためで、まずはデザイン性が重視される美術館・博物館などで普及されればいいなあと話されていた。「銀座のラウンジ・男女が集うホテル」と言わないところに講演者の配慮が伺われる。一方で材料開発の点では、高い量子収率で超寿命とすべての必要条件を満たしたものがまだ期待されている、蛍光からリン光へという流れである。などなど教えていただいた。
 ついで受賞講演の会場へ移動、キラルな形あるプロトンを開発するまでの経緯、最初の第一歩のビナフチルリン酸に至ったときの喜び、これからの展望も教えていただいた。講演の先生は学習院大学に所属されているが、「愛子様のことで・・・」と質問する参加者はいなかった。
10.3.27

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化学会年会の

 始まり。例年「化学と工業3月号」にすべてのプログラムが掲載されていたが、今回プログラムが別冊化された。またこれまで通りの予稿集もあるが今回は四分冊になり、一冊あたりの価格は少々お安くなり、ページ数も減った。電話帳のような冊子を持たなくてもよいし、どちらもどこかで「パラパラみる」こともできる。情報を見るのが、電子ファイルやネットが主流になりつつあるが、この「パラパラみる」力は情報集めの基本である。電気エネルギーが不要であるのもありがたい。「電車やバスの吊り広告、新聞の見出しなど」目に入る。がどれを頭に入れるか、それに対する感度の高さや情報の取捨選択の手法も鍛えるとよい。論文冊子体や予稿集を「パラパラみる」ときも同様で、期待していないページに隠された、自分にとって貴重な情報をキャッチすること、化学言語である構造式なども瞬時に判別することは、様々な新しい展開のネタや肥やしとなる。友達にも「こ〜やし」とそれらのネタで話もできる。
10.3.26

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卒業式当日

 である。式には出席したことがない。式の後、研究室にもどってくると「仮装をしていた出席者のこと、どこの学部の座席が華やかだったか、ちょっとしたハプニングがあったことなど」いわば視覚情報は豊かに話してくれる。一方で「なにしゃべってた学長?」と聞くが、たいてい「しどろもどろ」で、こちらはガックチョとなる。来賓のご挨拶、送辞に答辞も聞くはずである。今年こそは、聴覚情報もポイントを抑えて、教えて欲しい。
式の日、時には一升瓶を持ってお世話になった先生方に挨拶に回っていた学生、ノンアルコールで他の研究室の先生にご挨拶に出向く、記念写真を写す学生もいた。今年もささやかに卒業証書や修了証書をお渡しする予定である。なぜか前者は学長名、工学部長名の証書で、後者は大学名である。大学を離れる人たちはこの日を起点に、違ったフェーズの場に入る。そこで今考えている事、思う事、心境、どんなことでもよいので、どこかに書き留めておくとよい。数年後「あの頃は未熟だったなあ」と感じることができる。
10.3.25

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化学会年会が近い

 昭和23年最初の年会(学会)が開催されて62年がたつ。時代とともに、発表用の機材も変わった。当時は数枚の模造紙に実験結果を記載し、これをT型の木枠に張り付け、説明するにつれて一枚ずつはがすという方式であったらしい。次にスライドが登場した。研究室にはカメラを始め現像のための一式があった。その原稿は、ロットリングあるいは、タイプライターで元素記号をうち結合をペンで入れながら作成した。出来上がった原稿をカメラにおさめ、スライドにする。ここで間違いがあれば「ツライド」とか言いながら作成した。平成になった頃からか、OHPになった。A4版のフィルムにコピーができる。専用のペンを使って色づけもできた。「間違いをホワイトで消せばいい」という考えは、コワイト思った。で今時は、パソコンからプロジェクターを通して、発表資料を表示する。様々な色合いも使うことや動画も挿入することができる。カラーを使いすぎて、空(から〜)威張りにならないようにも心がけたい。
 発表内容に加えて、講演資料の工夫の方法、発表の間の取り方、受答えの方法など、発表会場では学ぶこと盛りだくさんである。また展示や書籍も販売もある。色々お聞きしてみよう。
10.3.24

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出版のランキング

 である。アジア太平洋地域(インド、オーストラリアも含む)の大学・研究所からネイチャーおよび15種類の姉妹誌に掲載された論文の数をもとにした順位付けである[1]。国ごとの順位に、一言と総括がある。一位:日本(The sun never sets、太陽は決して沈まない)、二位:中国(The east is read、東が読まれる)、三位:オーストラリア(Down Under looking up、南半球も上向き)、四位:韓国(Morning calm gone wild、朝の静けさが去ってワイルドに)、五位:シンガポール(The little engine that can、小さな起動力が可能にする)、六位:インド(The elephant in the room、(誰もが認識しているが)口に出したくない事実[2,3])とある。ランキングなので「ふむ、ふむ」と楽しめばよいが、ともかく「ランキングで日本はキング」であった。不公平だと主張したい時には、研究費、人口数などを分母にして計算してみると違った結果になる。その点たとえばシンガポールについて、700平方キロメートルの国土で470万人の人口を考慮すれば、他の国とは対照的であるとも書かれている。で日本については「成功の秘訣は、対象とする研究分野の深さと広さとを併せもっていることによる」らしい。

[1] Nature Asia-Pacific Publishing Rankings 2009: A supplement to Nature Publishing Group, p. 8.
[2]この部分の日本語訳は、英辞郎on the webからそのまま引用した、他は村井君の訳なのでご確認を
[3] 21世紀始めの10年は中国、多分「今度はインド」の時代であろうとも記されている。
10.3.23

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額田女王(ぬかたのおおきみ)

 「浴衣の君は・・・」は吉田拓郎、「額田女王」は井上靖著である。しばらく前、ある方に「二人の皇子(兄、弟)の間で生きた女性の話、高貴で美しい」と教えていただいた。本は500頁を超える文庫本、文字満載である。躊躇した、でも読了できた。
 小説は、いわゆる「大化の改新」の後から始まる。「額田女王」は、天皇や皇子の周辺で世話をする、あるいは歌を創造して詠むという場にいた女性(釆女あるいは巫女)であるらしい。二人の皇子とは、時には深くつながり、時には距離を置く。この二人の皇子と敵対した側の天皇の皇子や彼らの母君の運命や使命をも憂える。いわゆる「白村江の戦い」の準備の過程で、皇太子(兄)の心になって、全軍に謳を詠む。後には兄皇子に仕えながらも、余興の中で、彼女は弟皇子と謳を交わす。額田「兄皇子に仕える立場でも、あなた(弟)に焦がれている」弟「その気持ちは・・・今は人妻・・・」な風である。
 加えて、首都が難波(大阪)、飛鳥(奈良)、近江(滋賀)と遷ること、朝鮮半島へ兵(軍隊)を送った経緯、その結末、その後に処したこと、兄が亡くなったあとのことも描かれている。
 平城京遷都のさらに以前の話であるが、今も躍動感があった。
10.3.22

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羅生門効果

 「羅生門」は黒澤明監督の映画で、芥川龍之介の短編「藪の中」が原作である。ある武士が殺される。その経緯を4人が語る(一人は死んだ武士を巫女が呼び出す)がすべて話の内容が違う。映画では、ことの顛末を目撃していた者が、実際に起こったことを話すが「みんな言っていることが違う」こと「ある出来事は、語ることによって意味づけされる、同じ出来事でも違う現実がある」ことがポイントである。これを心理学では「羅生門効果(Rashomon effect)」と呼ぶ。
 この考えをもとに、学生相談・学生支援を行う方法がナラティブ・アプローチらしい。疫学的判断に基づく治療「エビデンス・ベーストアプローチ」の対極にあるものである。その特徴は「1、来談者の個別的な語り(ナラティブ)をまるごと尊重する。2、来談者を治療や操作の対象としてではなく、実体として尊重する。3、複数のナラティブ(説明物語)の共存を認める。4、問題を単一の原因に帰するのではなく、多要因のネットワークとして理解する。」である。目指すは「問題の解決」よりも「対話の継続により問題の解消」である、などの話を拝聴した。

10.3.21

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この場に身を置くこと

 がすばらしい」という言葉をもらった。市民の方々に本学キャンパスを案内した。まずは第一食堂、高い天井に清潔感のある空間、カフェテリア形式で、好みのお皿を選ぶことができる。小さいサイズのご飯もある。春休みだけれども学生が集い、若さと眩しさを感じられた。コンパクトにまとまった購買部、遥か向こうが、「ジェネラル・ルージュの凱旋」のロケを行った本学の大学病院、こちらは図書館「学ぶことの象徴として、このキャンパスのほぼ中心に建てたらしい」など紹介する。工学部のエレベーター前「・・・エレベーターの利用をひかえましょう」と掲示されている。「○月○日、エレベーターに乗ったとメモして(ひかえて)ます」で居室に到着。「香粧品について」のこと、最近は「白金や銀が成分表示されているローションもある」、大学の雰囲気、学生のこと、山崎豊子さんから宮本輝さんと盛りだくさんの話で時間は瞬く間に過ぎる。遠くから聞こえる管楽器の音が学校を演出していた。タイム・リミットになってしまい駐車場まで見送る。「ご創造におまかせします」という演劇部の看板にも、キャンパスの雰囲気を感じて、帰路につかれた。
 常々、内から内を見て忘れてしまっていたけど、この特殊な空間のすばらしさを改めて教えていただいた。
10.3.20

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ふたつのアースデイ

 春分の日は、国連が主催するアースデイ、今年ならば、今日20日に「アースデイは、明日やデイ」と友達に伝えるとよい。この日は「地理的な特性を維持しつつ、山や海洋、時間帯をつなぎ、すべての国が国境を乗り越え、世界中の人々が共鳴する最初の神聖な日」とされている。日の選定は、古くから採用されている方法と同様に「太陽が赤道を横切り、地球上のすべての場所で昼と夜の長さが同じになる日」であることからなされた。たいていの文化では、春分・秋分、夏至・冬至は、季節の始まりあるいは季節を分けると考えられている。その日には、宇宙からみえる地球を示す旗が掲げられ、国連本部にある日本から送られた平和の釣り鐘が鳴らされる。
 4月22日もアースデイである。こちらは1969年頃、環境保護を訴えたアメリカ上院議員が提唱した「National environmental teach-in(国民の環境についての討論会)」が始まりである。その日に落ち着いた経緯は定かではないが、この上院議員の広報の幹部の誕生日は、たまたま同じ日であった。それでバースデイとアースデイが韻を踏んでいることもあってその名前になったらしい。最初の年は、様々な環境破壊に対して大学や市民団体が抗議運動を起こした。その後、世界規模で運動も拡大している。一方で「この日は、人を否定的に描く悲観的で政治的なイデオロギーの日であった」と昨年、ワシントンタイムズは報じた。

参考:WIKIPEDIA The Free Encuclopedia
10.3.20

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アセンは

 ベンゼン環が複数個、直線状に繋がった化合物である。そこで5つのベンゼン環でできた化合物であるアセンをアセらンように書くとペンタセンになる。これにアルカリ金属をインターカレートしても超伝導性を示さない。そのペンタセンの真ん中のベンゼン環につながる二つのナフタレン環を直線でないようにつなげればピセンと呼ばれる化合物になる。「このピセンの高純度の結晶をカリウムと数日加熱する。それを極低温にすると超伝導性がでるどう」ということを岡山大などのチームが発見された[1]。18K(ケルビン)で超伝導を示すことは、フラーレン/K(38K)、グラファイト/Ca(11K)に匹敵する温度で、水素/炭素からできた化合物では最初の例である。しかもペンタセンはなにもセンのに、ピセンは超伝導性を示すという劇的な違いも興味深い。アルカリ金属では他にRbをドープした化合物が超伝導性を示す。「この超伝導化合物研究での化学者の果たすべき役割は増大している」と細野先生(東工大)が述べられている。スーパーコンダクターをリードする超指揮者の出現も待たれる。

[1]Chemical & Engineering News, 2010, March 8, p. 7; http://physicsworld.com/cws/article/news/41898.
10.3.19

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腹部の整形手術

 で捨てられた皮膚を使って皮膚の薄層を成長させ、さらにそれを細工して、人の表皮や真皮のモデルをつくる。これを使って紫外線が皮膚に及ぼす影響、それを防ぐ化合物について研究する[1]。世界最大の化粧品会社ロレアルの研究開発に関する話である。売上げの3-5%をR&D(研究開発)に投じ、この姿勢を続けるとのこと。この割合の大きさは他の化粧品会社にはない。ロレアルはよ〜やる
 たとえばこれまではUVB(280~315 nm)を防ぐ日焼け止め剤を探索し、avobenzone[2]とその安定化剤の組合せを見つけた。今はUVA(315~400 nm)のうち特に320~340 nmの光吸収に注目し、化合物を探索、ベンジリデンカンファーを起点に化合物ライブラリーをつくりEcamsule[3]に到達した。でこのテストが先の皮膚モデルで行われている。さらに皮膚表面の観察のためにフェムト秒のレーザー照射で表皮や真皮の三次元イメージをみることも行っている。生物、化学、さらには物理も融合した研究開発である。
 ついで商品開発には、美容師や消費者とも連携して、化粧品の性能、肌触り、臭い、見た目をあわせることを繰り返す。ビジネスは世界展開なので、「ヨ−ロッパの女性は、アメリカやブラジルの女性よりも重たい感じのクリームを好む」「日本人女性は、マスカラを塗る時は何度も筆を動かすだろう」という民族性も考慮して製品を仕上げる。さらに今後の商品像なども紹介されている。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, March 1, p. 17 ‘INSIDE THE BEAUTY LAB.’
[2] 1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオンで右のベンゼン環のパラ位にt-ブチル基、左のその位置にメトシキシを持つ化合物
[3] ベンジリデンカンファーの二つのカルボニル基のα位にスルホキシルメチル基が導入された化合物
10.3.18

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国際的な身体がダビングする

 とは誤訳である。実際はInternational body dubs element 112 copernicium.(国際機関は、元素112をコペルニシウムと呼ぶ)[1]である。ここでも元素名が決まった経緯が紹介されている。「solar system(太陽系)では、惑星は太陽の周りを回るという地動説−当時支配的であった考え(天動説)の極にある先鋭的考え−を唱え、生存中には何の栄誉も与えられなかったコペルニクスにちなんでいること」。加えてこれを発見したドイツ、ダルムシュタッドの研究所は107-111番元素の発見チームでもありそれらの名付け親であること、また最初は112番元素をCpと提案したがIUPACはこれを承認しなかった。ルテチウム(71番元素)が一時カシオペイウム(Cp)と呼ばれていたためにということも記されている。
 そこで71番元素を英語版Wikipediaでチェック:フランス、ドイツ、アメリカの化学者が1907年同時期に、この希少元素を発見、気性の激しい方々だったのか、どちらが先に発見したかで裁判沙汰にもなった。銘々が命名権を主張し、フランスの人に落ち着く、でも1950年頃までドイツではCpと呼ばれていた。皮肉なことに、この騒ぎから距離を置いていたアメリカの人が当時この希少元素を最も多く手にしていたとのことである。
 
[1] Chemicals & Engineering News, 2010, March 1, p. 15.
10.3.17

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新四年生がきました

 司会者もデビューの日「名前、出身地、血液型、志望動機、最近読んだ本」を聞いた。出だし好調、「最近読んだ本」と言われると「文学の香りがする本」を言わなくてはと、新四年生は思ったに違いない。研究室のメンバーの中には「ジャンプ」と飛躍する時もある。伊坂幸太郎が人気である。作風は「村上春樹風」と言われているけど、まだ読んだことがない。なんでも「いいさかい」一冊「買うたろう」と決心する。順番が回ってきたので「孔子(井上靖著)」と言う。そこで学んだこと「近き者説び(よろこび)、遠き者来る」を紹介できなかった。

 歓迎会の顔合わせは、なんとなくの安堵感、期待感に、遠慮が「ないまぜ」である。「趣味は」というフレーズを投げる。答えの最初の一言は「想定の範囲内」だけれど、その後の会話に、時に爆笑した。「旅行です」「一番遠い行き先は」に国内外の予想外の場所が出る。「好きな球団は」という問いかけに「球団やからな、教団とちがうで」と村井君は言う。遠慮しがちに、ソフトドリンクとお菓子をつまむ。また新しい物語を紡ぐメンバーである。ようこそ研究室へ
10.3.16

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講座配属

 であった。新四年生が卒業研究を体験する場を選ぶ。まずは予備調査、第一希望のみを書いて提出、こちらが集計して公表。それをみて第一希望から第五希望までを書いて提出する。その後の割振りは、希望優先で成績順である。成績が上位であっても自分よりさらに上位の成績の者で定員が満たされると、第二希望に回るが、その講座が定員枠一杯であれば、さらに次に回る。なので予備調査で、もし希望する研究室の希望者が多数であれば、そこに配属されるかどうかを考えながら、本調査に臨む。中には仲良しグループが「ぐる」になって希望を変更するときもある。集めた希望をもとに配属先を割振る。10年以上この制度を採用しているが例年、小さなドラマがある。今年も概ね第一志望に配属できたが、中には第五希望枠に入らず、再び希望調査した学生さんもいた。世間では「残りものには福がある」と言うので心配ご無用。これも何かの縁である。その結果を見て、新四年生は配属先に出向いた。

 研究室では、まだルールを知らないゲームがすでに佳境である。渓流下りに途中から飛び込むようなものである。流れに乗れば視界良好。乗り切れずに転けそうになった時には、「センパ〜イ、教えてください」と言える芸も身につけたし。
10.3.16

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GPといえば

 通常は、グランプリ、競技やコンクールの賞を連想する。K-1グランプリでは戦いっプリに魅了されたりもする。が大学の執行部の方にとってGPと言えばgood practice(教育実践)である。2003年度から文部科学省がスタートさせた競争的資金を供給するプログラムである。記事[1]にはGPとCOE(国際的な研究拠点形成のための競争的資金)のランキング、さらにGPプログラムの交付総額も表にある。2003年度にはプログラムは一つで13億円だったのが、2008年度には15プログラムでおよそ264億円である。昨年の事業仕分けでは497億円の予算要求を2/3に削減した。それでも331億円。8年間で10倍以上の支給額である。他にも獲得総額や学生一人あたりの額などの一覧もあって「競争原理が大学に導入されたこと」「事務職員が文科省との折衝に直面する場面もあって参画の機会ができたこと」と書かれている。是非はともかくこの雑誌のスタンスである。それでも「いまや文科省の政策目標に沿ったカリキュラムを作成した大学への「補助金」と変わらなくなりつつある」ともコメントしている。
ちなみにGP獲得総額一位の大学では45本のプロジェクトを獲得されているらしいが、そこには哲学的な秘訣があるのでしょうか、先生。

[1] 週間ダイヤモンド, 2010/2/27, p. 124.
10.3.15

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お店のカウンター

 にすわる。お店ではその日最初の客であったけど、しばらくすると20数名の団体さんをもてなすという電話があった。なので端っこの席で小さくなる。「やりくりできないときは、カウンターのそちら側に入ってお手伝いをしましょう」氷や水の用意ならばできるが、お客さんの所にお運びするわけには行かない。で団体さんが来られた。そのなかでなぜか女性がカウンターに座られた。お店の方に「こちら先生なの、1Q84の話なんかで盛り上がって」とその方に紹介された。「本、読まれます」と騒然としたなかでお聞きする。「活字を見ていると安心する、一番好きな作家の作品は読んでしまったので、好みの作家に巡り会うために、ア行から作家の代表作を読んでいる」とのこと、こちらがアギョウである。「で村上春樹さんはだめですか」「ちょっとかなと思いました」「1Q84もいいですけど、僕は海辺のカフカが好きです」「私もそちらのほうが・・・」などの会話のあと、「私、司馬遼太郎さんが好きです。おそらく全部読みました」「翔ぶが如く、龍馬が行く、坂の上の雲など長編ですよ」「私、高校出て社会人になったんで、大学は経験していないですけど、坂の上の雲は、高校の先生に読めと言われて読みました。その時はよくわからなかった、でもバイブルみたいで、10代、20代、30代読んだときの感じ方が違って深い、今も落ち込んだ時に部分を読んだりして」と言われる。衝撃が走る。なので「お名前は、もしよければ連絡先を」とお聞きしたいと思った時、団体さんのお帰りで〜すになってしまった。
10.3.14

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後期日程試験の

 監督であった。ここでは「盗塁」や「送りバント」のサインは出さない。「解答初め」「解答やめ」などと指示をする。腕時計のアラーム機能や携帯電話の電源を切ることを繰り返し注意する。受験生にとっては何度も聞く話なので、なかには寝たふりもいる。あるいは聞いたふりをする。最初の試験が終わった。「今回の化学の試験問題よかったですねえ。受験生に考えさせるものも多くて」と言われた。これは出題チームの先生方のご尽力である。一年がかりである。本学は「入試過去問題活用宣言」[1]をしているが、使った例を、自分は聞かない。高校の学習指導要領の変更もあるので難しいのかもしれない。担当する部屋は80名受験予定であったが、実際には半分以下の受験生である。それでもおそらく全員10代である。
 数年前、医学部の後期日程試験の監督を担当した。本学医学部は、今回も60倍を超える競争率で日本一を誇る。そこでは80名の教室で欠席者はほとんどいなかった。しかも「自分と同じ年頃ではないか」「明らかに年上の方だよね」という人も試験に挑戦されていた。一方でここには「もしや10代はいないのでは」とも思った。この自分のような若造が「解答やめ」と言うのは失礼かなというムードであった。
 今年も試験が終わると採点担当チームがかり出され、会場整備のチームは前日と終了後に時間を使い、さらにこれらを見渡す執行部の先生は常々心配ごとばかりである。時にはこのシステムを「らくちん」にしても、選抜ができる方法を考えてみませんか。

[1]本学ホームページから、その宣言を見ることができる。方針の第一は「入試過去問題を大学コミュニティの共有財産との考えの基」から始まる。
10.3.13

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持続不可能な農作業が注目される

 という記事である。中国の公害と言えば、上海や北京の街にみるスモッグ、その発生源である工場が非難されてきた。一方で農業からの汚染も激しいと言う。家畜に、養鶏もようけいあるらしい。これまでは主に水質汚染を測定するための化学的酸素要求量(COD)に注目してきた。今回おそらく様々な点で、100万ドルのコストと57万人の人によって大掛かりな国勢調査が、二年かけて行われた[1]。それでも中国での汚染の全体像はつかめないかもしれないが、表題の「持続不可能な農作業」が浮かび上がった。この25年間で窒素肥料の使用量が三倍になった。またこの量は北アメリカ、ヨーロッパと比較すると、かなり高いレベルであり、土壌の質や環境を悪化させる。結果、中国の耕作地では土壌の酸性化が進行していると言う。酸性化は作物の生育不良を引き起こすなど課題も多い。中和のために石灰を施す、やっかいである。いじられる土壌には同情する。またこれを機に、農業(agriculture)がugly culture にならぬ様に期待したい。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, February 22, p. 11.
10.3.12

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ホルモース反応

 とは1861年ブトレーロフ先生(ロシア)33歳の頃に発見された、ホルムアルデヒドから糖鎖が導かれる反応である。先生は化学構造理論を提案された一人であり二重結合を構造式に組込まれた最初の人である。また月にある衝撃クレーター「ブトレーロフ」の名前は先生がくれ〜た〜らしい。反応は複雑な生体分子の非生物的合成経路とも関連して興味が持たれる系である。塩基やたとえばCaなどの二価金属イオンが反応を触媒するが、生成物はラセミ体でしかも安定性は低い。でこのホルモース反応に「モノモース(申す)」わけではないが、地球上の地殻やマントルに存在するシリケートが反応生成物と錯体を形成し、分解反応を抑制するという[1]。実験は、ホルムアルデヒド、グリコアルデヒド、グルセルアルデヒドをナトリウムシリケート(Na2SiO3)溶液に加える。これらのアルデヒド自身は錯体を形成しないが、縮合してトレオース(C4H8O4)が形成すると、これがもし妥当な立体化学を有していれば錯体を形成し、安定化する。

[1] Chemicals & Engineering. 2010, February 22, p. 34.
10.3.11

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JR奈良線は

 かつての日本の都、奈良—京都間を結ぶ路線である。なので快速は「みやこ路快速」と呼ばれる。その沿線に親戚が住む。幼少の頃、夏休みも終わる時期に、母親に連れられて遊びに行った。この路線、当時は国鉄で、ディーゼル車が走っていた。時々通過する列車の音と臭いが思い出される。最終のディーゼル車が通過した後に、蒲団にもぐった。昼間はその沿線でバッタ、セミ、蝶を追いかけた。それで「絵日記」を綴ることができた。それから数十年たって、路線は電化され、沿線の両側には、たくさんの家や商業施設が建ち並ぶが、今も単線である。駅ですれ違いのためにしばらく待機する。たとえば京都行き列車が遅れれば、奈良行きは、慣らし運転が如く、速度を落とす。奈良行き列車の「ならわし」かもしれない。駅名も、東福寺、六地蔵、黄檗、宇治、城陽など、平城、平安を彷彿させる名も多い。当時の天皇が「平城遷都、せんといかん」と思って1300年。この路線で訪ねるのもよい。
10.3.10

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金クラスター触媒

 の話を拝聴した。今は首都大学東京に所属の春田正毅先生。大学を出られて、通産省(今は経産省)が主導する研究所に在籍されたこともあってか、話は、「・製造業別・エネルギー消費量の推移」から始まる。触媒開発を目指す1980年半ば、Au(金)は働かなくとも食える金属であった。当時、金を他の金属酸化物に担持すれば、30 nmほどの大きさであった。そこで金に他の担持法を施した。いわば異端児の金を作成された。3 nmほどのナノ粒子が出来上がった。それが-78℃での一酸化炭素の酸化を可能にした。1987年、我が国の速報誌に掲載された[1]。先生が40歳の頃である。それがランドマークとなって、固体表面の性状、基幹化合物の選択的で温和な条件での合成から製造プロセスも視野に研究を展開される。金がナノ粒子となり、さらに小さくなって2 nm以下、金クラスターになれば、電子状態も変化する。何に担持させるかも大切である。一例:プロペンからプロピレンオキシドの製造、空気中の酸素だけで実現できた系はない。プロペンと酸素に触媒の気相系、で「きそう」でできない。それを60%程度の変換率で達成されたが、さらにその先を見据えられている。

 春田先生は、日本化学会年会でも26日午後1時から講演される。ストックホルムからの招待状の前である。

[1] Haruta, M. et. al. Chem. Lett. 1987, 405.

10.3.9

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機関車トーマスは

 イギリス生まれの汽車の絵本である。かたやロンドンから西へ電車でおよそ1時間半、春には菜の花畑が延々と続く沿線を走ると、ウェールズ地方の州都カーディフに到着、ここの大学には、トーマス・ヴィルス先生が在籍する。日本にもたくさんの知り合いがいる。そのトーマスに雑誌で会った。Angew. Chem. の著者プロフィールの欄である[1]。昨年PhSeSePhが触媒する酸化反応がこの雑誌に掲載されたこと、これまでの論文なども紹介されている。で本人の個人的な見解もある。たとえば・実験器具になるとしたら回転子、それはマイクロリアクターがそのうち普及し、フラスコ/回転子は余り使われなくなって暇ができるだろうから、・朝目覚めると家族のために朝食をつくる、・人生最初の実験は、掃除機の助けを借りて四秒間喫煙したこと、別の実験は、芝刈り機で庭を丸くカットしたことなど記されている。で趣味にperforming house とあるがよくわからない。メールで聞いた。風呂場を磨き直す、台所を修理、床の張り替えなどらしい。次回来日の折には「劇的!!ビフォーアフター」へも出演を。

[1] Angew. Chem. Int. Ed., 2010,49,1528.
10.3.8

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「日本辺境論」が

 2010年の新書大賞に選ばれた(http://www.chuko.co.jp/special/shinsho2010/)。著者内田樹先生[1]の記念講演を聞く (http://www.chuko.co.jp/special/shinsho2010/shinsho.mp3)。そのほんの一部である。
 数年前、養老孟司先生の忘年会にお招きいただいた時に、呼ばれた理由を聞いたところ「野蛮人だから」と言われた。それまで言いたい放題書きつつ、それではいけないのではないかと思っていたけれど、この養老先生の言葉で「野蛮人として生きるのが使命かもしれない」と思い直した。養老先生からいくつかアイデアもいただいた。たとえば日本語論:日本語を使うときは「表音文字(カナ)」と「表意文字(漢字)」の二つを脳のなかで並列処理している[2]。失読症に二通りあって、一つはカナが読めない、もう一つは漢字がよめないという話を聞いて、驚嘆とともに、すべてが繋がったと思った。という話から始まって「九条と自衛隊(安保条約)、観光立国、接客サービスについて」が続き、「ボーイズラブ」[3]にたどり着く。「この少女漫画、反米だね」という突拍子もなさそうな話。「攘夷」「本土決戦」「全共闘運動」「ベトナム戦争」なども経由して、「反米の戦いのたいまつ」を引き継いだのが「ボーイズラブ」であると言う。1975年頃からこれを扱った漫画が、出はじめる。少女漫画はありとあらゆる題材を扱っているが、舞台はヨーロッパである。表層的には、日米文化が一体化したかに見える頃に、数人の気鋭の漫画家は、アメリカ文化に決然と背を向け、「アメリカが否定しきったもの」を賛美するというストーリーを描き始めた。という壮大な話に展開する。

[1] 内田樹「日本辺境論」新潮選書
[2] 養老先生によれば、表音、表意が漫画の「吹き出し」「漫画そのもの」に対応する。1月30日NHKラジオ「かんさい土曜ほっとタイム」でも話されていた、これは再放送だけどね。
[3] 少年同士の同性愛を扱ったここでは少女漫画
10.3.7

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学生さんに成績を

 配布する日が近い。まずは3年生、結果次第で「卒研着手資格」を得ることができるかどうかがわかる。これまでだと成績を配って「○○単位以上の学生さんは卒研できます。残念ながら満たなかった学生さんは一年、大切に使ってね」とか言いながら終了してもよかった。が卒業直前の判定で単位取得の方法に不備がみつかることもあると聞いた。止むなく学生に配る「成績一覧表」「判定処理結果」をじっくりと読む。後者は五つの階層と取得科目一覧からなる。整然と出来上がっているなあと関心していたら、二つの用語の使い方が階層によって違う。この階層では、見る方は「かわいそう」かなと思った。そこで「ここを見ればミスは出来る限り防げる」というポイントをA4一枚にまとめた。そんなに書いたところが情けないが、これで入学年度の異なる学生さんにも対応できる。以前は、工学部便覧が冊子体で、すべてをこれで「察したい」と思えばできた。今はWebシラバスに、Webによる履修登録で、しかも「取得すべき単位すべてを知る」「選択・必修の単位数・科目区分などの一覧を知る」には、今も工学部便覧が必須である。必ず自分の入学年度の便覧でなくてはならない。先輩から譲り受けてはいけない。年度によっては必要総単位数も違うので。
10.3.6

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セアカゴケグモは

 オーストラリアなどに本来生息する蜘蛛であるが、15年ほど前には日本にも進出、毒を持ち、特に子供が咬まれたときには素早い治療が必要であるために大いに話題になった。一般にクモは「クモの巣をゆらめかすダンス」でメスに求愛、もしすでにメスにパートナーがいる場合には、一匹もんのオスはダンスをせんもん、と考えられてきた。しかし「相手がいることがなぜわかるのか」不思議である。で彼氏募集中のセアカゴケグモのメスは、アシル化セリン誘導体−自然界ではこれまで見られたことがない構造−の芳香をまいて、そのサインを送っているらしいことがわかった[1]。がクモん(学問)的である。なおこのクモの性フェロモンの分子構造は質量分析のみで正しい基本骨格が決定されている。このフェロモン誘導体は、オーストラリアを旅立つ貨物船のコンテナに侵入するセアカゴケグモを、船外におびき出し、異国への移動を防ぐことや、クモの生態系を探索するにも使えそうである。同じ頃、ドイツの研究者も、クエン酸誘導体がクモの性フェロモンであることを発見し、化学合成した化合物には、数メートル先から30分以内にクモが、クモダンスをしながら集まってきたらしい。これでクモのフェロモンは七つ明らかになったが、まだまだ未開拓な分野である。そう言えば研究室でも、やたらクモの巣が増える化合物があったが、基本骨格は今回のものとは随分違う。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, February 22, p. 40.
10.3.5

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学部の留学生

 が、祖父を見舞うために本国へ帰った。急ぎであったためか、本来やるべき再入国の手続きをしないで日本を出国した。帰国して事の重大さに気がついた留学生から、メールが二通、国際電話が本人ならびにお父様からもあった。加えて学科長の先生、工学部の担当の係へも電話、メールを送り、なんとか事態を打開したいという様子が伝わってきた。こちらは「おろおろ」していたら、工学部の担当の係が、迅速に対応した。必要な書類を確認、名古屋入国管理局へ出向く、本国の日本大使館へもお願いなど、なんと二日後には完了していた。書類をPDFに変換し、先方へメール添付、で原本は国際スピード郵便で、お父様の勤務先へ送付。お蔭で岐阜へもどってくることができたとのこと、一時は「ヒヤヒヤ」だったが事なきを得た。

 予期しないことが起こった時「それはあなたの責任でしょ、私たちの管轄外だから」あるいは「今は立て込んでいるので、しばらく後に」というのはしばしば聞く話である。今回そんな話はみじんもなく、素早く動いていただいた係の方々には、敬服するばかりである。ありがとうございました。
10.3.4

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3月2日報道ステーション

 に豊田章男社長が緊急出演されていた。アメリカ議会へ出席した後、中国にも立ち寄られて帰国されたばかりである。アメリカでは上院での公聴会も始まり、二人の副社長と現地社長がそれに出席することや、様々な実験をしても「問題となっている現象は今日の段階では再現できていない」というお話をされた。それでも今回のことが起こった要因については「急拡大が人材育成を上回った」と表現されておられる。確かに数年前には年間売上げ台数が1000千万台に迫るか到達かというニュースがあった。事業の真ん中におられた社長の反省の弁に重みを感じる。
 でコマーシャルの後、「クルマと社会の今後」みたいな話題になった。それに対する豊田社長の弁、ストック・フレーズでまとめられた。以下その一例である。
・クルマづくりを通して地域社会に貢献
(このクルマづくりを自分の携わっている仕事や物事に置換えれば、誰でも使える)
・ものづくりの基本:安全、品質、量の確保
・原理・原則
・おっしゃる通り
・人にめぐまれている    などである。

とは言え、古館さんや一色さんからの問いかけは、「斬新な回答」を企業人がすれば「物議をかもす」かもしれない課題であったとも思う。
10.3.3

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受動喫煙防止が

 謳われる中、タバコの副流煙は、大気中の化合物と反応してさらに毒性の高いものに変化する可能性も、副流煙の専門家が指摘する[1]。そんな中、30年以上前に報告されているニコチンと亜硝酸との水中での反応が空気中でも起こることが報告された。すなわち空気中、室内の壁などの表面で、ニコチンは亜硝酸と次のように反応する。亜硝酸イオン(2当量)がニコチンを脱プロトン二電子酸化し、イミニウム塩が形成、ついで湿気や亜硝酸イオン蒸気が反応してニトロソアミンアルデヒドが生成する。さらにこれが分解して、安定ではあるが、一般に様々な薬理作用が報告されている化合物であるピラゾールに変化する。しかしこのピラゾールは吸ってすぐのタバコの煙には含まれない。なので非喫煙者は、ニコチン、副流煙のニトロソアミン、で三次生成物であるピラゾールにさらされることになる。特にニコチンは壁などに吸着しやすく、酸化窒素はそこら中に存在するので、喫煙者の家では、これらの化合物に汚染されることになる。とのことであるが亜熱帯性植物であるタバコには何の罪もない。

[1]Chemicals & Engineering News, 2010, February 15, p. 14.
10.3.2

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3月

 3日桃の節句、せっかく、なのでおひな様を飾る。昭和生まれで、今も気品のある顔立ちである。内裏びなとおひな様のセットで、三人官女や五人囃子はいない。どちらが右か左か、記憶を呼び起こす。内裏びなに冠をかぶせ、笏(しゃく)を持たせて太刀をさす。左右を間違えると「たち」が悪くなる。おひな様に桧扇(ひおうぎ)を飾る。二人の間に桃の花、左右の後ろに「ぼんぼり」前に「まる餅、菱餅、お膳」を置く。ガラスのカバーを全体にかぶせると完成だけれど、枠の天井のガラスが、箱の中で割れていた。「われても末に会わんとぞ思う」は崇徳院だけど、ここはともかく木枠の上下を合わせた。ガラス越しにみる「ひな」は厳かでもある。
 3年前に縁合って出会った大学院生も巣立つ3月。月の半ばには研究室の新メンバーが決まる。毎年の繰り返しのようだけれども、情景はいつも一回限りである。しばしの間、開放感に浸る、痛んだ身体をいたわる、学生さんの成果を世に出す、来シーズンに備えて自主トレをする・戦略を練る。あるいは上空から、自分自身を俯瞰してみる。3月は弥生、色々るとよい
10.3.1

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