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2010年5月

六人兄弟の

 五番目3男として生を受ける。学生の頃住んだ下宿屋さんには、二番目の家族と思えるほどお世話になった。お父様が卒業前に亡くなられた、でもお兄様が博士後期課程まで学ぶことを支援された。いわゆる大学紛争の中で、卒業は四月末になった。大学院生になって昼間は研究室で、夜は麻雀を覚えた。それで四員環にこだわった[1]。ニックネームは「ちゃんた」になった。アメリカ留学の頃、高分解能マススペクトルの測定が縁となり、伴侶と巡り会った。研究室は「よく学び、よく遊び、自然と人を大切に」と言うモットーで担当された。三大学の交流球技がいまも続く。同じ職場の先生のご挨拶:手元にとどいた博士論文は、すべて丹念に読まれて、科学の内容、英語表現で気になった部分に付箋がつけられている。アカデミズムの基本、教育の原点を体現されていた先生とのこと。この研究科、今も「化学教室」と自らを呼ぶ。
 先生の退職記念の会に同席させてもらったことに感謝です。

[1] 会の後に他の先生に聞いた。麻雀と四員環? 雀卓は正方形である。
10.5.31

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家政婦は出会った

 私生子として生まれ、自分も男子を私生子として授かった。小さい頃から家事をしていたことから、家政婦として働きながら男子を育てている。その男子を、ルートと博士は名づけた[1]。博士は47歳で交通事故に会い、その後の記憶は80分しかもたない。その家で働く彼女は、博士が語る数式や数字の世界に、深さ、静寂さ、躍動感、温もりを感じる。2月20日が誕生日、日が変わって博士の家に赴くと「君の誕生日は何月何日かね」からだいたい始まる。この220は284と友愛数の関係である。それぞれの約数のうち自分自身を除いたものの和が、それぞれお互いの数字になる。284は博士がかつて授与された学長賞の時計に刻印された数字である。博士の語る素数に彼女も魅了され、自分自身でもそれを見つけようとする。2を除くすべての素数が二つの式に集約される。男の子ルートは、博士同様、タイガースファンであるが、博士のタイガースは、背番号28の江夏豊投手が今も現役である。この完全数28を背負った男が、ノーヒットノーランを達成、しかも11裏、自らのサヨナラホームランで試合を決め、記録も達成する[2]。随所にタイガースが登場するも「読売文学賞」の栄誉に輝いた作品である。

[1] 小川洋子著「博士の愛した数式」
[2] 1973年8月30日、ヒーローインタビューで江夏投手は「・・・ここは甲子園ですからねえ・・・」と答えたのではないか、とかすかな記憶がある。
10.5.30

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上方演芸会のはずが

 総理の記者会見である。金曜21時30分にタイマーセット。聞くと「みんなを信頼させるという度量の深さ・広さが自分や閣僚に求められているのだなと感じます」とのこと。でやむなく記者会見関連のニュースを見る。寺島実郎さん(ニュース・ステ−ション)曰く「深い失望とわずかな望み」であるらしい。「日米安保50年[1]・・・沖縄の基地の経費の7割を日本が負担、アメリカ側が軍をアメリカに引き上げると負担増になってしまう。また日本国内では、沖縄の負担をどこも引き受けるところはないことがわかった。これを機に、安全保障などが、お茶の間の話題になるように」みたいな指摘である。たしかにメディアに「基地問題や米軍のこと」を、毎日ニュースとしてとりあげさせることに成功した現政権の貢献度は大きい。記者会見は謝罪が主だったが、この「もたもた」感も、長く続いた「ほとんど一党支配」から飛び立つための思春期ではないかと思う。長寿であった前政権の首長なら「あっそう」と言ってはぐらかすこともできたかもしれない。初めから過度の期待を持たなくてもいいし、期待はずれでも、過去にもどることもしなくてよい。快刀乱麻を断つが如くに解決できる課題は、政治的課題と言わない。

[1] 1960年当時580万人がデモに参加したとのこと。学生運動の中、樺美智子さん[2]が亡くなったことも紹介されていた。彼女は安保闘争で命を落とされた最初の大学生であるらしい。
[2] 村上春樹著「1Q84 book 1」にも彼女の名が出る。
10.5.29

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冷凍にして退治

 するという新しいコンセプトの殺虫剤が2007年販売された。有機溶剤によって虫は熱を奪われて凍死する。虫の神経伝達系に障害を引き起こすタイプとは一線を画する。がしかし販売から半年ほどで製品の自主回収に至った。風呂場や台所で使ったところ、火災が発生したという事故が複数報告されたためである。この殺虫剤の成分にイソペンタンが含まれる。沸点28℃、引火点-50℃である。メーカーは、一般家庭でもこれらを使う時の気配りがあって、使用量も多くないはずと思ったのかもしれない。それでも「ブ〜ン」と虫が飛んできて邪魔されたと思ったときには、憤慨して、噴霧してしまう、しかも大量に。自分にとって害虫と思うものには、これでは「あカンヨウ」と思っても寛容になれない。その後、別のメーカーは熱を奪うために1,1-ジフルオロエタンを使った製品を売り出した。引火点はまあ「いいんか」として、この化合物の温室効果、二酸化炭素の12500倍ほどとも言われている。
 と言う話を一時間目一年生にした。今の製品は凍殺(とうさつ)ジェットとよばれています。でこの「とうさつ」を別の意味に理解した学生もいる様な雰囲気であった。
10.5.28

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1960年代スタンフォード

 W. S. Johnson, C. Djerassi, E. van Tamelen 先生らが在籍された。昨年末van Tamelen先生が84歳でご逝去[1]。先生は、ベンゼンの異性体であるDewarベンゼンを新しいアプローチで合成された。コレステロールやステロイドホルモンの生合成経路を探索し、スワレンオキシド[2]がその鍵中間体であることを明らかにした。バクテリアが生体系で行っている常温常圧における空気中窒素をアンモニアに還元する系を、チタノセン触媒を用いてチャレンジし、今で言うバイオミメティック化学の祖。Sharpless先生のメンターでもある。1987年van Tamelen先生62歳の時にスタンフォードを退職されるが、お悔やみ記事によれば、1977年には、かつてほどには化学に熱を入れていないということを聞いたとのことである。小生が以前に聞いた先生についてのお話二つ:大学在籍時代、新着雑誌は、目を通したあと、ゴミ箱行きであった。既存の成果に縛られないため?;化学を巣立ったあとは不動産業を営んでおられたとか。
 昨年のニュヨークタイムズには「58歳の奥様を残して」とあった。

[1] Obituary, Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 3565.
[2] コレステロールは四つの環が繋がっているがこれが環になるまえの化合物の類
10.5.27

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工学部全体会議に出席した

 工学部長の「組織目標」12の重点項目の説明に始まる。教育、研究、社会連携、国際交流、学部運営に分類されている。国立大学法人の第二期中期目標・中期計画に沿っている。全体会議なので助教の方も多く参加されている。説明の度毎に「助教の皆さんは、初めて聞かれる方も多いかと思いますので、是非質問など発言してください」と学部長が気遣っておられる。組織目標は、達成の期待度が高いものから、全体で練ってもなかなか前途多難というものが混ざり合っている。先生方は、このうちの重点項目を選び、自らやってみようということを目標として掲げ、結果として組織に貢献しているという形式になるらしい。概ね「なごやか」な雰囲気であった。この「なごやか」であることや「居心地のよさ」は、個々人のパフォーマンスを上げるために、また様々なリスクを未然に回避するための大切な雰囲気である。それでも達成度は上下する。そこは学部全体として「上向き」ですよと報告していただくよう執行部の方にお願いして、庶民は本分を忘れず、肩の力を抜いてやってみましょう。
10.5.26

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気候学者Michael E. Mann

 は一時ヴァージニア大学(UVA)に在籍し、過去1000年間の気温変動を解析した結果、近年その変動がホッケーのスティックの先の様なカーブで急激に上昇していると指摘したひとりである。また彼の多くのe-mailが、いわゆるClimategate 事件とよばれる中で明らかにされている。それに対してヴァージニア州司法長官Cuccineinelli IIは「Mannはヴァージニアの納税者に対する詐欺まがいの行為で研究費を受取った可能性がある」として、これらの研究費に関わるデータとe-mailを明らかにするようにと命じた。一方でMannの温暖化説に批判的な研究者たちが「この命令は過剰で不快なものである」と指摘している。さらに「ある科学上の発見が議論のあるものであっても、それを『詐欺』であるとレッテルと張ることは極めて問題である」「科学者の間で不一致であること−もちろん科学者と政治家との間での不一致の場合も同様であることは言うまでもないが—は、詐欺であることと同じではない」とも指摘されている。先の司法長官Cuccineinelliは保守派の共和党員であり。経済に悪影響を及ぼすため、気候変動の抑制には反対の立場をとり、最近米国環境保護庁に対し「自動車の温暖化ガス排出制御は再考するよう」に申し入れている。
 
[1] Chemicals & Engineering News, 2010. May 10. p. 10.
10.5.25

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メタ、エタ、プロパ、ブタ

 に「ン」をつけると炭化水素の名前になる。語源がわからない。ペンタ以降は、ギリシャ語の数字である。でメタを調べる。「高次な」「超」などのギリシャ語接頭語とある。たとえばメタフィジカルは、物理学を超えた世界が対象になる「形而上学」であるらしい。ただこれとメタンの間に関わりを見つけることは難しい。ついで「エタ」をチェック「賤民身分の一つ」多分関係がないのであきらめる。メタメタになって破綻しそうである。
 化学に戻って、メタンからブタン、沸点はこの順で-162, -89, -43, 0.5 ℃と上昇するが、メタン、エタン、プロパンの三つの融点はどれも-180 ℃以下でほぼ同じである。またメタン、エタンは空気より軽くて、他二つは重い。
 これらのデータをみて「アーそうか」から脱して「この現象を理解する理論ってあるのかなあ、まだかなあ」と疑問に感じ、調べてみようと思うことは、自然科学研究の最初の第一歩、「ブタンこぼしたやつは、ブッタンねん」と思いつくのはお笑いの第一歩か。
10.5.24

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イタリアにも

 行ったリアと言わんばかりに、国際会議の案内メールが一晩のうちに何通も来た。たしかにその次の週に同じ場所で開催される国際会議に出席・発表のため、そこには滞在する予定である。ただし案内メールの会議への参加は最終日のみが可能である。一般に国際会議の参加登録費は大変高い。普段のお弁当100~120日分に相当する額である。しかも参加する度に、筆記用具やカバンが増える。すでに生きているうちには使えない分が手元にある。幸い今回案内によればone-day registration(一日参加)という項目があった。カバンもミニチュアかもしれないがそれでよい。「最終日だけの参加で、口頭発表させていただけますか」というメールを出した。その日のうちにwelcome!!!みたいな返事があって、次の日アブストラクトを送り、参加の手続きもした。「イタリアでの会議、至れり尽くせり」に違いないと期待、皆さんも「行きたい」と思いませんか。
10.5.23

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野球部マネージャー

 がよけいなことをすれば「何のまねじゃ〜」とお叱りを受けるかもしれない。昭和の頃は、浅倉みなみ[1]。野球部と新体操部に所属、今時は、川島みなみ[2]。進学高でその役についた。「野球の実績や知識も抜群の監督の下であったけど、だる〜いチームであった。これがよみがえり、甲子園出場を果たす、彼女の貢献も大きい」なんて、ありがちな話である。とはいえ、こちらは双子は出てこない。でも経営学の父P.F.ドラッガーが登場する。川島みなみが行き詰まったときにドラッガーの「マネジメント」の一節を読み込む。たとえば「事実、うまくいっている組織には、必ず一人は、手をとって助けもせず、人づきあいもよくないボスがいる。この種のボスは、とっつきにくく気難しく、わがままなくせに、しばしば誰よりも多くの人を育てる。好かれている者よりも尊敬を集める。一流の仕事を要求し、自らにも要求する。基準を高く定め、それを守ることを期待する。何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない。真摯さよりも知的な能力を評価したりはしない。・・・」という一節を読み、嗚咽も込み上げてきた「みなみ」であった。

[1] あだち充「タッチ」
[2] 岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネイジメント』を読んだら」
10.5.22

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含ヒ素化学種が吸収される

 ヒ素化合物を飲んだり吸引するだけが中毒になるわけではない。皮膚に接触した場合にも可能性がある。たとえばアジアのある地域での話であるが、天然に存在するヒ素を含む水を水田にまく場合にも危険性を伴う[1]。従来は皮膚を通した接触の危険性は低いとされていたが、それはアルセネート(AsO43-)を用いた研究に基づいていた。一方アルセナイト(AsO33-)が、水田の主なヒ素化合物である。人の腹部の皮膚を使ってアルセネート、アルセナイト、ジメチルアルシン酸(Me2As(O)OH)、海藻から得られるヒ素シュガーの吸収の速さを比較する研究が行われた。このうちヒ素シュガーとアルセネートはほぼ同じ速度で吸収される一方で、アルセナイトは29倍、ジメチルアルシン酸は59倍も速く吸収された。現段階では一種類の肌についてしか検討を行っていないこと、人によって、またどこの皮膚かによって値も変化するだろうが、ヒ素がどんな化学種であるかということが、暴露のリスクを評価する際には考慮するべきであるとのことのである。色んな秘密が、ヒ素に潜んでいる。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, May 10, p. 36.
10.5.21

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硫化水素が血圧を下げる

 硫黄泉は、喘息などの疾病に効果があるとされているが、刺激臭なので、硫黄泉の長風呂は「ようせん」。この刺激臭は硫化水素(H2S)によるものである。毒性の高い化合物であるが、血管弛緩作用を示すという[1]。ノックアウトマウスを使った実験は、生体内における硫化水素濃度が低い場合にマウスが高血圧になったことを示している。硫化水素は生体内で、システイン(アミノ酸の一種)のSH基の部分をSSH基に変換する。これによってたとえばカルシウムチャネルが開き血管が弛緩するなどの作用を示す。そこで硫化水素そのものの臨床応用やSH基をアスピリンやシルデナフィル(いわゆるバイアグラ)に組込んだ医薬品の開発も行われている。かといって研究室のチオアセトアミドを持ち出してはいけない。
 ちなみにこのような分子は「ガス性シグナル伝達分子」に分類される。他には一酸化炭素(CO)や一酸化窒素(NO)もこの類である。NOにも血管弛緩・拡張作用があり先のバイアグラの服用はNOの放出を促進するらしい。ガス性のこと、学生も学ぶべし。

[1] Nature ダイジェスト、2010, 4•5合併号、p. 30.
10.5.20

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火山灰を探索

 アイスランドの火山の噴火。シリカに富んだ灰の噴煙のために、数千人の旅行者が足止めされ今も、時に煙にまかれている。噴煙に憤慨して灰でハイになった人も、多かいに違いない。そこで大気化学の登場である[1]。まず衛生から送られる情報やモデル化により火山灰の軌道を予測。噴煙探索のために飛行機を飛ばし、灰の化学的物理的性質に関する情報も得る。さらに大気中の灰粒子の質量濃度のデータが重要な意味を持つ。これをシミユレーションした値と比較し、ヨーロッパの空域を閉鎖するかどうか判断する材料に使われる。航空会社によってはこれらのシミユレーションの精度に懐疑的であるところもあるが、監視機関はこれでは「いカンシ」と空域を開放するか閉鎖するかの判断材料としてさらにデータを集めている。
一方で研究者は様々な研究を希望している。たとえば火山灰雲のなかの二酸化イオウのようなガス濃度の測定。この二酸化イオウが反応し霧状の粒子をコーティングすることができれば、これらの粒子は、雨とともに大気から早く取り除かれることも期待できる。また「噴煙からの酸化臭素[2]が大気中で水銀とどのように反応するのか」という基礎的な研究も望まれている。この反応は、容易に水銀を大気中から地球上に蒸着させ、食物連鎖に入り込む可能性もあるためであるらしい。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, April 26, p. 8.
[2] BrO2は1937年に単離された安定性の低い結晶で、臭素とオゾンとの大気中の反応において重要であるとされている化合物
10.5.19

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ドライアイでス

 シューアイスお持ち帰りにはドライアイス。目が乾いてショボショボするのはドライアイ、全国で2000万人ほどがそうであると言う[1]。およそ女性1/5人、男性1/10人らしい。涙の質・量の点で異常であるか、目のキズ、自覚賞状などから判断する。パソコンを使った作業に従事するとなりやすい。ディスプレイを凝視することから、瞬き(まばたき)の回数が5回程度/1分になってしまう。瞬きは、定期的に水分を目に供給することに加えて、涙腺にたまった分泌物を排出しているが、この回数が減ると十分に排出されないらしい。現代人はまぶたも運動不足になってきているのでしょうとのことである。対策として、緑茶などの水分をとる。目の開きを小さくするためにディスプレイは見下すように上から目線でみる。笑ったり泣いたりして涙を出す。などが上げられる。たとえばタマネギをスライスにすると「ツライッス」と感じるくらい泣ける。それでもだめなら「ジアリルスルフィドを常備、乾いたなと思ったら目元にかざす」。こちらはお勧めできない。ギャグ満載のブログ[2]を読んで笑い泣きするのもよい。

[1] 5月17日NHKラジオ「私も一言!夕方ニュース」
[2] で漫才の出だしを
A:ドライアイって知ってるか
B:シューアイスお持ち帰りの時に入れてもらうやつやろ
A:それはドライアイスや
B:ほたら、「こら〜」とか言いあいするやつか
A:それは「どなりあい」や、 違うちゅうねん
B:ほたら何やねん
A:目が乾くねん
B:変わったやっちゃなあ、君は目から水飲むんか、鼻から牛乳言うのは聞いたことあるけど

と続けて、オンエアバトルいけるかなあ。

10.5.18

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イルクーツクからメール

 が届いた。差出人の部分はロシア語表記になっている。昔アルファベットを船でイギリスからロシアに輸送中、船が沈没。海中からアルファベットをひろってきたが、なかには違ったものも混じっていてロシア語アルファベットになったという冗談話がある。それでも本文は幸い英語であった。イルクーツク、大陸性気候で、冬は厳寒、夏も最高気温は35℃を超える。ファボルスキー化学研究所シベリア部局とある。110年ほど前、シクロプロパノン経由の転位反応をファボルスキーは発見した。合成ゴムの研究も行っていた。その名を冠する研究所である。P=Se結合を含む化合物に関する研究をやっているということで発表論文のPDFも添付されていた。翻ってこちらの論文別刷もほしいとのことである。先方の論文にはP, Se NMRのデータもある。NMRが故障した際に技術者は、モスクワから派遣か、しばらく待つモ、スクワれないかもしれない。なにせシベリア鉄道では3日ほどかかる。
10.5.17

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赤阪健先生に

 Angew Chem誌でお会いする[1]。オーサープロフィールの欄である。一問一答のインタビューを受けておられる。
これまでで最も興奮した発見は?金属内包フラーレンの官能基化。最も刺激されることは?「精神一到何事かならざらん」を実現すること。学校で一番好きだった科目は?「理科」。18歳のときには何になりたかったか?「科学者」。過去100年間で最も重要な化学の発見は?「フラーレンの発見」。最も影響を受けた人は?「父」。自分自身の研究の中で最も興奮したことは?「フラーレン内の金属原子の回転様式を制御したこと」。これまでに聞いたもっともすばらしい助言は?「楽なくして苦なし、苦なくして楽なし」。最も楽しみとしていることの一つは?「若い人たちを動機づけし勇気づけること。」好きな小説家は?コナンドイル。好きな本は?「シャーロクホームズの冒険」。
 と赤阪先生のお人柄が、あかされている。

[1] Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 3408.
10.5.16

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ウォシュレットで和式トイレが消える

 本省から「老朽化した大学構内のトイレを改善しましょう」という話が来たらしい。すでに講義棟では一部改修工事が完了しているが、研究棟で今年度それを施工するという。担当の方がブレーカーをチェックされていた。自分たちがもらったミッションは、これまで和式であったものをすべて洋式に替え、ウォシュレットを設置する。ついで用を足した後に温かいお湯がでる方式にしなさいとのことだと言う。大学全体で省エネルギー推進を行っているので、照明をLEDに変えて対応しようと話している中、「お湯のための電力確保でブレーカー増設の検討を行っています」とのこと、消費電力アップに直結である。なんだか他で決められたことの「しりぬぐい」をやっておられるようです。
 以前「和式トイレでは、蹲踞(そんきょ)で足腰を鍛えることもできる、これを留学生に体験させるべし」と意見したことがあったが、押し流されてしまった。とはいえ、温かい湯が便器から飛び出すのも日本独自なので、まあよいか。欧米人には未体験ゾーンである。むずむずするに違いない。
10.5.15

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ホウ素—酸素三重結合

 を有する化学種が単離された[1]。一般にホウ素原子は電子不足であることを補うため、隣接の原子との間で多中心の結合を形成する傾向があり、ホウ素を多重結合に組込むことはあまり行われていなかった。それでもAu2B=O-のような気相中の短寿命化学種では、B=O結合は、電子的に等価なシアン化物イオンや一酸化炭素の錯体のこれらの結合と同程度の強い三重結合であることが報告されていた。そこでこのB-O三重結合を安定化させるために白金—ホウ素の共有結合が利用されている。Pt(PR3)2とBr2BOSiMe3との反応からの合成である。さらに白金上の臭素をPhS基に置換させている。この成果は、通常ではないホウ素化学種の金属錯体化による安定化についての一連の優秀な研究の、さらに頂点にある生クリームのようなものであると評されている。「この化合物、なめたら甘いんか」と思ってはいけない。世の中そう甘くはない。

[1] Chemicals & engineering News, 2010, April 19, p. 8. 記事の題はBORON-OXYGEN TRIPLE PLAYとある。普段は起こらないトリプルプレイと三重結合のトリプルを掛けているのか。
10.5.14

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トリクロサン

 は人名でもなければ、酸でもない。仕事の後「ごクロうサン」と手洗いするときの薬用石鹸の成分の一つである。ポリクロロフェノキシフェノールの一種[1]であり、抗菌性、抗真菌性を示す。歯磨き粉成分の場合もある。2008年米国環境保護庁(EPA)がトリクロサンの安全性を再評価し「まな板や台所用品、おもちゃに使用する限りは、人への健康被害は大きいとは言えない」と結論づけた[2]。それでもその後、この化合物のネズミのエストロゲン(発情の)効果などが検討され、内分泌腺系への影響も再検討する計画もあるという。また米国食品医薬局(FDA)が規制を設けようとしていること、環境保護団体からの請願書にも配慮し、EPAは監査機関に「石鹸やハンドソープの成分としてトリクロサンの使用を禁止させるように」要求し、製造メーカーには自主的な使用中止を求めた。これに対して石鹸洗剤協会は、抗菌作用のある石鹸の使用は、細菌感染の危険を縮小できると主張している。「トリクロサンの毒性と細菌感染の危険性のどっちが大きいか」考えて欲しいのかもしれない。石鹸をめぐる慌(あわ)ただしい動きである。

[1] ジフェニルエーテルを書き、片側の2,4位に塩素、反対側の4位に塩素、2位に水酸基が組込まれている。
[2] Chemicals & Engineering News, 2010, April 19, p. 8.
10.5.13

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本学、利部伸三先生が

 ACSアグロケミカル研究国際賞を受賞されたのが3月22日、遅ればせながら改めておめでとうございます。本学ホームページ[1]にも「ネオニコチノイド系と呼ばれる新しい殺虫剤の発明と学術的観点からこの分野の研究を深めたことなどが評価されてのことです。日本人として8人目の受賞になります」と紹介されているが、サンフランシスコで開催されたACSミーティングにおけるKeynote レクチャーをWebで拝聴できる[2]。ここでは先生は、Father of Neonicotinoid Insecticidesと最高の賛辞を受けておられる。1985年に企業で最初に発見された。本学へ移籍した後も、基礎化学も行いながら、この殺虫剤の開発も続けられたことなどが語られた後に、先生の登壇である。無駄のない真摯な英語講演にも魅了された。講演のほとんど終わりには囲碁が登場する。コンピュータが進んだ今でも、囲碁棋士の王者には勝てない・・・農薬開発も同様で、独自の地道な研究だけが達成できると述べられている。利部(かがぶ)先生まさに、かがく先生である。

[1] 5月11日から本学ホームページ(http://www.gifu-u.ac.jp/)が新しくなりました。「基調の配色は黒とオレンジ:意思と情熱を意味する」です。現在プロ野球で首位を独走するどこかのチームのオフィシャルサイトと間違えないでね。
[2] http://www.softconference.com/ACSchem/sessionDetail.asp?SID=209785
10.5.12

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タバコの吸殻で錆び止め

 なにかと言えば悪玉に祭り上げられるタバコ、その吸殻を集めて、その成分の抽出、鋼鉄の錆び止め防止用として試した[1]。研究者らは、街やゴミ入れから、吸殻を集めスペクトルにより、その成分を解析し、ニコチン、アントラキノン、β—カロテン誘導体など9種類が含まれていることを突き止めた。次にこの抽出物を酸性にし、これでスチールの机を処理した。結果、成分が吸着し金属表面に保護層が形成、金属の腐食を95%以上の効率で防止した。また抽出で残ったタバコのフィルター成分から得られる酢酸セルロースも再利用できるらしい。ちなみにタバコの吸殻は、地球を汚染するもっともどこにでもあるものである。4兆5千億本ほど(だれが数えた?)が、自動車の窓から、あるいは歩行中に投げられるか、そうでない場合にも捨てられることから、環境に対する負荷は見た目以上である。しかも吸殻からシミ出た成分は魚類にも害である。
 タバコの吸殻成分で、腐食(ふしょく)の心配が払拭(ふっしょく)されたスチール机、使えますか。答えも喉に「つっかえる」?

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, April 19, p. 34.
10.5.11

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83番ビスマスです

 この元素、鉛やスズと間違えられることもあったが1753年に、これらとは別個のものであることが提唱された[1]。16世紀にはスズと混合させることで、ビスマスブロンズのナイフが作られていた。また「ビスマスは錬金術で銀に変換させることができる」というふれこみで、ロンドン証券取引所の投資家たちを、そそのかした輩がいた。これによりビスマスそのものの価格も上昇、錬金術のための新しい会社ができることになったが、彼はそれまでに40000ポンドを持ち逃げした。彼だけは、錬金術は「できん術」と知っていたか。
 一般にビスマスは、硫化ビスマスや酸化ビスマス、あるいは元素状態で産出し、後者の場合、様々な幅の酸化層につつまれた虹色を示す結晶として存在する。銅、鉛、スズを採掘したときの副産物としても得られるため、希少金属のわりには安価である。ビスマスは食塩よりも毒性が低く(とはいっても食べないほうがいいと思う)「環境にやさしい元素」といわれ、化粧品、医薬品などに使われている。たとえばペプトビスモール(サリチル酸酸化ビスマス)と呼ばれる胃の薬である。ほかにもハンダ、低融点植字用合金、ドラゴンの卵と呼ばれる花火玉の主成分(三酸化ビスマス)、反磁性材料、合成反応剤としても使われる。ビスマスの用途、マスマス広がる。

[1] Nature Chemistry, 2010, 2, 336.
10.5.10

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テジョンの博物館に行く

 主題はcurrency(かれんしー)、何かわカレへンシーで入ると通貨の歴史。1902年当時の日本がすでに韓国紙幣を製造していた。「圓」という漢字が使われている。この日本語読みは「エン」韓国語読みが「ウオン」である。それから100年を超える韓国紙幣の変遷や世界の紙幣の図柄が列挙されている。2009年韓国は50000ウオン紙幣を発行した。この紙幣のニセ札作成防止のための工夫が満載である。正面からだと見えないけれど、斜め上からは見える図柄に、透かしは目線の角度次第で見える。通常のコピーでは鮮明さが失われ、スキャナーで読み取れば全体が薄暗くなる。加えて蛍光発光化合物を使ったデザインも施されている。この機能性をニセ札には付与することはできないと思う。これでモバイル機器に紫外線発光装置を内蔵すれば闇夜の取引でも本物であるかが直ちに分かる。光吸収は化合物の劣化を促す、それでも十年を超える単位で生き残る化合物を埋め込んでいるに違いない。紙幣には構造式はなかったがこの通貨の先端技術、痛快である。
10.5.9

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KRICT近くのBar

 で飲ませていただいた。ウィスキーを1オンスのタンブラーグラスに注ぐ。それを氷入りの直径10 cmほどのグラスへ入れてかき混ぜる。程よく氷が溶けると、さきのグラスへ返して飲む。横にはそれを手伝う方々もいるが言葉がわからない。それでも「ドラエモン、ポケモン、クレヨンしんちゃん」に反応はよし。「スラムダンク」は「アメリカ漫画」と言う。韓国オリジナルという答ならばよし、ここは反米「でも違う」よと主張するのに苦労。「ポニョ、トトロ、チヒロ」も同様、テレビは?に「ごくせん」ウオーそれは「ごくサイキン」、彼女は「テコンドー」も学んでいるので「テのコンダー」ルールがあるでしょうと言いたい、がすべてこちらの語学力が圧倒的に不足している。「海辺のカフカ」を読んだという「父、ネコ、図書館、母」などの「信号」を発信、それで二人はその世界に入った、1984韓国版もお楽しみにと、ホストの先生には同時通訳をさせてしまった。
10.5.8

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KRICTを訪問

 研究所[1]は昨年トップが交代した。そのため朝9時までに出勤してタイムカードに記録、帰宅も6時過ぎが基本である。今回ホストをしていただいている研究者は、国の大きな予算を獲得することができた。で研究所内の生化学から理論化学の研究者まで総勢50名を超えるメンバーのリーダーである。いわゆる協力講座は、彼のプロジェクトに関連する課題も担当している。だからか所内を一緒に歩いていると、しばしば頭を下げていた。自分たち二人が知り合った経緯などを「こんなふうに紹介しようか」と言ったら「所内にはいろいろな目があるので化学に集中してほしい」とのことであった[2]。いわば「太陽エネルギーの効率利用」のプロジェクトであるが、全体計画の端緒の話は「紀元前アルコールの醸造を人間は猿から学んだ」から始まる。修士時代は韓国で基礎有機化学を、その後北米で「大学院は触媒反応」「博士研究員時代は生物無機化学」に携わっていたという確かさが壮大なストーリーの隠れた支柱になっている。今回なぜ村井君にお呼びがかかったかの一端も分かったが「それはあくまで将来の話であるので気にしないでください」と何度も言う。論文のインパクトファクターに重きを置き、厳格なテニュアシステムを導入している韓国である。お蔭でたとえば「出身大学が研究費の配分基準」であったようなものがましになったらしい。一方で「わずかな成功者と多くの失業者」を生み出すシステムかもと危惧もしていた。加えて総人口が5000万人弱であることが抱える国の課題や、そのための良さ−こちらはあくまで我が国との比較でーを冷静に語っていた[3]。

[1]石碑には韓国化学研究所とあったがプロモーションビデオ日本語版では「研究院」と言っていた。
[2]この儒教系と欧米型を使い分けることができる研究者である。
[3]我が国のメディアも時には(いや常々)1億人を超える人口である国のすばらしい点を顕在化させたスタンスの報道もやってほしい。
10.5.7

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オリーブなどの果実に

 ミバエがたかる。その多さに「見栄えがするなあ」と関心している場合ではない。この場合には果実(かじつ)に確実(かクじつ)に被害をおよぼす。時には有益なミバエもいるとのことだが、果実にたかるので果実ハエ、英語ではfruit fliesという。そのミバエのストローの様な口先にある味覚ニューロンに伝達系があることを発見[1]、この伝達系のないミュータントのハエは、水をそれほど飲まないことを示した。この場合いわば「喉が渇いているかどうか」がわからないためであるらしい。この伝達系は、これまで知られている水分調整伝達系とは異なる類のもので、細胞の外の水分中の溶質の濃度が減少したときに、水を受け入れる。バクテリアも同様に外の溶質濃度の変化に応答する。
 この栄えある成果は、動物でも「水応答性味覚細胞」があって水を味わうことができているのか、もしそうならば、どのような機構なのかという興味ある課題を生起させるとのことである。

[1] http://pubs.acs.org/cen/news/88/i15/8815news2.html
10.5.7

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釜山からテジョンへ

 縁あって韓国化学研究所(KRICT)を訪問することになった。日本と同様韓国も子どもの日である。釜山空港近くからテジョンまで350km余りを2時間足らずKTX(韓国高速鉄道)で移動した。直接ホームに行く。改札でご挨拶しなくてよい、降車したときも切符を検札されることはなく、列車内でも車掌は数名いるが切符確認はしない。新幹線乗車では、改札・出札さらに車内での確認と念入りであることとは対照的なので、KTVは気風(きっぷ)がいいのかもしれない。ただ全席指定席であることがこれを可能にしている。インターネットなどで事前予約する。祝日など人の移動が多い当日には、切符が売り切れて乗車できないこともあるらしい。なので時に乗車率130%というのは日本独自である。KTXはフランスTGV方式を採用した列車で、普通車は横四列で固定式の椅子:一両の前半分と後ろが反対側を向いている。ファーストクラスは横3列でリクライニング可能、車内も「暗いにんぐ」であった。そこでは静寂が保たれていた。お休み用のアイマスクは無料サービスである。
10.5.6

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七人の侍から荒野の七人へ

 黒澤明監督生誕100年ということで、監督が題材になった書籍が新聞に掲載されていた。監督作品30本のうち「七人の侍」は世界的にも大人気である。野武士に痛い目にあわされていた村人が対抗策として武士に村を守ってくれるようにお願いする。前半は七人の人集め、後半は集まった武士たちと戦闘が分からない百姓たちで村を守るという話である。リーダーである武士が「こんども負けいくさになった。勝ったのはあの百姓たちだ」と言うところまで3時間余り。監督は黒澤明、アキラめずにたどりつくべし。
 でこれがハリウッド版としてリメイクされ、Magnificent Seven[1](荒野の七人)になった。日本版を知っていたスティーブ・マックインは、撮影中の映画をキャンセルするためにわざと自動車事故をおこし、この映画に専念したという。ジム・コバーンはまず「七人の侍」を知っているかと聞かれて「十日で十回くらい見た」と答えた。しかも日本版の「寡黙で腕の立つ武士」のハリウッド版の役柄だと聞いて感激したという。こちらは1時間半ほどで随所に違いもある。みんなで荒野にい「こうや」。

[1]今時なら、日本語タイトルは「マグニフィセント セブン」かな。
10.5.5

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丸岡啓二先生が

 第63回中日文化賞を受賞された。この賞は日本国憲法の施行を記念して、1947年に制定された伝統ある賞である。「学術・芸術の振興」を目的として、「文化の向上に寄与した個人や団体を顕彰」するものであるらしい。戦後2年足らずの時期に「人文科学、社会科学、自然科学全般」を対象とした賞を制定された「中日新聞社」の先見は凄い。今回も他には「大名文化の伝承と長年にわたる文化財の保存、公開(徳川美術館)」「歴史・時代小説の挿絵、装丁界の第一線で活躍(挿絵画家:西のぼる)」らが名を連ねておられる。で今回ご受賞された丸岡先生、1995年北海道大学に赴任した時が一つの転機であった。新設研究室で何もなかったとのこと、四十代前半の頃である。新聞には「少年時代は魚取りに熱中」「25年前に名古屋で買った包丁を愛用」とある。この「名古屋で買った」が重要、なにせ中日新聞である。先生の触媒は非金属であるが、その分の金属を、この包丁に使ってしまったに違いない。
10.5.4

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法事の末席に

 いた。多くは知らない方々である。紹介をしていただく場があったので、親戚の系譜を頭に描くことができた。20数名で、自分は若輩であった。一族郎党、従兄は25名ほどもいたと言う。年の差も親子を超える。淡路島南部が地場である。幼少の頃がよみがえる。「早朝、牛の乳しぼりに明日は起きて行く」と言いながら、結局起きたら、新鮮な牛乳が目の前にあった。それでも牛に餌をやるのは少し手伝うことができた。夕刻、祖父の家から、淡路島西方の海へ夕日が入る。真っ青な海に、柔らかなオレンジ色の太陽、いつまでも見ていた。独特の臭いもする。瓦を焼く臭いであった。眼下には煙突も見えた。それから十数年たって岐阜へ赴任した。当時と同じ臭いをキャッチした。ここは美濃瓦であると言う。その臭いはここには今はもうないが、淡路島では5月、淡路瓦400年祭とのこと。湿気の多い日本で育てた屋根瓦、変わらず家屋の頂点であって欲しい。オフィシャルサイト(http://project400.biz/)には、「・・・国の始まり淡路島は、まさしく“いぶし銀”の風合いと五感いっぱいに堪能できる奇跡の瓦島です。」とある。
10.5.3

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「as is」をめざして

 と数年前に書いてしまった[1]。「生意気に」である。学術論文は、学生の成果をもとに作成し、投稿する場合には「修正箇所なし(as is)」の回答を祈れども、そうはいかない。作成する時には、序の部分:研究の背景を過不足なく伝えることができているか。結果と考察:今回の新しい発見を冷静に示し「これ斬新」と思ってもらえる展開にできているか、総括:叙事的に述べ、この先もっとおもしろいと思わせることができているかなどと考えながらワードに向かう。詳細なデータの記載情報(supporting information)は、学生諸氏の論文をもとに編集。構文やスペルも繰り返しチェック、本文については英文校閲をお願いして完成させる。それでも掲載拒絶(reject)の知らせをもらうこともある。その場合は概ね、その論文誌が掲載しようとしている研究の位置づけに到達していない。すでに前例がある、緊急性がないなどという指摘を受ける。「ちょっと待ってよ、それ違うでしょ」とこちらが感じたときには、異議申し立てをすることもある。時にはもとの論文よりもそちらのほうが長い。そんな業界である。でいつものようにメールを見る。「Decision of your manuscript」(論文審査結果)と件名にあった。Rejectかと頭によぎったが「Both recommend "publish as is". We are glad to accept your manuscript without change.」(・・・変更なしで論文掲載します)とあった。「至福」の瞬間である。この場を授けていただいた学生、大学、すべての方々に感謝。

[1]月刊化学、2006, 8月号、p. 12.
10.5.2

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「よろずや」です

 各学年のガイダンスに始まった四月。欠席だった学生に来てもらって話もした。履修の届の遅延のため「ハンコ下さい」と神妙に来る学生に、なんでこんなのに「ハンコ」がいるのだろうねえと反抗しつつも学則などを確かめた。非常勤の先生が訪ねられた。日程の打合せもし、学務の方に連絡した。自分自身の講義も始まった。講義内容はそれほど変わらないけれど「私語はだめ、だけど面白いときは多いに笑って」という仕向けがいつも難しい。
企業の方が研究関連の話でお見えになった。研究費をあてこんで業者の方も来た。「購入予定はありませんので」と言うと、話題をすり替えて引きずろうとする。研究費の報告書も送る。研究論文の審査も国内外から飛んでくる。「研究者は論文の審査を断ってはならない」という大原則に従う。Invitation to Review •••とメールの件名だけで、論文のヴォリュームがわからない。おそるおそるagree(同意)すると、30ページを超える論文に専門外の部分も含まれていた。
学生さんの研究テーマを発表、雑誌会に歓迎会、加えて「内部監査」役を仰せつかった。関西人だからご指名を受けたのかと思いながらも、書類を確認。自分なりのポイントを考えたり、提案をしてみたいと思っても、なりたての監査役、頭の中は閑散である。
 なんだかこの一ヶ月様々なことに対応したような、まさによろずや状態であった。八百万(やおよろず)の神には「全部はできませ〜ん」とお許しを願わなくてはならない。
10.5.1

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