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2010年6月

決着をつけるために

 PK戦が行われた。予選リーグだと引き分けで勝ち点をそれぞれもらう。高校野球だと引き分け再試合となって、あくまで試合そのもので勝者を決めるが、サッカーではペナルティーマークからの蹴り手にキーパーが対峙する。岡田ジャパンはこれで大会が終わった。「選手の皆さんありがとうございました」という中で「PK不成功だった選手の思い」を感じるといたたまれないけど、感じきることもできない。
 なので化学にもどる。PKはリン、カリウムこれに窒素を加えた「窒素、リン酸、カリ」は三大要素、わカリますか。農業で使われる配合肥料に含まれる。このうち南米チリからの硝石の供給が不安定になったことがハーバー・ボッシュ法開発の始まりで窒素は安定供給される。一方でリン資源の枯渇が深刻である。特に我が国はリン鉱石をすべて輸入に頼っているという。
 試合の余韻でまだポカン(PK)な人は、Pikachu(ピカチュウ)に刺激してもらおう。こちらも世界で活躍中である。
10.6.30

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レンコンは

 ハスの地下茎であり、輪切りにすれば「先を見通す」ことができるというので縁起物としても料理に使われる。栄養があるかどうかはともかく、根菜類であるレンコンを、「新婚(シンコン)さんも使ってね」と懇々と伝えたい。そのハスの種の成分を研究の「ネタ」にしたグループがある[1]。HPLCなどを使った分離、ESI-MSによる分析を駆使した。その結果、外側の皮は複数のグリコシル化されたフラボノールを含み、ケセルチン(フラボノイドの一種)の含有量が高かった。抗酸化作用すなわちヒドロキシルラジカルや過酸化水素の捕捉能も評価された。含まれるフラボノール誘導体は高い値を示し、様々な疾病治療や予防のための有用性や高い栄養価を持つことがわかった。さらに詳細な研究も必要であるが、中国では大量のハスの種がカスとして廃棄されているという。やがて「ハスの種成分配合の健康食品」(ただし中国産)が市場に出回るかもしれない。ちなみにハスの種は硬いので削ってから植えるそうである。その時はヤスリを使うとヤスあがリである。

[1] Kredy, H. M. et. al., Eur. Food Res. Technol. DOI 10.1007/s00217-010-1287-6
10.6.29

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中国伝来の鍼(はり)治療

 は、気休めで痛みが軽減されるわけではなく、神経伝達物質アデノシンに由来する[1]。片方の足に不快感のあるネズミ[2]に、はり治療を施したところ、アデノシン三リン酸(ATP)の放出される量が増加した。ATP放出は、あたかもはり治療の様にハリを刺して回し、細胞に小さなキズができた時にだけ起こる。放出されたATPは直ちにアデノシンに分解するが、アデノシンは痛みを抑制する化合物であり、炎症を抑制し睡眠を促進する。神経伝達物質は、痛みを伝達する神経繊維にあるアデノシンA1受容体を活性化し、神経活動を低下させる。はり治療がなくとも、2-クロロ-N-シクロペンチルアデノシンを注射することでも同様の効果があった。A1レセプターのないネズミでは、たとえ「はり治療」を行っても効果はなく、ハリあいがなかった。白血病治療薬であるデオキシコンフォマイシンは、アデノシンの量を減少させるAMP脱アミナーゼやアデノシン脱アミナーゼの作用を抑制するが、はり治療の効果が継続中には、この持続時間も三倍になることがわかった。痛みを感じたら「アデノシン殿、はりーアップ」と呼んでみたい。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, June 7, p. 37.記事のタイトルはNeedling Adenosine(訳は「アデノシンを注入」かな)。あるいはneedling question(意地悪な質問)のneedlingか。
[2]どうやって育てたのか不思議です。
10.6.28

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祝賀会に出席しました

 歓談の後、教え子代表の漫談、恩師の語録を紹介、すごろくではない。「1、ちょっとえげつないほうがちょうどええ」「2、安もんの○○[1]みたいなん、あかん」「3、ほんまもんはとどめさせへんで」など、これらは学会発表資料作成に関する事、質問に関することである。学生時代に2を聞いた時には、人生で○○を見た事もなかったので意味がわからなかったらしい。お聞きすれば「見せるんか、見せへんか、わかれへんような発表はいかん、見せるのやったらさっさと見せなさい、どうせたいした結果と違うのやから」というのがその極意であったらしい。研究室時代は「色々調べて考えて考えぬいて実験をやる方法」「まあとりあえず混ぜてみい」という両輪が必要であると教えていただいたこと、タイに出張された折に買ってこられたドリアンの臭いのこと、先生はマラドーナの様で、ピッチの内でも外でも凄いし、内では時々「神の手」を出されるなど、話は尽きなかった。
 先生のご挨拶「いい仲間、分野、運に恵まれた、研究室を持っていたときには学生さんと「full time devotion to chemistry」でやっていた」、ここでも奥深い話を聞かせていただいた。

[1]「ストップ」のどこかに、「リ」を組み入れて言葉を作ってみてください。
10.6.27

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ヒドロキシラジカルと

 分子状酸素が一時的に結合することが重要な役を果たすかどうかが、大気化学では、長い間話題になっていた。その結果「No」という結論が出された[1]。•OHは大気中の汚染物質を掃除できる分子モップのように振る舞い、一時的に酸素と結合、水素トリオキシラジカル(HO3•)に変化し隔離されうることを、実験、理論いずれも提案していた。フランス・レンヌのピカードらのグループは、レーザー誘導蛍光を使って、酸素存在下、様々な温度での•OHの反応をモニターした。これらからHO-O2結合の形成・解離の熱力学を決定した。その結果その結合はあまりに弱く、実質的あるいはしばらく寿命のある量としては存在せず、地球上のどんな高度のところでも0.1%未満であると結論している。「取り置きしてあった」トリオキシラジカルの考えがレンヌで消えてしまった。憤怒(ふんぬ)して、ピカードにイエローカードを渡したい提案者もいるかもね。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, June 7, p. 38.
10.6.26

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決勝トーナメント

 進出のニュースをラジオで知った。得点シーンのつぎに岡田監督インタビュー「われわれはサッカーが、選手、コーチ、スタッフを含めたチームプレイであることを証明するためにやっている」とのこと、試合直後にも関わらず、戦術、戦略を超えた理念にも近い言葉が出た。カメルーン戦直後の「試合終了のホイッスルは、次の試合開始のホイッスルだと考えている」という監督の言や、本田選手の「優勝を日本の国の人に約束してきたんで・・・まだまだ遠いですけど」とも対照的である。先の言葉、たとえ優勝できても「証明できました」というものでもないところに含蓄がある。
 トーナメント進出16チーム、世界地図で国の場所、言葉、人口、宗教、文化なども確かめたい。そのうち15チームが一敗し、1チームだけが無敗となる。負け続けるわけではないが、一敗をもらった瞬間にそのチームの大会が終わる。次の対戦相手は南米ほぼ中央に位置して海に面しない国パラグアイ、腹具合(はらぐあい)を整えて声援を送ろう。
10.6.25

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ここにも掛けてある

 とすぐに気がついた。本部棟のある部屋のカレンダーである。普通ならば「わカレヘンダー」ったかもしれないが、自分の部屋にもある。右下にJALとある。お世話になっている旅行会社からいただいたけれど、来年はないかもしれないとも思う。月めくりのもので、世界のある場所をバックにエキゾチックな方がたたずんでいる。ただ住んでいるわけではない。今月はベルリン中央駅。ホーム全体がドーム状に覆われていて、太陽の光がホームに注ぐ。3年前、地下ホームに到着、地上ホームでワルシャワ行き乗り換えた。駅は4階建てだったか、中には寿司バーもあった。ユーロをポーランドズローチに換金した。ユーロの交換は憂慮(ゆうりょ)するほどではなかった。ドイツの駅には改札がないので、外に出てかすかにベルリンの壁をみた。
 月々の写真は、昔の記憶を刺激し、まだ見ぬ地を想像させる。7月はグランドキャニオン南部、アリゾナである。そこに行くのも「アリやゾナ」と赤茶色の広大な風景に魅せられる。
10.6.24

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Phar Lap(ファーラップ)

 は、オーストラリアで最も有名な9割近い勝率を誇る競走馬であった。車から狙撃されたこともあったが無傷であった。けれども1932年メキシコでのレースの後カリフォルニアで、激しい苦しみを伴って不審な死をとげた。検死の結果も曖昧で、毒殺や、細菌による胃腸炎などとされた。オーストラリアでは2006年、ファーラップの剥製の髪の毛からヒ素を検出し、毒殺説が有力になった。今回、髪の毛やたてがみの位置とヒ素含有の相関をシンクロトロンX線蛍光マイクロプローブ(XRF)などのスペクトルからヒ素取り込みの年代記の解明を目指した[1]。データは髪の毛の位置によるヒ素含有の偏りを示し、また別のデータはヒ素が主にグルタチオンヒ素(III)として含まれていたことを明らかにしている。これらのデータと「馬の毛は一日に390~1260ミクロンほど伸びること」[2]やヒ素化合物の代謝時間との関連などから、死の直前に大量のヒ素化合物を服用したことが明らかにできた。では実際それがギャングのせいか、当時は強壮剤にヒ素が含まれていたのでそれによるものかなどはこの研究の枠外である。「最後の数日に起こったことは謎に包まれたままである」で論文は結ばれている。

[1] Kempson, I. M.; Henry, D. A. Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 4237.
[2]ヒトの場合は、およそ330ミクロン伸びるともある。ただし村井君は別
10.6.23

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エノラートイオンは

 有機化学を学んでしばらくするとお目にかかる化学種である。「電荷はもっぱら酸素上に、反応は通常炭素上で起こる」ということで「ええのら〜と」理解されている。このエノラートイオンの炭素原子(もとのカルボニル化合物のα炭素)をケイ素原子に置換えた化学種の分子構造、電子構造が興味深い。電気陰性度を考えれば、酸素上に電荷が局在する可能性が高いと予測される一方で、そうなれば炭素−ケイ素の二重結合性が高まり、その結合は炭素−炭素結合に比べて安定性が低下する。かといって電荷がケイ素上に局在する構造は、電気陰性度の傾向に反する。「こちらが立てば、あちらが立たず」である。この課題は比較的古くから検討されてきたが、ここではいわゆるシラエノラートイオンの構造がX線構造解析、DFT計算で明らかにされた[1]。溶媒和によってどちらが優先するかが変わる点、新しい。溶媒和がないときにはエノール形、またカウンターカチオンが溶媒和を受ければケト形が優先する。ただ今回のシラエノラートはケイ素上にケイ素置換基がある。まだまだシラエノラートのこと、シラネ〜トいけない。

[1] Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2010, 49, 4084.
10.6.22

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ひとつとばしのポリエン

 たとえばオクタ-1,4,7-トリエンのことである。1,4,7にどんな手が「トリエンねや」と牌が浮かんでもしばらく我(慢)マンジャン。アルケニル基が連続で繋がった化合物(polyenes)に対して、アルケニル基、メチレン、アルケニル基、メチレンと交互に並ぶ化合物がskipped polyenes と呼ばれる。I skipped school.(学校をさぼった)のskipとは少々意味が違う。この様式の化合物は、抗生、抗真菌性薬などへの展開が期待されていたが、これに様々な置換様式を持たせ、立体化学を制御できる一般的合成法はなかった。反応条件次第で容易に異性化し共役ポリエンになってしまう可能性もある。そこでスクリプス研究所(フロリダ)のMacklinとMicaliziaoは、ジアゾ酢酸アリルから数段階で調製できるビニルシクロプロパンとアルキンまたはビニルシランとの反応での合成経路を開発した。これで複雑な骨格を有する薬効性を示す誘導体探索の道をスキップできそうである。
 開発者を「ポリエンモン」と名づけたい。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, May 31, p. 51.
10.6.21

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生協書籍部に

 立ち寄った。内田樹先生のコーナー、と言っても五種類ほどだけどね、がある。そこに顔見知りのスタッフがいたので「一番人気は」と聞く。「やっぱり、街場の教育論ですかねえ」「そのうち街場のマンガ論も出版されるので、期待しておいて」となぜだか宣伝をする。タツラー[1]になってしまったが故である。話題を変えて「ちなみに売れ筋の小説は?」「ミステリーは人気ですねえ」「伊坂さんとか[2]」「それはもちろん・・・1Q84 book 3は発売当初、仕入れることもできなくて、本がそろったらブームも終わっていたりして」と言う。「他には」「海堂さんも人気で」とお医者さまの名がでる。とはいえこれらを十把一絡(じっぱひとからげ)にミステリーと言ってしまうのは惜しい。で「今話題の映画[3]、告白(湊かなえ著)は?」「あれは本屋大賞をもらって、ほとんどすぐに文庫なって、映画なんで、すごく話題で売り切れてしまっています。来週火曜日には入る予定なので・・・先生の為に一冊確保しておきますね」と言っていただいた。

[1] 内田樹(たつる)先生にのめり込んでいる人をタツラーと言うらしい。いタズラー好きでもある。
[2] 遅ればせながら「オーデュボンの祈り」拝読しました。ストーリーラインのひとつは、鳥と案山子(かかし)、欠かして欲しくない一冊である。
[3] まだ読んでいないし、見ていないので内容はよく知らない。でも6月5日封切りで、英国、アイルランド、香港、台湾でも上映予定、しかもハリウッドからはリメイクのオファーもあることに衝撃を受けた。何がインターナショナルを焚き付けるのかミステリーである。
10.6.20

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違い・間違いに気づきたい

 時に留学生と話す。一様に丁寧で「大変お世話になっています」と言う。中には「大変なお世話になっています」と言われて、少々違和感を感じるけど納得している。あるとき「大きなお世話になっています」と言われた。「違うよ」と言おうとして説明の長さに気がついてあきらめた。同時に「英語では同様の間違いをしでかしていること、しかもそれに気づかないでいること」にも気づく。以前「異なる置換基を導入すれば収率はわずかであるが向上する」と書いたつもりの英語が添削の結果「異なる置換基を導入しても収率はほとんど向上しなかった」という文意のスマートな英語になって戻ってきた。だからいつまでたっても英語を使うのは恐ろしい。
 加えてこの「違い」や「間違い」に気がつくことは「間違いの訂正」以上に大切である。「言われても気がつかないやつ」と自分が思うことや思われることもある。たとえば有機化学では、巻矢印で結合の形成・切断を電子の流れとともに表す。始めはなじみがなくて難しい。だから「プロトン(H+)[1]は電子を持っていないのでここが矢印の始まりになることはない。これだけは絶対に」と数回繰り返す。でもなぜか今年はすでに9回講義を行っていても、提出してもらっているクイズの答えにこの型の矢印が登場することが目につく。

[1] 10数年前から「pronto」と言う名前の全国展開する喫茶店ができ、今では韓国へも出店している。見るたびに「プロトンや」と思ってしまうが、こんなことは別に気がつかなくてもよい。
10.6.19

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ヘビがしっぽを加えて輪になった

 夢をみてベンゼンの環構造を思い描いたと言われているケクレ。1865年にベンゼンは六角形の環であること、四価炭素に水素が一つ結合、ついで隣の炭素と結合していることを提案した[1]。この無尽蔵の宝庫のような概念は、多くのベンゼン誘導体の存在が予測され、それらが実際に合成されたこともあって、すぐに受け入れられた。歴史家の中には、ヘビの話はケクレがどこかから借りたものではないかと指摘している人もいるらしいが、ここで紹介されている本の著者A. J. Rocheは「四価炭素、ベンゼン環の概念」は1854–1865年のあいだケクレの心にあったものであると言う。この著者の主題は「人の心は、理路整然とした言葉としてよりもはるかに、視覚的に機能する、自覚している以上に」である。「大事な発見やアイデアが生まれる時化学者は想像力を発揮し、ミクロの世界を視覚的に捉える方法が導かれる」とのことである。本ではこの視覚化による発見や理論構築の他の先人たちのことも紹介されている。
 ちなみに「独創の最初の一歩は、とつとつとした言葉の並び[2]や、うまくは書けていないけれどもメッセージ性を持つ絵」である。それでも世に送り出すときには、不必要なものをそぎ落とし「最初からすべて仕組んだように」見せることも多い。それを見抜けるようにもなりたい。

[1] Nature, 2010, 465, 36: Image and Reality : Kekule, Kopp, and the Scientific Imaginationの紹介記事、なのでこのブログは紹介の紹介です。(しょ)うかいな
[2]このアイデアは、内田樹先生「こんな日本でよかったね」(略称:こんたね)からも学びました。
10.6.18

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パソコンのセキュリティー

 のためにダイヤル錠とワイヤーを渡した。「誰が買ってきましたワイヤーを」「それは、わいや[1]」では並である。「ウイルスバスターだけでは、だめなんですねえ」にヒットする。パソコンには、盗難防止いわばハード面でのセキュリティーに、害を及ぼす情報の侵入を防ぐソフト面でのそれもある。他にも多くのセキュリティーを気にしなくてはならない。個人情報の管理や時々のバックアップ、これだけでもアップアップである。ジャンク(ゴミ)メールの潔い消去も必要だけれど、まれに大切なメールもある。奇しくも差出人Reformからのメールである。件名は「出席予定の国際会議」内容は「参加登録費支払いのクレジッドカード番号が不完全であったので、番号を教えて欲しい」とある。宛名が「Dear Madam/dear Sir」でカード番号は12個の数字番号とある。16個だと思うが国によっては12個なのかとも思う。まずは「送り先が間違っていませんか」と返信した。

[1]関西では、わし、おれのことを「わい」とも言う

10.6.17

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東大・安田講堂がAngew. Chem. 誌に

 安田講堂は、およそ40年まえの東大闘争の頃、全学共闘会議によって占拠され、機動隊がその後それらを強制的に排除した講堂である。その後一時はほとんど廃墟と化したり、今ではここでの卒業式の様子が全国ネットでも報道される。この講堂に新しいページが開かれた。Angew. Chem誌[1]の表紙を飾っている。工業地帯を遠景に、近くには安田講堂である。その間にここではサッカーならぬバレーボールネットが張られ、Rh君とRu君がボールをパスしている。H2/CO雰囲気下、末端アルケンのヒドロホルミル化つづく還元反応が、これらそれぞれの金属錯体が触媒して連続的に進行、一級アルコールが高い選択性で導かれるという野崎先生らのグループの反応結果を題材にしたもので「学術的な発見を工業的利用にパスすること」が表紙のモチーフである。ちなみに個人情報保護のためかバレーボール選手を買って出た学生さん(もしかしたらスタッフか)は向こう側を向いている。

 皆さん、くれぐれも表紙を見落とさない様に、見落とせば拍子抜けである。

[1] Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, No. 26のCover Picture
10.6.16

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7年ぶり・12年越し

 小惑星探査機「はやぶさ」が7年の年月を経て、艱難辛苦にうち耐えて帰還した。一時は「行方を聞かん」ときもあったが、技術と運がこれを地球に引き寄せた。従来型ヒドラジン系エンジンに対してイオンエンジンがこれを可能にした。「マイナスイオン」と同類にしてはいけない。電荷を持つ種が推進力をつくるらしい。また小惑星「イトカワ」の破片が学術研究をも推進する。
 この話題を「ワールドカップ海外初勝利」のニュースが飛び越えた。この12年越しの快挙に始まって、選手の昔話、同僚や高校時代の恩師などがしばらくメディアの中心に据えられるはずである。その流れにつられて「高校で部活動やってたら、岡田さん、グランドでボール蹴ってはった。弱小サッカーチームやったけど一人すごかったらしい。体育の先生もそう言うてはった。あのメガネ昔と同じやで」と言い出す自分もその類、いわゆるミーハーである。
10.6.15

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ワールドカップ・トロフィーは

 18カラット純金4.9 kgとマラカイト入りで重さ6.175 kg、FIFAは「金属部分は純金である」とアナウンスしている。それに対して「頭のボールの部分は純金じゃなくて、中は空洞か、ほかも金箔が使われているのでは」とノッティンガム大学の先生が指摘する[1]。FIFAは「サッカーく(錯覚)でしょう」というかもしれないが、紀元前アルキメデスが「王冠は純金かどうか調べて欲しい」と王様の命を受けたこと、お風呂に身体を沈めるとお湯があふれたことから謎解きのヒントを得て、裸で飛び出したという話がよぎる。FIFAは現在、優勝国にトロフィーは授与するものの、その後すぐにそれを回収しレプリカを渡す。ちなみにレプリカは制作者自身が作成するコピーであってプリペイドカードの類ではない。またその先生曰く「もしすべて純金であれば少なくとも70 kgの重さになり、授与されたものを片手で持って走ることは困難である」。金の密度は19.5 g/cm3で銅、銀、鉄などに比べて大きい。この違いを2500年も前にアルキメデスは、体積との関係で見破った。今回優勝国の選手には、レプリカに交換されるまえに、トロフィーとひと風呂浴びて、南アフリカに「あふりかえるファン」にも謎を明かして欲しい。

[1] http://news.bbc.co.uk/2/hi/world/africa/10301713.stm
10.6.14

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8月第一週が試験期間

 である。文部科学省の「半期16回の授業回数を確保すること」と言う指導に対して、本学は8月最初の週を試験期間とした。まだ二ヶ月程先の予定であるが、「その時に実際に試験を行うかどうかを先生方にお聞きする様に」と言う依頼の締切が先週であった。「そんな先のことわかりまへんで、明日生きとるかどうかもわからんのに」とはいかない。ほとんどの先生方が「やりますよ」という回答であった。学生にとっても試験週間である。クラゲの出ない若狭湾での海水浴の機会を益々奪い、試験のため教室はエアコンを稼働させエネルギー消費に積極的に貢献する。また夏休みはその後9月末までとなっているが、9月上旬には後学期の履修登録が始まる。Webなので、仮に上海万博のために中国にいても登録はできるはずであるが、それでも講義のことは頭から離れない。本来は「精魂こめてやりきる時とその後のつきぬける開放感のギャプ」を実感できてこそ、思考のダイナミックさも育つと思うのだけれど、お勉強をさせようとする磁場の方向が気になる。

10.6.13

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一貫した英語の授業を

 導入しましょうという話である。学期毎・学年毎に継続性のある講義科目にしたいとのことである。大学へ入学すると通常、全学共通教育である。複数の先生が16回分を担当する科目も多い。この場合いわゆるオムニバス形式のバスは乗り降り簡単で、数回休んでも話は分かるかもしれない。これは一昔前の教養部の講義で、中には「先生の専門とする部分の話だけ」というのもあってそれに対する反省かもしれない。たとえば「高松塚古墳」について半年間、話が続く。どの部分に何が描かれて、それは何を意味していたのかという具合である。ここで「古墳」はあくまで対象で、考古学なり歴史学のアプローチの方法を伝えているのだよと言うふうに、教える側、学ぶ側で共有することができていれば、少しは事情も変わったのではないかと思うが、そうではなくて「マニアックな知識の詰め込みか」とも思われて学生には不評であった。結果、短編集の寄せ集めのような講義も増えた。で今回の「一貫した英語の授業を導入したい」は、そのまた裏返しであると考えると悪くはない。学ぶことは基本的に「累積型」で、それを学んだことそのもの、その課程を経たそのこと自体が大切である。加えて課程を経た後「自分って英語ほとんど知らんわ」と実感できれば、卒後の学習意欲も起動できる。ただバスから落ちそうになる学生さんたちをつなぎ止めることができるガイドさん、しかも「二度とこんなの勉強したくない」とは決して思わせないガイドさんを捜さなくてはならない。いガイト難しい。

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例年の如く、でも違う

 有機化学の基本的な講義である。大切な反応をプリントして配布、それを順番に性質や反応様式を説明する。トーンを変えずに話して、本人は時々ギャグを入れているつもりである。「点電子構造で、てんてこ舞い」「棒を使わないで構造を書くのは無謀」とか言いながら「線構造を採用したことで、孤立電子対が隠れた、つい最近」とも続けていたが、今年度、学生さんは神妙に聞いているのみの感である。例年は同じ頃に行う授業アンケートの自由記載の欄にもギャグの一つや二つが書かれていた。先週やっとシンナムアルデヒドこれはシナモンに由来「シナモンの入ったしなもん知ってる」で少し反応あり、今週「有機キュプラートをつくるにはヨウ化銅を使う。これはイトーヨーカ堂のヨーカ堂と違って銅化合物」で少々笑みがあった。同じ日例年と同様、ほとんど同じ問題、同じ形式で中間テストを行った。結果、過半が再テストという前代未聞の事態になった。抑制的な反応と関連はあるのだろうか。この調子でいけば来年は受講者急増で、講堂で講義をするはめになるかもしれない。
10,6,11

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Pd(III)化学の始まり

 Pdの酸化状態は0, +1, +2, +4が知られている一方で+3の例は三つ知られているのみである。[PdF6]3-と、トリアザシクロノナンあるいはトリチアシクロノナンが配位したPd錯体で、これらはPd-NあるいはPd-S結合のみを有する。他の単量体Pd(III)錯体も触媒反応では提案されているが、単離した例はなかった。それに対して、ピリジンの2,6位にそれぞれメチレンを導入した置換基二つを二つの窒素原子に結合させてつくる四座配位子を調製する[1]。そのうち二つの窒素は形式上-1価でこれを使ってまずPd(II)錯体を調製しその酸化でPd(III)であるカチオン錯体を得た。Pd上には他に塩素、メチル基が結合する。これに光照射をすれば、エタンが発生する。メチル基の代わりにフェニル位があれば、同様の反応はビフェニルを与える。メチル、フェニルの混合物では、トルエンを与える、このPd(III)の化学の研究は酸化的炭素−炭素結合形成のための触媒開発、たとえばメタンからエタン合成のような反応の一助になるであろう。とのことである。
「三価が酸化的反応に参加すると」注目度抜群、皆さん、はなサンカなあ。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, May 24, p. 9.
10.6.10

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洗剤を使わないで

 水アカなどを落とすというメラミンスポンジ、研磨することで表面の汚れを落とす。好みの大きさにちぎって使うことができる。基本的に消しゴムのように、使うと少しずつ小さくなる。消しかすに相当するメラミンかすが、どうなるかは「みなミン」ことに。この樹脂、メラミン[1]とホルムアルデヒドとの重縮合でつくる。この重合あるいはその後の加工の段階におそらく秘密がある。BASF社のそれはBasotectという商標である。低密度(軽さを示す)、高い吸収力、難燃性に耐熱性であるとホームページに書かれている。最新のものはBasotect Wである。キャッチフレーズはWhiter than white。このBasotectが日本のあるメーカーとブランド提携し「ピカ王」を販売するという[2]。パソコンの内側にインテルのロゴがあるように、このスポンジの中に、BASFのロゴがある。ただし見るのは「ロウゴ」の楽しみに

[1] ベンゼンの一つおきのCHをNに置換え、残ったCHをCNH2に置換えた化合物
[2] Chemicals & Engineering News, 2010, May 24, p. 19.
10.6.9

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防腐剤か冷蔵か

 スキンクリームやシャンプーに含まれる防腐剤は、感染、発疹、バクテリアによる被害などから肌を守る。一方これらが内分泌かく乱作用や発がん性を有することが心配される[1]。その結果防腐剤の代表であるパラベンやホルムアルデヒドを使っていない、さらには防腐剤そのものを使っていないとラベルされているパーソナルケア製品も出てきた。これに対して防腐剤のコンサルタントは、パラベンフリー、防腐剤フリーは「でたらめの科学」を促進するものであって、誤った情報は「化成品はなんでも安全ではない」という風説に関係していると指摘する。パラベンの発がん性については2004年にDarbreにより報告され、最近の彼女の総説でも、女性の乳ガン発生や男性の生殖機能不全の可能性を指摘している。一方でFDAなどは彼女の実験が、パラベンのその可能性を特定するものではないとコメントしている。また現段階では、パラベン、ホルムアルデヒドに代わる安全性が保証された防腐剤はなく、それを開発し安全性を実証するための莫大な経費を投資することも難しい。天然から採れた物は様々な成分が含まれていること、価格もパラベンの20倍以上であることなど課題である。別のアプローチとして、天然成分を化学合成することも行われている(いわゆる天然成分配合というやつね)。もし防腐剤が入っていなければ、たとえばシャンプーは、使用中に混入するお湯で、バクテリアが成長し、人的悪影響を及ぼす可能性がある。なので使ったあとは、冷暗所保存のため風呂場に冷蔵庫の設置が必要であるらしい。さすれば設置された冷蔵庫では、ビール、吟醸酒に「枝豆、冷や奴、いかそうめん」も冷やされるに違いない。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, May 17, p. 14. 副題にはConcerns over ••• dog cosmetic makersとある。~に関する関心は化粧品メーカーをdogする?!、で検索、ここのdogは「〜を悩ませる」かな、dogに悩ませられた。
10.6.8

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除草剤をキャッチ

 農作物を育てる時に除草剤を使う。そのひとつアトラジン[1]、2003年米国では3万4千トン使用されたとある(Wiki)。残留性も低く、使わなかった場合の損害の大きさも記されている。それでもカエルを激減させているとの報告もある。そこでこのアトラジンを分解するために、リボスイッチと呼ばれるRNAを使うことが検討された[2]。まずRNAのライブラリーからアトラジンを捕捉できるものを探索する。だめなものは「アットラジン」と言って見捨てる。捕捉した後にアトラジンの配座を変化させる能力もRNAには求められる。リボスイッチがここでは「厄介なものを捕まえてはそれを分解、直ちに分解物とはお別れしてさらに厄介ものに向かう」ものでなくてはならないらしい。「これはリボスイッチの気の利いた使い方だけど、現段階でどんな利点があるかわからない」ともあった。未だ先への展開のスイッチは入らずか。

[1]ベンゼンを書く。ひとつおきのCHをNに入れ替える。残ったCHの一つをCClにあと二つをCNHCHMe2に入れ替えた化合物
[2] Chemicals & Engineering News, 2010, May 17, p. 12.
10.6.7

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かんむりが「たけ」か「くさ」

 菅総理が誕生した。これまでずっと「くだ」とも読めるのでパイプ役も絶妙かなとも思っていた。くだらん考えであった。初めて気がついてお恥ずかしい限りである。じっくり見ると総理の「かん」はくさかんむり。菅原道真の「菅」である。総理に知れると「おかんむり」になってしまわれるかもしれない。
 さて「管」「たけかんむり」である。先日来「危機管理」について調べていて、「危機」を管理するって変「財産管理」「在庫管理」とか、目の前にあるものならいざ知らずと思ったが、ここでは辞書を引いた。管理の二つ目に『事が円滑に運ぶよう、事務を処理し、設備などを保存維持していくこと』とあった。これから先に起こりえる「よくないこと」を想定して事前の対策を講じるようなことかと納得。それで万が一そのことが起こってしまってもその被害を出来る限り小さく抑えたいということである。とはいえ「おぼれるかもれないので水泳しない」「交通事故に遭うかもしれないので自宅に引きこもる」というのもつまらない。大いに楽しんで大過なくその日を過ごすために管理する。野球場の金網や選手がつけるヘルメットは、危険予知した対策である。このアイデアを組織にも拡大したのが「危機管理」である。Wikiによれば第一次世界大戦まで遡るらしい。まず「なにが想定される危機なのか」から始めなくてはならない。「あの先生怪しいので見張りをつけましょう」となれば自分が第一候補になってしまう。それは避けてもこれから「危機管理」とは長いお付き合いになりそうである。
10.6.6

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平成になって16人目の

 首相が選ばれた。二年以上その地位にいたのは3名である。イギリスの様に、サッチャー女史やブレア氏が10年以上その地位にいた国から見れば「ころころ変わる」と思われるかもしれない。ところが幸い一年前後で首相が変わっても、暴動が起きたり、予算執行に重大な支障をきたしたりということはなかったと思う。おそらく国のシステムがそういう事態を回避できる様に組み立てられている。これは霞ヶ関を筆頭とする公務員組織の功績も大きい。基本は「杓子定規」である。だれが長になっても、だれが担当しても、どこかに明記されたやり方や慣習に従って粛々と進める。担当する者の裁量を最小限に抑えるシステムである。なんだかファストフード店で働く様な話になってしまった。同様に首相や内閣が短命であればあるほど、このシステムの良いところや闇の部分が見破られずにすむ。メディアも「首相が変わっても激変はないやろう」という安心感からか、首相の言動の不備などを指摘する。首相の「リーダーシップの欠如」「資質のなさ」という定番の文言を使っては、支持率の急降下を助長しているようにも見えた。一年前の新聞の見出しと今年の見出しにさして変化はない。この親密な間柄にあるメディアと霞ヶ関とのおつきあい、その勘(かん)所を、新首相は心得ておられると期待したい。
10.6.5

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HeckかMizorogi-Heckか

 1968年Heck先生は、Pd塩が媒介するアルケンと芳香族ハロゲン化物のカップリング反応を報告した[1]。当時このHeckの発見に「へっく」り返るほど驚いたはずだが、ここでは化学両論量のPd塩を使っていた。1971年地球の裏側では、この反応が再利用可能なPd触媒で達成された。東工大に所属されていた溝呂木先生である。現在Heck反応と呼ばれている反応の最初である。1972年Heckらは、さらに実用的な系を、また溝呂木らも詳細を1973年に発表した。溝呂木先生は、1980年47歳でご逝去された。Heck先生は1989年研究費を獲得することが困難になって58歳で引退された。で記事では、新反応が人名を冠して呼ばれるにはどのような場合かという話から、今回の場合について意見交換されている。辻二郎先生は1995年自著の中で、Mizorogi-Heck反応と記された。加えて「Heckは紳士的で、Bull. Chem. Soc. Jpn.誌にあった溝呂木氏の論文も正しく引用していた」とコメントされている。Heck先生は「どちらであっても気にしないけれど、Mizorogiが最初に発見し、自分も間近にいた。残念ながらMizorogiは早くに亡くなってしまった。もし生きていればMizorogi reactionと呼ばれていたかもしれない」と述べておられる。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, May 17, p. 31.
10.6.4

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金属−ケイ素三重結合

 金属アルキリジンとして知られている金属−炭素三重結合を有する遷移金属錯体は、最も重要な有機金属化合物の一つで、部分的にはアルケンメタセシスに関するノーベル賞受賞研究の礎である[1]。これに対して炭素原子をケイ素に置換えた金属シリリジン錯体がドイツジン(たぶん)A. C. Filippouらによって初めて合成された。これまで彼らは金属−Ge, Sn, Pb三重結合化合物の合成に成功していた。ただしこれらが何ジンかは言及されていない。一方ケイ素については前駆体として何を用いるかが課題であったが、イミダゾールN-ヘテロカルベンで安定化されたシリレンを選んだ。ケイ素上には塩素と、2,4,6-トリイソプロピルフェニル基が組込まれている。これをMo前駆体と反応させM=Si中間体を形成、ついでトリアリールボランとの反応でシリリジン錯体を導いている。これを起点にシリリジン化学領域が開花し、含ケイ素多重結合を有する化合物への新しい手法の開発の可能性も指摘されている。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, May 10, p. 37.
10.6.3

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人を動かすことば

 について「政治家の言語力」を題材にお話を聞いた[1]。「事実・数字を与えれば、人は合理的・理性的・意識的に判断する」という300年前の考えは、言葉に関する限りはそうではない。言葉をキャッチする時は、直感的、無意識的、瞬間的で、フレームに大きく影響されると言う。たとえば「抵抗勢力」「コンクリートから人へ」というのもこのフレームの類である。トークには、リポート・トーク(情報、数字、論理)とラポート・トーク(情緒、共感、感情)があり、いかにラポート・トークをして共感できるフレームをつくるかがポイントである。ドラマ性、人間性、個人が埋め込まれた「短い言葉」の繰り返しに人は惹かれていくと言う。昨年衆議院議員選挙の際の候補者や応援演説を例に、リポートのみかラポート混じりかを見せる。ついで語りを改善するためのSHARP方式について紹介される。S(story):物語や具体例、H(humor):ユーモアを言うもんや、A(Analogies):たとえ「だとええ」、R(References and quatations:引用も「いいんよう」、P(Pictures and visual aids):絵、写真、視覚に訴える「資格あり」の五つである。かつてレーガン・デモクラットと呼ばれる人たちがいた。政策が違うのに、レーガン共和党に投票する民主党員である。レーガンの語りには三つの要素があった。(1)合理性(2)結果・既決、加えて「人々の価値観に触れるような情緒的な側面」だと言う。
 講演が終わった後、個人的にお聞きしたところ、先生の言語学のアプローチで、新興宗教や悪徳商法の言語力も解析していただけるような感じであった。こちらもお聞きしてみたい。

[1]東照二先生(ユタ大学言語文学部)
10.6.2

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チオマルガリタ:巨大な真性細菌

 古くから細菌も生息する。その細菌が最近、切手になった[1]。南ア共和国から独立して20年余りの南西アフリカ、ナミビア共和国にて1997年、この国の海岸沖にある酸素が欠乏した海産堆積物で生育した細菌が発見された。名前はチオマルガリタ、カクテルのような響きだけれど、この細菌、直径が0.75 mmもある大きさであること、真珠の形をした優美な繊維のようなものをつくることに加えて、硝酸イオンを細胞内に蓄積させることができ、時にその濃度は海水の一万倍にも達する。取り込んだ硝酸イオンは、硫酸還元細菌が作り出したスルフィドイオンの酸化に使われ、細胞のエネルギーとなるとともに、窒素、イオウの自然のサイクルともつながる。切手は2003年ナミビア共和国が、国内での三つの生物学上の発見(他二つは、新種のナマズの発見、絶滅したと考えられていた昆虫の発見)を称賛することにちなんでいる。チオマルガリタの三種類が0.2 mmの大きさでデザインされ、それぞれに、小さな多くの黄色い点が中に書かれている。これは酸化によって生成する粉末イオウをイメージしたものである。この細菌いずれは、農業から排出される硝酸肥沃物による汚染浄化に使おうという提案もされているらしい。
我が国の1/100ほどの歴史の国ナミビア、科学への造詣は、ナミではない。

[1] http://www.iupac.org/publications/ci/2010/3202/si.html
10.6.1

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