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2010年7月

ペルージャ在住の

 アンドレア・テンペリニ先生、サッカーゲームをやるのは好きだけど、ゲームは見ない。それでも「Nakata」の名前は知っている。イタリアは5,3,5年、19歳で、ほとんど地元の大学に入学、通常5年で卒業、Ph.Dコースへはほとんど進学しない。ただPh.Dコースは授業料ゼロ、少々の給与をもらう。アカデミックで職を得た時には、教授・助教授・助手のピラミット構造のなかで過ごす。研究テーマはあくまで教授の指導の下、獲得したグラントが目指す内容になる。「経済状況の余波で、教授退職後の補充はない」という話に及ぶ。
 で話題を変えて、フィレンツェから南150 kmほどのところには、温泉が多いと言う。そこで「温泉に入る時には裸なのか」と聞く。多いに驚いて「ノ〜、夜中に裸になる奇妙なやつはいるけどね」「日本では大概、裸」でふたたび多いに驚いて「really」で目が輝く。「ただし男女はしっかりと分かれている」で表情が落ち着いた。
 そうこうするうちに、バスはローマ時代に建設された町「ルッカ」に入ルッカと到着した。
 
10.7.31

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UK(ユーケ−)のこと

 を言う気配を感じた。Thomas、曰く、UKの財政難は半端ではない。ギリシャのことは我が身のようである。ただ国の借金は自国民がカバーしている。前政権は付加価値税(value added tax,いわゆる消費税)を20%にこの1月から変更した。日本で言う「子ども手当」の支給も中止した。お蔭で三人の子どもを持つ我が家へのサポートは減ってしまうけど、自分たちは「だいじょうぶ」か、まあよい。なかには苦しい生活になってしまう人たちもいる。結果、国の状況が変化し犯罪が増えるなども考えなくてはいけない。大学にもその波が、並みを超えた勢いでおしよせている。5人教授が退職された後、教授は1名に絞るみたいな状況である。などの話を聞いた。
 講演は、chiral(カイラル)セレニウムである。それが終わって「かいらる」(帰られ)た、カーディフへ。
10.7.30

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世界戦略かも

 国際会議を手伝う学生さんたちは概ね、男女問わずスマートである。30前後かなと言う人は少し水平に広がって、年輪を重ねるとさらに水平に均等に広がる。ということが話題になる。端的に言えば太くなるのであるが、日本で「やせなくては」などと思っている大概の人とは桁違いの広さである。このことイタリアに限らない。アメリカ、ドイツは言うに及ばずイギリス、フランス、中国でさえもそんな雰囲気であるらしい。食事の後、一食分くらいのケーキをいつも手にする。「バルキーの素」である。で実はこれこそが「お菓子カンパニーの世界戦略ではないか」と指摘した人がいた。まずは「甘いものを堪能しよう」とお菓子を販売、相当数のバルキーな人が出た頃から、製薬部門も併せ持つその会社が「肥満は身体によくない」と体重維持、あるいはダイエット促進の薬を販売する。地球温暖化は声を大にして訴えるが、こちらの地球肥満化で儲けるためには、左手で「甘いお菓子」右手で「ダイエットピル」を売ることを密かに実行している。という説が登場した夕食会であった。
10.7.29

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涙なしには

 聞けない話である。タマネギはカットされると催涙性の化合物を出す。他にも同様の植物がある。これは植物の自己防衛システムの一つである。ほとんどすべてのほ乳類はこの催涙性に驚き、それを食することはない。人間だけが別物である。涙をこらえて食材に使う。ここで生じる催涙性化合物チアールオキシド(R=S(+)-O(-))の生合成経路を研究するRabi A. Musah(ニューヨーク州立大学)が登壇する。若き頃のウーピー・ゴールドバーグ[1]を彷彿させる。はっきりとした語りに理路整然としたストーリー、可能性のある複数の経路を提案、その可能性を絞り込む研究である。後で聞けば、学生数が5名でなんとかまかなっているらしい。今時アメリカの他でも同様に、科学系大学院志望者が減少している。文系は法律、理系は医者が人気である。化学系で一人前になるには時間もかかるし、教授の定年制が撤廃されているため、若者がアカデミックポストを獲得するチャンスが減少し激戦である。やはり涙なしには聞けない話である。

[1] 「ゴースト/ニューヨークの幻」「天使にラブ・ソングを」などに出演、どちらも鑑賞後感の悪くない映画である。
10.7.28

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開会のセレモニーの後

 David Crich先生の講演。本来ならば取扱いが難しいチオカルボン酸、しかもアミノ酸のカルボキシル基部位をそれに変換し、ついで脱離しやすい置換基を系中で導入しペプチド結合を延ばす反応系である。Crich先生の話に会場が「くらいっち」つく。類似の方法論を糖鎖合成へも展開する。順番を待つ自分に「あせり」が先立つ。なので「用意した以上の話はしなくてよい」と落ち着かせる。DavidはGif in Franceからの参加である。そのバトンを受けてGifu in Japanから来たから始める。元素ではウランに相当する「u」 を加えて欲しいと言う。こちらのほうが「ゆ〜秀」とは言えない。ほぼ時間通りに化学の話を終えて、最後に研究室の集合写真を出す。「四年生と博士前期課程の学生が主力なので、平均年齢25歳程度・・・自分も含めて」で講演を閉じた。別の冗句を考えなくてはと思いながら、四つほどの質問を受けた。その後のわずかな時間Davidからも賞賛の言葉をもらった。加えて「金曜日までの間に、もっと話ができるやろう」と誘いも受けた。この場を与えてもらった研究室の学生諸氏に改めて感謝です。
10.7.27

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フィレンツェ市内へ

 バスで行く。定額のチケットを事前に買う。乗車したら機械に通して、それから90分は乗り放題。ここでチケットをけちって買わずに検札で見つかると高額の罰金の支払いが待っている。街は教会、美術館、博物館が立ち並ぶ。その一つ大聖堂(ドゥオーモ)にど〜もと言いながら入ろうとすると日曜日は午後からですと拒否される。ここだけは是非と教えてもらった「ウッフィツィ美術館」200年あまりかけて建立された。中世の絵画に圧倒される。500年近くも前に描かれたものが今も生きている。なにが書いた人の気持ちを駆動させたのかと考えてしまう分、躍動感がつきまとう。ついで小さな道に入る。こちらには「ダンテの家があるんダッテ」と向かうが断定してはいけない。再建されている。夕方には歓迎会のあるヴェッキオ宮殿に着く。三階に元素の間。周期表ではない。かつて古代ギリシャ哲学で考えられていた「火、水、空気、土」の四大元素がモチーフであると、そこで働く人に教えてもらった。ただ英語翻訳に苦労されていて、二人がかりの作業であった。
10.7.26

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時間通りに

 学会会場に着く。今日が最初の参加日、でも学会は最終日。ジャケット、ネクタイをした参加はゼロに近い。ジャケットは脱ぐ。10:30から15分間が持ち時間である。はなし終えて、質問に答えて時間内に完了。コーヒーブレイクがあって講演が始まる。一般講演のはずなのに15分たっても話が終わらない。時間を知らせるベルが鳴るわけでもなく、残り時間を示す画面もない。講演はReich先生である。「来賓」級かと思う。日本からの気鋭の先生の講演はプログラム時間より30分以上後に始まった。時間通りに完了。刺激的なすべての講演が終わり、2013年京都開催について、先の先生が紹介される。日本の鉄道はpunctual(時間通りである)ことについては世界でも有数と、時間進行を気にしないイタリアンを刺激するが言われた方は全く気にする様子はない。一方で京都vs東京の話に会場は多いに反応する。「運がよければ舞子さんにも出会えるかも」とのこと。「舞子さんに夢中なったら迷子になるで」と拍手を送った。
10.7.26

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酸素を酸化剤に

 使いたい。これまでの酸化剤では、たとえば過マンガン酸カリウムの様にマンガンなどが廃棄物になる。かつてはそれでも「かまんがな」であったが環境調和の観点からガマンならん頃である。酸素は安くて簡単に利用できるが、この酸素を安全に利用する専門知識を必要とする。反応スケールが大きくなれば爆発の危険も高まる。そこでS. S. Stahl(ウイスコンシン大)らのグループがEli Lilly 社と共同でモジュール式のフロー反応器(Tube Reactor)を開発した[1]。一級アルコール/Pd触媒に酸素/窒素の混合ガス(酸素比8%)を注入し5時間反応を続けると、アルデヒドが生成物として収率90%以上で得られ、水を副生成物として与えた。これに対して企業の方々が「この成果は,実験室レベルの触媒反応を製造ベレルに直接移行できる可能性を示し、特に爆発する可能性のある混合物の密閉系での取リ扱いはプロセスの安全性を劇的に向上させうるものである」、「このタイプの研究は、工学と化学を一体的に活用することによって、合成化学の選択肢の幅を広げるものである」などと称賛している。
ここでのTube Reactor はYou Tubeにはまだアップされていなかった。中部地区の人、やってみませんか。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, July 5, p. 32.
10.7.25

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なぜかボロ—ニャ経由

 中部国際空港からヘルシンキ、機内で提供される映画、洋画は「字幕なし」「英語、スペイン語あるいは中国語字幕」であった。邦画には英語字幕がついているのもあっった。Alice in wonderland、1865年数学者でもあるルイス・キャロルの書「不思議の国のアリス」が原作である。同じ著者に「鏡の国のアリス」(1871年)がアリまス。内容は「アリス、キラルな世界へ」である、一読を。ついでAbout her brotherという邦画が目に留まった。みれば山田洋次監督「おとうと」である。鶴瓶さんが際立っていた。たこ焼きの字幕が’fried octopus’であった。
 ヘルシンキ着、乗継ぎ時間は1時間30分、入国審査を受けて,荷物を取り出す。到着ロビーから出発ロビーに移動。膨大なリストから出発便の手続きゲートを捜して移動、ほぼ定刻でフィレンツェへ飛び立つ。一安心も束の間、目的地までの距離が表示されていたが、到着時刻近くになって距離が増えている。空港が閉鎖されているのでボローニャに着陸、バスでフィレンツェに送るとのこと、どこに行けばよいのかの詳細なアナンウンスは、イタリア語であったのかもしれないがわからない。やむなく道しるべフェロモンを出していそうな人について行く。家を出て21時間ほどたっている。ようやくバスに乗り、ボローニャを出る。身体はぼろぼろ〜ニャ。と思いつつフィレンツェ空港に着いた。Degl'lnnocenti先生自らのお迎えに感激
10.7.24

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臭素酸カリウム

 (KBrO3)は形式上五価の臭素原子を持つ強い酸化剤である。パン生地を強くするためやパンの発酵を改善するために時々小麦粉に添加される。お蔭でふわふわ感のある柔らかなパンをいただくこともできる。パンがパキンと折れる事もない。気を抜いてリラックスできるひと時である。一方で十分にパンを焼かない場合には少量の発がん性物質が残る可能性がある[1]。そのため臭素酸カリウムの使用は多くの国で禁止されているが、米国では今も使われ、その加工品に含まれる許容の上限が10 ppb[2]である。2007年中国で、米プロクター&ギャンブル社(P&G)製のポテトチップス中にそれが含まれているという疑問が呈示された。詳細な試験の結果は、「含まれていない」ことを示していたが、P&Gは新しい分析方法の開発に投資をした。HPLCと質量分析を組み合わせ、臭素酸塩を混ぜたポテト菓子を分析した。これまでの分析方法は5-30 ppbレベルの感度であったのが、新しい方法では1 ppbレベルまでをも、ポテット検出することができる。臭素酸カリウムの使用が終息することはなさそうである。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, June 5, p. 25.
[2] ppb は10億分の1
10.7.23

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構造異性体が

 発ガン性への手がかりを提供するという[1]。ディゼールエンジンの排ガス中には、多環芳香族炭化水素のひとつで発がん性が疑われる3-ニトロベンズアントロンが汚染物質として含まれる。一方で都会の大気中ではベンズアントロン[2]がニトロ化を受け、その位置異性体である2-ニトロベンズアントロンが生成し大気に含まれるが、3-ニトロ体より発がん性は低い。構造は「ニトル」けど活性が違う。そこで害を及ぼすと考えられているDNA付加体の生成を促すDNAや様々な酵素に、両方の異性体を入れ込む実験を行ったが、2-ニトロ体では付加体は生成しなかった。さらに人の肝細胞を使った同様の実験でも結果は同じであった。そこでそれぞれの異性体とNAD(P)HやDNA付加物を生成する酵素の間の相互作用をモデル化した。それをもとに「ヒドリドの移動が鍵段階で、その移動距離の違いが発ガン性の違いをもたらす」と類推されている。ヒドリドが距離の長い2-ニトロ体ではトロトロしてしまうらしい。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, July 5, p. 24.
[2] ナフタレンの1,8位の水素を引き抜く。ベンズアルデヒドのホルミル水素とオルト位の水素を引き抜く。これら二分子をそれらの部位で結合させてベンズアントロンを作る。「あっとろん」かと不安になった時にはWikipediaでチェックを
10.7.22

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フラーレンの内側に

 金属が入る、いわゆる金属内包フラーレンの合成は今ではそれほど珍しくはない。それでも金属イオンが内包したものは「ない」ほうであった。今回、飛田先生(東北大)、澤先生(名古屋大学)らのグループはフラーレン内にリチウムイオンを入れ込み、六フッ化アンチモネートをカウンターアニオンに持つ化合物を合成した。このリチウムイオンは中心よりずれた所に位置しており、静電力で安定化され、金属がないフラーレンでは起こってしまう好ましくない反応を抑制していること、化合物は純度も高(99%pure)いことなどの特徴を持つ。またリチウムの位置は外部の電場によって制御されているが、これは単分子スイッチや強誘電体シートなどの電子工学では広く使われている手法でもあるらしい。
ちなみに内包フラーレンはM@C60と記される。ここで@は日本語ではアットマークと呼ばれるが公式名称は、commercial at である。この日本語訳に困らっしゃーるが、commercial at signで「単価記号」と書かれている。

[1] Chemicals & Engineering News 2010, June 28, p. 38.
10.7.21

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反応集積化

 のシンポジウムに参加した。多成分を一挙に生成物に組込む反応の初期の例としては、α-アミノシアニドのStrecker合成1850年のことである。さらにイソシアニドなどを用いたUgi反応(1962年)では四成分が組込まれる。その後も様々な組合せでこの種の多成分連結が実現されている。使われる用語もtandem, domino, cascade, one-pot, sequential, one-shot, one-strokeなど様々である。そこでこれらを総括して分類することが提案されている[1]。反応の最初に必要な反応剤をほぼ同時に反応容器に入れて、その中で順次結合形成が進行するタイプの反応(同一時空間集積化)、三つ以上の反応剤をある一定の時間間隔で加える反応(時間的集積化)、これらはいずれも反応途中で生成物や副生成物を取り出す事は基本的にはしない、いわゆるバッチ式である。これで「ばっちし」の反応もあるが、そうではないもの、そうであってもスケールアップに苦労する場合などにフロー系を適用する。こちらは空間的集積化と呼ばれている。長く親しまれる系になって欲しい。不老(フロウ)長寿である。

[1] Suga, S.; Yamada, D.; Yoshida, J. Chem. Lett. 2010, 39, 404; 有機合成化学協会誌, 2010, 68, 591.
10.7.20

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酸性度の高い水素を有する

 芳香族化合物−たとえばオキサゾールや塩素化あるいはフッ素化されたベンゼン−からカルボン酸やその塩を調製するには、アルキルリチウムやGrignard反応剤のような強い塩基で脱プロトン化し、そこへ二酸化炭素を挿入させる方法、遷移金属触媒を使ったカルボキシル化を行う。前者は、嫌気性条件下の量論反応で、毒性のある副生成物も生じる。後者は、不活性ガス雰囲気下、高温高圧、多量の再利用できない触媒を使い、しかもC-H結合を事前に官能基化する必要がある。と課題の多い反応系である。それに対して安定で取扱い容易で再利用できるN-複素環カルベン金(I)触媒が、S.P. Nolan先生(UK)らのグループによって開発された[1]。反応は室温、中程度の圧力で進行し、水だけが副生するため、従来法の多くの課題が克服されている。この素晴らしい成果はNolan(ノラン)らによるが、雑誌には載った。T. Rovis(コロラド州立大)は「この系はおそらく不活性なC-H結合を切断しカルボキシル基に変換する最初の例である」と指摘し、J. F. Hartwig(イリノイ大)は「カルボキシル化に塩基を触媒として使っている点」などを高く評価している。

[1] Chemicals & Engineering News 2010, July 5, p. 7.
10.7.19

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外国送金をするために

 地元の銀行のホームページを見た。Internetでも可能な雰囲気であったが詳細が不明。フリーダイヤルに電話。「外国送金をInternetで」と言ったところで「担当者に替わります。」、新しい方が登場「ありがとうごうございますInternet bankingにお申し込みいただき」「いやそうではありません、詳しく知りたいです」で色々説明を聞く。最後に「お客様個人でお申込でしょうか」「はい」「個人では取り扱っておりません」(始めから言ってよ)と思いながら「どこの支店でからも送金できますか」「出張所以外なら」ということでM支店に出向いた。「こちらでは取扱いできません。K支店では可能です」とK支店に移動、そこで書類に記入し始める。「お客様、すべて大文字でお願いします」(始めから言ってよ、Block Letter(活字体)としか書いてないじゃん)、で他にも色々あって「いつも大学に来ていただいている方に寄っていただけますか」「承知しました」と手続きを後日にして戻ってきた。部屋で落ち着こうかと思ったらその支店から電話があった。「担当の者は、その手続きを理解していないかもしれませんので、支店までお越し下さい」とのこと
 村井君がたらい回しになったこと「支店は、知ってんのか」「色々な手続きを担当者は、た〜んと知っといてよ」と不機嫌になってしまった。
10.7.18

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授業態度が悪い

 と、主に1、2年生を担当する部局から指摘を受けた。たとえば授業の始まりの出席確認の時には出席、途中退席で戻って来ず、それでも授業の終わりにはその君の提出物が存在していた。使用していない教室で騒ぐ、しかも注意しても静かにならない。授業中の雑談の多さなどがその内容である。本学では工学部の入学定員が一番多く、誠実な学生さんから、やんちゃな学生まで多様な学生が在籍する。また今では化学系では15%程度の女子学生も学んでいる。このやんちゃな学生のうち、他の学生に成り代わって返事をする、提出物を出すというのはかつて男子学生の独壇場であった。それに対して数少ない女子学生は、授業ノートもほぼ完璧で試験の前には頼りになるというのが大半であった。言わば男子学生の一部が×で女子学生は○であった。それが近頃、様子が少し違ってきた。中にはやんちゃ男子学生と同様のことに手を染める女子学生も登場してきた。授業中にマニュキアを塗っている女子学生もいたとか。「化学物質は実験室で使う様に」と自分なら注意する。どちらにしても時代はまさに「男女共同△(さんかく)」に舵をきり始めている。ただ、どちらの向きに舵を切ろうとも、肝心なことは、フェアに「よく遊び、よく学び」である。
10.7.17

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化合物の極性を

 考える。結合をつくる二つの原子のどちらが部分的に陽性(ようせい)であるか陰性であるかから判断する。大学院生に要請(ようせい)すれば「ようせん」と言わずに概ね答えをいただけると思う。たとえばカルボン酸アミドのカルボニル炭素は部分陽電荷(δ+性)を持ち、それに結合するアミノ基の窒素は部分陰電荷(δ-性)を持つ。この結合を作りたいときにはこの性質を有する反応剤の組合せを通常考える。一方これとは逆の電荷の性質を考案する方法があり、極性転換と呼ばれている。極性と転換で組合わさった用語なので、有機化学では「極」だけを切り離したりはしない。
 この極性を逆にした結合形成の新しい手法で先のカルボン酸アミド合成が実現された[1]。α-ブロモニトロアルカン、アミン、N-ヨードスクシンイミド(NIS)、炭酸カルシウムを水中、室温で2日間ほど攪拌すると、アミドが得られる。光学活性なアミンやニトロアルカンを使ってもその光学純度は低下しない。NISがアミンを酸化し求電子的になり、最終的にはα-ブロモニトロメチル基部分が加水分解によってカルボニル基に変換されると考えられている。「合理的な反応設計が、既成の概念的枠組みを転換させた極めて優れた例である」と評されている[2]。極性を超えた「すごい転換」に10カウントいただきそうである。

[1] Shen, B.; Makley, D. M.; Johnson, J. N. Nature, 2010, 465, 1027
[2] Chemicals & Engineering News, 2010, June 28, p. 13.
10.7.16

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ポリ臭化ジフェニルエーテル

 (PBDE)は難燃剤として家庭用建材にも使われ毒性は低いとされているが、日本ではいくつかの誘導体は自主規制し使用制限されている。このPBDEの血液中の濃度を測定し、長年の仮説「子供たちの体内には、より多量のPBDEが蓄積されていること」が確認された。すでにアメリカの12歳以下の少年,少女たちのPBDE摂取が大々的に調査され94人の子供たちの血漿中のPBDEレベルが大人のそれの2〜10倍高いことが報告されている。さらに最近、18ヶ月から4歳の子供たち20人とその母親の血液のガスクロマトグラフィーおよび質量分析から、子供たちの摂取量が母親のそれに比べておよそ2.8倍高いことが明らかにされた。ただ母子の間での摂取のパターンには識別できる関係を見つけることはできなかった。「子供たちがハウスダストにされられることが多いことが、この高いレベルのPBDEの要因になっているのかもしれない」と述べられている。ハウスダスト、「だすと」いけません。総じて、掃除によって防ぐことができるはずである。

Chemicals & Engineering News, 2010, June 28, p. 38.
10.7.15

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嵩高いホスフィン配位子を

 使うことで、これまで達成できていなかった反応が実現できる」ということで様々な配位子を開発し、これが反応に適用されている。こっちの配位子のほうが「はやいし」とか念じながら置換基を探索する。その分野で早い時期から活躍するBuchwald先生(MIT)、今回は塩化アリールの塩素原子をトリフルオロメチル (CF3) 基に置換える反応である[1]。CF3基が組込まれた化合物は、様々な特徴のなかで、脂溶性が高いことと代謝的に安定であることから、医薬品・農薬工業では常々、高い効率で組込む試みがなされていた。時にはトリフルオロ化に「おろおろ」していた。そこで先生らは、配位子、触媒、CF3化剤、塩化アリールにどんな組合せがアリ〜ウルかを試した。その結果、以前フッ素化に用いた同様の配位子をPd触媒に使い、Et3SiCF3をCF3源として用いた。そのホスフィンがドルフィンの様に反応を推進し、芳香族化合物、ヘテロ芳香族化合物にも適用できた。「この反応は1960年代後半に端を発するフルオロアルキル化の化学で最も重要な技術突破である」と絶賛されていると同時に「将来もっと安い反応剤で達成できますように」ともあった。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, June 28, p. 38.
10.7.14

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海外出張のために

 旅行命令簿を提出した。写しがもどってくる。7人の方が押印されている。常々この押印が「多いん」やなあと思う。それはともかく二枚目にチェックシートがある。訪問国や荷物などに関する確認書である。海外に出向く人自身が「実は懸念人物である」かどうかはチェックしないが、一方で昨年来、海外なかでも懸念される国に対して、技術的なノウハウを提供したり先端あるいは極秘情報の入ったメモリーなどが渡ることを防ぐようにというお達しが積極的である。自然科学の基礎であればあるほど広がりが大きい。なのでこれを使って「留学生を受け入れることはできません」と言うこともできそうである。これを担当する行政もその程度のことをわからないはずはない。でハタと気がつく。昨今なにかと言えば「グローバル化」と言われる流れに対抗した施策ではないかと。極めて重要であると確信した発見・発明であればこそ、日本独自の方法で保管し、日本古来の言語でのみ記載し伝承し、国内でとどめておくという「極秘作戦」。行政の人にお尋ねしてみてもよいが「作戦です」とは言わない、極秘なので。
10.7.13

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ひょうせつ

 と聞けば「氷雪」(清廉潔白なこと)を思い浮かべるかもしれない。これと対極にある「剽窃」(plagiarism)が話題である。「他人の作品や論文を盗んで自分のものとして発表すること」という意味であるが、さらに踏み込んで著者自身の作品も含める (self-plagiarism)。ブログのダジャレを拝借して講義に使うなどはだれも咎めない。むしろお勧めである。自分も時に名人と言われる方の言葉、しぐさ、間合いに学ぶ。一方で学術論文ではこの剽窃は重大事である[1]。とは言え投稿された論文にそれがあることに審査員が気づくことは難しい。そこで過去に発表された論文と同一の、あるいは同様のセンテンスがあることを照合するサービスであるCrossCheckが2年ほど前から試行されている。ある論文誌では、掲載が可能になった(accepted)論文にそのチェックをしたところ23%が、剽窃のため掲載拒否になったという。他にもある出版社が自社の三つの論文誌をチェックし、10%, 6%, 23%の論文を同様の理由で掲載拒否にしている。ただソフトウエアは剽窃の箇所を呈示するのみである。実験項の部分の自己剽窃であるのか、結果や考察の部分の剽窃なのかによって意味合いが違う。それでも総じて出版社は、投稿の秩序を保つための「CrossCheck」の様な手段の導入には前向きである。我が国の政府、学会もこの導入を積極的に考えてみませんか。また研究者はこれまで以上に真摯に成果の公表に努めましょうね。

[1] Cut-and-paste culture tackled by CrossCheck software (http://www.nature.com/news/2010/100705/full/466167a.html)。この記事は、いつもお世話になっている才あふれる方に教えていただきました。
10.7.12

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五人の目線で語る

 物語[1]の最後までたどりついた。といっても物語に引き込まれて超特急であった。物語の旋律を、三人の母親が奏でる。一人は中学校の先生で自分の子どもを亡くした(殺された)母親に、中学生の男子を持つ二人の母親、しかもこの二人の位置も随分違う。一人は「子どものために」で、もう一人は「自己実現のために、子どもとは距離を置く」というタイプである。共通しているのは、子どもらはこの母親に愛されたいとメッセージを送る。起こった事件もこのメッセージの延長であるというような語りもある。それでも子どもを亡くした母親は、この「メッセージの延長」を自分中心の所業であると断罪し、最後に「ある大学の研究室[2]に仕掛け」をする。
 という重い話だけども、ぶれない視座で、実際の社会での出来事も批評し、物語を描く。その筆致に引き込まれる。謎が謎として終わるところは「藪の中」(芥川龍之介著)を彷彿させる。湊さんのこと「みんなと」話してみたい。

[1] 湊かなえ「告白」
[2] これを読んでいるあなたの研究室かもしれません。そこには複雑なロマンスが隠されています。
10.7.11

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投票は義務

 とベルギーの人が言う。もし投票に行かなければ10年間選挙権がなくなるとのこと。池上彰さんが出演の番組を見た。ここでは20名ほどの外国人がひな壇にすわる。時々コメントできる外国人出演者の話は「日本語の出来、知的感性の凄さ」を伝える。それでも話す機会はほとんどない。タイでは選挙の数日前からアルコールを販売する店が休業、ブラジルでは選挙権は16歳から与えられる一方で、選挙に行かなければ、銀行口座もつくれないという。池上さんは今回の選挙で比例区に立候補すれば600万円の供託金が必要なこと、政府としては選挙費用に490億円弱の経費(税金)を想定していることなどを紹介される。また選挙運動についても、運動員、選挙カーで語りかける人、事務所での応対の人、のうち日当を支払ってはいけない人もいること、選挙事務所に訪ねてこられた有権者に、お茶、お菓子を出すときも細かなルールがあることなども話された。とりわけ「我が国は1946年、男女ともに選挙権を得た、わずか64年」前である。なので是非、投票には行こう。朝一番で「いっとうひょう」でなくてもよいので
10.7.10

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アダマンタンは

 有機化学の教科書にはあまり登場しない[1]。それでも特異な性質がマンタンである。ギリシャ語で「ダイヤモンド」を意味するadamantinosに名前は由来する。日本語の仇(あだ)とは縁がない。構造はシクロヘキサンの一つおきの炭素上のアキシャル水素をCH2に置換え、それらをCHでつなぐ。途中で「あきしゃる」と組立がぽしゃる。この手順で分子模型を1年生に作ってもらった。「ありゃま簡単(かんたん)」と言ってほしかった。そこでいす形六員環を四つみつけることができる。このアダマンタンほぼ同じ分子量をもつ他の炭化水素に比べて格段に高い融点(270 °C)を示す。1924年にその存在が理論面から予測され、1933年チェコの化学者が石油から「ちぇこ」っと取り出した。今では、テトラヒドロジシクロペンタジエンの異性化で合成されるが、最近日本のあるメーカーが固体酸触媒を使う反応系を開発した。実際のプロセスとして異性化が稼働して威勢(か)がいい。アダマンタンはフォトレジストでも使われ、1位にアミノ基が結合した誘導体は抗ウイルス性も示す。

[1]ジョーンズ有機化学(上)p.193(第2版)には、書き方やその誘導体など紹介されている。
10.7.9

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トリフルオロボレートを使えば、

 ボロン酸とハロゲン化アリールとの反応、いわゆる鈴木—宮浦カップリングが、より高い効率で進行することは知られている。この反応の反応機構がNMR, 速度論、同位体ラベリング、計算によって詳細に検討された[1]。ブリストル大学、ロイド-ジョーンズらのグループである。その結果トリフロオロボレートは反応中で加水分解によりボロン酸に変換されて反応に関与するという。それでもボロンボロンになるわけじゃない。このトリフルオロボレートの加水分解が反応の高い効率をもたらし、またこれが他の反応での条件最適化にも適用できる。たとえばボロン酸そのものを使った場合でもそれをゆっくりとしかも慎重に加えることで、同様の高い効率でカップリングが進行する。これまで全く違う機構を考えていたとすれば、それはボロンについての暴論(ぼうろん)だったかもしれない。
 ちなみにロイド-ジョーンズ先生を知る人は一様に’nice guy’と評する。ブリストル大学訪問の際には、面識がないにも関わらず事前に「今回は自分がちょうど不在であるので会えなくて残念、つぎの機会に」というメールをもらったが、つぎの機会がない。

Chemicals & Engineering News, 2010, June 28, p. 39.
10.7.8

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有機化学系懇親会に

 先日、薬科大学の先生からのお誘いに出向いた。「懇親会だけの参加でもよろしいのでしょうか」とお聞きして「是非」とのことであった。行けば日本薬学会東海支部大会が催され、その後の懇親会であった。薬学会関連の方は夕方まで、学問に浸っておられた勢いでの参加で、学生さんも含めて50名ほどいた。当方は二人である。存知あげない先生方や学生さんからも話かけられ「以前にも一度お会いしたことが」と言われると「何としたことか」と思いつつ「それはそれは」と記憶力の低下をごまかす。ある大学の学生さん「若手の会、今でも忘れられなくて」とのこと、数年前に自分たちの研究室がお世話した当時の会の思い出を聞かせていただく。小学校だったところが会場で、暑さ対策に内輪を配布「うちわもめ、しないように名前書いてください」という発言を聞かせた学生さんである。薬学部が六年制を採用したことで生じる諸課題も教えていただいた。工学部とはひと味違った、薬味の効いた悩みである。
 薬大の先生のスムーズなお世話、薬大の代役は自分にはできない。
10.7.7

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古代エジプト王朝は、

 紀元前3000頃からその地域を統治した王朝であり、その君王はファラオと呼ばれる。ファラドなら和音であって静電容量の単位である。エジプト学者は、ファラオの交代や新しいファラオの出現などについては、歴史的な事実をもとにその年代を類推していた。それに対して、放射性炭素年代測定法によって一連の年代記の作成が行われた[1]。概ねエジプト学者の類推している年代記と符号しているが、例外もある。たとえば古代エジプト黄金時代[2]は、BC 1570–1544の間であり、歴史的記録から数十年早い。この一部修正された年代記は、当時の別の文明−メソポタミア、スーダン、中央アジアなどと交わした重要な行事のタイミングと比較、対照することができる。また研究者らは「植物からできている繊維、その種子、特定のファラオと関連する世界の博物館のコレクションからの植物の遺跡など」を集め、これを統計的な方法で解析し、サンプルを年代ごとにチェックしているため、この年代決定の方法は間違いのないものであると確信しており、まだ誰も「へんだい」とは言っていない。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, June 21, p. 26.
[2]エジプト新王国の頃
10.7.6

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フランス名産ブランデー

 であるリンゴベースのカルヴァドス、プラムベースのミラベル、ぶどうベースのコニャックにアルマニャックを個別化する「よくわからない上質の[1]」化合物を引き出そうとフランス人研究者がチャレンジしている。質量分析を利用してこれらに含まれる揮発性化合物の分析を行い、それぞれ200以上の揮発性化合物を検出した[2]。ただそれぞれのブランデーで個別の化合物の相対的な量が違っている。カルヴァドスには、2-メチルブタン酸エチルエステルが、より高い濃度で含まれ、ミラバルではヘキサナール、ヘプタナール、ノナナールのようなアルデヒドの濃度が高く、野菜様の雰囲気が醸し出される。ぶどうベースのブランデーの風味はいわゆるウイスキーラクトン[3]によるもので、ココナッツ様の臭いがする。研究の次のステップはこの化合物や濃度の差が発酵のどの段階で生じているのかを解明することであるとのことである。
 飲酒の際には、アルコールだけではなく、アルデヒド、エステル、ラクトンなども飲酒していることを実感してみよう。

[1] je ne sais quoi(フランス語、言葉で表現できない上質性)とあった。
[2] Chemicals & Engineering News, 2010, Jun 21, p. 26.
[3]γ-ラクトンの3位にメチル基、4位にn-ブチル基が導入された化合物
10.7.5

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面接試験の

 担当であった。数年前より、受験生の数の多少に関わらず、丁寧な実施要項が作成され、時には事前に集合して不測の事態が起こった時の対応策などを確かめる。面接を担当するときの注意事項も一覧になっている。話題にするべきではないこと、またもしそれが話題になった時のことも記されている。以前ある面接担当者が「受験生の態度が横柄である」と思い、声を荒げたことがあったらしい。これも避けなくてはならないと言う。なので村井君には適しない役柄であったが、なんとか終わった。それぞれの受験者には退室のときに「お疲れさまでした」なり「ご苦労様」なりを言おうと気にしつつ、それほどはできなかった。残念ながら入学試験なので「狭き門」である。この後、本学を訪ねる機会がない受験生のほうが多い。それでも彼らにも「落ちたけど、あの面接の感じ悪くなかったよなあ」という印象でありたい。実施要項には記載のない面接担当者の大切な役目である。・・・そうは言っても難しいけどね。
10.7.4

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Muray氏の講演は

 最終日10時半にセットしました。というメールを国際会議開催の先生からもらった。添付のタイムテーブルにも、そう記されている。が自分の講演はどこにもない。初日から念のためすべてを確認したがどこにもない。これは先方のスペルミスに違いないと思い「わいの名前はyじゃなくて、iだよ」と連絡する。次の日、直ちに返事が来た。「間違いでした。お許しを、訂正済み」とのことである。今回この学会はISCC-9であったはずだが、この一連のメールの件名がなぜかISSC-9になっている。ISCC-9は「ないん」様になったのか、炭素がイオウに変わってしまったのかは不明である。ただメール末尾に「じゃあね(see you soon)」とあるのでイタリア人の生来の「ほんわかした」気質かもしれないと思うけれど、ワールドワップの衝撃の余波かもしれない。
「サッカーのお話」あちらでは封印しておきましょうね。口を滑らしたときには、It means a writer in Japanese.とか言ってはぐらかしましょう。
10.7.3

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ひとつまみの塩で

 環境調和型触媒を思いつき、これがケトフェノールの不斉酸化環化反応を触媒、2,3-ジヒドロベンゾフラン骨格を構築できる。M. Uyanik先生、石原先生(名古屋大学)らの成果である[1]。触媒はヨウ化アンモニウム塩で、窒素上には、二つのビナフチル基がつながっている。この塩のヨウ化物イオンを酸化してハイポヨーデートあるいはヨーデートとして、先の酸化環化を促進させる。これまでヨーデートを発生させるにはメタクロロ過安息香酸が通常使われていたが、共生成物としてクロロ安息香酸も生成する。ここで過安息香酸は「必要デネート」と、代わりに過酸化水素あるいはt-ブチルヒドロパーオキシドが使われている。得られる生成物は、様々な生理活性作用を示す化合物群であり、たとえばコレステロール降下薬としてメルクが検討しているものも含まれる。
 記事の最後には「ヨウ素化学は、多彩な反応性を有しているため、環境調和で、より人にやさしい有機触媒を発見するには優れた領域であり、今回の成果はその広い可能性のあるうちのわずかである」とある。「ヨウ素化学に、ヨウこソ」と誘われている。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, June 14, p. 11.
10.7.2

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ネイチャー購読をボイコット?

 カリフォルニア大学(UC)図書館は来年、ネイチャー出版グル−プ(NPG)のオンライン購読を継続できない状況にある[1]。NPGはネイチャーならびにその関連雑誌のUCの購読料を400%もしくは100万ドル以上値上げすることを計画している。しかもNPG側はカリフォルニア州の厳しい予算のため図書館も緊縮財政であることも承知の上であると言う。NPG側は「これまで長年にわたってカリフォルニアデジタル図書館(CDL)は、通常ではない特別の割引で恩恵を被り、それを他のグループがカバーしてきた。CDLも他の雑誌購読のグループと同様の価格体系にする必要がある」と主張する。
 もしUCがボイコットすれば、雑誌がボコットぬけて見ることができないだけでなく、それらへの投稿中止も呼びかけられることになるらしい。これに対してUCLAの学科の長は「「すばらしい結果があってネイチャーやその関連雑誌に掲載したいと思う研究者に、他にも雑誌はある。」と言っても全員が納得できるわけではない。」と言う。また別のボイコットの方法として、関連する大学の研究者はNPGから論文の審査依頼が来てもそれを断ることもある。「震災があっても審査は断らない」くらいでいるべきだけど、ここは激震である。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, June 14, p. 10.
10.7.1

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