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2010年9月

有楽町

 東京国際フォーラムで店番をした。七月半ばだったか「はあ、わかりました」と答えたことから始まって「発表用、ポスター用、ショートプレゼン用のファイル作成の依頼をこなした。この依頼こちらは「イライ」ラしながら三週間以上前には出し終えた。なので自分たちのグループのパネルを見て、こんな内容だったねと確認。前のブースは、ハッピありの緑色基調の装飾、こちらのブースはブッすとして人を待つ、しかも大学カラーオレンジで「おれんち」であることを強調しながら。で動きはじめると「射程は遠いけどワクワクのアイデアの人、700 nmの波長の発光ありますかと聞く人、大学の基礎研究をもっと支援しないといけないという持論が置き土産の人、教えてくださいという学生さん」様々の訪問を受けた。その場にいないときに限って大切な質問の訪問者がいたらしい。情報集めをしてもらった大学のスタッフと、今後の対応策をしばし練る。後で同じ大学の先生に「あの方たちは、あ〜言って僕たちを、こき使いますよね」とささやいたつもりが聞こえたらしい。なので「時には聞かないふりをするように」と口がすべった。
10.9.30

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1860年9月3日

 初めての科学会議がドイツ、カールスルーエで開催された[1]。当時の化学は混乱期であった。原子や分子の存在は信じられていたけど、分子式に同意する者はなかった。水でさえも熱い議論で沸騰していた。当時の主流は水の化学式はOHであると主張し、H2Oを主張するのは少数派であった。酢酸に至っては19種類の違った化学式[2]が教科書で使われていた。なので学問分野も不確か、論争や誤解だらけで、だらけた雰囲気だったのかもしれない。主な障壁は、正確な原子量が知られていないことであった。酸素のそれが8か16か、炭素は6か12かも議論の対象であった。イタリア人科学者アボガドロは「同じ条件のもとで同じ気体の量は同じ数の分子を含むということ」を提案したが、この仮説は拒絶された。そんな中、ケクレ[3]やウルツ[4]を加えた数名が、アボガドロの仮説や二原子分子の存在を認めることをもくろみ、結果として会議にこぎ着けたが、当初の目的は達成されずに終わりかけていた。ほとんど終わり頃、カニッツァーロ[5]の説得力のある熱のこもったアボガドロの仮説を指示する講演が後の周期表立案のメンデレーフやマイヤーら数名を大いに刺激したらしいが、ほとんどの化学者は静かに部屋を去ったとのことである。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, September 6, p. 60.
[2] Chemicals & Engineering News, 2010, September 6, p. 62にすべて記載されている。
[3]炭素の原子価が4であることやベンゼンの構造を提案したケクレ先生
[4] Na存在下、ハロゲン化アルキルがカップリング、いわばアルキル基がウツル反応も発見したウルツ先生
[5]戸倉仁一郎著「化学のあけぼの(相撲とは関係ない):化学者カンニツァロの生涯」に詳しい。化学者でもあり政治家でもあった。
10.9.29

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走査型トンネル顕微鏡

 いわゆるSTMは、分子に探り針を接近させ、流れるトンネル電流をもとに、電子状態や構造を観測する装置である。この解像度を向上させるには、チップを水素ガスで修飾すればよいことが2年前に報告された[1]。がなぜこのトリックが有効であるのかがわからなかった。そこでこの水素の謎を推測すべく、重水素を使った実験に量子力学計算などを使って金に担持されたペリレンテトラカルボン酸無水物の分析を行った。ちなみに担持しても「異端児がそこにいたんじ」とは違う。でその結果、重水素または水素の単分子はその電子構造とサイズの小ささ故に、プローブのチップと有機分子の間に閉じ込められて二つの機能を発揮する。ひとつはそれらの電子と分子表面の電子の間の短い距離の電子反発のためにナノスケールの力場センサーとして作用し、もうひとつはこの反発力をトンネル伝導度に変換する変換器として作用するとのことであるソウサ。

[1] Chemicals & Engineering News 2010, September 6, p. 58.
10.9.28

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ガイダンスが近い

 四月に続いてその準備、学生への配布一覧なども事前に担当の係から「たんと」送付された。事前に集まって成績一覧などをいただいた。その場で資料の見方の講習も受けるがどうもおかしい。説明する側もすべては把握されていなかったご様子であるが無理もない。ともかく複雑である、がそれではすまされない。3月にも同様のことで悩んだ末、その時は解読方法を理解できたつもりだったけど今度も謎である。秋空の土曜日、泣く泣く一覧表をにらみ「この表は右から見ていく」という事務方の言葉を頼りに解読書を作成した。「同じ用語が違った意味合いで使われている。列によって階層が移行する時のルールが違う」などを発見した。これをA4一枚にまとめてみた。さて当日分かってもらうためには説明におそらく30分以上かかってしまう。そうこうするうちに次の学年から「ガイダンス、すんだ?」と言われそうである。「自分で読んでおくように」では後に、質問の長蛇、で「ちょうだい説明を」になりかねない。悩みも秋も深まりそうな9月第四週が始まった。
10.9.27

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受験モード

 の高校三年生について、進路指導の先生方のお話を聞いた。センター試験の願書の提出が10月8日とのこと、それまでに受験希望者は受験料18800円の振込領収書と願書を高校へ出す。それを集めて高校が一括出願する[1]。加えて受験生は2月3月に行われる前期日程、後期日程試験でも17,000円ずつの支払いが課せられる。私立大学の併願を含めれば、中には受験料だけで数十万円を支払うケースもある。遠方の大学を受験するときには交通費・宿泊費も加算される。受験生の中には、それを気にしている高校生もいるので「そこは心配しなくてよいとう雰囲気でお願いしたい」などもあった。
 ついで生徒たちの最近の様子も紹介された。運動会・文化祭も終わって、モードが切り替わってきた。でも成績が伸びないと悩む時もある。そんなとき「勉強は、見えないバケツに水を注ぐようなもので少々では満タンにならない。でもしばらくすると学力があふれ出す」と生徒には伝えておられるらしい。よい話である。研究もおそらく同様である。ただしこちらはバケツも様々である。バすケッとだったり穴の空いたバケツではないことも時々、確かめたい。

[1] ちなみに大学入試センターには50万人を超える受験生の書類が届くので、全国で支払われる受験料は合計100億円を超える?
10.9.26

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10年連続200本

 安打の偉業に言葉もない。マリナーズを取材している地元記者は、10年より連続の凄さを指摘する。初めてらしい。球場には「ichimeter」というボードができて、そこでヒットの数が表示される。ヒットりのファンが始めたがそれが名物になった。このボードがアメリカの野球の殿堂にもあると言う。一方でマリナーズは最下位がほとんどで今年もシーズン途中、オーナー、監督が解任されたことを報じる。その後「弱小チームで緊張感も切らさずに云々」というコメンテーターの言であった。ここでつまずいた。弱小であれ強豪であれ10年続けて緊張感を保つことは至難である。常勝チームにもチームなりの「慢心」が芽生えることもある。なのでここはチームの強弱は別として、イチロー選手の凄さにおぼれることにした。「今年イチロー36歳、寅年かあ、でも地元は龍ファンが多いはず」で「もしやポスティングシステムでシアトルに移ったのは26歳の時か?」とこれには改めて驚いた。いまでは彼にシアトルがあっとるけどね。
10.9.25

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生ガキ(raw oyster)に

 レモンやケチャップをつけていただく。「オイスター、おいすかった〜」。
その牡蠣、潮の流れが穏やかな岩場に集団でつながっている。この牡蠣の接着剤の研究者らは、他の貝類たとえばイガイやフジツボのそれとは異なることを明らかにした[1]。この成果は外科縫合材料や海洋の防汚剤開発へも繋がる。まずは牡蠣を集めそれを小さく切り接着剤を集め、貝同士の接合部分を蛍光顕微鏡、熱重量分析、IR、ESRを使って解析した。接着剤には炭酸カルシウムの結晶である方解石とアラゴナイト[2]の混合物を含み、牡蠣の殻は主に方解石であった。(ほうかいな)、さらに交差に繋がったポリリン酸タンパク質、それは他の貝類とも同様であったが、牡蠣のそれは、無機成分が多く、含水量が少なく、レンガを固定するモルタルのようで、先のイガイやフジツボは有機成分と水和した、のり付け剤のようであることとは対照的であった。研究者らは、これをヒントに市販の接着剤と同様に水中テストに強い、合成高分子でできた模造品も製作している。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, August 30, p. 24.
[2]アラレ石とも呼ばれる。方解石と同様の組成だけど異なる結晶構造である。

10.9.24

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篠島から東京

 篠島港に向かった。高齢の方や本土に通う高校生らが主な乗船客である。そこからおよそ3時間で東京丸の内、ビルが林立する中、ビジネスマンに囲まれて待合せ場所へ、そこで知的で懐深い方々も多数参加していた会合の末席を穢した。終了後の歓談、十数年前の卒業生について、なので先代の先生の頃に在籍した学生の活躍ぶりを聞く。曰くに「その君に会ってしばらくした頃、会社の製品にクレームが来た。対応策は次の日に考えようということで翌日ミーティング、予想外にもその君が黒板に様々な対応策を列挙しては説明をした」「今では仕事を任せても安心感がある」とのことでなによりである。そのエピソードに刺激されて自分の思っている次のようなことを話してしまった。
 今時は「やりたいことをみつけなさい、やりたいことはみつかるはずだ」と言われて若者たちは育てられている。結果「それがあるはず」と漂流してしまう場合が多い。こんな幻想を流布した発信源はよくわからない、でも若者たちに責任があるわけではない。そこで時々学生さんたちには「やりたいこと、みつけなくてもよい」「やりたい仕事」と違って「やらせていただける仕事と機嫌良くつきあうこと」が大切、そのうち自分の授かった仕事への有責感や使命感がわき上がってくればこちらのもの」と伝えている。
10.9.23

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知多と渥美の半島がつくる

 湾の入口に位置する島、篠島が今年度の研究室旅行の行き先である。学生諸氏と朝から旅程を共にしたかったけど、なんだかんだで、遅れての参加になった。名鉄名古屋本線から河和・知多新線を使う。乗換えは、およそ3分おきに列車が発着する金山カ〜、ナヤマしい、間違えずに次の列車に乗るのが。でおよそ1時間半で河和に着いた。この特急には一部特別車も連結されているが乗車にはミューチケットが要る。チケットけちるっと、車内で支払うことになる。ミューの語源は知らない一方で「二つの金属を酸素が橋かけした錯体はミューオキソ錯体と呼ぶ」。ここは二つの駅を橋かけして快走する特急ということかと自分流に解釈している。つぎに船に乗る。担当の学生がすでに料金を払ってくれている。切符売場でなにも言わなくとも「村井様ですね」とチケットを渡された。河和港でのことである。普通は「こうわ」いかない。30分余り高速船に運ばれて島に着いた。
 翌朝一足先に、夏の日差しが残る島を後にシマした。
10.9.22

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18Fを

 組込む反応開発は、18Fを使った陽電子断層撮影法を用いた診断法の拡大にも必須である。この撮影法はフッ素化グルコースを用いた系が実際に使われているが、18Fの半減期がおよそ110分であることから、トレーサーとして体内に注入する分子を合成する手法、しかもフッ素原子をほとんど最終段階に組込む方法が必要である。「トレーサーの合成がとろいさ〜」では使えない、高速レーサーでなくてはならない。そのような背景の中、酸化銀を触媒にN-クロロメチル-N-フッ化トリエチレンジアンモニウム六フッ化リンを親電子的フッ素化剤として用いた系が開発された[1]。反応例としては、β−ラクタムで窒素が結合した炭素上に4-ブチルスズフェニル基を導入した化合物を出発とし、このC-Sn結合がC-F結合に変換されている。高い官能基選択性も示すという。不足(ふっそく)していたフッ素化法に新しいメンバーが加わった。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, August 30, p. 6.
10.9.21

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学部の全体会議が

 先日開催された。現状の課題は「・博士後期課程の学生数・学生の学力向上・経費大幅削減の通達があった場合の対応策」などであるらしい。これに組織を組み替えて対応する。その案の提示、それに至った背景や執行部で考えられた案などのお話を聞いた。学部の半分を超える教員が参加していたと思う。説明と質疑応答を含めて、ある一定の時間でお開きになった。質問やコメントが聞いている側からも出された。たとえば提案の詳細への質問や実際にそれが実行された時の心配事である。加えて「外からみたときにアピールできているか」の指摘もあった。がここで相当考えたけど「外」がわからない、で「そっと」しておきたい気もするけど「外から」とか「国民が」とか言って切り出される話を聞くときには、その具体的な集団をイメージすることを忘れないようにしたい。
 で会議では若手の先生方の発言がなかったということで、再び若向けに会議を開催するという。今度はこの「若手」がわからない。なので「若手って何歳くらいでしょうか、わかってないので」という「かってな」メールを出してしまった。お返事はまだない。
10.9.20

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立川から

 モノレールにも「のれ〜る」とワクワク。晴れた日には右手に富士山も視野に入るという路線で学会会場の中央大学へ行く。創立125周年を迎える大学で実学を重んじる学風らしい。500名を超える人を収容できるホールに壇上、充分な輝度のプロジェクター、聞けば当初はそのレンタルに90万円ほどの費用が必要と言われて、捜しあてた結果、1/10以下の費用に落ち着いた。記念講演会、予定は18時40分頃に終了だった。でも午後7時が迫った。話に聞き入っている時に突然、会場のライトとプロジェクターも消灯した。どう「しようとう」思っても身動きがとれない。しばらくすると再点灯、プロジェクターも復帰して講演も完了した。最終日の発表を尻目に早々に立川を去る。立川駅には入れかわりタチカワり電車や人がくる。乗り換えて新横浜に来た。「なんでこんなに人が多いの?」と列車を待つ。だいたい五分おきに来る新幹線、どれもほぼ一杯である。「シルバーウイーク」という話声、「知るか〜」と思いながら列車に乗った。
10.9.19

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平均80歳の先生方

 五名の講演を拝聴。いわばアラエイトである。あら「えらい」と思うわとお身体の心配をしたけど、講演はアラフォーを超える迫力に臨場感であった。わが国の有機金属、初めは有機珪素化学の集まりができた。このケイ素化学は戦前から戦中にかけてアメリカで進展して、シリコーンを使った潤滑油ができた。でB29に搭載、サイパンから東京までの飛行を可能にした。「われわれはそのお蔭でひどい目にあった(東京大空襲である)」とのこと。その大戦が終わって、海軍将校であった人が日本の大学に入学、さらに勉学を深めるためにエール大学へ行った。1954年頃のことである。そこで博士の学位を取得、その先生が有機金属化合物の研究に従事された最初の日本人であったとのこと。その話をされていた先生は、四年生の時に結核を患っていたことが判明し就職を断念、大学院へ進学。実験では、青酸やホスゲンの臭いを嗅いだ経験もある。それを嗅いだかどうかは、たばこを吸えばわかったらしい。相当にまずい味、でも次の日には忘れた。
 別の先生、アメリカで学位取得の後、ある企業でPdを使った炭素−炭素結合形成反応開発に挑戦、その成果は世界初ばかりである。ヨードベンゼン、一酸化炭素、エタノールから安息香酸エチルを合成するPd触媒反応を発見し、エキサイトした。が企業業績の悪化に伴い、基盤研究を縮小せよとのこと。企業側からの「高価な原料から安いものを合成する反応はナンセンス」の通達に触媒反応を中止されたとのこと、それでも創刊したてのAccounts of Chemical Researchへの寄稿の要請があって、1969年にそれが掲載された。
10.9.18

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特急券のWeb

予約をする。名古屋−東京間である。その後よく調べると新横浜経由のほうがいいことがわかった。当日自動券売機で特急券を受取、新横浜経由の往復切符を入手。名古屋に到着、新幹線の自動改札に切符を入れるとゲートがしまる。係員が来て確認「新横浜で新幹線降りられるのですね。本来ですと特急券を名古屋—新横浜までに変更してもらわないといけないですが、料金も同じですので」と通してもらった。聞いている途中「誰がそんな面倒で無駄なことするか」とよぎったが我慢できた。行き先は立川である。乗車券は新横浜経由でも特急券は東京まで、それで自動改札機は「この乗車券で東京経由、立川に行くのか。タチガワるいやつ」と思ったのかも知れない。任務に忠実な改札機である。車内で検札に来られた車掌さんは、なにも言わず、にこやかに切符を確認していた。こちらは臨機応変である。新横浜駅、懲りずに自動改札の通過を試みた。ゲートがここでもしまった。駅員さんが瞬時に対応してくださった。堅物だった改札機に、ご「あいさつ」して横浜線に向かった。
10.9.17

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炭化水素の酸化機構は

 大気化学や燃焼過程のモデル化のために重要であり、それらはエノール中間体を含んでいる[1]。がしかしビニルアルコール(C2H4O)のような二重結合を有する化合物を機構に含めて計算によってこれを解明することは難しい。しばしばHOMOとLUMOの間の小さなエネルギー差のため、初めに使う波動関数の複数の軌道に電子が含まれることを考慮しなければならないためらしい。Truhlarら[2]はビニルアルコールの炭素−炭素二重結合にヒドロキシルラジカルが付加することおよび炭素、酸素から水素が引き抜かれる機構を検討した。その結果、付加反応は室温で進行すること、水素引き抜きは、燃焼のような高温で進行することを明らかにした。特にビニルアルコールのβ炭素からの引き抜きが優先するが、これはヒドロキシルラジカルの酸素原子とビニルアルコールの水素との間の水素結合が遷移状態を安定化するためであるとのことである。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, August 16, p. 40.
[2] 彼らがどのように課題をクリアしたか、そのカラクリ(あ)は記事には書かれていなかった。
10.9.16

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高山本線で下呂に

 向かう。特急ワイドービューひだ、岐阜を離れて40分もすれば大きな車窓からワイるドな景色が目に入る。平日の昼どきに乗客は少ないかと思いきや、旅の気分の人たちで車内はほぼ満席だった。そのうち外国人が3割程度か。白川郷や高山が青い目の人たちも魅惑するらしい。会話がはずむ旅行者たちとは違って、こちらはこの列車で分子模型を持つおそらく唯一の乗客である。しばらくするとアナウンス「You can see Inuyama castle on your right side」「You can see Kiso river. It looks like European Rhine river, and then it is call••• 」日本語版に英語版が続く。車内販売についてのアナウンス、日本語のみであるが、地域の特産の食材を使ったお弁当を宣伝し、最後に「数に限りがありますので売り切れの場合はご了承ください」の決めゼリフである。
 下呂では、学校の先生に出迎えていただき、山あいの学校で木材を基調にした5年前に建てられたという校舎で講義を受け持った。ここの生徒のほとんどが1時間に1本あるかないかの電車で通学している。それでも遅刻する生徒はいないと言う。学校を出る時、初秋を感じる清らかな風に送られた。ひだの思い出、ヒきダしにしまう。
10.9.15

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ヒドロホルミル化反応は

 1938年、Otto Roelen(ローレン)が中年の頃に発見した反応:アルケンに対してCOとH2が付加しアルデヒドを与える。コバルトやロジウムが触媒する。通常ホルミル基の導入位置が末端である。ただし末端への導入完了まで「まったらん」といけない。一方でスチレン誘導体を使えばPh基置換した炭素上にホルミル基が入る、「ほれみろ」と誰も言わないけど。それでも導入された結果、四級炭素になる反応系はあまりなかった。それに対してK. L. Tanらは、それを簡タンにできる系を構築した[1]。すなわちScaffolding [2]配位子と呼ばれる配位子をRhと組み合わせ、2-アリールアリルアルコールのヒドロホルミル化を行った。配位子はベンゼン環にMeN基を組み入れ、そのオルト位にPhP基、NとPの間をi-PrOCH基でつないでいる。アミノ基部位はアルケンの配位を助け、Rhはリンの配位を受ける。本来の選択性を逆転させることができる配向基の威力を実証できた」と書かれているらしい。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, August 16, p. 41.
[2] scaffolding: 建築現場の足場、ここでは分子構築の場で複数の分子間相互作用ができる「あつらえた配位子」のことかな。
10.9.14

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鎌状(かまじょう)赤血球遺伝子を

 保有すれば、マラリア原虫の増殖を抑制できる。なのでこの遺伝子を持つ者は、日本ではほとんどないらしいが、主にアフリカのようなマラリアの発生する地域にはいる。それでもこれのせいで遺伝性の貧血症を引き起こすこともある。ヘモグロビンが変形することで寿命が短くなってしまうらしい[1]。分子レベルでの薬の作用ははっきりしていないが、ヒドロキシ尿素[2]が薬として使われている。最も有力な仮説は、薬が胎児性ヘモグロビンを赤血球内で製造することを促し、それが酸素に対して非常に高い親和性で結合し、鎌状赤血球症を緩和するとされている。今回フローアッセイ、原子吸光スペクトル,ESRなどを組み合わせて、ヒドロキシ尿素が一酸化窒素(NO)の生産を赤血球内で促進することを明らかにした。このNOの増加は、アデノシン三リン酸を放出することを細胞に促し、血流が改善される。この発見はこの疾病に対して、NOやATP経路を標的とする薬剤の開発の道をも開くらしい。こちらはNoではなくYesである。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, August 23, p. 32.
[2]尿素の窒素上の水素一つが水酸基に置き換わった化合物。この化合物は他に慢性骨髄性白血病の治療薬でもある。
10.9.13

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グローブジャングルの中に

 先生がお一人である。居心地がよいかどうか。つぎに別の先生とお二人でジャングル[1]の中に座る。お互い居心地がよいかどうか」わからない。金属内包フラーレンの話が始まる。合成方法についで、La金属が一つ入った場合、その位置や動き、ついでLa金属が二つ入る。どこに位置するのか、フラーレンの外側に置換基を組込む、その置換基によって二つの金属が、水平か直交するか、はたまは斜めになるかが変わる。また先生が幼い頃のサーカスで見られた恐怖のモーターサイクルショウが如くに、金属二つがバイクの様に回転するかどうかもNMRで確かられている。バイクが衝突すれば「やバイク」だけど、決して接触しない。フラーレン外側に置換基を二つ組込んだイチゴミルク型フラーレン、新たな展望としてn型、p型半導体も射程にされている。20年を超える蓄積の中、壮大な化学の世界を拝聴させていただきました。最後は「ウルトラマン解体新書」買いたい人は本屋さんへ行けばよいとのこと[2]、ここにSP@C60が登場するという。SP(スペシウム)という元素はまだないが、ウルトラマンはこれを使って光エネルギーを電気エネルギーに変えることができるということも付け加えられていた。

[1]球形をした回転式ジャングルジム、フラーレン型と言ったほうが分かりやすいかも、その球形の中で休憩してみたい。
[2]ちなみにAmazonでは中古品のみでした。
10.9.12

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名古屋名物は

 いかなごや」は正解ではない。鰹節踊るきしめんが、紙面をにぎわせ、お店では「ういろう」を売ろうとする。みそ煮込みうどん、海老ふりゃ〜に手羽先と独自の食文化の都市である。そんな中、名古屋大学を訪ねたら「バイナップ・カフェ」にも行きたかった。化学になじみがない人は「パイナップル」と間違えるかもしれない。もしそこで「キラルなバイナップキン」で手を拭き、カフェRとカフェSの「こく」の違いを感知できれば幸いだけど、これは夢物語、そのカフェはもうない。今では地下鉄名城線が名古屋大学駅まで導いてくれる。この地下鉄は環状で、勘定すればその駅は18番目(M18)いわばエース番号がつく。山手線や大阪環状線は「内回り・外回り」それに対してここでの表示は「右回り・左回り」で右回りにはclockwiseの表示もある。名城線には名古屋ドーム駅も登場し、ムードづくりに「ドラゴンズトレイン」が走るらしい。これによって生じる環電流効果が名古屋ドームのドラゴンズに強さを付与しているのかもしれないなあ」と思っていたら、ドラゴンズ大ファンの先生から論文の審査依頼を賜った。
10.9.11

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溶岩に

 用があん」ねんと北極圏のそれを解析、同位体の組成から、それは地球が誕生した頃とほとんど変化していない「地球のマントルの原始の状態」とほぼ同様のものであることがわかった[1]。これは発生期の地球についての前例のない見方であり、その頃の地球化学的進化の解明にもつながる発見である。原初のマントルからできたものは通常、地質学的な変動や隆起によってずいぶん前に破壊されたと考えられていた。しかし研究者らはカナダバフィン島やグリーンランド西方のHe, Pb, Ndの同位体比を解析、中でも3He, 4He比が一連のPbの同位体比と対になっており、これらの溶岩は4~50億年前それは地殻形成からわずか1千年ほど後の頃に形成されたマントルの貯蔵地から湧き出てきたことを示していた。「この初期の頃のマントルが今も残っている点、マントルの構造や進化について十分に考察しなくては」とコメントされている。マントルの謎解き、まっとるね。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, August 16, p. 40.
10.9.10

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量子ドットの謎が解けた

 とのこと、しかもそれを公表。良心的である。量子ドットとは「3次元全ての方向から移動方向が制限された電子の状態のこと」を言うらしい。CdSeやPbSeがそれに相当し、特異な電子状態のため、発光材料としても期待されている。合成はトリオクチルホスフィンセレニド(TOPSe)とCd(II)やPb(II)カルボン酸塩とを反応させる。ところが高純度なTOPSeとオレイン酸鉛との反応ではPdSeがまったく生成しなかった[1]。(Top Se)cret ではなく、実験結果である。そこへジオクチルホスフィンセレニド(DiOPSe)を加えたところ、PbSeの形成が促進された。市販のTOPSeが量子ドット形成に使われるがこれにはジオクチルホスフィンセレニドが不純物として含まれており、これはカルボン酸金属塩と混ぜると直ちに消失する。これを発見したロチェスター大学のチームは、二級ホスフィンがTOPSeの中の実際の反応化学種でTOPSeそのものは単に溶解性を有するSe源でありそれがより高反応性の化学種とSeを交換することができるのではないかと提唱している。また彼らはこのことから、従来の量子ドット合成の際の再現性の低さや低収率であることも理解できると信じている。これからは高い再現性で量子ドットが「どかっと」できるに違いない。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, August 9, p. 30.
10.9.9

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教室にゴミが散乱

 しているのを注意喚起したいということが、会議で話題になった。24時間学生が使える部屋(ただし飲食禁止ね)を提供していた工学部であるが、そこに「食品を包んでいたものや飲み物容器が散らばる。朝まで寝泊まりしていた学生がいたり、ある時には器物が破損していた」という事態があった。これに伴って一時的に部屋の使用を禁止する措置がとられ、管理下のもとに使わせたいというお話である。しごくもっともであると同時に、この状況を聞いて「学生の態度がひどくなった」と言ってしまえば、学生に申し訳ないとも思う。「ほんの一部の学生が」であるが、それが顕在化した[1]。そのお蔭で、管理体制が強化されて、その人員に経費もかかる。「監視のために警備員を雇いましょう」あるいは「時間ごとにゴミを集める人を雇いましょう」という如くである。実際このシステムでゴミを集めれば、雇用対策にもなるが、基本は「そんなの不要」で「ゴミになったらゴミ箱のお世話になる」である。胃袋に入れた以外のものを忘れてはいけない。これは研究室でも同様で、世間一般も同様のはずである。

[1]実はここで「落ちているゴミに気がついて、なにげに拾ってゴミ箱に移動できる自分」がいてもよい。有望な人材である。「そんなバカな」と思ってはいけない。もし自分が上司で「ゴミを拾うなんて自分の仕事ではありません」という人に「大切な仕事をお願いしたいかどうか」を考えてみればよい。
10.9.8

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シクロブテノンは

 室温では安定性も低く重合しやすい化合物の一つである。これまでこの炭素上に置換基が組込まれた誘導体を電子不足な親ジエン体として用いたDiels-Alder 反応は報告されていたが、シクロブテノンそのものを親ジエン体として使うことは「信じれん」かった。鍵は低温でシクロブテノンを発生させる方法の開発であった。X. LiとS. J. Danishefsky(コロンビア大学など、米国)らはそれに成功し、様々なジエンを加え、[4+2]付加生成物を高い効率で得ている[1]。もちろんDanishefskyジエンも使われている。得られた付加生成物は環拡大反応などによってラクトンなどに導いており「今後この新しい反応剤の使用が広まるだろう」というコメントで記事は終了「シクロブテノンの調製法」がないノンであった。原著のsupporting informationによれば、3-ブロモシクロブタノンから塩基性条件下で脱臭化水素を行い、ついで減圧で蒸留-78°Cで捕捉・保存していた。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, August 9, p.31.
10.9.7

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炭素−ケイ素三重結合

 は、よく知られた炭素−炭素三重結合と、ほとんど例のないケイ素−ケイ素三重結合の間ぐらい、すなわちある程度知られているように思われるが、未だほとんど例はない。それを象徴するが如く名前もシリン(silynes)である[1]。ただ気相での質量分析では確認されている。たしかに気相では「できそう」である。これに対して「競う」が如く、ツールーズ大学(フランス)A. Baceiredo, T. Katoらはクロロシリルホスフィン錯体とリチオ化されたホスフィノジアゾメタンとの反応でシリンを導いた。得られたシリンの炭素上にはビス(ジイソプロピルアミノ)ホスフィニル基が結合しているが、異性化を防ぐために低温で取扱われ、ついでケイ素上の置換基に工夫[2]もある。まずノルボルネンを書く。この中の二つのsp2炭素の片側にアリールアミノ基、もう一つにジアミノホスフィニル基を組み入れる。このアミノ基の窒素がケイ素に結合しているが、ホスフィニル基の孤立電子対とケイ素原子との間に弱い相互作用があり、安定性向上に寄与しているらしい。Si-C結合は1.667オングストロームと短い値を示すが、計算から見積もった結合次数は1.687と小さく、炭素はカルベンを彷彿させると研究者らは述べている。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, August 9, p. 30.
[2] 原文では a little trickery(少々策略がある)とある。
10.9.6

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日本国有鉄道

 いわゆる国鉄がJRに分社化されて23年ほど過ぎた。いわゆる民営化である。それで「みんな、ええんか」かどうかは専門家にゆだねる。当時いわゆる儲かる路線と言えば新幹線であった。今はJR東海に属する。ロゴカラーはオレンジ色で読売ジャイアンツ色に近い。東京—大阪間の所用時間も短縮、特急券の予約・購入がインターネットでもできるようになった。とはいえネット購入した特急券の乗車変更は、JR東日本の緑色の窓口では経費が発生する。「オレンジ色窓口を捜せ」である。ただオレンジのレンジは狭い。東京駅と品川駅では発見できた。分社化のお蔭でここに村社会が誕生した。
 車内で電源をつなぐことができる車両も導入され、座席まえの表示、行き先案内のアナウンスも英語併用である。がJR東海の切符には英語表示がない。外国人利用者も多いはずだけど、たとえば座席表示でさえも「6号車14番E席」の様である。でも英語教育・公用化などの話題が、かまびすしい今時、この点はこの村社会型サービスを堅持してほしい。切符が「日本語の良さを語りかけている」ような気風(きっぷ)のいい話である。
10.9.5

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陶芸の芸当を

 まずは見学、電動ろくろが回る。見ているだけでは「なんにもでんどう」、でもベテランの方が説明しながら粘土を操っていると見事に形ができて、お皿、マグカップ、茶碗などがちゃ(わ)〜んと出来上る。手につける水分量、ろくろを回す速度、盛り上がった粘土を薄くのばして、造りたいものに似せていく。「やってみてください」と言われても、ろくろの前で苦労の連続である。「うす〜くなって来た、お皿になりそう」と思っていると適度な形のお皿を通りこして反り返ってしまった。スタッフの方のお話では遠心力のせいであるという。両手の親指を合わせて土を挟み込むようにする。親指だけに少し力を入れる。スタッフの方が触るとたちまちそれらしいものになるけど、自分が引き継ぐと、いびつにもなった。なんとかマグカップらしいものが出来上がる。そのカップ少々割腹もよい。カップの取っ手も「とっても大切」だが、これはスタッフが担当される。終わり頃「ろくろでろ苦労様でした」と一本取られた。
10.9.4

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筑波山に来たら

 「ガマがえるか」と思ってしまう。この思いガマンができない。幼少の頃に聞いた「マウントつくばのフロッグコーラス」が付録のように頭に残る。あまがえる、とのさまがえる、かじかが工夫をこらすコーラスである。三つ子の魂の世界であったのが、ある時「筑波嶺の 峰よりおつる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる」という小倉百人一首に衝撃を受けた。カエルの山つながりで短歌を詠んだ人がいタンカと。西暦900年頃である。加えて「おつるみなの川」の部分の意味が全くわからない。とはいえ短歌は概ねどれもよくわからないけどね。ここで「みなの川」は実際の川の名前でさらに「みな」とはタニシのことらしい。で「タニシが棲むことができるほどに山から土砂が流れる(みなの川)の淵(底が深くて水がよどんだ所)、それと同じくらい自分の恋心もふくらんでいます」なのか。ただ今では、タニシで愛の告白はどうか。まタニシたい。
 ちなみに筑波山は、富士山とも対比される美しい姿で、日本百名山、日本百景の一つでもあります。
10.9.3

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単結晶ができました

 と血相を変える。分子構造を目にすることができるかもしれない始まりである。今では金魚すくいが如く単結晶を拾い出し装置にセットする。回折データを集めることができれば解析である。ただ村井君は結果を見て「空間群はtriclinic。とりにくかった?」と言うぐらいしかできない。代わって頼りある職員の方がWindowsパソコンで実行できるソフト「Yadokari」のお世話になって解析される。この無償ソフトいまでは東北大学のプロジェクトに継承され「Yadokari-XG 2009」までバージョンアップ、海外デビューも控えている[1]。記事では「ディスオーダー」の課題にどう取組んだのか、どんな機能を付与して解析困難な場合をクリアできる様にしたのかが端的に紹介されている。がこのサクセスストーリー、始まりは二人のドクターコースの学生で彼らの「自分たちにとって不便、自分の分子の分子構造を見たい」というこだわり、素朴な欲である。やるのは自分たちヤド、カわリはいない」の精神である。「気がつけばあれがきっかけ」という物語のひとつ「ヤドカリ」がここにある。ドカリと座って読んでみよう。

[1]月刊「化学」9月号p.31.
10.9.2

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リン元素は

 医薬品、化学肥料、殺虫剤などの多くの化成品誘導体を導くための鍵元素である。触媒配位子として使われるトリアルキル、トリアリールホスフィンの調製は、白リン(P4)を塩素化することで三塩化リンとし、これをGrignard、有機リチウムあるいはハロゲン化物/強い還元剤との反応で行う。たとえば融解したNa存在下、クロロベンゼンとPCl3との高温反応がPh3Pの工業的調製法である。それに対して塩素を使わない合成法がMITのB. M. Cossairt, C.C Cumminsらによって開発された[1]。そこではチタンアミド還元剤[2]がPhBrやCyBrから臭素を引き抜き、炭素ラジカルが発生しこれがP4をトラップする。ベンゼン中室温で1分以内にPPh3を収率72%で得ている。大量合成プロセスとなりうる可能性を秘めている。
 ちなみにリン元素には多くの同素体がある。白リンに加えて、黒、紫、赤、紅、黄である。黄リン(キリンとは読まないと思う)は、かつてマッチの先に使われていた。これはマッチがい、ありません。

[1] Chemicals & Engineering News, 2010, August 9, p. 8.
[2]Ti(NRR’)3でR=t-Bu, R’= ジメチルフェニル
10.9.1

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