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2010年12月

一年を振り返る

 出張は海外が以外と多かった。それも僥倖に恵まれた。移動に使った航空便のキャンセル、トランクの行方不明もなく、強盗や盗難とも縁がなかった。そろそろ潮時かもしれないので来年は国内のみかもしれない。その海外での発表後、レスポンスの多かったもの、ほとんどなかったもの、など様々だったけど、もう一歩踏み込んだ内容にしなくてはならないと反省しきりで来年の課題である。また海外にいた分、研究室には不在のことも多かった。中には「ボスは元気で留守がいい」と言われる先生もおられるのでこれでもまあよいか。
 話変わって「結婚しましたメール・ハガキ」を6名の卒業生からもらった。多くはこの五年以内の修士修了生である。結婚した時をボトムだと思って「おもろい世界」を長年かけて築いていってほしい。「ジュニア誕生ハガキ」もいく枚かもらった。愛らしい笑顔がハガキを占有していた。化学大好き、少年・少女に育ってほしい。
 ではよいお年を
10.12.31

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カレンダーを

 張り替えた。フランス・ノルマンディー、モン・サン・ミシェルとその湾が12月JALカレンダーだった。可憐だなあと眺めて、来年のものと入れ替える。今回はAIUのカレンダーをいただいた。12月分もあって、そこはイタリア・ボローニャ、でも新品のカレンダーである。他にも「花時間」「ROUND THE WORLD」と記されたものを掛けた。研究室には予定を書くスペースのあるものを学生たちが選んでいた。この「予定」がくせ者である。数週間後、数ヶ月後に、何かに参加する、お手伝いをする、主催するなどでその前後が固定される。その時になって自分が今の自分と同様に生きているかもわからないのに。加えて懐かしの友達からの「突然会いたいコール」に予定表をめくってしまう。かつてリーダースダイジェストという雑誌があった。そこには「私との約束を手帳に書き込んでくれる友人も大切だが、それ以上にありがたいのは私のために予定表を無視してつき合ってくれる友人である」という言葉があった。
10.12.30

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金属がメタンのC-H結合に挿入

 する反応は有機合成化学において重要な反応である。これまでそのスナップショットを得るために様々な方法が採用されてきた。たとえば低温ガスマトリックスでとりますとか、気相分子ビーム実験などであるが、これらは金属挿入反応が進行していることを示してはいたが、挿入生成物に関する構造の詳細は分からなかった。それに対してアリゾナ大学L. M. Ziurysらは、何かが起きそうと気相で、ジメチル亜鉛と水素とメタンを反応させH-ZnCH3を合成した[1]。さらにその正確な構造を決定するために、亜鉛、炭素、水素の同位体のマイクロ波スペクトル法を組み合わせることで得られる高分解能回転スペクトルを測定した。その結果HZnCH3は比較的安定でH-ZnやZn-C共有結合を持つこと、ZnHやZnCH3が初めに生成するよりも、Znが直接C-H結合に挿入することによって生成している模様であることを発見した。
ちなみに回転スペクトルは分子の微細構造も観測できるため、回転によって、何ガ、イテンのかを類推できるらしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, December 6, p. 37.
10.12.29

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やっぱり立ち上がらない

 パソコンだった。風車マークが回転するだけでデスクトップの表示がない。「しがない」気持ちになる。思い切って消去してシステムインストールをすることにした。午前と夕方には本部関連のお仕事、午後には会議、その合間をくぐりながらChemDrawにWordも入れる。でもなんだか最後まではうまくいかない。再びスタッフにお願いして解決してもらう。部屋の掃除もしようと思っていたが進まないので乱雑になったままである。午前に「工学部離れという錯覚」というレポートを大学幹部の方に差し上げた。部屋にいるわずかな時間帯にお電話もいただいた。「工学部の今後も・・・と考えましょう」みたいな建設的なお話だった。でも当方は「パソコンが」刹那の課題だった。他にも授業のこと、就職担当関連のお電話もあった。パソコンは現状復帰できたが、今度は自分が立ち上がらない疲労感に見舞われた。こんなときは琥珀色の液体に氷を浮かせ、くゆらす香りに浸るしかない。科内の人も許してくれるだろう。いやそれは、わ「カンナイ」?
10.12.28

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通常のゴム製品は

 極低温ではもろく超高温では分解する。それに対して温度変化(-196℃〜1000℃)に対しても不変の粘弾性を示すナノチューブゴムが開発された[1]。これは星間宇宙の酷寒地域へも到達できる輸送手段の実現も可能にし、酸素との反応の危険を回避でき熱さに耐えうる高真空の溶鉱炉の内部にも利用しうる素材である。AIST(産総研)のチームが、水がアシストする化学蒸着法を使って、カーボンナノチューブ(CNT)を基本とする素材開発をおこなった。チューブはお互いが接近しあうかたちでもつれ合っている。熱的安定性は、このもつれ合った部位で、つながったり離れたりする(zip and unzip)こと(チューブが宙ぶらりん状態なのかな?)によってもたらされたものであると考えられている。高分子ゴムでは粘弾性は主に、高分子鎖の配列に依存しており、高温ではこれらが壊れてしまう。それに対してCNTを基本とする素材は熱によるエネルギーが、CNT間の大きなvan der waals引力を克服し、その結果、接触点のunzippingを可能にし、一方でzippingにはほとんどエネルギーがいらない」という特徴を持つ。高性能な粘弾性素材、男性・女性問わずに使わせていただきましょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, December 6, p. 13.
10.12.27

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クリスマスプレゼントに

 「パソコンが起動しそこねる状態」をもらった。電源を入れてパスワードを入力のところまでは通常通りに進む。ついで壁紙が登場し下の部分にはドックが見える。本来だったら上の部分にFinderなどの表示とデスクトップに放置したホルダーやファイルが現れるはずだけど、風車がぐるぐる回るマークが続くだけで進まない。あれやこれやとやってみたけど改善しない。やむなくスタッフにSOSをする。同様に復帰しない。ハードディスクからデータをコピーするべく別のパソコンとbluetoothでつなぐ。これでデータは大丈夫かと思いきや本来あるべき部分にファイルがない。つないだパソコンのユーティリティで起動しそこねのパソコンのディスクの修復を行った。時間が過ぎる。期待がふくらむ。で再びファイルを捜すがやっぱりない。もう一度立ち上げてみようということで起動させた。復帰できるか腹筋にも力を入れて見守った。しばらくかかってデスクトップにホルダーなどが、また上部に表示されるべきものも登場した。「クリスマスに苦しみます」だったけど助かった。
10.12.26

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快速エアポートで

 札幌に移動した。新千歳、南千歳、千歳と続く。オットセイがここにいるかは知らない。ついで恵庭、雪景色が「絵には」なる。北広島「かつて広島出身の方々が開拓したことからこの名になった」と聞いた。札幌での記念講演会にてある財団の方のご挨拶。日本の化学を海外で紹介する事業を支援してきた。日本の伝統からいけば、黙して語らずだけど、当財団も事業仕分けの対象なので活動実績を宣伝しなくてはいけない。新聞社にも掲載をお願いしたい。でも本意ではない。ついで地方を元気にするには「よそ者、わか者、ばか者」がそろえばよいとのこと。ばか者とは損得を考えずに地域に貢献する者のこと、よそ者について、今年北海道は偉大な二人のよそ者を授かった。一人は早稲田大学の斎藤佑樹投手、もう一人は根岸英一先生(北海道大学触媒センターの特別招へい教授に就任された)。この日先生は講演をされ、記念祝賀会ではほとんど立ちずくめで写真撮影に応じられていた。しかもその後の準備会、4時間ほどあったと思うけど、その場にも最後までおられた。
10.12.25

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ポップコーン肺

 と呼ばれている肺疾患がある。キャンディ、電子レンジポップコーン[2]やワインにあるバター様の香りをつくるために使われているジアセチル(2,3-ブタンジオン)が浮遊し、それを吸入することで引き起こされるかもしれないと言われている。以前ジアセチルは工業的にも広く使われていたが、これが明らかになって以来評判が低下してしまった。そのジアセチルとアミノ酸のひとつであるアルギニンが反応し四種類の化合物を与えることが報告された[1]。ジアセチルは40年以上もタンパク質におけるアルギニン残基を修飾するために生化学では道具として使われてきたが、今回の報告はジアセチル−アルギニン付加体がどんなものかを垣間みた最初である。生成物はある条件では相互変換できる。とは言えジアセチルの毒性の機構が分かったわけではないが、今回の付加体は肺タンパク質がジアセチルに曝されたときの免疫系応答の解明に使えるかもしれないと期待されている。今後のジアセチルの研究も気ガチルことのない様に

[1] Chemical & Engineering News, 2010, November 29, p. 33.
[2] ポップコーンとアイスクリームコーンではコーンの意味が違う。こ〜ん乱した人には、こ〜ん度教えて差し上げます。
10.12.24

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ワインアレルギー

 が世界中のおよそ5億人で起こるらしい。なのでこの5億の人は、飲酒がおっくうになる。たとえば頭痛、鼻詰まり、皮膚発疹、ひどい場合には呼吸困難などの兆候が出ることもある。アレルギーの1%はワインに含まれる亜硫酸塩による。これはワインの腐敗防止のために添加される場合もあるし天然に含まれることもある。ただアレルギーの要因として亜硫酸塩はむしろ亜流である(ゅ)う。他7%の要因が曖昧だった。それに対してデンマークの研究者らはイタリアのシャルドネワインから28種類のグリコプロテインを同定した[1]。これはブドウの発酵によって生じる砂糖で覆われたタンパク質である。これらの構造が、ブタクサやゴム製品でアレルギーを引き起こすタンパク質を含む既知のアレルゲンと類似の構造であることがわかった。この成果は「ワインメーカーが低アレルギーワインを製造する一助になりうる」とのことである。
この研究で使ったのはシャルドネ、やるよね。ここでも残った分は生体内に収まったに違いない。

[1]http://www.upi.com/Health_News/2010/11/20/Low-allergenic-wines-may-be-possible/UPI-48321290311682/
10.12.23

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ゴム製品を

 使ってアレルギー症状を引き起こす場合がある。ウエットスーツ、ランニングシューズ、コンピュータのマウスパッド、iポッドホルダーなどがそのゴム製品であるが、これらは伸縮自在、防水、化学的にも摩耗にも強い高分子で作られており、その原料はネオプレンである。ただこの性質を付与するためにジフェニルチオ尿素を一流の加硫剤として使うのが流儀である。けれどもこのチオ尿素が関わってアレルギー症状がでる可能性が示唆された[1]。すなわち人の肌にある主たるP450酵素のカクテルを使い14Cでラベルしたジフェニルチオ尿素を活性化し、代謝産物の質量分析を行った。さらに三つの主な代謝産物がマウスのタンパク質と結合できるかどうかを分析した。その結果、ジフェニルチオ尿素自体はアレルギー反応を起こさないが、三つの代謝産物のうち二つは、肌がその刺激に応答する物質だった。とのことである。そのため人の肌の酵素がジフェニルチオ尿素を接触性皮膚炎誘発の代謝産物に変換しうるとしている。ちなみに代謝産物の研究、お医者さんたちの研究かどうかは、ここには書かれていない。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, November 22, p. 27.
10.12.22

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雨のワイキキ

 だった。この日「ホノルルでるんるん」と考えていた人たちには残念な天気である。こちらは朝5時過ぎに起きて帰国の途についた。雨で道路の一部が冠水していた。空港では旅行社の担当者から搭乗券を受け取り、荷物の重さを量る場所を通過して、預け入れデスク、さらにもう一つデスクを通過して保安検査場に進む。類いまれな人数のつぎ込み様である。パソコンを鞄から出し、靴も脱いでジャケットも脱いで通過、ここではまだ、衣服の中も透視できるシステムは採用していない様子である。最後尾の座席だった。カートが足に当たってしまった。キャビンアテンダントがあわてたんだと思うが自分も不用意だったかもしれない。それでもその部分をさすりながら「お薬塗りましょうか」と言われる。塗ってもらっているシーンを想像してお断りした。しばらくしたら一番の偉い方も来られた。ここでは「上司への報告」が常識に違いない。そんなこともあって無事もどってきた。今年も残り十日、遠からず新年の頃になった。
10.12.21

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ダイヤモンドヘッドは

 オアフ島にある火山で丘になっている。頂上まで登ることができる。1時間半から2時間で、見れば子どもたちも元気そうに歩いているのでチャレンジした。しばらく進むと頂上らしき部分が見えてきた。ダイモンドヘッドは「偉大なもんど」などと思いながら進む。するとペアピン型の登り階段にたくさんの人が連なっている。やっとことで最後の階段と思われる場所に来たら、100段程の直線の階段が続く。休まず行くとトンネル。中は少し傾斜があって少々息切れしてきた。やっと表にでるかという時に螺旋階段である。幅が狭いのでしばし休憩、かなりの息切れ状態で登りきった。ヘッドのヘッドまで来て、へとへっどになった。登った証明書を2ドルで手に入れた。その場所からさらに外に出て、さらに階段を少し上がると視界が360度、開けた。島の南側の海が一望できる。緑と青がないまぜになった海岸線や沖合い、押し寄せる白い波をカメラに切り取った。下りは快調とは言え「ヘトヘト感」が残る。入口まで戻ると、かき氷(shaved ice)屋さんがあった。「こおりゃいかん」と思いながらも誘惑に負けた。
10.12.20

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ワイキキトロリー

 に乗ってイオラニ宮殿に行った。ワイキキなので腕利きの運転手に違いないけど揺れの激しいトロリーである。とろ〜り走るわけではない。4時過ぎについたら見学切符の購入は終わっていた。「日本から来て明日帰る。見逃したら二度と見ることができない」と交渉してみようかと思った。そこで「その宮殿見学、急でんな」とは言われなかったけど受付の方の体型に圧倒された。それでも少々お願いすると「紹介ビデオは無料で今もやっている」と教えてくれた。他には誰もいない部屋でハワイの歴史などを教えてもらった。ハワイ王国ののち1898年アメリカに併合されたことなどを聞いた。国王の肖像画はアメリカンよりむしろ日本人に近い顔立ちだなあと思った。近くのカメハメハ大王の像を見て、帰りはバスに乗った。こちらのバスは次の停留所のアナウンスがあって、降りる場合にはヒモを引っ張って知らせる。ヒモを忘れてひもじい思いの後、たくさんの乗客が降りる停留所がホテルの近くで幸いだった。
10.12.19

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コンベンションセンター

 に向かった。それにしても巨大な会議場である。しかも同じフロアにいくつもの部屋があるので移動も簡単である。ここで学会のバックをもらった。ついで5月に韓国でお世話になった先生とそのご家族とお会いした。奥様と息子さんはカナダ在住で久しぶりの再会の輪に自分も混ぜてもらって昼食をいただいた。奥様からはブランド品の購入の方法をたっぷりと教示していただいた。「いくつも店はあるけど行くべき場所はここしかない。そこへはノンストップバスがここから出ている。帰りのバスチケットを先に買っておく。さもなければ売り切れてタクシーを使うことになる。それでは安上がりとはいかない。そこへ着いたらまず配布されているクーポンを遠慮しないで手に入れる。クリアランス、セールと書いた品、50%offと書いたものから選ぶ。これらの商品は店の奥のほうに陳列してあることが多い。場合によっては80%offでの購入もできる」などである。実際に奥様はこの方法で、六つサイフを買われた。「ワイフにはかなわない」と先生はおっしゃっていた。
10.12.18

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7時30分始まり

 のセクションに出席のため、シャトルバスを乗換えて移動した。シャトルバスは6時半からやっとる。でも会場がわからない。たまたま出会った人に「六階はどうやっていけばよいのか」と聞いた。「ここが六階です」「エスカレーターで二回昇ったんで二階と違うの」「それは誤解です。ここです」とのこと。確かに講演が行われていた。Trost先生のPd触媒、V触媒の組合せで結果としてα,β-不飽和ケトンのα-アリル化を達成した話などを聞いて移動。別のタワーの会場である。部屋の入口は前にしかない。「演者交代の時で、ええんじゃ」と思って外で待つ。会場の右側は遮光フィルターつきのガラス張り、その向こうはホテルのラグーン(潟湖)で、海岸にもつながる場所である。そこを行き交う人たちに視線が行く。それでもCummins先生の白リンからの有機リン化合物の合成などを聞く。工業プロセスと改善すべき点、それに対するアプローチの方法という順で滑らかに講演が流れた。ネイティブの中には、日本人にとって理解しやすい英単語を選び、ゆっくりと質問する人がいた。発表者が緊張してか、しどろもどろになっていると「だいじょうぶ」「がんばって」とか言っていた。
10.12.17

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ワイワイ、ハワイで

 化学を議論すべく集う。環太平洋の会議で歓待される。学会のホームページによればアブストラクトの数13000余り、そのうち日本から6500弱と、なんとか日本が半数以下で収まった。七つの国の化学会が主催の会議で一国が目立ち過ぎてはいけない(すでに充分、目立っているけどね)。
 でこの国に入る時ビザなしだったら電子渡航認証システム(ESTA)の申請が昨年の初めから必要になった。しかも「ESTAの申請した?」と言っているうちに14ドルの支払いも必要になった。日本から米国へ昨年は292万人程度が来たらしい[1]。これから計算するとシステム導入でどれほどの収入増があるかがわかる。「自国民の懐からいただいたものじゃない」ところが工夫されている。こちらはだいたい100円/月だからいいかと適当に納得している。そこで税収不足に悩む日本政府も「この制度みたいなもの」の導入を考えてはみてはどうかと思う。初めは模倣から始まって本家を凌ぐことも時にはいい。ちなみに今回の会議の主題とは無縁ですが。

[1] 内田先生のブログ2010.11.9(http://blog.tatsuru.com/2010/11/09_0945.php)を参照した。
10.12.16

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有機化学のモナリザ

 と長いあいだ呼ばれていたシクロブタジエン、その単純な化学式にも関わらず結晶構造の解明がなされてなかったためである。それに対して今年、最初の構造解析の結果が報告された[1]ことがきっかけとなって論争になっている[2]。モンペリエのM. Barboiuらは紫外線照射でピロンから二酸化炭素と1,3-ジメチルシクロブタジエンを発生させ構造解析を行った。それに対してロンドンのScheschkewitzやフロリダのAlabugin(と言ってもロシア人)らが1,3-ジメチルシクロブタジエンではなく、光反応の中間体である二環式β-ラクトンつまりシクロブタジエンのC=Cと二酸化炭素のC=Oが[2+2]環化した構造であると指摘している。これに対してBarboiuらは最初の解釈の立場を堅持している。今後の議論も注視してみたい。なのでモナリザをオザナリにしてはいけない。
 ちなみにScheschkewitz先生のhighlight reviewはChem. Lett.1月号掲載です。読めば「ジシレニド、知れに〜ど」と言わなくて済みそうです。

[1] 村井君のブログ10.8.24
[2] Chemical & Engineering News, 2010, November 22, p. 27
10.12.15

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ホノルル国際空港

 に降りた。米国の空港の香りがする。大渋滞の中やっと自分のホテルに着く。観光客あふれる中ヒルトンに向かった。明日の発表用のファイルを専用のコンピュータに入れるためである。当初予定の部屋は入り組んだ所にあって警備の人に聞きながらたどり着いた。するとそこにはA3用紙に「部屋が変わったこと」が書かれていた。同じホテルでも道路を挟んだ別の建物である。ホテル内の移動で身体も火照る。着いたら長蛇の列、しばらく待っていると「自分のパソコンを使う人はファイルのアップは必要ない」とのことだった。
 でホテルに戻ってネットのコネックトを試みる。ガイドに従って最後までたどり着いた時に、errorメッセージ、えら〜いことやとそれぞれの画面を切り取り、パソコンをフロントデスクに持って行った。すでに数名のお客さんが同じクレームで相談に来ているとのこと。部屋に戻ってオペレーターに連絡せよというので電話、ハワイアン英語の指示に従ってトライするが失敗、しばらく待ってくれと別の担当者が出た。今度は随分長い間、電話を持ったままである。が幸いコネクトできた。この間、ミラーライトの缶が二本、空になってしまった。     皆さんハワイも米国です。
10.12.15(日本時間でね)

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インドールは

 ベンゼン環に窒素を含む五員環芳香族化合物であるピロールが縮合した化合物である。お人形とは違う。この骨格は生体内でも作られ、なじみ深い香りを持つ。そのインドールの縮環したC=C結合を、インドールの窒素にホウ素が隣接する様にB−N結合に置換えたB-Nインドールがオレゴン大学の研究者らによって初めて合成された。B-N結合はB(–)=N(+)という共鳴構造式も描くことができ、もとのインドールと同様の電子構造である。一方インドールと構造や性質が同類(ドールイ)であるかについて、前者はX線構造解析により、後者は位置選択的な求電子芳香族置換反応により確認された。その結果B-Nインドールのほうがより求核的であった。このBN置換した生体分子を使うことで生合成経路の探索や、特異的な特性が化学生物学や創薬の分野で利用できると研究者は指摘している。ただこの新型インドール開発チームに「インド人おる」かどうかは記事にはなかった。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, November 15, p. 36.
10.12.14

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電気の接続部

 の素材である市販のワイヤやケーブルには、難燃剤として塩素化された炭化水素が使われている。かつては臭化ビフェニルエーテルも使われていたが段階的に使用を減らすことが同意され、塩素化物の使用が増加している可能性もある。この化合物による大気汚染は、それらを生産する五大湖と中国が中心である。そんな中、今回北極と南極の間を探索する船に乗船し、大容量の大気を二度のクルージングの末に収集した[1]。ついで陸にもどってクリーンルームでその成分をガスクロ・質量分析を行った。その結果最も高い濃度(4.3 pg/m3)で観測されたのはグリーンランド付近でグリーンではなかった。逆に最も低い濃度(0.05 pg/m3)だったのは、西グリーンランド海や南極近くの南洋あたりで、ほとんど「ないよう」だった。もっとも4.3という値は中国の工場付近で観測された値(26,734 pg/m3)に比べると極めて小さかったが、この調査結果は「西ヨーロッパがこの塩素化難燃剤の発生源であることを示す説得力のある証拠である」と述べられている。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, November 15, p. 8.
10.12.13

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喪中の葉書

 をしょっちゅういただく時節になった。今年も様々な方を見送られたのだなあ」と感じる。その中「百二歳で永眠いたしました」という葉書をいただいた。父の叔父にあたる方である。日本軍にも召集されてその後、国鉄で働いておられた。「新幹線はわしが工事したんや。ぼく(村井君のことね)が大きくなっても、壊れえへん。もっとはよう(速く)走る」と言う話が記憶に残る。父のお葬式の時にもお世話になった。顔じゅうが涙だった。その後その方の甥、姪にあたる親戚の方々すべての訃報を聞かれた。「なんでわしより若いもんが先行くんじゃ」みたいなことをお聞きしたこともある。なので順番を間違えないように生き抜くことも必要である。「毎夜の晩酌は日本酒二合で打ち切り、それ以上は決して飲まない」とも聞いた。明治生れである。自分も見習うべしと思うがままならない。性悪な昭和生れのためか。先の喪中のお葉書には「寒い季節を越え暖かな春風との再会を楽しみにしています」とあった。季節はめぐるけど、それぞれ一回限りである。
10.12.12

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ストレートヘアに

 憧れる。とはいえ生まれつきは様々で、カールがわか〜る人、縮れ毛やくせ毛も自然である。これをストレートヘアにするためコテやドライヤーを「どないや〜」と様子を見ながら使う。それでも満足できない場合に毛髪の化学を利用する[1]。タンパク質であるケラチンで作られた繊維で構成された毛髪は、非共有結合性水素結合と共有結合であるジスルフィド結合によって、全体の構造が形成されている。なのでこれらの結合を一旦切断し、再結合させることによって人工的なヘアスタイルをつくるという考えである。ブラジルが発祥の直毛技術の会社の方法は数ヶ月間ストレートヘアを維持するが、アミノ酸添加にホルマリンやメチレングリコールを使う。さらに長期間ストレートを維持する方法は日本の会社によって採用され、そこではチオグリコール酸アンモニウム[2]を使用している。それによってジスルフィド結合を還元しコテによって毛髪を伸ばし、過酸化水素水あるいは臭素酸ナトリウムで酸化させて新しいジスルフィド結合をつくる技術である。さらにストレートパーマ剤には水酸化ナトリウムあるいは炭酸グアニジンや水酸化カルシウムなど、場合によっては高いpHを示す化合物も使われている。最後に専門家は「美しさのために少々苦しいのはよいが化学反応が暴走することで身体を粗末に扱ってはいけない」と述べている。

[1] Chemical & Engineering News, 2010 November 8, p. 54.
[2] チオグリコール酸は酢酸のメチル基の水素一つをSHに置換えた酸、激しい悪臭と刺激臭が特徴。臭いは塩になれば縁遠いかもしれない。
10.12.11

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集中講義を

 無事終えることができた。これもお世話をいただいた先生、出席した学生さんのお蔭です。なんとか調子が維持できた喉、しばしのどかな気分である。
自分の場合、講義はその場の設定や「聞いてみよう」という雰囲気に極めて繊細である。パワーポイントだけで長丁場を乗り切るのは難しい。板書は聞き手も頭や手を積極的に動かすモードに入る時間帯である。講義中に鋭い聞き手の目線を感じると、知らずに予定外の話をすることもある。終わってしばらくした後「自分のパフォーマンスの高さに自分が驚く(ほとんど自己満足だけども)」講義ができた時は、学生さんたちの熱意で自分を起動させてもらったことを感じる。
 1938頃Wittig先生、Gilman先生はそれぞれ有機リチウム化合物の反応性を研究されていた。「研究分野の類似性からWittig先生は芳香族リチウム、Gilman先生は脂肪族リチウムに研究範囲を絞る」という話の際に先の熱意を感じてか「中には研究について、それは自分のほうが一番と言って争う研究者もいるけど、そんな時は結果としてどちらも「ポシャル」」と思わず付け加えた。「お(ポ)ッシャルとおりです」という突っ込みはなかったけど
10.12.10

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東京行きのぞみ

 の車窓右斜めはるか前方、富士山が目に入った。雪の帽子をかぶる。静岡県に入った辺りか、まずは右手に見えてそれが左手に向きが変わるのに初めて気がついた。富士川を渡り新富士を通過、その後のトンネルが続くまでその偉容を見せる。目的地は埼玉、たまった仕事を置いたまま出かけた。東京駅から「埼京線への行きよう」を確かめて京浜東北線に乗る。乗換えて埼京線、しばらくすると車窓左手に再び富士山が現れる。富士山を中心に楕円状に移動してきたらしい。ここまでの間、どこかしこにビルや電線が乱立し、富士への視線を遮っていたけど、数十年前はこの東海地区東部から関東地方西部は、富士山が常にその視線だったに違いない。途中の停車駅で急ぎ写真撮影する人も少なくなかった。南与野駅に到着、電車にも「よう乗」った。四市の合併で「さいたま市」になった。市名がひらがなである。ただたとえば「さいたまのいたまえそこにいたまえ」と書くとわかりづらい。だからおそらく「市」は漢字のままである。
10.12.9

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1941年12月8日

 日本時間のこの日「帝国海軍はハワイ真珠湾を攻撃した」ことは教わっていた。一方で「あれは真珠湾攻撃ならぬオアフ島攻撃で、この島にある米軍のほとんどすべての軍事施設を標的としていた。この作戦を成就させるために、浅瀬の真珠湾に沈め、海底についてしまう前に前進できる魚雷を、時の日本は開発した。戦略・戦術全般が綿密に作成されて実施された。その指揮官が「山本五十六」であった。30代半ばにハーバード大学に留学した彼は、日米戦争には最後まで反対しながらも、戦争不可避の段階で、いくつかの戦果ののちに講和条約の道を考えていたらしい」などなどを、五年前のハワイ年会で、アリゾナ記念館を訪れて初めて学んだ。もちろん記念館は日本軍の攻撃で犠牲になった戦艦アリゾナの乗組員を追悼するモニュメントであるが諸事情も詳しく記されている。当時も来訪者が多く午前8時頃そこへ向かったけどツアー予約で1時間程度後のグループだった。ハワイ年会の束の間、是非訪ねてほしいスポットである。
10.12.8

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有機農業によって

 得られる食物は、様々な理由で割増価格(プレミア)になることが、わりかし多い。それは動物保護、環境保護、よりおいしい、より健康的であるなどの理由による。しかし健康に対する効果について、殺虫剤や合成肥料を使う現代農法によって育てられた食物と比較検証した研究はあまりなかった。それに対してデンマークのグループは、いくつかの野菜について健康によい影響を及ぼす抗酸化剤が、より高い濃度で含まれているわけではないことを示した[1]。すなわち研究者らは、たまねぎ、人参、じゃがいもに含まれるポリフェノール系抗酸化剤を分析し、現代農法で得られたそれらと違いがないことを発見し、これらが健康を増進する二次代謝産物を、より高い濃度で含んでいるわけではないと結論づけた。
ちなみにデンマークと言えば農業先進国で、「日本のデンマーク」と呼ばれている安城市をマークしておくように、と習った覚えがある。忘れたら「あかんじょう〜し」と先生がおっしゃった覚えはないが。

[1] The Alchemist News letter November 12; Knuthsen. P. J. Agric. Food Chem., 2010, 58 pp 10323.
10.12.7

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発色団を

 アルミニウム重合触媒に入れることで、一段階で色のついた高分子を調製することができる[1]。いわゆるDyeCatプロセスはポリ乳酸(PLA)の骨格に直接、染料を入れ込むことができる。まさに千両役者である。その結果、現在の「高分子を洗いあげ、染色し、色堅牢度試験のための処理をする」という染色技術を使わずにすみ、エネルギー、水、化成品、時間の消費も軽減される。染料分子は三通りの異なる方法で挿入できる。アルミニウム中心を安定化している配位子の骨格につける、アルミニウム安定化配位子として作用するように設計する、重合を開始するのに使われる」である。後者の方法で黄、赤、紫のPLAが作られている。繊維ではよく見られる色だけども、多くの染料を必要とし、しかもにじみ出る傾向にある黒のPLA繊維も調製されている。黒の繊維はロンドンの科学博物館に展示されているドレスに織り込まれている。PLA繊維、プラット見学に行きたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, November 8, p. 48.
10.12.6

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「宇宙戦艦ヤマト」

 は1974年に放送されたテレビアニメであるとWikipediaにはある。「テレビにかじりついて」というほどではないけど、ほとんど見た。今思えば、ミッションの中で、それぞれの人の役割と性格が綯い交ぜになって話が展開するアニメとしては、自分が出会った始めだったかもしれない。古代進もいいけど、真田さん、徳川機関長や沖田艦長にも自分を置換えた。そして何と言っても佐渡さん。よっぱらいの医師である。本来のミッションとは距離を置くキャラクターが登場、しかも要の一人になっていた。この一見たよりにならない感じの佐渡さんのパートナーはアナライザー、お蔭でanalyze(分析する)という英単語を覚えることができた。と同時に看護婦ではなくロボットを据えたところも味わい深かった。12月1日実写版が公開された。この佐渡さん役を高島礼子さんが演じる。一升瓶を持つ姿を拝見できるのか、それとも違った形で「脇」を固めているのか、わくわくである。ちなみに36年前一番話題になったシーンは、最初のワープだった。森雪の変化に目が点になった。純朴な青年たちだった。
10.12.5

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ビスフェノールA(BPA)は

 プロパンの真ん中の炭素に4-ヒドロキシフェニル基が二つ組込まれた化合物で、女性ホルモンと同様の作用を示すことが報告されている。またポリカーボネート製プラスチックやエポキシ樹脂の原料である、食器等へも広く利用されているため食器からのもれは、ショッキングである。安全基準値以下であっても、幼児や年少の子供への影響は今も議論がなされている。それに対してppbレベルでの混入量が学術論文に初めて発表された[1]。缶詰食品、新鮮な食品およびプラスチックにパックされた食品を対象にガスマスを使った測定を行った。一般にはBPAを含むエポキシ樹脂で裏張りをした缶に入った食品はその濃度が高い。トマトのような酸性の食品に対してはほとんどすべてBPAが使われている。がトマトペーストのいくつかの缶は検出できるほどのBPAを含んでいなかった。このことは効果的な新しい裏張り技術があり、それを会社が採用していることを示唆していた。裏張り、やはりそうに違いない。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, November 8, p. 48.

10.12.4

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何でも屋の洗剤

 膜に固定されたタンパク質は生物学で重要な役割を果たし、しばしば薬剤の標的となるが、それがどのような構造であるかを決定することは相当に難しい[1]。この構造決定に洗剤が使われている。洗剤は極性部位と非極性部位を有する両親媒性分子であり、膜タンパクの構造決定で様々な働きをする。たとえば細胞膜の中からタンパク質を取り出すことができる。しかも解放されたタンパク質の安定性を保ち結晶化の手助けもする。しかしこれまでの洗剤では必ずしも同様に作用するわけではなかった。中には「なんにもせん」ざい」もあり、タンパクに対して「わんぱく」だったかもしれない。それは洗剤が時には柔軟性があり時には堅い構造であることにも起因している。そこで中間の柔軟性を有する洗剤が設計された。その結果、結晶学における主力の両親媒性分子であるドデシルマルトース二分子と疎水性部位で組み立てられた分子が開発された。この新しい洗剤はタンパク質を安定化し結晶化の手助けもし、様々な場合に同様に適用できる結果を示している。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, November 8, p. 12.
記事のタイトルは「JACK-OF-ALL-TRADES DETERGENTS」で「何でも屋の洗剤」にした。最前(ついさっき)考えた。
10.12.3

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Order of Culture

 が根岸先生、鈴木先生に授与されたことが先生方の写真とともに記事になっている[1]。11月3日の式典で天皇陛下(the Emperor of Japan)よりと続く。その後には、先生方のPd-触媒の業績を改めて伝え、Heck先生とともにノーベル化学賞が与えられたことも記している。ついで他に五名の人も今年の文化勲章に選ばれた。建築家・安藤忠雄、原子核物理学者・有馬朗人、服飾デザイナー・三宅一生、演出家・蜷川幸雄、中世史・脇田晴子であることが書かれていた。また同じページ左には山中伸弥先生が11月10日京都賞を授与されたニュースである。京都賞は日本で最も名誉ある民間の賞で、社会をよりよくするために重要な貢献をしたことに敬するグローバルな成果に対するものである。稲森財団によって毎年贈呈されているが、金メダルとおよそ60万ドルが贈り物として含まれることも紹介されている。
 本邦の学会誌も同様の出来事を取り上げる日を期待したい。

[1] Chemical & Engineering News, 2010, November 29, p. 46.
10.12.2

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今年も師走です。

 「師走とは、し忘れたことをする月である」と昨年書いた。ともかくも懸案だった原稿をSanti先生に送った。2週間ほどまえに、Tiecco先生の退職に伴って電子シンポジウムをやるので論文書いてほしいというお願いだった。セレノクライゼン転位を位(くらい)の高い先生に捧げるつもりで題材にした。どれくらいで出来るかと一時は暗い気持ちになったが、なんとか終わった。ちなみにアリルビニルエーテルが[3,3]-シグマトロピー転位する反応がクライゼン転位と呼ばれる。1912年のクライゼンより以前にはなかった。この反応はかなりの加熱条件が必要である。その酸素をイオウ、セレン原子に置換えた同様の転位反応は、酸素の場合に比べて容易に進行する。どちらもC=SやC=Seを形成するので反応としては不利かなと思うけどそうでもない。これに対する納得できる説明はまだない。セレノクライゼン転位も「し忘れている」反応の一つである。到達目標を設計しきれれば、面白い系である。
10.12.1

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