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2011年4月

ホルムアルデヒドは

 彗星や隕石などの様々な宇宙物体をつなぎ合わせていることが報告された[1]。これまで宇宙物体でどのように炭素固体が形成されているかについて様々な理論が「おコタイ(エ)しましょう」と提案されてきた。この過程は初期の地球で炭素がいかに取り込まれたかにも関わっているためである。彗星と初期の炭素質できたコンドライトと呼ばれている隕石とは、太陽系の全く異なる場所でみつかるために、隕石と姻戚関係があると考える理由はなかった。それに対して固体NMRとX線吸収スペクトル法によって得たデータは、ホルムアルデヒドが、彗星やコンドライト、さらには惑星間にあるチリで見られる複雑な高分子状物質の、よくアル(デヒド)原料であることを示唆していた。研究者らは実験室で、ホルムアルデヒドの縮合反応を行うことで、太陽系の物体でみられる類似の高分子状物質の合成も行っている。なお隕石や彗星の成分として、フランやトリエンの複数の炭素にアルデヒドが付加した化合物も示されている。

[1] Chemical & Engineering News, 2011, April 11, p. 35.
11.4.30

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ウシは一日

 あたり150 Lのメタンガスを出している[1]。いわゆる温暖化係数が二酸化炭素の21倍がメタンである。酪農国ニュージーランドでは、人口比約10倍の羊や牛などの家畜にゲップ税を課している。月賦で支払うかは知らないが、これが温暖化対策研究費になるらしい。メタン菌を保有している人も、メタンガスを出す。幸い無課税である。呼気からも、さらに臀部辺りから出る気体成分もである。こちらは転失気(てんしき)[2]とも言う。この混合気体をWikipedia free encyclopediaで調べた。Flatulenceに詳細があった。成分のほとんどが窒素で、他に水素、二酸化炭素、酸素、メタン、で有臭成分として、メタンチオール、硫化水素、ジメチルスルフィド、インドールにスカトールである。その項目は生理学、原因、改善策など様々なことに触れていた。中には「活性炭を入れる部位つきの気密性の高い肌着が1998年に開発され、イグノーベル賞に選ばれた」ことも記してあった。
へ〜え、そうだったのか。

[1] 松田勝彦著「商品から学ぶ化学の基礎」(化学同人)p. 135.
[2] 落語で登場する。
11.4.29

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日本で核危機が続くII

 さて一方、日本での原発事故によると思われる放射性物質が、ほんのわずかであるが米国ウエストコーストにも及んだことを米国環境保護庁(EPA)が公表した[1]。ただしEPAの長官は「米国で被害になるようなレベルの放射線量は、空気、水どちらでも観測されるとは考えていない。われわれの公式で公開しているデータはWebでも確認できるが、それはいくつかの場所では放射能の値はわずかに上昇していることを示すが、問題になる量よりはるかに低いレベルである」と述べている。EPAは全米50州に164箇所の監視室を有し、大気、沈殿物、飲料水さらにはミルクに含まれる放射性物質を測定している。最近の大気のサンプルには、ヨウ素、セシウム、テルルを含み、これらは損傷した日本の原発から漏れだしたものと考えられるものである。最も量が多かったのはアラスカで採取したサンプル中にあった。がそれでも全ての放射能レベルは注視しなくてはならないレベルの数百分の一である。

[1] Chemical & Engineering News, 2011 April 25, p. 7.
11.4.28

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日本で核危機が続くI

 動作不能になった福島第一原発を安定させるまでには最大で9ヶ月を要する。東京電力(TEPCO)が発表した[1]。放射能が建屋から漏れている。これを鎮めるためのTEPCOのロードマップでは、始めの三ヶ月で反応炉を冷却し漏れている放射能の量を徐々に減少させる。その後の三から六ヶ月間で、全ての反応炉を冷態停止(cold shutdown)、すなわち原子炉の温度が下がり、放射能漏れが実質的にない状態にできることを期待している。UCサンタバーバラの核政策の先生は「TEPCOは冷態停止まで九ヶ月以上かかるかもしれないと仮定していることは原発の状態の重大性を示している。放射能漏れはさらに続く可能性もある」と述べている。TEPCOは損傷の激しい三つの反応炉の建屋をコンクリートで覆うことも計画している。これらの場所では水素爆発で屋根が飛ばされてしまった。現在窒素ガスを吹き込むことで水素爆発の危険性を抑えている。核施設の放射能の測定のためにロボットを使っているが、それによれば1時間最大57ミリシーベルトの値を示している。作業員は中に入ることができない。かれらが許されている被爆量は1年間で250ミリシーベルトである。

[1] Chemical & Engineering News, 2011 April 25, p. 7.
11.4.27

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一酸化炭素は

 カルボニル化反応にもしばしば用いられる原料である。けれどもその毒性は高く、吸入するとヘモグロビンの酸素と置き換わり、COだけど窒息状態に陥る。工業的には様々な保護装置がある。それに対して実験室には特殊な装置はなく、初めて実験室で使いたいという場合には緊張が走る。それに対して、より安全にCOを発生させてカルボニル化反応に利用できる系が開発された[1]。フルオレン[2]のメチレン炭素の水素をメチル基に、もう一つの水素をC(O)Clで置き換えた酸塩化物を用いる。これにPd触媒を作用させると脱カルボニル化が進行、COが発生する。実験例は、それを用いてハロゲン化アリールのアミドカルボニル化を行っている。なおここではおそらく、フラスコを二つ使って、酸塩化物とPd触媒の入った「フラスコを振らすと」COが発生、それがもう一方のフラスコに移動し、期待の反応を進行させる。そのため、CO発生に伴う副生成物との分離を気にする必要はない。いわば分離独立している。

[1] Chemical & Engineering News, 2011, April 11, p. 11.
[2] ビフェニルを書き、それぞれのベンゼン環のオルト位の水素を引き抜き、その間をCH2でつなぎあわせたのがフルオレン、心がオレンように書いてみてください。
11.4.26

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日本電子(JEOL)は

 Agilent technologies, Brukerに次ぐ世界三位の装置メーカーであるが、NMRビジネスをJEOL Resonanceとして分離独立させた。切り離した新事業では49.1%の株式を保持する。それに対して日本の公的研究機関と民間業者との政府主導のネットワークである産業革新機構が1800万ドルを投資し、50.1%の株式を保持、高度なNMRシステム開発を支援する。残り0.8%は、神戸製鋼の子会社である超伝導マグネットの製造メーカージャステックが保有する予定である。「なおこの部門の分離独立(spin-off)はESRも含まれている」ことがここでも報じられていた [1]。この記事のタイトルは「JEOL SPINS OFF ITS NMR BUSINESS」であるけど、NMRだけにspin offとも縁が深い。
 ちなみに新会社を含めJEOLの技術の方々は震災でダメージを受けたNMR群の復帰に多忙を極めるはずである。被害のなかった装置を使っている学生さんたち、これまで以上に細心の注意を払って使いましょう。「こわれました、装置が」では承知しないからね。

[1] Chemical & Engineering News, 2011, April 11, p. 20.
11.4.25

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「シャッターアイランド」

 という島があるかどうかは知らない。でもそこで保安官は相棒と一緒に、逃げた人物を捜す。入院している患者さんやそこで働く看護婦から、その人物の昨晩の様子や普段のことを聞く。失踪する時にメッセージとして残した数字は67である。部屋から出たとしても、崖が続く場所からの逃走は困難である。調べているうちに、彼女は幸い病棟に戻っている。
でその隔離された島は人体実験をも敢行している場所であるという疑いを持つ。患者の病状によって入院している場所も違う。症状が重い患者の病棟を訪ねる機会があった。そこでの話にも触発されて、この島を出る決意をする。自分が罠にはめられていたと感じてのことである。時に「ナチス収容所を開放した当時のこと」「不慮の事故で家族を亡くしたこと」などがフラッシュバックする。
 レオナルド・ディカプリオ主演[1]である。どこがリアルで、どこが幻想、幻覚なのか、厳格どころか曖昧にもよくわからないので、どのシーンも見逃してはいけない。見逃したときは「シマッター、ワカランド」と思って繰り返し見るのがよい。

[1] マーティン・スコセッシ監督、2010年公開
11.4.24

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リニア計画「直線」で

 という最終答申案が公表された」というニュースが耳に入った。東京—大阪間を1時間ほどで結ぶリニア中央新幹線、その区間は2045年に開業予定。このルートが南アルプスにトンネルを掘り、そこを通り抜けるという。しかも経済効果を高めるための前倒し開業を求めるとのことである。「6週間前の震災で得た教訓はなんだったのかな?」とこのニュースに感じた違和感、言わんといかん何かをとも感じた。リニア計画「直線」:一見無駄のない響きであるが、そこが脆い。震災前だったら「経済効果」「利便性」「費用対効果」を標榜し「自然はコントロールできる」という暗黙の前提で話をしても疑問を持つのは少数派だったはずである。でも今は違う。30年後も「三大都市圏」で「一極集中」か、あるいは「リスク分散」かという視点もほしい。なので「なぜこの時期に発表されたの?」とも思った。
 5月以降に政府が整備計画を決定するという。逆転打を期待したい。
11.4.23

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全米で

 ウエストラインは拡大し続けているが、甘さを摂取するときに、低あるいはカロリーなしのソフトドリンクを避ける人は多い。ひとつには人口甘味料から感じる苦さのためである。それに対して二種類の分子、これらはこの苦みを抑え、人口甘味料で味付けされた食品、飲み物や薬の甘みを高めることができる化合物がある[1]。それら二つのうち一つは、1,1,2-トリメチル-5-(3-カルボキシルプロピル)シクロペンタンであり、すでに食品や飲料に含まれ、苦み受容体分析によって同定されている。化合物は偶然にも人間が有する27の苦み受容体のうち6つをブロックする。味覚テストは、サッカリン、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKの四種類すべての人口甘味料の苦み感を抑制していた。さらにもう一つの分子についても苦みブロッカーとして作用することを確認しており、今年中には承認されることを研究者らは期待している。苦みについて、ガミガミ言わなくても、甘い汁が吸える日が到来するかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2011, April 4, p. 30.
11.4.22

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金カルボニルが急増

 単離可能なAu(CO)Clは今からおよそ90年前に報告された。それ以来、この錯体と1996年に合成された金ピラゾイルボレート錯体のみが構造上の特徴を明らかにするために十分に安定な錯体であった。それに対してAu(CO)錯体の数が二倍になった[1]。N-複素環カルベンであるイミダゾリリデンが配位することによって金錯体が安定化され、SbF6-をカウンターアニオンとして有する一価錯体が示されている。金錯体合成のために金策にも走ったに違いない。これらの錯体は「金触媒反応の中間体や反応機構を検討すること」も可能にすることが期待される。たとえば金は、一酸化炭素と水から水素を生成する水性ガスシフト反応などを促進する。研究者らはまた、単離可能な最初の金カルボニルホスフィン錯体の合成もほぼ完成している。COは他の基質と簡単に交換されるため、これらの錯体は新しい触媒系のための便利な出発化合物になるだろう」とも指摘されている。
 金カルボニルで儲かる(ボニル)かな。

[1] Chemical Engineering News, 2011, April 4, p. 31.
11.4.21

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歯垢に立ち向かう

 口内微生物がいるらしい。口内に住む数百のバクテリアの多くは生体膜群集を形成し、それが虫歯や粘膜が原因となる歯垢に変化する。それに対して口内には歯にフレンドリーなバクテリアもいることが明らかになった[1]。それらは生体膜群集を破裂させる酵素を生産できる。日本の国立感染症研究所のチームは、いくつかの唾液バクテリアが酵素を生産、それらはフルクトース転写酵素やエキソβDフルクトシダーゼを含み、それがスクロース消費の後に生体膜形成を抑制することを突き止めた。口内に住むバクテリアの一つS.mutansは、虫歯をつくることで悪名高く、これがポリサッカリドを生成するが、今回発見された酵素はこれを妨げているために抑制が進行していると、研究者らは提案している。歯磨きをした後、S.mutansは生体膜を、スクロースを基本とするポリサッカリドでつ(ス)くろ〜(す)としているようである。もし生体膜阻止の特性を持つ酵素があれば、歯磨き製造メーカーはそれを将来、成分として考えるかもしれない。歯垢対策、而(しこう)して思考錯誤も大切である。

[1] Chemical & Engineering News, 2011, March 28, p. 37.
11.4.20

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アルミニウム金属内の

 原子は四面体構造でつながっていることが報告された[1]。金属についてはこれまで電子が移動できる場所で一連のイオンとして存在すると考えられ、これによって導電性などの特性も説明されていた。しかしある種の機械的品質、たとえばアルミニウム[2]はなぜ他の金属と比べて、ある方向への弾力性が高いのか、その性質は方向性のある結合によってもたらされるものであるけれども」などを説明することができなかった。電子密度のたまったところでは、局在化した電子配置を取り出し、原子同士の結合を同定することはできなかった。今回、収束型ビーム電子線回折を用いてアルミニウム上の電子配置を特定した結果、八面体あるいは四面体であった。ただこの紙面に書くことはできない。ご免ね。ちなみにこの結果は、金属の最も強い軸が、四面体内の最も結合電子密度の高い領域を通っていること、最も弱い軸は電子密度の空孔であることとも一致していた。

[1] Chemical & Engineering News, 2011, March 28, p. 36.
[2]アルミ缶の上にあるミカン」はWikipedia「駄洒落」でも紹介されている。
11.4.19

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フレッツ・光

 とやらを自宅に入れることにした。NTTの担当センターから電話があった。現在、固定電話を使用中なのが今回の申込でIP電話になる!?そこで固定電話の権利が廃止される」という。「廃止とは?」そんな結論、はやいし」と思って聞き返す。あれこれの説明の結果、現在使用しているアナログ回線は使用しない、それに接続されている固定電話の権利は一時休止、ただし新しい回線を使っても同じ電話番号を使用できるが利用できない電話サービスもあるらしい。全国一律8円/3分、基本料金は税込みで525円、家に備え付けのモジュラージャックのうちいずれか一カ所に回線終端装置を接続し、そこに電話をつなぐため、今までのように複数の部屋に電話をつなぐことはできないなど、しっかり光電話について勉強した。それでこの変更にも費用がかかる。工事費用は3万円弱だけど無料になる。また「なんとかクラブに入会する必要あり」とのこと。でもここで誕生日の情報が必要だと言われて、だだをこねた「そのクラブ入会になぜ生年月日が要るのか」と。もし「生年月日を、言ってください」と改めて聞かれたら「生年月日を」[1]と言っていたかもしれない。他にも様々なお誘い、規約説明、違約金などの話があった。1時間あまり過ぎていた。

[1]桂枝雀師匠「代書屋」のシーンである。
11.4.18

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講義が始まった

 例年だったら通常だけど、4月中は休まなくてはならない大学もある中、厳かな心持ちで教室に出向いた。新一年生にとっては最初の専門の講義である。教材がそろっていないこともあって、「化学」「学科」「年度の始まりに」「空気・汗」などを話した。で最後に「大学生になって、どんなことやりたいかを自分なりに書いて欲しい」とリクエストした。数年、同じ時期に同じことを繰り返している。が例年と違ったこともあった。その中で「先生の話を聞いて、なんだかやってみようかという気になった」「やりたいことはまだわからないけど、気が楽になった」と書いてもらった学生もいた。話の一部は
・自分探しなんてしなくてよい。自分は今ここに。・本当にやりたいことなんてわからなくてよい。・気がつけば、自分は○○だった。・「面白そう」「わからんなあ」やってみるか。・「やばい」「すごい」と思える感受性を呼び戻そう。
である。
ちなみにこのブログを読んでくれている新入生もいた。ブログは開放系である。ブロックすることはできない。
11.4.17

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1766試合連続出場で

 金本選手の記録が止まった。代打の場面で一塁走者が盗塁しタッチアウト、打撃を完了できなかったため連続試合出場としては認められなかった。盗塁を試みたのは新進気鋭・俊足好打で、いずれは必ずやチームを牽引する期待感あふれる(藤川)俊介選手。方や、それを阻止したのが、横浜・中日の二チームで日本一を経験したベテラン捕手、谷繁選手である。しかも絶妙な場所への送球だった。これを奇貨として俊介選手には、躍進してほしい。
 スポーツ選手にとって競技の場は、化学する人の実験室と同じ様に異空間である。言ってみれば「娑婆とは違う」。そこには普段以上の危険が一杯である。それでも野球選手は果敢なプレーも試みる。身体に傷を受けて、選手生命を失うこともある。その中1766試合である。衣笠選手の2215試合についで歴代2位であることも伝えられたけど、どちらも比べなくてもいい、とてつもなく凄い数字である。
 ちなみに化学をする人の実験は果敢であってはいけない。何が果敢な実験かは、ここには書かんけど。
11.4.16

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モリブデン触媒によって

 より安定ではないZオレフィンが生じる」が副題である[1]。メタセシス反応ではEオレフィンの生成が優位であり、これに気をもんでいた科学者が、ついにうたた寝をすることができる(catch some Zs)でここのZsにZ-olefinと続く。英語ダジャレである。「だれじゃ考えたのは」の答えは記事にはない。
 オレフィンメタセシス化学では、二つの炭素—炭素二重結合が反応、新たにアルケンとアルケン副生成物—通常はエチレンーが生成する。有用性はすでに周知であるけど、Z-選択的なクロスメタセシスの唯一の例はエンインのようなSp混成置換基を有する場合であった。それに対してエノールエーテルやアリルアミドを用いており、さらに他のアルケンにも適用できるらしい。この反応はMoにカルベン、ナイトレン、ピロール、アリールオキシ基が配位あるいは結合した錯体で実現されている。しかもアリールオキシ基が有する置換テトラヒドロナフチル置換基が込み入った場を形成し、シスメタロシクロブタン形成を優位にしている。反応は減圧条件下でも行い、副生するエチレンを除去することで、エチレンが関わるZ-E異性化も抑制できる。
 新しい錯体によるZ−オレフィン製法開発、他にはおれふぃん

[1] Chemical & Engineering News, 2011, March 28, p. 9..
11.4.15

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生協レジで

 並んでいると三年生が、名札、薬さじ(ステンレス)、ミクロスパーテルを購入していた。「スパーテル、使ってる?」とは聞かなかったが、これから学生実験で使用するものである。そう言えば留学先では、実験器具一式を学生が購入、それを鍵付きの個人ロッカーに毎回しまっていた。器具を破損した時は、実験室近くの部屋で補充はできた。その分の経費が学生個人の口座に請求される。なので学生は研究室に入ってきて、なにげに器具を持っていこうとする。がしかしスリ付きガラス器具のスリのサイズが異なった系列になっている。違ったサイズのスリをあわせるというスリルを味わっていた学生もいた。「同じサイズの器具はないか」と聞かれたこともあったが「す(知)りません」と英語で答えておいた。困じると友人の分を拝借する学生もいるので、実験中の器具管理には気を使っていたらしい。同様のことはないにしても購入した分には名前を書き、スパーテルには「実験用」と記しておきましょう。耳かきと間違えられないように

11.4.14

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フッ化物は

 歯の表面で、保護シールドを形成し、虫歯予防にもなると考えられている。一方でこれまでの研究で見積もられていた厚さのおよそ1/10のシールドである可能性が報告された[1]。歯磨き粉、口内洗浄液、都会の飲料水などには、フッ化物が含まれ、これらは虫歯予防に最も効果的に作用するものの一つである。今回ドイツの研究チームはX線光電子スペクトルを用いてフッ化物によって歯の上に形成されたフィルムの深さと結晶構造を解析した。その結果は、歯の表面のフィルムが「単なる物理的な障壁であるという考え」とは一線を画すことを隠さずに示している。Langmuir誌に報告された研究結果では、歯の保護を助けると考えられているフッ素化されたヒドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)のフィルムは薄く、わずか6ナノメートルほどで、フッ化物による保護は別の機構によるものの可能性があることを指摘している。どちらにしても正しい歯磨きをしましょう。怠った人は、怒ったてください。

[1] http://www.chemweb.com/content/alchemist/alchemist_20110311.html#4
11.4.13

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震災から一ヶ月

 相当な被害を被った地域や原発の状況にメディアが時間を割く。その分、被害状況がわからない施設や場所もかなり多い。大学や研究所の状況についての情報が手元に届くことはほとんどなかった。その中、筑波の知り合いから近況報告をいただいた。研究所では人的被害はなかったが、ドラフトに排水系統が全滅、600 MHz NMR一台は廃棄処分(仙台の研究所に設置分はすべて倒れてしまった)、一方でGCなどの備品や防爆冷蔵庫内の薬品は無事。実験は全くできない状況で再開は秋以降であること。放射線量や余震でストレスもたまる。」など知らせていただいた。
 まずは自分たちの身の回りでできること:棚や設置してある備品の固定を再確認、不必要な薬品を放置しない、放置してある物が置かれた棚の上をみタナという場合には直ちに撤去する、「通路を塞ぐな」と騒ぐことはないが、ここも静かに撤去などか。また「もし同様のことが起ったら」と考えることは大切だけど、ここで自ら、水を買い占めることはない。
11.4.12

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含ボロンポリフェニレン

 はオプトエレクトロニクス材料の原材料でもあるが、この化合物の新合成法が報告された[1]。電子求引性ボロンをポリフェニレンの拡張π系に組込むことで、有機エレクトロニクス、フォトニクス材料の特性を微調整することができる。しかしこれまで含ボロンポリフェニレンへは限られた二成分縮重合法が開発されているのみであった。それに対して汎用性の高い単一成分による合成法が開発された。不安定な反芳香属性化合物であるボラフルオレンを系中で合成する。このボロン化合物の単離は暴論(ボウロン)かもしれないが、ここでは自発的に開環し、単結晶の含ボロンポリフェニレンに至る。また三中心二電子のB-H-B架橋結合で補強されたオリゴマー骨格を有する。この架橋結合は可逆的に開裂、再結合することができ、それら自身はアルキンとも反応する。これによって三配位のホウ素架橋を経由したπ−非局在化した系が確立でき、ポリフェニレンに特異な特性を付与することも可能である。架橋が活況を呈している。

[1] Chemical & Engineering News, 2011, March 21, p. 41.
11.4.11

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企業の採用活動を

 支援する会社の方に訪ねていただいた。企業側はこの会社に相当分の仲介手数料を出す一方で、学生は無料でエントリーできるシステムである。お陰で「自分にあった仕事に出会う機会」「期待する学生を採用する機会」を増やすことに貢献できている」というのが会社の謳い文句の一つらしい。その結果、学生の就職活動が早まる、不採用通知が学生を落ち込ませる回数を増やすなど波及している。中央教育審議会が発案した「自分探し」とも相まった中で、若者たちは育っている。その会社では学生の就職活動支援も行っていて、2月頃に、ある学生から「研究希望で就職先に決めた企業から、3年間は現場研修の通知をもらって、就職するか迷っている」という話をもらったとのこと。その君はまさに、今時の環境の申し子である。自分なりに真剣に考えて悩んでいる。彼に罪はない。「まあそう言わんと飛び込んでみようよ」とアドバイスしていただいたかわからない。
 などなど30分の予定が1時間余り話してしまった。清楚で感じのよい女性の方だった。最後に「就職担当の先生から、お食事のお誘いをもらったりしませんか」とお聞きした。言葉を濁しておられたので、断り方としては「是非今度、上司と二人でお願いします」がよいのではないかと伝えた。
11.4.10

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「新入生のための

 授業の選び方」というパンフレットを手にする。ビラには、かっこいい先輩のやさしい語り口が満載。学生生活を満喫してかつ充実できる、連絡先なども記されている。その下の項目に自分の氏名、連絡先を記入して出した。それからしばらくすると電話、携帯メール、ダイレクトメールで様々なお誘いがくる。この講座を受ければ資格も取得できるのか、と申込み、また別のお誘いもきた。そこでやっと、初めに記入した用紙が、個人情報の提供だったのかと。そんな大学生の日常にちりばめられたリスクが50、対処方法とともに紹介されている[1]。三菱総研と生協の共著である。大学生でなくても陥る事例も多い。一人暮らしの心構えや「起きてしまった場合に備えて保険に加入」したほうがいいことも勧められている。50例限定版であるため「パチンコやスロットにのめり込んで借金を重ねてしまった」「恋煩いにかかったとき」などの事例は割愛されている。それでもそれぞれの項目を、一度は頭を通過させてみるだけでもヒント満載である。

[1]「大学生がダマされる50の危険」青春新書
11.4.9

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Forster反応とは

 一級アミンとアルデヒドからイミンを調製そこにハロゲン化アルキルを作用させることでイミニウム塩とし、加水分解で二級アミンを導く反応である。1899年、M. O. Forsterによって報告された。その後この反応の応用はそれほど検討されてこなかったが、この反応が、副甲状腺機能亢進症治療薬であるシナカルセット塩酸塩の合成に適用された[1]。標的の化合物は1-ナフチルメチルアミンの窒素上に3-(3-トリフルオロメチルフェニル)プロピル基が結合したものであり、ジェネリック医薬品として販売されるらしい。頭をひねりっくしながら、ジェネリック開発をしなくてはならないが、低価格な合成法、既存の特許を侵害しない精製法を適用することが、生き残りの鍵の一つである。これは全く新しい経路を開発することを意味し、今回の例はForster反応の最初の工業的な応用例であるらしく、バッチ式10 kgまでは、ばっちしで、スケールアップが行われている。

[1] Chemical & Engineering News, 2011, March 14, p. 39.
11.4.8

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日本の企業は

 断固とした態度である[1]。日本からの電子材料の供給が以前予測したよりも迅速に回復するかもしれない。先週、購入業者が仕入れ先を順々に調整し始めるにつれて、日本のメーカーは、震災からの復帰にむけた進歩を見せた。未だに震源地に近いプラントは再稼働まで数ヶ月以上を要するが、三菱ガス化学では、福島県内のプラントを5月初めには稼働することが期待されている。半導体工業のアナリストは、樹脂供給の影響はほとんどないかもしれないとしている一方で、より小さな企業では長くて2ヶ月余りの生産停止を引き起こすかもしれないとも指摘している。インジウムスズオキシド(ITO)の世界最大の製造メーカーであるJX Nipponは、5月終わり頃には発送を再開するめどである。これに対して信越化学は福島県の停止中のシリコンウエハープラントの実態調査が未完了である。ただしシリコンウエハーについては世界の他の供給会社によって補われるだろうと予測されている。また福島県にあるMerck KGaAの染料プラントは、しばらくの間停止したままである。そこでは自動車のコーティングに使われているXirallicと呼ばれる染料を製造している。これは日本で開発され、しかも福島でしか製造されていない。ただし電力網と道路が復帰すれば8週間後には再開する予定である。

[1] Chemical & Engineering News, 2011, April 4, p. 14.
11.4.7

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日本の技術者は

 原子炉を再び制御できるように奮闘している[1]。放射能が原子炉中心部や使用済み核燃料プールから漏れ、損傷を受けた四つの炉は、取り返しがつかないほどに破壊されているように思われる。放射能レベルは地域によってかなり違っているが、国際原子力機関(IAEA)はプラントの北西25マイルに位置する飯舘村近くで、Ce-137が特に高いレベルであることを見つけた。3.7メガベクレル/m2は、IAEAが避難すべき基準とする値を超えている。また1990年のチェルノブイル事故の後の強制移転のレベルの二倍である。日本政府は緊急避難区域を12マイルに限定しているのに対して、IAEAはその拡大を、また米国原子力規制委員会(NRC)も四倍の距離を避難すべき区域として推奨している。
 日本で起った災害と米国原子力産業に於ける状況が米国議会でも取り上げられた。使用済み燃料プールの安全性に焦点が当てられ、炉の所有者は、それをプールから地上の貯蔵容器に、より迅速に移動することを求められた。
またネバダ州ユッカ山脈核廃棄物貯蔵を中止することに関連して、核廃棄物が最終的にどうなるかを検討する委員会が設立された。

[1] Chemical & Engineering News, 2011, April 4, p. 14.
11.4.6

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植物のための化学兵器

 を発見したらしい[1]。植物と伝染性の病原菌との間に繰り広げられる争いを研究する科学者が出会った新しい植物防衛の化合物である。ナズナの一種が病原性バクテリアの攻撃を受けている様子をモニターしていたところ、植物が脂肪族のグルコシノレートを分解することでスルフォラファン[2]を製造していることがわかった。病原菌にサックス遺伝子がない場合に限って、スルフォラファンは菌の成長を抑制あるいは停止させる作用がある。このサックス遺伝子[3]によってコードされたタンパク質が植物の防衛兵器をどのように不活性化するかは今も謎であるが、タンパク質の一つ、β−ラクタマーゼと呼ばれている抗生物質の作用を不活性にすることで知られている酵素に類似であり、スルフォラファンのある部位の結合切断を促しているかもしれない。研究者らはさらに、キャベツやブロッコリのようなアブラナ科の野菜の病原菌が、スルフォラファンに抵抗できる遺伝子を有する一方で、アブラナ科に属しないものの病原菌は、植物防衛化合物に対して弱いことも明らかにしている。緑黄色野菜の菌を排除するために、サックス遺伝子の活動抑制のさっくすん(作戦)が将来、展開されるかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2011, March 7, p. 43.
[2] イソチオシアナート(S=C=N-R)でR基として4-メチルスルフィニルブチル基を有する化合物がスルフォラファンで、ナズナとのきずなも強い。
[3]ここでのサックスは音楽を奏でるわけではない。survival on Araboidopsis extractsで「ナズナ抽出物への耐性」
11.4.5

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トコジラミ

 別名ナンキンムシは、なんぎな虫であり、かつて人類に禍をもたらした種である。これが帰還してきたことが国民的な悪夢である[1]。悲惨な状況の雰囲気や財政的な破綻を生み出し、さらには想像したくもない嫌悪感を感じる毒性危険物である。米国の環境保護庁(EPA)、疾病予防対策センターは共同でこの問題を取り上げ、ナンキンムシの復活に警告を発し、この流行の制御の重要性に言及している。先月には、ワシントンでナンキン虫サミットが開催され、専門家たちが集まり、正確な情報収集の必要性、それらをコントロールする方法などが話し合われた。EPAはすでにWebページ[2]も立ち上げているが不十分である。連邦の省庁は対策の必要性は実感しているものの、健康、農業あるいは環境のうちどの庁が主導するのかがわからないのが現状である。
 ナンキン虫は、マットレスやその下の台、イス、ナイトスタンドなど、どんな寝具のまわりにも侵入し人から吸血する。おそらく人の出す二酸化炭素、体温や発散物などやこれらの組合せで人の存在を感知する。しかも密かに忍び込んでくるので、よほどのひどい害を受けない限りわからない。たしかにナンキン虫は病気を媒介することはないが、肉体的、精神的、財政的影響が大きい。かまれたあとは激しいアレルギー反応を引き起こし、不眠症に陥る場合もある。
 この後も20世紀半ばの頃のことや開発されている殺虫剤のことなど延々と記事はつづく。最後には「100年前には人々はナンキン虫を意識していた。現在も同様にホテルでは、寝具の周りや旅行鞄などを検査し、スーツケースの中の衣服は帰宅したら速やかに洗濯すべきである」と書かれている。
 海外旅行の必需品のひとつは「ムヒS」である。無視してはいけない。

[1] Chemical & Engineering News, 2011, March 7, p. 13.
[2] http://www.epa.gov/bedbugs/ このページ、英語を学ぶにもよい。
11.4.4

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Love Chemistry

 「化学を愛せよ」と訳した。が題名は「ラブ・ケミストリー」[1]。ラブストーリーにミステリーが混じる。ウケミから能動へシフトする初恋。「村上春樹を祖とするものが伏流しているのかな」とも感じた。場面は大学の合成化学実験室。業界に暮らす一人として、馴染みの言葉が読みを加速させた。有機化学に埋没し、昼食は麺類をすする。その男子学生と関わる女子学生たちに、新進気鋭の女性研究者:神崎先生、腕っ節も太く最終局面では自らも全合成の初期段階の原料調製を担当する。学生の悩みも鋭く指摘。是非お会いしたい。誰かの依頼を受けて主人公に接近するカロン、軽んじてはいけない。「鶴、亀、お地蔵」のいずれの覚えもない主人公。屈託のないオタク大学院生、大会社の女性会長も登場。皆さんご一読を
 でこの本、新四年生歓迎会の際に「最近読んだ本」の一冊で紹介してもらった。生協書籍部のお姉さんに注文。受け取りの時「名大北部でも人気みたいですよ」と言われた。題名のケミストリーは、ここでも「化学」と「人と人との(よい)相性」を意味する。

[1]喜多喜久著「ラブ・ケミストリー」宝島社
11.4.3

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学部案内の標識

学部案内の標識
 のポールが本学キャンパスに加わった。一般に交差点の標識には、通りの名前、番地などが記されているが、ここでは一つのポールに4-5の部局名が、それぞれ一つずつの矢印板に書かれて設置されている。応用生物科学部、工学部、教育学部、地域科学部、図書館・講堂などである。ポールはスクールカラーの一つオレンジ[1]に近い。学部ごとの矢印板の先の色も異なる。ただしこの矢印が意味することをそれぞれ適切に判断しなくてはいけない。工学部を出て左にあるポールの図書館表示は直進、これを信じて次の表示板まで進もうとすると池に入る。池があってこれではいけない。もっと先だろうと池を避けてその方向に進んでもそこには図書館はない。この表示は「とりあえず、この道のあるところまでは直進」を示す。次にあるポールの図書館表示方向はまさに図書館の方角を示しているが、その方向に進むと1m弱の生け垣を乗り越えなくてはいけない。ここは迂回してほしい。スリルのある標識、無事すり抜けてほしい。

[1]だからと言って、大学の電子レンジもオレンジ色というわけではない。
11.4.2

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「年度が変わった」

 と言っても、人の営みのなかで「この日をくぎりにしましょう」と決めただけのことであるが、これが様々な場面で基本となる。たとえば人事異動も発することができる。なければ「なぜ今の時期に」ということを言われて、様々な理由を並べなくてはいけない。定年も同様である。その制度の中で、非常にお世話になってきたチーム3名のうち2名が昨日、退職、異動された。一人は心づもりもあったけど、もうお一人については10日ほど前に、お偉い方が直々に来られて「お願いする。彼のステップアップでもあるので」と通達を受けた。「そんなのいやじゃ、どれほど頼りにしていたかわからないのに」と駄々をこねることもできずに、昨日お別れをした。
 それに対して単年度予算、これも人が決めた基本になっている。そもそも自然に予算などない。「原則として使ってほしい」というお願いメールが一週間ほど前に改めて届いた。地球の公転が如くの杓子定規は、公務員の大原則の一つだけれど、今回の震災被害を考えれば、霞ヶ関あるいは永田町が豹変して「繰越し奨励」を発信していただいてもよかったのかなと思う。
11.4.1

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