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2012年2月

時代は発酵法から

 酵素法への移行期だった。そこで酵素について構想を練って30数年の間、反応開発に邁進された。酵素触媒は特殊であるが故に最適な系を発見することができれば高い効率の反応も可能だけれど、基質特異性もあるため汎用性技術になる例はまだまだ乏しい。でも微生物の多様性、なぜこの反応ができるのか、なぜこの化合物をつくるのかにも魅せられた。本学ではスタッフらとともに「泥臭い仕事に徹して独自性を発揮、本当の応用に肉薄して実質的な成果をあげる、企業にできないことをやる」などをモットーとして、時には「わらしべ長者的な研究展開」[1]も受入れ、面白い現象に気付く勘やセンスの大切さも教えられた。若い頃、土日もいとわず研究に没頭して発見できた系のうち、酵素触媒によるニトリルの加水分解プロセスは年間3000トン生産のプラントが二機中国で稼働している。毎年スイスに行かれる機会もあって、リゾート地であるベララップ(Belalp)の紹介、標高2300 m。そこには科学者であり登山家であったジョン・チンダル(1820-1893)の記念碑がある。チンダル現象や赤外線放射の発見者であるとともに、パスツールによって否定された微生物の自然発生説に例外があることも示されたそうである。

[1]わらしべ長者は、貧乏人が、ワラに始まり物々交換するにつれて大金持ちになるというお話。「笑わしよるべ」というシーンがあるかどうかは知らない。
12.2.29

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ネズミやリスなどの齧歯(げっし)類に

 赤ワイン成分であるレスベラトロール[1]を与えると、これらの動物におけるカロリー制限による抗糖尿効果を再現できることが知られている。ただし肥満の人のカロリー制限と同様の効果があるどうかがわからなかったが、同様の効果を再現しうることが報告されてきた。その場合レスベラトロールは脱アセチル酵素であるサーチュインを直接に活性化することで効果を発揮するとされてきたが、この再現性がなく広く議論されていた。「サーチュインに、さあ注意んしましょう」みたいなものである。今回、細胞試験と動物テストによって、レスベラトロールは環状アデノシン−リン酸(cAmp)を分解するホスホジエステラーゼ酵素を阻害し、cAMPのレベルを上昇させることがわかった[2]。それでも従来言われているサーチュインの活性化も直接には起り、ついで間接的に今回のことも起るのでないかと研究者らは指摘している。ただし筋肉のホスホジエステラーゼ酵素を阻害した場合に、レスベラトロールの効果と同様であったことから、これが主なパスであるとも述べられている。いずレ、スベかラくロール(役割)を明らかにしていただけるよう期待しています。

[1] 村井君のブログ09.12.24、11.7.8
[2] Chemicals & Engineering News, 2012 February 6, p. 6.
12.2.28

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シリコーンを素材に用いた

 界面活性剤、流体、剥離剤塗布、加圧接着する接着剤などは広く使われている。そのシリコーンはアルケンへのヒドロシリル化反応で合成されるが、触媒にはPtやRhといった高価な金属が使われており通常回収ができない。今回、鉄触媒によるシリコーン合成の情報が走りコ〜ンできた[1]。ビスイミノピリジン鉄二窒素錯体はアルケンの水素化に利用されてきたがそれを細工することで目的を達成している。三級シランの末端アルケンへのアンチマルコフニコフ付加が起こる、すなわちより置換していない炭素へシリル基が付加する。その結果、待ったんこともなく末端アルキルシランを得ることができる(速ければ15分)。しかも異性体は生じない。用いる触媒量も少なく、無溶媒、室温での反応である。それでも工業化を目指す共同研究者は、触媒の湿気や酸素に対する安定性向上が必要であると述べている。なおこの記事の題目は「Ironing out alkene hydrosilylation」である。Iron out:〜を解決するとIron(鉄)をかけている。アイアンの働きを慰安してはどうかな。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 February 6, p. 8.
12.2.27

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デンタルフロスを

 使っていたら、歯の詰め物が外れた。ようやく予約できて歯医者に出向く。先生は複数の患者さんを受け持っている。レントゲン撮影、重たいエプロンをして軽くフィルムを歯で挟む。しばらくして診察、詰め物の奥で虫歯が大きくなり、歯がペランペランになっているという診断。数年前のレントゲン写真と比較しながら治療手順を説明してもらった。残っている歯が割れたりして、歯がゆい思いをしてはいけないと、応急処置にかかった。先生は別の患者さんに「飲んでおられる薬の関係で麻酔はまずい」などと説明をされている。受付で次回の日を決めようとするがほとんど埋まっている様子。思わず「歯科医師の開始を少し早めていただけないか」とお願いしたいと思ったけど、せずに予約できた。そこを出て近くの理髪店へ行く。先ほどと同じような姿勢で違ったところをケアしてもらう。テレビは民謡を流していた。普段は「見んよう」だったので若さ溢れる民謡歌手の方々に驚きつつ、張りのある声に聞き入っていたらチャンネルが変わった。なので(お父)チャンは寝ることにした。
12.2.26

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新聞記者を辞した

 主人公弓成亮太。身なりも変えて実家の青果業を引き継ぐ。その後、父の死、国家公務員法違反で有罪確定、廃業と、失意の中、身体は南へ向かっていた。伊良部島で数年過ごした後に沖縄本島に移る。そこで本当に起ったことに触れた。戦時中、占領下、返還後のこと。その場を生き延びた人たちの口は重く語ろうとしない。「なぜ自分は生きてしまったのか」と自問する。それでも生きておればこそである。文春文庫で全四巻の山崎豊子作「運命の人」、前半三巻と最後一巻ではリアリティの深度の違いが際立つ。それを「紙の上の憤りでしかなかった」こと「沖縄に住んでこそ実感できたこの不条理」(第四巻p.96)のどちらも知った主人公がつなぐ。突き抜けるようなコバルトブルーの空、眼下は淡いブルーの海、闘牛、ガラス工芸、少女暴行事件、軍用ヘリの墜落にも触れた弓成氏、再びペンを手にし、時に三線(さんしん)をつま弾いていた。
 「テレビ放映のフィクションで、モデルにされたという方がお怒りになった」と聞いて原作を手にさせてもらった。その登場人物である山部一雄氏、実力派のやり手の政治部記者っていう感じだったかな。弓成氏のために裁判では、威張んないで、冷静にかつ堅実に証言もされていた。
12.2.25

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フレデリック・スタンリー・キッピング賞を

 2011年吉良先生が受賞された[1]。Apelog先生は、先生のキラリと光る業績について、ひとつは2003年のトリシラアレンの合成・単離・性状解明であり後にトリゲルマアレンに拡大していることと1999年安定なジアルキルシリレンの単離に初めて成功したことを挙げている。ここでトリシラアレンのSi-Si-Si結合は直線ではなく曲がっており、炭素で構成されるアレンではあれへん構造である。中心のケイ素の混成はspではないはずで、非常に低温でもフレキシブルである点も、炭素がつくるアレンとは対照的である。先生らの発見によって、炭素とケイ素の不飽和化学種の結合や構造の違いを理解しようとする実験および理論化学の研究が大いに発展してきた。2007年に東北大学を退職されたのちも東北大学、中国杭州の大学で客員教授を務めておられ、昨年の夏にはカナダで、また12月にはインドでも特別講演をなされた。今回USシリコンシンポジウムで受賞講演をなされる予定である。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 February 6, p. 40.
12.2.24

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ナフサのディーゼル燃料

 への変換に違った大きさの細孔が絡み合った複雑なゼオライトが、ライトを灯し有望であることがわかった[1]。しかも残留の炭素が付着するという一般に触媒を失活させるプロセスを避けながらである。10または12のケイ素あるいはアルミニウム原子によってつなぎ合わさった細孔を持つアルミノシリケートゼオライトは石油化学における重要な触媒であり二つの細孔の大きさを併せ持つ材料に興味が持たれてきた。そこでそのようなゼオライトが合成されナノメーターサイズの電子結晶学を使った構造解析が行われた。ITQ-39と呼ばれる材料は10と12の環チャンネルを有し、それらはお互いに直交していた。直径はおよそ6あるいは7 Åだった。ナフサのアルキル化では、市販のゼオライトよりよい機能性だった。研究者らは12員環のチャンネルはアルキル化生成物の形成と拡散を促進し10員環は多環芳香族化合物前駆体の形成を防ぐことでコークスの沈殿を防いでいると考えている。二種類の員環がいん感じで、今回の細孔、最高である。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 January 30, p. 41.
12.2.23

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フェロー諸島は

 スコットランドの北に位置し、国家元首はデンマーク国王であるとマークはあるものの、行政は自治政府が行っている。今回、ここで生まれ、その後ジフテリアと破傷風の予防接種を受けている子供たちを対象に以下の調査が実施された[1]。この地の人たちは沢山の海産物を消費しているが、それには特に高濃度のペルフルオロカーボン(PFC)が含まれている。一般にPFCは食物の包装、焦げ付かない調理器具や他の消費者が使う商品に含まれており、人や動物に蓄積する。そのため人の健康への悪影響を及ぼす可能性が指摘されており、それについて初めての調査に至った。8歳の子供たちのデータによればPFCのレベルが二倍になると抗体の生産が約50%低下することがわかった。このことは子供の頃の予防接種の効果も低下し、さらに多くの免疫系の欠如も起こしうることが指摘されている。とは言え別のワクチンも同様になってしまうかどうかの調査も必要である。「ワクチンで、らくちんに」が通用しない状況にはなりませんように。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 January 30, p. 41.
12.2.22

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三河湾に近い場へ

 ご栄転される先生の最終講義。波を対象にシミュレーションから理論をつくられ自然とも対比させて先駆的な実績を積み上げられてきた。時には海岸整備の工法も立案されて工事も始まった。この工事には40 m級3000トンのクレーンを使用する。しばらくして工事が止まった。空港に近いエリアなので30 m以下の高さが必要条件だったらしい。結局クレーンを使わしてくれ〜へんので中止になってしまった。
 「突如として船が高波を受けて転覆というニュース」こんなとき人は「わかる理由で原因を推定する」ので船の積み荷のアンバランスなどを考える。が中には一発大波あるいは三角波と呼ばれる突然の大きな波が起ることも理論的に明らかにされたらしい。葛飾北斎の先見性にも触れられていた。
 社会的ニーズから出発した研究では、自分自身発言はしていないのに「ゲリラ豪雨を予測できる人」ということになってテレビ局から連絡を受けた。「ゲリラ豪雨を予測してくれたら一時間程前にそこで待機してその瞬間を撮影したい」という依頼だった。
 「その瞬間におもしろいことに打込む」「悲観は気分、楽観は意思」「終わりからの始まり」などの貴重なお言葉、赴任先を前向き思考で牽引しようとされる高い志、波動がビンビンに響いてきた。
12.2.21

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バナジウム錯体も

 亜酸化窒素(N2O)を切断する。ただしこれまでとは異なった様式である。N2Oは通常N-O結合が切れる。で生成した酸素原子は金属と結合し、窒素ガスを副生成物として放出する。めずらしい例として、N-N結合の開裂も起こりえる。これに対して今回N-O、N-Nどちらの結合も開裂する反応様式が報告された[1]。研究者らは、酸素に対して強い親和性を示すバナジウムメシチル錯体と、N-N結合を弱めることができる強いルイス塩基性N-複素環カルベンである1,3-ジメシチルイミダゾール-2-イリデンとの組合せで達成している。亜酸化窒素は強力な地球温暖化ガスで、大気中のある条件下では、オゾンを分解する。研究者らはN2Oを研究する過程で、いかにしてその不活性な性質を克服するかを学び、それによって環境修復の戦略や、亜酸化窒素を反応剤として参加させる方法にたどりついている。「亜酸化窒素の切断法を明かさんか」と誘われて、なし得た成果である。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 January 30, p. 41.
12.2.20

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バイオ燃料の

 環境への影響調査のため、米国環境保護庁は、2000年から2009年までの1600以上のバイオ燃料に関する研究を選び出し確認を行った[1]。それらは、たとえば環境、経済、さらにそれらの下位のカテゴリーとして、地球温暖化ガスの排出、製造のコストについてと分類された。数百の論文が扱っている内容は、燃料の製造、工業用原材料の製造、地球温暖化ガスの排出である。一方でリストの下位に位置したのは、80の研究例はあったが、バイオ燃料の製造がいかに生物の多様性に影響するか、またわずか15の研究例しかなかったものが、バイオエタノールを燃やすことで生じる大気汚染が増加することによる健康への影響に関する研究だった。このことから調査チームは、これらの領域の基盤的研究の欠如のため、適切な環境評価ができず、バイオ燃料の使用が拡大することによって想定外の問題を引き起こしかねないと警告している。「やばいおかもね。」またどの分野の研究を推進するべきか、今回の結果をバイオ研究費配分のガイドにもしてほしいとも述べている。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 January 30, p. 40.
12.2.19

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発表練習に発表会

 講座紹介、成績確認に提出、Webシラバスの作成とアップロード、重労〜働な週だった。それでも謝恩会では、ゆるりとさせてもらった。この謝恩会、企画を先導する彼女の呼びかけで実現した。サポートする男子学生の名前を間違って覚えていたことも判明した。早とちりも古株になると多い[1]。初めてのことで出席を躊躇する学生さんもいたらしいけれども粘り強い努力が実っていた。我が方に所属するメンバーは、当初から積極的に参加表明していたようで、名前を間違えていた学生さんからお礼の言葉ももらった。研究室に所属する前から宴会系が好きだったのか、三年間過ごすうちにその場を愛するようになったのかは知らないが、なによりである。修論発表の内容にも触れる。マリンスポーツではないけどクマリンを研究する。体内にクマリンが残っても困りんとのことである。それぞれの研究室の最高年齢者への花束贈呈などもあった。この謝恩会、シャオロンも応援してくれたかな。

[1]あえて解説すると、姓の「早」が「古」にかわっていた。面目ないです。
12.2.18

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電動スクリーンが

 出んどう」ということで会場変更。発表者を含めた関係者だけなので寒い。自販機に「あったかい」があったかいなあとブラックコーヒーを買う。ただし校費ではなくて私費である。研究室学生の発表が最初だった。なんとか終了した。あとは聴衆として埋没するだけだった。アミン上のアルキル鎖の長さとクラスター形成の挙動を解明する。「鎖の長さ」に関する質問で「鎖が」と繰り返されたので、こりゃ腐り縁だわなと聞いていた。当初の目的を達成すべく、もがいている様子、途中で「あと一歩」と念じていたけど思いは届かずだった。総じて感じるのは、想定していた範囲の質問でも、咄嗟にそこにたどりつくには何度も練習や経験を重ねるしかない。思わぬ指摘に感心して「明日からやってみます」は素直な返答で、場に慣れると「以前から是非やってみたいと思っていまして・・・」になる。ともかくなんとか終わった。登壇者はこのステージを経過したこと、そのこと自体から溢れ出る安堵感・やり残した感・くやしさ・達成感などを存分に味わってほしい、自分が変わったと実感できる程に。
12.2.17

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細菌性赤痢は

 食物や水を介して罹患する胃腸病で、年間100万人以上が命を落とし特に発展途上国ではその割合が多い。この疾患はシガトキシンによって引き起こされる。効果的な治療法はなく、抗生物質がバクテリアを死滅させると、より多くのトキシンが身体にばらまかれ重病化してしまう。それに対して安価な塩化マンガンがトキシンの細胞を殺す作用を妨げることが明らかにされた[1]。通常シガトキシンはタンパク質GPP130に宿ることで細胞内にとどまり、タンパク質は悪質になる。すなわち様々な細胞の間を移動し、リソソームとして知られている分子消化構造をとることができなくなる。しかしマンガンが細胞に入ると我慢ができずに、GPP130はリソソームに転換される(機構は不明だけど)。その結果、シガトキシンはリソソームを避けることが出来ずに破壊される。毒性のないマンガンの投与は、シガトキシンを投与したネズミを100%保護することができた。マンガンと抗生物質の組合せが、治療効果を高めると研究者らは考えている。トキシンのこと、得心していただいたかな。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 January 23, p. 29
12.2.16

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見捨てられた貝殻に

 ヤドカリが居住するように、安定化されたパーオキシドジアニオン(O22-)がドカリと合成された [1]。これまでO22-を安定でしかも溶解できる形で発生させることは酸素化学においては難しい課題であった。酸素の還元は一般に遷移金属錯体を使った化学あるいは生化学的過程によって行われていた。それに対してO22-がもし水素結合環境に囲まれると金属なしでも安定化されるのではないかという仮説が立てられた。それに基づき検討したところ、ヘキサカルボキシアミドクリプタンドが必要条件を満たすこと、アニオン受容体として作用することがわかった。さらにクリプタンドでカプセル化したO22-が、KO2の不均化あるいは、コバルトセンによる酸素の還元によって調製された。その結果、ジアニオンは六つの強い水素結合の組合せなどで安定化を受けていた。ついで研究者らは、電気化学実験とシミュレーションによって、クリプタンド表面での酸素の還元の機構が如何に劇的に変化するかについても解明をおこなっていた。皆さん、クリプタンドのパワーにびっくりしたんど違いますか。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 January 30, p. 40.
12.2.15

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西暦700年頃の

 マヤ文明の陶器のなかの分析が行われた。人類学者と化学者がチームを組み、器の底にある少量の内容物をマススペクトルによって同定した。幸いにも残留物は1300年の間には分解していなかった。マヤの習慣とし、埋葬する際に、器を酸化鉄で満たすことがあったが、それがあれば他の内容物の検出を妨げてしまうが今回はそれもなくニコチンが検出できた。その際ニコっとして「こんにチンは」と言ったかどうかわはわからない。なおマヤ文明の宗教的儀式では、陶器の中身とは違ったデザインを表面に施すこともしばしばだった。けれども今回の陶器では、内容物がニコチンで表面の図柄とも一致していた。これは古代文明ではタバコを使っていた可能性を示す物理的な証拠である。またこのような内容物と図柄が同じである陶器が見つかるのは今回で二例目だけど、前回は1989年にグアテマラで発見された容器の中に少量のカカオが発見された時だった。このマヤ文明に関する発見、まやかしではない。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 January 23, p. 29.
12.2.14

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ナトリウムアマルガムは

 水銀にナトリウムを混ぜ合わせることで調製する。混合の際のジュッという音と発熱、煙もでるので緊張が走る。つくりすぎると「余るがむ」になって処理にも困る。そのアマルガムは、塩素アルカリプロセスにより水銀陽極でも形成する。この前世紀からのクロロアルカリプロセスでは電解セルを使って水酸化ナトリウムと塩素を塩から生産できる。反応が進むにつれてナトリウム金属が水銀に溶けて、液体金属中で固体のアマルガム溶液ができる。この構造が未解明だった。今回、単結晶化することに成功し化学式はNa11Hg52であることがわかった[1]。結晶構造は四種類の多面体の中で水銀がナトリウムに配位していた。またNa-Hgの距離は3.14-3.76Åだった。二つの金属の電気陰性度が大きく異なるため、これまでの金属化合物とは異なり、結合は高い極性を示す。そのためにこのアマルガム研究がさらに興味ある領域となり得る。自分も「はまるがむ」という人もいるかも知れない。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 January 23, p. 29.
12.2.13

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駐車していたはずの

 車がその場所にない。「その車が、来るまで待とうか」とも思ったがあちらにあった。「思い違いは誰にでもある」と慰めの言葉。かたや思い違いでも「貴方にはもともと子供はいなかったのです」という一言は衝撃である。「メンタルに病んでいてそう感じているのです」告げられた主人公である母親はアルバムやビデオを確認するも、そこにも子供の姿がない。そのことを医師に話すと症状が改善してきている証拠ですとの返答。子供が仲良しだった女の子の自宅を訪ねた。その父親「自分にはもともと女の子はいなかった」と冷たくあしらう。がその部屋の壁紙をはがすと、かつて女の子が描いた絵が登場し、それを見た父親が記憶を取り戻す。一年数ヶ月前に子供たちを飛行機事故で亡くした親たち、実は子供は生きていると確信を持ち始める。奇妙な話だと思っていた地元警察の女刑事もついにそれが事実であると確信するが、その瞬間に連れ去られた。
 映画「フォーガットン」(Forgotten)[1]。誰が何を忘れていたのか、あるいは忘れられていたのか謎は深まる。「どこかでお会いしたような気が」というラストシーンは想像力をかき立てる。がここには書き立てない。

[1]2004年ジョセフ・ルーベン監督、ジュリアン・ムーア、ドミニク・ウエスト
12.2.12

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採点中である

 「さえてんなあ」と言う答えを期待するけど、基本的には講義内容を再現できるかどうかである。この再現率の高低で合計点が決まる。高い率を期待して出している問題の出来が以外と低いときには「なにか問題でもあったのか」「もしや間違って教えてしまったのか」と考えては、講義ノートや教科書を見る。プリント配布で説明した「食用タール色素」についての問題。売り込んだわけではないけどウコンという単語の上にクルクミンの化学構造式が記された解答が多かった。残念ながらタール色素には属さない。それでも食用黄色色素として利用されている。ちなみにクルクミンは形式上、アセチルアセトンの両端のアセチル基部位でバニリン[1]と脱水縮合させると合成できる。そのバニリンを二輪車で運搬された人もいるかもしれないけど,バニラアイスの成分である。そのバニラをにらみ、クルクミンまでの反応機構を解くのもよい。アイスよりも早くとけることができますように。

[1] m-メトキシ-p-ヒドロキシベンズアルデヒド
12.2.11

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電解槽と燃料電池は

 それぞれ水から水素を発生させる、あるいは水素と酸素から電気を発生させるための高いエネルギー効率を示す環境調和な方法に使われる。現状は白金依存であるが、この依存度を軽減させることで素子のコストを下げ、ひいては商業的用途も拡大しうる。そのような中、表面の両論が充分に制御されたタングステンカーバイド(WC, W2C)の薄膜を調製し、それらを白金の単層と処理することで新しい型のフィルムが出来上がった[1]。この白金で覆われたフィルムは、純粋なバルクの白金と同等の活性で水素ガスを発生させることができ、一般の炭素に担持した白金触媒よりも安定だった。またパラジウムで覆われたフィルムも高い活性を示した。研究者らは現在、Pt-WCナノ粒子を調製するために原子層蒸着法で触媒表面を広げる方法を検討している。どちらにしてもWCで用を足すことができる。米国デラウェア大学での成果である。ちなみに「デラウェアってどこ?」「アメリカのでりゃあ上やあ!?」[2]

[1] Chemical & Engineering News, 2012 January 23, p. 28.
[2]実際はアメリカ東部のわずかに北部で大西洋に面する州、アメリカ合衆国で最初に州として批准した。特別なウエアがあるかどうかは知らない。
12.2.10

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ニトロアルケン

 二当量にケトエステル一当量を、新しいタイプの銅キラルジアミン触媒を使ってつなぎ合わせると、ガンダムが如くの力あるタンデム型 [2+2+2]環化付加反応が進行し、シクロヘキサンを95%収率で与える[1]。しかも合体して得られた化合物の立体化学が六ヶ所とも制御され、その鏡像体過剰率は95%である。反応ではまずケトエステルから銅エノラート中間体が生じ、一方のニトロアルケンに付加、さらにもう一分子のニトロアルケンに付加が進行し、最後は閉環反応によって単一のジアステレオマーに至る。連続した多数の立体中心は天然物や生理活性化合物において、非常に魅力あるモチーフである。研究者らによれば、他に二グループが連続する六つの立体中心を制御したシクロヘキサンを構築しているが、一つは単に副生成物として低収率で、もう一方は化合物の絶対構造が不明のままであるらしい。八つの立体中心を有する化合物の合成例があるが、その場合には二段階が必要である。そのため研究者らは、自分たちの系が、単一段階で最も多くの連続した立体中心を制御した記録であると主張しうると述べている。ちなみにこの系はドミノ型である。ドレミノ歌とは関係ない。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 January 23, p. 28.
12.2.9

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神経障害による痛みは

 細胞組織の損傷による慢性疾患で次のように実感してしまう。しびれ、突き刺すようなあるいはひりひりするような痛み、電気ショックを受けたような痛み、うずき、あるいは感覚が麻痺するなどの症状である。さらに副作用として薬物依存、疲労感も伴い完治することがない。この症状をネズミさんの協力を得て再現した。神経部位をカットして同様の痛みを発生させた後に代謝を調査した[1]。その結果、脊髄にN,N-ジメチルスフィンゴシン(DMS)[2]が異常に高いレベルで発生していること、またDMSを注入しても同様の症状であることわかった。ここでDMSは自分自身が体内で製造する内因性代謝物で「痛いしゃあ」と感じている。そこでたとえばメチル基転写酵素やセラミダーゼ抑制剤を使ってDMS生産を抑制することができれば魅力的な治療法であると研究者らは記している。今回代謝学を通して、慢性疾患の原因に対する新しい視点を示しただけでなく可能性のある治療方法も提案している点、革新的である。代謝が解釈できれば次は、医者の出番かもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2012, January 23, p. 8.
[2] 2-N,N-ジメチル-アミノ-4-オクタデセン-1,3-ジオール
12.2.8

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酸化チタン、酸化タングステンや

 他の金属酸化物は、それらの電子構造ゆえ活性な光触媒であり、光の化学エネルギーへの変換も毎回、媒介する。酸化物はまた、光が誘起する電荷分布や移動を促進することから、色素増感太陽電池の中心でもある。複数の型の金属酸化物を充分に混合しブレンドできれば、連動して個別の材料よりも高い特性を示すハイブリッド型を製造することができる。そのため様々なタイプの混合物を形成することで酸化物を結合させることが研究されてきたが、未だ発展途上であった。今回、古典的な環化付加反応がナノスケールの金属酸化物の接合に利用できることが報告された[1]。アルキンで官能基化した酸化チタンとアジドで官能基化した酸化タングステンを銅触媒による[2+3]環化付加(いわゆるフィスゲン反応)させ電子移動をサポートするトリアゾール鎖が形成された。とりわけレーザー誘導光応答性の測定ではハイブリッド材料のフィルムは速い電荷移動を起こすことがわかった。また個別の成分より速い速度でメチレンブルーを分解できた。この一連の成果に身ブルーいするかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2012, January 23, p. 8.
12.2.7

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地球温暖化の

 抑制について今回、数百の汚染制御の対策が検討され、そのうち14の費用効率の高い戦略が選定された[1]。それによればメタンと煤の影響の90%を2030年までに削減できる。それに苦言を呈する人は多分いないと思う。メタンは酸化窒素と相互作用し対流圏にオゾンを発生させる。また煤は氷や雪にたまるが、これらいずれも熱を捕捉する大気汚染物質である。14の戦略、それらには冠水した水田を空気にさらすことや乗り物にディーゼル微粒子のフィルターを使うことなども含まれているが、これらを実行することで2050年までに0.5℃まで温暖化を減少させることができる。この減少によって2070年までには平均的な温暖化を、産業革命前の平均気温と比べて2℃以下にすることができる。気候学者は、2℃の温暖化は破壊的な気候変動が始まるおおよその限界値であると考えている。煤の削減が進めば大気汚染による年間数百万の早死を防ぐこともできる。またオゾンの削減は年間数千トンの穀物の収穫増ももたらすと指摘されている。
メタンも減ったんという日を待つべし。滅入ったんではいかん。

[1] Chemical & Engineering News, 2012, January 16, p. 30.
12.2.6

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保安官が統治する街

 でも、ほあ〜ん閑としいてはあかん。身体を張って男性客の相手をするも、ひどい暴力を受ける。この状況を打開すべく、その当事者の男にリベンジできる男を賞金でもって募る。米国北西部荒野が広がるワイオミングのシーン。この話を聞いた若造、人殺しの経験はないけど威勢はいい。かつて殺し屋だった男に話を持ちかける。足を洗って11年、その間、支えだった妻が数年前に他界、小さな子供たちと牧場をなんとかやりくりしている。広大な土地、隣家もない。齢も重ね馬乗りもままならないけど、話を聞いて子供たちのための資金も必要と感じてかつての盟友と会う。こちらも足を洗って奥様と細やかに暮らしている。でも盟友の言に若造とワイオミングへ出向いた。暴力沙汰の男たちを仕留めるも、街を牛耳る「許されざる者」[1]である保安官と対峙しなくてはならなかった。
 短いシーンに秘められたメッセージ、何度も見てからやっと「そうかも」と思った場面もあった。雨のシーンは黒澤作品を彷彿させた。エンディングの字幕に無常も漂う。

[1]クリント・イーストウッド監督作品、1992年
12.2.5

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「organosulfur」を

 キーワードにしてamazon.co.jpで検索。2011年発刊の本があった。値段もお手頃だったので購入した。200近い有機硫黄化合物やそのグループについて、ふぉんとに細かなフォントサイズで詳説してある。でよくみるとWiki Seriesとある。うきうきして雑誌社のホームページも訪ねた。今回購入した本のバーコードを入力すればお試し期間として、別の本や今回購入した本のデジタル版を無料で[1]入手することができる。お試し会員の期間終了の後「キャンセルしない」を選ぶと引き続きメンバーとして利用できる。ただし月々1200円ほどの請求がPaypalからあるらしい。でその後にOtherwise, you pay nothing.(そうじゃない時は、支払いご無用です)とあった。日本語のWebページもあったので確認した。その部分「そうでなければ、あなたは何を行わなければならない。」だった。バーコードを入力する決心がついていない。

[1] 「for free」日本語のWebページは「自由のために」だった。母語話者に確かめていただくこと大切である。日本語の場合、母語話者は、わしや。
12.2.4

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ジフルオロメチル化を

 含窒素ヘテロ芳香環に施すには、事前にその化合物に官能基を導入する必要があった。それに対してZn(SO2CF2H)2と過酸化t-ブチルとを用いる新しい系が開発された[1]。Zn(SO2CF2H)2は空気中安定である一方、反応は室温で進行する。このBaran先生のバラ色の成果は、グラムスケールの反応へも適用でき、アルキルフルオロ基を有する新規な医薬品や材料合成も可能にする。反応はラジカルプロセスで進行しC-H結合が直接C-CF2H結合に変換される。複数の反応点がヘテロ芳香環にある場合でもある程度の位置選択性を示し、最も電子不足な部位への付加が優先する。この中程度の選択性は共有機溶媒を使うことで制御できる。加えてラジカルプロセスは芳香族チオールをジフルオロメチルスルフィドに変換でき、またα,β-不飽和ケトンにCF2H基の付加も進行する。なお反応剤は簡単に調製できる。あるいはSigma-Aldrichにもあるど、richな人はどうぞ

[1] Chemical & Engineering News, 2012, January 16, p. 30.
12.2.3

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カルボニルオキシドは

 ケトンの酸素上に酸素一つが結合した化合物(R2COO)で、ビラジカル種と両性イオン種の共鳴寄与式で表現できる。(器用だねえ。)またそれはCriegee中間体とも呼ばれ、気候変動との関わりについての新たな知見が報告された[1]。この中間体は、緑色植物がイソプレンやテルペンなどのアルケンを大気に放出してオゾンと反応した時にも形成される。さらに中間体は、二酸化窒素(NO2)や二酸化硫黄(SO2)のような大気にある化合物を酸化する。その生成物はエアロゾル粒子の形成を促進し、エアロゾルは雲をつくり、雲が太陽光を反射することで大気を冷やすことにも役立っている。これまでCriegee中間体の大気化学での重要性は指摘されてきたが、その反応が直接観測されることはなかった。今回、中間体CH2OOをCH2Iと酸素との反応で合成することと、シンクロトロン光イオン化質量分析を使った化学研究により、その一端が解明された。イオン化に使われる光をチューニングできることが実験には不可欠であり、中間体をギ酸や他の異性体とも区別することができた。これまではCH2OOの水との反応と、NO2やSO2との反応はほとんど同じ速さであるとされてきたが、後者の方が50~10000倍速い。この速度は、植物がこれまで考えていた以上に大気の冷却では重要であることを意味しており、生物圏の保存の重要性も示している。なので保存を要請し「ようせん」とは言われないようにしたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 January 16, p. 10.
12.2.2

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口紅の成分のひとつに

 タール色素もある。数回前の講義でタール色素の式を書いたーるプリントを配布した。こんなベンゼン環だらけなものがお菓子やチョコに入っているとはと感じた学生さんも複数いた。「こりゃあかんそうや」みたいな感想もあった。講義では天然物を抽出するために犠牲になる動植物の話も織り交ぜたせいか、「天然=安全・環境によい」を少しは払拭できたかもしれない。
 ここ数年最終回は「化粧品」。成分としてアルコール、エステル、糖類などの有機化合物に加えて、酸化チタン、酸化鉄、ウルトラマリン、ウンモ、フェロシアン化鉄など無機化合物も盛りだくさんで化合物(化学物質)のオンパレードである。しかも30を優に超える成分の選択、配合割合の決定など実際にはどうやって商品にしているのか、不思議な世界である。
 で講義の感想にもどる。ある学生さんの分には「即、頭に浮かんでしまったものです」という言葉とイラストがあった。イラストは、一戸建ての家に表札は「Co」。でその下には「コバルトいっか」とあった。
12.2.1

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