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2012年3月

四字熟語をもってして

 使者に応えるという慣習もあったらしい。鶴竜関は違った形をとった。それも違った新鮮さが漂っていた。でその四字熟語、採用試験の面接でも「これまでの人生でインパクトがあったものは?」と聞かれて瞬時に答えを期待する企業もある。「合成化学」「蛍光発光」だと多分危うい。咄嗟の回答には窮するけど「万事休す」では、ひらがなが混じる。なので別の例をとりあえず準備したい。「臨機応変」「柔軟体操」「五穀豊穣」「針小棒大」「偕老同穴」「南極物語」「連合艦隊」などと考えていたらラジオでもあった[1]。
脳トレには四字熟語がいいという一場面。
A:一つの行為から二つの利益を得ること
B:一石二鳥
A:なにもしていないのにも関わらず意思が通じ合うこと
B:以心伝心
A:物事の理解がつかめず、この先どうなるかわからないこと
B:国民年金
A:ひとつを疑いだすと、なにもかもが疑わしく見える状態
B:東京電力

新年度も始まる。心機一転、もっと自由闊達に、新執行部にも期待絶大

[1]3月17日(たぶん)真打ち競演、ロケット団の漫才から
12.3.31

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ジチオトレイトール

 (ditiothreitol)(DTT)がいと〜るかどうかは他のチオール程はわからない。このDTTはタンパク質生化学では、ジスルフィド結合を開裂させるために緩衝添加物として用いられている[1]。これによってタンパク質は電気泳動ゲル状で正確な大きさの折り畳まれない構造を保っている。ただしDTTは相対的に反応性が低い。DTTの脱プロトン化した部分のみがシステイン−システインの硫黄結合を切断することができるが、生理的なpHでは、DTTのほとんどはプロトン化された形で存在する。それに対してより活性が高いと思われる代替物が開発された。すなわち1,4-ジチオ2-アミノブタン(DTBA)[2]をアスパラギン酸塩から六段階で導いている。DTTとDTBAは同様の還元ポテンシャルを有しているがDTBAのほうがpKaの値が小さい。DTTよりもさらに臭いがしない。DTBAは酸化されたβ-メルカプトエタノールやグルタチオンを三から四倍程度の速さで還元する。さらに相対的に陰性の活性部位を持つパパインや陽性の活性部位を持つクレアチンキナーゼの還元は14倍程度の速さである。DTBAはまさに○○還元セールをやっているようなものである。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 March 5, p. 36.
DTT: HSCH2CH(OH)CH(OH)CH2SH
[2] DTBA: HSCH2CH(NH2)CH2CH2SH
12.3.30

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抗生物質である

 ラサロシド(Lsd)Aをある種のバクテリアは合成できる。しかも通常ならば、反応速度が遅く進行しないタイプの反応で天然物が有する六員のエーテル環を形成する[1]。1974年にラサロシドAの生合成経路の研究が行われた際にその機構が提唱されたが、いわゆるボールドウィン則では不利な反応である点が謎だった。数年前この環化反応を触媒するバクテリア酵素であるLsd19が発見され、それは前駆体であるエポキシ環を二つ有する前駆体をLsdAに変換できる。今回Lsd19の結晶構造が明らかにされた。それによれば水酸基を脱プロトン化する塩基部位とエポキシ環をプロトン化して活性化する部位が、正確に配置され、環化反応のエネルギー変化を劇的にもたらす構造だった。さらに量子力場シミュレーションが機構解明の一助にもなった。これらの成果は、有利な反応と不利な反応があった時に、この拘束にもめげず、酵素は後者を促進できること、それでも化学の法則に従った形で、余分な数キロカロリーを生み出すことによって可能にしていることを示している。さらに天然には多くの同様の六員のエーテル環を有する化合物が存在することも納得でき、新しい合成法を導くヒントにもなり得る。
 ちなみに目次には「LORD OF THE RINGS」[2]とあった。ブロードに広がる系である。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 March 5, p. 5.
[2]映画にもなった物語。すべてを支配できる力を持つ指輪、その主(Lord)になろうとする者、それを葬ろうとする者が複雑に絡む。
12.3.29

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ホタルルシフェリンは

 ベンズチアゾールとチアゾリンから構成される化合物で、これがルシフェラーゼと出くわすと黄緑色発光する。一方このチアゾリン環の硫黄原子をセレン原子で置換えた類縁体は赤色発光する[1]。さらにホタルの光の鍵化合物であるオレンジ色発光するアミノD-ルシフェリンの硫黄をセレンに置換えた誘導体の発光も赤色シフトするが、これによって細胞内のより深い部分からの発光を研究者らは期待した。そのため生物発光画像法の研究において、より優れたD-ルシフェリンとなり得る。セレンに置換えても化合物のルシフェラーゼに結合する能力はほとんど変化しないものの、試験管内での研究ではアミノ-D-ルシフェリンほど発光効率は高くはなかった。ただし生体内ではセレン置換した化合物は、アミノ-D-ルシフェリンと同等の発光効率だった。おそらくよりよく細胞に浸透することができる性質とより低い量子収率が相殺し合った結果の蛍光で、結構である。77SeはMRIでは安定な核種であるため、化合物は生物発光MRI研究でも利用される可能性がある。このセレンもエクセレントである。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 February 27, p. 52.
12.3.28

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元素戦略が始まって8年

 たったらしい。人類は、民族、宗教対立、それに資源の争奪を繰り返してきた。レアメタルが偏在し外交課題の一つになっている。戦略としては、ありふれた元素の代替、減量、循環、規制の視点で課題を解決したい。ポピュリズムへの過度の依存を排して、サイエンス、テクノロジーが基本の解決案を提示したいという。研究費獲得のためのワーディングでもないし「資源危機の回避」あるいは「多元素の共同作業への興味」にとどまらず、それを超えた哲学に根ざしたい。経産省と文科省が共同歩調できる支援策も実現し、永久磁石や二次電池、透明電極に使われる希少金属の課題を解決できる成果も多い。別の観点で、元素の価格は、掘り出す作業員の賃金、その国の価格統制にも依存する。なので、1、資源限界を超えること、2、新たな物質材料の基盤技術、3、結果として、世界をリードするサイエンス、テクノロジーが誕生、みたいな話を拝聴した。
 ちなみに自分が拝聴できた話に、入ってちょうだいと言う余裕はなかった。
12.3.27

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二つのキャンパスの

 行き来に息切れする。特別企画を聞いた後、一般講演の会場へ移動。知り合いの先生が「一旦下ってまた登る、あちらです」と教えてくださった、案内の看板も下向きを示していたので降りた。しばらく降りると大学にある表示は、テニスコートである。100段くらいの階段を下りた先は確かにテニスコートへの入口しかなかった。仕方がないので引き返す。禁煙キャンパスにある喫煙場を左手に見ながら、別の階段を再び下る。これを引き返す気力はない。そのうち民家。キャンパスは見えんかと不安になりながら先を行く。電柱に案内があった。それを頼りに移動した。やっと入口まで着いた。瀟洒な階段が眼前にあった。幾度もドラマのシーンになったような風である。それを上がりさらに移動してやっと会場についた。そこは聴衆であふれていた。いくつかの講演を立ち見で聞いた。空いた席に落ち着いたときの安堵感としばしの高揚感が巡っていた。
 まずは足腰を鍛えよという教えを筋肉の痛みで感じていた。
12.3.26

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行き先も告げずに

 家を出る主人公の男性。新種の昆虫採集に、とある村に入った[1]。夜になり宿もない土地で、一夜を過ごすために、縄梯子で降りる穴倉の様な場所に案内された。そこには女がいた。毎晩砂を掻いて、村人にその掘り出した砂を渡す。素直で気丈な女性である。その作業を手伝うことをお願いされた男は、明日は地上に出て再び昆虫採集だと信じていたが、実は地下で女と同様の作業を繰り返すことになる。時に怒り、時に落ち込み、時に情欲に浸る。従順な振る舞いを繰り返すことで希望の品が差し入れされることもある。新聞が読みたい。でもしばらくすると、どの記事もあってもなくてもいいものであると感じる。周到な作戦を企て、脱出に成功したものの逃げ場が違って危うく命を落とすことになる。結局、村人に助けを求めて、もとの穴倉に戻される。数ヶ月の間、砂を掻く作業に従事し地上に出る機会を設けてほしいと村人へ交渉する。不当な条件でもそれを実行しようとするが事はうまくはいかない。がとある日、一縷の望みに出会った。その頃、体調を崩してしまった女が地上に運び上げられたと同時に地上への縄梯子がそこにあった。梯子でも真ん中にあったに違いない。
 日常と非日常が錯綜する世界が広がっていた。

[1]安部公房著「砂の女」。数週間前、本学のある先生の出前講義案内に、ノーベル文学賞候補だった一人として安部公房を挙げていたので手にした。奇しくも数日前に、受賞寸前だったみたいなニュースがあった。しかもこの作品は数十カ国語に翻訳され、フランスでは最優秀外国文学賞を受賞していたとは
12.3.25

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禁煙宣言

 から7年近く経過した。出た当初、「明日からともかくキャンパス内では禁煙、今まで吸っていた教員、職員も禁煙」というおふれみたいで、本学も全体主義になったかと思った。それでも工学部は「禁煙推進室」を設けてやりくりをしてきたが撤去された。それから一年、タバコの吸殼のポイ捨も増えた、残念ながら。そこで類似の部屋を復活してほしいというお願いが出された。そんな中、保健管理センターの先生の学生の健康面からの講演があった。かつては国体に出るとタバコを記念にもらうこともあった。男子にとってはタバコを吸うことで大人になる転換点だった時代もある[1]。今は小学生の頃からタバコは悪と教えられている。それでも吸う学生は思い入れが強いかもしれない。法令遵守という点からの指導はそぐわない。結果としてガウス分布が非喫煙者側に移動できればいい。ちなみに喫煙側のすそ野にいる学生には特別の個別指導が必要であるとのことなどだった。
 その後、分煙体制の方が現状を改善できるので是非設置してほしいなど様々な議論が出たけど時間切れで、煙に巻かれてしまった。次は葉巻をネタにハチマキ締めて迫るしかないか。

[1]なるほど人前で火遊びをしても許されるには成熟も必要か。
12.3.24

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芳香族化合物の水素化反応は

 最も高性能な遷移金属触媒を使っても難しい。芳香族性によって付与された安定性を不要にしなくてはならないことも一因である。それに対して、2006年D. W. Stephan先生によって導入されたフラストレイティドルイスペアを用いることで、この水素化が達成された[1]。ルイス酸—塩基対は化学では一般的によくある化学種である。電子不足なルイス酸とルイス塩基が電子対を共有することは容易に類推できる。それでも酸、塩基のどちらも嵩高い置換基を有する場合には、この対をついには形成することができず、お互いがいわば欲求不満の状況になる。ただし有機金属触媒に匹敵する反応性は有したままである。そこでこのペアのどちらが電子を占有するかの主導権争いの中、水素を捕まえて分裂させること、それによってイミン、シリルエーテルやN-複素環カルベン化合物を水素化することが報告されていた。今回Stephan先生らは、B(C6F5)3と様々なアニリンとのペア、いわばあ〜二輪草[2]に、水素を加えるとアニリンの芳香環が還元されシクロヘキシルアンモニウムボレート塩が形成した。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 February 27, p. 8.
[2] 川中美幸さんのヒット曲「背中あわせのぬくもりが」というところ、ルイスペアみたいやと思ってしまった。
12.3.23

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ダイオキシン類のうち

 TCDDが最も高い毒性を示すと言われている。体内に入っても「大事、起きひん」のではなくて、ニキビのような発疹が生じたり、発育や生殖に関するネガティブな効果、免疫系の破損、ホルモンの崩壊や肝臓へのダメージなどが考えられ、これについて米国環境保護庁(EPA)は1991年から調査検討を行ってきた[1]。20年の間、化学系企業はこの調査の不備を指摘する一方で環境保護団体は結論を出す様に促していた。その結果2月17日TCDDの一日の最大許容量は0.7ピコグラムであると設定された。TCDDは塩素を扱う化学工業やバイオマスや廃棄物から生じる副産物であり、今回の決定は土やダイオキシンを含む工場の大気や水を放出する際の浄化の程度や費用に影響を与える。TCDDのみならずフランベースのダイオキシンや多塩素化ビフェニルも対象になり得るが、今回のレベルは住民の健康を化合物残留物から守るガイドラインにもなり得る。EPAは調査から除外していたTCDDの発がん性について継続して検討を行っている。いずれ全体報告「ダイオキシン」も寄進されるはずである。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 February 27, p. 5. TCDD: 2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ1,4-ジオキシン
12.3.23

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ラジアレン

 味アレヘンかどうか」の報告があるかどうかは知らない、が珍しいタイプの不飽和化合物である。たとえば[3]ラジアレンはシクロプロパンのそれぞれのメチレン部位CH2がC=CH2に置き換わった化合物である[1]。化学式はC6H6でベンゼンの構造異性体であるものの、電子構造は随分と違う。ベンゼンはπ共役の芳香環を持つのに対して[3]ラジアレンはπ交差共役の非芳香環系を有し、有用な光学的、電子的な特性を分子に付与させている。そこで環外のメチレンをAr-P基で置換えた化合物を標的として、時任先生、笹森先生、三宅君らのグルールが合成にチャレンジした。塩基存在下、テトラクロロシクロプロパンと、かさ高いアリールリンを組合せ、ついでヨウ素による酸化反応で4,5,6-トリホスファ[3]ラジアレンを導いた。このより重いリン原子を有する交差共役系骨格は、ラジアレンの紫外吸収を長波長にシフトさせ、電子受容能を増加させている。
 「環外へのリン置換基の組込み、案外面白い」と感慨もひとしおである。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 March 12, p. 52.
12.3.21

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数百匹の興奮したオスヘビが

 発情期には、メス一匹が放出したフェロモンのかすかな香りに誘われて群れる。このヘビを想像してヘビーな気分になる方もおられるかもしれない。ただこの数百匹のうちメスヘビフェロモンにさらされた一部のオスヘビが、他のオスヘビたちを、メスヘビと交尾できるルートから逸脱させることができる可能性が示された[1]。すなわち17β-エストラジオールを埋め込まれたオスヘビはメスヘビフェロモンである長鎖のケトンをつくり始める。このものまねヘビに対して、疑うことを知らない普通ヘビが激しく求愛し、メスかオスかの区別をつけることができない。そこで研究者らがヘビからエストロゲンを取り除いたところヘビはメスフェロモンの生産をやめ、普通のオスの求愛もなくなった。この研究は、ヘビや他のは虫類のフェロモン生産の制御についての新しい知見であり、エストロゲンを模倣した化合物を使うことによって自然界にヘビを繁殖させうる可能性も示している。は虫類のために発注する医薬品が、いずれ提供されるだろう。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 February 20, p. 41.
12.3.20

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中国の経済成長率8%が

 下限でよい加減だという話を以前に聞いていた。それが先週、北京で開催された中国全人代で、温家宝首相が2015年までの経済成長率の目標値を7.5%にすると述べた[1]。2010年は10%以上、2011年は9%以上あったにも関わらず、2005年以来、初めての8%以下の目標値である。中国のこの低い目標設定にはいくつかの理由がある。その一つはインフレ抑制で、国もよくせい。次に持続可能性(sustainability)である。より低い経済成長は経済発展を、より持続可能で効果的なものにしうる。それは、より長期間にわたって、より高いレベルで、より豊かな発展を達成するためにも必要である。環境問題の点から、さらに首相は、主な都市の大気の微粒子のモニタリングを始めること、政府は水の価格を上げることを表明した。この数週間前、中国の水資源に関する部門が、220億ドルの水保護プロジェクトを発表していた。実際「中国の水は安く、今の価格の三倍から五倍程度であるべきで、より効果的な利用を」と香港に本拠地を置く非政府機構のメンバーも指摘している。また昨年、エネルギー消費、空気浄化、水汚染の改善などについての目標が半分程度しか達成できていないことも明らかにしているが、これは2011-2015年の最初の年でもあることから2015年には達成できるだろうと意気込みを示している。これまではたとえば水中の重金属を見ずにいたが、目標値が定められた。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 March 12, p. 10.
12.3.19

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カモメのような形の凧に

 乗って空を自在に飛ぶナウシカ、戦争を繰り返して滅びた国々は腐海に覆われ、そこには人間とは相容れない虫たちが暮らす。王蟲(オーム)とよばれる巨大な虫もその一つだけど、ナウシカはその抜け殻の美しさに感激し、自分たちが暮らす「風の谷」で使わせてもらおうとも思う。そんな中、遠方にあるトルメキア国が谷に攻めてきた。強大な軍事力に圧倒される谷、人質として連れて行かれるナウシカ、その途中、別の国ペジテの攻撃にあって、一命をとりとめると同時に腐海の底にある美しい世界を体験する。一方で谷を占領するトルメキアを攻撃せんと、ペジテはオームの怒りを誘い、谷を襲わせる。対抗するトルメキアが発掘した「最も邪悪な心を持ち世界を焼き尽くす」という巨神兵が応戦する。そこに戻ったナウシカ、純粋な気持ちで怒りを鎮めるも命と引き換えだった。でも奇跡が起きた。ラストシーンは谷の少女たちが「自分もナウシカに、なるしか」という想いか、凧で空を飛んでいた。
 しばらく前、韓国(Korea)の方が「ジブリ作品は全部見ました」[1]と言われたのもあって、コリァいかんとDVDを借りた。

[1]宮崎駿監督「風の谷のナウシカ」(1984)は、ジブリ設立前の作品。韓国公開は2000年末とあった。
12.3.18

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新横浜駅19時20分

 用件が早く切り上がったので、当初予定していた指定席の時刻の変更を試みた。窓口は長蛇、券ちょうだいと並んでいる。空席状況は、普通車は一時間以降も満席であることを告げている。21世紀だし「自由席で帰るか」と覚悟を決めてホームへ上がる。ここも長蛇、なので一号車の端へ向かった。ヤングカップルがいた。「え〜〜、最初から立って乗るつもりだったの〜お、そんなのやだ」「空いているかもしれないし、空いていなかったら列車の中でグリーン車まで移動したらいいし」「でもあっちの列車、移動できないくらい混んでた」。列車がホームに入って来た。青年男子、様子を見に行くが現状を把握して「グリーン車に行こうか」とだだをこねるお嬢様を連れて立ち去った。なんとか車内で自分自身のポジションを確保。いつもと違った目線だなあと思っていたら「ただいま急病人の患者さんがおられます。お医者様か看護士さんの方が、ご乗車になっていないでしょうか」というアナウンス。しばらくして掛川駅で緊急停車、救急隊に搬送してもらったとのこと。「まもなく名古屋です」に、ごやごやしはじめた車内だった。
12.3.17

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六人兄弟の末っ子

として愛知県の、とある村で生を受ける。どの学期も悪ガッキだった小学生時代を終えて中学生になる。七時間目に友達同士で教えあう「バズ学習」、部活動に力を入れる方針の中、信頼できる先生との出会いもあった。「なんとか先生の期待に応えなくはいけない」という思いから人間形成もできた。家の事情から「高校までは行かせてやるが、その後は就職」と言われていた。高校の先生の提案は「就職内定をもらって母親を安心させること、また大学合格後に就職辞退」だった。実際に辞退の段になって、その提案をなさった先生自らが、企業に赴いて対応された。大学では人生の師・研究の師とも出会い、一旦は会社で過ごし、その後、三十有余年を大学人として歩んで来られた。十数年前に、現スタッフが発見した「フィルムにほんのわずかな傷(クレーズ)をつけること」から、視野選択性フィルム、色彩、導電性制御に液体,気体透過性など、これまでにはない材料を開発されてきた。この基本技術に、ある小さな会社の方が興味を持たれ、プラスチックの勉強から始めて、商品化も達成された。自分たちにも考え方の変化をもたらし、大いに刺激を受けられたそうである。個々は弱くても結集して長所を絡めれば何かができる。これまで「常に新しく、つとまるだろうか」という不安を持ちつつも、常に前向きにポジィティブ思考で来られた。先生の川柳のひとつ「弱いもの、集まらなければ、ただの点」も胸に沁みる。 
ちなみに先生は、法人化後の工学部長を四年、勤められた。大学本部からの要請と工学部の現状の折り合いをつけることにも腐心されていた。お陰で強引な手法をとらずになんとか自分たちが過ごすことができる状況をつくっていただいた。また在任の最後の年には「金型創成技術研究センター」を創設された。ただし当初は「これって大丈夫」というものだったけれども、金型とは縁のない自らがセンター長としてご尽力された。その数年後、メンバーとともに非常に高い評価を受けるチームに仕上げられた。
12.3.16

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軟体動物の貝殻は

 なんだったかいなと調査をすることで古代の気候のヒントを得ることができる。生体鉱物である真珠層は、貝殻に玉虫色のかすかな光を与えるとともに、真珠貝が成長した時の気温や圧力を示している[1]。すなわち古代の化石の真珠層を太古の大洋の温度計として利用し、そこは奇妙な生き物であった軟体動物にとって、どの程度暑かったかを扱うことができる。実際違った環境から得た八種類の軟体動物の真珠層の横断面の極性依存対照マップが集められた。その結果、真珠層の超微細構造すなわちアラゴナイト結晶の幅と厚さや結晶からの乱れは、それぞれに特異的だった。これにより軟体動物の環境の最大温度と結晶のずれとの相関、結晶の厚みと軟体動物が生息していた深さとの相関が見出された。温度と水表面からの距離の組合せを用いることで、4億5千万年のタイムスケールの古代の気候を再構築しうる可能性がある。いずれ「古代は、こうだい」と提示される日もくるだろう。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 February 20, p. 41.
12.3.15

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「思い出をありがとう」は

 エンターテイナーBob Hopeの歌であるが、それは脳タンパク質の糖鎖にも関連する事柄であることを、彼は知る由もなかった[1]。研究者らは、酸素で連結したβ-N-アセチル-D-グルコサミン(O-GlcNAc)が、長期記憶に関与するとされている転写調節因子CREBと結合すると、記憶形成を妨げること、また糖鎖を取り除くと記憶が改善されることがわかった。いわば記憶が糖鎖によって通されん状況である。このことは遺伝子発現、神経発生や記憶を制御する糖鎖が関わる未知の機構があることを示している。加えてこのことからアルツハイマー病患者の記憶の向上や記憶喪失を遅らせる新しい方法を導きうる。今回ネズミを使った実験でO-GlcNAcがCREBと結合した時の影響が見出されたが、これはリン酸がCREBと結合する場合とは逆の作用であった。これを機に、タンパク質の糖鎖による修飾が注視され、生物の最も大きな謎の一つである記憶の解明が、気後れせずに、推進されるはずである。 ちなみに時には糖鎖のこと、父さんにも教えてあげてね。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 February 20, p. 11.
Bob Hope : 1903-2003アメリカを代表するコメディアンの一人である@Wikipedia。
12.3.14

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炭素数四つ以上のアルケンは

 高分子、化粧品、医薬品、溶媒や他の商品を合成するための鍵になる構成要素である[1]。これらの低分子化合物の一般的合成は、原油から取り出されるナフサの水蒸気分解が常識である。分解によって長鎖の炭化水素が短い鎖長のものや不飽和結合を含む化合物に変換される。このプロセスは世界的に数十年間に渡り稼働しているが、環境負荷と原油供給の限度から別の方法が検討されてきた。一つはCOと水素の混合ガスである合成ガスをバイオマスから導き、これをFischer-Tropsch法でアルケンに変換する方法である。これには担持していない鉄触媒を用いるが、高温での触媒の不安定さと変換効率の低さが課題であった。今回、広い表面積を持つ酸化鉄を担持したナノ粒子が安定で活性なしかも選択性を示す触媒であることが明らかにされた。反応条件にもよるが触媒は、ナノファイバー上に担持されたナトリウムと硫黄がドープされた酸化鉄で、合成ガスをC2-C4オレフィンにおよそ60%の選択性で与え、触媒は60時間経ても安定であった。この場合は、安定でなくっちゃ、あかんてい。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 February 20, p. 9.
12.3.13

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マッシュルーム

 そんな部屋があるかどうかは知らない。一方でキノコがノコノコ生育する場所は多い。マッシュルームだ!とダッシュする場合もある。中国雲南省に生育するキノコを村人が食して死に至る事例があった。このキノコには発作を引き起こすγ-グアニジノブタン酸とこれまで同定されていなかった二種類のアミノ酸が含まれていた[1][2]。それらを化学合成し生物試験を行った結果、毒性も高く、犠牲者の血液からもこれらのアミノ酸と同じフラグメントが検出された。研究者らは高い毒性の機構はわからないとしながらも、新しく発見されたアミノ酸とγ-グアニジノブタン酸との組合せの相乗効果で毒性が増している可能性、またアミノ酸が死に至る低血糖症を引き起こす可能性に言及している。これに対して三つの化合物が死に至る原因であるかもしれないと認めながらも、実際に致死量を消費するためには新鮮なキノコ4 kgを、残らず食べる必要があると指摘している研究者もいる。研究を継続するため、キノコは金庫にしまわれているのかもしれない。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012, February 13, p. 41.
[2]二つの新規なアミノ酸は、2-アミノ-4-エチニルブタン酸と2-アミノ-4-エチニル-4-ヒドロキシブタン酸で、前者はR体、後者はR体(2位)、S体(4位)である。
12.3.12

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供養に

 行くようにと皆が集まる。法事は先立った人の縁である。その宗派では焼香は三回、なくなった人へ、仏様ら、最後は自分自身のために願い事をこめてやる。経を読んでいるときも楽な姿勢で構わない。ただし焼香の折には正してほしい。法要のあと、説法、説話を聞く。説教とも言われるけど、基本は「叱ること」叱るは愛情、怒るは感情らしい。ただ話が難しいと記憶に残らない。そこで説法がもとになって、古典芸能のひとつ落語が誕生したという。なので古典落語の中には仏教に関連する話題や言葉も多い。「地獄八景亡者戯」「愛宕山」など旅する話もその一つらしい。法事では老若男女が一同に会することで「世代をパスすることもできる」みたいなお話もあった。楽な姿勢のお陰で、足はしびれなかったけど、話にはしびれた。

 で古典落語の一つ「手水(ちょうず)廻し」手水とは、お寺などにお参りする前に、手や口を清めることである。それが転じて大阪では朝、顔を洗うことを「手水を使う」と言うが、旅先では理解されずに、長頭(ちょうず)の持ち主が現れた。これを上手に回そうと躍起になる。結局、旅人は顔も洗えず宿を出るが、今度はその宿の人が大阪に旅する。続きはYou-Tubeなどでご覧あれ。

12.3.11

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じゅうたんを買う

 と言うたんならば、様々なことをチェックしなくてはいけない。素材によって価格もまちまちである。部屋の使用形態やそこに暮らす時間の長さにもよるので、量販店にある割安のものでも間に合う時もある。サイズは規格品で満足しても裏地が滑らないように工夫されているか確かめた方がよい。玄関マットなんかを、全うな値段、というより割安で、海外で購入したりすると、その仕上げがなくてアイスバーン状態になってしまう。それ用の滑り止めを仕入れなくてはいけない。オーダメードでじゅうたんをお願いするときでも基本的には部屋のサイズよりも小さいものになる。縦横の幅を測って、部屋の一部にくびれがあったときにどうするかなども考える。ここで終わってはいけない。部屋に入る扉が内開きだった場合には、その床からの高さにも注意、じゅうたんはそれより薄いものでなくてはいけない。据え付けのクローセットも同様、間違えると後で「苦労すっと」になる。このことも最初からアドバイスしていただけるインテリアのお店に、行ってみりゃあいい。
12.3.10

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短い鎖長の

 塩素化アルカン(SCCP)の使用を停止する和解契約が、米国環境保護庁(EPA)とドヴァーケミカル(Dover Chemical)との間で取り交わされた。SCCPは、プラスチックの分野では可塑剤や難燃剤として、また潤滑油や冷却剤として金属切削に、せっかく使っていたのにである。一般にSCCPは、分子中に10–13の炭素鎖を有し3−12の塩素原子が組込まれており、永続的に生体に蓄積し、毒性もある化合物である。今回の使用停止により健康や環境への過度なリスクが軽減されるとされている。オハイオ州にあるDoverは、米国でSCCP生産の最後の製造業者であり、EPAに対して製造前届出の提出なしにSCCPならびに長鎖の塩素化アルカンの製造を行っていたと指摘されている。一方でDoverはその法律が施行された1976年より前にすでにSCCPの製造を行っており、数十年前に適切に書類を提出していると主張、でもEPAは、その書類は不十分だとしている。なお長鎖塩素化合物の製造継続のための届出をDoverがドバッと提出することも求められている。

[1] SCCP: short-chain chlorinated paraffin
[2] Chemical & Engineering News, 2012 February 13, p. 11.
12.3.9

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硫化モリブデン

 (MoS2)は石油工業では、水素化脱硫化触媒として広く知られている。さらに数年まえには、この硫化モリブデンをデンマークの研究者らがマークし「そのナノ粒子を使うと光によって高い効率で水から水素が出ること」を予測し実験的にも示した[1]。これらの結果は水素発生に通常使われる高価な白金族の金属の安価な代替物として利用できることを示していた。ただし別の研究はナノ結晶全体のほとんどは活性がなく、触媒の活性部位は、三角形になったMoS2ユニットで、それらは粒子の端に並んでいるのみであると指摘していた。今回Mo(IV)-ジスルフィドペンタピリジル錯体が合成されたが、先と同様に端の部分に三角形になったMoS2を含んでいた。これを加えた精製していないカリフォルニアの海水を含む水溶液などの電気化学測定とガスクロマト分析から、新しい化合物は高い効率を示す水素発生触媒であると結論づけられた。これらの分子は、MOS2の活性部位の必要不可欠な配置と電子構造を有しており驚くほどに力強い。一流かモの硫化モリブデン、武勇伝も聞いてみたい。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 February 13, p. 10.
12.3.8

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急上昇するリチウムの需要

 特に高純度のリチウム化合物は、将来の電気自動車で利用する大型のリチウムバッテリーの生産にも必要である[1]。「バッテリー、へばってり〜」状態を回避したい。その中ロックウッドホールディングスはチリに炭酸リチウムプラント建設に1億4千万ドル投資するという。年間2万トン生産できる設備をチリ北部のアントファガスタ港近くに建設する。2013年までには5万トン供給を目指している。ロックウッドは炭酸リチウムを、チリのアタカマ塩湖近くの砂漠地域の地下の塩水プールから取り出し、水酸化リチウムや他の誘導体に変換しバッテリーになどに利用する。ロックウッドは米国内で唯一炭酸リチウムを生産しているが、ネバダ州でも粘って、シルバーピークと呼ばれる地にあるリチウム鉱に75百万ドル投資し、水酸化リチウムプラント建設を行う。ロックウッドに加えてFMCやSQMは南アメリカへ投資し、SQMは4万トンの炭酸リチウム製造、またFMCはアルゼンチンでの投資を30%拡大することを公表している。リチウム掘ってリッチになろう作戦、立地条件も大切である。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 February 13, p. 9.
12.3.7

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ある種のチオールの臭いを

 人は1 ppbオーダーでも感知することができ、勘違いすることはまずない。それは腐った卵を思い出させる。この極端に高い感度は何に由来するのか謎であったが金属がそれに関わるのではないかとされてきた。たとえば1978年Crabtree先生は銅(I)イオンが悪臭のするチオールに対して高い親和性を示し、これが嗅覚の金属受容体の候補ではないかと論文掲載をしていた。今回MOR244-3と呼ばれるネズミの嗅覚受容体が単離され、これが揮発性の高いメチルチオメタンチオール(MeSCH2SH)(MTMT)をバインドすることがわかった[1]。結果は、銅イオンがないとMTMTや他のチオールはMOR244-3を活性化しないことを示している。ここでMTMTはオスネズミの尿の成分であり、受精できるメスネズミへのシグナルである。ミューテーションとモデルによる研究から、チオールは受容体と相互作用する前に、銅がMTMTや他の臭いのする化合物の配位を受け、銅はそれらの化合物の配座を変形させ、全体が受容体の活性部位にうまくはまり込みタンパク質に刺激を与えるという仮説が、たてられている。さて次は銅が人のチオール感知に必要かが課題である。「銅とチオールでどうちよう」と言うのか、お楽しみである。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 February 13, p. 9.
12.3.6

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運命の人を見ていた

 なんだか原作とは違うなあと思いながら。コマーシャルになった。Hey Judeが流れた。重要度が高いこの曲、ポワーンとしていたら田中絹代さん[1]がビールをついでおられるシーン。でキムタク。そのバックはモノクロの昭和である。映画のシーン。見たことあるけど名前がわからない出演の方々。「加藤剛さんだ」と気がついた。ドラマが終わってネット検索、31日からサントリ-が発信したコマーシャル。笠智衆さんがビールを流し込む、その穏やかを超えた穏やかさに「ビール飲んでみたい」と思ってしまう。先の自分が忘れていた俳優さんの名前もあった。それらのシーンは木下恵介監督作品から採用したらしい。

 Hey Judeに戻る。「悪いこと、それ以上悪くしないで、まずはそれを受け入れよう、そこから始めて、ちょっとだけ、いいものにすることから始めてみないかなあ。恐れることはない、できるよ。」みないなこと改めて感じた。Hey Jude、でも室温18度である。

[1]日本の絹が世界のあこがれだったころ、その文字を、ただものではない予感のする俳優さんに授けたという話を聞いた覚えがある。その絹が来ないと思ったアメリカ。同様の肌触りを求めて解析。アミド結合に着目したらしい。それがナイロンの始まりか。

12.3.5

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「采配」

 読むことができて幸いである。落合博満前監督が語る66の言葉[1]。おれ流と表現されてきたけど、自分自身が実践してきたことは過去に誰かが実際に行ってきたことである。「結果的に私のやり方は模倣と表現しても」とある様に基本に忠実であることに言及した言葉が続く。また野球はアメリカから入ってきたスポーツだけどアメリカ一辺倒でもないはずである。「日本独自の考え方や歴史をもっと大切にすべきではないか」という指摘。ほんの小さなものでも「手抜きの放置」はチームには致命的な穴があく。仕事とは自分が生きていくために取り組むもの、普段から目の前の仕事にベストを尽くすこと、また選手の体調やけがに関することは重要な情報で監督が口にするべきではないこと、試合中のブルペンでの様子を映しコメントを加えるメディアの行為は、選手やファンの為にならないこと、また「予告先発」についても慎重な姿勢である。最後は「人や組織を動かす以上に、実は自分自身を動かすことが難しい。・・・だからこそ「今の自分には何が必要なのか」を基本にして、勇気を持って行動に移すべきだろう」で括られている。

[1]ダイヤモンド社。書店では「采配ください」「はい」という会話が聞けそうである。
12.3.4

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経済成長率を

 8%以上に維持するために、様々な政策も実行されているらしい。この数年、北京・上海バブルで不動産価格は上昇。実際に新築マンションをみても明かりがついていない部屋も多い。投資のために購入する人もいる。これらの地域の単位面積当たりの価格は東京・大阪に匹敵するかあるいはそれ以上である。というお話を聞いた。今から10年以上前、本学に私費外国人留学生として入学された。経費を切り詰める中、地域で活動する国際交流支援の方からいただいたものが「こたつ」。勉強も怠ってはいけないと博士課程を修了。中国に帰国してソフトウエアの会社を設立された。本学やこの地域への深い恩義が駆動力になってか、上海同窓会の世話もされている。その方も交えての懇親会に移った。邦楽部に所属する学生の演奏が始まった。津軽三味線。気軽にできるものではない。滑らかなバチさばきから湧き出るリズム感のある響き。繰り返されたに違いない三味線練習、普段は見せんと思う。次に一尺八寸が由来の尺八。透き通る音色と柔らかな首の動きに魅了された。
12.3.3

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100種あまりのカエルが

 お互いを識別する手法があれば助かる。このことがマダガスカルに生息するマンテリーデ(Mantellidae)と呼ばれているファミリーで一部明らかにされた[1]。すなわちオスガエルは大腿部の腺の部分に球状の器官を持ち、その袋からアルコール[2]ならびにマクロライド[3]を持つ。これらは空中を浮遊できるフェロモンとして同定された。マンテリーデカエルの異なる種は、異なる比でこれらを有している。これについて研究者らは「それぞれのカエル種は違った音色で鳴くけれども、カエル種があまりに多いため、それでは自分の種の異性に出会うことが難しいはずである。そこでこの香りが個別の種を認識する助けになっている」と類推している。また研究成果によってカエルゲノム解読の結果も確認されている。カエルDNAは揮発性化合物に対する全ての種類の遺伝子を有しているが、どの遺伝子が機能しているのか、進化の遺物なのかがわからなかった。加えて他にもいくつかのアルコールとマクロライドを単離し、ゲフィロマントライドAと呼ばれる新しい天然物については、Corey-Nicolaouマクロラクトン化反応を利用した合成にも成功している。カエル(frog)についてブログに書き加えることができたカ。得るものも多し。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 February 6, p. 33.
[2] (R)-8-メチル-2-ノナノール
[3] (S)-Phoracantholide J: 10員環ラクトンで、C=Oの炭素から数えて四つ目の炭素にZアルケニル基、九つ目の炭素にメチル基が組込まれて(S)体になっている。
12.3.2

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シュレンクは

 酸素や湿気に対して敏感な化合物を取扱うためのフラスコで、修練すれば苦なく使うことができる。それを開発したのがドイツの化学者ヴィルヘルム・シュレンクであり、今ではよく知られた有機リチウム化合物を、最初に合成された先生である[1]。さらに有機ナトリウム化学から有機ラジカル、ラジカルアニオン、ジラジカルの調製と同定に成功された。1926-1928年にはドイツ化学会会長であった。ナチスが台頭する中、民主主義を理想とし、講義に入るのに「Heil Hitler」(ヒットラー万歳)から始めなくてはいけないのを1933年拒否したことからフンボルト大学(ベルリン)で微妙な立場に追いやられてしまった。1935年フンボルトは追われたもののテュービンゲンで同様な立場を、よりよい環境で得ることができた。それでもかなりの講義の義務と大学の運営を強いられ、それ以降研究と論文作成に時間を割くことはできなくなった。ここでも政治的にはその当時の体制には従わず1942年ドイツ化学会を追放され、翌年64歳でこの世を去られた。Gladysz先生は「シュレンク先生の人生は、現代化学者と比較して短かったけれども、大志を抱く若者それに経験豊かな研究者の規範となるロールモデルである」と述べられている。

[1] http://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/om300019p
12.3.1

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