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2012年5月

飲料水

 誰にでも、お入りよう水である。その安全性も気になる。そこでEPAは、公共施設が、飲料水の中に28種目の化合物、腸内ウィルス、ノロウィルスがあるかどうかをモニターしなくてはいけないことを決定した[1]。およそ6000の公共の水道施設がその対象であり、調査は2013から2015の間に行われる。化合物の中には六価クロム[2]、六種類のパーフルオロカーボン、七種類の性フェロモンも含まれる。集められたデータは全国の飲料水について各自治体が、どう確認したかについての貴重な情報であり、これをもとにEPAは飲料水中のこれらの物質やウィルスを規制する必要があるかどうか決定することになる。リストに挙げられた化合物などは疑わしいものもあるが、現段階では’Safe Drinking Water Act’(飲料水安全法)では規制されていない。ただし今回の決定で五年ごとにEPAは規制されていない30種類の残留物を選びモニターする必要がある。小さな公共施設でも分析やその精度を確保できるよう2千万ドルを調達するらしい。飲料水、器量人が担当しているかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 May 7, p. 21.
EPA:米国環境保護庁
[2] Hexavalent Crが、ばれんと思ったある大企業、実は工場排水にそれを含んでいた。それに、弁護士事務所で雇われたシングルマザーで無職の主人公が対峙する:ジュリア・ロバーツ主演「エリン・ブロコビッチ」(2000).
12.5.31

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天然ガスの主成分である

 メタンは世界中に豊富に在る。ただし融点-183 ℃沸点-162 ℃で、常圧で「液体として見えたん」という温度幅は狭い。またその産地は輸送手段が整備されていない遠い場所のことも多い。そこでこのガスを直接、船で運搬できる液体燃料やメタノールのような化成品に変換できる方法が期待されてきたが、現状ではエネルギーを大量に必要とする、合成ガス(CO + H2)を含む二段階の方法が主だった[1]。その中、水溶性過酸化水素がメタンを90%以上の変換率でメタノールに変換できる系が報告された。銅と鉄でドープされたゼオライトZSM-5が安定で再利用可能な触媒として使われている。反応経路はDFT計算によっても考察されている。鉄中心は過酸化水素を、C-H結合が活性化できる化学種に変換し、銅はメタノールのギ酸や二酸化炭素への過ぎたる酸化を防いでいると研究者らは述べている。ゼオライトもおらんと困るはずである。それは鉄と銅を手つどうていると思う。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 April 30, p. 35.
DOI: 10.1002/ anie.201108706
12.5.30

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テトラジンは

 ベンゼンの1,2,4,5位のCHをNで置換えた化合物である。爆薬、材料科学、さらには生化学の分野でも重要な化合物である[1]。細胞や生きている動物の生化学を解明するためのプローブとして利用される。さらに特定の化合物たとえばシクロオクテンと選択的かつ迅速に反応する。ただし現状「テトラジン合成は手間とらせん」ではない。ヒドラジンのニトリルへの付加、続く酸化による。それでも脂肪族ニトリルでは反応せず、前駆体としてアミジン塩を使った系は、みじんめにも低収率である。それに対してNi(OTf)2のようなルイス酸が、先のヒドラジンとニトリルとの反応を効率化できることが明らかにされた。これによって無置換テトラジンや非対称テトラジンを導くことができる。たとえば4-ヨードベンゾニトリル、アセトニトリル、さらにヒドラジンとから3-(4—ヨードフェニル)-6-メチル-1,2,4,5-テトラジンを合成できる。ただし対称型と非対称型の分離が課題であるとも指摘されている。今後は非対称型の合成戦略として、ニトリルを固相に担持する構想も練られている。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 April 30, p. 11.
12.5.29

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血液型は

 赤血球細胞に、ある種の抗原があるかないかによって決まる。特定の抗体が抗原と反応して赤血球細胞をこわす。そこでこの性質を利用した簡単な血液型の判別方法が開発された[1]。ペーパータオルが切手サイズに切ってある。そこにA, B, Xという文字とその下に垂線を(抗体で)印字する(と言っても見えない)。O型、Rhマイナスの血液型はこれらの抗体と反応する抗原を持っていないためXと同じところにO、また先ほどの垂線に直交する横線とを防水加工の赤インキであらかじめ印刷しておく。このペーパーの上に数滴の血液を垂らし、生理食塩水で洗う。数分後、血液型に対応するアルファベットとRhの型が現れる。たとえばA型の場合、その抗原は、抗体でAと印字された部位と反応し赤血球細胞が壊れる。O型でRhマイナスはいずれの抗体とも反応しない。ただし事前に印刷したOと–だけが残る。研究者らは「ハリーポッターと秘密の部屋」[2]で登場人物が日記に答えを求めているシーンから、知〜んらないうちにアイデアを授かったらしい。「私の血液型を教えたまえ」みたいな感じで

[1] Chemical & Engineering News, 2012 April 30, p. 10.
DOI: 10.1002/anie.201201822
[2]映画では、途中で日記が入れ替わるところ、クレジットの後を見逃さないようにしましょう。ただしそれが何かは秘密です。
12.5.28

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ライフベルトを

 腰に装着する。20名程が乗船。これをようせん参加者はいなかった。舟は三人の船頭さんが竿と櫓で操る。竿を操る方は船首の先まで勢いよく走り、ついでに川底を押して推進力を稼いでいる。とりわけ川が緩やかに流れる時はこれを何度も繰り返す。強靭な体力である。急流(rapid)に近づく時は向きを定めてそれに乗り、左手の岩に竿を押し当てては舟を進める。爽快な風が身体をよぎる。水しぶきが舟に飛び込むこともあるが、水も滴るいい男になる人[1]が、ほぼ同じだった。この保津川の川岸には亀(turtle)が、立っとるというより、甲羅干しで安らいでいた。少々舟が右に傾いているというので、乗客が少し左に移動する場面もあった。渓流の流れでできた岩、蛙やライオンを連想させる。残り20分程になった頃、下流に舟が見えた。屋台舟である。こちらの舟に接近して巧みに並走する。購買欲をそそる語りと臭いが漂っていた。ちなみにこの日のツアー、保津川を全身で体験した人はいなかった。

[1] 隣の外国人に伝えた:They are nice guys from which water is dripping.
What does it mean?で終わってしまった。
12.5.27

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ICHAC-10バンケット

 パンフレット通り、晩に開催された。はっぴを着て幸せに、酒樽の鏡割り。しばし歓談ののち、太鼓のアトラクション。伝統的な芸で、太鼓同士の対抗戦もあった。その後、太鼓を叩く希望者を募った。指定のリズムは紹介されたものの、国際色豊かな十人十色で、盛り上がる。響きが腹部を刺激して、食・お酒が進んだ。ノーベル化学賞と大石内蔵助をない交ぜにした寸劇。少々難しかったけど殺陣の迫力は抜群だった。最終日、最後も会場は聴衆で満ちていた。ポスター賞9名受賞、トップ三名はgreen bookもプレゼントされた。洩れた学生さんは10番目だったかと思って、次の機会を狙って欲しい。委員長のコメントでICHAC-10は盛会のうちに幕を閉じた。しかもその後をフランスの先生に引継いでいただけた。ノルマンディー上陸作戦のあった海岸近くのカーンで2014年開催予定のICHAC-11(イレブン)、気持ちを入れる分、期待も高まる。その西にある世界遺産モン・サンミシェルを見しぇることも計画しているらしい。
12.5.26

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食品や化粧品に含まれる

 ナノマテリアル、その監視強化を待ってりある消費者団体、2006年にFDAに請願書を提出していた。FDAはそのお願いを退ける代わりに、それぞれの企業が自主的に、安全であることを宣言する様にというガイドラインを出した[1]。しかも製品にナノマテリアルを利用する際にはFDAに相談することも推奨している。一般的な安全性の評価として、粒子の大きさ、表面積、会合状態や形状が、吸収、代謝、排泄にどのように影響するかを決定できるようにすること、化粧品の場合には、皮膚からだけではなくて、吸入や口から入り込むことも考慮することを勧めている。今回のガイドラインができるまでは、各企業がナノマテリアルを使用するときに何をすればよいか不確かな部分が多すぎた、ナノマテリアルが特殊であることをFDAが認めたことなど一定の評価をしている人もいる一方で、消費者団体は失望している。また今回のガイドラインではそれを使っていることを明記する必要もないので、EUなどへ輸出する際の要件と一致していないとも指摘されている。ナノマテリアル、よりリアルな表示があればいい。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 April 30, p. 9.
12.5.25

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ゴミが通りに

 落ちていない。そのとおりかどうかは知らない。でもカナダからの参加者はそう言う。新幹線の車内販売をして働く人、バスの運転手、様々な職業の人がお互い尊重しあっている(respect)と感じたらしい。「こんな国は他にはない。それをもっと誇りにしてほしい」というコメント。別の国では青信号の時でも道を横断するのは未知の世界、でもこの国は見違えるほどに素晴らしい。ほとんど安全である。道に迷ってタクシーに乗って2分でホテルに着いてしまった。他の国では10分ほどかけて迂回路を探す運転手もいるので注意が必要とのこと。ホテルの清潔感、正確な時刻で運行する鉄道システム、素晴らしい。一方でガイドブックは、日本人の自殺者の割合が他の国より多いことを伝えていたらしい[1]。「こりゃあいかん」と思う。それでもここはとりあえず返答した:「就きたい仕事を探せ」という教育・メッセージが一因ではないかと、でも言葉足らずだった。代わって彼の大学の話を聞いた:無機化学のポストに、およそ150名の応募者、Scienceに論文掲載しかもノーベル化学賞を受賞した先生の推薦つきの候補者も複数いたけど一人しか採用できない。当初の話とは少々ちょっと違う。でもここで注視すべきは、採用されなかった149名のその後である。

[1]他にも、JRのチケット、銀行のATMは日本語のみ、なんとなくカードを挿入して焦った。コンビニのそれはEnglishのボタンがあったことなど、軽妙に話す。「どんなときで気をつけろ、挿入は」と伝えた。「そういうと思った」と言うリアクションはなかった。
12.5.23

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古文書が変色すると

 困るでしょ。今回その機構が一部明らかにされた。昔の紙は重量分率で90%以上がセルロースを含んでおり、それがポリサッカリド鎖の結晶束を構成している。それぞれの束は数百から数千のグルコース分子で出来ていることは知られていた。今回、紙の脱色と関連する色素官能基を同定するために、15世紀のフランスとイタリアの紙と、現在の参照サンプル、それらは様々な湿度で老化させたものであるが、と比較した。研究者らは、紫外可視反射スペクトルを測定し、量子力場計算により、その結果を解析した。それによれば、紙が黄ばんでくる基盤は、グルコースの酸化によりアルデヒド、ケトン、共役ジケトンに隣接した位置にカルボニルユニットが生成するためであることがわかった。またこの分析方法は、非破壊診断法として、古美術や古文書を保存するための科学的な方法の妥当性を実証する場合にも利用可能である。なおこれらの成果はローマ大学から発信された。ローマんチックです。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 April 23, p. 33.
DOI: 10.1103/ PhysRevLett.108.158301
12.5.23

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愛着、てんこ盛りの

 ICHAC-10[1]が始まった。1987年、大饗茂先生らが神戸で開催されてから25年。第10回の記念大会である。平等院や宇治上神社もある宇治市、メイヤー[2]が、えいやあと気合いを入れて紹介された。そこに位置する化学研究所が舞台。前身は1915年に遡るという。本来は2011年開催だったのを、一年延期の英断をなされた。第9回はスペイン、オビエド、怯えるどと心配しながら参加したけど、素晴らしい街、身を以て体感できた川の中、そのコンファレンスも忘れんす。と主催者Barluenga先生にお話した。オビエド−マドリード-パリ-関西空港を経て、奥様と参加されている。前回の緊張した面持ちとは違った柔和な表情。今回も同様に、主催の先生のご苦労は相当だろうけど、スタッフや研究所の方々との連携で、会はスムーズである。1987年には全くなかった分子、反応、特性も溢れ、内容もてんこ盛り。これで天候もよければよし。ただし、よすぎると人がいないかもしれない。そのときは点呼すべし。

[1]通称「アイチャック-10」
[2] 「mayor」は「市長」知っちょうるかな?
12.5.22

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小さな潜水艦を

 組み立て、オイルや他の有機化合物で汚染された水の浄化に利用できるかもしれない[1]。名づけてマイクロサブマリン、チューブ状のマイクロスケールのエンジンが過酸化水素燃料を酸素の気泡に換えてを吐き出すことで、すごい勢いでサブマリンは推進する。この小さなサブマリンのチューブは白金をコアとし、これが酸素バブルを発生させる役割を果たす。さらにコアはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、さらに金の層で覆われ、その上、金表面をドデカチオールの単分子層でコートされている。ちなみにPEDOTは導電性高分子の一つで、伝導状態では、光透過性、高い安定性、中程度のバンドギャップに低いレドックスポテンシャルを示す。ついでこのサブマリンをオイルで汚れた水の中に入れたところ、オイルが「お〜要るよ」が如く、どんどん吸い上げられていった。このような高いオイル吸着能から、汚染した水サンプルの浄化に威力を発揮することが大いに見込まれている。しかもサブマリンは「さぼりまん」ねんとは言わないと思う。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 April 23, p. 32.
DOI: 10.1021/ nn301175b
12.5.21

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30年もの間

 収監されていたネルソン・マンデラ(マディ)が大統領に選出された[1]。それまで白人優遇政策だったため、今度は黒人優遇かという憶測の中、マディは「アパルトヘイトをhateするだけでは何も変わらない。これまでを赦すことによって新しい南アフリカをつらなくてはいけない」と諭す。自らに従うシークレット・サービス(S.P.)も人員増強の希望があって白人・黒人の混成チームになる。任務第一、でもぎこちないS.P.、映画の副旋律になっている。マディは1995年のワールドカップラグビーが本国開催なため、ここでも国民の意識を変えようとした。それまで弱小で同じ国でも黒人の応援がなかった南アフリカチーム「スプリングボグス」(ボカ)。コーチは交代したけどキャプテンは残留。大統領に招待され話を聞いたキャプテン合点承知とはならないが、彼にとってマディはそれまでに会ったことがないスケールの人だった。過酷な練習に加えて、キャンペンツアー、消極的なチームメンバーも現地ではそれになじんだ。いざワールドカップが始まった。決勝トーナメントに駒を進めた。決勝戦のチケット、キャプテンは、両親と妻それにその家で働く黒人メイドの分も手渡した。試合直前、ジェット機がスタジアムに異常接近する。緊張するS.P.。機体の下のメッセージ「幸運を祈る、ボカ」ぽか~んと見るS.P.少し安堵。その試合、世界最強と言われているオールブラックスが対戦相手、延長戦の末・・・だった。

[1]クリント・イーストウッド監督「インビクタス/負けざる者たち」(2009)、最後には実際の選手やマンデラ大統領の映像も流れた。
ちなみにラグビーワールドカップのテーマ曲World in Union(原曲:ホルスト「木星」)もすばらしい。
12.5.20

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チョーク

 日本語では白墨なので基本は白だけど、カラーチョークもある。ただこの日、赤がどこにあるか、わカラ〜なかった。青もなくて、気持ちブルーになる。どの教室にもない。係に行って聞いたら「見にくいという指摘があったので引き上げた」とのこと。授業前だったので、ともかくお借りした。自分の講義では、結合開裂の巻矢印を赤で示しているので、赤がないとあかん。結合形成は黄色で、幸いこれまでどちらも「見づらいです」ということを授業アンケートなんかでも見たことがない。同じ日そのアンケートも実施した。「講義中のだじゃれはやめてほしい」という身に覚えのない指摘を受けた。本人は、いたってまじめに講義を進行させている。たとえば「シナモンという品物、しらないもんという人はいますか」と交差アルドール反応で桂皮アルデヒドを合成した後に付け加えたり「分子内環化、しないわけではなく、ここでは進む」と言った具合にである。指摘を受け流すことも、時には素敵なはずである。
12.5.19

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赤血球は

 免疫系とは本来相性がよく、何日も体内を循環している。していない人は血の巡りが悪い。そこでこの性質を利用して薬を腫瘍にたどり着かせる細胞を利用する研究が行われている[1]。すでに細胞に薬を搭載する方法は発見されていたが、薬分子を思い通りに放出させる方法の開発が待たれていた。それに対して金ナノ粒子とレーザーの組合せが開発された。すなわち赤外線を照射することで金ナノ粒子が加熱され、この熱によって細胞膜内の脂質あるいはタンパク質分子の構造が変化し非常に短い寿命の穴があく。その瞬間、赤血球に搭載した薬の積み荷が中に入ることが期待された。たとえば赤あるいは緑の蛍光染料を含む赤血球の懸濁液と金ナノ粒子を混ぜて、それを注入した細胞の蛍光スペクトル観測を行いながら、それぞれの細胞に赤外線を照射した。その結果、数秒以内に細胞からの光が観測されなくなった。このことは染料分子が、積極的に赤血球細胞からはずれて他へ移動したことを示している。このシステムが実際に利用されると、赤外線も、以外と生き甲斐を感じるはずである。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 April 23, p. 32.
DOI: 10.1021/ nn3006619
12.5.18

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植物ホルモンオーキシンは、

 植物を大きせんと作用する。開花、果実の熟成、根の生長なども制御している。ただしこれまで、これが植物中のどの細胞にどの程度含まれているかわからなかった。今回、小胞体の中で、可逆的に隔離することで植物細胞のオーキシンの量と位置を微調整できる新種のタンパク質が発見された[1]。重要な植物ホルモンの生物学を明らかにすると同時に、新しく発見された輸送体を農作物の成長制御に利用することもできる。研究者らは生物情報学の手法によって、オーキシンやその誘導体をバインドすることができるタンパク質を探索し、七つの遺伝子のPILS族と名づけた部位を発見した。PILSタンパクが発現する場所を確認し、植物細胞内の内質の網状組織にあることもわかった。PILS輸送タンパクはオーキシンを壊すことなく、その量によって、七つのトランスポーターは、オーキシンが関わる違った植物成長をコントロールする。こともわかった。
読んで眠たくなってしまった人、起っきしんといかんよ。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 April 23, p. 8.
DOI: 10.1038/nature11001
ちなみにオーキシンはインドール-3-酢酸である。
12.5.17

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抗生物質に

 ああせい、こうせいと言っても決まった反応に従う。様々な種類が知られているが、細胞を死滅させる機構は標的が違っても同様である。ヒドロキシルラジカルの発生により、酸化的な損傷を与える。がその詳細は報告されていなかった。そこで特別なタイプの酸化が、殺菌性の抗生物質による細胞死滅の主な要因であることが明らかにされた[1]。すなわちヒドロキシラジカルがDNA塩基のグアニンを酸化し、7,8-ジヒドロ-8-オキソグアニンあるいは8-オキソグアニンを導く。ここで細胞はDNAの塩基を切り取るか置換えることで8-オキソグアニンを処理しようとするが、このプロセスは、その量の多さで凌駕されてしまう。結果として修復機構がDNAのらせん構造を切断してしまい、切断が繰り返されことで細胞死滅に至る。さらに研究者らは、細胞の酸化防御機構に関わる酵素の発現を制御したところ、発現増加で抗生物質への反応は鈍くなり、減少すると敏感になることもわかった。今回の発見は、細菌感染症に対する現在の医薬品の有用性を、グアニン酸化機構を標的とすることで、拡大できることも示唆している。
グアニンの具合が大切なようである。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 April 23, p. 6.
DOI: 10.1126/science.1219192
12.5.16

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ナイロンにもな

 いろんな種類がある」ことに異論はない。リボンの騎士にも登場する。そのうち自動車の燃料やブレーキラインに使われている長鎖ポリアミドであるナイロン12の供給不足への対応策に関する会議が持たれた。3月31日ドイツ、マールに在るEvonicの工業プラントで火災と爆発が起こり従業員二名が命を落とされた。Evonicはナイロン12の鍵原料であるシクロドデカトリエン(CDT)を製造していたが、現在は火災の原因を調査中で、少なくとも3ヶ月間は修理も行われないという。ナイロン12およびその原料であるCDTも自ら生産している唯一のメーカーであるEvonicは、ライバル会社のArkemaにもCDTを供給していたが4月6日に供給停止を通達している。これら二つが世界のほぼ半分のナイロン12を供給していたため、今後どう影響するかの予測も難しいらしい。ArkemaはCDTの別の仕入れ先を模索したり、供給量の削減を申し入れるなどで対応しているが、この危機が6から9ヶ月続く可能性もある。会議では、中国の会社が製造しているナイロン10,10や10,12などを代替品として利用することも検討し、すでに自動車への使用許可を得る準備が進められている。ナイロンだけに、ない(ろ)んと困る。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 April 23, p. 6.
12.5.15

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出来合いのPd触媒を

 溺愛できるかどうかはわからない。でもこれが末端アルキンへのセレノール、チオールの付加を促進する[1]。純度の高いカルノゲノールのアルキンへの付加反応は従来から知られている反応である。それに対してチオールやセレノールの混合物と酢酸パラジウムを混ぜて新しい型の触媒を発生させる。この触媒は自己組織化してナノ粒子としてチオールやセレノール分子が分散したPd原子のネットワークを形成する。ここで組み立てられた錯体が、チオール、セレノールの混合物のアルキン付加を触媒し、始めは選択的にアルキンにセレノールが乗〜る。すなわちこの系を利用すれば混合物を単一の原料として利用しうる。たとえば現在、石油精製のため硫黄化合物を取り出すいわゆる水素化脱硫プロセスは、硫黄化合物を硫化水素に還元し粉末硫黄としているが、精製所の外に廃棄物として積み上げられている。このプロセスの代替としても利用できる反応である。出来合いでも、気合いが入る。

[1] Chemicals & Engineering News, 2012 April 16, p. 40.
題名はGrab-and-Go palladium Catalyst だった。
DOI: 10.1021/ja210596w
12.5.14

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海岸沿いの崖の上に

 住むソウスケ君とお母さんリサ、父は船員で家にいないことが多い[1]。崖を降りて海辺で遊ぼうとしていたソウスケ。小瓶に頭が入った金魚を近所にみつけた。どうするっけと思ったソウスケ、瓶を割った。小さな傷を負うも金魚の一なめで完治する。海から怪しい生物が追いかけてくる。慌てて家に戻る。金魚の名前はポニョ。父フジモト、今は地元の海に暮らす。一旦はポニョを連れ戻し「いつまでも幼くて無垢であればいいものを」とは言うものの、彼女の魔法の力が強くなってきた。嵐の中、自力でソウスケのもとに戻った。父は母に相談。ポニョを人間にしようということになった。ソウスケとポニョも海の底。そこでは、デイケアセンターに暮らすおばあさまたちも見守る。ポニョは人間になれば魔法の力を失う。しかも愛する人がいなければ泡になってしまう。母はソウスケに「どんなときでもポニョをささえるか」とあたかも神父様のように問いかけた。両親の住む海を離れて、ポニョは少女になった。

[1]宮崎駿監督「崖の上のポニョ」(2008).
12.5.13

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タバコフリーキャンパスになった

 という公式発表[1]。吸わないふり〜をしているだけではいけない。4月9日テキサス大学では、大学の建物内、テキサス州にある大学保有の駐車場、歩道、散歩道、立体駐車場を含むすべてのエリアでの、タバコ製品の使用が禁止された。これにより、大学が推進する禁煙政策を促進する。この決定は今年二月、テキサスガン予防・研究所(CPRIT)がタバコフリー政策へ今後、研究費を確保することに呼応している。大学はCPRITから3千万ドルの助成金を受け取る。さらに将来は8千万ドルを申請する予定である。ただし2013年2月28日まではキャンパス内に、一時的にタバコを使う場所を設けている。大学では学生への教育、さらには喫煙をやめたい人への支援も行う。米国では現在、タバコは死や重い疾病にかかる一番の要因になっている。この政策は学生やスタッフのために健康的で持続可能な環境を整備するための一助となるものである。なおタバコは禁止だけど、タバスコは使ってもよい。TexMex[2]には必需品である。

[1] http://www.utexas.edu/news/2012/04/11/tobacco_free_campus/
[2]村井君のブログ2011.9.17
12.5.12

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フッ素化グラフェン

 変ではない。研究者らはグラフェンの導電性電子ネットワークを遮断するため、フッ素化法を開発した[1]。この方法はグラフェンを基盤とする電子素子の構築に有用である可能性を秘めている。すなわちフッ素化ポリマーCytop(サイトップ)[2]をグラフェンの上に層状にならべた。ついで光学集束レーザーを使って、それを照射した。これによってCytopからフッ素ラジカルをくだサイト、グラフェンが求める。フッ素化はレーザーがあてられたところでのみ進行する。フッ素化された部位は、非常に高い電気抵抗を示すが、材料の基本的な炭素ネットワークは残り、フットワークもよい。C-F結合の形成はレーザーのパワーアップとフッ素化高分子の厚さを増加させることで改善される。またフッ素化は電気的な遮蔽を一段階でもたらすことができるため、フォトリソグラフィー、エッチング、リフトオフ技術などの複雑なパターン化技術よりも安価に利用できるかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 April 16, p. 41.
DOI: 10.1021/nl300346j
[2]サイトップでweb検索すれば、様々なトップサイトに出会う。
12.5.11

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アンサーソングならぬ

 アンサーブログ、それじゃあ「あかんさ〜」というご指摘があるかもしれないけど、ともかく話題はビスマス[1]。まずはGabbi先生らの成果。かばいたくなるような華奢な先生ではないけどナイスガイ。以前はホウ素(B)が対象だった。愛(i)に目覚めてBiになったのかもしれない。そのビスマス化合物のひとつがPepto-Bismol(Procter and Gamble社が販売する医薬品)に有効成分として含まれている。サリチル酸とBi(OH)3から水を二分子脱離させると出来上がる。下痢止め薬である。5年ほど前にアラバマからメキシコで開催される学会に出席する機会があった。その折りアラバマの先生が「あらまあ、それならPepto-Bismolを持っていけ」とdrug storeまで連れて行ってくれた。メキシコでは[2]、氷や生野菜のサラダを食べてはだめ、歯磨きもミネラルウオーターを使えと言う。それでも下痢が始まったらこれを飲む。すると消化器系のすべての菌が殺される。そこでヨーグルトを食べよ。たとえ店員に「よーくると」思われても購入すること。

[1] http://www.chem-station.com/blog/2012/05/post-391.html
[2] 村上春樹著「辺境・近境」(新潮文庫)の「メキシコ大旅行」を彷彿させる。
12.5.10

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エチレン、プロピレンを含む

 C1~C3の工業用原料は世界中で使われている。これらの製造は長鎖炭化水素の接触改質(cracking)による。そのプロセス温度はおよそ500 °Cである。ただし混合物として得られるので、分離には0 °C以下の低温・高圧での蒸留法が採用されている。そのためエネルギー損失も大きく、高コストである。それに対して鉄とベンゼンジカルボン酸から組み立てられた金属有機構造体(Fe-MOF-74)がこれらの混合ガスの分離に適用できることが報告された[1]。しかもMOFは情に厚く、常圧で現状プロセスよりも高い温度で効果を発揮する。たとえばプロパンとプロピレンの等モル混合物を45 °CでMOFを充填したカラムに通した。ガスクロによる分析結果は、流出するガスはプロパンであり、飽和するまでプロピレンは100%カラムに絡んでいた。エタンとエチレンの組合せも同様で99%以上の純度で得られた。しかも従来の接触改質法では、エチレンにはアセチレンが1%不純物として含まれていたが、これも10 ppmまで低減することができた。現在のエチレン精製は、アセチレン吸着させるためにDMFを使っているが新しい方法はこれも不要になり、エネルギー節約にも貢献しうる。どこかで転けんようにしたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 April 16, p. 46.
DOI: 10.1126/ science.1217544
12.5.9

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化学反応は通常

 ガラス製の器具を使う。時には特別な装置を組み立ててもらうために、その道の専門家に高いお金を支払ってお願いすることもある。その腕一本で世間を渡るのは、旅ガラスである。一方近年、三次元(3-D)プリンターが登場してきた。そこで自分たちで開発したそれを使ったプラスチック反応容器の製造と利用が報告された[1]。まずコンピューター支援設計(CAD)によって反応容器の形状を立案する、ついでその青写真を3-Dプリンターに読み込ませる。ついで容器の製造が始まる。プリントヘッドのノズルから迅速硬化性のアセトキシシリコンが押し出されて作業が進む。数分から数時間の間で、様々な部位も組込むこともできる。ここで出来上がった反応容器を使って新しい複素環化合物および無機のナノクラスター分子が合成された。またプリント中に反応容器にPd/Cを塗り付けるとその中でスチレンの水素化も行うことができる。研究者らは「この技術を使うことで、反応と反応容器を数限りなく設定できる」としている。実際、反応容器のサイズによって反応の選択性が異なる例も示されている。L. Cronin先生らの成果、苦労人だけあってすばらしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 April 16, p. 9.
DOI: 10.1038/nchem.1313
12.5.8

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政府の基金で支援される

 研究成果は、世界共通の財産でなくてはいけない。UK政府の勇気ある方針転換かもしれない。獲得できた研究費には論文掲載料も含まれている。ただし、たとえばNature, Science, JACS, ACIE, Chem. Commun, Chem. Lett.のような従来型のジャーナルへの投稿は許されていない。これらの雑誌は世界中のだれもが閲覧できるわけではなくて、個人で購読、あるいは大学などの組織が定期購読をしている場合に限られている。それに対して投稿先はオープンアクセスジャーナルである。UKだけではなく、イタリア、オーストリア政府もこれに同調し、さらにドイツ、マックス・プランク研究所も同様のポリシーを示しているらしい[1]。ただし「投稿者自身が経費を支払うシステムだと、論文内容はさておき掲載しようになってしまうのではないか」という心配に対して、「これまでの論文誌とは異なる、新しいスタイルにチャレンジしている」とのコメント[2]。確かで高いレベルのpeer review(査読)を維持し、一旦掲載が認められたら、政府や財団の支援する経費で世界共通の財産として公開する。
このオープンな話に興奮した。

[1] このアイデアに呼応してか、WileyはChemistryOpenを創刊した。もちろんオープンアクセスなので、あくせくしなくても誰でも閲覧できる。ちなみに掲載料は€2500である。
[2] このコメントはThomasので、おます。追加は(DOI: 10.1002/open.201100009)もご覧下さい。
12.5.7

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電話して欲しいという表示が

 画面下に出る。かめへんと放っておいてもいいけど。デジタルになって以降、一月に一度くらいは電話をしていた。今回つながった。「十数年自動振替で滞納したことはないのに、痛いのう、こちらが何かしないといかんとは」と思いながらである。始めに「電話の内容を録音しているというメッセージ」次にオペレーターから名前、住所、電話番号に加えて、青のボタンを押して出た番号を教えてほしいとのこと。え~そんな個人情報をしゃべるの?と思った。それでも伝えた。確認を求められた。「あんた録音しとるんじゃろが!」と言ったけどテープを起こすのは時間がかかるのでと、再度確認を求められた。聞けば4千万件ほどの契約があると言う。一日、電話での確認が5000件ほど、他にネット、ファックスでも対応する顧客もいるが、多く見積もっても日に10000件ほどで、十数年プロジェクトなのかな? なんだか、いたちごっこみたいである。その生い立ちも聞いてみたい。
12.5.6

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My Neighbor Totoro

 サツキもメイも完璧な英語を話す[1]。たとえばTotoroの’ro’の発音。

メイ(Mai)が初めてトトロに出会った。
メイ:Tell me who you are. Are you a big dust bunny?
トトロ:No, I'm ••• To To Ro!
メイ:Totoro, That's it. I bet your name is Totoro, isn't it?
でメイはトトロに会ったことを伝えようとするも信じてもらえない。
メイ:You don’t believe me.
父:That is where you are wrong. I believe you are being completely truthful about this. But, I also believe that you met the king of the forest. Meeting him is a sign of good luck. There is no guarantee you will see him all the time.
いずこの国でも父はこうでありたい。

 サツキとトトロとの出会い:バス停の前、メイを背中におんぶ。サツキ、一瞬、殺気立つ。でも
サツキ: I bet you are Totoro. Oh, we have another umbrella, If you want. Go ahead. Take it. I am going to drop Mai. You put it over your head like that.
 メイが行方不明、一大事。サツキはトトロに捜索をお願いした。
サツキ:I beg you. Please protect Mai. She will be lost and probably scared. Please believe me. I will be good for the rest of my life, if I can just see her again [2].
 
 ちなみに皆さんも、とろとろせずに、トトロで英語リスニングの練習をしてみませんか。何かをつかみ取っとやろと意気込んでもよいしね。

[1] 宮崎駿監督、2006年にはディズニー版が登場した。
[2] 残りの人生、いい子でいます、もしメイにもう一度会えたら。(オリジナル版ではないセリフであある)
12.5.5

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新学期の始まる頃

 村へ引っ越してきたサツキとメイにお父さん[1]。しばらく誰も住んでいなかった様子の家。お母さんの入院する病院の近く、とはいえ15キロほど離れている。サツキは小学校、メイは時間たっぷり、その田舎雰囲気(お稲荷さん、道祖神、お地蔵さんに六地蔵)の辺りで、ちいさな動物に会って追いかけた。床下、でかした。見つけたと思ったけど脇から逃げた。どんぐりを追いかけて、おちたところでトトロがいた。もどって、サツキ姉とお父さんを案内しようとするも、辿った道はない。「うそついてないもん」といじけるメイ。父:「きっと森の主にあったんだ。運がよくないと会えないんだよ」
 初夏の候、母ちゃんが週末に引越した家にくるんだと話すサツキ、電報が届いた。不吉な予感。それを聞いた妹メイはトウロモコシ(?)を持って病院に一途に向かった。行方知れずのメイを皆が捜す。三人が引越してきた当初はあかんたれだった、カンタ少年。頼もしい「自分は向こうを探すので村へ帰れ」とサツキに言う。それでも手がかりすらない。そこでトトロにお願いした。ネコバスが吹っ飛ばす。で「おしまい」トナリ(のトトロ)ました。

[1]宮崎駿監督「となりのトトロ(1988).
12.5.4

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13歳で家を出るしきたり通り

 快晴の日、威勢よく、キキは黒猫ジジを連れて飛び立った[1]。幸い海が見える街で空飛ぶ宅配便を始めることができた。しばらく働いた頃、魔法の効き目が落ちてきた。キキの危機的状況である。そんな中、縁あって知り合った、ちょっとだけ年上の女絵描きの家でモデルになりながら、魔法の力が落ちてきたことを話した。
その後:
絵描き「魔法も絵も似てるんだよなあ。私もよく描けなくなるよ」
キキ「ほんと、そういうとき、どうするの・・・昔は何も考えなくても飛べたの。でも今はどうやって飛べたのかもわからなくなっちゃった」(たぶん成長することの本質である)
絵描き「そういう時は、じたばたするしかないよ。描いて描いて描きまくる」
キキ「でもやっぱり飛べなかったら」
絵描き「描くのをやめる。散歩したり、景色を見たり、そのうち描きたくなるんだよ。」
キキ「なるかしら」
・・・・・・・・・・・・・
絵描き「・・・それがねえ。ある日突然、描けなくなっちゃった。描いても描いても気に入らないの。それまでの絵が誰かのまねだとわかったんだよ。どこかで見たことがあるってね。自分の絵を描かなきゃって」
キキ「苦しかった」
絵描き「それは今も同じ」

ここで「自分の絵」の絵を「論文」「申請書」に置き換えてしまった。

[1] 宮崎 駿監督「魔女の宅急便」(1989).

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チキンは

 キッチンできちんと調理するだけではない。その羽を高温で処理すると羽毛粉となり、肥料や動物の餌になる[1]。さらに羽はたくさんの種類の医薬品化合物も保有していた。液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析によって、羽毛粉からできた製品の検査が行われた。その結果、それらには抗ヒスタミン剤、鎮痛剤であるアセトアミノフェン、プロザックとして知られている抗鬱剤のひとつフルオキセチンを含む24の医薬品が見つかった。またそれぞれのサンプルには抗生物質も含まれ、羽毛粉は、環境への抗菌薬耐性の広がりを手助けする可能性も記されている。チキンに与えた医薬品に加えてカフェインや避妊ホルモンであるノルゲスチメートのような人間が使っているものも検出された。そこで羽を粉にする際にこれらの化合物に何が起ったのかをモデル化するために研究者らは、サンプルを高温でオートクレーブに詰め込む実験を行った。その結果、たいていの化合物は部分的に分解したけれども、少なくとも20%のそれらは残っていることもわかった。チキンの羽の用途拡大、いわば羽をのばす日が来れば「コレケッコー(結構)」な話である。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 April 9, p. 35
DOI: 10.1021/es203970e.
12.5.2

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シラン1,1-ジオール

 注目度、急上昇中である[1]。その水酸基が持つプロトンの酸性度はアルコールに比較して高く、水素結合を形成する能力はウレア、チオウレア、グアニジニウム有機触媒に匹敵し、これらの触媒の職場を奪取しうると考えられている。とりわけ最近、水素結合が媒介する触媒はホットな話題で放っとくことはない。ここでケイ素上にはナフチル基などの芳香族置換基が組込まれている。この置換基の立体的に適度な大きさによって、シランジオール自身の自己縮合の抑制と水酸基が酸触媒として作用できる能力のバランスが保たれている。たとえばニトロアルケンを活性化する際にはジオールとそれが1:1で水素結合することも可能であるが、X線構造はそれらが二量体構造であることを示し、このことからニトロアルケンの活性化は二量体構造を一部保ちながら、それぞれのジオール部位のプロトン一つずつがニトロアルケン二分子をプロトン化した状態が提唱されている。これらの成果は独立の二つのグループ、すなわちカリフォルニア大学DavisのA. K. Franzらとオハイオ州立大学のA. E. Mattsonらによるものである。ちなみにどちらも女性assistant professorsであり、彼女たちの勇気ある努力の賜物であるとも評されている。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 April 9, p. 40.
村井君のブログ2011.10.25
DOI: 10.1002/ chem.201101492;DOI: 10.1021/ol202971m;DOI: 10.1021/ol2021115
12.5.1

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