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2012年9月

屋敷に潜む

 怪しき忍者の数は何人じゃ?」「わかりません。」これも伊賀上野にある忍者屋敷を、怪しきものにする極意である。どんでん返しなど、隠れ扉や見張りなどのしかけがある。でもそこは「見張り」と「逃げる」ための工夫が、主だった。たぶん基本は「静かに逃げる」である。その後に拝見した忍者のショー、忍者の基本任務は「情報収集」。旅芸人なんかに扮して、情報を集める。それでもやばくなった時に、忍術を使ったらしい。手裏剣などは危機的状況を一撃で脱出するためのほとんど最後に使う武器だった。ドラマやアニメと違って、実際には手裏剣は、一、二枚枚しか持っていなかった。先にはトリカブトの毒がかぶっとった。なのでかすれても威力はあった。ただし一枚200 g程度。「阿修羅」ショーでは、実物手裏剣を射る場も見せていただいた。的になる板に突き刺さった時の響きの凄さ、何枚投げてもほとんど同じところを仕留めている。しかも三枚投げの結果、アニメの如く、右から左下30°の方向に等間隔で並んでた。「普通はそうは、ならんで」と衝撃を受けた。
12.9.30

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自動車の鍵がない

 見限られたか。インテリジェントキーである。「インテリは何処に」と言ってりしても返事はない。ジェントルではない、むしろクールである。でも鍵は来ない。自宅に駐車していたにもかかわらず、自動車は開かずの倉庫状態である。その日に宅急便で送りたかった荷物を出さなくてはいけない。ディーラーに電話するも「本日の営業は終了しました。○曜日は定休日です」と、でえりゃあ〜寂しいお返事である。自動車会社のレスキューコールにも電話した。「自分のところでは対応しかねる。鍵屋さんを紹介はできる」とのこと。何年かぶりにJAFのお世話になることにした。扉の鍵を開ける作業、特殊な技だけど数分で終わってしまうところがまた凄い。ただし自動車のエンジンをかけることはできない。でも宅急便を送らなくてはいけないと悩む。作業を終えたJAFの方にお願いした。「クロネコヤマト経由で大学までお送りいただけないでしょうか」ご快諾いただけた。こちらはジェントルな方だった。
12.9.29

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加賀温泉駅を降りて

 輝かしいお宿の送迎バスに乗った。湯を満喫できるとあって露天風呂付きの広々とした大浴場も三カ所。男女が時間によって入れ替わる。「この深さと広さ、ひと泳ぎできそう」でも競うことはしなかった。浮浪者の如く不老長寿を願って湯槽を移動。中には混浴もある。ただし膝より下のみである、あしからず。レディ加賀[1]ならぬ熟練の仲居さんの説明に豪華なお料理。シーズンでなくてもカニもあり、冷凍である。いかにも。ランプじゃなくて電灯の下、トランプで盛り上がる横、ニューフェイスも参戦して卓を囲んだ。苦心してスマートな上がり手に仕上げていこうとする打ち様は将来有望である。帰り際、土産物売り場にしじみがあった。「中にはオルニチンがおるにちん」の説明に手がでた。帰ってしみじみと味わいたい。と横では加賀梨ゼリー販売。最後の仕入れだという。これ以降はナッシング。しかもこの地方で採れる梨を使っている。お仕事を台無しにしてはいけないと、こちらも買わせていただいた。
 研究室旅行、今年も幹事学生さんたちに大変お世話になりました。

[1] http://ladykaga.me/
[2] 2,5-ジアミノペンタン酸
12.9.28

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ゼプトモル

 とは10のマイナス21剰モルである。それ以下の2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)を検出できるセンサーが開発された[1]。まさに極めて繊細なセンサーで、Pb, Ni, Cdや他の金属イオンが存在する場合でも同様に低濃度のHgを検出できる。しかもこの方法は様々な有害化合物の迅速な検出ツールを導き得る。インドマドラスの研究者らは、迷わず、15原子の銀クラスターをウシ血清アルブミンにはめ込み、シリカでコーティングしたAu微細構造のクラスターに担持した。この微細構造は花のような形状で端から端までがおよそ4マイクロメートルである。粒子に照射すると顕微鏡によって強い赤色発光が見られるが、低濃度のTNT存在下でそれがクエンチされる一方で他のタイプの有機爆発物には反応しない。さらに構造を緑色蛍光染料で修飾した場合には、TNTが赤色を消失させ緑色が浮き出る。またAgやAuの微細構造が表面のラマン散乱を刺激し、これがTNT検出をゼプトモルで検出する相補的方法を提供している。ゼプトモル検出法に、光もトモル研究成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2012. September 3, p. 59.
DOI:10.1002/anie.201203810
12.9.27

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ノルボルナジエン

 の橋頭位、二重結合から「ちょっと遠い」かもしれない。そのCH2基がRP基に置換された化合物が合成された[1]。ただし二重結合部位にはベンゼン環を組込んだジベンゾ型である。合成はかさ高いアルキルを有するRPCl2とアントラセンをMgで還元した化合物を反応させることで安定な化合物として導かれた。これまでこの化合物の安定性は低く、リン原子上の孤立電子対を金属に配位させるか酸素でキャップする必要があると考えられてきたこととは対照的である。ここで得られた化合物は、カルベンのリン類縁体であるホスフィニデンとして知られている化合物を導く前駆体などとして利用可能である。また「ホスフィニデンの化学を習得できればリン置換基を不飽和高分子材料や不飽和医薬品に組込むことができる」とリン化学の専門家であるF. Mathey先生は指摘している。ちなみにMathey先生は柔道の審判ではない。フランスで活躍され2007年頃はU.C. Riverside、「待ってい〜」という声を振り切ってか、65歳を過ぎてシンガポールへ移られた。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 September 3, p. 58.
DOI: 10.1021/ja306902j
12.9.26

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地球にあるメタンのうち

 4%が海で生み出されるという。ただそのメタンの生成過程を見たん人はいなかった。その中、研究者らはこの謎解きを行った[1]。すなわち海洋の微生物(N.maritimus)がメチルホスホン酸を導く生合成機構を働かすことができる。さらにその酸を別の生き物がメタンに代謝する。2008年、別の研究者らは酸素を好む海洋微生物がメチルホスホン酸を取り入れると、それはメタンとリン酸に分解される可能性を報告したものの、メチルホスホン酸の海洋での存在の証拠がなかった。それに対して今回の力作(tour de force)はその存在を初めて実証している。この変換反応で最も重要な段階は、2-ヒドロキシエチルホスホン酸が、鉄を含む酵素(MPhS)によってメチルホスホン酸に変換される過程である。酵素は基質のC-2を酸化し炭素上の二つの水素を取り除いてしまうという前例のないプロセスを経る。さらに研究者らは、古細菌がなぜ酸を生合成し、それを体表面に広げるだけで、その後の分解を他の微生物のために、しかも貴重なリン原子源として残しておくのかも明らかにしようとしている。メタンへのルートとは、古細菌は交際禁止らしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 September 3, p. 11.
DOI: 10.1126/science.1219875
DOI: 10.1038/ngeo234
12.9.25

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窒素−硫黄ポリマーが

 デビューした[1]。スルフェンアミド(-R2NSR-)、ジアミノスルフィド(-R2NSNR2-)さらにジアミノジスルフィド(-R2NSSNR2)の三種類である。これらは水溶液中でバラバラになるため、生分解性輸送材料として理想的である。三種類の窒素−硫黄官能基は、低分子ではある程度の例は見られていたものの、高分子のユニットとしてはなかった。研究者らは、二級アミンと硫黄反応剤との反応から合成している。たとえばポリジアミノスルフィドは、二級アミンとビス(N-ジアルキル)スルフィドとの反応による。さらに得られたポリマーを使った微小粒子は、胎児の細胞に、退治されることもなく、吸着できることと、検出できるほどの毒性はないことを示している。一旦、弱酸性の環境に入っても、「じゃまくさ(ん)い」と言わずに直ちに分解する。ここで分解物は一酸化硫黄、硫化水素、抗酸化剤であるアリシンであることに研究者らは注目し、これらの副生成物の放出が付加的な治療効果をもたらし得ると付け加えられている。ただし治療効果が一両日中にみえるかどうかはわからない。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 27, p.33.
DOI: 10.1021/ma300190b and 10.1021/ma2023167
12.9.24

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榊原温泉

 気張らずにゆるりとできる。かつてはお伊勢参りの前に立ち寄る場、古くは清少納言の「枕草子」でも謳われているという温泉である。現地でお酒を買おうと思った。この地に一軒あるというよろずやさんを教えてもらった。店主は「うちにはない」という。近くの酒屋さんはすべて店を閉じたらしい。コンビニは5 kmほど先。たまたまそこに居合わせた客人「上の酒屋の自販機にはビールくらいはあるやろう」と店主と界隈についての会話が始まった。「車に乗せてあげる」と誘われた。お言葉に甘えてそこまで行った。がソフトドリンクだけである。困った。再び車に乗車、世間話をしながら、近くのお好み焼き屋さんを案内された。テレビで紹介されたこともあるらしい。「販売用が、店内では、売ってんないよう」かもと心配する先の御仁。お店の女将は、こちらのリクエストを快諾。ただし冷えた分は大瓶二本と缶ビール一本。買上げてしまって、先の御仁に送っていただいた。清少納言ゆかりの地で、なごんでしまった。
12.9.23

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ペットボトル入りの

 お茶を買ってしまう。先月は生協の特売だとかいうことで、生茶に手が出た。身体がなまちゃった時には、とりわけ極上である。それでも家にあったペットボトルのラベルは圧倒的に綾鷹だった。「ああやったか、こうやったか」と考えごとをしながら売り場に出向いたせいか、その成果かは知らない。「濃いめ」と記したボトルを積極的に手にしていた時期もあった。その頃、いつものお店のテーブルに置いた。通常、飲み物は持ち込まない。なので「なんで」と聞かれた。で一言「こいつめと思った?」と返した。「うまい!」「うまいのはこのお茶やで」加えて「それと伊右衛門とどっちが好きか」と続けた。「???」答えがない。「そんなの、いえんもん」がたぶん正解。ただし未だに、抹茶のペットボトルや缶入りに自分は出会っていない。販売されたら「はまっちゃった」状態の日が続くかもしれない。でもそこは礼儀正しく、特別の茶器でゆったりと、ちゃきちゃきせずに、いただきたい。
 これっておちゃらけか?
 いやお茶だらけです。
12.9.22

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サンディエゴ湾に

 通常のプラスチック六種類をつくるために使われるペレットが、ぺれ〜っと沈められた。それらのサンプルを一年の間、一ヶ月おきに回収し、ガスクロマトグラフィー分析と質量分析を行った[1]。それによってポリ環状芳香族炭化水素、多塩素化ビフェニルを含む50種類以上の残留有機汚染物質の濃度が見積もられた。その結果、ある種のプラスチックは、何ヶ月にもわたって海中の汚染物質の蓄積が続いていた。このことは実験室で行った実験では数日で平衡に達するのとは対照的である。中には10倍以上の濃度の汚染物質を蓄積するプラスチックもあってマイナスに作用する。海中では海の生き物がプラスチックの破片を食べてしまうが、今回の結果は、単にプラスチックだけを食べるだけではなくて、それにたまった汚染物質も摂取してしまうため、ストレスの要因にもなりうる。さらに蓄積が続くプラスチックは他のものに比べて魚類に対して、より有害なものになってしまうことが指摘されている。なかなかようせん「汚染物質」に関する研究である。

[1] Chemical & Engieering News, 2012 August 27, p. 33.
12.9.21

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基底状態の

 芳香環に電子を供与できる反応剤はあまりない。この種の電子移動には昔から、液体アンモニアに溶かしたナトリウム金属のように、最も野蛮な(brutish)金属含有の還元剤が必要だった。一方でこれまで有機化合物でこの種の還元をアレンに施す反応剤はあれへんかった。そんな中、ビスイミダゾリデンがヨードアレンやアレンスルホンを還元できることが明らかにされていた。同じ研究者らは今回、それに加えてビスピリジンも、紫外線照射下で電子をより高いエネルギーレベルに昇位させることができ、現状では最も効果を発揮できる超電子供与体を発生させることができることを明らかにした。この光活性化したビスイミダゾリデンは、一般には困難なクロロベンゼンの還元で塩素を有しないベンゼンへの変換を達成し、さらにどちらの化合物もジフェニルシクロプロパンの開環反応も行うことができる。
 この成果、スコットランドの大学発信である。「こっとらんと」シンプルで素晴しい。

[1] Chemical & Engieering News, 2012 August 27, p. 32.
DOI:10.1002/anie.201200084
12.9.20

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水の電気分解

 通常は、電極に付着させた高価な金属触媒を利用する。触媒は「即、しんの?」と反応を促進させる。電気化学系の片側では水が酸化されて酸素が発生する。もう一方ではプロトンが生じて、それが容易に結合して水素が発生する。ここで金属触媒に替わる触媒探索が行われている[1]。そんな中、フラビン含有の酵素が還元・酸化過程に重要な触媒であると言う生体系のシステムに倣って、N-エチルフラビニウムイオン触媒が水を酸化し酸素を発生させる系が明らかにされた。系中では、遷移金属触媒の反応機構と同様に過酸化フラビン中間体が電極表面で形成されることによって、反応は進行する。ただし研究者らは、フラビン触媒は高い酸化電位(1.9 V)が必要であること、不活性化するまでに13回しか触媒はサイクルしないことから、現段階ではプロトタイプ(原型)であるとしている。それでも「金属を含まない水の酸化触媒の最初の例であること、今後さらに酸化電位の低い有機化合物の設計が可能であることを示している」とT. E. Mallouk先生がまる〜くおさめている。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 27, p. 10
Nat. Chem., DOI:10.1038/nchem.1439
12.9.19

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強誘電体は

 超音波画像診断やコンビューターメモリでも見られ、外部電場にさらすと極性を反転させる能力から貴重な材料である。現状チタン酸バリウムのような無機化合物からつくられているが、より安価で軽くて、簡単に組み立てることができる代替品が探索されている。そんな中、電子受容体としてメリットのあるピロメリットジイミドを基本にした分子と電子供与体としてナフタレンあるいはテトラチアフルバレン誘導体を交互に重ね合わせた混合物が強誘電結晶を形成することが明らかにされた[1]。結晶に室温で電場をかけたところ供与体から受容体に電子が移動し材料の極性が切り替わった。この室温での強誘電体の安定性は、二種類の化合物間での水素結合によるものであると研究者らは考えている。また従来の強誘電体は一般に極低温でしか作用せず電気抵抗率も低かったこととは対照的である。今後さらに様々な有機強誘電体の誕生とこの分野での発展も期待されている。
「強誘電体のこと、今日言うでん」の運びになりました。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 27, p. 12.
DOI:10.1038/nature11395
12.9.18

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改修工事

 来週からです」とのこと、当初は8月15日から始まるかと思っていたけど、やっとである。英語ではrenovationなので、述べるでしょん、より具体的な日程も、と思っていたら見逃した。それでも臨場感のある音響で工事の始まりを実感する。「休日、書き物に集中」がままならない。今使わせてもらっている建物が、築30年ほどにもなるという。一方で「コンクリートから人へ」と偏に(ひとへに)唱えておられたと思っていたら、なんだか方針が変更されたようである。ともかく資料、書籍、実験器具や機器などをすべて、一旦別の場所に移動して、工事完了後、戻ってくる方式である。パズルのような移動計画で、両隣の研究室が8月下旬、別の場所に引っ越された。今月になって今年度使用する別の研究室が入ってこられた。ただし引っ越しの挨拶品を配ることなどはない。挨拶がなくても「あいつや」とわかる学科、専攻のメンバーである。今回のメンバーとも案配、ご近所づきあいをやっていきましょう。
12.9.17

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発表者は

 ショートトークをしょ〜うと思ってスクリーンに向かって左に並ぶ。概ね20代、中には30代、さらに70代に近い先生も並んでおられた。今でも自ら実験をされている。「フラスコを持って期待の反応が進んだかどうかをエンジョイするのは年寄りの趣味としてはまあよい」でもそれ以上に現状さらには今後の日本の状況を憂いておられた。「日本が世界に供給できる仕事がなくなってきた。それを育成する企業の体制も人材もない」「客員として有名大学で講義をした時、一部の学生はお休みモードであった。近隣の国では見た事がない、目の輝きが違う」など貴重なお話もいただいた。先生は急用のためトークの後、遠くまで帰られた。自分たちは、体育館に行くかんとポスター会場に向かった。そこは節電モード、暑さと熱い議論で盛り上がっていた。しばしの涼は扇風機が担う。これに乗じて、旋風も巻き起こしたい。
12.9.16

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彩都方面

 教えてくださいと」お聞きはしなかった。モノレールのサイトで再度確かめておいた。それでもホームに到着した電車の前には「大阪王将」とあったので一瞬ひるんだ。「どうしょう、これが門真市行き?」と。確かにその表示もあったので乗った。この電車は、門真市に近づくにつれて、曲がった角が増していくはずである。万博記念公園で下車して「彩都西行き」に乗り換えた。停車中の電車は両側の扉が開いている。勢い余って通り過ぎると、大阪空港方面行きに乗る事になる。全面広告車両が他にもあった。「チキンラーメン」に「コカコーラ」なぜか飲食の印象が強い。モノレール車窓左手正面には「太陽の塔」。1970年当時に、岡本太郎さんがデザインされた。三つの顔のうち「現在を表す太陽の顔」、モノレールから見る分、目線の高さがいつもと違う。初めてである。下から見上げていた印象とは違った。万事「これでいいんでしょう」とわずかな情報で決めつけてはいけない。
12.9.15

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対流圏とは

 地球の場所にもよるが、地表から高さ8-17 km辺りの大気の層で、地球にもっとも近い大気の領域である。日光がさすことで対流が生じ、雲が発生したり雨が降ったりする現象はここで起こる。そこに有機酸がおよそ8メガトンある[1]。目が飛んでしまいそうな量であるにも関わらず、長年にわたってその起源がなにか、悩まされてきた。それに対してシドニー大学では、しんどいに〜とも言わずに、研究者らが理論と実験分析で謎解きを行った。その結果、アセトアルデヒドが太陽光によって互変異性してビニルアルコールに変換され、それがギ酸のような有機酸の前駆体であると提案している。一方で今利用されている気候モデルでは、このことを過小評価しており、対流圏モデルの計算の中にはエノールの生成が含まれていない。そこで複雑な大気化学条件での反応をよりよく理解するためにも、モデルを考案する場合はこれを含めるのが賢明であると(一所懸命に)指摘されている。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 20, p. 29.
DOI: 10.1126/science.1220712
12.9.14

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抗マラリア薬である

 アーテミシニン、もともとはヨモギ属の植物からもぎ取られた。ただし年間百万人とも言われる死者を救うための、安定供給は難しく価格も相当に高い。そんな中、微生物によって合成された前駆体を出発化合物に用いる半合成法によって、ほぼ同様の骨格を有する化合物が開発されてきた[1]。一方でアーテミシニンの構造の複雑さから、全合成は達成されたとしても実行可能なルートであるとは考えられてこなかった。いわば誰も「あ〜てにしん」状態である。それに対してインディアナ大学の研究者らは、シクロへキセノンから一連のカスケード反応を利用してグラムスケールで合成を行っている。合成は五段階を経たもので従来法よりも高い効率を示す。また合成のための全ての部品は、かなり安価でトンスケールでも利用できる。ただし現段階では世界へ供給する段階までは至っていないが、反応工学を発展させれば、実現の可能性もある。マラリアにラリアットの一撃を浴びせる日も近いか。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 20, p. 28.
DOI: 10.1021/ja3061479
12.9.13

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ディーゼルエンジンの

 排出ガス浄化に必要な触媒、今は白金が基本である。それに対して,より安価で頑丈な触媒の開発が行われている。その中SmあるいはGdを含むMnムライト材料が一酸化窒素を二酸化窒素に変換できることがわかった[1]。またその反応機構がFT-IR並びにDFT計算によっても検証され、粗くて欠陥が多いあるいは段になったムライト表面のMn-Mn二量体に活性部位が局在していた。研究者らは以前Srを含むベロブスカイト酸化物を開発しPt触媒より高い効率であることをすでに明らかにしていた。ただしこれらを工業化するためには、高い熱的安定性を付与し、実際にエンジンに導入しても同様のパフォーマンスを示すものでなければならない。ただしそれでも今回の触媒は、従来型の内燃機関エンジンではないねん、いわゆる希薄燃焼型のエンジンでも応用可能である。現状この型のエンジンの燃焼制御システムの価格が高く、実用化には至っておらず、その道を開く可能性も秘めている。
 エンジンの肝心な部分の、異人による研究成果である。
 ちなみに「ムライト」村井君とは関係なく、単鎖構造を持つアルミノケイ酸塩鉱物であるらしい(Wikipedia)。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 20, p. 12.
DOI: 10.1126/science.1225091
12.9.12

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プロスタグランジンは

 なに人(じん)であろうとも、睡眠、痛み、発熱、炎症、生理、出産、血管収縮、血液凝固を含む生体内作用に深く関わっている化合物群である。その類縁体であるラタノプロストは緑内障治療薬として使われ、昨年特許が切れるまでPfizerに年間10億ドルをもたらしていた。別の類縁体は高眼圧症の治療やまつげをのばすために使われている。その全合成は1969年にさかのぼる。当時Coreyらが開発し、先のラタノプロストはその手法を適用した20段階で合成されている。そんな中プロスタグランジンの中では最も複雑な構造を有するPGF2αの7段階合成法が開発された[1]。出発化合物として、告白されたのはコハクジアルデヒド[2]。これが二分子でアルドールカスケード反応を引き起こし、二環式エナール中間体を一回の操作で形成する。ただしプロリンと[(PhCH2)2NH2][OCOCF3]を触媒として用い、鏡像体過剰率は98%である。この一見、単純そうな反応が鍵であった。ここでプロリンは初めのアルドール縮合を触媒し、もう一つの触媒は二段階目のアルドールを触媒するが、最初から二つを混ぜていると後者が最初の反応を阻害する。一方で後から加えればよいが、遅すぎると重合反応が優先してしまう。ただし幸い目的生成物と副生するポリマーの分離は容易である。また二環式中間体を一旦手にすれば、あとは側鎖を、そそくさと修飾することで一連のプロスタグランジン類縁体が導かれる。有機触媒のプロが絶賛するプロセスである。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 20, p. 9.
DOI: 10.1038/nature11411
[2](1,4-ブタンジアール、H(O)CCH2CH2C(O)H)
12.9.11

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歯のエナメルを

 調べることで、みなみえ〜る」というわけではないが、原始の人類の祖先の食生活がわかる。すなわち化石化した臼歯のCa, Sr, Baの同位体質量分析が行われた[1]。その結果、人の一族である二足歩行の祖先であるアウストラロピテクスの二種と同時期にその競合相手であったパラントロプス族は、その後に登場した族よりも多様な食生活であることがわかった。三つの種族ともほぼ同じ大きさの領域で暮らしていたが、アウストラロピテクスは、2億年前に絶滅するまでは、様々な植物や肉類の両方を食していた。一方、同位体比によれば、その後の人の一族で今の人の祖先は、Ba/Caレベルが低い場合には肉食で、Ba/Ca比が高い場合には草食であるということが類推された。また競合種族だったパラントロプス族は植物を主としていた。その結果1億年ほど前に起きた環境の劇的な変化に適応できずに絶滅したのではないかと述べられている。
 ちなみに祖先は、率先して肉食、草食になったのか?あるいはそうせんといかんかったのかは謎である。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 13, p. 33.
DOI: 10.1038/nature11349
12.9.10

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阪急宝塚線

 清荒神駅近くの図書館から物語は始まる[1]。そこでは意識はするものの、声をかけずに終わった。ある日二人は偶然、阪急今津線で出会う。気まずいかななどと思う間もなく、彼女は「生」という文字を河原に発見、彼に声をかける。何を意味する?彼女は「生ビール」を連想した。停車駅で降りる時「また今度」と言われた言葉を振り切って自分も降りた彼、その日をまた今度の日にできた。小豆色の電車は西宮北口(西北)までが、しきたりで走る。孫娘とおばあちゃん。白いウェディングの乗客、そのドレスどれぐらいするかは聞かない。でもおばあちゃんは「次の駅で降りてみたら」と声をかける。乗り合わせたぎくしゃくするカップルに孫娘も泣き出す。一人で立ち去る彼、取り残された彼女に「やめておけば?苦労するわよ」とささやくおばあちゃま。西北までの間、女子高生の会話、新しいカップルの芽生えもあった。電車は折り返す。そこにはおばちゃん軍団、おばあちゃまたちが一撃を食らわす。成就したかもしれない二人、電車は宝塚に戻った。

[1] 有川浩「阪急電車」(幻冬舎文庫)
12.9.9

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ベットに横になる前に

 胃の中がよく見えるというドリンクを飲む。少々の塩味と苦みがあった。で横になった。反時計回りに身体を回転させてうつ伏せになる.薬剤が胃全体に広げるのを助けるためらしい。深呼吸も繰り返す。同様に反時計回りに回転して上を向く。喉がしびれるという液体を口から注入される。しばらくするとしびれてきた。右手に注射二本、眠くもなるらしい。次に気がついたのは別の部屋のベットの上。別途何をしてよいかもわからない。ここはどこ?なぜここに?移動手段は?所持品はすべて手元にある。左手は窓、脱出はここからか。でも足がふらつく。スパイ映画の如くである。失敗は許されない。聞けば「車いすに乗って移動されていましたよ」「!?・・・」自分で乗り降りしたのか、誰かの助けを借りたのかも記憶にない。ここまでの院内でのこと、なにも知んない。シャバだとやばかったかもしれない。幸い「先生の説明がありますから」と声をかけていただいた。知らぬ間に身体の内部は被写体、必死やったかもしれない無意識の中で。
12.9.8

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無機化合物で

 DNAの二重らせん構造のものはありゃせんかった。実際にはこれまで知られている分子は複雑な分子式のものであった。さらに原子レベルでのそのモデルは提案されていなかった。それに対して架空の無機分子のねじれや回転を計算によって検討した結果、単純な無機化合物がDNAと類似の構造をとることがわかった[1]。LiPやLixPx(ただしxは7以上)のクラスターが、最もエネルギーの低い安定形で、右あるいは左巻きの二重らせん構造をとる。ちなみにLiPやLiAsのX線構造解析は、数十年前に報告されているが、それによれば、原子の鎖が「らせんで同軸であること」を示していたがそれを二重らせん構造とはしなかった。無機の二重らせん構造の概念は議論のあるところで、研究者らは地球以外の惑星でDNAのように無機の生き物がこれを使っているとは考えてはいない。それでもこれほど単純な無機化合物がその構造だったとは驚きであるとコメントしている。「二重らせん」誰かに知らせんといかんかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 13, p. 33.
DOI: 10.1002/anie.201201843
12.9.7

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高分子の

 裂け目や割れ目の修復を、新しい強い炭素−炭素結合を形成することで達成する方法が開発された[1]。交差に結合した界面破壊した部位のC=C結合を入れ替えるためにオレフィンメタセシス反応が利用されている。0.005%のGrubbs第二世代Ru触媒を高分子に組込んでおく。すると高分子が裂けた場合にはいつも、破壊した表面に圧力をかけることで(10~30キロパスカル)高分子が助かる。触媒を埋め込まれた高分子は、常温より時間はかかるものの、5℃でも自己修復が起こる。さらにメタセシスはRu触媒を含んでいない場合にも適用できる。すなわち少量の触媒を高分子の裂けた断面に塗布し、傷ついた面を押さえることによって達成できる。この手法は単純かつ高い効率で、ポリイソプレン、ブチルゴム、ポリノルボルネンなどメタセシス可能なアルケンを含む様々な高分子へも適用できる可能性も高い。
 高分子の修復条件をメタセシスで満たします。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 13, p. 32.
DOI:10.1021/ja306287s
12.9.6

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隕石が

 親戚と離れたかどうかは知らない。が2000年カナダの湖の凍った表面に衝突した。タギッシュ湖隕石である。そのかけら、声をかけられた。分析結果では、大過剰のアスパラギン酸を含み、炭素同位体測定は、これが地球に存在する何かが混入した結果ではないことを示していた[1]。放射線によって放出される熱のため、宇宙で液体として存在する天体に存在する水が結晶化し、鏡像体過剰率は低いものの隕石の中に存在していたL-アスパラギン酸を増幅させた可能性がある。この過程は別の研究グループが実験的にも示している。隕石の中のL-アラニンの増幅はあらへんけど、それは別の結晶挙動によるものである。ホモキラリティーの専門家はこの成果を称賛しつつも、L-アスパラギン酸は氷の中の昇華によっても増幅されると指摘している。いずれにしても地球上のキラルな必須アミノ酸は、低い鏡像体過剰率の分子の増幅が起源であるという考えを指示する結果である。
 アスパラギン酸の増幅、アスパラでも食べながら、明日パら考えるか。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 13, p. 32.
DOI: 10.1111/j.1945-5100.2012.01400.x
12.9.5

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二酸化硫黄を

 硫酸に変換する新しく同定された大気化学の気候は、自然生態系、大気環境さらには気候とも関連づけられる[1]。二酸化硫黄(SO2)は、火山や含硫黄石炭や石油を燃焼させるような工業プロセスによって排出される大気汚染物質である。それは硫酸になってエアロゾル化するが「ええ〜やろゾル」ではない。地球表面近くでは大気環境を悪化させるため、あかん。これまで研究者らは、酸化は主にヒドロキシルラジカルによるものであると考えていたが、大気に生じる硫酸の量を考えるとそれでは不充分であった。しかも研究者らはフィンランドの森でSO2の酸化を観測しヒドロキシルラジカルによるものではないことを明らかにした。実験室レベルでもSO2はオゾンやアルケン存在下でも酸化が進行する。さらに松の枝を切ったものなどを分析装置の注入口に置いた場合にも、おいたをしたか、酸化が進行した。これはCriegee中間体と呼ばれるビラジカルでもあり、両性イオンでもあるカルボニルオキシドによるものである。その中間体はオゾンが木の放出するアルケンであるリモネンやα-ピネンと反応することによっても生じる。これに先立ち研究者らは最も単純なCriegee中間体(CH2OO)はSO2と素早く反応することも報告している。
 酸化にアルケン、見抜けんかった。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 13, p. 8.
DOI: 10.1038/nature11278
12.9.3

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神経変性疾患筋萎縮性側索硬化症(ALS)

 を治療するための適切な薬物評価モデル、病理学や医薬品候補探索のために必要な運動ニューロンのサンプルを手に入れるよい方法はなかった[1]。それに対して京都大学の研究者らは、ALS患者から皮膚細胞をとり、それらから多くの運動ニューロンを発生させている。これらはALSに伴う異常性、たとえばTDP-43と呼ばれる過剰の変異タンパク質が含まれるなどの特徴を示す。そこでこれによって得た病気の運動ニューロンを使って、細胞への四つの化合物の効果を検証した。なかでもカシューナッツの殻から単離されたいわゆるアナカルド酸[2]の一つ、それはヒストン・アセチルトランスフェラーゼ抑制剤として知られているけど、それがALSの効果のいくつかを逆転させた。たとえばTDP−43のニューロンの発現を減少させた。これらは疾病の研究や医薬品候補の探索のプラットフォームになり得る成果である。
 カシューナッツにアナカルド酸、「おかしゅ〜な」と侮かどってはいけない[3]。預かるといいことあるかも

[1] Chemical & Engineering News, 2012 August 6, p. 36.
DOI: 10.1126/scitranslmed.3004052
[2] 2-ヒドロキシ-6-アルキル安息香酸で、アルキル基の長さはC15-17で飽和炭素のみ、あるいは不飽和結合を含むなど多くの種類がある。
[3] たとえば歯の膿瘍、にきび、結核の治療に効果があるらしい。
12.9.3

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大学を出ようとした時

 ピンポイト豪雨にあった。建物からバス停までの道程が遠い。普段の道に、水が溢れ出して川になる。変ってるなあなどと思っている場合ではない。足下はびしょぬれ、キャスター付きのバッグも全体、雨をかぶる。目的地は浦和、そこまでの裏技なんてない。JRを乗り継いで移動するだけである。もしや新幹線にも遅れが?その情報誰かおくれ。でJR岐阜駅に到着。遅延のお知らせがなかったので、そこから時刻通りの移動、懇親会に間に合った。夜更かしして朝から発表を聞く。自分も含めて芳香族化合物の話も多い。ベンゼンの炭素原子をケイ素に置換えたシラベンゼン。これ調べんといかんと言われていたのは一昔前で、その類縁体の話も展開される。時にX線構造解析で、違った構造が導かれる場合がある。期待の化合物への思い入れ、思わぬ構造に「新発見だ」という入れ込みが招く結果でもある。最後は主催者に感謝して、福岡に引継がれた。開催場所は唐津になるらしい。その時は、からっと晴れることを願った。
12.9.2

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小さな二人の女の子を

 連れて村に戻ったベルメール[1]。育てたいという言に、ゲンさん初め皆が反対する。自分の食べる分を削っても幼子たちに食事をとらせる。そんなある日、魚人アーロン一味が村に来た。アーロンの論理は受け入れ難い。でも圧倒的な力の差に屈服するしかない。お金を払えば命だけは助けてやると言うものの、二人の子(ノジコ、ナミ)の分と自分の分を合わせた金額はないベルメール。村人たちの苦肉の策にも乗らずに、命を捧げた。それに留まらずナミが一味に連れていかれた上、その一味になるという。人並みはずれたナミの「いずれ自分の手で村を取り戻してやる」という密かな決意、海賊にもなった。ベルメールさんとは心のメールのやり取りをしながら自分を鼓舞させる。久しぶりに戻った村、海で知りあった連中の余計な手出しにアーロン一味の益々の非道ぶり。怒りも増幅する。ナミの過去には興味なし、でもこの状況を打開し、ナミを助けるという麦わら帽をかぶったゴムゴムの兄ちゃん。アーロンがアローンになった時、パワーも全開。二人のバトルが始まった。「おれは助けてもらわないと生きていけねえ自信がある」とか叫びながら勝利し、村には平穏が戻った。

[1]8月25日放映「ワンピースエピソードオブナミ」
ベルメールさんの名言、ネットでもたくさんヒットします。たとえば
何があっても生まれてきたこの時代を憎まないで…………!!
人に褒められなくたって構わない!
いつでも笑ってられる強さを忘れないで…
生き抜けば必ず楽しいことが……
たくさん起こるから………!!!
12.9.1

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