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2013年1月

ニッケル・モリブデン触媒

 水から、自ら水素を発生させる触媒として、ナノ粉末として合成され、プロセス可能性を向上させ、よりよい成果が得られた[1]。研究者らは、Ni-Moナノ粉末を、ニッケルヘキサアンミンとアンモニウムモリブデンの水溶液の混合物をジエチレングリコール中で加熱し、混合Ni-Mo酸化物の沈殿を調製している。それを単離した後、水素で還元してナノ粉末を得る。始めは青色の溶液が、加熱で黄緑色懸濁液に変化し、還元の後、黒色溶液になる。これまで水素発生には、貴金属電気触媒が利用され、さらに、より遥かに安価で同程度の活性を示すニッケルや鋼鉄を使った触媒が開発されていた。今回の新しい粉末は、担持する材料なしに、溶媒に懸濁させることができ、電極表面に層を形成させることもできる。電子顕微鏡観察によれば、新しい触媒は、他の報告されたものに比較して多孔率が高く、これによって高い活性が引き出されている。「高い多孔率に多幸あれ」である。

[1] Chemicals & Engineering News, 2013 January 14, p. 34.

13.1.31

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人の息をたよりに

 人を発見したい。これまで、人間の呼気に含まれる糖尿病や肺がんのような疾病と関わる代謝物を検出することで、これらの診断をする技術としてイオン移動度分光分析が知られてきた[1]。この技術を、地震やテロ攻撃によって生じた「がれき」に挟まれた人を、学歴を問わず、発見する技術に拡大することが検討された。研究者らは、冷蔵庫サイズのガラスとポリカーボネート製の箱を使って、倒壊した建物の隙間になぞらえた部屋の呼気を分析した。実験には10人のボランティアが協力し、彼らは6時間その場所にいた。で、ガスクロマトグラフィーと先の分光分析を使って、そこの空気サンプルを、ひとつのサンプルあたり3分ルで成分を明らかにした。そこには人間の呼気に含まれる化合物として知られているもの、アセトン、ベンズアルデヒド、デカナールを含む12種があった。研究者らはサンプルチューブを、がれきの間にねじ込むことで、人の存在を確認し、救助の一助になると考えている。

[1] Chemicals & Engineering News, 2013 January 14, p. 33.

DOI: 10.1021/ac302752f

13.1.30

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フッ素化ステロイドなどの

 フッ素化化合物の生理活性は、それらの医薬あるいは農業化成品への応用に期待を持たせる。ただし合成が容易ではない。今回、白金触媒を使ったカスケード反応で、環化とフッ素化を連続で行う系が開発された[1]。アルコールやフェノール部位を有する1,5-ジエン、ジエンドにならずにPt(II)が触媒するカスケード反応に使われる。最後の段階はβ水素脱離で、アルケンを含む多環式化合物になる。多感な研究者らはここで、XeF2を加えておいた。その結果、Pt(II)ジホスフィン錯体触媒と塩基で、Ptが結合した環状中間体が生成した後に、F+Ptの攻撃を受け、フッ素化されたPt(IV)種が形成する。それが立体保持で還元的脱離し生成物を与えるらしい。いくつかの出発化合物が、異なる塩基によって、奇妙な挙動を示すが、一般に収率は56-69%で、ee87%程度である。Nikki A. Cochraneさんらの成果、日記にも記しているかもしれない。

[1] Chemicals & Engineering News, 2013 January 14, p. 33.

DOI: 10.1021/ja3116795

13.1.29

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II型糖尿病で

 「身体にがた」がきた時には、メトホルミンが一般には処方される。これは、グアニジンを基にした化合物で、肝臓でのグルコースの過剰生産、これがII型の特質であるが、その抑制に寄与し「身体をよくせい」と支援してくれる。ただしこの抑制機構がわからなかった。10年前には、メトホルミンは、肝細胞にある酵素であるアデノシンモノリン酸活性タンパク質キナーゼを活性化するとされていた。でもその後、その酵素を発現しない肝細胞でも作用することがわかって、その機構は疑わしくなった。今回研究者らは、メトホルミンは、肝細胞を刺激して、余分なアデノシンモノリン酸塩を生産することで作用することを報告した[1]。ペプチドホルモンであるグルカゴンによって、アデニル酸シクラーゼが過剰に活性化し、これが肝細胞にグルコースの過剰生産を誘発する。で余分な先のリン酸塩がこの過程を抑える。これまで糖尿病のための医薬品の設計に、この種の機構は、大きぃ声では、言及されていなかったものである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 14, p. 33.

DOI:10.1038/nature11808

13.1.28

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「定宿は学士会館」

 という内田先生のお話[1]に、いずれ泊まってみたいと思っていた。神田一ツ橋の真ん中のホテルだけど、よく眠れるらしい。平将門の首塚も近い。平川門も近い。先生の説は「東京でたぶんもっとも呪鎮が効いているせいだ」である。先生のブログでは、その後にはバリ島が続く。まずは学士会館にやっとのこと縁があった。会館に入ったところから、ゆったり感があふれていた。天井の高さ、廊下の広さ、良き時代の東京のつくりなのかもしれない。廊下には「大久保利通の書」みたいな本が並んでいる。昭和の時代の鍵を開けて部屋に入る。トイレとバスがセパレートの構造で、先生が書かれているように、静かだった。午前0時の門限。朝まで広めのベットで、ぐっすりと眠った。朝食をいただくレストラン、そこに至る道には「学び」の雰囲気が満載だった。右手には、いわゆる「旧七帝大」のブースもあった。「学士会館」がっくりしたシーンは全くなくって、快感である。「いかんこの日の業務に遅れては」と、ムードに浸っていた自分を戒めた。

[1]内田樹の研究室2008.2.25

13.1.27

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主が舌鼓を打った

 「今日のうどんは格別にうまかった。何を使ったのじゃ」とお武家様は、下男に聞いた。「キジの肉を使ってございます」主(あるじ)は、この旨さを記憶するために名前を考えた。悩んだ挙句「キジウドン」とした。それからうどんの生地を麺と言う様になったので「キジメン」になった。地面に座って食すこともできるけど、お武家様はたぶん屋敷内でしか、しないと思う。数年経ってお武家様は遠い場所へ引っ越すことになった。下男のつくったキジメンの旨さを称賛して、幾分かの金銭を彼に渡した。「これで店を始めるがよい」と主。どこにでも「あるじ」な方ではなかった。腕を上げていた下男、作り方も簡単で味も評判、たちまちその土地に広がった。「こりゃあ、うみゃあなもし」見たいな具合で。濁点は流すがよいと「キシメン」になり、うどんは半分にカットした。もうけも上々になった。キジの肉が入手困難になると、代わって油揚げにした[1]。お話もこれで切上げ。

[1]NHKラジオ、郷土の民話かなにかで聞いた話が「もと」です。

13.1.26

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2000年前

  現在では、イタリア、トスカーナ地方の海岸に沈んだ船に、医薬品が積み込まれていた[1]。そこには、六種類の錠剤のようなタブレットがあり、これは古代ローマの宝物である。そのタブレットには、水亜鉛土、スミソナイト、これだけでは、済みそうにないと分析すると、さらに亜鉛が一杯の鉱物も見つかった。これらは、炎症を軽減するのに加えて、抗菌、抗ウイルス性を示すものである。さらに昔の錠剤は、松脂、動物や植物からの脂肪酸分子や花粉、さらにタブレットには、蜜ろうもあった。これらの成分から研究者は、このタブレットは、眼の病気の治療に使われていたのではないかと考えている。亜鉛塩はいまでも、皮膚病や眼の疾病の治療に利用されている。ちなみに、亜鉛だけが、古代人が目の病気を治療するために使った金属ではない。古代エジプトでは、目の病気を治療するのに、鉛化合物を化粧品に混ぜていた。鉛と同様、Zn(2+)イオンは、細胞を刺激し、過酸化物、一酸化窒素や、生体系の免疫応答に含まれる化合物を生産する働きをしている可能性、あるいは亜鉛が目の疾患を引き起こすバクテリアを退治する可能性が指摘されている。「眼には、亜鉛塩が、あ〜ええんや」と、会えんはできんけど、古代人も考えていたらしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 14, p. 8.

DOI: 10.1073/pnas.1216776110

[2]スミソナイト:菱亜鉛鉱

13.1.25

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ウアバゲニン

 いわば芸人か、そうではない。ouabagenin、うっ血性の心不全の治療薬としても利用されている配糖体構造を有する化合物である。ただしこの化合物は、多くの水酸基を有するステロイド骨格であり、効率的合成とスケールアップが課題であった。以前の最もよい合成経路は41段階を要し、全収率が1%以下だった。それに対して今回、より安価な酢酸コルチゾンを用いている。水酸基一つを持つこの化合物から、いわゆるリレイ反応で、電子的あるいは立体化学的な特性を、ある炭素からステロイド骨格の別の炭素に、伝達させている[1]。これによりC-HC-C結合を活性化し、C-O結合形成も行い、酵素が媒介する酸化反応に似た結果を得、結果として21段階で、グラムスケールにて、6つの水酸基を有するウアバゲニンを製造できた。この成果は、天然のウアバゲニンの構造修飾や、人工のステロイドで、より高い治療効果と低毒性な誘導体への多様なルートが、あル〜トいうことを示している。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 7, p. 22.

DOI: 10.1126/science.1230631

13.1.24

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コンボ(combo)触媒

 混紡からつくるわけではない。超分子ホストゲストの骨格を使って、有機金属触媒と酵素とから組み立てた触媒で、ワンポットタンデム反応を達成している[1]。これらいずれも、それぞれ単独ではこの化学変換反応を達成できない。ただし一般には二つを混ぜると不利な相互作用も生じうるけど、それを避けると同時に触媒の寿命を延ばすこともできている。研究者らはこれまで配位子Lとしてベンゾイルナフタレンを有するGa4L6に金錯体を埋め込み、ホストゲスト種を得、それによってアレンのアルコキシ化を、フリーな金触媒よりも、より高い活性で達成していた。今回はAu(I)あるいはRu(III)ホストゲスト種を、エステラーゼやリパーゼとペアにすることで、多段階反応を媒介させている。いわば酵素に拘束された金属錯体触媒が、高速に反応を促進するという構想である。たとえば酢酸アレンをアルコールに変換、環化することで置換THFを導いている。コンボ触媒、今度使ってみてください。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 7, p. 22.

DOI: 10.1038/nchem.1531

13.1.23

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極寒の地域で生きる

 虫、豪傑である彼らは、凍結防止タンパク質を持っている[1]。それは氷の結晶にバインドし、より莫大な量の水で囲まれても、それが氷になることを防ぐ役割がある。しかも自動車の中のエチレングリコール不凍液よりも、はるかに低濃度で、タンパク質は、それを成し遂げる。ある種のタンパク質は、スレオニンアミノ酸の特別な配列を有し、氷に結合する部位を形成する。が必ずしもすべての凍結防止タンパク質がこの配列を有しているわけではなく、ほかの相互作用が提案された。研究者らは、脚と首の部分が赤いカブトムシの一種から得たタンパク質を水に溶かし、水分子の動きをテラヘルツ分光法などで研究した。その結果、凍結防止タンパク質は、氷が結合する場所から、20Åあるいは、水が形成する七層までの配列に影響を及ぼすことができる。この長距離相互作用が、水素結合に影響し、氷を形成することを阻んでいるとのことである。ただし、氷点下では、タンパク質が仰天するかなど、確認されていない点、注意を要するが、低温でも、この長距離相互作用が、より効果的に作用する可能性があると、別の研究者は述べている。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 7, p. 8.

DOI: 10.1073/pnas.1214911110

13.1.22

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C & E News

 12月の最終週を除いて、新しい版がリリースされたことを知らせるメールが届く。今年の始まりは17日である。でもその日メールが来なかった。ACSのホームページでは、すでにアップされていて、会長であるMarinda Wu先生の意気込み溢れるメッセージもある。すでに今年のACSmembershipの更新は終えている。でも実際には、ブログのネタ本が来ない。ねたんでも来るはずがないので、メールで一筆啓上。まずはmembershipの更新のメールが来た。で「C&E Newsは来週号から配信するね」というお知らせがきた。う〜「C & E News の大ファンなので」と再び連絡して、本年最初の号も入手できた。確かにホームページで確認できる記事もあるけど、多用させてもらっているページは、パスワード入力しないとすべてを見ることはできないし、PDFをスキャンするほうがかなり速い。でもよく考えれば、会員専用記事をもとにした情報の、無料公開を継続していることになる。ただし原著論文紹介の紹介記事としてである。しょうかいな。

13.1.21

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「巨人・大鵬・卵焼き」

 実にうまい。語呂のことである。お手ごろを超えている。チームスポーツ、個人競技、ついで当時のちょっとしたぜいたく品の組合せである。だからこの日の訃報の後には、ほとんどすべての報道で紹介されていた。これが「巨人・大砲・慎之助」では野球ファンの域を超えない。ちなみに当時の鶏卵、今ほど日持ちはよくなかった。生卵は食べてはいけないと教えらていた。「卵屋さん」が市場にあった。裸電球に照らしてその鮮度を判断していた店主。子供心に「技」を感じた。

 でその大鵬さんがご逝去された。あまりの強さに、おもわず柏戸を応援していた小学生の頃。柏戸引退の後にも、敗退する当時の対戦相手にエールを送っていた。それでもしばらく休んでおられて、再び優勝されたときには、改めて「凄え~」と思った記憶がかすかにある。前人未踏の優勝回数を超えて、横綱に昇進した後輩力士たちが、必ず目標としている先人である。それはこれからも不変である。ご冥福をお祈りいたします。

13.1.20

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冬に装着するタイヤ

 スタッドレスです。スタッドとは、鋲のことで基本的に金属製、何かを固定するために使われる。かつてのスパイクタイヤでは使用されていた。でもこのタイヤで、道路も「痛いや」と傷つき粉塵が生じたため、その代替品として販売されたスタッドレスタイヤ。通常のタイヤと違って、溝は深い。ただし男女の溝と違って埋めてはいけない。加えて使われているゴム、低温でも柔らかさが保たれる素材でメーカーごとに工夫と技術が埋め込まれている。それでも雪道で動けなくなる場合がある。やおらアクセルをふかして脱出を試みる。タイヤの高速回転で雪が飛び散り、自動車の移動がさらに困難になってしまう。一方で、今時のオートマ車では、ドライブモードだと、ブレーキを離すと、ゆるりと自動車が動き出す。「無礼〜き者」ではない。この動き[1]にシンクロして、苦労しんように、アクセルをゆるりと踏み出す方法がよい。「寒いときには、より一層自動車と対話をしながら走行してください」と、JAFの方は締めておられた。ラジオでね。

[1]クリープ現象。「温かいコーヒーも、あったかいな」と思ってしまう寒い車内である。

13.1.19

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獣肉の脂分が

 灰汁に落ちた。世間話ならぬ、石けんの話。オリジンから第一世代について解説をしていた。グリセリンの水酸基すべてが脂肪酸でアシル化されたトリグリセリド。油脂の成分であるが、実は混合物である。結合している脂肪酸の種類が複数あって、しかも三つの水酸基それぞれが同じ脂肪酸と縮合しているとは限らない。なのでトリグリセリド100gにハロゲンが付加する量(ヨウ素価)と、それ1gを完全にアルカリ加水分解するために必要なKOHの量(けん化価)で見解を明らかにする。有機化学は通常一分子を対象に現象を理解する。それとは異なる分野である。少々おざなりになっている感があるけど、この違いもっと学ぶべしと改めて思った。ちなみにトリグリセリドと言えば中性脂肪。でも縮合相手の脂肪酸についての解説記事には、自分はまだ出会っていない。「オレの中性脂肪、オレイン酸ベース」「ラウリン酸ベースが足りん」「自分のは、ナタネ油系になったねえ」などの話も聞いてはいない。

13.1.18

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ポリマー電解質膜燃料電池では、

 白金触媒が使われており、いずれも電気自動車に応用する場合には、価格面で課題があった。それに対して鉄触媒が検討されていた。実際、ある種の鉄は、先の燃料電池でのカソード反応で、酸素の水への還元反応を触媒することを研究者らは明らかにしていた。ただし燃料電池内の酸性環境と二酸化硫黄の存在で、金属が浸出してしまい、性能が低下、て言うか、安価な鉄触媒への希望も微塵になっていた。そこでこの課題をクリアするため研究者らは今回、カプセル化した鉄ナノ粒子でカソードを調製した[1]。その結果、それは10 ppmの二酸化硫黄存在下でも数時間安定に稼働した。同じ条件下従来の電池では、始めは高い電流を流したものの数分で低下してしまった。カプセル化にまかせることで得た成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 December 24, p. 17.

DOI: 10.1002/anie.201204958

13.1.17

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ボーズ−アインシュタイン凝縮

 お寺で起こる凝縮ではない。絶対零度付近で起こる現象で、個々の粒子の状態が巨視的な粒子集団の現象として発現するらしい[1]。自分はあまり理解できていない凝縮なので、恐縮しながら新発見を紹介する。原子と違って、分子は振動、回転する。また弾性のない衝突で量子エネルギー状態のおびただしい相互作用が起こり、これが冷却を妨げる。これまで分子状のガスの冷却技術が発展してきていたものの、蒸発冷却法で、表題の凝縮にたどり着くのはほとんど不可能に近いと考えられていた。それに対して磁気トラップ法が考案された。それによれば、分子を超音波パルスや電場と衝突させ、より高いエネルギーの分子を選び、それらをトラップから開放させた。これによって100万個のヒドロキシラジカルを5ミリケルビンまで下げることに成功している。さらにこの方法によって5マイクロケルビンに到達できる可能性も指摘されている。どこまでも、いケルビンの勢いだけど0 Kで完了である。

[1] Chemical and Engineering News, 2012 December 24, p. 8.

DOI:10.1038/nature11718

13.1.16

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モンゴル高原で

 BC3世紀頃からAD1世紀頃まで活躍した遊牧騎馬民族である匈奴(きょうど)、生活の中では、細やかな物、特に金の宝石を好み、お墓でもそれらを身につけている。「金がお墓に」は民族で諮ったかどうかもわからない。でも、さらに考古学者らは、BC2~3世紀頃の埋葬場所の金品が、彼らの地域から産出されたものか中国隣人からの贈り物かどちらであるかも疑問に思っていた[1]。ちなみに後者の場合は、戦った相手あるいは婚姻した相手である。そこで匈奴の四カ所のお墓で発見された30種類の匈奴の金薄片に含まれる白金の探索がX線法によって行われた。当時の中国の金の採掘技術では、ほとんど白金フリーの金を手にすることができていたため、白金を含まなければ中国製である可能性が高かった。でも実際には白金が、はっきんりと検出された。このことから匈奴の金は、中国の鉱山からではなくて、匈奴の郷土からのものであると研究者らは考えている。

[1] Chemical & Engineering News, 2012, December 24, p. 16.

DOI: 10.1021/ac3025416

13.1.15

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先生飲みゃあ

 一年に一度お会いする町内のおば様。「そりゃあいかん、飲み干してから」と昼間にご酒をいただく。ご祝儀をお渡しすることはない。8人でお住い、週に二日は皆さんでお食事をされるとのこと。一昨年か町内のメンバーになった、自分から見ればヤングが、新年の挨拶とともに、ついでまわっている。いい雰囲気。カラオケの好きな方々である。この日は、取り仕切っていただける方がお見えになったので、村井君は話に興じる。でもみればご夫婦で「娘よ」を歌っておられた。「お父さん、キーがあわんで、わたしが・・・」とのこと、来年は金婚式を迎えられる。「わたしがあって、だんながあって、だんながあって、わたしがあって」という言葉を、わたしていただいた。その時まで自分たちも元気でいたい。「先生、もう一曲歌ってよ」で、なぜだか「寒い朝」マヒナスターズになった。というより「ましなすたーず」である。一人で歌っていると、町内の吉永小百合さん(ちょっとほめすぎね)が登壇、デュエットさせていただいた。この雰囲気の集まりが来年もできますようにと、思いつつ送迎バスに乗った。

13.1.14

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有機金属反応剤は

 空気や湿気に敏感で、ビンカンに不用意に保存もできない。それらはプロトン化や酸化を受けやすいとされていた。そんな時代は過ぎ去った[1]。最も最近の例では、室温、水の中で有機銅化学を利用した炭素炭素結合形成構築法が開発された。研究者らはハロゲン化アルキルとα,β不飽和ケトンを亜鉛粉末、銅塩、三塩化金を、自身で開発したTPGS-750-Mと呼ばれている環境調和型の市販で入手できる界面活性剤を含む水中で混合する。これによって有機溶媒の利用も避けることができる。形成したミセルの中では、有機亜鉛中間体がそのアルキル基を銅に渡す。ついで銅はアルキル基のα,β不飽和ケトンへの1,4-付加を完了させるが、この反応を、三塩化金がルイス酸として触媒する。ミセル系は、有機亜鉛や有機銅の水に関する問題を排除していること、さらに,以前に報告された水系でのラジカルによる1,4-付加よりも広い反応の適用範囲と高い収率であると研究者は指摘している。ミセル系に魅せるられて探索は続く。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 December 17, p. 32.

DOI: 10.1021/ja309409e

13.1.13

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大学の研究室

 早朝、メンバーの一人が倒れていた[1]。脈がない。幼なじみで、つき合いも長かった。でも想いを打ち明ける事ができずに、この三月には別れがくる。最後のチャンスのバレンタインデー「ばれたいかんで〜」ということで、自宅でチョコを作成した奈海、渡す勇気が湧きあがるかどうかと悩んでいた矢先の出来事。後に聞けば、倒れていた友人は、生物系に勤務する姉と研究室の数名のメンバーで「惚れ薬」を合成していたという。毒性試験、薬物動態試験を経て、フェネチルアミンが結合した最も活性な化合物を、さらに自飲試験のため、飲用したという。それを使おうとしていた相手が自分ではないと知った複雑な想いの奈海。その憂鬱の中、あちらの世界から「クロト」が登場、何の玄人かわからぬままに、時間が戻される。10回のチャンス。でチャンとスることができれば、自分に関わる人の「死」を回避することができる。が9度のチャレンジすべてで、犠牲者が出た。最後のチャンス、自分の運命を受け入れた。そこでご苦労なことに「クロト」が再び登場した。『人間は、欲望に忠実な、くだらない生き物だ』と冷静に割り切っていたクロト。気持ちが揺らぐ。

 時に前作[2]のデジャブも、でじゃるラブロマンスでおます。

[1] 喜多喜久著「ラブ♥リプレイ」(宝島社)

[1] 喜多喜久著「猫色ケミストリー」(宝島社)、12.6.10「村井君のブログ」

13.1.12

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硫黄がメタンを変換する

 石油が枯渇するのではないかと言われている中、炭素源として天然ガスを利用することが考えられている。その主成分はメタン、で世界中の多くの場所で比較的豊富に存在する。メタン満タンの場所もあるかもしれない。ただし輸送手段のインフラ整備がなされていない遠い場所も多い。そのため化学会社はこのガスを船で運搬しうる、たとえばメタノールや付加価値のあるオレフィンに経済的に変換したいと考えている。すでにこの変換反応を実現する方法が知られてはいるものの選択性もなく、コストを見越すとさらに実現の可能性のハードルは高い。たとえばメタンの酸素による酸化、この場合には酸化が進行しすぎて二酸化炭素を与え、相当の熱も発生してしまう。そこで酸素に換わって硫黄を利用する系がMarks先生らによって、うま〜く開発された。MoS2, RuS2TiS2などの金属スルフィド触媒存在下、気体状のS2[2]を利用したメタンのエチレンへの変換が達成されている。この反応は金属硫黄結合の強さと関連する。硫黄に弱くバインドしている触媒表面は、より強くバインドしている表面よりも活性である。一方で金属硫黄結合の強さに伴ってエチレンンガスの選択性は増加するらしい。硫黄の内容豊かな利用方法である。

[1] Chemical & Engineering News, 2012, December 17, p. 32.

DOI: 10.1038/nchem.1527

[2] 本文のままS2と記載。ただし一般にこのS2、直接観測されていない化学種である。

13.1.11

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Heck先生発祥の反応が

 さらに広がる。従来の反応はハロゲン化アリールとアルケンでアリール化アルケンを導く。それに対してたとえば3-ヘキセン-1-オールを出発化合物に用いると、アリール基は4位に導入されると同時に不飽和結合がいくつかの炭素を超えて異性化してアルデヒドに至る[1]。この類の現象はこれまでも見られていたが、今回、嵩高い配位子を有する電子不足な触媒がエナンチオ選択性発現につながるのではないかと使ったところ、アルケンの異性化も進行した。アレン源としてはアリールジアゾニウム塩が、ええんで、ピリジン-オキサゾリン配位子を使うことで、遠隔位が官能基化されたキラルケトンを導くことができる。今後は反応機構の解明と、より汎用なアレン源を使ってこの反応を実現したいと研究者らは述べている。Sigman先生らの我慢の末の発見かと思いきや、数学的なテクニックで配位子を発見したため、従来だと数百の可能性があるものの、わずか9配位子の候補から一つを見つけ出している。Heck先生も、へっくり返られるかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 December 17, p. 31.

DOI: 10.1126/science.1229208

13.1.10

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ヤマアラシの棘に

 接触したとき「まあやらし」と構えている場合ではない。かなりの痛さで肌に食い込む。一般に、ほ乳類の棘は、微小な返しが備わっていて、それが食い込むと取り除くのが難しい構造になっている[1]。今回さらにこの返し構造が、返しのないものより、棘を肌に、より簡単に差し込むことができることもわかった。すなわち返し付きの棘は、細胞の組織のダメージを最小限にしながら、より少ない労力で差し込むことができる。また返しは差し込むための力をある部分に集中させることもできて、あたかもギザギザのあるナイフがトマトをよりスムーズにスライスできるような方法で、細胞の組織を突き抜ける。今回の発見は、よりよい医療用道具である針や生物学的な接着剤などを製造するよいヒントである。後者を見せるために、研究者らは、型にはめた多くのポリウレタンの棘を調製し、その細胞組織への接着力が、返しのないスパイクの30倍ほどであることも実証している。ヤマアラシの返し付きの棘、うらやましい構造だった。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 December 17, p. 31.

DOI: 10.1073/pnas.1216441109

13.1.9

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北欧のチーズ

 食おうと思ったときには日本でも入手できる。一方で紀元前6000年の頃のチーズは難しい。それでも当時の陶器の破片からサンプルを取り、その質量分析が行われた[1]。その結果、それらは昔のチーズ製造と一致する脂肪酸残基を含んでいた。北欧のチーズと言えばフランスやスイスであるが、これはポーランドの考古学のサイトから採取されたもので、北欧では最も古いチーズ製造となる。これより古いものはトルコのアナトリアに、とりあえず存在するが、それは紀元前7000年頃である。人類学者らは、このチーズ製造の始まりに特に関心を寄せているが、これは「有史以前の人類が、貴重な家畜を殺すことなく栄養食品を供給していること」を意味しているためである。しかも多段階を要するチーズ製造の技術があったことも興味深い。先の陶器の断片には小さな穴が空けられていたが、それは19~20世紀に利用されていたろ過器と似た形であり、液体の乳清をろ過するためのものだったのではないかと類推されている。チーズの謎にチ〜かズいた成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 December 17, p. 31.

DOI: 10.1038/nature11698

13.1.8

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金は今でも

 商品取引業者や宝石バイヤーに好まれるものの、化学工業では、その中程度な触媒能のために需要は限定的だった。それに対して、アルキンの水和が、およそ1000万のオーダーのターンオーバーあるいは出発化合物変換回数で実現された[1]。しかも1時間当りの触媒回転数も数10万回である。これらの値は現在工業的に利用されているPtPd触媒とほぼ同等の値である。珍妙なことに、金触媒は3から10の金原子のクラスターになっている。この集合体は、均一系あるいは単層触媒に含まれている触媒化学種よりも大きいけど、不均一あるいは多層触媒に含まれているかなりの原子のナノサイズのクラスターよりは小さい。いわば中間のクラスダ〜である。すなわちここで開発された触媒は不均一と均一系触媒の間のこれまでには知られていなかったスイート・スポットに、すい〜っと、はまっている。工業化には金触媒の活性を保ったまま安定化・長寿命化する必要もあるけど、この成果は、これまで報告されている金触媒反応の実際の化学種も改めて検証すべきであることを示唆している。「検証から新発見でしょうへ」いけるかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 December 17, p. 10.

DOI: 10.1126/science.1227813

13.1.7

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日本酒のいわゆる

 老香成分のひとつとしてジメチルトリスルファン(MeSSSMe)(DMTS)が知られている。これに関する研究にも挑戦という賀状をもらった。では一体、その老香の起源は何か?どうこう言わずにネット検索した[1]。実際このトリスルファンは、タマネギ様のにおいも、するふぁんで、加熱調理したタマネギ、ブロッコリ、チーズなどの食品にも含まれる。で日本酒の場合、長期保存で複雑な香りや滑らかさが付与されて出回る場合もある。DMTSへは、メチオニンのストレッカー分解、メチオナールを経た生成経路が提案されていた。ただしメチル基をD化したメチオニンを使った実験結果は提案されている経路とは違っていた。そこで清酒の中からDMTSの前駆体が一体何かとその精製が行われた。とは言え微量成分である。随分苦労されたに違いない。それでも独自の分離技術でそれを成し遂げた。1,2-ジヒドロキシ-5-(メチルスルフィニル)ペンタン-3-オンが、前駆体の一つとして提案されている。酒は、黙って静かに(DMTS)、飲むべかりけり。

[1] http://www.jeol.co.jp/publication/nihondenshi/j_backnumber/41/j41_08.pdf

[2] メチオニン:MeSCH2CH2CH(NH2)COOH、メチオナール:MeSCH2CH2C(O)H、ストレッカー分解:CH(NH2)COOH基がC(O)H基に変換される。

13.1.6

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贈り物の季節

 先月、たくさんの卒業生から贈り物を研究室にお送りいただいた。改めて感謝します。その彼ら、彼女らもこの時期、「修士論文」という未来への贈り物の完成に邁進していた。学生用に一冊コピーを残して、それが後輩たちの参考文献になった。中には想定外にも、装丁が外れかけの論文もある。それでも「この部分がわからないので実験ノートを見せてください」という場合もある。いざ実験ノートを見ても微妙な操作などのニュアンスが読み取れなくて、時にはモバイルで直接指導を受ける。今度はその後輩たちの執筆のシーズン。沈〜んだ気持ち、大変やあ〜という感覚を吹っ飛ばして、まずはこれまでの実験結果全体を振り返って、項目を立ててみよう。で「期待と違った結果は何が起こったかを詳しく」「期待通りに進んだ結果は後輩たちが再現できるように」「新提案も盛り込む意気込みで」クールにかつ丁寧に組み立てる。化合物データも完璧にして、そっと差し出していただけることを祈っています。

13.1.5

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携帯型メディアは現在

 液晶ディスプレイ技術依存である。それに対してOLED(有機EL)による、より薄く、より軽く、より明るく、より柔軟なディスプレイ実現が、大いに期待されている。その結果、ブレスレット型、織物や衣服に組込まれたディスプレイも夢ではない。ただし現在のOLEDデバイスは高価で十分なパワーがないため、新しいタイプの有機化合物の探索が広く行われている[1]。その中カルバゾリルジシアノベンゼンをもとにした安価な化合物を使った、電流に応答して高い効率で発光する系が開発された。カルバゾリル基の数を調整することと、別の置換基を導入することでスカイブルーからオレンジ色に発光する。およそ25年前に、全てが有機化合物であるOLEDディスプレイが登場したが、その時の発光効率は高くなく、燐光発光する金属錯体を用いたOLEDが、現状では標準である。それでもIrや合成段階で金属触媒を用いるため、コスト面で期待を超すとった。それに対してここでは、金属を含まない化合物で分子の励起一重項と三重項の間のエネルギーギャップの小さな化合物を設計し、それらをすべて市販品の化合物から一段階で合成している。しかも現在報告されている燐光OLEDに匹敵する発光効率であり、「all organicでおるがに〜」のOLED実用化の可能性が示されている。

[1] Chemical & Engineering News, 2012 December 17, p. 9.

DOI: 10.1038/nature11687

13.1.4

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箱根駅伝

 ごぼう抜きを達成したベンジャミン選手。ケニアに同様の言葉があるかわからない。でもいずれは訳語もケアして、ニア〜としたい。その前に日本語のその語源「ごぼうの入っていない料理のこと」ではたぶんない。ネット検索してもらった。長いわりには引き抜きやすいことが由来。はたまた、ごぼうは根っこから抜くのが難しいので、それを成し遂げたとのこと。結論は出ず。しかも走ることを主とする競技では、何人抜けば「ごぼう抜き」かについても結論は出ず。ただし無理やりはいけない。横暴抜きになってしまう。いまではインターネットにオリジナルがある学生レポートを検索するソフトもあるらしい。それでも昨日の「ひと振りすると巻き取ってある紙が伸びた」の調べ方がわからない。写真をYahoo知恵袋にアップするかなと話題になった。一方でキーワードを考えて検索してもらって、現物写真と名前のページにたどりついた。この商品はネット販売で大量購入できる。「ペーパーヨーヨー」ようよう新年の知らんねんという謎が解けた。

13.1.3

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参道の出店

 たこ焼きから卵センベイ、フランクフルト、辛口チキン、りんご飴などなど食べ物販売からゲームまで。かつてサメ釣りという外れなしのゲームがあった。番号次第で、お絵描きセットや当時のアニメのヒーローやヒロインをモチーフにした景品をいただいた。一休さんに登場した超一級品のお地蔵さん、今でも我が家のアイドルがイルドである。射的、輪投げ。幼少の頃もスマートボールに興じた。いくつかのパターンがある。5 X 5かのボール穴にボールを入れて、いわばビンゴになれば、その出来具合で景品のステージが上がる。別のパターンはパチンコ型である。真ん中にある「賞」にボールが入れば、これで「しょう」という景品を手にすることができる。違った穴に入るとボールが手元に戻ってきて、別のチャレンジの機会を得る。若い世代の親子で楽しんでいる中、自分もチャレンジした。レンジの広いゲームである。終わった後、三つの景品の中からいわば参加賞を選ばせてもらった。昔ながらのおもちゃ、でも名前がわからない。ひと振りすると巻き取ってある紙が伸びた。今年はもっとのばせていただけますようにと願いを込めて遊んだ。

13.1.2

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2013年

 あけましておめでとうございます。皆さん、巳年の見通しは如何ですか。ヘビーな年になるか、へんぴな地域を訪ねる機会を得るか、未読小説を読みきる年になるか、これからです。4TDL開園30周年、5月大彗星接近の可能性、92020年オリンピック開催地の発表など、話題になりそうです。研究室では10月「複素環化学討論会」のお世話をさせていただきます。もちろん服装考える討論会ではないですが、襟を正していきたいです。この成功も祈って初詣に出向きました。冬晴れの中、例年の如く、大阪天満宮です。古いお札を返納して本殿にお参り。おみくじを午前9時台に引きました。混雑する中、新たなお札を手にして、これで札付きになっちゃったかもしれません。倖梅茶もあります。お湯を注ぐと中の昆布が開きます。そこには文字が刻まれていて、ご神徳にあやかれますようにとのことらしいです。本殿右手には絵馬、えまい事お願いが込められています。中には、合格祈願の下に「良縁求む」もありました。

13.1.1

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