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2013年2月

鎮痛薬モルヒネ

 抗マラリア剤キニーネ、勃起不全治療薬タダラフィル、ここでこれらの間の関連性のイメージは、名人でない限り、難しい。それでも化学者は、いずれもピペリジン環を有していることに気づく。それは含窒素六員環を含み、その部位が薬剤として主たる役割を果たす。ただし様々な構造的に多様なピペリジン製造、それは多数の薬剤候補を導くことがきるものの、未だにチャレンジングな課題である。その中アザジエンのアルキンへの付加、続くプロトン化、求核剤の付加というシーケンスによる新しい方法が開発された[1]Rh触媒で導かれるアザトリエン、取り柄んの一つとして電子環状反応を受けて置換ジヒドロピリジンに至る。ここで研究者らはプロトン化を行ったが、二カ所で起こり位置異性体を与える可能性があった。探索の結果、より強い酸を使った場合には、イミンのα位で、より弱い酸ではγ位で進行した。その後の求核剤の付加はこれによって制御され、位置異性体のつくり分けに成功した。このことから早い時期での工業化も期待されている。「Ellman先生ら、えれえまんや」です。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 11, p. 7.

DOI: 10.1126/science.1230704

13.2.28

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多成分連結ができる

 Ugi反応、創薬の分野では、コンビナトリアルにペプチドライブラリーを構築できる点で、とりわけ有用である。反応は通常、酸あるいは金属触媒存在下で行われる。それに対して、今回このワンポット反応を酵素が、高速に促進することが初めて報告された。それによってアミン、アルデヒドとイソシアニドからジペプチドが導かれている[1]。研究者らは、リパーゼが、雑多な酵素であるため、この伝統的な縮合反応を媒介できるのではないかと考えた。そこで市販品のリパーゼを使って反応を行い、ジペプチドを75%以上の収率で、そのうちのいくつかは非天然のアミノ酸で組立てられているが、を導いた。ただし立体選択性はない。なお溶媒としてはトルエン、クロロホルム、水が適している。一方でUgi反応によく使われるエタノール溶媒は、やばい。目的生成物を全く与えなかった。研究者らは、酵素を微調整することで、他の有用な多成分反応も触媒できると述べている。Ugi反応の流儀も新しいステージに入ったかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 4, p. 25.

DOI: 10.1021/ol3033829

13.2.27

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コレステロール低下薬

 スタチン、少々のお駄賃では入手できない。たとえばリピトールやクレストール、さらに抗菌剤であるザイボックスなどの医薬品の製造には3-ヒドロキシγ-ブチロラクトン(3HBL)が必要である。ただしこの3HBLの製造には、有害なプロセスや高価な触媒を必要とし、1 kgあたり450ドルの価格である。この状況を改善するため今回、3HBLやその加水分解化合物である3,4-ジヒドロキシブタン酸を、グルコース単独あるいは、グリコとはたぶん関係ないが、グリコール酸塩との組合せで導く生合成法が開拓された[1]。研究者らは、3-ヒドロキシブタン酸エステルなどを導く既存の酵素経路を適用、それを設計しなおすことで、より幅の広い3-ヒドロキシカルボン酸合成に成功した。鍵となるエンザイムはチオラーゼであり、それはC-C結合形成のクライゼン縮合[2]を触媒する。ただしさらにこの系を最適化しなくては、現在の工業ルートと競争できるプロセスにはならないとしているものの、C-C結合形成に基づく、改良改変し得た経路の有用性を示したと研究者らは記している。クライゼン縮合の前途、明るいぜん。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 4, p. 25.

DOI:10.1038/ncomms2418

[2] 二分子のエステルが縮合してβ-ケトエステルを与える反応。

13.2.26

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アルキド樹脂は

 塗料やコーティングで利用されているポリエステルである。空気にさらすと、金属触媒、特にコバルト触媒の助けを借りて、ポリエスエルが架橋結合する。その結果、このプロセスで塗膜を効果的に硬化させることができ、滑らかな仕上がりになる。ただし消費者は、コバルト触媒の代替となる低毒性な環境調和型触媒を、コーティング産業が使うことを要請している。ちょうどその折り、酵素触媒が開発された[1]。すなわちラッカーゼ酵素、これはこれまで食品や他の産業では利用されていたが、ここではそれが空気中の酸素で1-ヒドロキシベンゾトリアゾールの酸化を促進する。さらに酸化された媒介分子が、ポリエステルの二重結合から水素を引き抜き、架橋結合形成が、かっきょうよく、活況を呈して促進される。酵素を用いた硬化は、今後想定される新たな規制:「コバルトコーティングを行った場合には、それについて登録、分類、明記しなくてはならない」を回避できる一助になりそうである。酵素触媒コーティング、皆さん、買うてぃんぐ。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 4, p. 25.

DOI: 10.1039/c2gc36666e

13.2.25

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神戸に

 行こうべと5年前、本学を退職されて、この地のセンターに赴任された。ケミカルバイオロジーという言葉がなじみのなかった頃から、この分野に挑まれた。ポジトロン断層法、応用範囲は広いけど、半減期の短い核種を組込んだ分子プローブが必要である。たとえば炭素11(半減期20分)を組込むため、これまでは分子中のカルボキシル基やアミノ基をC(11)H3化していた。ただしこれでは分子のタンパク質への挙動が大きく変化したり、生体内で加水分解してC(11)H3OHを観測している場合もある。そこでC-C結合形成で、分子の機能そのものには影響しない部位に短時間でC(11)H3を組込む高速メチル化反応を開発された。この地には高速神戸駅もある。でクロスカップリング反応、CH3Iを用いた場合、ほとんど目的生成物を与えない。それを解決し、そこから共同研究によって、体内動態も明らかにされた。圧倒されるお話だった。この三月で再び退職される。異色の研究者・先生から「成功の秘訣は、小さな個人の性格の積み重ね」とのお言葉をいただいた。

13.2.24

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力道山の

 空手チョップ、当時は映像でも見ていない。でもその対戦相手ザ・デストロイアーさんは今もご健在で、お会いできた [1]。その後番組は、東京オリンピックに移る。鳩が飛び出して、さらにハッとさせたブルーインパルス。東京でテレビを見ていた人は、屋外に出たという。自衛隊のメンバーは東京上空に五輪を描いた。当時のメンバーは、お互いのジェット機の距離を目視で瞬時に判断されたらしい。同様にテレビも「衛星放送を使って世界に発信」、「マラソンをフル中継」など世界初の試みに挑んだ。あまた眠る頭の中から、記憶が呼び戻されて、断片がつながってしまった。マラソンでは圧倒的強さのアベベ選手、肌が黒い同級生のニックネームにもなった。でも「自分は、あ、べべ[2]」陸上競技場に戻ってほとんど最後の瞬間、円谷選手の順位が変わった。バレーボール女子、白黒テレビの前で応援していた。ソ連に勝利した最後が、相手のタッチネットだったとは。ちっねっとも知らなかった。

[1] NHK「テレビとスポーツ60年」(2013222日)

[2] 大阪言葉か?「一番遅い」という意味だった。

13.2.23

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量子ドット

 半導体無機ナノ結晶は、純粋な色を放出することができるなど独自の特性を有しており、これがコンピューターやテレビディスプレイのための発光ダイオード(LED)の礎となりえる。ただし量子ドットはCdなどの毒性金属を含む。それに対してケイ素量子ドットが開発された[1]。軽率には言えないが、ケイ素原子の毒性は相対的に低い。一方で「可視スペクトル領域の光がでます」というデバイス作成は、ケイ素量子ドットのサイズの制御が難しいことから、困難だった。今回ナノ結晶のサイズ制御のため、生体分子の単離のためにはしばしば用いられている超遠心法で、量子ドットをどっと分離した。その結果、1- 3 nmの直径のナノ結晶を30種類に分けることができ、それぞれのグループでは、サイズは同じである。これらの結晶を使って二つの電極の間に量子ドットの層を広げることでLEDを組み立てた。1.3 nmの直径のLEDは黄色、1.8 nmのそれは赤を発光した。今後は発光効率の向上と、青、緑の発光が必要である。研究者の一人Ozin先生、これらの課題へ応じんるはずである。

[1] Chemical & Engineering News, September 4, p. 8.

DOI: 10.1021/nl3038689

13.2.22

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ミシシッピー州の10代

 が重大な課題に取り組んだ。マウンテンデューやゲータレード、米国で販売されている飲料。これらに柑橘系の香りを持たせるために、臭素化植物油(BVO)が含まれている。ただしBVOは難燃剤としても使用されていることを発見した、先のティーンエイジャー。これじゃ〜いかんね〜と、インターネット上で嘆願を始めた。その結果、206000人以上の人の署名を集め、BVOをゲータレード成分から排除することを販売元にお願いした。販売元であるPepsiCoは、BVOに対して否定的な印象を持つ顧客もいることから、それを酢酸スクロースなどで置換えることにした。それらは世界中で使用が許可されている。一方、BVOは全ての国で許可されている訳ではない。米国でも50年程前は添加物としては禁止されていたが、1977年に15 ppmまでは許可された。その当時は、それほど多くのソフトドリンクを飲むことはなかったけど、今では、特に若年男性が、これらの飲料を手にする機会も増えている。ゲータレード成分のトレードに成功したお話でした。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 4, p. 5.

13.2.21

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安価な高分子と

 地球上に豊富にある材料から有機太陽電池を作成することができれば、低価格で環境調和な方法で、太陽エネルギーを捕獲できる[1]。ただし従来法は、製造面で煩雑だった。それに対して今回、これまでの限界、すなわち多段階の工程や組立段階があること、デバイスの効率の低さを克服し、大スケールでの製造が行われた。速い連続のロールツーロール方式[2]の印刷技術を使って、これまでにはない長い、16000の高分子をつなげた太陽電池を作成した。一応両端は、見え〜とるが、長さはおよそ80メートルである。試験は、この多層のデバイス、しかも通常は使われている高価な電子材料である酸化インジウムは不参加で関わらず、安定的に出力電圧8.2 kVを生み出した。この値は、標準の光起電モジュールが数百ボルトであることを遥かに上回っており、電流の流れを最大にする鍵となるものである。デンマークの研究者らの、うま〜くやった成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 28, p. 32.

DOI: 10.1002/ente.201200055

[2]一言で言えば、巻紙に印刷して、さらに巻き取る方式の印刷、自動車会社ロールス.ロイスとは関係がない、多分。

13.2.20

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チタン酸バリウムや

 他の強誘電体材料は、外部電場をかけると、分極を変更することができるため、珍重されており、医用画像、コンピュータメモリー、太陽光発電を含む応用分野で有用である。ただし課題は、金属酸化物強誘電体はフィルムにすることが難しいこと、しばしば毒性の金属を含んでいる点である。それに対して有機塩のジイソプロピルアンモニウムブロミド(DIPAB)の結晶が、チタン酸バリウムと同等の強誘電特性を示すことが報告された[1]。有機強誘電体は、およそ100年もの間、きっちりと、既知ではあったものの、いずれも金属酸化物様の特性を示したものは全くなかった。中国と米国の共同研究チームは、強誘電性と高い融点の両方の性質を持つ有機材料の探索に挑み、DIPABが他の標準的な強誘電特性を有する化合物と同様の分極を有することを発見した。しかもDIPABは、水溶液から加工でき、簡単に使えて、環境調和型である。新しい強誘電性、共有できまっせい。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 28, p. 32.

DOI: 10.1126/science.1229675

13.2.19

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Basketは、かご

 助っ人は外国人選手、casketは宝庫である。今回、化石が顔料のそれである。色合いのある化石のほとんどが化学的には分析されていない[1]。そこで、研究者らは、ウミユリと呼ばれている海洋動物、それはヒトデやハリネズミとも関連しているが、そのおよそ34千万年前の化石から抽出した最も古い顔料分子の分析をおこなった。顔料測定に利用された技術は別の色合いのある化石分析にも応用可能である。この研究の目的は、単に古い有機体のカラーパレットを再構築するだけではなくて、古い化石に保存されている有機分子によって、化石化されたものと現代の有機体との系統発生学的な関係を明らかにすることも目指している。個性豊かな、古生物学者も加わったチームは、三種類のウミユリ種の化石からおよそ1gのサンプルを集めて分析したところ、芳香属さらにはポリ環状芳香族化合物から誘導されるキノンからなる顔料の複雑な混合物であることがわかった。成分を明らかにできたウミユリ、学者冥利にも尽きる。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 28, p. 31.

DOI: 10.1130/g33792.1

13.2.18

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ナイトキャップにも

 つまみが欲しい。つまらないものでも、自分でお気に入りを調達する。落花生がブームだった。でも口の中が乾いては、さらにもう一杯なんかになってしまって、亀甲ボトルが追いつかない。大豆系のさわやかさで、夏は冷奴、まろやかさで冬も冷奴だった。でもさすがに寒い日の冷奴では、身体が冷やっこである。そこで中から暖めようと、再び亀甲ボトルが境界線を越えてしまう。悩んでいると「湯豆腐だ」と気がついた。ただし鍋で湯をわかして準備するのは、時間もかかる。試しに電子レンジの世話になることにした。今時は4 cm四方の豆腐が手に入る。そのままでは試したことがない。電子レンジ許容の器に入れて、それをおよそ110秒、700 Wでチンした。ほどよい暖かさと湯気の雰囲気に仕上がる。そこにポンズ、ネギ、ショウガ、お好みで添えると、リッチな気分になることがわかった。それでも湯豆腐で、夜通ふし飲める雰囲気になると、また危ういので、このご時勢、自制しなくてはいけない。

13.2.17

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ナイトキャップ

 がないと、キャプテンは嘆くかもしれない。ただし、キャップはサンタの帽子や、にやっとできるニットの帽子ではない。いわゆる寝酒、night cap。時にいただく。数十年来、角瓶である。琥珀色から、白角、黒い系も登場したけど、オリジナルが今もいい。学生時代は1500円だったのが、何だがデフレである。戦前すでにNew Yorkのバーにそれがあったという宣伝もあった。帝国海軍とも縁があったらしい。亀甲グラスに亀甲ボトル、「これ以上は飲んだらダメだよ」というサインにも見える。でも海外に出向く機会もあって、違った銘柄も手にする。Jonny Walker Double Black, 基本的に日本では手に入らない。ヨウ素の香りと味わいに、思わず深酒になってしまう。ただしボトルのキャップが弱い。ふたに負担がかかる閉め方では、ねじが切れてしまうので注意。それでもこの一杯も、氷にゆるりと拡散する。この様子、隠さんように見せてもあげたい。

13.2.16

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新薬が出ない

 その訳の一つは、化合物のライブラリーにおける構造の多様性が相対的に不足していることにあるらしい[1]。候補化合物は、構造的、立体化学的あるいは機能的に、天然物と同様の複雑性を持たせるべきである。実際、最近発見された抗がん剤の41%が、また抗菌剤の65%が天然物であり、今後もそこからの新薬登場の可能性は高い。そこで今回、環状骨格を有する天然物そのものを出発化合物にして、環や官能基、複雑性や多様性を持たせる方法が開発された。ジベレリン酸、アドレノステロン、キニーネなどの天然物を出発に、開環、環拡大、縮合、転位、官能基修飾などで、新しい誘導体が合成されている。その結果、これまでのライブラリーより遥かに複雑性と多様性が付与されており、このライブラリーをぶらり〜と訪ねてみたくもなる。これまでも天然物から始める手法は知られていたが、そのコア部位は、怖くてか、あまり変換されてはこなかった。ここでは大胆にそれに切り込んでいる。研究者らは、実験着のクリーニングとともに、これらの化合物の生理活性スクリーニングも始めている。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 28, p. 9.

DOI:10.1038/nchem.1549

13.2.15

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修士論文発表会

 の場に終始います。ただし自分のリテラシーでは、そんなん「あったらし~」とたどり着くことができない発表も多い。三年もその分野にいれば、専門用語が、20代前半の学生諸氏の身体に馴染む。時に質問を投げかける先生もおられる。村井君は、皆さんが入れ込んで到達した成果に、トンチンカンな質問では申し訳ないと思ってしまったので、まずは控えた。でも同じ気持ちの聞き手ばかりで、座長の先生が苦慮する場面もあった。こちらがスクランブル発進しなくてはという思いはあっても、再びリテラシーなしである。研究室の学生さんの発表は終わった。その質問、あの時に練習したあれを転用すればいいのにと感じたこともあり。内心ほぞを噛みながら、静かに流れるままにその場にいた。忸怩たる思いとはこのことか。せっかくやったことなのに、聞かれている内容をつかみきれず、谷におちる如く、回答する。もったいないのひとつ、でもそれもよし、緊張の貴重なるひと時ぞ。

13.2.14

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神経毒である金属の

 放出や使用を禁止する協定が結ばれた[1]。日本の呼びかけで「水俣条約」として提案され、世界中のみんながまったをかけずに、決まった。内容は、スイスジュネーブにて、眠〜ぶいことも忘れて、昼夜を問わず、議論された。その結果、石炭火力、工業ボイラー、他の工業設備は、最新の技術を使って水銀の放出を制御することが義務づけられる。50の国が加わり、新しい設備では5年以内に、既存の設備では10年以内にそれを成し遂げなくてはいけない。また2020年までには、含水銀製品、たとえば電池、スイッチ、温度計、化粧品、コンパクトな蛍光灯などの製品の使用が禁止される。ただしある環境保護団体は、今回の条約では不十分であると指摘している。確かに水銀量の増加は抑制されるが、より本格的な政治的な約束が必要であると言う。たとえば今回の条約では、職人技の小さいスケールの金鉱山の水銀については、規制の対象外である。その水銀排出量は、最も多いとされる石炭火力をも上回っているとのことである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 28, p. 8.

13.2.13

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四つの陽電荷を有する

 化合物を並べることは、物理の法則に反する。それぞれの電荷が反発するため、これらの分子を囲いに入れる様に配列させることは、いわば化学者の愚かな行為である。それに反して、4,4'-ビピリジル二分子をα,α'-p-キシレンでつないだ環状テトラカチオン二分子がからみあったオクタカチオンが合成された。まず陽電荷を帯びたラジカル同士からインターロックした化合物を導く。ラジカルが対になろうとする力で反発力が克服されている。この種の化合物はカテナンと呼ばれているが、今回のは、誰も「勝てんなん」である。新しく合成したカテナンは、テトララジカルテトラカチオンとして存在し、空気にさらされると、6+ジラジカルや7+モノラジカルに酸化され、これらの状態がX線でも明らかにされている。この場合9つの可能性のある酸化状態が存在するが、オクタカチオンは、電気化学的酸化によって調製し、8つの陽電荷が、およそ立方ナノメートルのサイズの中に押し込められている。すなわちスペースから「陽電荷は、よう出んか」である。この特徴、電子貯蔵システムなどとしても利用しうる。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 28, p. 6.

DOI: 10.1126/science.1228429

13.2.12

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アンケートのお願い

 あ〜ん系統的に来てほしいと思う。二月になってACSからは、サービス向上のためなどと、複数のメールが来た。大変短い質問にお答えください。でこちらは3分ほどで完了した。もう一つは、ランダムに選ばれたので15分で終わるアンケートにお答え下さいと言う。放っておいたらreminder(催促)が二日後に来た。この「reminderにまいるんだなあ」とか思いながらそのページを開く。「主たる専門は」から始まる。ACSが担う様々なサービスについて、これまで利用した頻度、満足度など、中には全く使ったことがないサービスもあるけど、いずれの質問も五択ほどから選ぶことになる。知らない単語もあって意味調べをしているうちに15分は、とうに過ぎた。最後に連絡先、名前を入れれば、ギフトカードが抽選でもらえるというページにたどり着いた。けどその条件の説明が延々と続いていた。他にも学内、学外からのアンケートが滞ったままである。「このアンケート、関係ね〜と」思うものも中にはある。今度はこちらから「年間に受け取るアンケート数」についてアンケートをやってみたい。

13.2.11

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有機エレクトロニクスには

 ヘテロ芳香環(heteroacenes)がしばしば用いられる。導電性材料の有機発光ダイオード(OLED)、太陽電池や他のデバイスでは、その光学的、電子的、酸化還元特性が活用されるものの、様々な応用をすべく、研究者らは絶えず、その特性の微調整を行っている[1]。今回二つの研究グループが、新規なヘテロアセンを、あせらんように、あせん水流して、開発した。一つはピリジンが有する五つの水素原子を2-チエニル基で置換えている[2]。いわばピリジンのチオフェン フル置換で、ふるっている。さらにその二量体版は、チオフェンあるいはアルキンで架橋している。合成はPd触媒クロスカップリングを駆使した反応であり、その反応は立体的に混みいった系でも進行し、込み入った話にはならないらしい。もう一つは[3]、側面にベンゾフラン骨格を有するオキソホスホールの初めての例である。OLEDに組込んだ際には、高い熱的安定性で、青緑色発光した。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 21, p. 27.

[2] DOI: 10.1021/ ol303231c

[3] DOI: 10.1021/ol303260d

13.2.10

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要旨を提出

 ようしやるぞ!と自分に容赦なく、バージョンアップする人。ようよう仕上がったで、ひとまず安心する人。それぞれである。どちらにしても一年前は、全く知らなかった専門用語をなにげに使っている。しかもついついそれを、発表会で、別の研究室の方や三年生、二年生に、冒頭から説明してしまう人も、例年いる。そこで卒論のポスター発表では、「一年前の自分が眼の前にいたとしたら、どこから話をしよう」と考えてみるといい。一方で、ほぼ同じ専門分野の先輩や先生には、どの部分をアピールしたいか、様々な切り口を持っておきたい。加えて、発表の際の説明や質疑応答の時間。短すぎず長過ぎずが基本ではある。中には「どこが面白かったか一言で言いなさい」という難題も飛ぶ。これ何だいと考えていると「じゃあいいわ」になってしまうし、「一言」で簡単に言えることはそうはないけど、備えておきたい。いずれにしてもあとわずか。体調維持、easyではないかもしれないけど、それで乗り切りましょう。

13.2.9

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男性の中には

 デートの確約のために、コロンに頼る人もいる。つけて転んで口論になる場合もあるかもしれない。でネズミはどうか? ここに、これまで機能が未知のマウスの臭い受容体の役割の解明にチャレンジする研究チームがあった。彼らはまず、かえるの卵母細胞のなかの、オーファン臭い受容体を見出した。その受容体を、ネズミの涙、唾液、尿、乳腺にさらし、バインドするかどうかを検討した。その結果、「カエルのつらに水」ならぬ、尿との組合せが陽性な結果を与えた。そこでそれを分別し、バインドするパートーナーの解明を行った。一般にネズミの尿で見つかっている様々な臭いは、ネズミの社会生活と関わっている。たとえばやさしさ、オスの優位性、妊娠、排卵などが表現される。今回研究者らは、先の分別法によって、メスネズミは、(Z)-5-テトラデセン-1-オールに引き寄せられることを明らかにし、マウス尿の臭いの合図(cue)の一つに加えられた[1]。このcueでネズミは、きゅんとなるに違いない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 January 21, p. 27,

DOI: 10.1038/nchembio.1164

13.2.8

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過酸化水素のような

 活性酸素(reactive oxygen species, ROS)、細胞に悪影響を与えるなどと、評判が悪い。それに対してこれには「癒し」の効果もあるらしい[1]。研究者らは、ROSがどの程度細胞に悪いのか、よいのかを明らかにするために、オタマジャクシを使った実験を行った。まず遺伝子工学によって、オタマジャクシが、過酸化水素のような化合物によって酸化された際に、蛍光発光するタンパク質を生産できるようにした。ついでオタマジャクシのシッポをカットした。その際、再びシッポが成長していく組織では、ROSが高濃度だった。またROSのスカベンジャーである抗酸化剤存在下や、NADPHオキシダーゼがROSを発生させるのを妨げるアポシニンのような化合物に対して、シッポのないオタマジャクシをさらすと、シッポの再生産に失敗(シッポイ)した。これらはシッポの成長にはROSが必要であることを実証していた。オタマジャクシに、おったまげ、訳し終わった。

[1] Chemicals & Engineering News, 2013 January 21, p. 26.

DOI:10.1038/ncb2659

13.2.7

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ずらりと並ぶ酸化銅ナノワイヤ

 は「いや」と言うなかれ。これが太陽光発電の電気化学的な装置で、二酸化炭素を高い効率でメタノールに変換できる[1]。この成果は、安価で地球上に豊富にある材料で、温室効果ガスである二酸化炭素を有用化合物に変換する方法となり得る。テキサス・アーリントンの研究者らは、熱過程を使って、酸化銅(CuO)ナノロッドを成長させ、電気メッキでCu2Oの晶子をロッドにコーティングした。酸化銅を選んだのは、それらが相補的な電子特性を有すること、幅広い太陽吸収スペクトルを示すこと、高い電気触媒活性を示すためである。ナノロッドから電極を調製し、二酸化炭素が豊富な水溶液にそれを浸し、溶液に模擬太陽光を照射し、光電流を発生させた。試験結果は、セットアップした後、直ちにメタノールが、95%の電気化学効率で発生した。加えて反応は、別の系では必要な過剰なエネルギー(過電圧)の注入なしに、進行している。酸化銅ナノワイヤに、感動したのは、わいや。

[1] Chemicals & Engineering News, 2013 January 21, p. 26.

DOI:10.1039/c2cc38068d

13.2.6

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カーボンナノチューブファイバーで

 長さは少なくとも20 マイクロメーター、しかも多層なもの。あたっても痛そうではないけど、アスベストと同様の毒性が、ネズミで引き起こされることが、2008年に警鐘された[1]。そこでより安全なナノチューブを提供すべく、その表面の修飾が検討されてきた。ナノチューブのある部位に長いアルキル鎖を、また別の部分に酸素原子と、末端にはアミノ基を有する親水性の部位を組込み、マウスによる毒性の試験を行った。アルキル鎖を組込んだものは、もとのナノチューブと同様のアスベスト毒性を示した。一方で親水性を有するナノチューブは無毒であった。この種の化学修飾によって、よりよく分散し、束になったナノチューブが、ばらけることを可能にしている。そのため結果として毒性低下したと研究者らは説明している。ただし2008年に先の指摘をした研究者は、この結論には、懐疑的ではある。アスベスト毒性と縁のない「明日はベストな」ナノチューブを、これからも期待している。

[1] Chemicals & Engineering News, 2013 January 21, p. 5.

DOI: 10.1002/anie.201207664

13.2.5

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錠剤をコップ一杯の

 水と共に呑み込むと、ほどなく効果は現れる。確かに奇跡に近い。「医薬品クライシス」[1]の冒頭である。「これくらいです」と、最善の妥協によって医薬品ができる。その発見から世に送り出すまでの軌跡には、研究・開発に関わった人たちの粘り・執念・情熱が溢れている。ほぼ仕上げの臨床試験で副作用がみつかれば、その段階で開発がストプ、それまで投資していた100億円以上の開発費は無に帰す。ギャンブルである。医薬品として生き残る低分子は、酸性、アルカリ性いずれの条件でも頑丈で、疎水性部位、親水性部位も併せ持って、生体膜を通り抜けて、肝臓でも分解されず、でも役目を終えた頃には、代謝してもらわなくてはいけない。この厳しさをクリアして開発に成功した人には「狂気さえ感じさせる異様な信念」があるという。リーダー不在で、できちゃったは、ありえない。でも中には当初の目的とは異なる薬理作用にめぐりあって、世に送り出された薬もある。などなど急ぎ予習させてもらって、昨年は省いた「医薬品」について「クスリはリスク」という、どこかで聞いた言葉から、講義[2]を始めた。

[1] 佐藤健太郎著(新潮新書)、「創薬」やりたいと思っている人。是非、読んでくださいね。

[2] 佐藤健太郎著「創薬科学入門」(オーム社)も参考にさせてもらいました。抗がん剤が、マスタードガスからスタートしたとは、ガツンとやられました。

13.2.4

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特別仕様の巻ずし

 恵方巻。恵方とは「その年の干支(えと)によって定められる、最もよいとされる方角。その方向に歳徳神(としとくじん)がいるとされる」で、歳徳神とは「陰陽道(おんようどう)でその年の福徳をつかさどるとされる神」[1]、なんだか奥が深い。幼少の頃にはなかった風習が、ラインバック・田淵・ブリーデンがクリンナップを張っていた頃か、大阪でキャンペーンがあったらしい。仕掛人は、お寿司業界にあらず、ネット資料によれば、海苔の組合だった。20世紀の間は関西中心だったという痕跡が、今世紀になって全国に広がり、今ではコンビニでも手に入る。ただしコンビで求めても、二本入りはなかった。ともかく、え〜え方角を向いて、黙々と、お祈りしながら、何食わぬ顔で、丸かじりする。で今年の恵方、なっなっなんと、南南東とのことである。でこの風習「何なん?」:季節の変わり目に生じる邪気、その悪霊払いであるとあった。ただし悪霊に苦慮しているからと言っても、食べ過ぎにはご注意あれ。

[1] Yahoo!辞書

13.2.3

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右足のくるぶし

 辺りに痛みがあって苦ぶしかった。今年になって一進一退を繰り返していたけど、センター試験の監督をなんとか終えた翌日、整形外科で診察してもらった。足を引きずりながらレントゲン室に移動。その結果をもとに先生の診断、骨が折れていないことはわかるけど、痛みの原因は特定できない。「炎症を抑えると、ええんでしょう」とジクロフェナクが主成分の薬を処方してもらった。確かにこの坐薬の効果は抜群だった。ついでに血液採取、結果は来週とのこと。あらためて病院へ出向く。関節炎だったとの診断。その後、人の関節のこと、親切に教えていただいた。「関節では、粘り気のある液体が、潤滑油の役目をしている。筋肉を動かすことで、適度に入れ替わりが起こって、スムーズに動かすことができる状態を保っている。ところがバランスが崩れて液体が出続けると、しゃわしゃわになってしまって、いわゆる水がたまる状態になる」らしい。それで激痛が走ることもあるとのこと。少し痛いかなと思った時は、ゆっくりと足首を回すなどの運動をするのがよいとのことである。「水がたまって、たまらんで」状態になりませんように。

13.2.2

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野副鉄男先生の

 サイン帳を覗いてみませんか。非ベンゼノイド芳香族化合物であるトロポロンやその誘導体の研究をされていた先生。その化学が1940年代から50年代にかけて欧米でもポピュラーになり、先生のお仕事が、それらの国でも注目を浴び始めた。ついで欧米からの招待を受けて、長旅に出られた。その折り、お会いした先生方にノートを渡されて「お会いできた記念に、何か落書きでもしてください」で、162ページに及ぶサイン帳が始まった。世界中さらには日本の先生方のメモ書き、分子構造など1953119日からか、最後は19641123日まで記されている。しかもこれらがThe Chemical Record(http://www.wiley-vch.de/util/nozoe/online.php)ではオープンアクセス。ほんの一部がC&E News[1]に掲載されている。19708R. Hoffmann先生「理論的に興味ある分子」をメモ書き。そのすぐ下に中西香爾先生、酔っぱらってコメント「ナンセンス、これは理論家のすばらしい夢だ。有機化学者に頼め、自分以外の」とある。

[1] Chemicals & Engineering News, 2013 January 21, p. 28.

13.2.1

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