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2013年3月

大岡越前の

 リメイク、事前に情報を得た。かつては民放。それを見るほうだった自分。今回はBS2での放映。東山紀之さん扮するも、やはり南町奉行所である。桑名山田奉行所で仕えていたときに、紀州藩の若殿、後の吉宗を捕えた。将軍になった吉宗が、大岡君を江戸に呼び出し、さては罰を下すかというくだりは、40年ほど前に見たストーリーと重なる。録画するすべもなかった当時は、月曜日午後8時に備えて、画面に見入って、主人公に憧れた。でも今回は、1時間でコマーシャルなし、なので話は回らっしゃる。奉行になった最初の事件。いわばえん罪である。罪を償い終えた加害者とされた人物が江戸にもどる。かつては友人だった、自分をおとしめたいわば被害者を発見した。そのいわば被害者の主たる動機は貧しさから逃れたかったという。裁定が、お白州で知らすれて、一件落着。加害者は店を閉じて島流しになった。お~自分のことか、その主の屋号は「村井屋」。「村井君や」ならば、なおさらフィットした。

13.3.31

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報告の季節・別れの季節

 である。しばらく前が、締切だった貢献度の自己申告。作成する前に、この一年間、研究室から発信した発表リストを自分なりに作成する。それなりの数があって、半日ほど費やしてしまう。この情報を大学のサーバーへアップする要請もあり。ただし「自分がアップアップで、ようせん」が現状である。それでもそこから必要な情報を抜き出して一覧表に記入。あれやこれやで締切に間に合う。でもこのマニアにはなりたくはない。その3月が終わりに近づいた頃、わかれへんかった別れのお知らせがあった。定年を前に本学を去られるとのこと。工学部にはわずか数年の在籍にも関わらず、この四月から発足する新学科体制整備や、建物改修に対する対応では、八面六臂の活躍をされた。さぞやお疲れになったのかと思ったけど、さにあらず。新たな世界にシフトされる。こじんまりした退職記念の会のお誘いを受けるものの、委員会と重なってしまった。今年一番の悔しい出来事である。なので時間を作っていただいた。安堵感と達成感が、ない交ぜの中、貴重なアドバイスもいただいた。こりゃあ、やばいっす。

13.3.30

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メタセシス反応は

 化学工業では、炭素炭素多重結合を有する化合物を製造する最も重要なプロセスである、たとえばそれによってつくられたアルケンやアルキンを重合することで、プラスチックが導かれている。このメタセシスを炭素の同族であるケイ素化合物へも拡大できれば、シリコン高分子を提供しうる[1]。ただしその適切な前駆体がなかった。その中、関口先生らは、それを完成させるべく、二環性テトラシリコン分子とチタノセンジクロリドとの反応からTi=Si錯体を導いた。この化合物はアルケンやアルキンのメタセシス反応で、触媒として作用するアルキリデン金属錯体の重い同族体である。さらにこの化合物とアルキンとの反応でシクロブテン中間体のケイ素版を初めて発生させることに成功した。ただしこの環状ケイ素化合物は、メタセシス反応のfrozen中間体であるらしく、触媒サイクルが完成し、目的生成物Ti=C-C=Siから、さらにはC=C-C=Siユニットを有する化合物には、今のところ至っていない。それでも「[2+2]環化付加反応を直接観測した貴重な成果である」とTilley先生も、成果を知り〜、高く評価されている。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 4, p. 12.

DOI: 10.1021/ja401072j

13.3.29

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化石燃料依存から

 脱却するための戦略の一つは、自動車等の乗り物の電力を、メタノールから発生する水素を使った燃料電池で供給することである[1]。メタノールは水素含有量が多く、基本的には、酸化によって温室効果ガスは発生しない。さらに幅広い温度範囲で、液体であるため、現状のガソリンや液化石油製品の設備を転用することができる。ただしこの反応を固体触媒によって行う場合には、高圧で200℃以上の温度が必要であった。それに対して100℃以下の反応が、溶解性のRu有機金属錯体を触媒として、水/メタノール混合系で達成された。ピンクパンサーも驚く、ピンサー錯体はアルカリ溶液中で調製され、二つのリン原子と窒素原子が三座でRu-Hに配位している。メタノールと錯体形成した後、水素の脱離、水の付加によるホルムアルデヒドジオールの形成、水素の脱離でギ酸形成、さらに水素とCO2の脱離で進行する。実際の燃料電池の系に近い条件での実験では、多少活性は落ちるものの、その活性が三週間、習慣になる程に維持された。燃料源としてメタノールに、めっちゃ頼〜る日は近いか。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 4, p. 9.

DOI: 10.1038/nature11891

13.3.28

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アレンは

 炭素鎖が、連続する二重結合で繋がった化合物で、この様式によって、異なる置換基をアレンの末端四カ所、決まったんところに組込むことができる。それによって有用な生物活性を有する非対称アレンを構築できるものの、高い光学純度でこのアレンを導く方法は、ほとんど未開拓であった。それに対して丸岡先生らのグループは、ビナフチル基を有するアンモニウム塩をキラル触媒として用い、アルキルアレンジカルボン酸エステルからエノラート様の中間体を発生させた。さらにこれに親電子剤であるイミンを付加させることで、キラルアミノ基を有する四置換アレンを導いた。親電子剤としてハロゲン化アルキルを用いた場合には、四置換アルキルアレンあるいはアルキンを与えるが、これは出発のアレンと用いる触媒に依存する。京都の研究者らはさらに、新しいアレンは閉環反応を容易に引き起こし、望ましい薬剤候補である、密に置換されたピロール、フラノンへも変換している。可憐なり、アレンの変換、他にはあれへん。

[1] Chemical & Engineering News, February 25, p. 29.

DOI: 10.1038/nchem.1567

13.3.27

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分子技術は

 ナショナルプライドをつくり上げる鍵である[1]。解決すべき課題を発見し、その問題を分子レベルまで掘り下げて、非天然化合物・人工物質を、設計・合成・測定・解析を繰り返すことでベストをつくり上げる。分子科学は謎解き、分子工学は既存の技術の組合せを駆使する。これらと一線を画する分子技術、しかもニーズがこれを育てる。基礎の学理が十分に確立していない分野にこそ、斬新な分子技術を開発する余地が豊かに存在する。米国ではこの分野挑戦に挑むフロンティア精神を持った研究者が多い。それに対して、基礎の確立している学問をより深く研究することに、慣れすぎているのではないか。でも「わからないことをわからないこと」と、そのまま受け入れることは、案外体力がいる。だからと言って不自然な妥協はしてはいけない。上田良二先生曰く「基礎研究は、灯台に火をつけるようなもの、そのプライオリティが尊重される。それは多くの航行者に恩恵を与えるからで、直接の利益を得るからではない」[2]。同様に、世界の国々に恩恵を与えてこそ、分子技術は、初めてナショナルプライドになると信じる。

 などの講演内容、威容で奥行きも深く、しかもそのしなやかさに、圧倒されてしまった。

[1] 2013324日、日本化学会講演会「分子設計と分子技術」

[2] http://www.lit.nagoya-u.ac.jp/~kamimura/uyeda.htm「応用基礎研究のすすめ」

[3] 「ナショナルプライド:愛国の誇り、国家威信」とある。スプライトでも飲んで、じっくり考えてみるか。

13.3.26

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展示会場を

 巡る。教室利用で、主催者の苦労が伺われる。そこで機器や薬品、新製品の話を聞く。それに呼応してこちらは、秋に開催する討論会へご協力をお願いした。粉末の有機化合物の構造解析ができると言う。これまでは単結晶が必須で、しばしばそれを成長させるのに、苦労していた。化合物に対する愛情次第らしいけど、振り向いてくれないときもある。受託解析をしているかどうかをお聞きしたが、現段階では、ないとのことだった。これまでの単結晶の解析だけでも一杯らしい。別のブースには、自分たちの化合物についてのカタログ陳列。ブログにこのことも書く。さらに別のブース。発生させた水素ガスをマイクロフロー系に流す。水素の量が節約できるので安全性も高い。説明を聞き終えた時、会社のロゴをあしらったアメをいただいた。「私の会社は、なめないでね。ということですかねえ」と思わず出てしまった。しばらく沈黙があって「是非、なめてください」とリアクションがあった。

13.3.25

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やすらぐ場に

 野洲を選んだ。そこからJRで四駅、南草津に着いた。改札口を出たところ、バスを待つ列の最後尾だった。最初の講演に間に合うかどうか一抹の不安。幸い次々とバスは発車していた。行き先はBKC、ホウ素をカリウム・グラファイトで還元する訳ではない。アイドル歌手のユニットでもない。今回の春季年会の場所を提供していただいている立命館大学、琵琶湖くさつキャンパスのことである。広々とした大学の正門からバスは入る。立派な競技場を下に見て総合受付に向かう。建物は、様々な仕様、どうしようと道を捜す。わかんないので、案内に従って講演会場に入った。スクリーンが前にあって、教室内には、複数台のモニターも設置されていた。受賞講演の座長を拝命。含フッ素化合物でコーティングされた建物、北京オリンピックの競技プール、ドイツワールドカップサッカー会場に明石海峡大橋など多数である。でその合成法の開発、フッ素ガスと有機化合物を混ぜると爆発する可能性大、それを技術突破された。

13.3.24

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有機化合物を

 酸素で酸化する場合には、しばしば酸素の電子配置を三重項から一重項励起状態に変換する活性化段階が必要である[1]。貴金属のナノ粒子はこのタイプの反応を触媒するが、電子励起における金属の役割は未解明であった。この詳細を解明すべく、研究者らは、[100]面のナノキューブと[111]面のナノオクタヘドロンの研究を行った。その結果、Pd[100]面は容易に、酸素のスピンフリッピングを促進する一方で、[111]面はしないことがわかった。さらにプローブ分子と一重項酸素捕捉剤の、一連の電子スピン共鳴スペクトル実験で、[100]面は、酸素励起できることを明らかにした。加えて[100]面のPd結晶は、選択的にグルコースの酸化を媒介し、人の首のがん細胞を死滅させることができる。今後さらに改良した触媒や癌治療薬を導き得るが、この違いは、ナノ結晶上での吸着によって引き起こされる酸素の結合距離と磁気モーメントが、揉めんと、単結晶面によって特異的に異なるためであるとしている。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 25, p. 29.

DOI: 10.1021/ ja311739v

13.3.23

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免疫性炎症は

 心臓、肺、腎臓の疾病を引き起こしたり、悪化させたりする。これを軽減するために、アスピリンの飲用と同時に、オメガ-3-脂肪酸を摂取することが推奨されている。研究者らは、これら二つの組合せが協同的にどのように作用するかを探求してきた。その結果、一連のresolvinsと呼ばれる脂肪酸分子は、身体の中で、炎症のシャットダウンを、ちゃんと開始するのに使われる信号として作用することがわかった。アスピリンはある型のresolvinsの生産を引き起こすのに寄与し、オメガ-3-脂肪酸はシグナルを発生させるための部品として必要とされている。研究チームは実際に、複数のresolvinsを合成し、アスピリンに対して感度の高いものの立体化学を正確に示し、それがネズミの皮膚や腹部の組織の炎症を減少させることも明らかにしている。さらに抗炎症医薬として作用できるresolvinのミミックを開発中である。その後は、コミックで気分転換を

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 25, p. 29.

DOI: 10.1016/j.chembiol.2012.11.010

13.3.22

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左側前輪のタイヤが

 へこんでいた。気持ちもへこんだ。「これでは愛車セレナも、えれ〜な」である。そろそろ冬タイヤ交換の時期、まあちょうどいいかと思った。はて通常ならば、この日、ディーラーはお休み。ただし祭日なので、念のため電話。営業しているとのこと。夏タイヤを積み込んで出向いた。到着すると「先ほどお電話いただいたそうで、タイヤ交換ですね」と待機していただいていた。電話では名前を言わなかったけど、覚えていただいている。というより少々目立ちすぎである。故あって、この日は工場長に対応していただいた。かつて工場長というニックネームで呼ばれていた先生も見えたが、ここの工場長はスリムで背も高い。タイヤ交換のお願いと、パンクへの対応策。いまでもパンク箇所を見つけるには、石けんの泡を使うらしい。で小さな釘があったとのこと。パンクした状態の走行が続くとタイヤの摩耗も激しい。一通りの修理はしてもらったが、装着する時には、新品を購入することを勧められた。バランスの関係で二本がよいと言う。納得。まさに小さな釘に「釘をさされてしまった」けど、区切りはついた、とりあえず。

13.3.21

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日本語では蚊

 一文字だけど、英語では長い:mosquitoes、ただし好き〜と言う人はいない、多分。なので防虫剤を使う。その一つDEET(N,N-ジエチル-m-トルアミド)は、蚊除けには、極めて効果的である。ただしDEETにさらされて間もなく、ある割合の蚊は、この忌避効果を感知しないことが、報告された[1]。実験では、ある種の蚊、ただし普段から人を刺し、デング熱も媒介する蚊であるが、その電気生理学的な応答が解明されている。まずDEETにさらし、その3時間後、蚊は、DEETがあるにも関わらず、人の肌、熱,を含めた蚊にとって魅力的なものに接近していた。これは、非遺伝的で、蚊のアンテナに、あってな、臭い受容体となる部位のDEETに対する感度の低下と関連していると決定された。この発見は、虫除け剤を効果的に使うための方法を暗示し、また人が臭いに順応すると同様に、様々な仕組みで、蚊も虫除けに鈍感になることを示唆している。虫除けも、ようけになると、余計になるらしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 25, p. 28.

DOI:10.1371/journal.pone.0054438

13.3.20

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村上春樹先生

 三年ぶりの長編が文藝春秋から出る[1]。大学生協で、先行予約をした。長い題名が思い出せない。カウンターの担当の方も覚えられないという。ネット検索で出た題名を聞いて、予約もようやくできた。本学では最初であるという。ちょっとだけ「やった〜」と思った。未熟である。ついでに「NHラジオ 英語で読む村上春樹」も手に入れてしまった。4月から毎週日曜日、夜の生活スタイルが変わるはずである。ちなみに先の出版社から生協への本の入荷数は通常、限定的らしい。そこで担当の方は「キャンペーンしようか」になった。でタイトルには「多崎つくる」も含む。思わず春樹ファンの内田樹先生の名前がよぎった。TatsuruTaさきTsuRuになる。しかも内田先生の苗字の母音が、u, i, aで残った文字のsa, ki, ku, の母音と同じである。加えて「色彩を持たない」「巡礼の年」も想像力をかき立てられる。本を手にして、読み始めたときのワクワク感も、頭によぎる。

[1] 「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」(2013/4/12)

13.3.19

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分子電子デバイスは

 電荷を長い距離通すために、頑丈な分子ワイヤーが必要である。新しく設計されたビピリジン構造をモチーフとしたワイヤーが先例のない伝導性を示し、それがこれまでの炭素をモチーフとした他のワイヤーと比較すると、長い距離、伝導性が維持された[1]。まずはピリジンユニットの間にベンゼンの組込まれた置換ビオロゲンあるいは4,4'-ビピリジンの繰返し単位を有するワイヤーを、かわいいや〜と思いながらか、研究者らは合成した。ワイヤーは金でコートされた走査トンネル顕微鏡のチップに片方がつなぎとめられ、もう片側は金に接合された。ワイヤーは繰返し単位が一つから六つで、2.4 nmから11.0 nmである。最も長いワイヤーは2.9 ナノシーメンスを示〜す。でこれは別の同等の長さの炭素ワイヤーのおよそ3倍のオーダーである。さらに酸化還元状態を繰り返しても状態を保ったままだった。研究者らは、より長いワイヤーは、ビオロゲンユニットが、二回の一電子移動によって還元されるホッピング機構を提案している。ホッピングのあとはショッピングへ行ったかも。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 25, p. 28.

DOI: 10.1021/jz302057m

13.3.18

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スワニー河

 ワニは多分いない。フォスター作曲の曲がラジオから耳に入った。そういえば小学校低学年の頃、音楽の教科書にそれがあった。えらく気に入った自分は、お小遣いを貯めて、ドナーツ盤のレコードを買った。なぜだか英語。これがおそらく、アメリカを意識した最初である。フォスターという人を調べたこともあった。音楽の才能抜群で、様々なヒット曲をつくったフォスター、スターだったかもしれないけど、生活は恵まれなかったとか。その後、脳内のどこかに埋もれては、アメリカの地理、南北戦争などの歴史を学ぶたびに、よみがえる記憶。でいずれはアメリカに行ってみたいという、言葉にできない思いが蓄積されてきたように思う。その頃「将来の目的は」などと聞かれて、記録に残していたら、そのうち嫌気をさして、いわゆる内向きになっていたかもしれない。それはともかくスワニー河、実際にどこにあるかは知らなかったので改めてチェック。ジョージアからフロリダとある。フリーだったら、ふろりと訪ねることもできる。でちょっと足をのばして、エバーグレース国立公園で、ワニの一種アリゲーターに会って、そのままキーウエストをドライブしてみたい。ヘミングウェイにも出会える。

13.3.17

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希土類を

 感知し、応答できるバクテリアを誕生させることによって、生きた細胞を使った特別な金属イオンの検出や吸収が可能になった[1]。これによってバクテリアや他の生きた細胞を使った希土類回収、それによる環境浄化や他の応用も期待される。研究者らは、希土類に高い選択性でバインドできるタグとして、ペプチド配列を開発した。そのタグを 別の研究者らが、遺伝子工学的に、生きたバクテリアに埋め込んだ結果、微生物は、環境中の希土類を、これが同類かと判断し、それに対応している。希土類のみを捕捉することに加えて、改変されたバクテリアは、その動きを変更しうる遺伝子発現の変化を伴って、金属に応答する。たとえば希土類の、より高い濃度の場所に、能動的に移動し始める。この手法は、生きた細胞による他の金属イオンのセンシングも、するシング技術になりそうである。米国、三大学MIT, ボストン大学、シカゴ大学の共同研究の成果で、バクテリアのエリアもユニバーサルに広がりそうである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 18, p. 43.

DOI: 10.1021/ja312032c

13.3.16

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喘息の治療薬

 アムレキサノクス(amlexanox)は、人の、口内炎の治療薬としても、広く使われている薬剤である。それがさらに二型糖尿病や肥満の治療薬としても有効である可能性が示された[1]。すでに市場化されている上に、安全性に関する統計的なデータも充分であるため、人への試験も短期間のうちにできる可能性もある。ネズミを使った実験で、高脂肪食によって引き起こされる慢性の炎症に対して、肝臓や脂質に生じるキナーゼの抑制効果が見られた。炎症については、これで「ええんでしょう」という機構は未解明であるけど、インスリン耐性、二型糖尿病、肥満と関連している多くのデータが蓄積されていた。そこで、15万の低分子ライブラリーからキナーゼ抑制の可能性の高いアムレキサノクスが必要条件を満たしていた。実際に高脂肪食とこれを同時に与えたネズミは太らなかった。またすでに肥満のネズミにこれを与えると通常の体重まで戻り、インスリン抵抗性と脂肪肝からも回復した。脂肪肝、傍観しなくてよい日は近いか。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 18, p. 43.

DOI: 10.1038/nm.3082

13.3.15

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特別に調製した粉乳に

 混入していたメラミンによって、2008年中国では、およそ30万人の赤ちゃんが病気になり、6人が肝臓障害で命を落とした。この不祥事に関して出されていた疑問に対する新しい答えが二つ報告された[1]。一つの疑問は、メラミンは、いかに毒として作用するか。もう一つは食品のなかのそれを、いかに速く安く検出することが出来るかである。研究者らは、腸内のグラム陰性バクテリアの役割を調査し、これがメラミンをネズミの腸内で、シアヌル酸に変換されることを明らかにした[2]。これらの二つの化合物が水素結合を介して会合し、肝臓に沈殿し、その結果ダメージを与える。一方粉乳の中のサブナノモルのメラミン検出法は従来、高度な装置を必要としていた。それに対して新しい方法は、まずメラミンを電気化学的に酸化する[3]。すると酸化されたメラミンは電極にからみんよる。ついで酸化物がある電極を、西洋ワサビパーオキシダーゼの溶液に浸す。その結果、着色して分光光度計で、おどうけていては難しいけど、測定可能になる。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 18, p. 42.

[2] DOI: 10.1126/scitranslmed.3005114

[3] DOI: 10.1021/jf304034e

13.3.14

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農業は

 ヨーロッパでいつ始まったか。考古学者らの間では長い間、議論されてきた。BC6世紀にアジアからノウハウが伝わってきたことは認められていた。ただし実際にアジアの農夫がやってきて、狩猟採集民に伝えたのか。あるいは口述のみで、地理的に広い領域を超えてきたのか。わからなかった。このうち今回、前の説を支持する証拠が見出された[1]。バルカン半島、アルカンもあるんかもしれんが、ここではそこのBC6世紀の墓地遺跡で発見された骸骨の歯のストロンチウムの同位体比が、周辺地域で集められたそれと比較された。岩の中のストロンチウムは、食物連鎖によって、骨や歯に入り、その同位体比は、地理的な出生地と関連づけられる。研究者らは、アジア人やヨーロッパ人はBC6世紀には埋葬されることを発見し、このことからも、農法は、アジアからの移住民によってもたらされたことを提案している。また新石器時代、親戚も含めて、農耕民は、狩猟採集民よりも、かなり移動性が高かったのではないかと記している。なんだか逆説的ではあるが、ギャグ的ではない。

[1] Chemical& Engineering News, 2013 February 18, p. 42.

DOI: 10.1073/pnas.1211474110

13.3.13

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布張りの家具

 その安全基準がカリフォルニア州で公表されて、議論になっている[1]。今回の基準では、難燃剤をもはや使う必要がない。これまで難燃剤は、毒性の程度の差はあれ、それを嫌って反対していた活動家は、この動きに声援を送っている。一方で、防火の専門家や化成品メーカーは、今回の基準は、耐火性のテスト自体が最も有利な条件でのみ行われているため、実際の火災、ろうそくやライターなどで引き起こされるものに対するテスト結果も必要であると家具について危惧している。もしこの基準が実際に稼働すると、これまで35年以上にもわたってカリフォルニアで施行されていた規則とは逆行する。ちなみにカリフォルニアの基準は、事実上国の基準で、家具の防火に対する最も厳しいものである。一方で別の立場の人は、今回の新しい基準は、防火、健康、環境すべてに配慮されていると述べている。この人はこれまで、受け入れ難い毒性のある難燃剤を使わないでほしいと主張してききた。それでも難燃剤自身は、「なに言ってんざい」と感じているかもしれない。

[1] Chemical& Engineering News, 2013 February 18, p. 11.

13.3.12

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WBC

 ホウ素・炭素間は三重結合で、W上に陽電荷、C上には陰電荷の分子か?!」自分しか思わんやろか?とか思いながら、野球を見る。明治になって日本に伝わったベースボール、その面白さに、正岡子規がゲームを広げ、様々な英語の専門用語を日本語に訳したと言う。今回三回目の国際大会。金曜日の試合では、敗戦濃厚の中、鳥谷選手が盗塁、どちらになっても新聞を飾るギャンブルだった。幸いゲームは続く。井端選手、いいバッターである。日曜日オランダ戦、乱打戦の予感もあった。圧倒的な得点差、テレビ中継の解説には、桑田さんも加わっていた。野球界のことを年頭にした展望、大会全体を見据えた戦略、試合の中での戦術、個別の技術、ピッチャーの基本、さらには野球をするための練習、様々な視点での言葉がほとばしる。しかも短い言葉で要点を端的にまとめる。試合そのものは大差、これではアカンという場もない、圧巻のゲームだった。でも桑田さんの解説に聞き入ってしまった。

13.3.11

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薬を飲んだ時

 もっ たいないので、体内に全て吸収されるわけではない。ある程度は排泄される。それは排水系を通って、下水処理場でろ過器も通過し、時には川や海へもたどり着く。そのうち、抗不安薬として知られているベンゾジアゼピンの環境影響が注目された[1]。実験のため、きれいな湖に暮らすヨーロッパの鱸(スズキ)が集められた。その魚は通常、臆病で群れをなす。あるグループを1.8マイクロリットルのベンゾジアゼピン、オキサゼパムに7日間さらした。このレベルの量のドラッグは、スウェーデンの排水処理施設近くの川に住むスズキと同様のオキサゼパムの、筋組織における濃度である。その後、スズキをビデオ観察したところ、オキサゼパムを少量加えられたスズキは、より活発になると同時に、他のスズキとともに過ごすことに興味を示さなくなった。また食物を食べる速度がかなり速くなった。これらの結果は興味あるものの、実験室での医薬品の魚に対する効果と、実際の生態学上の結果を関連づける必要性が残っている。スズキの研究、続きも必要である。鈴木先生お願いします。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 18, p. 10.

DOI: 10.1126/science.1226850

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卒研生配属

 のお世話、なんとか完了した。「欠席の場合には、こちらで確定させてもらう」というアナウンスのせいか、対象学生全員がほぼ時間内に集合。研究室配属の方法を説明した後、予備調査を実施。結果をその場で集計して、スクリーンに投影。MacBook Air上では、これでええあ〜という表示にも関わらず、プロジェクターに接続すると拡大されすぎて一部が見えない。一部の学生の名前が見え隠れする中、エクセルファイルや環境設定を、あせってい操作するも、手間取った。一覧表示ができて、第五希望まで書いて提出してもらう。なんだかざわめく中、回収した。一時間のうちに、これらを希望優先、成績順で振り分けた。3名で作業する中、途中で人数が合っていないことに気がつく。コピー・ペースト、いいペースと、思っていた自分のミスである。それにもめげずに作業を続けていただいたお陰で、約束の時刻には、結果公表に至った。なかには希望枠外に落ち着いた学生さんもいた。残り物にも福がある。意外な発見・予想外の巡り逢いもころがっている。

13.3.9

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コレステロールは

 膜構造の制御、多くのシグナル伝達分子の前駆体、循環器疾患の指標にもなりえる。今回さらにそれが、ほとんどすべての主なタンパク質と相互作用することが明らかにされた[1]。実験はコレステロールのある部位に、ジアジリジン環と末端アルキニル基を組み込んだ分子を調製し、これをプローブとした。これによってこれまで相互作用があるかどうかわからなかった800以上のタンパク質が発見された。このプローブはタンパク質と相互作用し、紫外光照射で、タンパク質をキャッチする。さらに定量質量分析のためのタグをアルキニル基に結合させて分析が行われている。その結果たとえば、糖を代謝する酵素とも相互作用し、このことはコレステロールが糖代謝を助けている可能性がある。さらに捨ててはいけない、ステロール生合成経路に関わる酵素とも相互作用していた。研究者らは、ガンや脂質貯蔵以上などの細胞モデルでの、ステロールが関わるタンパク質の構造と機能の解明に挑んでいる。コレステロール研究、「これして」というロールモデルがここにあった。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 18, p. 8.

DOI: 10.1038/nmeth.2368

13.3.8

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N-複素環カルベン

(NHCs)として知られている環状アミノ化合物は、遷移金属触媒安定化のための、最も有用で広く利用されている配位子で、様々な趣が、表向きだけでなくて、見られる。環のサイズは3から8原子、三つまでの窒素原子や二つのカルベン中心が、あるべん時もある。また時にはホウ素、リンや別のへテロ原子が組込まれた場合もある。今回、四員環でホウ素原子を含み、アミノ基、イミノ基、カルベン中心がCrに結合した誘導体が初めて導かれた。反応様式も新しい。(CO)5Cr=B-N(SiMe3)2とイソニトリルでBCNの三員環を形成する。さらにもう一分子のイソニトリルがB-C結合に挿入し、四員環を形成する。窒素上の非共有電子対がホウ素から炭素上へも非局在化しうるため、カルベンの発生も可能である。研究者らは錯体の反応性やフリーカルベンの簡便な単離方法についてさらに探索している。「カルベンつくりすぎて、勘弁な」の日が待ち遠しい。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 11, p. 31.

DOI: 10.1039/c3cc38379b

13.3.7

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20年以上前

 典型的な不活性金属とされていた金が、一酸化炭素(CO)の酸化触媒として利用できることが示されて以来、高価な金属の反応性の基礎が探求されてきた。今ではナノサイズの金クラスターが、様々な酸化、エステル化、エポキシ化を触媒することや、いくつかの反応の反応機構が知られている。そんな中今回、計算化学研究から、COが、面白いことに、酸化反応の間、金ナノクラスターをアシストする共触媒となることが明らかにされた[1]。この自己酸化機構は新展開をみせる。「みんな知ってんかい?」と問いかける様に。すなわちCOが金ナノクラスターのある部分の三角形になったAu3活性部位に、酸素存在下で結合すると、CO分子は隣接するOC-O-O中間体の結合開裂を促す。実際に、Au3に結合した隣接COによる中間体への攻撃によって、二分子のCO2分子の形成が、O-O結合切断を経てかなり促進されるらしい。金ナノクラスター上でも、クラス対抗のゲームがあるが如くに。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 11, p. 31.

DOI: 10.1021/ja309460v

ちなみに金触媒による極低温でのCOの酸化についての論文(Haruta, M.; Kobayashi, T.; Sano, H.; Yamada N. Chem. Lett. 1987, 16, 405)、被引用回数が1100回を超えている。

13.3.6

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太陽光を反射するため

 ヨーロッパでは、雲は重要な役割を担っている。ただし詳細な取扱い、中には苦悶した研究者もいるかもしれないけど、雲がどのように発生するかは確かではない。公文式でも答えはないと思う。それに対して今回、大気中のアセトアルデヒド分子が、無機のエアロゾル粒子に吸収され、そのエアロゾルが、より簡単に、水を雲の水滴に変化させることが明らかにされた[1]。研究者らは、実験室にある雲を発生できる部屋を使い、硫酸アンモニウムエアロゾルを、異なる小さなアルデヒドにさらした。これらアルデヒドは、空気中で、天然あるいは人工の化合物の酸化を通じて形成し、存在している。実験結果は、水蒸気が、アルデヒドで修飾されたエアロゾルの周りで融合し、雲の水滴を形成していることを示していた。さらにアルデヒドが、水を引きつけ保持するというエアロゾルの吸湿性を20%向上させていることもわかった。これによって雲も10–20%増加するはずである。雲をつかむような話ではなくなってきた。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 11, p. 31.

DOI:1 0.1073/pnas.1204838110

13.3.5

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最終講義

 

 どの先生方も凄い。学部学生の頃は、〇〇連、授業ボイコット、革命を起こすという言葉の中で生きられた。昭和44年度の東京大学の入学試験が中止になった。東京大学「安田講堂、陥落」事情のわからない自分にとっては「陥落」なのか「平穏化」なのかもわからない。そんな中「学問をしたい」と言う気持ちもあってか、一枚の輪読会のビラに引き寄せられて、参加された先生もおられた。学びて、時に習う。結果として恩師に巡り会った。恩師はおらんしという話はまだない。でも実は20代の頃の、よくわからん選択の結果である。なので「本能を磨け」である。研究室によっては研究テーマが出ない。まずは「テーマ選び」がテーマになった。手〜前味噌ですが「提案しました」などと言うこともできない。それを持ってして分野開拓に挑む。同じ先生に学んでも、同じ帰結を迎えるわけでもなし、でも〇〇研究室の出というカラーがいつの間にか、身にしみる。流れはパスされる。新四年生、研究室選びの侯である。

13.3.4

 

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ワンダフル・ライフ

 テレビドラマでも映画でもない。with the Elements。寄藤文平著「元素生活」の英語版の書評[1]。元素それぞれを漫画にしているけど、属で統一性をもたせていて、読者は周期表の傾向をより具体的に理解できる。たとえばヘアスタイル:遷移金属は退屈なビジネス様、希ガスはアフロ、アルカリ金属は気のある素振り。元素の説明:オゾン、三つの酸素が手をつなぎ、害のある放射から地球を保護していること、塩素には二つのバージョン、一つはプール清掃のためにブラシを振り回し、もう一つは死神のようなスタイルで鎌を持つ。これで塩素ガスをイメージさせている。時に理解に時間を要する例もあった。Super-useful smart metalとしてチタンが辞書のページをめくる。はて?このチタン知らん?いやしばらく考えて酸化チタンは紙を白くするのに利用されていることに気がついた。Yorifuji自身、この本を執筆するまでは元素のことについてほとんど知らなかった。でも最後の章では、元素がどんなに大切で、人類にいかに利用されているかに気がついてほしいとある。この本は化学と芸術の間のバランスが抜群で、化学になじみのない人にも理解できる構成である。

[1] Chemical & Engineering News, 2013, February 11, p. 40.

追記:日本語版が2009720日発行で三年後に英語版になったので、担当の方に問い合わせた。すでに2010年に台湾版、その後,韓国版、中国版、タイ版と、バンバン発行されているとのことでした。化学同人も超人的なりや。

13.3.3

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エスカレーターに

 好かれた事はない。疲れた〜と感じたときにはお世話になる。東京では右、大阪では左が、お急ぎの人が歩いて利用する側になってから久しい。この日、会合の始まりに遅れマジと、まじで最短ルートを思考、駅より徒歩2分を選んだ。地下鉄の駅には沢山の出口がある。不用意に地上に上がると交差点の反対側という場合もあるのでそれも確認。でも行けども、行けども、目的の出口は先である。エレベーターを急ぎ登ろうとするも右も左も利用者は止まったままである。とりあえず蛇行しながら登り切った。この駅では地下鉄の二路線が交差している。目的の出口へは別の路線のホームを端から端まで移動しなくてはいけない。とうに2分は過ぎていた。ホーム、エスカレーターでも急ぎ足、その時「エスカレーターでの移動は他のお客様のご迷惑になるので、止まって使ってね」みたいなアナウンスがあった。なんと自分がマナー違反、そう言いはる方はいなかったけど身をすくめる。幸い会合の開始時刻ぴったりに、会場には到着した。あの徒歩2分、とほほである。

13.3.2

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金でできた住まいに

 暮らす。スマイルだらけかもしれない。ただし自分たちは見守るしかない。でもそこで身を守るためのしかけをもって住んでいるバクテリアがいる。毒性を示す溶解性の金を隔離するために、独自のdelftibactinと呼ばれるペプチドを分泌することがわかった[1]。これは分泌された代謝物が、毒性を示す金から、バクテリアを保護する最初の例であり、バイオミネラル化を引き起こしている。この発見を基に、ペプチド開発することで、大きさの決まった金ナノ粒子を構築し、ガン治療などの生物医学への応用へ展開したいとしている。また、もし分子が金に対してのみ高い選択性を示すとすれば、金の回収にも利用できる。これまで知られている金に住む別のバクテリアでは、細胞内から金化合物を追い出して、バクテリアの細胞外エリアに、金の沈殿を形成していた。今回のバクテリアとは異なる方法である。研究者らは今後、delftibactinが金をキレートする機構や、他の金属も同様に隔離できるかどうかを明らかにしたいとしている。delftibactin:デフレワクチンとは違う。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 February 11, p. 8.

DOI: 10.1038/nchembio.1179

13.3.1

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