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2013年4月

カルボニル化合物の

 反応点と言えば、親電子的なカルボニル炭素あるいは、α水素の脱離による求核剤の誕生。これらの隣接する部位の反応性がカルボニルのβ位まで、今まで拡大されることはなかった。飽和の系では、β炭素は反応性が非常に低いと理解されてきた。それに対して、飽和アルデヒドやケトンのβ位が直接アリル化される方法が開発された。これによって、より複雑な分子への容易な経路が提供されている。Irを基本とする光酸化還元触媒が、アミンを含む有機触媒と組み合わせて利用されている。後者はアルデヒドやケトンとエナミンを形成して、そこから、光酸化還元触媒でラジカルが発生する。この化学種がシアノアリール基と反応し、ついでシアニドが脱離する。アミン触媒の加水分解でβアリル化アルデヒドやケトンが再生する。なお反応は幅広い出発化合物に適応可能である。β位の反応、よりベターな成果も期待されるが、Princetonでの成果milestoneである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 April 1, p. 39.

DOI: 10.1126/science.1232993.

13.4.30

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デジタルオブジェクト識別子

 略称DOI。同一のものはないはずである。ネット上に発信されるそれぞれのドキュメントに個別に割り振られている。学術論文が掲載可能になった際、DOIは、著者の同意の必要もなく、つけられる。しばらく前から、掲載可能になった論文が、そのままネットで公開されるシステムを導入している論文誌が登場した。それはこのDOIで検索できる。Wikipedia によれば、http://dx.doi.org/ の後にそれを入力すると論文にたどりつく。ただし直ちに公開された分は、編集部での確認や著者校正を含んでいない。ジャーナルによっては、校正なしの版をアップして、校正が完了した段階で、入れ替える方式を採用しているものもあると言う。これら二つは違ったドキュメントだけどDOIは変更されない。たとえばChem. Commun.の場合、Accepted manuscriptには、receivedacceptedの日付などはないけど、Latest Editionでは、それが明記されている。それでもページ数はまだない。最終版はページが入っているものの、いつWeb公開されたかがわからない。このこと、何かの「つどい」で、サンドイッチでも食べながら、話してみましょう。ちょっと、くどいか。

13.4.29

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今回の受賞の

 理由となった数々の業績を積み上げられたこと、また現代無機化学への多大なるインパクトをもたらされたこと、心からお祝い申し上げます。あなたの成果によって、私たちは、結合様式について様々な教えを受け、あなたはまた、これまでにはない分子を合成しない限り達成できない、期待していなかった反応様式も発見されました。今後もさらに科学を先導され、示唆に富んだ多くの論文が、研究室から発信されることを楽しみにしております[1]

今回、P. P. Power先生が、2012ACS有機金属化学分野での賞を受賞された。スポンサーはダウケミカルで5000ドルの助成である。先生はアイルランド出身、スタンフォード大学でポスドクをされた後、UC Davisからデビューすしてからは、Davis一筋で今日まで来られた。研究分野は、立体的に混雑した配位子を利用して、新規な結合様式を有する、低配位数である、あるいは高反応性化学種を、広範に研究されている。

ここには、基礎化学で、競える文化があった。

[1] Gladysz, J. A. Organometallics, 2013, 32, 2277.

13.4.28

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ESTAの申請を

 しんせい」と旅行社の方からの指摘。前回はハワイ年会前で、機嫌の善し悪しに関わらず、期限切れである。氏名、居住国、国籍のある国、生年月日、パスポート番号やその有効期限なんかは以前と全く同じ情報を入力する。ついでに直近の渡航の際に利用する航空便名に米国滞在中の住所の入力。次に質問が七つ。中には「ドイツ・ナチス政府やその同盟諸国に関連して・・・」ともある。我が国はかつてその国を含めて、三国同盟を結んでいた。答えは「はい」か?さらに文章を読めば「いいえ」になる。次に支払いページに入る。再び14ドルが必要。ドル80円の頃に申請をしておけばとよぎったけど、時すでに遅し。クレジットカードでの支払い。長々とした番号、有効期限、氏名さらにはセキュリティコードなんかも間違えずに入力。最後に支払いかのボタンをクリック。ジット待っていると、クレジット支払いが完了したというメッセージの後、領収書受領。そこには「渡航認証許可」の表示。今日からでも「米国に、行っとこう」が可能になった。

13.4.27

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プロピレンオキシドは

 汎用化成品の一つでポリウレタンプラスチック合成に利用されている。そのため、よく売れたん品の一つである。工業的にはプロペンの酸化反応で導くが、より環境調和型の方法が期待されていた[1]。その中、金属銅が減圧下、高い選択性でオキシドを与えることが見出されていた。ただし工業的な条件では、銅そのものが酸化され、選択性を失っていた。そこで、金属銅の表面を保持するための方法が探索された結果、触媒を可視光にさらすことで課題を解決できることが報告された。充填層反応器でシリカ上に沈殿させた銅ナノ粒子に、幅広い可視光源を照射することで、20-50%オキシドの選択性が向上した。ただし現在のプロセスは金触媒で90%の選択性ではあるが。それでも光照射で、金属銅中心の表面プラズマ共鳴がCu-O結合に電子移動を引き起こし、これによって金属銅への還元が促進されたものと思われる。同様の方法で別のナノ粒子触媒の酸化状態の制御も可能ではないかとされている。可視光利用、かしこ〜う。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 April 1, p. 39.

DOI: 10.1126/science.1231631.

13.4.26

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新反応の開発と最適化には

 無数の組合せを試さなくてはいけない。そのため時間も必要になる。それに対してラベル支援レーザー脱着イオン化飛行時間型質量分析と呼ばれる、発見と最適化のプラットフォームが、最初の発見から、合成的に有用な反応まで仕上げるプロセスを加速できることが、報告された[1]。ピレンでラベルされた出発化合物を別の出発化合物と、様々な触媒存在下、反応を行った。ピレンラベルは、質量分析のための、反応生成物の光イオン化を可能にする。このアプローチによって、ピレンラベルのシロキシアルキンと23の異なる反応物と29の触媒を組み合わせて、合計696通りの実験を行った。その結果、前例のない二つのベンズアニュレーシンを発見した。たとえば銀触媒存在下、アルキンとイソキノリンN-オキシドの反応でオキシムを得た。さらにオキシムを惜しむことなく提供できる系にすべく、この系を利用し、金触媒がさらに良い結果であることを明らかにした。このピレンの利用、しびれんなあ。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 April 1, p. 39.

DOI: 10.1038/ nchem.1612

13.4.25

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フコシル化を

 深こう知るか、その成果は、創薬発見にも繋がる。糖のひとつフコースが酵素反応でタンパク質に付加する反応であり、腫瘍の進行、免疫、炎症では重要なプロセスである。その反応を抑制する化合物が同定された。まずフコース誘導体のライブラリー、いわばフルコースを、スクリーニングした。そのうち2-フッ化フコースが、ネズミの研究では、抗がん、抗炎症作用を示し、免疫を向上させることを明らかにした。ここで2-フッ化フコースは、生きた動物で、フコシル化を止めた最初の化合物であり、治療への応用も期待される。それは細胞内で、酵素がフコースを抗体や他のタンパク質に付加するのを抑制し、様々な抑制効果の一つは、抗体が関わるワクチンへの応答を向上させている点である。シアトルジェネティクスの研究者らは、臨床応用の可能性も話シアットル段階である。

なお、フコースは、6-デオキシガラクトース:C6H12O5。水溶性に苦闘する場合もある。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 April 1, p. 38.

DOI: 10.1073/pnas.1222263110.

13.4.24

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キラルアレンを

 素早く調理できたという成果[1]。ある化学者にとっては、がらくた、でも他の研究者にとってはそれが宝物になり得る。その一つβヒドリド脱離。遷移金属触媒反応開発では、この副反応の抑制で、本反応はよくせいと、探索する。それに対してテキサス、サンアントニオの研究者、猪木さんとは縁はないとは思うけど、らは、E-エノールトリフラートを出発化合物に用いて、Pd触媒によるβ脱離反応でキラルアレンを導くことに成功した。キラルアレンは連続した二つの二重結合を有し、液晶や抗潰瘍薬にも含まれる。一握りの研究者らが、β脱離経由が、ベターだと同様の反応系開発を行っていた。その中、今回は亜リン酸エステルを配位子として用いた、キラルバージョンとしては、初めての例である。ただしE-エノールトリフラート調製には費用を要すること、配位子調製も必要なことから、研究者らは、企業の創薬プログラムとの連携や、Sigma-Aldrichと提携して配位子販売をめざすとのことである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 April 1, p. 38.

DOI: 10.1021/ja401606e

13.4.23

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もろ刃の剣である

 一酸化窒素(NO)。それは血圧や神経インパルスを制御する鍵となるシグナル伝達分子である[1]。ただしこの単純なガスの濃度が高すぎると細胞に対して毒性を示す。それでもこの毒性は免疫防御機構で、中心的な役割を担い、消化器系に侵入してくるヘリコバクターピロリのような病原性バクテリアを破壊できる。ただしある種のバクテリアは、Feを含む還元酵素を発生させ、NON2Oに還元することで、それを撃退している。今回、その種の酵素の働きが解明された。まずNO還元酵素の触媒活性中心のモデルとして二核のFe錯体が調製された。それはノンヘム型でフラビン部位を有し、二分子のNOの配位と二電子還元機構であることがわかった。今回の鉄二核錯体の研究は、新しい医薬品創製、機構解明に加えて、自動車や発電所で排出される酸化窒素の様々なタイプ、だいぶ多いけど、それらを分解する触媒への応用も可能である。NOのケミカルバイオロジー分野でノンヘム鉄錯体の重要性が、さらに認識される成果である。ここでも鉄が反応を、おテツだいしている。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 April 1, p. 12.

DOI: 10.1021/ja309782m

13.4.22

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胃腸感染症と

 急性炎症のための薬は、お互い阻害する。それを解決しうる可能性のある医薬品候補、それは、これら二つを同時に改善できるものが、開発された。ヘリコバクター・ピロリ、ヘリコブターの如く、胃の中に飛来しては、強酸中でも生息できる細菌で、胃腸感染症も引き起こし、潰瘍や癌に至ることもある。それに対して、カルボン酸ビスマス塩が感染を絶滅できることが明らかにされてきた。たとえばサリチル酸とBi(OH)3から調製される化合物は、ペプトビスモールのような店頭に並ぶ医薬品の活性成分である。ちなみにアセチルサリチル酸いわゆるアスピリンは世界で最も利用されている鎮痛薬だけど、これらの鎮痛剤の難点は、特にピロリ菌感染では、胃腸での出血のリスクがある。そこで、アスピリンとビスマスカルボン酸を合体させたビスピリンが初めて合成された。それは現在知られている含ビスマス医薬品よりも高い殺菌効果を示した。その抗炎症活性についての研究も進行中である。いずれビスマス医薬が、いい役を果たして、それでスマスことができる日が来るかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 25, p. 34.

DOI: 10.1039/c3cc40645h

13.4.21

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ナンキン虫

 人にとっては、難儀んな虫かもしれないけれど、虫にも生き延びるすべがある。研究者らはまず虫を、ケンタッキー州の数カ所の居住施設から集めてきた[1]。でこれら害虫の、ゲノムから転写されるmRNAいわゆるトランスクリプトームと、実験室で育てたナンキン虫のそれらを分析した。その結果、虫たちは、たとえばデルタメトリンと呼ばれる殺虫剤を様々な方法で回避していることがわかったが、特に、殺虫剤を解毒できるチトクロームP450や輸送タンパクのレベルを増加させることで、細胞から化合物を追い出している。多くの昆虫が同様の戦略を使っているが、それとは異なり、ナンキン虫の場合には、骨格の表面に近い部分に集中して、レベルが増加する。他の害虫とは違って、ナンキン虫は血液を餌とし、毒入りの餌は食べないために、彼らを標的にした殺虫剤は、虫の表面に接触することで、撃退する方式のものである。それに対して、最前線の防御ラインとして、表層の細胞壁を強化することで、害虫は順応しているようである。害虫も、以外ちゅうか、色々工夫している。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 18, p. 39.

DOI: 10.1038/srep01456

13.4.20

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超原子(superatoms)と

 呼ばれている小さな金属クラスターは、それぞれの元素の特性を反映させていることから、ナノ構造材料の構成単位として興味が持たれている。特に、このご時世、磁性を持つ超原子は、いわゆるスピントロニクス素子として、電荷ではなくて、電子スピンを使った情報記録材料の可能性がある。すでに様々な超原子が開発されていたが、今回、初めて磁性を持つそれが報告された[1]V(バナジウム)とナトリウムとのクラスタが、パルスアーククラスターイオン化源を用いて金属電極を気化させることで、調製された。得られたクラスターの光電子分光分析やコンピューターによる方法で解析した結果、VNa8VNa7-Mn原子と類似の価電子配置を有し、VNa8-VNa9Crと同様であることがわかった。合成法の改良やクラスターの安定化が今後の課題ではあるものの、クラスターの強いスピン磁気モーメントは、スピンエレクトロニクスの可能性を暗示している。いや、じきに、暮らすターのために、稼働するかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 18, p. 38.

DOI: 10.1021/ja400830z

13.4.19

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アセトニトリル

 無色透明の液体、でもここではgreen acetonitrile2008年それを運搬する列車の脱線で、供給不足が一年ほど続いた。列車事故と、世界経済の下降に伴う、自動車や電化製品に利用される繊維や樹脂の原料であるアクリロニトリルの需要低下も加わった。アセトニトリルは、その副生成物として得られてきた。それに対して、HPLC用の溶媒、医薬品合成、製油所でもブタジエン抽出に利用されるアセトニトリル不足を避けるために、別の方法が開発された。すなわちエタノールとアンモニアから脱水することでエチルアミンを導く。ついでその酸化反応で合成する系である。エチルアミン合成はすでに工業プロセスである。一方、酸化段階は、変換効率の低さと不必要な副生成物の生成のため課題があった。触媒探索の結果、Ruオキシド-アルミナが酸素酸化を促進することを,研究者らは発見した。酸化反応は、フロー系でもバッチ式でも、ばっちしで、85%までの変換効率と90%アセトニトリル選択性で進行した。バイオエタノールの酸化反応が環境調和(green)であると同様に、今回の酸化も、それに似とりルと、研究者らは述べている。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 18, p. 39.

DOI: 10.1039/c3gc36513a

13.4.18

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ホワイトボードマーカーを

 借りる。講義室の改修で、教室がモデルチェンジされた。アルコール系インキのマーカー、まあま〜か〜と思いながら使う。臭いを抑えた仕様なるも、ほのかにイソプロピルアルコールが漂う。かの国の焼酎を彷彿させる。講義が終わりに近づく頃には、ほろ酔いになるかと期待されたがそれもなし。今年度最初の講義だったので「ケミストリー?」「そこにたまたま生まれた場の力。二度と再現することはないもの」[1]という一節も紹介。終わってマーカーを返却に行った。その場に、ある学生さんも来られた。教室で財布を落としたという。拾得物として係に届いている。さすが我が国である。証明書一切が財布の中なので、本人確認ができない。担当者は名前を聞く。財布を忘れたなら「磯野さざえ」かもと思ったが違った。「なくなっているものはありませんか」の問いかけにも「無事です」さすが我が国の青年である。「諭吉さんが10名程、行方不明です」ではなかった。

[1]村上春樹著「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」p. 21.

13.4.17

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6-デオキシエリスロノリドBは

 大環状抗生物質であるエリスロマイシンの類縁体である。その合成はEli Lilly & Co. 1952年医薬品として商品化して以来のチャレンジングなテーマである。1956年には、Woodward先生ですら「相当に複雑で、特に多数の不斉中心があるため、現段階では、ほとんど合成困難な標的である」と述べられていた。それでもその後、エリスロマイシンやその類縁体合成に邁進したチームもあって1978, 1979年には33および39段階での合成が、Corey先生らによって達成され、1981Woodwardチームは55段階で到達している。さらに2009年には、表題の化合物の23段階合成法がM. C. Whiteチームがファイトした成果として報告されていた。それに対してMikeUT Austinチームは14段階で到達した[1]Ru触媒を用いたアルコールのC-Hクロチル化を用い、フラグメントAを構築し、Ir触媒によるダブルクロチル化でフラグメントBを構築。これらを連結させて天然物に至っている。16種類の可能性のある立体異性体のうち一つを優先的に導いていること、10の立体中心の半分を一段階で発生させることに成功している。クロチル化の苦労を知る研究者集団である。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 18, p. 11.

DOI: 10.1021/ja4008722

クロチル化:DOI: 10.1021/ja311208a, DOI: 10.1021/ja204570w

13.4.16

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ヘルシンキ

 身体もヘルシーな気分で赴いたわけではない[1]16年前のつながり、自分だけが拒絶された過去。それが縁で、成田-ヘルシンキ直行便を利用した。そこからさらに100 km。その湖畔で家族と住む彼女。東京へもどる多崎つくる。生来の憧憬と今の職業の故か、新宿駅のベンチで、乗降客に目を向ける。そこではすでに、次の一歩に踏み出す静かな衝動が生まれていた。拒絶された20歳の頃、生死の間をさまよった半年ほどの後「吹く風の感触、流れる水音、雲間から差す光の世界、季節の花の色合い」以前とは違ったもの[2]として感じられたらしい。プールで泳ぐ。後輩にも出会った。その後輩と、多崎の住いで、話し込むこともできた。なにせ大学の授業はつまらない。後輩の父親の放浪、そこで出会ったピアニスト、酒を酌み交わすも、その方もその場を去った。不思議な話を語った後輩、彼も去った。でも今の彼女とは、高校生の頃のグループとその後のことが話題になってしまった。モヒートを唇に湿らせる彼女。でも多崎のハイボールはコースターを湿らせていた。ど〜すた〜らよいか先の見えない中で。

[1] 村上春樹著「色彩を持たない多崎つくると巡礼の年」(文藝春秋).

[2] [1] p. 45.

13.4.15

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e-Radに

 いらっ」どしてはいけない。「いいらしいど」と期待して使わせていただく。競争的資金制度を軸とするオンラインシステムである。時々システムが更新されるけど、研究者の利便性向上や、管轄する側も一括で管理できるようにということかと思われる。ただし競争的資金の内定、報告の時期が重なったこともあってか、アクセス集中が続いていた。担当者のご苦労の相当なものである。で新しいシステムで、再びログインIDやパスワードをセットする。秘密の質問もいくつかあって、その答えも入力する。その答えを忘れた時は、研究者として潮時やろなあと思いながら入力していた。一時中断して他ごとに対応。戻るとタイムアウトになっていた。ログインすべく、もとのIDを入力したが「ユーザー認証に失敗」。こちらがアウトか。「はて先ほど設定したIDはなんだったか?」いくつか入力するもやはりアウト。潮時かと、どきどきしながら、もしやのIDとパスワードを入力。つながった、でもながかった。

13.4.14

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二年生以上に

 改組で、かわいそうな思いをさせてはならない。と考えれば考えるほど、難題も増える。「わからない時には相談に来てね」という呼びかけ。約束の時刻に学生さんに訪ねてもらう。時間割を見ながら確認。紙ベースの申請に、「講義担当の先生のサインがないん」ではいけないと、他学科の先生にお願いもした。今回、新一年生と二年生以上の時間割、開講時期が、違っているものも多い。残念ながら、昨年取得できなかった科目を再履修しょうにも、時間割が重なってしまって履修できない。その科目を三年生に先延ばしにすると、学生実験と重なってしまって、すでにこの段階で、二年後の卒研配属資格を失ったようなものである。困った。はて「開講日時の変更」これで行こうと実行する。心ある先生方にお願いして、ご快諾いただいた。Webで連絡、間違いがあって、急ぎ訂正。個別メールも配信、でもこちらも訂正。低姿勢でなくてはいけない。とりあえず収まったかと思ったら、その余波を受けてしまった学生さんが相談に来られた。なんとか納得いただけたかなと現時点では思っていますが、どうでしょうか。

13.4.13

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3.5百万年前

 ラクダが北極をうろついていた。「気楽だなあ」。で、このほ乳類とその習慣の奇妙な組合せは、カナダ自然博物館と、個性豊かな古生物科学者とで発見された骨の断片にある、昔のコラーゲンを分析することでわかった。カナダ北極のエルズミーア島にあった骨は、大きなほ乳類の膝から下の部分の骨のようであると類推された。そこでバイオテクノロジーの研究者に依頼し、昔の骨のコラーゲン蛋白の配列と、知られている様々な動物のそれとを比較してもらった。その結果、最も一致したのが現代のラクダと、北極圏から1200km移動したユーコンで発見されたラクダの祖先であった。研究者らは、骨がみつかった土壌のBeAlの放射性崩壊を比較することで、骨の年代特定をおこなった。極低温だったことが、コラーゲンを3.5百万年も保存できた一因であるとはしているものの、ラクダが住んでいたころ、地球は今よりも、2-3℃暖かく、北極は、氷で一面覆われていたというより、森だった。

 ラクダの件、よって件(クダン)の如し。で仕事にもどろう。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 11, p. 29.

DOI: 10.1038/ncomms2516

13.4.12

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興奮したネズミは

 様々な揮発性化合物を生産し、これによって他のネズミに、隅々まで、チュ〜意や、警報を伝える。その類の分子の一つが2-sec-ブチル-4,5-ジヒドロチアゾール(SBT)であることが報告された[1]。この新しいフェロモンはネズミを脅かす動物によって発せられる様々な臭い化合物と構造的に類似である。たとえば2,4,5-トリメチルチアゾリン(TMT)がそれに相当するが、これはキツネの糞、臭いもきついねえ に含まれている。SBT, TMTいずれも硫黄と窒素原子を含む複素環化合物で、嗅覚中心付近であるネズミの鼻孔にある、感覚器によって検出されている。研究者らは、ネズミは進化の過程で、すでに有している能力である、威嚇動物の臭いをキャッチする能力を利用して、警報フェロモンを発するようになったのではないかとしている。さらにこの臭い受容体、それはGrueneneberg神経節と呼ばれる感覚器の中に存在しているが、を特定するために研究が続けられている。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 11, p. 28.

DOI: 10.1073/pnas.1214249110

13.4.11

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化学結合は

 通常、一対あるいは複数の対の電子が二原子間にあって、ここから逃げんしである。時に風変わりな結合が存在するが、たとえば三中心二電子結合がそれに相当する。それに対して一電子σ結合を持つ化合物はわずか報告されているのみで、構造的に同定された例はなかった[1]。今回、CalTecの研究者らは、カゴ型の0価銅トリスホスフィンボラン錯体が報告された。ここでは電子不足のホウ素原子と銅原子との間で一電子が共有されている。電子常磁性共鳴法、X線構造解析や他の実験方法や計算結果から、この中性錯体は、一電子Cu-Bσ結合を有する安定ラジカルであると決定された。さらに電気化学的に一電子酸化した場合には、電子が消え去り、Cu-B結合は消え去る。一方で還元して電子を与えると、二電子Cu-Bσ結合を形成する。これら三つの酸化状態を単離しうることは、金属-ホウ素σ結合の電子構造に対する前例のない見方を提案できる。研究者らは、これらをpretty cool trio of moleculesと呼んでいる。ちなみにCalTecからこれらを、借りてっくることができるかどうかは不明である。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 11, p. 28.

DOI: 10.1021/ ja4006578

13.4.10

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ジオールを使って付加環化が

 いかんか」とMikeは考えた。[4+2]付加環化は、一世紀以上に渡って環状化合物を導くのに使われている反応である。それに対して、グリセロールや天然の高分子セルロースにも含まれる、隣接する炭素上にそれぞれ水酸基が組込まれたビシナルジオールでシナリオが描かれた。これとジエンとの酸化還元を引き金とするカップリング反応をRu(0)が触媒する。形式上、ジオールがエン1,2-ジオールに変換されて、アルケン部位が付加環化している。反応は鎖状、環状いずれのビシナルジオールでも進行し、単一のジアステレオマー生成物を与える。さらにジオールを酸化したα-ヒドロキシケトンや1,2-ジケトンでも検討したところ、1,2-ジオール生成物と同じ化合物を与えた。今回の発見は、グリセロールや他のグリコールを汎用な化成品へ変換する新しい経路を切り開いたもので、安価なC3原料のグリセロール変換のロールモデルが、もう出るか?という状況の中での成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 11, p. 28.

DOI: 10.1021/ja400691t

13.4.9

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ある程度修飾された分子に

 アルキンを導入することができれば、さらに高次構造を有する化合物を導く可能性が広がる。アルキンを有機化合物に組込む様々な方法が報告されているものの、sp3炭素に結合したC-H結合を切断し、これに三重結合を組込む反応はまれで、まあ例が少ない [1]。その中、優秀なYu先生らは、脂肪族アミドのβ炭素のPd触媒によるアルキニル化反応を開発した。反応はN-複素環カルベンあるいはホスフィン配位子を持つPd(0)触媒を利用し、様々な官能基があっても反応条件で生き残る。反応例として12種類以上のアミドの反応を、中にはエーテルやトリフルオロメチル基を有する化合物も使って、行っているが、図では、N-アリールプロパンアミドとシリルアルキニルブロミドとの反応が記されている。反応経路については、Pd(0)触媒によるC-H活性化を含み、他に酸化剤を加える必要もなく、サイクルが、狂うことなく、完成する。さらにキラル配位子を使ったエナンチオ選択的アルキン導入が計画されている。飽きるンことのないアルキン反応、さらに発展しそうである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 4, p. 45.

DOI: 10.1021/ja400648w

13.4.8

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スペシャルは

 いかがでしょうかと、通常のサービス以上を期待させるお誘いがある。その甘い誘いにのってしまって、ひどい目にあったという話を聞いたことがある。自分はまだ未体験である。数週間後、海外の大学を訪問する。担当者から、宿の予約をするというメールをもらった。日程の確認「困ったことやわからないことがあれば連絡を」に加えて、何かspecialは、いらないかとあった。まさかその類いのサービスがあるのかとよぎった。煩悩である。具体的な旅程を送るとともに、specialって何でしょうかとお聞きした。素早い回答があった。講演の際、椅子は、い〜すか?宿は一階がよいか二階以上に、快適を求めるか?宿のベットは、別途、調達したほうがよいか?確かに中には、エアーマットやウォーターマットを所望する御仁もいる。食べ物アレルギーは?食べたいものは?などだった。お礼の返事Special thanks, but no special is necessary.

13.4.7

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読替え表

 もらっても見返りはない。ただし昨年度までに、一年生開講科目を取得できなかった学生さんは、これに従って科目を捜す必要がある。この四月から本学・工学部の学科改組によって、化学・生命工学科が発足した。それに伴って科目の名称が変更になったものも多い。なのでガイダンスの後の相談も多かった。個別の事例に安直に答えるわけにはいかないので「後で連絡するね」と電話番号を聞いて、担当係で確かめる。いわゆる読替え科目となるけれど、名前の変更だけではなくて、今年度、授業を受ける意向でも、開講されない科目もある。卒研配属は、されたけれども、もしその単位を取得していなかったら、自動的に卒業は二年後になる。そんな科目があった場合には、昨年まで担当されていた先生に個人レッスンをお願いするしかない。各自、ぬかりなく、履修確認をしてほしい。くれぐれも「工学部便覧は、いらん」と言って処分されることのなきように。

13.4.6

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小型蛍光電灯は 

 従来の白熱電灯に対して、高性能な省エネ型代替品である[1]。ただし環境科学者は、この蛍光電灯を使うことで、その中の水銀を土に埋め立てる量も増加し、一部が地下水にとけ込むことを懸念している。一般に水中や大気中の水銀は、その発生源を特定するために、その同位体比測定が行われている。そこで、先の懸念に対して、蛍光電灯の中の水銀が、励起して、光を発した後の特徴的な同位体比が明らかにされた。アリゾナ州立大学の研究者らは、14 W家庭用電球を2年間連続で、伝統的な方法で、点灯し続けた。転倒することもなく完了した後、電球のガラスを割って水銀を回収、誘導結合プラズマ質量分析計で、集めた水銀の同位体組成を特定した。その結果、このサンプルの比は、標準のものや、石炭を燃やした際に生じるような他の発生源の比よりも大きいことがわかった。このことから、環境中の電球水銀を、最近、追跡することができる様になりましたという日も近いか。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 4, p. 44.

DOI: 10.1021/es303940p

13.4.5

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泡状で

 超軽量なエアロゲル、そのうち炭素エアロゲルは、触媒からセンサーまで幅広い利用の可能性が期待されているものの、その合成は、高価で複雑な系で、しかも毒性のある原料を使わなくてはいけなかった。それに対して、バクテリア・セルロースを使った炭素エアロゲル合成法が開発された[1]。セルロースは発酵法によって、簡単に大量合成できる。得られた一塊のゲルを1300 ℃に加熱し、ファイトすると、グラファイト繊維の超軽量ネットワークが仕上がる。エアロゲルは、超高温にも耐え、スポンジのような特性も有することから、ガソリンのような有機化合物の液体やオイルを、その重さの310倍まで、吸収することもできる。中国の研究者らは、材料は、環境浄化にも利用でき、使用後、蒸留あるいは加熱によって、再利用できるものに戻すこともできると述べている。さらに炭素エアロゲルの電気伝導度は、圧力によって変化するため、圧力センシング材料へも応用しうる。

この新材料、え〜やろ、用途も広ゲルこともできる。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 4, p. 44.

DOI: 10.1002/anie.201209676

13.4.4

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ほとんど例外なく

 エナンチオ選択的反応を利用したキラル分子合成では、触媒は溶液中である。それに対して生成物のキラリティーを制御できる固体触媒の設計は、より大きな多様性と触媒のリサイクルの点で、より簡便な方法を提供しうる[1]。この固体触媒に、お答えしょうようと、Toste先生らは、多くの酵素の活性部位を取り囲むキラル環境に触発されて、キラル分子のフィルムに触媒となる金属クラスターを埋め込んだ。特に、多孔質のシリカ材料を使って、プロリンのようなキラル化合物の自己組織化した単分子層を作成した。ついでこれをHAuCl4と処理することで、金ナノ粒子を単分子層に組込んだ。これによって得られた一連の担持単分子層を使って、スチレンのピバル酸プロパルギルによるシクロプロパン化を行い、cisおよびtrans生成物を分析した。その結果、一部の触媒では、最高51%eeで対応する化合物を得ている。キラル触媒が、均一系から、固体触媒に交代した。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 4, p. 44.

DOI: 10.1021/ja310640b

13.4.3

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リンゴや西洋ナシの皮を

 通常、食べない。今回その果皮に潜んでいる化合物がわかった[1]。様々なそれらには、コーヒー酸トリテルペンとその類縁化合物の三種類が含まれている。これまで樹皮や食べられない葉に含まれているこの種の化合物の分析が行われ、薬理作用の研究が行われていたが、食品では、初めての成果である。LC/MSNMRを利用して、研究費は校費も使ってか、先のコーヒー酸誘導体(コーヒー酸とベツリン酸が縮合している)を検出した。ただしこれは、きめの粗い皮を持つ種(たとえばMerton Russet apple)に特異的であって、つやのある、ろうの多いリンゴから、とろうと思っても徒労に終わる。研究者らは、これらの化合物は、抗炎症性を示し、細胞培養では、免疫応答を刺激することも明らかにしている。これらの結果は、これまでには知られていなかった健康増進化合物源として、昔の型のリンゴの種や西洋なしを保護することが、大切であることを示している。研究は、皮への変らぬ熱意で、取り組まれた。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 March 4, p. 12.

DOI: 10.1021/ jf305190e

13.4.2

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元素の価格

 

 Rh, AuさらにPtなどは貴金属で、すでにそれなりの価格が付与されている。典型元素でも、B, I, Pなどは様々なニーズがあって先物取引で、大もうけをするのは難しい。それに対して粉末硫黄。新興国における肥料用や硫黄コンクリートの実用化などで、すでに価格上昇が起こり始めているが、未だに投資対象としては、魅力的である。などの説明入りのパンフレットが届く。厳選された人を対象に、購入のお誘いをしているという。数十ページにわたる説明では、先の用途に加えて、薄膜太陽電池や有機ELでも利用されること、実際に見たことある骨格で、今やライジングスターである研究者の笑顔の写真、短いコメントもある。またその実現の可能性、需要量と価格変動がグラフになっている。数年で5~6倍になるらしくて、再び「黄色いダイヤ」と呼ばれる日が来るだろうとのこと。期間限定での販売、投資額は少額からでも構わないが、あかんわと言えども、金融緩和によって金利の低下も予想される。財産運用の点からもお勧め。募集は今回限り、皆さんいかがですか[1]

13.4.1

 [1] 本日41日、エイプリルフール、決してこの類の誘いには乗らない様にしましょう。なので、上に記載のパンフレットは存在しません。ただし実際には別の商品で同様のお誘いがある。加えて別のダイレクトメールも来て、転売のお誘い、数週間で資産が数倍になる感があって、購入後すぐに転売したところ、「転売不可だったのになぜ」と迫られ、多額の損害賠償を請求されるはめになるケースもあるらしい。

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