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2013年7月

午前2時頃

 エアバス機内、お休みモードである。ただ熱っぽくて寝っけない。後方に体温計を借りにいく。あったはずだと小道具箱を持ってきてもらった。幸い摂氏表示で、拙者もわかった。発熱状態である。Panadol, paracetamol [1]500 mg含まれた薬をどうか、アスピリンは、すすめないけどねと、フィンランド人客室乗務員は言う。日本人客室乗務員が心配そうに、日本の方用ではないのでどうかなあと心配げである。Panadolの威力にかけて一錠服用。頭を冷やすおしぼり、身体全体をおおうことができる毛布もいただいた。お休み体制で、ぼ〜としていると、冷たいおしぼりを再びもって来られた、大きめのクッションといっしょに。ハクッションと言う間もなく身を委ねていると、座席のリクライニングを倒して、空席だった隣にも、身体をのばして、ゆるりとお休みくださいと、ほとんど暗闇の中、随分とお世話になってしまった。それでも錯綜する脳内では、Panadolaldolになって、8月9月の東京行きがよぎっていた。

[1] パラセタモール、別名アセトアミノフェン、4-ヒドロキシアニリンのアミノ基にアセチル基が置換している。

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最終日・最後の講演を

 授かった。最後まで会場におられる参加者に感謝。Woollins反応剤の良さを紹介する場面があったけど、Woollinsがおれへんず、少々残念だった。10時間ほどかけて、車で帰るとのこと。初日から自分の順番まで待つという初めての経験、面接試験の順番を待つようなものか。この5日間,中には圧倒されるような講演もあって、これでよいかと自問自答しながら、じっとうしていた。前にも感じたけど、この段になって、小細工をしても、たいしたインパクトはない。普段の研究段階で、どこまで、より深く、より広くできているか、何度も繰り返して練習できているかでほとんど決まる。どこかに笑いネタを仕込むことはできても、しばしの笑いの後は、もとに戻る。桜の頃、キャンパスは美しい。この美しさは、学生の実験欲を亢進させるよりも、桜をみながらアルコールに興ずることを促す。という最後の紹介。それを受けて座長トーマス、日本の桜の季節は短い。結果、これほどの成果であると、お上手でまとめてもらった。今回の会議はトーマスのお陰で、開催・閉会に至った。感謝の言葉もない。

13.7.30

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男子誕生の話題で

 持ち切りである。皇位継承が三番目。両親はduke and duchess of Cambridgeで、男子はhis royal highnessと呼ばれるらしい。ウェールズ公の長男の長男であるためである。で皇位継承の第一位がチャールズ皇太子。交代するのがいつになるかはわからないけど、プリンス・オブ・ウェールズという称号が与えられている。そこでふと「オブ・イングランド」ではなくて「ウェールズ」なのか。何人かの人にお聞きした。「歴史的にそうなっている」とのこと、聞いた人たちの英国在住期間が短かったのかもしれない。なんだか14世紀の頃かららしい。その前の世紀には、この国もノルマン人の征服を受けている。ちなみにその称号のための任務は、今はない。ただしここカーディフはウェールズの首都のためか、チャールズ皇太子がカーディフ大学の学長である。「国際会議のバンケット、学長挨拶」を願うも、それはなかった。代わって、様々な国からの参加者も加わった、この地方に独特な歌を交えた劇が披露された。日本の代表者は、angry sheepの役を拝命、名(メー)人芸でした。

13.7.29

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トーマス・タンク・エンジン

 にちなんでか、国際会議の主催者Thomasは、エクスカーションのひとつにBrecon Mountain Railwayを選んだ。海抜およそ340 mの鉄道駅Pant駅から、ちゃんと蒸気機関車が出る。木製の椅子で、車窓からは、谷、遠くには牧草地帯に、羊や馬の一群が見える。「優雅やなあ」と誰かが、言うがやなである。20分ほどして最終目的地に到着。先頭の機関車が脇にある線路を通って反対側に移動。そこで再び連結して、向きを変えて走り出す。湖らしき風景が眼下に広がるところで一旦停止。20分ほど休憩する。風は心地よいも日差しは少々きつい。ソフトクリームの販売に多くの参加者が列をつくる。食べ終えた頃、機関車は再び蒸気を出して出発。Pant駅に戻った。駅には売店、さらに鉄道模型のミニュチュア、蒸気機関車の先頭車両や部品も並ぶ。それぞれに顔をつけてみたらと、機関車トーマスの作者は感じたに違いない。柔道、剣道は日本だけど、ここは鉄道発祥の国である。

7.28

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チロキシンは

 フェニルアラニンやジアリール基などで分子を構成し、芳香環に四つのヨウ素原子がある。このヨウ素が三つになった化合物も含めて、甲状腺ホルモンと呼ばれている。そこからの脱ヨウ素化の選択性を、向上させんと芳香族ジセレニドが利用される。ただし通常のジセレニドでは選択性が、足れへんため、ナフタレンの1,8位に直接セレン原子を組込み、ジセレニドとする。これを系中で還元させて発生させたジセレノールが、芳香環にある四つのヨウ素の一つだけを脱ヨウ素化できる。ヨウ素が三つになった化合物からは脱ヨウ素化は、もはや進行しない。ヨウ素の電荷密度が小さい方がよい。近接するセレン同士の相互作用で求核性が、隠せいんようになる。DFT計算の結果は、ヨウ素とセレンとの相互作用のエネルギーの違いが見られて、これらが選択性の主たる要因だとのこと。この研究に至る背景、甲状腺ホルモン異常で生じる疾病、さらに生体化合物に近い脱ヨウ素化酵素のミミックへの展開など。Mugesh先生の講演、すげえっしゅ。

13.7.27

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SeTe国際会議が

 

 始まった。さしたるセレモニーもなくて特別講演、招待講演と続く。カバーする範囲が、無機化学から生物有機化学、材料科学と広い。日本からの気鋭の先生方の講演、時間が短くてもったいない。質疑応答になると、会場から直ちに手が挙がり、そのやりとりも臨場感があって会議らしい風である。「化合物の臭いは」「・・・食事前には合成しない」確かにと思っている中、自分が座長の番である。理論科学の講演だった。色々な数式が登場して、それをもとにした計算結果が、次々に表示される。三つの項に分けて、その寄与の程度を見積もる?不器用な自分には難解である。何回も聞く必要があるけど、限られた時間だし、講演途中の質問はない。講演終了後の「質問ありますか」という問いかけに、静寂が会場を満たした。しばらくして手が挙がった。一つだけではと、座長質問もさせていただいた。的を得ていたのか、まっとうじゃなかったのか、戸惑っているうちに、座長は、緊張とともに終わった。

13.7.26

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鍵が開きません

 「フロントに行ってみたら」で担当者と一緒に戻ってきた。電子キーのバッテリー切れ。「別の人間をよこすので5分ほどお待ちを」とのこと。10分以上たって、作業員風のおじさんがドライバーを二本持って参上。鍵横のパネルを外して、ドライバーを差込んでは、こねている。こりゃやばいわ〜と見ているとドライバーが曲がる。鍵は開かず、埒もあかない。その場を去っておよそ10分後、今度は電気ドリルを持参した。穴に差込み、音を立ててその拡大を図る。が鉄製のドリルの先が折れて穴に詰まる。それでもめげずに、詰まった穴にドライバーを押し込むとドリルの先が向こう側へ落ちる音がした。改めて電気ドリルの登場。ついでドライバーを差込み、鍵の鍵になる部位を探りながら、作業を続けていたとき、かしゃりとドアが開いた。鍵こわして「あ痛った」状態だったはずだけど、内側からバッテリーの操作をしていたらしい。宿泊の折、外で電気ドリルの音がしたら、スリルも満点である。

13.7.25

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ロンドンヒースロー空港

 どんどんと、中国語(だと思う)を話すティーンエイジャーが、バゲッジクレームに集まる。同じデザインの帽子に、それぞれの服装で自分の荷物が出てくるのを待ち受ける。同じラインで、いくつかの航空便の荷物を流している様子。これほどの人が集まっているので、しばらくかかりそうだなと思っていたら、引率の先生らしき方が、別のラインを指示して、中高生たちに移動を促した。活気あるヤングの流れができた。夏の期間を利用して、海外・英語研修かもしれない。しばらく前、サンフランシスコ空港で起きた惨事がよぎって、なおさら無事エンジョイして欲しいと祈る。空港からホテルまでの移動、循環バス。乗場を確認、値段を確認、日本円に換算、愕然としつつも5分ほど乗車。気のいい運転手さん、お札はなくて、お礼のみで降りていく乗客に、笑顔で答えている。こちらもそのスタイルに従った。このバスHotel HoppaHoppaの意味がわからず検索。「hop:(乗り物の)ただ乗り」というのもあった。ほっぱかいな。

13.7.24

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Finnair

 機体にはムーミンと期待するも、見んずに終わった。客室乗務員も以前は、水色ワンピースだったのが、黒が基調に白が混じる。ヘルシンキまで直行。夏休みが始まってすぐのためか、満席の中、国際結婚をされた風のお二人と小さなお子様連れも見える。航空マップがロシアから北欧へシフトする。そこはフィンランド、ヘルシンキなどに加えて、ハメーンリンナとカタカナ表示。白、黒、恵理さん、つくるの旅がよみがえる。それでも自分はここでは入国しない。トランジットである。なにもしトランとジットしておけばよいわけではない。保安検査場を、再び通る。手荷物カバンの中を見せてほしいとのこと。中部国際空港では素通りだった同じ中身である。仔細に吟味される。さらにもう一度X線の検査をしたいという。何を怪しんだのか教えてもらうこともなく、担当者は、何人か後に並んでいた人のカバンの、同様の検査を始めようとしていた。カバン検査、がばんって下さい。

13.7.23

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グラフェンの

 高い導電性と強さを利用した電子デバイスを組み立てるためには、材料科学者は、化学的に修飾することで、他の特性を微調整する必要がある[1]。たとえば生体分子を結合させることで、新しいタイプのセンサーへと応用できる。ただしグラフェンは、そのような官能基化に対してしばしば反応性を示さない。以前、別の研究者らは、グラフェンのある部位がジエンとして、またある部位を、信じれんことに、親ジエン体として、Diels-Alder反応による環化反応を行っていた[2]。それに対して今回、圧力をかけることで、グラフェン表面でのDiels-Alder反応を可能にし、共有結合で構造修飾が達成された。化学者らはシクロペンタジエンをシアニンのような染料につなげて、これを原子間力顕微鏡にはめ込み、グラフェン表面にそっとおしつけることで、反応を引き起こさせ、ある一定の面積の部分を染料ドットで飾ることに成功している。さらに糖鎖でグラフェンを官能基化させて、生物学的なセンサーをつくることも計画されている。

新種のグラフェンも知らふぇんといけませんねえ。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 1, p. 6.

DOI: 10.1021/ja4042077

[2] DOI: 10.1021/ja200118b

13.7.22

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ツインとダブルの

 違いがよくわからないなあとのこと、旅行カウンター近くで夏のプランを女子学生さんらが立てている。「ツインって双子っていう意味だよねえ。だからベット、二つあるんじゃない」「そうかな」「この写真みたら二つあるみたいだよ」「じゃあダブルはなんなの?」で話が進まない。切符を購入している待ち時間だったので、もどかしさに耐えかねて、ツインについて、遂んに口を差し挟んでしまった。「そうですベットが二つあります。ダブルは大きめのベットがひとつです(なんと雑駁な説明か)」「ありがとうございます」でホテル選びに会話が進展できた様子だった。「三日で10000円くらいか、安いねえ」「でもこれくらいだったら、温泉ついてないのかなあ」「共同トイレとも書いてあるし」と続く。「旅行のこつは、宿選びのポイントは」などと、再び口から出そうになったけど、ぐっとこらえて無言でいた。「ひと夏の経験、良好な旅行になりますように」と祈りつつ。

13.7.21

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絹の強さと

 生体適合性のため、繊維構造は、通常の繊維製品と同様に、生物医学的な応用でも魅力的である。それでも、最も大量に、最も質の高い絹を作り出すカイコは、遺伝子転移剤にさらされた時、寝たふり作戦によって、これをかわす。このため、遺伝子組み換え絹の大量生産は、手のとどかない技術であった。その中、蛍光性の絹を生産するように修飾されたカイコと、寝たふり作戦をするカイコとを、掛け合わせる方法で、この課題を避ける方法が開発された[1]。その結果、生まれた子供カイコたちは、緑、オレンジ、赤色蛍光発光する絹を大量生産し、その強さは市販品の80-90%程度もあった。さらに研究者らは、カイコの繭を繊維に加工する温和な方法も開発し、蛍光タンパク質が変性することを避けることもできる。「伝統的な遺伝子操作と現代のそれを組み合わせることで、独自の生物的活性、触媒として作用できる、あるいは医療分野へも応用できるタンパク質配列を有する機能性絹を、農家が生産する道を開くことができたのでは」と研究者らは述べている。カイコを買い込んで、迷わず繭を作ってみましょう。絹に至るまで、飽きぬようにね。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 June 24, p. 30.

DOI: 10.1002/adfm.201300365

13.7.20

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1992年

 ノーベル化学賞を受賞されたMarcus先生におまーかすしたところ、「電子移動の際に、タンパク質の分子内構造を再配列させるために必要なエネルギーを小さくすることで、電子移動はより速くなる」という理論が導き出された[1]。一方で、この再配列エネルギーを縮小させるための、電子移動中心の合理的な設計は、ほとんどなされていなかった。今回研究者らは、電子移動タンパク質の一つであるアズリンを預かりん、その疎水性あるいは残基の水素結合様式を修飾することで、残基がお互い、より柔軟に相互作用できること、タンパク質の再配置エネルギーを縮小させ、電子移動効率を向上できることを示した。この成果によって、他のシステムでも、電子移動をより深く理解しうること、また高度なエネルギー変換、人工光合成のような応用のための、電子移動タンパク質を、新たに(de novo)設計しうることが明らかになった。イリノイ大学における、電子の出入りの迅速化を目指した成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 June 24, p. 30.

DOI: 10.1073/pnas.1215081110

13.7.19

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ハダカデバネズミ

 存在するほ乳類の中では、ほぼ間違いなく、最も醜い動物である[1]。でも自然は、やさしい。この種の中では、ガンに対して非常に強く、他の同様の大きさのネズミ等の齧歯類の寿命が3年程に対して30年は命を授けられている。この長寿の秘訣、ガンを避ける不老不死の薬の一端が明らかにされた。このネズミは、地下トンネルを、身体をねじって通りぬけるために極端に伸縮できる肌を持っている。肌の細胞は、長鎖のヒアルロナン高分子を作り出し、これによって弾力性が生じる。ヒアルロナンは、肌や脳のような多くの組織で、あるろな〜あというポリサッカライドである。作家さんやサッカー選手にもある。とりわけこのネズミが生産するそれは、非常に大きな分子量で、人間や他のネズミの5倍の分子量である。これによって抗がん性と長寿に至っていると類推された。実際、高分子は通常細胞がガン細胞に変化するのを抑止している。この成果も含めて、長鎖ヒアルロナン高分子はガン形成を抑制し、短い高分子はそれを促進しているらしいと、ある研究者らは考え始めている。

[1] Chemical & Engineering News, 2013, June 24, p. 9.

DOI: 10.1038/nature12234

13.7.18

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メキシコ湾に面する

 ユカタン半島、浴衣で過ごすこともできる。そこの海岸に生息するある種の珊瑚。これを4年以上にもわたって断層撮影法で、その摩耗や浸食による変化が追跡された。特に水の炭酸塩濃度による違いに注目された[1]。大洋の酸性化についての問題が山積する中、個々の生き物に対する影響を明らかにするためである。ある種の珊瑚はpH8.0以上、それは通常の海のpHであるが、そこに見られる。別の種は、pH7.2-7.6の場所にも生息している。一方で炭酸塩濃度が低く30%以下で見つかった珊瑚は、骨格密度は通常のものより28%低下しており、酸に因る腐食の影響も大きかった。この大洋の酸性化に加えて、大洋の温暖化が合わさった場合の悪影響が懸念されている。珊瑚礁は、エコシステムへ貢献し、観光客を魅了し、海岸を護り、さらに海岸沿いに住む魚介類の住居でもある。2050年には、大洋のpHは平均で7.8まで低下することが予測されており、これによる経済への影響も数十億ドルに達する可能性もある。サンゴ礁も、後生大事にしなくては。参考までに

[1] Chemical & Engineering News, 2013 June 24, p. 8.

DOI:10.1073/pnas.1301589110

13.7.17

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畜牛(cattle)を

 飼っとる方も、飼っていない人も、丘の中腹で、牛君たちが、牧草を食べて反すうしている情景に、穏やかさを感じないわけにはいかない。対照的に、牛君たちの気候変動に対する影響力は、数十億ドルの家畜産業の中で、莫大である。牛君たちのゲップと放屁は、相当な量のメタンガス、それは温室効果ガスの一つであると言われているものを、含んでいる。人間が人為的に放出しているメタンガスの37%分に相当するとも見積もられている。その中研究者らは、畜牛のエサにカンキツ類を混ぜることで、メタン生産を抑制できることを発見した[1]。牛の第一胃を部分的にとりだし、それを、培養基を使って、リンゴ、カンキツ、マンゴを補助食品として加えた場合の効果を評価した。いずれも牛の胃では消化可能である。そのうちエステル化率の低いペクチンと呼ばれるカンキツ類の皮から抽出される糖鎖は、メタン生成を19%抑制できた。マンゴ成分も、同様に効果的であった。生体内実験が必要ではあるものの、この成果の恩恵に預かることができる可能性を示している。牛君たちが、みかんをむかんと、皮ごと食す日も近いか。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 June 17, p. 31.

DOI: 10.1021/jf401544v

13.7.16

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マック行ったりする?

 に「マクド、ほとんど行かない」と反応。ハンバーガーチェーン店「マクドナルド」の利用の頻度の話が吹っ飛んだ。地は隠せない。関西ではマクド、この辺りではマックである。お先真っ暗になって、映画「大脱走」[1]が頭を駆け巡っていた。ドイツ軍の捕虜収容所に収監されている連合軍の兵士。綿密な計画を立てて脱走を企てる。普段の役務は平静を装って遂行するも、終わった後、脱出のためのトンネルを掘る兵士、パスポートを偽造する兵士、それまでのスキルがそれぞれ生かされて、様々な小道具も仕上がる。まずは収容所を出て、そこから追ってくるドイツ兵から逃げるのが最初の関門である。相当数の脱走兵のうちの二人、一般のドイツ人にまぎれて移動。で検問では偽装パスポートを見せ、ドイツ語で受け答えも、疑われることなく事なきを得るかと思われたその時、英語で話かけられた。流暢な母国語が飛び出し、脱走はあえなく失敗に終わった。同様に、振り返れば、岐阜人のふりも、くずれた日であった。

[1] ジョン・スタージェス監督「大脱走」(1963)。そういえばスティーブ・マックイーンも出演していた。

13.7.15

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昭和が終わる頃

 タクシー運転手をしておられた。当時は、運べど、運べど客待ちが続いた。川沿いの旅館の宿泊客に、駅の南まで、案内して欲しいと頼まれて、お店をご紹介。客人、お店双方からシャレにならんほどの謝礼、太子さんを大層いただいた。行き先が行き先だけに、バブル状態だったらしい。本業は左官。身体を悪くした昔、しばらく運転手だったけど、およそ25年ぶりに戻った。年齢とともに、現場仕事は控えるようにという通達で転職。とはいえその年齢では、どこも雇用はしてくれない。幸い身体を悪くしたときに得た経験が生きた。でも時代は変わった。待てども、待てども乗客は来ない。やっとの思いで長距離客に会う。〇〇まで〇〇円でお願いと値段交渉。その気持ちはやまやまだけど、今はGPSでどこを走っているのかを、会社も把握しているので難しい。なので目的地まであとわずかのその値段で一旦停止する。乗客はやむなく正規料金支払いになったらしい。でも財布には諭吉さんが溢れていたとのこと。

13.7.14

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猛暑です

 もうしょうがないと開き直るも、それなりの対策も必要である。午後になると、大学の建物、特に最上階の小さな部屋には熱気がこもった。ゆるりとそこで用を足していると熱中症になりかねないので、直前で直行するか、余裕をもって一階にある同じ様式の部屋を使ったほうがよい。夜になっても室内は高温のままである。前にも書いたと思うけど、扇風機で過ごす。この熱帯夜、いったいなんやと思いながらである。加えて保冷剤を使う。法令で定められているわけではないけど、使った後に、ほら〜ずに、冷凍していた分である。取り出した最初は相当な堅さであるものをタオルに巻いて、しばらく襟首辺りにあてていると、なんだかそれにフィットした形に変形する。この中身はほとんどが水で、高吸水性樹脂であるポリアクリル酸ナトリウムに防腐剤などが他の成分であるらしい。これで就寝中、無意識に様々な箇所を冷やしているらしい。早朝、保冷剤は、きれいに常温になっていた。

13.7.13

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彗星が

 地球と衝突することが、単純な化合物から複雑な構造を有する生命を生み出す化合物を導く鍵である可能が報告された。大学と研究所に所属する二人組が、計算化学の手法を使って、彗星に存在する単純な分子:水、一酸化および二酸化炭素、メタノールにアンモニアが、短い間、彗星の衝突と同様の、短い間の高温、高圧条件にさられた時に、何が起こるかをみた。260 ピコセカンドの時間幅で、衝撃圧縮をシミュレートし、それを膨張させ、さらに冷却することで、通常の条件での平衡までを計算した。この研究は、以前より短い時間幅でシミュレートされた成果をさらに拡大するものであり、衝撃圧縮は、C-CC-Nの結合ネットワークを、わ〜くわくと、形成するが、それらは高反応性で短寿命である。次に傍聴できる、膨張と冷却は、その条件次第で、芳香族化合物やアミノ酸前駆体のような前生物的な化学種を生み出している。

 彗星が、すいすい生産、生体分子。(痛い字あまり)

[1] Chemicals & Engineering News, 2013 June 17, p. 31.

DOI:10.1021/jp402976n

13.7.12

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ルイジ・ケルビーニ

 類似の人はいない。1800年頃、オペラ作曲家として高い評価を受けていた。その代表作のひとつ「メデア」。その譜面には、本来あった音符が見えなくて、演奏されない部分があった。それに対して米国の加速器研究所にて、200年前の「メデア」の楽譜の見えない部分の、X−線蛍光分析が行われた。研究者らは、シンクロトロンX線ビームを使って、およそ50 マイクロメートルの画素でページをスキャンした。亜鉛放出で音楽の小節線を同定し、鉄放出で音楽の音符を同定した。このプロジェクトの成功の鍵はインクである。金属を含んでいたため、楽譜とインクで、リンクできた。有機化合物のみでできたインクでは、X-線ビーム照射による炭素からのX線放出がソフトで、検出が難しい。幸いなことに、楽譜を覆っていた黒いものは、ほんのわずかな鉄を含む炭素素材のものだった。紙そのものはX線を透過できるため、紙の両側から単一のイメージを得ることができる。全貌解明も近い「メデア」めでたいあ。

[1] Chemicals & Engineering News 2013 June 17, p. 31.

DOI:10.1146/annurevanchem-062011-143019

13.7.11

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トリフルオロメチル基を有する

 芳香環は、生物活性分子の重要な骨格であり、医薬品や殺虫剤として、利用されている。そのためCF3基を芳香環に組込む様々な方法が開発されてきた。古くからあるCF3化の方法は、厳しい反応剤と反応条件が必要で、生成物は低収率だった。その後、この限界を乗り越えるため、遷移金属触媒反応を利用した、C-HC-ハロゲン、C-ホウ素結合を切断し、温和な条件でCF3基を導入する方法が開発されてきた。加えて今回、アリールアミン、いわゆるアニリンを用いる反応が確立された[1]。銅触媒を用いたこの反応は、Sandmeyer反応を適用したものだけど、これは一般にアミノ基をヒドロキシ、シアノ基や他の誘導体に変換できる。ここでは、硫黄上にCF3基が結合したスルホニウム塩(梅本反応剤)と、粉末銅、アルキル亜硝酸を使う。亜硝酸で結果も、圧勝さんかどうか、わからない。でも抗間接炎薬であるレフルノマイドを合成し、その適用性を示している。○○マイドを、毎度、合成したいというマインド、いいです。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 June 17, p. 30.

DOI: 10.1021/ja404217t

13.7.10

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新しいタイプの分子センサー

 として、柔軟で多感な、多環有機化合物が開発された。これは環境次第で、赤、緑、青色の三色蛍光発光させることができる[1]。研究者らは、二つの硬いアントラセンイミドを、柔らかいシクロオクタテトラエンコアの両側に、翼のごとく、組込んだ。それはV字を形成したり、フラットに横たわることもできる。この配座の可変性が、365nmの光を照射することで、分子が様々な色で蛍光発光することを可能にしている。高分子が、分子を曲がった形で捕捉した場合には、青色発光する。塩化メチレンに溶解すると、両翼がフラットで、ふらっと緑色発光する。V字型分子がお互いに入れ子になった時には、赤色である。いずれも、分子が湾曲したり、積み重なったりすることが、発光色に影響を及ぼしている。「温度や圧力もこのような配座変化を引き起こしうるため、分子は様々な環境条件での、センサーとして利用可能である」とチームリーダーは述べている。

三色発光、繰り返していると、麻雀がやりたくなってきた。

[1] Chemicals & Engineering News, 2013 June 17, p. 30.

DOI:10.1021/ja404198h

13.7.9

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粒子状の高価な金属触媒を

 取り出すために、触媒製造業者は、金属をできる限り細かく分散させる。これによって原子が表面に出た部分を最大化させることができる。一方で反応物と接触せずに触媒として作用しない、内部に埋め込まれた原子が少なくなる。ところがいくつかの反応がこれを阻害する場合があって、触媒粒子が凝縮し失活する。「しっかり活躍を」のかけ声も手遅れである。今回この機構の一部が明らかになった[1]。酸化鉄表面の個々のPd原子を、走査トンネル顕微鏡で追跡することで、わずかな量のCOが存在すると、本来安定なPd原子が、動きやすいPd-CO種を形成することがわかった。これが増えるにつれて、核となり、分散、凝縮してしまう。一方で水酸基が表面に存在すると、この有害な過程を妨げることができることもわかった。すなわち触媒の安定性向上に、表面の水酸基コーティングが有用であるかもしれない。ただしコーチングなしにそれを達成できるかどうかは知らない。

[1] Chemicals & Engineering News, 2013 June 17, p. 30.

DOI: 10.1038/nmat3667

13.7.8

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工学部訪問

 と称して高等学校から見学に来られる。そのプログラムに大学の実験室見学15分も含む。今年はそのお世話役の一人だけど、諸事お願いばかりして、任務を全うできていないので「今回大学にいるのでやってもいいでしょうか」と許可を得た。説明の手順を描いているときに、資料を確認、○○高等学校PTAとある。ひょえ、現役高校生ではない。もちろん、ホスホリックトリアミドでもない。日本語では「父母と教師の会」である。自分が生徒の頃、苦手な響きだった。当日13名のお母様方が見学に来られた。「周期表、通じるやろか?」で止まった。「天然成分配合って、化学合成も多い」から始めた。「お肌によい海藻成分、海藻から取り出して他の部分がポイだったら、海藻もかわいそうなので」とか調子が出始めた。それでも「アルゴンガス」いやここは「窒素で」などと、正確さを欠いた説明に、忸怩たる思いの15分弱。終わり間際に昨年版「一家に一枚周期表」をお配りした。ここにはノーベル賞受賞者の方々の写真もありますので、でとりあえず終えた。奥様方のつぶやき「この先生の写真もここにあるんやろか」・・・???だった。

2013.7.7

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科のソフトボール大会

 予選トーナメント、なめんと主力陣も参戦とは、ならずの戦い。それでも最終回3-1でリードしていた。相手チームの御大の活躍で、同点にされてしかも逆転された。消沈したまま反撃できずに試合は終わった。次の試合、強豪であるという前評判も高く、確かに打棒が炸裂していた。当方は、みやはらへん学生さんもいたけど、少しメンバーが増えた。初回6得点、それでもあさっりと逆転された。敗戦濃厚の中、どうこう言わずに守備のポジションを考え、相手チームを0点に抑えた。流れが変わった予感である。連続ヒットで勝ち越し、5点差にかになった。この勢いで相手の反撃をなんとかかわして三位以上が確定した。昼時、突然の雨である。グランドの状況が試合を許さない。急遽、決勝のジャンケン大会。邪険にしてはいけない。おそらく慎重に構えて、試合に臨んだにちがいない。結果、準優勝に落ち着いた。景品は事前に研究室から希望を出していた一品に落ち着いた。山ほどのビーフ、置きにくそうな冷凍庫に工夫して収納された。

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分子認識の分野で

 上昇中のスター分子であるシアノスター、星形をすた〜新しい大環状化合物である[1]。これまで、溶液から捕捉することができなかった配位しているアニオンを、このスターは引き出すことができる。化合物がアニオンを隔離できるという能力は、環境中の過塩素酸イオンについての環境を改善させたり、生物学的なリン酸塩の分子センサーとして応用できる。シアノスターは中性分子ではあるが、それは分極できるシアノスチベン骨格に在るCH結合を有しており、この部位が大きなアニオンに配位できる。すなわちサンドイッチのような構造を形成することで、二つのシアノスターの間にアニオンを挟む。合成は、多成分のKnoevenagel縮合反応を利用し、ベンジルニトリルが芳香族アルデヒドと反応し、脱水が進行する。反応は数グラムスケールでも、一段階合成で、80%以上の収率で進行する。さらにこのアニオン認識能を使って、ジアルキルリン酸部位が、二つのシアノスターに、糸を通す様に組み合わさり、ロータキサンも、たきさん合成されている。

[1] Chemicals & Engineering News, 2013 June 17, p. 30.

DOI: 10.1038/nchem.1668

13.7.5

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二つの酸化還元活性な

 金属原子でできた分子、しかも炭素三重結合で架橋されているそれは、分子ワイヤとして、わいわいがやがや、研究が行われている。ただし架橋鎖が長くなると、分子自身の安定性が低下し、室温で直ちに分解し、役にたたない寄せ集めになってしまう。それに対して今回、ジルテニウム錯体が選択的に、ラジカル環化し、安定なダイマーを形成することが、報告された[1]。電子的に非局在化したダイマーは、シクロブタジエンコアに、四つの金属原子がアルキニル鎖を通じて結合している。しかも二量化は、一方は、ルテニウム原子上の置換基のかさ高さからか、中心のアルキニル部位で、もう一方は、電子的要因で、Ruに近いアルキニル部位で進行している。なお、この選択性の理解とそれを利用することによって、得られたシクロブテンを、グラフェンやフラーレンに類似の材料の合成やナノ電子部品を調製するための、炭素部品として利用するべきであると別の研究者が述べている。

ダイマーが、ただいま〜と帰ってきた。これから新材料への展開が始まる。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 June 10, p. 28.

DOI: 10.1021/om4003768

13.7.4

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幾何学的に興味ある分子

 といえば、頂点がすべて炭素で四角錐型分子ピラミダンである[1]。ただし実際に見たんことがある人はまだいない。もしこれが合成できれば、非常に歪みのかかったポリヘドラル骨格を有しているため、通常ではない結合様式の解明が可能である。計算化学による検討はなされてきたが、いまだに安定なサンプルが供給されてはいない。その中、関口先生らは、数種類のその遠い親戚を合成された。四角形の四カ所の角は炭素原子、錐の部位にはGeあるいはSn原子が組込まれている。ただしそれぞれの炭素上にはMe3Si基が配備されている。合成スキームは、シリル置換のシクロブタジエンアニオンと二塩化GeあるいはSnのジオキサン錯体との反応である。ピラミッド型の分子は、純粋な有機化合物と遷移金属化合物の間の特性を示す。すなわちπ結合環状ポリエン配位子を特徴づける遷移金属錯体が、遷移金属錯体化学や触媒分野に革新をもたらす可能性がある。先生は、ピラミダンが、その前駆体として、分野拡大をなしえると見据えておられる。第二、第三のピラミダンが、ピラミッド状に、積み上げられるはずである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 June 10, p. 28.

DOI: 10.1021/ja403173e

13.7.3

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タバコスズメガの幼虫は

 ある植物の葉っぱをムシャムシャと食べる。そのとき幼虫の唾液からの酵素が葉っぱにあるZ体の酢酸3-ヘキセニルを、E体の酢酸2-ヘキセニルに、平気で異性化させる。この環境調和な風な変換反応を触媒することは、幼虫にとって、実は重大な問題である。E体のそれは、空腹のカメムシ族の侵略虫を引きつけてしまい、その虫が晩餐に、卵からかえっていない卵や幼虫を食べてしまうことが明らかにされていた。いわば幼虫にとっては要注意であった。それに対して、成長したメスのタバコスズメガは、幼虫の酵素によって生産されたE体のそれを嗅ぎ分けることができることが報告された[1]。それによって、揮発性の臭いが放出されている葉っぱに卵を産むことを回避しており、生まれたばかりの幼虫は、フレッシュな葉っぱ、一杯にありつけると同時に、侵略虫の餌食になるリスクも軽減されているのではないかと類推されている。

どの葉っぱが、スズメガにとって、お勧めかが、わかる仕組みについてでした。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 June 10, p. 28.

DOI: 10.7554/elife.00421

13.7.2

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汗をかくことによって

 電力を供給できる燃料電池モデルが開発された[1]。薄くて肌のような素子は、通常の汗の成分である乳酸塩を、バイオ燃料として使う様に設計されている。電力記録技術を用いて、一時的に身体につけることができる入れ墨の上に素子を調製した。陰極に白金を使い、酸素を水に還元する。陽極では、市販品の酵素乳酸オキシダーゼだぜ〜を使い、これが汗の中の乳酸塩をピルビン酸に酸化し、酸素を放出する。研究者らは、様々な体力や体調の人をボランティアとして素子のテストを行った。素知らぬ顔の人もいたかもしれないが、その人たちに、バイオ燃料電池が塗布された入れ墨をつけて自転車に乗ることをお願いした。冷や汗をかいた人もいるかもしれない。その結果、最も健康そうではないボランティアの人の汗に、乳酸が、ぎょうさん含まれ、結果として最も大きな電力を生み出した。研究者らの話では、iPodを聞くほどの電力はないけど、あせらずともよい。汗で発生したエネルギーを身につけられる素子に蓄電できれば、電子機器に電気を注ぐことも可能であるとのことである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 June 10, p. 28.

DOI:10.1002/anie.201302922

13.7.1

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