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2013年8月

夏休みも終わり

 のはずである。今週久しぶりに小学生が集団登校する姿を見た。そのうちの一人のお父様、イプシロンのようなロケット作品を、慎重に運んでいた。打ち上げできずに、当事者は胃も痛いかもしれない。そのときは、パンシロンの助けも借りても、初志貫徹を願う。で大学は相変わらず夏休みモードである。生協が8月半ばからほぼ一ヶ月かけて、図書館も9月末頃までかけて、改修工事である。普段の直接利用はないけど、不便を感じる。時に飲料を買いに足を運んでいた。やむなく自動販売機で購入することにする。500 mLお茶「綾鷹」110円表示、あっやったか、きっとこれはサービスに違いないと思って、110円のみを投じるも応答なし。自販機を見渡すと、110円表示は350円サイズである。でもここだけは500 mLのペットボトルが占有していた。でもその横には同じサイズが140円。値段表示の間違いが、商品の陳列の間違いか。でもマシーンは、まあし〜んどい夏でも、正しく作動していた。

2013.8.31

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音楽のロマン派時代

 およそ200年程前のトランペットの音色を、念入りに再現したい。その当時の楽器そのものの演奏はできない。ただし単に大きさや見かけだけをまねてもその音は出ない。そこで科学の登壇である。X線蛍光分析、中性子イメージングなどの技術を利用して、素材分析を行う。たとえば、昔の楽器は、鉛を使い、亜鉛の量が今のそれに比べて少ない。硫黄分を含む沈殿物、粒子境界、別の構造的な特徴から、ブラスがつくられる時の方法や温度を類推することもできる。これがプラスになる。で実際の組立のための金属は、アジアの業者から入手し、オーダーメイドで、化学組成や合金成分が昔の分と一致させることができる。これによって組立てた楽器を再び分析し年代物のそれと比較した。かつての技術者は、現代より低い温度で製造していたようであり、鉛の融点が低いことと関連がありそうである。ただし鉛入りの楽器は壊れやすく、別のハンダ付けの技術も必要であった。実際に作成されたレプリカを演奏したプロたちは、思った以上の音色、さらに、それらは多彩でまろやかであるとコメントしている。アンティークブラス、これがラストじゃあない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Aug 5, p. 32.

13.8.30

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有機フッ素化学の

 進展によって、医薬品や農薬として考えられる多くのフッ素化化合物が、以前に比べると随分簡単に合成できるようになった。いわば「不っ足していたフッ素化法が、豊富ッ素化してきた」である。一方で最後のフロントラインは、キラルなC-F結合の構築である。このような背景の中、ヨーロッパの研究チーム(オックスフォード大学、ダラム大学、アストラゼネカの三チーム)は、よく知られたフッ素化反応剤のキラル版を開発し、これによって合理的なプロセスも提供している[1]。研究者らは、タンデムフッ素化環化反応によって、C-F結合を有する四置換炭素を含む四員環化合物を導いている。この類の化合物は、フッ素化ステロイド(捨ててはいけない)を製造する中間体として利用しうる。またエナンチオ選択的に四員環化合物を導く効率的な方法として、セレクトフルオルに芳香環を導入することで設計できるキラル誘導体(Chiral Selectfluor)を開発している。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 August 5, p. 31.

DOI:10.1002/anie.201304845

13.8.29

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アスリートは

 明日じゃなくても、アミノ酸サプリメントを飲用し、運動能力向上と、筋肉疲労を回復させようとしている。その中、その構造を、知っとるりんという人もいるL-シトリルン[1]の持つ効果が高いことが報告された[2]。またそれはスイカに含まれ、試合の前にそのジュースを補給すると、次の日の筋肉疲労も軽減される。実験は、7人の被験者を選び、エクササイズ用の移動しない自転車を運動をしてもらった。実験の前に、約1 gあるいは6 gL-シトルリン入りジュース、あるいはフルーティなプラセボジュースのいずれかを飲む。別の日、三日を選び、それぞれの被験者の血液中の乳酸レベルを測定したところ、実験中のそれはドリンクとはリンクしていなかった。ただし実験の次の日、プラセボジュースを飲んだ場合には、足が筋肉痛だったのが、L-シトルリン入りを飲んだ場合には、その症状がなかった。研究者らはさらに、L-シトリルンの濃度のどれが、正解かを、スイカジュースで探索している。

[1] 2-アミノ-5-カルバモイルペンタン酸、1930年日本で発見されたとのこと。

[2] Chemical & Engineering News, 2013 August 5, p. 30.

DOI: 10.1021/jf400964r

13.8.28

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マリンバ

 輪番で弾きましょうと言われてもできない。それなりに奏でるには、相当のスキルも必要である。しかもこの楽器で化学データを分析しようとする人はいなかった。でも今回、教育者のチームは、赤外吸収スペクトルをオーディオに組み入れ、視覚障害の科学者や生徒が、利用できる方法を開発した。まずオープンソースのソフトウエアを使ってIRデータをMiDi形式、これはデジタル音楽ファイルだけど、それに変換した。スペクトルでは縦軸にあるIRピークの強度を示すために、より強いシグナルを示す高い音で表現した。一方で通常横軸にある周波数は、時間で表現した。ある程度の練習をした後、先の生徒さんたちは、サンプルスペクトルの中の主な官能基を正しく同定することができ、有機分子を同定する情報として利用することもできた。このソフトウエアは他のタイプのスペクトルにも拡大できる。またある生徒は「この方法によって、スペクトルを小さなオーディオグラフィックに要約でき、ついでスペクトル全体を把握することができる」とコメントしている。「人気沸騰マリンバ、足りんば」の日もくるか。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 August 5, p. 30.

DOI: 10.1021/ed4000124

ブタン酸サウンドを聞くこともできる:

http://cen.acs.org/articles/91/i31/Sound-Spectra.html

13.8.27

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オメガ3-脂肪酸

 たとえばエイコサペンタエン酸(EPA)で、よくある健康サプリメントである。面と向かって勧められる場合もある。ただしそれは、海洋のお魚由来で、その供給源が限られているため、長期にわたる持続性が課題であった。その中、油性のイーストの一つを遺伝子操作によって改変し、より簡単に脂質を蓄積し、大量のEPAを生産できる方法が開発された[1]。研究者らが選んだ代謝経路では、最初の段階が律速段階であり、この間に中間体で止まってしまうのを最小限にする必要があった。四つの酵素のための遺伝子を加え、リノレイン酸のEPAへの変換を促し、過酸化異性体、これが細胞小器官で長鎖脂肪酸を分解してしまうが、その活性を抑えることで、収率を向上させた。最も高い効率を示した系では、56.55%の脂肪酸量、乾燥細胞量としては15%だった。このイーストは、なかなか、い〜すとで、遺伝子工学によってバイオディーゼルなどに必要な脂肪酸や脂質を生産する系にも変換できるとのことである。脂肪酸のこと、お坊さんにも聞いてみよう。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 29, p. 19.

DOI: 10.1038/nbt.2622

13.8.26

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薬物を検出するには

 血液や尿の採取あるいは髪の毛のサンプルが必要である。これが不要になるかもしれないという成果が報告された[1]。唾(つば)、つまらない話ではない。わずかな量のそれに、銀ナノ粒子を利用したマイクロ流体素子と表面増強ラマンスペクトルの組合せで、違法薬物を使用しているかどうかを特定できる。実際唾液中のナノモルレベルのメタンフェタミンを数分で検出していることから、この薬物検出は時間と経費の節約を可能にする。唾液を流体素子に流し込むと、その中のメタンフェタミンのような低分子は、タンパク質のような大きな分子より速く移動し、ナノ粒子により早く吸着する。ついで塩イオンが導入され、銀ナノ粒子がそれらと会合し、より強いスペクトルシグナルを発生させることができる。このシステムは他の低分子薬物や毒物検出にも適用するための、微調整が簡単にできる。サンタバーバラ大学の研究者らが、ばらば〜らじゃなくて、共同で行った研究成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 29, p. 28

DOI: 10.1021/nn402563f

13.8.25

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セッションの

 有効期限が切れています」というメッセージ。機嫌が悪いのか、メールへの接続ができない。でもこちらは切れてはいけない。大学が運営するWebメールにSafari経由である。これまでは、さしサファリなかった。パソコンを更新したばかりである。それとの相性か?でも同じユーザIDとパスワードでログインする学習支援システムは難なく画面が登場する。センターに電話でお尋ねする。「担当者がいないので後ほど」このパターンか?いやその後、実際の担当者は、こちらの手順や状況を確認しつつ、どこに不具合があるかを冷静に探ろうとされている。翌日になった。Macの画面右上には日付と時刻表示がある。それはほぼ現在時刻であるけど、その環境設定を開く。さらに「日付と時刻」「時間帯」「時計」のうち「時間帯」を開く。位置情報の設定である。これをまず国内にする。ただし岐阜は国内リストにはない。で「日付と時刻」を確認。無事Webメールがつながった。「時間帯か、簡単や」とは後から思うことである。真摯な対応に感謝、感謝です。

13.8.24

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わくわくするような分子を

 合成したいという化学者にとって、菌類のアルカロイドであるcitrinadinsを挙げるのは、ひとりなんでぃない。医薬品ではよくみられる多数のキラル中心を有すること、またがん細胞株に対して活性を示す。今回、合成化学の巨匠であるS. F. Martin先生とJ. L. Wood先生が、最初のエナンチオ選択的な合成に成功し、連続する論文として発表し、2004年に発表された構造の間違いも明らかにした[1]。それぞれお互いに、関連する分子の研究を行っていたことを学会で知り、その後、情報交換、たとえばWoodらはMartinらにcitrinadinのエポキシケトン部位を導入する方法をアドバイスしたりもしていた。一方で方法論はそれぞれ独自である。すなわち後者はエナンチオ選択的なビニルMannich反応を利用し、前者はニトロン環化付加によるアプローチであった。「巨匠が、こうしようと導いた独創的な成果がゆえに、当然の帰結だよ」というコメントもあった。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 29, p. 28.

DOI: 10.1021/ja405547f and 10.1021/ja405548b

13.8.23

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ヤギの首の下

 にある柔らかな毛、これが高級繊維カシミアにある。貸してみいあと、近くにあれば、感触を確かめることができる。ただし中には、ヤク(チベットの野牛)や羊のたてがみは、それほどの価値はないけど、時々カシミアに混ぜられることがある。織物のラベルを確かめるために、繊維業者は通常、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡で繊維の表面分析を行っている。ただしこの方法は時間を要すること、また主観的である。それに対して、繊維の素がなにか、ほかのものが混入しているかどうかを確認する方法として、プロテオミクス法が開発された。研究者らは繊維の中のケラチンを分析、かなりたくさんの種の特異な配列を同定した。色々な国の動物から集めた繊維のブラインドテストで、認証技術を試行した結果、一定の結果を示した。これまでに開発された抗体法でカシミアとウールの識別が行われていたが、この方法や他の方法は、繊維が、染色されたり、漂白されたりした場合には、一定の結果をもたらすことができなかった。今回のケラチン分析は、他の方法をけちらすん結果となった。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 29, p. 29.

DOI:10.1002/jms.3222

13.8.22

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化学オリンピックモスクワ大会が

 715日から24日まで開催された。化学の知識と実験部門の試験。実験の課題は、色の着いた有機化合物の調製と分析、プールの水の定量的な分析、高分子の分子量の決定など。筆記試験は、メタン包接化合物や光合成における酸化還元反応など八つの問題。例年通りのオリンピック。難度な問題に何度もピックリ。金メダル34、銀メダル64、銅メダル94が、73カ国から集まった291名の生徒に授与される。結果、中国、韓国、台湾の高校生が、金三つに銀一つ、米国と開催国ロシアはそれぞれ金銀二つずつ、シンガポールとウクライナは、金三つに銅一つなどの結果。競技の後は、モスクワ観光。混雑していても、もうすくわの気分で散策するとともに、様々な国の生徒間の国際交流。インタビューでは「競技は困難だったけどやりがいも大きかった」「ここロシアでも国の代表として充分にできたのでよかった」「この上ない貴重な経験ができた」など。次回46回大会は、20147月ベトナム、ハノイにて開催予定、気のいい人も参加するはずである。

[1] Chemical & Engineering News 2013 July 29, p. 10.

13.8.21

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かなり歪んだ

 これまでに例のないナノサイズのグラフェンシートが、名古屋、ボストンの日米共同チームで開発された。この成果は、炭素が、様々な様式で配列できる能力を示すとともに、その結果得られる特異な電子さらには光学特性を有効に利用した、光電子工学的な応用も期待される。1980年代まで、炭素は通常二種類、すなわちダイヤモンドおよびグラファイト構造をとると理解されていた。それ以来、バッキーボール、ナノチューブ、平面グラフェンや他のものが、世に登場してきた。今回は、多環芳香族炭化水素であるコラニュレンから、C-H活性化の反応を利用して、ひずんだ様式のナノサイズの結晶子が合成された。豪勢である。X-線結晶解析や他の分析をもとに、研究チームは、26員環C80H30生成物は、キラルで、六方晶系の炭素格子に、五つの七員環と一つの五員環が組込まれていることを明らかにしている。「歪んだ中に、住んだ気分は?」と、電子に聞きたくなってきた。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 22, p. 27

DOI:10.1038/nchem.1704

13.8.20

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ドームのムード

 の中に自分もいる。試合開始30前ともなれば、それぞれのチームのベンチ入りの選手が紹介される。「しょうかいなあ」と思う間もなく、スターティングメンバーの発表。しばしの静寂の中、キャラクターのパフォーマンス。ドアラがドアならぬところから登場。トラッキーたちは、組立体操を披露。あとわずかで試合が始まるそのとき、赤毛の選手が登場。背中にはMUR•••とある。でも村井君ではない。なぜかストレッチをやっては、外野辺りで身体をならす。遅刻か?いや先ほどは守備練習もしていた。その日も、彼の一打が決勝打だった。それからしばらくたった日。ここでは風船をタイミングよく膨らまさなくてはいけない。でも同点のまま試合は9回裏へ。満塁の好機、先のスラッガーは惜しくも浅い外野フライなるも、後続にチャンスを託した。五番こちらも「あら、いいバッター」と思った強打者の犠牲フライで、さよなら勝ちをおさめた。ひいきチームを追っかけた八月半ばだった。

13.8.19

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ヨウ素原子は

 周期表の中で、第一のプレースホルダーである。化学者は、炭素−炭素結合形成の前に、それがおこる炭素部位をヨウ素が規定する。よそではつながない。あるいはその部位をトリチウムで置換えることで、放射性ラベルした化合物を調製することもできる。ただしここで課題は、そのヨウ素を、安全にかつ選択的に、分子にどう組込むかである。通常取扱注意の反応剤が使われ、ヨウ素化よそうかにもなりかねない。それに対して今回、Pd触媒を用いたC-H結合のC-I結合への変換反応が開発された。ヨウ素源は、ヨウ素分子である[1]。通常この種の反応を行うとPdI2が形成し沈殿、反応性が低下してしまう。ここでは電子求引性置換基の組込まれたアミドを補助基として採用し。酢酸セシウムを共存させることでPdI2を反応性の高い化学種に変換している。反応はピリジンのような複素環化合物でも容易に進行する。成果は特許申請され、共同研究を行っているBristol-Myers Squibbが、トリチウム化に応用し、動物実験における医薬品の代謝経路の解明を行おうとしている。ここでもヨウ素は、ようさん使われている。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 22, p. 27

DOI: 10.1021/ja4055492

ちなみにプレースホルダー(placeholder): 後になって実際の文字や数字などが表れる場所を示すもの(SPACE ALC)。ここでは、後になって炭素-炭素結合ができる、たぶん。

13.8.18

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Walden反転

 わかるでん」という諸氏も多い。求核置換反応を学んだ際に登場する。1896Paul Walden[1]は、(+)-クロロコハク酸を(-)-クロロコハク酸に変換する反応を行い、炭素上の立体化学が反転することに気づいて公表した[2]van't T Hoffによる理論予測を実験的に実証している。今年はそのWalden先生誕生150周年である。祖国ラトビアでは、彼の業績を讃えて、切手も販売され、二つの通りがWaldenと名付けられた。歩いていても反転はしない。13人兄弟の末っ子として生まれ、間もなく両親と死別、兄たちの財政的な支援でドイツの学校に通った。Ostwaldらに教わるのが終わるど、1892年に大学に職を得た。1914年には、イオン液体の一つ硝酸エチルアンモニウムの伝導度についても発表している。激動の中、ドイツで生き抜くも、1942年空襲で、所蔵する書籍や論文を含めたすべての財産を失った。大戦後も、貧困は続き、1957年にこの世を去られた。「国籍は?ドイツ、ラトビア、ロシア?」と聞かれた際、しばらく考えて「私は化学者です」と答えたとのことである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 22, p.28.

[2] DOI: 10.1002/cber.18960290127

13.8.17

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バイオ炭

 (biochar)がおったんかと注目を集める。低酸素条件下、ゆっくりとバイオマス廃棄物を燃焼させることによって生じる炭である。これを、木片、食品廃棄物や動物の肥料を原料として、製造できれば、地球上の炭素サイクルから、二酸化炭素を除去することができる。これは化石燃料から発生したCO2、一般には光合成によって植物に吸収されるが、をバイオ炭に変換し埋めることで、炭坑のように貯蔵しうるという結論に至った[1]。バイオ炭は、何世紀にもわたって安定である一方、土壌調整剤、土地の生産力の維持、微生物の活動の向上、保湿性の改善などにも利用できる。また活性炭と同様に、重金属や有機汚染物質を吸収し、植物がそれらを摂取したり、地下水に入り込むことも防ぐことができる。これによって、見捨てられた工場跡地、使われなくなった炭坑や農地や、埋め立て地などの浄化へも応用できる。バイオ炭のバイオリズムで、たんと活用させてもらおう。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 22, p. 26.

DOI: 10.1016/j.jbiosc.2013.05.035

13.8.16

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どこにでも

 ありうむアリウム属(allium family)の植物、タマネギやニンニクが有名で、刺激性の臭いで悪名も高い。時に、涙を誘発する。揮発性の硫黄化合物である。主たる要因は、アルキルシステインオキシドが開裂して、プロパンチアールs-オキシドが発生するためである。それに対して同様の臭いがあるも涙を誘発しない中国原産の植物がある。和名は「ちゃんちん」やを忘れてはいけない。鈴の音になってしまう。これに注目した研究者らは、その中の不揮発性化合物の同定を行った。S,S-グルタミル-(S-1-プロペニル)チオグリシンの二つの異性体であることがわかった。グルタミン酸とシステンでジペプチドを形成し、硫黄上に1-プロペニル基が結合している。これは天然で発見されたノンシステイン型の代謝物の最初の例であるらしい。この化合物は植物細胞が壊れると同時に、揮発性の臭い化合物として、シス-1-プロペンチオールになる。刺激臭だけど、涙目にはならない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 22, p. 26.

DOI: 10.1021/jf401946d

13.8.15

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満天の星空

 かつて学んだことがある星がどれなのか検討もつかない。近くで「天の川、すごいねえ」という声がする。その方向には確かに、ちりばめられた星が流れを織りなしている。北斗七星がわからない。知性ができていない。「あれじゃないですかねえ」という学生さんの声に、全体がくっきりと見えてきた。この先に北極星があって、さらにカシオペヤ座があるはずである。あのちょっと変形したWがそうなのかなあと、どこを結んでもWになりそうな星群である。この日、ペルセウス流星群が見えるという。ピークが夜12時頃とのころ。寒い中、毛布をまとって出た学生さんが戻ってこない。自分もついに外に出た。倒せる限りに首を後ろに倒して、空に集中する。どこから現れてどこに消えるかもわからない。あれだ!と発見した次の瞬間には、その残像すらない。流星が見えて、ほんのわずか後「あっ」という彼らの声がする。やはり光速のほうが音速より大きいのか。あの速さに、願いも、かなわんか。

13.8.14

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鱒つり

 おつりがくるほど、意気込む。竿を持つのは10年ぶりくらいである。このエサ、えーさかいにと、いただいたエサを針先につけて、糸を池に垂らす。一匹だけいるところに垂らしても、間近まできては素通りされる。数匹が群がっているあたりに、あたかもエサが自然落下したように糸を垂らす。その時には、別の魚がエサを持っていく危険性があるので、鱒も、ますますさかんにエサに食いつくように感じた。釣った鱒の口内深くまで針が食い込んでいる。それをするりと抜くこともできずに、もたもたしていて、助けを求める。手の中で勢いよくはねる鱒。小さなラジオペンチを持ってきてもらった。可哀想という気持ちがこみ上げるなか、大胆に針を抜いた。めげずに再び糸を垂らす。一緒に参加した学生さん、暑さも忘れて、水面に集中していた。時に、エサだけをプレゼントする結果になっても、始めからやりなおす。鱒(trout)釣りで、徒労トだった人もなく、マスターした腕を振るった結果が、夜の食卓を飾っていた。

13.8.13

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イソシアン酸

 (H-N=C=O)の研究に勤しんできた毒物学者。喫煙によって血液中に吸入されることで、タンパク質のアミン部位がカルバモイル化され、構造がくずれる。これが白内障、リウマチ関節炎、動脈硬化などと関連していることを明らかにしてきた。一方で大気化学者がイソシアン酸に着目したのは、最近である。山火事の時にそれは発生する。また実験室の実験ではディーゼル車の排気ガスにも含まれることがわかった。そこで研究者らはトロントに出向き、とろんとするところを耐えて、そこの幹線道路近郊の大気中の酸の濃度を測定した。それをもとに、カナダ全土で年間770トンのイソシアン酸が発生していることを推定した。ここではディゼール車だけではなく、他の自動車も酸を排出している可能性も高い。2012年、トロントの大気では、990 pptに達したこともあり、これはほとんど1 ppbで、血液中のタンパク質がカルバモイル化をうけてもよいレベルである。ちなみにカルバモイル化、わかるかな。モバイルかで検索もよし。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 22, p. 7.

DOI: 10.1021/es401127j

13.8.12

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炭素−炭素結合形成

 立体制御といえば、アルドール縮合反応が浮かぶ。二つのカルボニル化合物からキラル化合物が導かれる。この変換反応には、莫大なバリエーションが報告されている。がいずれも少々お高い。経費がである。それに対して安価な方法を開発したらと著者らが述べている[1]。発見は意図したものではなかった。ある博士研究員、頭をひねんっていたか、ピネンから導かれるホウ素化合物の研究を行っていた。この化合物はすでにアルドール反応に利用されているが、彼はそれを市販のアクリロイルアミドで、アミノ基部位がモリホリル基である化合物と組み合わせた。そこにアキラル、キラルどちらのアルデヒドも加えた。その結果、アルドール生成物が、そこにあるどーるで、しかもシン配座だった。モルホリル部位は、脱離あるいは変換可能である。生成物のコストは20セント/1ミリモルで、他の方法はこれより高くつく。高価な触媒や多段階を要するためである。さらにアンチ選択性めざして、ポスドクのあんちゃんらが探査を続けている。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 15, p. 25.

DOI: 10.1002/anie.201302535

13.8.11

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医薬品候補であれ

 農薬であれ、意気地なし(milquetoast)C-H結合をC-OH結合へ変換することができれば、より多様で複雑な構造を持つ化合物を導くことができる。これを芳香族化合物で行うために、超強酸や金属が必要であるけど、酸化が進みすぎて、降参か」である。それに対して、金属を使わない芳香族化合物の酸化、しかも幅広い官能基を許容し、構造的に複雑なフェノールを与える系が報告された[1]。まず酸化剤として過酸化フタロイルを用いる。脂肪族C-H結合は反応に関与せず、芳香族C-H結合のみが酸化される。溶媒には、ヘキサフルオロイソプロピルアルコールが最適である。アルデヒド、エポキシド、ボロネートがあっても反応には影響しない。とはいえ過酸化物を利用する反応であるため、80 ℃以下で反応を行うべきであること、計算化学とのコラボで明らかになった推定機構は、O-O結合の開裂で二つのラジカル中心が形成し、一つが芳香族化合物に結合、もう一つが水素を引き抜いている。UT-AustinDio Siegel先生、生い茂〜る化学分野の開拓に踏込むことができた様子である。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 15, p. 7.

DOI: 10.1038/nature12284

13.8.10

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スライスしたレモンに

 氷、あるいはホットミルクとスプーン一杯のお砂糖を入れて飲むお茶は、水に次いで、最も世界中で知られた飲料である。そのため、インドやアフリカのような、このお茶の生産地が干ばつの被害に会った時、この大切な飲料の価格が、高くなる。その中、研究者らは、お茶園で、干ばつの被害を改善できる方法を発見した[1]。カメリアシネンシス、自分は知らねんすが、と呼ばれている茶の原料となるチャ樹のプラントを、硫酸亜鉛の溶液で、水まきした。その後一週間水まきをしなかった。それでも、乾燥によってもたらされる被害は減少しているように思われた。亜鉛溶液で処理された植物は、比較対照としたグループに比べて、干ばつのような状況になった後、より大きくなり、より高いレベルの抗酸化剤を含み、反応性の高い酸素種のレベルも低下していることがわかった。インド、アッサム大学での研究成果である。この地域「あっ寒」という日があるかどうかは記されていない。

[1] Chemical & Engineering News, July 8, p. 27.

DOI: 10.1021/jf304254z

13.8.9

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美術に熱中する人は

 ルネッサンス時代の名作を鑑賞し、絵画の美学に浸る。でもナショナル・ギャラリーに所属する保存の科学の専門家であるJ. K. Delaney、(その方、誰やにい〜)は、作品に使われているバインダーや、染料をつなげている材料、インクとリンクする材料全般の研究を行う。その中、近赤外反射率画像分光法と呼ばれる遠隔測定で使われている吸収スペクトルによって、絵のバインダーの正体をマッピングする非侵襲な方法が報告された。わからないと、やバインダーという心意気である。たとえば1475年、Cosimo Tura によって描かれた絵では、卵黄、動物の肌や、これらの混合物や他の成分をバインダーとして利用していた。近赤外法の結果を、通常の破壊を経るサンプリングや分析法で得られた結果と比較したところ、正確に、絵のバインダーを同定することができることがわかった。非侵襲法を、必至んに、習得した結果、バインダーが、なになんだ〜ということがわかった。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 8, p. 27.

DOI: 10.1039/c3an00926b

13.8.8

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医薬品化学で

 最も利用されている反応の一つは、Pdが触媒するアミンとハロゲン化アリールとのクロスカップリング反応でN-アリールアミンを導く系である。過去20年間に、この効率的な方法は、それ以前に知られていた伝統的な求核的芳香族置換反応(SNAr)による、N-アリール化にとって替わった。それに対して、研究者らは、Pd触媒による反応に依存しすぎていて、SNArもあり〜うる系でその検討がなされていないと考えた。特にヘテロ芳香環たとえばクロロピラジンやクロロピリミジンは、苦労がみじんもなく、SNArでは、クロロベンゼンより、高い反応性を示し、Pd触媒が不要である。この考えをもとに反応の最適化が行われた[1]。その結果フッ化カリウムを塩基として、元気を出させ、水を溶媒としてPd触媒に匹敵する収率で、N-アリールアミンを得た。これによって、Pd触媒、リン配位子、有機溶媒の使用を避けることができる。アミノ化かあ、美濃地方でも検討したい。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 8, p. 27.

DOI: 10.1002/cssc.201300239

13.8.7

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ドリアン

 踊りあんながら食す人もいるかもしれない。緑色したフットボール型の果物である。東南アジアに多く、その独特の臭いから、シンガポールでは、地下鉄等の公共交通機関への持込みが禁止されている。手と口の回りをべとべとにして食べると、おいしさが一層ひきたつとか。ただし家の中ではなくて、屋台で買って、それをそこで割って家族で分けて食べるのが、通常らしい。様々な低揮発成分、もちろん有機硫黄化合物も含まれているために、その強烈な臭いに至っているらしいけど、とりわけプロパンチオールが代表格らしい。その果実からワインを製造するのに成功したとのこと[1]。シンガポールのある大学の学生さんらがフランスから帰国後、研究室がワイナリーになり〜、その実を崩し、他の成分と混ぜて、数日間発酵、結構よい感じの白ワイン様の飲料が出来上がった。アルコール成分は6%程度、臭いはかなり緩和されているらしい。ドリアンワイン、きどりあんながら試飲してみましょうか。

[1]86NHK朝のラジオ

13.8.6

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2-ノルボルニルカチオンの構造

 1950年代、S. WeinsteinらとH. C. Brownらの間で、電子が非局在化した炭素陽イオンかそうではないか、相当に議論がなされた。その後、気相中では、非局在化が起きそう、NMRによって溶液中の挙動も、ようやく決着がつけられていた。それに対して固体構造である。X線構造解析によって、結論が導きだせるかという段になったものの、結論が出ず、いわゆるディスオーダーが、研究者を悩ませていた。その中今回は、2-ノルボルニルカチオンに、ブルモアルミナートイオンをカウンターカチオンとして持たせ、245 Kまで冷やして、数日間かけて結晶化させた[1]。さらに結晶を40 Kまで冷やし、焼きなましのように、それをゆっくりと暖め、再び冷却することを繰返し、分子のディスオーダーを排除し、良質のX-線データを取得することに成功した。構造は三中心二電子系であることを示し、二つのC-C結合が1.80 Åで通常のC-C結合の1.54 Åよりも長いこと、三番目の結合は1.39 Åの長さで、ベンゼンの非局在化C-C結合とほぼ同様であった。半世紀を超えて話題に上るノルボルニルカチオン、かっちょんいいねえ。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 8, p. 5.

DOI: 10.1126/science.1238849

13.8.5

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鼻声で

 しかもこもった感じ、自分でも聞こえにくい。とお医者さんにお話する。両耳、鼻を視てもらった。鼻からステンレスの管を入れて水を通される。はなから予想していたわけではなかったので、先生ちょっと痛いです、でも声が出せない。鼓膜の検査とのころ。鼓膜を細かく検診かと思ったら、ヘッドホーンのようなものを耳にあてられた。耳の中に圧力を感じる。始めは弱く、だんだんと強くなってきた。その結果から、耳の内部が炎症を起こしているということがわかるらしい。模型が理解の一助になる。もうけいものである。症状を改善するための薬を処方するので、それでしばらく様子見となった。その後マッサージをするという。鼓膜のである。両耳にイヤフォンのようなものを差し込む。「いや、ほんまですか?」するとポンポン船にのった時のような「ポンポン」という音と、かすかな風圧の刺激がある。二分ほど続く。目を閉じると、夏の岸壁から船で沖に繰り出す情景が浮かぶ。終えて目を開けた。そこは診察室のままだった。

13.8.4

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家を出て

 二時間余り、目的地についた。請われて訪ねるわけではない。「入試の説明をするように」という通達を受けての訪問。本物の説明を求められるも役不足である。事務室から連絡をいただき、訪ねる部屋を教えてもらう。一通りの挨拶をする。しばし沈黙。次の一言はこちらに委ねられる。「一席、おつきあい願います」ではいけない「大学のパンフレットをお持ちしました」さらにいくつかをお渡しして、「説明はパソコンを使わせていただきます」と時間をいただいた。途中、ときどきある、かすかな反応を伺いながら、聞いていただいている感触を得る。終了後、「何かご質問などありましたらお願いします」「いやあ特にないです」説明の詰めいが、甘かったのかとよぎった。ここでは、学科の組替え、入試の変更など、こちらが思っているほど、たいしたことではない様子だった。悠久が刹那を上回っていた。高校の理系・文系の動向、大学への希望などをいくつかお聞きし、収穫を得、30分足らずでその場を去った。夏の日差しが、とぼとぼ歩く人を、地面に描いていた。

13.8.3

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銅触媒と配向基とを使って

一つあるいは二つのフッ素原子を芳香環の期待の位置に組込む反応が開発された。これは最近の有機フッ素化学の進展を、さらに進展させるもので、医薬品、農薬、医療用の放射性同位体ラベル化剤を調製するのに、有用な方法になりうる。これまで研究者らは、Pd-あるいはCu-触媒によるオルトC-H活性化や芳香環の官能基化を行ってきた。これらの選択的反応の鍵は、芳香環に、二座のアミノキノリンあるいはピコリンアミドを配向基として組み込んできたことである。同様の配向性がフッ素化でも達成できると考えた研究者らは、ベンズアミドやベンジルアミドの選択的フッ素化を、ヨウ化銅を、たぶんイトーヨーカードではないところから手に入れ、フッ化銀をフッ素源として、酸化条件下で反応させた。触媒量と反応剤の量比を調整することで、モノあるいはジフッ素化が制御できる。ラトビア出身で、ヒューストンで活躍のダグラス先生らの成果、クラスでも、教えているのかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 1, p. 20.

DOI: 10.1021/ja4047125

13.8.2

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ダイヤの輝きと美しさのため

 それは、マリリン・モンローの無二の親友になっていたのかもしれない。一方でその奇妙な電子的な特性は化学者を魅了するはずである。今回、ダイヤの負電子親和力(NEA)として知られている特性を利用することで、工業的には高温高圧で行われている重要な反応が温和な条件で行えることが明らかになった[1]。水素でキャップしたダイヤモンドは紫外光照射によって電子を放出する。これを、窒素ガスを吹き込んだ水の中に浸したダイヤモンドに施した。その結果、放出された電子は水分子と素早く相互作用し、これが還元剤として、プロトンと窒素分子と反応し、アンモニアを形成した。反応は室温で進行している。研究者らは、溶媒和した電子を過渡吸収スペクトルで観測し、紫外可視吸収スペクトルを使って、特別に設計した光化学セルの中のアンモニアの発生の収率を測定している。しかも由来がゆらいでいた、窒素ガスについて、同位体でラベルした窒素ガスを用いて特定している。ダイヤモンドには様々な様式のものがあるが、比較的安価なもの、おつなことに、つや出し用のものでも、同様の反応が進行する。ダイヤ、使うのイヤダという方はおられますか。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 July 1, p. 7.

DOI: 10.1038/nmat3696

13.8.1

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