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2013年11月

人の血液を

 ある種のアミンやニトロ基を含む医薬品が分解する。血液の中のヘモグロビンが破壊されて、貧血や別の問題を引き起こす。その種の医薬品を新たに設計し、そのような副作用を最小化あるいは防ぐことは可能である。が新たな設計に必要な、破壊過程の分子レベルでの理解ができていなかった。その中研究者らは、プロセスの鍵となる詳細を解明した。尿路鎮痛薬であるフェナゾピリジン、これが謎であったが、のような医薬品は、体内で、いないと起こらないが、いるとアルキルあるいはアリールニトロソ代謝物に変換され、ヘモグロビンにバインドすることは知られていた。新しい研究では、ヘモグロビンが壊れた中間体を発生させ、その構造が特定された。その結果、メチルニトロソ誘導体は崩壊を引き起さないが、エチルニトロソ代謝物はそれを引き起す。この発見は、エチルニトロソ分解を避け、ヘモグロビン分解からの毒性を抑制するための、「ヘモグロビンも平気やもん」という医薬品の合理的な設計の一助となるものである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Nov. 4, p. 29.

DOI: 10.1039/ c3cc46174b

13.11.30

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もし科学者が

 太陽のエネルギーをお手軽に使って、安くて豊富な資源や水素のような価値のある燃料を、安価で持続可能な方法で発生させることができれば、世界のエネルギー問題を解決する大きな一歩となる。可能性のある系としては、光誘起による水の分解だけど、今回、低価格で透明な触媒が開発され、ゴールに一歩近づいた[1]。水素は様々な方法で水から発生させることができる。ただし電気分解のように、エネルギーを必要とする。しかもいくつかは白金や他の経費のかかる金属も使う。可能性のある低価格な系として、太陽光を特別に設計したセルに入れ、多段階電気化学過程を始動し、触媒表面での水の酸化を開始させ、酸素、電子、プロトンを経て水素発生に至る。ここではインジウムスズオキシド(ITO)を、触媒量の金属酸化物でコートしたものを使うが、インジウムやITOが高価である。しかも酸化物がITOの光透過率を低下させる。そこで、ITOがいいという考えから、NiあるいはCoでコートした銅ナノワイヤが開発された。その結果、同様の酸化活性で、ほぼ7倍の光を伝達させていた。またこの材料は簡単な液相法でガラスやプラスチックにつけることもできた。「銅ナノワイヤ、どうなのかいや」と探索した成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Nov. 4, p. 10.

DOI: 10.1002/anie.201306585

13.11.29

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ファン・デル・ワールス力の

 ファンである人もそうでない人もいる。それでもその分散力は、電子配置の変動によって生じる原子と分子の間の引力である[1]。この力の弱さのため、それを溶液中で研究し、タンパク質のホールディングやナノ構造材料の集積に関する重要な役割を理解することは難しかった。その中研究者らは、溶液中のアルキル鎖同士の引力を測定する方法を開発した。NMRスペクトルを用い、それ自身が折れ曲がっている有機化合物中の構造をモニターしている。折れ曲がった構造とそうではない状態の間の化合物の構造的な平衡は、アルキル鎖の間の分子内ファン・デル・ワールス力、さらには溶媒との相互作用に支配されている。平衡の位置から、様々な力を抽出し、31の溶媒と溶媒混合物中での、アルキルアルキルファン・デル・ワールス分散力の実験値が求められた。その結果は、その力よりも溶媒の凝集性が、アルキル鎖の会合に寄与していることが示唆された。ワールス力は、悪さしなかった様子である。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 28, p. 29.

DOI: 10.1038/nchem.1779

13.11.28

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超強炭素鎖

 ちょ〜今日教えてという人はお読みください:炭素原子を一次元でつなぐと、これまで知られている、いかなる材料よりも強いことが、理論研究から予測された[1]。カルビンと呼ばれている炭素同素体、単結合と三重結合が交互に直線で繋がった鎖でできている。これまで長さとしては44炭素が繋がったものが合成されているが、それより長い鎖はまだ合成されていない。一方でカルビンを引っぱり、炭素鎖が伸びた時の張力が計算された。さらに鎖が不安定になるまでに、どれくらいの力に耐えることができるかも計算された。これらの計算結果は、カルビンの引張剛性は、グラフェンやカーボンナノチューブのおよそ二倍であること、また新規な電子的あるいは磁気特性を示すことを示していた。たとえば、炭素鎖を通常の状態から90 °ねじると、このご時世でも、磁性半導体になり、それはデジタル記憶素子として利用可能である。いずれ、カルビン材料配達が、わかる便が登場するかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 28, p. 28.

DOI: 10.1021/nn404177r

13.11.27

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油と酢がベースの

 サラダドレッシング。今さらだが、その瓶を振って見よう。すると二つの混ざり合わない成分が接する面に球状のものが見える[1]。これは二つの液体をまぜることで生じる液滴にとって、球状が、もっともエネルギー的に好ましい形である。それは表面積を、最も小さくし、疎水性の油と親水性の巣の間の相互作用も最小化できる。そこである研究者らは、この液滴のかたちをひずませて、普通ではない状態でトラップしたいと考えついた。カルボキシル化されたポリスチレンナノ粒子とアミンが末端にあるポリマーを組合せて、ナノ粒子界面活性剤をつくることができた。これらのナノ粒子は、シリコーンオイルの中に落とした水のような二つの混ざらない液体が接触する面に集まる。ついで電場をかけたり、あるいは物理的処理を行うことで、形をひずませると、接触面にさらにナノ粒子が集まり、新しい形がそこで固定された。この所定の形をした液体を発生させ、さらに安定化させる能力は、反応性液体システム、梱包、輸送、貯蔵分野へ展開の機会をもたらすものである。研究者らは、かたい誓いで、形づくりに臨んでいた。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 28, p. 28.

DOI: 10.1126/science.1242852

13.11.26

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ふわふわした感触に焼いたパンは

 密になったパンよりも塩辛い味わいを呈する[1]。この発見は、米国の食べ物のなかで最も高いナトリウム源になっているパンの中のそれを低減させる有用な方法かもしれない。健康に関する専門家は長い間、心疾患の予防のために減塩の食事を推奨している。と同時に食品化学者は、より少ない量の塩を含む食べ物をつくることにチャレンジしてきた。それでもパンの中の塩を減らすことは簡単ではなかった。塩化ナトリウムは「イーストの活動にも、いいです」と同時に、保存可能期間を延ばすのにも効果的であった。さらに好ましい味わいも付与され、代替物は同様には作用しなかった。そこで研究者らは、触感がパンの塩味を感じることへの影響を確かめた。発酵の期間を変化させることで様々なサイズの気孔を持つパンが焼かれた。ついで専門家による塩味評価が行われると同時に、それを食している間に、パンからナトリウムイオンが放出される量と時間が測定された。それぞれの実験パンは同じナトリウム量を含むが、より大きな気孔を持つパンの方が常に、より強い塩味を感じると評価されるとともに、舌へのナトリウム放出速度も速かった。

 塩分控えめのしおらしいパンの誕生、待っています。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 28, p. 6.

DOI: 10.1021/jf403304y

13.11.25

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「戦うケネディ」

 という本を読んだ。小学校4年生の頃である。大統領の暗殺から5年も経っていないときに、本はすでにあった。若い頃、大戦にも従軍し、背中を負傷するも一命をとりとめたこと、その傷が残っていたこと、最後のシーンの鮮烈さだけが記憶に残る。「ダラスに住んだら」などと、米国を意識した。それから10数年経って、ある試験を受けた。当時の研究室の先生方に、その内容を伝えたところ「それはケネディ大統領の就任演説からやで」と言われた。「すげえ、なんで、そんなことがわかるのか」と思った。今ならWebで大統領の就任演説を聞くこともできるけど、当時である。その後も実際にそれを聞く機会がなかった。20年ほど前、ひょんなことからカセットテープが手に入った。でも手に負えず、手つかずになった。4年前に買ったCD[1]で、英文・日本語訳ともに目にすることができた[2]。先達たちの努力・歩みを無駄にせず、米国や世界を、ぐいぐいリードするぞという高い志に満ちている。

[1]「オバマ大統領就任演説」(朝日出版社)

[2]・・・We observe today not a victory of party but a celebration of freedom, から始まる。

13.11.24

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ポーランドで食したもの

 スープに始まる。トマト、マカロニ入り、くせのないクリームスープにソーセージが入る。だれが創製したかはわからない。赤かぶスープ、フラボノイドがのどを通過する。すこしぬるめで、のどに優しい。前菜は、「にしん」にしんの?と、その生を塩でしめて、オイルで味つけした刺身。タマネギと一緒に食べる。千切りキャベツ、人参それにコールスロー(ゆでた野菜と呼ばれていた)、ポテトがサイド。そこに野菜や細かくきざんだソーセージなどを肉でくるんだロールキャベツならぬロールポークあるいはロールビーフが主役になる。他に皮で野菜やミンチをくるんで揚げた感じのポーランド版餃子(dumpling)もビールにあう。タンブラーグラスに注がれたウオッカ、一飲みで空にするのが習慣、でも慎重に口に運ぶ。幸いウオッカ、もっ一回どうやとは言われなかった。メニューには数種類の銘柄のビール。その中、ラガーほどの苦みやスーパードライほどのあっさり感はない、ほどよい感じのTyskieが最も一般的であるという。確かに、Tyskie大好き〜になった。

付録:ワルシャワ空港にて、カクテルPrestige Wasabi:ウオッカ、わさびジュース、シロップにきゅうり。急に注文したくなった。N-フェネチルイソチオシアナートの味に、しばらくするときゅうりが勝る。郷里を思い出す。

13.11.23

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ヂャンクイエにドブラ

 が便利な言葉と教えられた。一つは「ありがとう」、でもう一つは「どうも」(たぶん)に対応するようなポーランド語。ドイツとも陸続きでも、理屈抜きに、その言語は随分違う。ゲルマン系とスラブ系である。「かつてのドイツの宰相がポーランド語を話していたという記事を見て驚いた」と話題にされていたので、「その頃、両国の関係は良好だったのか」と尋ねてしまった。「いやポーランドは世界地図から消えていた」とのお答え。不明な自分を恥じる。

 ロシア語を第一外国語として学んだ世代も多い。この二つの国の様々な関係にも自分は疎い。でもお土産にならぶマトリョーシカを手にする。「持ってよろしい〜か?」と聞く必要はない。ただし一つ一つ丁寧に開かなくてはいけない。手のひらサイズでも、合せて五つの人形があった。単にだんだん小さな人形が登場するわけではない。並べると人の成長の過程である。胸元に描かれた花は、つぼみの前から始まって、一番大きな人形では花が豊かに咲いていた。

13.11.22

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キュリー夫人

 マリー・スクウォドフスカ・キュリー先生の博物館である。ワルシャワ旧市街にある。先生の生家なので、両側の建物とも馴染んでいて、見失うこともある。ただし建物に描かれたPo, Raと乳児を抱いたお母さんの絵が目に留まる。入ると正面には、一家に一枚周期表にも掲載の写真に出会う。左手二階に上がるとそこが受付である。まず先生の実家の系譜が掲載されて、それからの成長の過程を辿る。右手にある部屋には、結婚当時や、授かった子供の成長を垣間見ることもできる写真。一番奥には、先生が使われた実験器具に、実験ノートなどが展示されている。ただし説明のほとんどがポーランド語だけだったので、どんな実験をされたのか、想像力を刺激する。魅力的なお土産を見上げる。現金の持合せがなくて悔しい思いをするも、PoRaをモチーフにしたマグネット(ポーラと呼ばれていた)を10枚お願いした。数の多さに驚かれ、棚の奥まで捜してもらった。このマグネット、ネットでは手に入らないはずである。

13.11.21

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ウッジを後にする

 センターの公用車に運転手、ワルシャワまで任せろとのこと、こちらは、悪しゃはせず、車内に収まる。途中生化学の先生の自宅に寄った。50坪もあろうかというお庭に10畳ほどのリビング。そのゆったりした場で紅茶をいただいた。その先生方も一緒にワルシャワに到着。19181111日ポーランドがロシア帝国から独立した日にちなんで、時の指導者の像の前には花束が供えられていた。近くのワジェンキ公園のショパン像、その大きさと躍動感に立ち止まる。夏だとその像の前が池になって夜にはコンサートも開かれて賑わうらしい。そこから左手に多くの国の大使館を見て、徒歩で旧市街に入る。この国を代表する詩人の像、無名戦士の墓の前の広場。ナチスドイツ軍によってことごとく破壊された街を、絵画などをもとに、ほぼ完璧に元の姿に戻した。石を敷き詰めた道路、縦横・上下に拡がる空間、街全体のゆったり感。最高気温6 ℃でもここを訪ねる人は多い。

 次回(があるかどうかはわからないけど)こそは、ゆったりと過ごしたい。

13.11.20

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ポーランド・ウッジ

 かつては繊維生産で活況を呈した。その市への2度目の訪問は僥倖である。同じセンターのホテルに宿泊するも中は改装されていた。ただしエレベーターは以前と同様、上下に移動する部分に扉はない。各階に到着するごと、フィットすれば、鍵が解けたようにそれぞれの階の扉を開くことができる。ここより少し離れた大学キャンパス内のコンファレンスルーム。午前の講演だったので満席の聴衆の前で話す。「昨日の会議と出席者は異なるので同じ内容でもよい」との連絡だった。ただし招待された講演者6名は、チェーンストホーバからウッジまで同じメンバーが帯同した。たまたま自分は違う話題を用意していた。それでもウッジで、うっじうじしたくなかったので、急遽冗句も入れ替えた。加えて「一家に一枚周期表」を投影。うお〜という響きがあった。この表の右上にはメンデレーフ先生、ロシアの先生もこれに目を見張る。さらに右下辺りは、PoCsがあって、これらはポーランドにちなむ。化学会速報誌の宣伝にも奉仕して、最後はセレン・テルル化学国際会議。第10回のそれはこの地で開催された。で第13回、2016年の岐阜開催の会議への出席をお誘いして、持ち時間を終えた。

13.11.19

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ヤン・チョフラルスキ

 この国で最も有名な化学者の一人で多岐にわたって活躍した。1885年生まれで20歳の頃ベルリンに移り、技術工として働く。大学に研究室を持ち、そこで半導体に利用できる単結晶を調製する方法を発見して1918年に発表。また単結晶化率を測定する方法も開発した。それまでは「ポーランドにはお〜らんど」だったが帰国した。数多くの特許を持ち特許収入も多く、おかかえ運転手に自家用車でワルシャワの工科大学までを往復し、冶金学を探求した。第二次世界大戦中は、ナチスに対抗するための軍隊を支援した。にもかかわらず戦後、当時の共産党政府から「ナチスへの協力者」ということで罪に問われて逮捕もされた。あまりの金持ちに、真実は違うと知っとても、嫉妬を受けたのではないかという説もある。招待講演者の一人、会議ではジチオリン酸がトピックだったけど、午後は国会閉幕のセレモニーに出席するとのこと。そこではチョフラルスキ先生ついて、先生の名誉が二年前に回復されたこと、死後60年を記念して、講演をされる。「ジチオリン酸に興味を示す政治家は、おりんやろから」とのことだった。

13.11.18

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サンクトペテルブルグにある

 大学の先生も一緒だった。19世紀にはボロディンが任だった職を受け継いでいる。ボロディンは歌劇「イーゴリ公」の作曲者であると同時に、アルドール反応も発見した。その後メンデレーフもここから周期表を発信した。その記念館があるも、政府はその縮小を考えているらしい。館内には、発表当時の周期表からその語の変遷の展示もあると言う。冬にかかると、昼間は4時間ほどになるけど暗いうちから働く。その先生はフッ素が導入されたジアゾケトンを検討されていた。ロジウム触媒を使ったシクロプロパン化反応や七員環形成反応。「今は、化学薬品を難なく購入できるのか」とお尋ねした。「なぜ購入しなくてはいけないのか、すべて大学にあるものを使っている」「いやそうではなくて、たとえばAldrichから」と言う、ちぐはぐな会話がしばらく続いた。「この会話いかいんわ」と思っていると「20年前は難しかったけど、いまはオーケー」とドイツの先生にまとめてもらった。それまでは、独ソ不可侵に従ってか、ちぐはぐな会話を聞いておられたに違いない。

13.11.17

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チェーンストホーバ

 街はすでに冬模様、どんよりとした曇り空の中、厚手のコートに帽子をかぶって歩く人も多い。5時前には日が落ちてその後の冷え込みも厳しい。冬には街中が氷で覆われる日もある。路上駐車の車全体を氷が包み、つららが連なる写真があった。一年に3、4日そのような日を体験できるらしい。歴史と伝統のあるここに、ポーランド初のマクドナルド店がオープンした。うマック経営されているかはわからないが、外来文化である。かつて共産党本部だったという頑強な建物がJan Dlugosz大学になっている。いわゆる教育学部が中心で、ほとんどが女子学生である。ポーランドでは、工学系の大学にある化学関連の学科でも女子学生が多数を占めるとのことである。ギターコンサートに招かれた。奏者がきた〜と思っていると、一礼して演奏を始めた。150人ほど収容できるホール全体が、ギター奏者一人が奏でる音楽で満たされる。一本のクラッシクギターから、期〜待を遥かに越える豊かさで、もの悲しさ、激しさ、優しさ、様々な感情が醸し出されていた。

13.11.16

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ボーイング787

ドリームライナーに搭乗。正しくは搭乗したら787だった。「ライナー嫌いなら〜」と言われても、時既に遅しである。座席の数はジャンボに比べて少ない感じがした。でも最近就航したこともあってか、座席前のモニターや手洗いの電子制御のシステムはスムーズである。いよいよ離陸するとのアナウンス。臨場感のある上昇ムードに重力を感じていると、しばらくしてシートベルト着用サインが消えた。目的地の時刻は、午後630分頃だけど、機内は日本時間基準で消灯。なにかをしようとう言う人には座席用のライトがある。気取ることもなく十分な輝度である。ここで寝入ってはいけないと、インフライト麻雀で過ごす。幸い徹マンにはならなかった。フランクフルト空港が近い。着陸態勢に入ってから、おそらくジャンボよりは短時間で、空港に到着。この間も映画やゲームなどのエンターテインメントが稼働していたのは、初めての経験だった。機内で暴飲しなければ、ボーイング787も快適である。

13.11.15

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ドクイトグモは

 壊疽性病巣を引き起しうる毒を持つために、恐れられている。ただし一般のクモがその絹を紡いでつくるリボンとは違った形状のものをつくることに魅了された研究者らがいた。ここではクモ毒で苦悶することはない。たいていのクモやカイコは、開口一番、なめらかな円筒状の繊維を紡ぐ。それに対してドクイトグモは、40-80 nmの厚さで6-9μmの幅のフィルムでしかもナノサイズの突起を有するものをつくることがわかった。ついで原子間力顕微鏡で、その力学的な性質を検証したところ、その単純な構造にも関わらず、毒グモのリボンは、最もよい絹繊維と同様の強さで、人口絹繊維よりもはるかに強かった。研究者らは、ナノサイズの突起が、絹をより粘り強くし、絹の簡単に変形し易い平面の形が、他の表面と接触する面積を増加させているとしている。この普通ではない巣が、絹の構造の理解を助け、絹を基本とする次世代材料の設計も可能にするとも指摘されている。毒グモリボンをリボーン(reborn)させるのは、凡人には難かもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 28, p. 28.

DOI: 10.1002/adma.201302740

13.11.14

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半導体は

 制御できてカスタマイズ可能な電子特性を有するため、たいていの現代のハイテク素子に、入ってく。ただし一般には、高価なエネルギーを要する真空蒸着法で製造されている。これに対して単純で安価な手法として溶液層プロセス、すなわち噴霧して半導体の薄膜を調製する方法がある。ただしほとんどすべての溶媒が半導体の溶解には効果的ではない。最も効果的な溶媒であるヒドラジンは、毒性があって、爆発性も高い。これを克服するための研究が行われ、比較的無害の二つの溶媒を組み合わせることで、一連の半導体を簡単に溶かすことに成功した。とりわけ室温、常圧で、一般式V2VI3 (V = As, Sb, Bi, VI = S, Se, Te)で表現される二元半導体が、逃げんように溶ける。これらの一連の誘導体のうち多くは21-32w%に、また別のものは1-10w%の濃度であった。この溶液を使って、Sb2Se3Bi2S3の薄膜が担持材料の上に調製された。その結果、良質な不純物を含まない結晶フィルムが作成された。ちなみに溶媒の組合せは、1,2-エチレンジアミンと1,2-エタンジチオールである。どんな臭いでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2013, Oct. 28, p. 8.

DOI: 10.1021/ja4084336

13.11.13

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カルボニル化合物の還元

 セールはない。でも実験室や工業では、二級アルコールを導く最も使われている方法である[1]。たとえばアルデヒドあるいはケトンとシラン還元剤とを、白金を含む触媒存在下で反応させ、シリル化生成物を得て、これを加水分解する。ただし効果的な白金が高価である点、課題であった。それに対して今回、ハリファックス(カナダ)の大学とテキサスの企業との連携で、より安価な触媒系として、鉄触媒が開発された。しかも触媒量も少なく、これまでに報告された系より、幅広いカルボニル化合物に適用できる。N-ホスフィノアミジン配位子を構築していた研究者らは、それが有する窒素とリン原子が鉄に配位した錯体、鉄上には(Me3Si)2N基も結合しているが、を開発した。それによってヒドロシリル化は室温で1 mol%あるいはそれよりも少ない触媒量で完成し、エステルの還元にも利用できる。しかも一当量のフェニルシランでよい。なので、シラン補充のために、走らんでもよいと思う。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 21, p. 29.

DOI: 10.1021/ om400883u

13.11.12

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睡眠は

 移民する人もしない人も、加えて大抵の動物にとっても、必要不可欠である。たとえしばらくの間でも寝ずに過ごすと、認知機能に影響する [1]。長期の睡眠不足は、機精神障害を伴い死にいたる場合もある。そこでこの睡眠中の生体分子に関する研究が行われた結果、回復効果のある睡眠は、無意識の脳の中の、神経毒である化合物の効率的な除去を含む可能性があることが報告された。電気化学的な方法によって、睡眠中のネズミの脳は、大きさとして、23%の細胞間隙があること、一方で起きているネズミのそれは14%であった。さらに睡眠中のネズミでは、起きているネズミの20倍程度の距離まで、蛍光トレーサーが浸透した。加えて、アルツハイマー病で見られるタンパク質であるアミロイドを除去する量は、睡眠ネズミのほうが二倍であることがわかった。これらのことから、睡眠中の細胞間隙の拡大が、脳の中でたまった代謝廃棄物を流しだす一助になっていると提唱されている。人や動物に睡眠をとらす意味んが少し明らかになった。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 21, p. 29

DOI: 10.1126/science.1241224

13.11.11

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米国内でマリファナを吸引する人の

 およそ9%の人が依存症になっているらしい[1]。「こりゃあいいぞん」という状況ではないため、研究者らは、治療のための検討を行ってきた。その中、マリファナの活性の主な成分であるΔ9-テトラヒドロカナビノール(THC)を、自ら繰返し吸引しているリスザルに対してRo61-8o84[2]と呼ばれる化合物の効果がテストされた。これを注入された動物では、脳内のキヌレン酸の量が増加した。それによって脳内のある部分にあるニューロンの中のα7-ニコチンアセチルコリン受容体の配座が変化して、受容体が不活性化すると、研究者らは考えている。この受容体の不活性化は、神経細胞シグナルを中断させ、結果としてドーパミンが放出される。Ro61-8o48を与えられたサルは、与えられていないサルに比べて、THCの吸引の回数がかなり減少し、認知に関する副作用もなかった。Ro61-8o48に対して、リスザルは反応すざるを、得なかったようである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 21, p. 28.

http://www.simplepickup.com/

[2] Ro61-8o84はスルホンアミドで、硫黄上に3,4-ジメトキシフェニル基、窒素上に4-(3-ニトロフェニルチアゾリル基が、その2位で結合している。

13.11.10

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柿の収穫の季節

 いわば「かき入れ時」である。柿の実は夏頃、緑色で葉っぱに、かきれんぼしていて、目立たない。それが秋になって色づき始めると駆け足で鮮やかな色になって収穫期を迎える。木は2 mほどで、長身だと脚立など不要である。一つ一つ丁寧にとっては、腰にぶら下げたかごに入れる。大きいものだと直径10 cmを超えるものもある。さらに形のよいもの一つが、東京のデパートでは、600円だった。値札の誤表示かと思ったけど、ここでは富裕層のための富有柿になっていた。家の前に柿畑があった頃には、収穫したての柿をいただいたこともあった。水まきをしたり、雑草を抜いたり、時には木の間引きをするなど、お世話をされていた。起きて二階の雨戸をあけると畑の色合いでも季節を感じていた。収穫してすぐの柿は、こりっとした甘さである。しばらくすると熟れてくる。これが店頭で売れているかは知らない。でもとろりとした甘みである。食べ終わって柿の種が残る。これとおにぎりの交換が頭によぎる。猿知恵である。むかしむかしの「倍返し」のお話かもしれない。

13.11.9

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αアミノカルボニル化合物は、

 医薬品のなかにも多くみられる化合物である。血液抗凝縮剤であるPlavix(クロビドグレル)やEffient(プラスドグレル)などの優れるものや、食欲抑制剤アンフェプラモンは、その骨格を有している。その合成手法としてMacMillan先生ら(プリンストン大学)は、ケトン、アルデヒドやエステルのカルボニルα炭素にアミノ基を組込む一般性のある一段階合成法を開発した[1]。ここで使われているトリックは、臭化銅(II)を酸素存在下で利用している点である。まず臭化銅から、習慣どうとしてか、臭素がα炭素上に組込まれてその後、その炭素上でアミンと置換反応が進行する。反応例として市販品として入手できる化合物からクロビドグレルを導いている。この化合物の特許化された合成は、少なくとも三段階が必要である。また一方の鏡像異性体だけが活性であるために、現在利用されている不斉合成は5段階を必要とし、中間体の異性体の分離操作も含む。MacMillanチームは不斉合成への応用を検討中である。既存の方法が、プリンストン法で、すっとんでしまうかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 21, p. 28.

DOI: 10.1021/
ja4096472

13.11.8

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天文学者はこれまで

 太陽系外に水をためることができる岩礁を発見していたが、水の存在を指示する化学的な証拠がなかった[1]。その中今回、燃え尽きた星を取り囲む岩の破片を分析することで、その存在を裏付ける成果を得た。白色矮星GD61の周りの岩くずは、いわくつきではないが、星の重力で引き裂かれた惑星にあるような残部を含んでいた。ハップル宇宙望遠鏡とハワイのケック天文台で、GD61の近傍から放射される酸素と別の元素のスペクトルが測定され、これらを大気モデルに当てはめることで、元素の比が明らかにされた。炭素や金属が酸素と反応し、二酸化炭素や金属酸化物を形成するが、それらの存在がわかった。ただしそれを形成するほどに十分な酸素量がなかったため、水の存在が結論づけられた。この発見は、太陽のような星が、老齢化し燃え尽き、白色矮星になったあとも、岩礁は水を保持できることを示唆している。ただし「白色矮星の研究、わいらでっせい」と研究者らは主張していない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 14, p. 30.

DOI: 10.1126/science.1239447

13.11.7

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二つの医薬品を利用することで

 一方がもう一方の副作用を弱める可能性が明らかにされた[1]。最近の分子間相互作用を予測できる研究がこれを可能にしている。研究者らは、何万もの数の医薬品の副作用をこの方法で和らげることができるとしており、これは製薬企業が採用したい戦略である。ここではGlaxoSmithKlineの糖尿病治療薬であるロシグリタゾンを服用している患者が、心臓まひを起こす可能性を軽減させることができる医薬品をみつけるために、FDAが公開する医薬品同士の相互作用に関するデータベースを探索した。その結果、ロシグリタゾンと別の糖尿病治療薬であるエキセナチドを服用した患者は心臓まひの危険性がましになった。コンピュータモデルでは、エキセナチドに抑制効果を起動させる二分子の相互作用を示していた。さらにネズミの研究でそれが確認されている。さらに19000以上の別の医薬品の組合せが、同様に有益であることも示された。「二つの医薬品が、いい役しんの」とお互い呼びかけているが如くである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 14, p. 30.

DOI: 10.1126/sci translmed.3006548

13.11.6

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ACSが2014年

 新しい論文誌の発刊を決めた。オープンアクセス誌であり、その名前はACS Central Scienceである。詳細は未定だけども、多岐にわたる化学専門分野の研究成果を掲載する、査読方式のジャーナルにな〜る。読者はもちろん著者も掲載費用の負担はない。ACS Central Scienceは、早い時期に、数百の研究成果をオープンアクセスにする予定である。さらにそのジャーナルでは産学、技術、教育、政治などの分野におけるグローバルな傾向について、解説や分析についても特集する。

 加えてACS2014年、44種類の論文誌から、400名以上のACSの論文編集委員が推薦した論文を、一日一論文ずつ自由閲覧できるサービスも始める。またこれまでの論文誌のオプソンとして、論文掲載が可能になって直ちにオープンアクセスにするか、一年後にするかの選択肢を設けて、その際の経費を差別化する。さらにACSは賞を設け、対象となった責任著者は、1500ドルが授与され、これは2015-2017年の間にACSの論文誌に掲載許可を受けた論文のオープンアクセス経費に利用できる。

 ACSは年間40000程度の論文誌を掲載しているが、そのうち現状では1%ほどしかオープンアクセスにはなっていない。そこで今回の取組みによって、より多くの著者がオープンアクセスを選択できるようになるだろうと期待されている。苦節数年を経て、オープンアクセスの拡大が始まった。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Nov. 4, p. 11.

13.11.5

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浜松楽器博物館

 ガキの頃にはなかった博物館、一階には、世界の様々な楽器が展示されている。モンゴルの馬頭琴、その成り立ちが「スーホの白い馬」という民話になっている。ただし楽器そのものはなかなか見んわである。馬の頭の彫刻が先端にある。弓と弦は馬の毛を使っている。色々な民族のそれぞれの楽器を見学した後、地下の展示会場に移動。そこには、管・弦・打・鍵盤楽器のコーナーがある。1700年代に作られたパイプオルガンにチェンバロ、ヘッドホーンをつけるとそれぞれの音色が耳に入る。その頃からの楽器の変遷も一目瞭然である。育ちのせいか、管楽器のコーナーで時間を過ごす。どれも手にした最初は、音をつくる練習を繰り返す。楽器と自分の身体が一体になりはじめると、それなりの音色になる。楽器名の由来も紹介されていた。クラリネット、ネットで調べてもよいけど、ここには「ラテン語Clarus(明るい、声の高い)」が語源とあった。オーボエ、フランス語のhaut(オー、高い)、bois(ボワ、木)らしい。覚〜えておきたい。

13.11.4

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静岡大学が

 中化連のお世話をされた。この大学、静岡に理学部、浜松に工学部がある。この二つの都市、交流もしばしばあるとは思うけど、東海道本線はこの区間、快速がない。急ぐ人も普通を利用する。その分、それぞれの文化がある。浜松では「家康くん」、いわゆるゆるキャラである。一方で静岡では「家康公」と呼ばれている。工学部キャンパスまでは、駅からバスで15分ほどで、バスの本数も多い。例年通り、20を越える学協会の連合の討論会のため、この中化連では、全くわかれへん講演もままある。総合講演では、日本化学会会長玉尾先生の後、電子工学研究所の所長さんのお話があった。かつてここから、高柳健次郎先生が、全電子式テレビジョンを世に出された。先生は資財を売り、奥様の着物を質に入れて、研究費を工面された。昭和5年のある日、その成果を天皇陛下にお見せする機会に恵まれた。その後、当時の文部省とNHKが、研究費を支給し、大胆に研究が展開される。昭和15年開催予定だった東京オリンピックに向けた全国放送のための準備もされていた。「アンテナがこんなにあってな」という当時の写真もみせていただいた。

13.11.3

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緑色した

 ねばねばした藻で覆われる池、湖、川の数が世界で増加している。この過程は、富栄養化と呼ばれ、農業や郊外から流れ出た水に大量のリンや窒素が含まれているという、よからぬサインである。当然このサインはないんほうがよい。今回行われた研究は、藻の削減を考えるときに、これら二つの栄養素を別々に考えることができないことを示している[1]。リンの汚染を軽減させようとして、藻の成長を抑制すると、結果として、窒素レベルが増加、藻の増殖に至る。すなわち今後は、リンを削減しながら、窒素の制御にも注意すべきであるとしている。これまでの研究でも、リンと窒素には相関があるとされてきたが、これは無視されてきた。それに対して今回の成果は、米国とヨーロッパの12の大きな湖で長期間、リンと窒素を確認してきた成果である。研究者らのモデルでは、リンは藻による硝酸塩吸収を刺激する。もしリンが少ないと、藻の成長が緩和され、水中の硝酸塩濃度が増加し、別の場所にそれが移動し、そこで問題が生じると類推されている。リンを凛として制御し、藻にとって、窒素がごちっそうであることも維持しなくてはいけない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 14, p. 8.

DOI: 10.1126/science.1242575

13.11.2

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商品名DEET

 でいいと、N,N-ジエチル-m-トルアミドが納得したかどうかは知らない。でもこれが頼りになる60年以上にもわたって利用されている防虫剤である[1]。ただしDEETは、ある種のプラスチックを溶かし、神経伝達系に含まれる、ほ乳類の酵素アセチルコリンエステラーゼを抑制する。科学者は、DEETの代替品を探索しようとしていたが、昆虫のどの受容体が、この防虫剤に対して反応するのかも不明で、その同定と代替品のテストにかなりの経費を要するという課題に直面していた。その中、DEETを検出する臭い受容体や神経が同定され、計算化学によって、新しい防虫剤候補が探索された。すなわちIr40aと呼ばれている受容体、それはミバエの触覚の神経によって発現されるが、が、DEETに反応し、じっ〜としていられない行動をとることがわかった。ついでDEETや他の既知の防虫剤の特徴を引き出し、40万化合物ライブラリーから、ふるい分けを行った。1000化合物がヒットし、そのうち150が天然化合物だった。そのうち10をミバエにテストし、8つの効果が認められた。さらに4つを蚊でarm-in-cageアッセイ試験を行い、いずれも効果を示した。人の腕を使った実験、腕の見せ所だった。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Oct. 7, p. 45.

DOI: 10.1038/ nature12594

13.11.1

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