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2014年1月

酵素触媒反応プロセスは

 様々な化学工業界が期待する変換反応である[1]。一般にこれらは従来の金属触媒によるプロセスよりも、高効率、安全・安価、環境調和型である。ただし、最適の条件で利用する方法をデザイして、酵素を利用する構想が未だに少ない。その中研究者らは、バクテリアを遺伝子操作し、様々な酵素を生産することを可能にし、それによって、アルケンから高い付加価値を有するキラルジオールを一段階で導く方法を開発した。まずスチレンモノオキシゲナーゼ酵素と、SまたはR選択的エポキシ加水分解酵素を、バクテリアに生産してもらった。モノオキシゲナーゼは、アルケンをエポキシ化し、ついで加水分解が進行する。この方法は、説得力のあるtandemあるいはcascade型の生体触媒であり、さらに酵素触媒逆合成が将来利用されることも指摘されている。すなわち研究者らは、必要な酵素の遺伝子コードがこ〜やどと解析し、それらを複数のバクテリアから取り出してつなぎあわせている。反応の選択性や効率からSharpless先生がかつてプレスリリースもされた反応の代替反応としての可能性も高い。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 18, p. 8.

DOI: 10.1021/cs400992z

14.1.31

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リン原子は

 周期表では、窒素原子のすぐ下に位置するけれども、二つの元素化学的な挙動はかなり異なる。そんな振る舞いはするまいと思っても、実際には進行する場合もある。たとえば、オキシドを形成する場合である。窒素原子では容易に直線状のNO, NO2, N2Ox (X = 1, 3, 4, 5)を形成する一方で、リン原子では、かご状のP4O6, P4O10を形成する。単純な酸化リンであるPOPO2はかなり反応性の高い化学種で、気相や極低温で研究されているだけだった。それに対してジョージア大学から、上出来やという成果が発表された。N2O4のリン類縁体であるP2O4を安定化する方法が報告された。嵩高いN-複素環カルベン配位子で、N2とは違って、短寿命化学種であるP2をてなずけて、安定化させ、そこからP2O4を導いた。これによって酸化リンの化学を探索することが可能になること、また含リン分子の合成へも利用できると、研究者らは述べている。二リン(P2)のこと、二輪車に乗っても考えてみよう。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 6, p. 21

DOI: 10.1021/ja411667f

14.1.30

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テッベ反応剤を

 使ってっべ」と促されて、カルボニル化合物のC=OCCH2に変換するのに使う。デュポンの研究者であったTebbe氏が1974年に単離したTi-Al錯体である。ただし高い反応性のため、最終的な構造決定には至らないままであった[1]。それに対して今回、テッベ反応剤と不活性な不純物とで共結晶化した構造が明らかにされた。このプロジェクトは、ある大学院生が、学部のアドバンストな無機化学の実験コースで、テッベ反応剤の調製と利用の指導をしていたときに端を発する。そのとき彼は、不純物に気がつき、分析を続けたところ、単結晶に至った。その錯体の構造は、概ねTebbeが予測したものであり、Cp2TiMe2TiClCH2で架橋している。が不純物では、CH2がさらにClで置換されていた。研究者らが驚いたのは、その不純物である。Tebbe自身はそれを予測していたにも関わらず、結晶化した反応剤の40-50%のサンプルがそれであり、これまで認識されていなかった点である。

動機は純・でも不純に注目した発見である。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 6, p. 21.

DOI: 10.1021/om401108b

14.1.29

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エネルギー貯蔵は

 現代の最も大きな技術課題の一つであり、化学者は、新しい材料を開発することでこの課題をリードし、自動車や送電網へ応用できるバッテリーの改良を行っている。最近の最も顕著な例として、ケイ素と重原子ラジカル化合物が陰極として利用できることが明らかにされた[1]。研究者らは、Liを使わないバッテリーを探索する中、(R2R’Si)3E•(R = t-Bu, R’ = Me, E = Si, Ge, Sn)に注目した。このラジカル化合物をカーボンブラックと混合させ陰極とし、グラファイト陽極とペアにした。充電と放電のサイクルの間、ラジカルは還元されてアニオンに、再び酸化されてラジカルを再形成した。その結果、従来の二重グラファイトバッテリーと比べて、より大きなエネルギー密度を陰極が持ち、平凡であったカーボンブラックが変身した。「10年前には、通常の条件では、存在すると、信じること自体が難しかった化合物の、潜在的な用途のよい例である」と研究者の一人である関口先生はコメントされている。このラジカルも「らじるらじる」で取り上げてほしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 6, p. 21.

DOI: 10.1002/anie.201308302

14.1.28

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三角形含窒素複素環である

 アジリジン、その配座とひずみのある環のために、複雑な分子の合成で、容易に利用することができる。また化学療法医薬品であるマイトマイシンCを含む生理活性天然物の構成要素としても、みうけられる。ただしわずかな例外を除いて、アジリジンへは、じりんじりんと段階的に合成する方法が採用されている。まず窒素原子を保護し、アジリジン環形成の後は、それを残したまま、脱保護が必要である。不調で反古(ほご)せざるを得ない場合もある。その中、一段階合成法が開発された[1]。アルケンに形式上NHN-Meを温和な条件で付加させてアジリジンとする。(2,4,-ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミンに、Rh触媒さらには、2,2,2-トリフルオロエタノールを溶媒として使う。反応は、嵩高いアルケンでも進行し、敏感な官能基に影響しない。現段階ではエナンチオ選択的ではないが、DFT計算などを織り交ぜながら、それも達成したいとのことである。そのときは、ダージリン・ティーでお祝いを。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan 6, p. 20.

DOI: 10.1126/ science.1245727

14.1.27

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電子センサーや

 太陽電池のような配列した素子の表面に、ナノ粒子を正確に位置させるために、インクジェットプリント法が利用される時がある。この場合一般には、ナノ粒子インクを合成し精製し、ついで正確にプリンターで配列させている。スプリンターでも難しい。そこでこの多段階プロセスが、金ナノ粒子を合成するのに必要な反応物を、必要なパターンにプリントすることで、短縮できることが報告された[1]。まず、二つのインクカートリッジを化合物で満たすことから、反応性のインクジェットプリントを始める。最初のカートリッジには、還元剤であるオレイルアミンと溶媒が、もう一つには、塩化金(III)・3水和物と溶媒が入っている。最初のカートリッジから、シリコンウエハー上に、ピコリットルの溶滴をプリントし、ついで二番目のそれから直接、層の上に溶滴をプリントする。120 °C3時間処理したところ、ウエハーには、均一の直径の金ナノ粒子で満たされたスポットが生じて、ほっとした。でこの方法は、従来法に比べて、必要とする化合物の量も削減でき、しかも様々な素子に、欲しいナノ粒子を簡単に集積化できる。サウジアラビアでの研究、きらびやかである。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 6, p. 20.

DOI: 10.1002/anie.201308429

14.1.26

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富士山を

 持参することは、おじさんでもできない。ただしカメラで切り取るのは、かめへんらとチャレンジする。トンネルを抜けると左手前方に富士が見える。廉価版のデジタルカメラ。連射はできないけど練習や。シャッターを押しては、さらに続けてシャッターを押す。しまった〜などと思っていてはいけない。写り具合の確認は後のお楽しみ。富士川を渡る。その鉄橋から眺める富士の風情。写真でもバッチリかと思いきや、くっきりと写るは鉄橋を組み立てる枠である。新富士駅辺りにさしかかる。ここから富士山方面に向けては工場も多い。豊かな水源と地形で様々な企業が進出した。住民のための防音壁もあって写真の数枚は、それしか示していなかった。煙突や建物、木々などが疾走している写真ばかりである。時速300 km近いというのがここでは如実に現れていた。左正面から、あっという間に左後方に富士が移動した。最後のショットを撮り終えた。そこにはUCCが全面に浮かび上がっていた。勇士を集めて、再び撮影チャレンジしたい。

14.1.25

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大抵のグリコシル化は

 グリコが知るかどうかは知らないけど、一つあるいはそれ以上の糖鎖置換基でペプチドあるいはタンパク質の翻訳後修飾であり、糖鎖と、アミノ酸側鎖にある窒素あるいは酸素との連結を含む。S-連結のグリコシル化では、糖鎖をシステインの硫黄原子と連結させるが、この例はまれである。S-連結のグリコシル化を触媒するわずか二つの酵素が同定されていた。それに対して今回これを触媒する第三の酵素が同定された。しかもこの酵素は。S-連結、O-連結のいずれをも触媒することができる最初の触媒である。酵素Thusは、土壌細菌で見つかり、抗菌性のペプチドのシステインとセリンの両方を糖鎖に結合させることができる。加えて、酵素は他のグリコシル化も達成できることも示された。S-連結のグリコペプチドは、O-連結のそれよりも酵素分解に対して抵抗性があるため、この酵素は、既知のO-連結のS-連結類縁体合成に利用できるのではないかと、期待されている。新種の酵素で新しい構想も湧き出る。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 6, p. 20.

DOI: 10.1021/ja411159k

14.1.24

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合成有機化学者にとって

 一置換末端アルケンは、様々な側面があって、魅力的な化合物である。1-ヘキセンや1-オクテンの様なαオレフィンは、大スケールで工業的にも製造されていること、これらの化合物は、様々な種類の酸、塩基、酸化剤、還元剤の存在下でも安定である。一方でこれらをエナンチオ選択的に官能基化する方法はほとんどない。アルケンが持つ二つの面の差異がほとんどないためである。その中、それをキラル化合物に変換する方法が開発された[1]。ワンポットカスケード反応の最初の段階は、白金触媒によるエナンチオ選択的なジボリル化反応である。得られたジボロン生成物は、臭化あるいは塩化アリールと末端のC—B結合の解裂を伴うクロスカップリングを受ける。その後、残ったキラルなC—B結合の切断に伴い、アルコールやアミンが導かれる。この反応の有用性は、たとえば抗かんしゃく剤であるLyricaを含む薬と関連のある化合物を合成することによって、示されている。末端アルケンの変換、「待ったらんかい」だったのか、ここに「解が、あるけん」になった。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Dec. 23, p. 23.

DOI: 10.1038/nature12781

14.1.23

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大気化学の分野で

 亜硝酸(HONO)は重要な役割をしていることは以前から知られていた。それに対して、その異性体であるニトロシルO-ヒドロキシド(HOON)の存在を、大抵の研究者らは、不安定性のため、想定していなかった。たとえば計算化学の分野でも、低温での可能性を提唱する程度であった。いわば「HOONか、ふ〜ん」みたいに。それに対して天体物理学の研究者らは、以前検出できていなかった分子を単離し、それがこれまで発見されている分子の中で、最も長い酸素酸素結合を有することを明らかにした[1]。すなわち一酸化窒素(NO)と水蒸気、ネオンの混合物に放電し、冷却するという超音速拡大という方法で、トランスのHOONを発生させた。この化合物のO-O結合は1.9Åで、酸素のO=O1.21Åより長く、さらに過酸化水素で見られる一般的なO-O結合(1.45Å)よりも32%も長かった。ハーバード・スミソニアンセンターでの成果、ここまでは「すみそうにないあん」なあ。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Dec. 23, p. 12.

DOI: 10.1126/science.1244180

14.1.22

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フリードリヒ・ヴェーラーは

 1828年、シアン酸銀塩と塩化アンモニウムという無機化合物とから、偶然にも尿素を合成し、化学の歴史もつくった。この発見は、現代有機化学の誕生であると評する歴史家もいる。それからほぼ200年たった。その間、シアネートのリン同族体は、知らねーと、あまり注目されていなかった。その中、シアネートとホスファエチノラートの類似性に、臆することなく、オックスフォード大学の研究者らは注目し、尿素のリン同族体(H2PC(O)NH2)の合成に成功した。原料としてホスファエチノラートカリウム塩クラウン錯体とアンモニウム塩を取扱うことで、標的化合物を、室温で安定な液体として得た。尿素が固体であるのとは対照的である。ヴェーラーの時代、尿素はすでに、人の代謝の副生成物であることや尿の主成分であることが知られており、現代ではプラスチックや接着剤を導く原料でもある。リンアナログを合成できた研究者らは、尿素同様、含リンプラスチックの原料や配位化合物の配位子として利用できることを期待している。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Dec. 23, p. 12.

DOI: 10.1021/ja4115693

14.1.21

 

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高校生向けの受験講座を

 

 提供したいと思った[1]。東京大学に入学して自由になったかと思いきや、就職活動が射程になって、再び既存の価値観に吸い込まれるのかと感じた。それから始まった。まずは自分が講義するシーンを配信したいと録画。出来映えをみて、「自分ではダメである、しょぼい」と感じた。講師を勧誘しなくてはと考えた。そこは講師候補の巣窟だった。東大生を勧誘し、2ヶ月後には100本の動画をアップすることができた。祝いの宴。「教師のギャラをどうするか」という問いかけ。無料にしたい。自らは別のアルバイトをしつつ、やりくりするものの、アップもアップ・アップ状態。そのとき、たまたま話ができた高校生の言葉に再び起動し始めた。他の大学の人たちにも呼びかけて講師をお願いした。「自分自身のスキルアップ、好きすぎる」と授業をアップしてくれる人たちも増えた。「新しい価値を提供したい」という思いを伝える花房君。高校の頃、煮干しの日を広めた経験もあるらしい。その214日も近い。 

[1] 1月19日「Mr.サンデー」でmanavee」紹介されていました

14.1.20

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名前は木野という

 今日も明日も変わらない[1]。スポーツシューズの販売で出張だった。予定より一日早く家に戻った。妻がいる。でもそこにはなぜか会社の同僚もいた。動揺する木野、家を出た。伯母が所有する場所でバーの経営を始めた。自分は二階に住む。レコードをかけて、客人の注文に応じてアルコールを供する。二人連れの客の振る舞いをたしなめたところ、面倒なことになりそうだった。そこを別の客人、カミタが救った。男女の奇妙な二人連れ、女と懇意になった。猫も時々店を訪ねる。が季節が変わり、猫に代わって蛇が入るようになった。その通り道を塞いだりしていたある日、カミタがやってきた。「大変残念ですが、店を閉じることになった」という。出来るだけ遠いところに旅に出ること、時々伯母に便りを送ること、ただし文面は何も書いてはいけないとのことだった。かつての出張のことを思い出し、四国から九州を巡った。熊本にたどり着いた。ある夜、誰かが部屋をノックする。音が遠のっく気配もない。そんな中、自分の心の有り様に、気づき始めた木野がいた。

[1]村上春樹著「木野」(文藝春秋2月号)(2014)

14.1.19

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食卓塩は

 ナトリウムと塩素が1:1というのが、世間一般の通念(conventional wisdom)である。それに対して高圧ではこの通念が、つうじんねんです。この成果の最も興味を引かれる点は、教科書に記載のことが違っている点であり、高圧では、化学のよく知られた規則が修正され、NaClのような非常に高いイオン化合物が失われる点であるとコメントされている。研究者らは、USPEXと呼ばれている量子力学のアルゴリズムで様々なNaCl組合せを計算した結果、Na3ClNa2ClNa3Cl2NaCl3NaCl7の五種類の化学量論が予測された。得られる化合物は、混合物の圧力と組成に依存する。NaCL自身はすべての圧力範囲で安定であり、それらいずれの化合物にも分解しない。地球上のある適切な条件、あるいは宇宙のどこかで発見される可能性がある。実際に、過剰のナトリウムあるいは塩素とNaClをダイヤモンドセルに入れて、高圧高温で、Na3Clと二種類のNaCl3が合成された。X線回折とラマンスペクトルにより化合物の測定を行い、構造を確認している。食卓塩にとっても、ショックやったえんかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Dec. 23, p. 6.

DOI: 10.1126/ science.1244989

14.1.18

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抗菌石けん

 公金ではないので横領する人はいない、たぶん。ただし今回、FDAは、これとボディソープ、いずれも抗菌用化合物を含んでいるが、それを含んでいない石けんと比べて、明らかに効果があることを証明するようにという、ルールを適用する可能性を発表した[1]。この動きは、天然資源保護協議会(NRDC)2010年、FDA1978年に、トリクロサンを禁止する法律を仕上げなかったことで、FDAを訴えたことと関連している。抗菌石けんなどには、トリクロサンやトリクロカルバンが含まれているが、これらはホルモン効果を有する可能性があり、日常使っていると、抗生物質感受性が変化する可能性もあることが述べられている。それに対して業界団体は、家庭で使っている限りは、抗菌耐性が生じることはないと反発している。一方でFDAは、米国には2000ほどの抗菌石けんやボディソープがあり、細菌感染が、最近でもほとんどない場所で、それらの製品が使われていることを指摘している。2014年6月まで、このルールに関するコメントが受け付けられている。トリクロサンでご苦労さんである。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Dec. 23, p. 4

トリクロサン:ビス(2、4ジクロロフェニル)エーテル

トリクロカルバン:N-(4-クロロフェニル)N’-(3,4-ジクロロフェニル)尿素

14.1.17

 

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ACSは今年

 1月1日からEditors’ Choiceとして、毎日一論文を公開している。フリーだけど、論文は古くはない。「大抵の研究者には、自分の主たる分野とは異なる分野の論文を読む時間的な余裕がないものの、ケミカルサイエンスの新しい展開をフォローしたいと考えている。このためのよりよい方法は、ACSが出版している論文誌のそれぞれの編集者が選んだ論文を読むことである」とAnalytical Chemistryの編集委員長は述べている。その雑誌からは、ペプチドの中のD-アミノ酸を固定化する方法に関する論文が選ばれ、1月3日に公開されている。1月1日はJACSから、糖鎖分子が、感染や細胞のコミュニケーションをどのように制御するかということを決定する一助となるスペクトル法に関する論文が選ばれている。このプロジェクトでは、それぞれの論文誌の編集チームがEditors’ Choiceプログラムに論文を推薦し、選ばれた論文から、それぞれの論文誌でランク付けをしていく。「理想的には、すべての選ばれた論文が、その分野におけるパラダイムをシフトさせるような新しいコンセプトを含んだものであってほしい」という。いわば「Choiceはちょ〜い〜す」でありたいとのことである。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 13, p. 5.

http://pubs.acs.org/editorschoice/ で見ることができる。

14.1.16

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細胞組織を成長させるために

 使われる、組織やゲルを接着させるとき、医師は通常、熱、光あるいは反応種で活性化させた高分子接着剤を用いる。それに対して、より単純な別の、固体の粒子を含んだ接着剤を使う方法が、報告された[1]15-50 nmの直径のシリカ粒子の水懸濁液は、重なり合わせたポリジメチルアクリルアミド(PDMA)をしっかりと繋ぐことができる。しかもこれらが水に浸っている場合でも、いたって良好に接着できることが示された。接合は、ナノ接着剤と光圧を30秒あてることで、形成されて、相当に強い。引きはがそうとすると、接合部が外れる前にゲルがこわれてしまう。それぞれのゲルからの高分子鎖が、多点で粒子に吸着し、ゲル表面に接合しているためである。得られたナノ粒子接着剤を使って、子牛の肝臓の断片を繋ぎ合わせた場合にも同様であった。研究者らは、この接着剤を動物の外科手術でもテストすることを計画している。パリで開発された、パリっとする糊(glue)。グルになって挑戦したかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Dec, 16, p. 23.

DOI: 10.1038/nature12806

14.1.15

 

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アミノ酸、糖鎖や

 他の地球上にある生体分子は、優位な利き手を持つ。それについて聞きてえ:生命ではいかにしてこのキラルな偏りが生じたのか?今回、ある理論に新しい洞察を加える可能性のある、キラルな金属表面を使った新しい結果が、報告された。初期の地球上にあったキラルな鉱物の表面は、一方の鏡像異性体を好む触媒として作用していた。研究者らは真空中で、天然でキラルな単結晶銅表面に酒石酸の鏡像異性体を吸着させた。祝着である。ついでこれを二酸化炭素、水素、水や炭化水素に分解した。その結果、鏡像異性体の分解速度は50倍もの差があった。これは非線形動力学効果によるものであると研究者らは述べている。すなわち酒石酸分子が分解するたびに、それは二つのキラルな銅表面をむきだしにし、その表面がさらに分解を触媒することが繰返され、表面が几帳面に異性体を、より確実に区別するようになる。さらにこの現象はエナンチオ選択的な反応に利用できるかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Dec. 16, p. 23.

DOI: 10.1021/ ja408659v

14.1.14

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分数を分数で割る

 という計算ができない。「2/3のリンゴを1/4で割るって」どういうこと?考えれば考えるほどわからない。うつむく親子。母親のお叱りに、耐えることになるタエ子。そんな小学五年生の頃。隣のクラスの男の子と噂になり、実際に交わした言葉「あっ、おんなじだ」を16年後も記憶する。当時は気後れしていた。そのリトルタエ子を伴って、27歳のタエ子は山形に紅花を摘みに行く。「青虫は、さなぎにならなければ、蝶蝶になれない」小学生の頃や働き始めた頃と今、なんだか違う。江戸時代、紅花は高値の花だった。花摘みをする女は、トゲで手を痛め、それでさらに紅が朱色に染まったという。山形に住むトシオ。会社員から有機農業に取り組む青年に転身。農業の行く末を案じて熱く語る。都会の人は「自然だ」というけど、「田舎」の景色はみんな人間がつくったものだと話す。バックにはハンガリーの五人組「ムジカーシュ」の歌が流れる。「歌詞はむずか〜し」でもシーンになじむ。転校生の「アベ君」の記憶もよみがえった。東京に帰る途中、リトルタエ子とその友達に導かれるように、再び山形に向かっていた。

[1] 高畑勲監督「おもひでぼろぼろ」(1991)

ストーリーの豊かさ・シーンの丁寧さ、凄いです。挿入歌で時代を思い出し、冒頭の「山一證券」に時代も感じさせてもらいました。

14.1.13

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温水プール開き

 三連休初日、中学生の部活動もあってか、大勢でにぎわう。高齢の方、親子連れ、様々である。泳ぎ専用コース:歩行せんようにというコースだけど、自分のようなゆっくり系も混雑する日には使わない。中にはアスリート並のスイマーもおられる。その方に「すいま〜せん」と思って泳ぐのも気が引ける。その隣りは水中歩行コース。自分は基本的にどこでも、ホコウは好きではないし、方向が違っても困るので、こちらもほとんど使わない。この日は、フリーコースで過ごした。縦横左右、ランダムに利用者は動く。間をかき分けて進むときもあったけど、初泳ぎは、通常の距離で終えることができた。

 翌日、同じ場所に出向いた。誰もいない。自分一人に監視員一人の時間が続く。技があれば、暇であろうその方のために「ウォーター・ボーイズ」なみの演技もできるけど、そこは我慢。ひたすら泳ぐだけである。そのうち徐々に人は増えるも、自分が使っていたコースは、終始一人だけのレーン、信じれ〜んだった。

14.1.12

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MacBookに入力

 しなくてはいけない。年末・年始とは言え、松の内に締切を迎えるお仕事もある。持ち帰ったMacBookで作業を進めた。はたと見ると、バッテリーの残量が相当に減っている。ヘバッテリーである。コンセントにつないだプラグから出る線をいじくると、充電しているモードになるけど、手を離すとすぐに消える。Appleのこの部分は、より丁寧に扱わなくてはいけないということを忘れていた。残り少ないバッテリーでネット検索。電源アダプターである。同種のものを、どうして入手するか困った。なにせ世間はお休みである。Amazonならばと、クリックした。この時期も休みなく、お急ぎ便での配達がある。ただし「岐阜での受取」では、大阪で過ごす間の業務が停止してしまう。なのでそこに送ってもらうことにした。住所の入力をするも、その住所への送付実績がないので、再びクレジットカード番号を入れてほしいとの要請。う〜バッテリー残量も低下、入力ミスをする。やっとの思いで完了。電源アダプターであたふた〜したものの、無事到着した。

14.1.11

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鉄工所では

 こうしようと思わなくても、製鉄の段階で、かなりの量の一酸化炭素(CO)が噴出してくる[1]。ただしこのCOは、窒素のような他のガスとの混合物であるために、高分子繊維やプラスチック製造のための化学原料(フィードストック)として、直接利用することができなかった。その中、日本の研究者らは、柔らかいナノポーラスな結晶材料を創製することで、別のガスからCOを隔離し、さらにそれを簡単に解放できることを報告した。京都大学、北川先生、松田先生らの材料は、5-アジドイソフタレートと二価の銅カチオンとで構成されている。Cu2+イオンはCOと弱く会合する。COがバインドするにつれて、ナノ材料の骨格が開き、より多くのCOを受け入れるようになる。この柔らかい結晶、多孔質の材料を使うことで、CON2がほぼ1:1の混合物をCO94%まで濃縮することができることも示されている。選択的CO(シーオー)濃縮、仕様である。鉄工所でも利用できますように。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Dec. 16, p. 23.

DOI: 10.1126/science.1246423

14.1.10

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本田圭祐選手の

 ACミラン入団会見。「ミランで、みられるんようにしたい」とは言わない。質問がイタリア語でも英語でも、答えは英語。中学三年生までに学ぶ構文をベースに、ゆっくり・的確に応対する。「何をすべきか自分は知っている。それは良いプレーをすることである」「長友の意見は?」「イタリアのファンはサッカーをよく知っている。・・・」「「little Honda」がACミラノに行きたいと言った」とか、ほんわかと聞いていた。その中、なんだか長い講釈に混じって「・・・侍の精神を教えてほしい」という質問。「I never meet Samurai. I do not know that is true.   But, Japanese men never give up, strong mentality and we have good discipline••••」だったかな、そこまでは書留めた。その後の日本語会見。「日本語やったら3時間くらい・・・」に続いて、「ひとつひとつ階段を登ってきたら、ここに来た」というメッセージもあった。本田選手のスーパーショットに、ちょっと動けなかった。

13.1.9

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カーエアコン

 手のこんだシステムかどうかは知らない。ただし冷却用ガスが、搭載されている。かつてはクロロフルオロカーボンCFC-12が利用されていた。がこれがオゾン層を破壊するということで、1990年代にハイドロフルオロカーボンであるHFC-134aが利用されるようになった。しかしその後HFC-134aは地球温暖化にかなり貢献することがわかった。そこで欧米では、これを排除し、オゾン層にも優しく、温室効果ガスでもない化合物の開発が行われてきた。その中、冷却用のガスとして、ハネウェル(Honeywell)3億ドルを投資して、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の、最初の製造プラントを立ち上げ、2016から稼働させるという。HFO-1234yfは、わずかに可燃性があるため、ダイムラーやドイツの自動車メーカーは、事故の際の火災の原因の可能性に関心を寄せている。かれらは冷却用ガスとしてCO2を考えているが、Honeywellは「HFO-1234yfによってリスクが増加することはない」としている。冷却剤が、議論を熱くさせている。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Dec. 16, p. 8.

14.1.8

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キュリオスィティー

 米国航空宇宙局の火星探査機である。しばらく前に最初の主な任務を終え、現在はより困難な課題に挑戦している[1]。探査機は、イエローナイフ湾と呼ばれる沈殿物によってできた岩を探索し、持ち帰ったそれを加熱したサンプルから、スルフィド、過塩素酸と関連するオキシ塩化物、CO2NOが見出された。これらは有機分子が燃焼することで得られる可能性のある化合物で、NOの発見は、すべての生命体に必要とされる窒素が火星の岩に存在していることを示している。いわばNOで生き物がYESになった。さらに探査機は、これまで報告例のなかった、ジクロロプロパンやクロロベンゼンも直接検出したが、これらの化合物の起源については未解明である。有機物の探索で最も障害となっているのは、複雑な有機化合物を分解してしまう、太陽の放射や高エネルギー粒子である。しかもそれらは10億年以上にもわたる。そこで今後は、有機化合物が保護された地域や環境、たとえば崖の面など、高エネルギーの波や粒子を受けない部分からサンプルを取りだし、生命がいたというサインを発見したいとしている。キュリオスィティー、もっと色々教えてぃ〜ね。

[1] Chemical & Engineering News, 2013 Dec. 16, p. 7.

14.1.7

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土木学会が

 内田樹先生に寄稿をお願いした[1]10数年前その学会は「土木学科」という名を冠する科の存続を憂い、様々な領域の融合を推進すると同時に、学科名の変更も推奨してきた。その流れの中には、日本技術者教育認定機構(JABEE)の認定も含まれているというのが、自分の理解である。実際に本学でも「土木工学科」という名の学科は、今はない。しばしがっかりである。一方、内田先生は、たとえばJABEEが主張する「シラバス」に対する基本的な考えが極にある先生である。でお題は「コミュニケーション能力とは何か?」一部抜粋させていただく:「つまり、コミュニケーション能力とは、コミュニケーションを円滑に進める力ではなく、コミュニケーションが不調に陥ったときにそこから抜け出す力だということである」;「「臨機応変で事態に処することのできる力」は生物にとって必須の能力であり、それを涵養することが教育の本務であるという合意は私たちの社会にはもう存在しない」;「説得するためには対面している相手の知性に対する「敬意」をどんなことがあっても手放してはならない。そして、先ほどから述べている「コードを破る」というふるまいは相手の知性に対して敬意を持つものによってしか担われない。」

 壮大な自然「土木」を冠した学会、柔らかさ・しなやかさもあるのではと、注視したい気分になってしまった。

[1] 内田樹の研究室、13.12.29 http://blog.tatsuru.com/2013/12/29_1149.php

14.1.6

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お雑煮が

 肝臓にいいかどうかは知らない。なにせ年末年始は、人間奈良漬けになりそうな勢いの方もおられるはずである。しかもこれが伝統の食のひとつで、地域によって食材・調理の仕方・趣向、まさに「雑」である。紅白(大根と人参)に豆腐が添えにあって、白味噌で味つける。それで長年過ごしてきた。すました顔で食したいと思っていたら、おすましベースのお雑煮に出会った。ほうれん草とお餅がマッチする。そこに青のりをパラリとふりかける。丸餅か角餅かの境界線を探るというNHK。東京から西へ移動する。もちろん、餅の境はここなりを伝えたい。三重県にたどり着いた。地名がわかったもののピンポイント過ぎる。で「上は」と聞かれる。「上じゃなくて北だよ、そこは岐阜だね」とか思った。でしばらくして、この地に30年もお世話になりながら、岐阜のお雑煮が未体験だったことに気がついた。「それを食す機会を持つ」:今年の目標ができた。味を実感して、そのお雑煮を、映像にも残したい。

14.1.5

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遅れ・運休で

 混雑する新大阪駅。切符売り場にも長い列ができる。途方にくれて、どうしようかと相談する家族連れ。なかには小さなお子様連れの方々もいるものの、斟酌はほとんどない。グリーン車を除いてすべて自由席になった。指定席予約の切符で、ようやく乗車できたとしても、指定の席は自由に変更されている。そのときに出発する列車に乗ればよいという場合には、思いがけなく、二人掛け席に陣取ることもできる。その「動き始めた列車に、一人飛び乗っ〜た」いつものように、静かに動き始める。車内のテロップは、シロップの甘さもなく、遅れ・運休が続いていること、払戻しの詳細はネット確認してほしいという連絡、今回の事態に至った原因が繰り返された。普段ならば「ただいま定刻通り、〇〇駅を通過し・・・」というアナウンスがあるところも、静かである。名古屋駅到着、ここでも大勢の人たちでごった返していた。時間の遅れはともかく、皆様、目的地に到着されることを祈りつ、在来線に移動した。そこでもその遅れの余波があった。

14.1.4

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昭和19年

 女学校の入学試験を受けた。試験前日、浜で遊んだのがきっかけか、熱を出した。体調不良を心配する父。面接試験もなんとかこなして合格した少女。母が病に伏せる中、少女には地元に戻ることを勧める親戚の言葉。それをなだめるように、父は離れた地で学ぶ機会を娘に与えた。自分が子供だった頃、勉学に勤しむも、その道を閉ざされたことが、子供たちのその機会を逃してはいけないという熱意を生む。それでも家では、一番の妹が、母親の世話、弟・妹の面倒をみるという状況である。3年で卒業予定だったのが、学制の変更で6年暮らすことになった。同じ寄宿舎で暮らした仲間、勉学に勤しみ、バスケットでは、助っ人ならぬ、そのフルメンバーだった。その絆が、後に大阪に出たときに波及するとは考えもしない18歳。高校を卒業して地元に戻った。しばらくして母を看取るも、自分だけがもらった教育の機会に対する感謝と、兄弟への申し訳なさが錯綜した。それから数年後、男子を授かった。

14.1.2

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本殿に

 巫女さまがいる。見込んでいたわけではない。舞を披露している。みとれて迷子にならないうちに、参拝する。その後、おみくじを手にした。「凶」と出る。「心してすすむがよし」「万事慎む方がよい」なかなかに含蓄がある。そういう年初があってもいいかと帰宅する。午後、近くの氏神様に詣でる。人手が多くても、手を清める列で待ち、本殿でも、順番を待つ。午前と同様に願いごとを唱えて列を離れる。ここではおみくじを手にしたい人で長蛇であった。調度よくはないけど、「待てば海路の日和あり」で列についた。やっとのこと順番が巡ってきた。はい28番です。再び「凶」まさに最強のコンビである。おみくじは、大吉から始まっていくつかのお告げがあるけど、それぞれが同じ数ではないはずである。低い確率を引き当てたお陰で、一年の幸運を使い切ったかもしれない。よう考えて行動しなくてはいけないかと戒める。学業:計画を立てて着実に実行せよ。学問:良く勉むべし。はいそれに倣って精進します。

14.1.2

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平成26年が

 明けました。おめでとうございます。いつもの如く、目がさめて「生きているようだ」と感じて、体調を確かめます。今年2月には、そっちのほうでオリンピック冬期大会、6月には、ワールドカップブラジル大会、らじるらじるでも耳にすることができると思います。爽やかに声援を送りつつ「身軽になろう」という抱負をたてました。ここ数年、情報・結果の発信を怠り、重たくなった感があります。「論文は心のこもった贈り物」「ワクワクしながら執筆を」「まずは、書きはじめてみる」「ニガテなりに心を込めてていねいに」。論文がほとんど書けなくて、もがいていた頃を彷彿させ、初心に戻るぞという姿勢を思い起こさせてもらった記事です[1]。加えて今年の後半、学部の改修工事のため、一時引越しがあるはずです。こちらは30年以上も使わせてもらった場に、様々なものがあふれています。「おかたづけ」しましょうと呼びかけられています。「午年を、うまいこと、疾走できますように」

うん、まあいいことだね。

[1] 化学、1月号(2014)p. 51.

14.1.1

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