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2014年2月

バイオをもとにした

 化学原料(feedstock)を出発化合物として、枝分かれしたアルカンを与える反応が開発された[1]。短いあるいは中程度の長さの飽和炭化水素は、ガソリンには必須の成分であり、それによって、燃焼がスムーズに起こり、オクタン価も高いことが期待される。これまでのバイオ燃料生産方法では、直鎖アルカンを導くことはできていたけど、枝分かれにする方法が、分かれへんかった。ただし、より長いアルカンが製造された時にはディーゼルあるいはジェット燃料として有用ではあった。その中、よくあるバイオフィードストックであるレブリン酸を、枝分かれしたC7からC10のアルカンに変換する複合型プロセスが開発された。レブリン酸そのものは、バイオマス原料から収率80%で入手でき、フィールドからタンクまでセルロース由来ガソリンとして60%以上を達成しうる。バイオガソリンは原油価格やレブリン酸製造ができるバイオマスの供給次第だけど、いずれ「原料は、バイオでおます」というガソリン車が走る日も近いか。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Feb. 10.

DOI: 10.1002/anie.201308143

14.2.28

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大洋には

 貴重な金属が、かなりの量存在する。それに比べてウランは、それほどオランと思われる。それでもおおよそ40億トンの存在が推定され、陸地にある量の1000倍程度であると、考えられている。ただし水中にあるウラニルイオン(UO22+)を集めて、そのまま原子炉の燃料として使うことはできない。相当に希薄な元素を選択的に捕獲する必要がある。とりわけ、他の金属イオンの濃度が圧倒的に高い中から、それを取り出さなくてはいけない。様々な方法が研究されているものの、有力な方法はまだない。その中、新しい方法で、このレースに参加してきた研究チームがある。数千のタンパク質をコンピューターで探索し、UO22+を選択的に包み込むための、適切なサイズ、形、チャージのバインディングサイトを有する候補を特定した。その後、様々な条件で実際に実験を行った。そのタンパク質は、淡白ではなく、フェムトモルレベルの親和性で、バインド出来ることを示し、さらに他のイオンに対する親和性の10000倍もの親和性であった。ちなみにウラニルイオン、裏にあるわけではない。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Feb. 3, p. 26.

DOI: 10.1038/nchem.1856

14.2.27

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触媒の活性表面の

 構造や反応途中の変化を明らかにすることは、触媒の働きや腐食を理解する助けになる。この構造を高解像度で決定できる一般的な方法では、高真空を必要とし、その結果、工業に関連ある条件で、リアルタイムで観測することは困難である。それに対して高エネルギーシンクロトロンX線と、通常より、大きな検出器を使うことで、一酸化炭素の二酸化炭素への酸化反応を触媒するPd表面の研究が行われた[1]。この方法では真空を必要とせず、従来法だとサンプルの周りを、検出器を動かし小角の高エネルギーも集めていたが、その必要もない。これによってPdCOと酸素にさらした状態で、流動室の中で、0.5秒ごとに出〜た回折のデータが集められた。高い酸素濃度では、CO2が生じるにつれて、PdOフィルムが成長するのが観測された。この方法は、触媒内部の構造や、固体液体接触面の構造も解明することができる可能性もある。表面を几帳面に解析できるシステムである。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Feb. 3, p. 26.

DOI: 10.1126/science.1246834

14.2.26

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ACS論文誌

 Organometallicsの編集委員長Gladysz先生と編集委員Liebeskind先生は、「昨年夏に、不正の疑いがあると指摘を受け、問題になった論文には、不正行為の証拠はみつからなかった」と、コメントされた[1]Zurich大学のDorta先生らのチームから出された、触媒として利用しうるPd/Pt化合物に関する論文[2]が対象である。そのsupporting informationに化合物14のデータがなく、大学院生へのメッセージとして、NMRデータと元素分析をmake upしておくように、と記されていた[3]。化合物は不安定中間体で、1H NMRで同定されており、改訂版のsupportにはそれが掲載されている。Gladysz先生は、これに関するコメントは避けているが、今回の出来事の結果として、Organometallicsの編集委員長を辞任するように、要請があったことを明らかにしている。一方でACS論文誌グループの副委員長は、「先生は、編集委員として業務を続けること、編集委員契約は、編集委員とACSガバナンスの間の秘密事項、なんです」と述べている。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Feb. 17, p. 7.

DOI: 10.1021/om4011615

DOI: 10.1021/om401186q

[2] DOI: 10.1021/om4000067

[3]村井君のブログ、2013.9.10

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大麻(Cannabis)は

 緑内障、苦痛や他の病気の治療に利用できるかもしれない。でも、継続的にそれを使ったときには。向精神作用は言うに及ばず、どのような影響がでるか、予想がつかない。なので「使うのもよそう」ではなく、これを治療薬や麻酔薬として利用できるように、不活性化させたカナビノイドの開発が続けられている。ただし短期間だけ作用できるカナビノイドをつくる試みは、カナビノイド受容体に対するバインディングが弱かった。その中、研究者らはこの課題を、マリファナの中の活性成分であるΔ9テトラヒドロカナビノール(THC)の三つの環の一つを7員環ラクトン環で置換えることで、解決した[1]。新しいカナビノイドの一つAM4809は、ネズミのCB1受容体に、THCのおよそ8倍の強さでバインドする。半減期はin vitro15分、THCのそれよりも、はるかに短い。研究者らはこの他にも様々な類縁体を開発し、特許出願している。カーナビが如く、カナビノイドマップが、かなり広がりそうである。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Feb. 3, p. 26.

DOI: 10.1021/jm4016075

14.2.24

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会場の

 人数ごとに解答用紙などを、袋につめ直す作業がある。前回は、この「仕分け」に参加できず、申し訳なく、代りの先生に負担をパスしてしまった。数年前のこの担当の折、用紙で手を切って、仕分けるべきものを赤く染めてしまった。十数名の先生方が担当される。たとえば100部ごとを50部ごと、なかには5部、35部などと小分けにする場合がある。概ね50部ごと、ビニール袋に入っている。時には、それを慎重に破いては、それぞれの指定された人数ごとに重ねる。ビニールを破っているうちに、30年ほどまえか、自動販売機で販売されていた書籍の中に、ビニールで覆われていた本があったことが、頭に浮かんできた。当時〇〇本と呼ばれていた。それでも皆様にはそのことは告げずに、ビニールでニヒルに笑うこともなく、とりあえず仕分けた。当初3時間程度で終わりますと言われていた作業が、参加されていた先生方や事務方のお陰で、その半分程度の時間で完了した。それでも、ビニール開封完了で、ビールで乾杯まではいかなかった。

14.2.23

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朝だ

 と午前7時、NHKラジオをONにする。ここ二週間ほどは、日本人選手が活躍したときには、それがトップニュースになる。女子フィギュアSPもちろんトップニュースである。浅田選手16?!、耳も老齢化してきたかと思った。ではない。選手の心境が頭によぎるも、その日は卒業論文発表会で一日を過ごした。一息ついて再びよぎる。体調不良でFSを欠場、まさか。でも同様な結果だったら、一部のメディアや、どこかのおじさん(大事なときに必ず本音を言う人ね。「失言」ではないと自分は思う)が要らぬことを言うかも、などと思いつつ寝た。午前7時、総合6位を伝えるアナウンサー。朝刊もその演技を讃える。ラフマニノフ作曲「ピアノ協奏曲第2番」が流れ始めた。それから4分半の演技。結果の一部がわかっていても、最初のジャンプが決まるまでのドキドキ感。拍手に呼応するように、流れるように、しなやかに、優雅に舞う。後半に入ると、躍動感に力強さも出てきた。演技を終えた瞬間。録画でさえも、熱いものがこみ上げてきた。

14.2.22

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天然に存在する

 有機フッ素化合物はほとんどなく、これまで5例が確かめられているだけである。さらにこれらが生合成される際に、炭素-フッ素結合形成を担う酵素はもっと例が少ない。2002年その一つがスコットランドの研究者らによって報告された[1]。今回、同じ研究グループからさらに三つの酵素が報告された。バクテリア遺伝子の世界的なデータベースを探索した結果、過去二年の間に、三つの遺伝子から三つのフルオリナーゼが浮かび上がった。これらを移植し、転写することで、フルオリナーゼのコードが確かめられた。もとのフルオリナーゼは、18Fを組込み、陽電子断層撮影法で探索された。有機フッ素化合物を生産するために、その遺伝子を他のバクテリアにクローニングされたが、苦労人になり、部分的にしか成功しなかった。ただしこの新しい発見で、より多くの遺伝子情報を得、異なる有機体のフッ素原子の代謝の、大事な機構を明らかにすることもできる。またフルオリナーゼ遺伝子工学で、フッ素化医薬品候補を提供する発酵技術を導くことも可能である。フルオリナーゼ、ここにも「おりな〜ぜ」と呼びかけてみたい。

[1] Chemical & Engineering News 2014 Feb. 3, p. 35.

DOI: 10.1002/cbic.201300732

14.2.21

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電子情報が

 どこにでもある時代だけども、印刷済の不要な紙の束は今でも大きな環境問題である。これでは、あかんきょうというムードはあっても課題解決にはほど遠い。その中、水との反応によって、色が変化する染料分子を含む新しい書換え可能な紙の開発が報告された[1]。その染料をしみ込ませた紙は、通常のインクジェットプリンターで印刷できる。しかもカートリッジの中のインクを水で置換えてである。染料は、温和に加熱することで消えて、紙は何度も再利用できる。この技術は、単に、クロミック材料を開発するだけではなくて、現代社会にとっても重要で、天然資源の保護の助けとして、また環境保護の観点から従来の印刷技術が持つネガティブな印象を劇的に和らげることも可能ではないかとコメントされている。なお研究者らは、オキサゾリジン、オキサジン、スピロピランなど様々な化合物群から、水だけで、自ら開環し、カラフルな異性体に変化できる候補を絞り込んで、今回の成果を得た。これはカラフルが、化合物カラ来る技術である。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Feb. 3, p. 25.

DOI: 10.1038/ncomms4044

14.2.20

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含窒素官能基の

 不活性な飽和炭化水素への付加は、合成化学者にとって挑戦的な課題である。この型の反応を触媒する酵素もほとんどなかった。その中、飽和炭化水素に塩化物イオンを付加させることができる酵素が、亜硝酸イオンやアジドイオンの付加を触媒できることが報告された[1]SyrB2と呼ばれる既知の酵素は、Fe(IV)を中心に持ち、脂肪族炭素から水素を引き抜き、炭素ラジカルを形成する。これがハロゲンあるいは水酸化物イオンとカップリングすることが知られていた。研究者らは、この反応が進行するのは、空間的な距離に依存するため、「別のアニオンでも、ありよるん」と考え、配位子の探索を行った。その結果、天然の酵素は反応を触媒するものの効率が悪かった。酵素を変異させ、バインディングのポケットが、ポケッとしていても、含窒素部位と適合できるものを調製した。これによって30倍もの速さでC-N結合形成が達成された。成果はamazingであると、名人芸が賞賛されていた。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Feb. 3, p. 8.

DOI: 10.1038/nchembio.1438

14.2.19

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過酸化水素水(H2O2)は

 大抵の人の薬箱にある殺菌剤である。また工業的には、さらに広く使われ、たとえば、紙の漂白、プロピレンオキシド製造で活躍する。現状この合成には、アントラキノンを使った工業的な系があるが、連続酸化、蒸留、水素化を経るもので、コストも高くエネルギーも必要とする。別法としてナノ粒子を触媒とする系は、直接的で選択的だけども、水素と酸素ガスの組合せを必要とし、これが大きな系では有害である。金属酸化物光触媒を用いたアルコールからの変換もあるが、選択性が低い。すなわち様々な必要条件が加算され,未だに過酸化水素合成の理想的なプロセスはなかった[1]。その中、黒鉛窒化炭素光触媒が、90%の選択性でH2O2製造できることが報告された。触媒は安価なシアナミドから調製され、三層のトリアジンユニットの層状のシートからなり、可視光で活性化すると、エタノールから水素が発生し、酸素をプロトン化することで、室温でH2O2を与える。さらに触媒系をリファインすることで、エタノールではなくて水を使った系の達成が目指されている。「誰かに聞かさんか」と言いたい発見である。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Feb. 3, p. DOI: 10.1021/cs401208c.

DOI: 10.1021/cs401208c

2014.2.18

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シャーク・さめは

 しゃくにさわるくらい、丈夫な歯を持ち虫歯もほとんどない。しかも日々、歯磨きやデンタルフロスとも無縁である。そこで「さめの歯」のエナメルをさめた目で、研究対象とした。ここでエナメルを、なめとるとできない着想である。透過型電子顕微鏡を利用するが、通常、生体鉱物材料は、その電子ビームで損傷を受けてしまう。そこで少量のイメージング法が採用され、そのダメージを最少にして、エナメルの個々の元素を明らかにしていった[1]。その結果、フッ素リン灰石Ca5(PO3)3Fでつくられていることがわかった、これらが六角形をつくり、その中心にフッ素原子が位置している。このイメージをもとにした計算結果は、エナメルの中で、フッ素原子が部分的に、カルシウムに共有結合していることを示していた。このことはフッ素原子が六角形を安定化するのに重要で、フッ素原子の損失で原子の大きさの孔ができて、歯が弱くなることが類推された。エナメルのこと、エアメールでもお知らせしたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 27, p. 25.

DOI: 10.1002/anie.201307689

14.2.17

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夫の転勤に伴って

 引っ越してきた[1] 。それまで非正規社員として働いていた「あさひ」の朝から晩までの生活パターンが変わった。夫の両親の持ち家で、家賃の支払いをしなくてよい。田舎であることもあって、食材もフレッシュなものが安く手に入る。存分に時間もある。ある日、姑が勤め先から電話をしてきた。その日のうちに支払いを済ませなくてはいけないことを忘れていた。お金と振込用紙の場所を告げられ、コンビニに出向いてくれないかと、頼まれた。外にでた。狸の様で、犬のような不思議な動物の後をついていたら、穴に落ちた。近くに住むという人に助けられた。自分が住む家、その隣には実家、その横辺りで、不思議な動物を見かけた。しかも人影もあった。自分の夫は長男だと聞かされていたが、その人は「夫の兄だ」という。世代を引き継ぐサイクルに嫌気してか、飛び出して20年。でも近くに住む。子供たちはその人を「センセイ」と呼ぶ。ある日、水まきが習慣だった義祖父がこの世を去った。夏の終わり、コンビニでのんびりとはいかないだろうけど、そこで働くことにした。

[1] 小山田浩子著「穴」(文藝春秋20143月特別号、p. 332)第150回芥川賞受賞作。

2014.2.16

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恋煩いは

 つらい。しかも齢50をこえて、弱いものである。これまでも女性をお誘いし、食事を共にし、お酒を楽しみ、会話に興じたことは何度かある。そんな生活の中で10歳以上も年下で家庭もある女性と出会った。「相手の都合のよい時に会えればそれでいい」というこれまでのお付合いとは、気持ちが違う。会えない日々が辛い。その感情を消そうと、相手の至らないことを考える。それが却って愛おしい。不可逆な関係性が生まれ、「私とはいったいなにものだろう」と考え始めた。百人一首の歌[1]もよぎる。ユダヤ系市民だった医師とアウシュビッツのことが頭に残る」と、彼は物書きに話をした[2]。彼と物書きはスカッシュのジムで知り合った。会わない日が続いたある日、彼が経営していた整形外科で働く秘書から、物書きは連絡を受けた。「先生が亡くなられたこと、拒食症で、病名は心不全」先生のプライベートスケジュールもアレンジしていた彼は、恋煩いの相手の家に「クリニックの予約のことで」とようやく電話もできた。でも彼女はすでに、そこにはいなかった。その後に知った事実に衝撃を受けた秘書、物書きに「先生のことをいつまでも忘れないでほしい」と言葉を残した。

[1] 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり(権中納言敦忠)

[2] 村上春樹著「独立器官」(文藝春秋20143月特別号、p. 416.

14.2.15

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Pd触媒のクロスカップリング反応は

 有機合成で、新しい炭素炭素結合を形成するための、馬車馬が如くに働く反応である。ただしそれらの多くは、芳香族芳香族、芳香族アルケンカップリングで、アリールカルボニル化合物を導く系はあまりなく、その場合には、ハロゲン化アリール、CO、ビニルスズを組み合わせている。その中、別法として、安価なアセチルトリメチルシランと臭化アリールとをPd存在下で反応させてアリールメチルケトンの合成が達成された[1]。反応を媒介するために、フッ化セシウムを加える。最初にフッ化セシウムがせしめるものは、その中のフッ化物イオンがケイ素置換基をトラップする。様々な化合物の合成にも応用され、中にはFriedel-Crafts反応、やるのはフリーであるけど、では生成物の収率が低い系にも応用されている。たとえばアセチル化エストロン誘導体も導かれており、「既存の方法より簡単で、より環境調和なアリールメチルケトン合成法であり〜うる」とコメントされている。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 27, p. 24.

DOI: 10.1021/ol403570z

14.2.14

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ホタル・ルシフェラーゼ

 しらね〜ぜという方、これは発光を誘導する酵素で、しばしば細胞に埋め込まれて、癌や他の疾病の機構を研究するためのイメージングを促進するものである。ただし、脂肪酸アシルCoA合成酵素である脂肪酸代謝で鍵となるものと、アミノ酸の数の違いが一つである。この非常に似ている構造のため、ルシフェラーゼを組込んだ細胞が、代謝の際に不都合な効果をもたらし、さらに実験も不都合な結果になり、これまでの多くの研究のいくつか、およそ30000件らしい、が無駄になるのではないかと危惧されていた。その中、その心配はなさそうであるという報告がなされた[1]。研究者らは、がん研究で使われる三種類の細胞について、天然のものと、それをルシフェラーゼ修飾したものを、質量分析によって、代謝の違いを検討した。その結果、それらには違いはなく、いわばnegativeだった。研究者の一人は、This negative result is ultimately very positiveと述べている。日本語では「このネガティブ願ってぃぶもなかった」か。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 27, p. 24.

DOI: 10.1007/s11306-014-0622-5

14.2.13

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地球は大気からの

 汚染物質を酸化化学によって洗い流している。その酸化化学の詳細に関する二つの報告があり、極の水、氷、大気との相互作用に関する新たな詳細が明らかにされた[1]。ひとつは北あるいは南極で、海の氷から発生したハロゲンが関連する。アラスカのバローで、ガンバローと研究者らは、初めて大気中の塩素の測定を行った。光とオゾンが塩素形成に必要であることもわかった。日中の高い塩素濃度と、太陽光がそれを塩素ラジカルに光分解する。もう一つの成果は、大気中のオゾンとHg(0)濃度が、環境条件に依存して変化することを示していた。空気が海の氷の上を移動するとき、オゾンとHg(O)が氷の表面近くから放出される。ただし空気の動きに伴う対流で、それらは水に接近する。Hg(0)は大気中で酸化されHg(II)に変化し、それが空気から沈殿し、毒性のある化合物に変化する。こちらはNevadaの研究所で、粘った成果である。我が国の酸化化学も、産官学の主導で如何でしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 20, p. 34.

DOI: 10.1038/ngeo2046; DOI: 10.1038/nature12924

14.2.12

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結晶性物質を

 高分子に変換するのは難しい課題である。高分子化剤は、結晶の密につまったマトリックスの中に入り込むことができない。そのため、熱、圧力、光を使わなくてはならず、結晶分子が高分子化のために配列することを願う必要もある。それに対して、新しい結晶高分子が、カリフォルニア大学のWudl先生らのグループから報告された[1]。染料分子であるビス(インデンジオン)の二つの誘導体が、固体状態での高分子化では珍しく、可視光照射で反応が進行する。高分子化の前の結晶は、オレンジ色のレンジの色に見えるけど、反応の後は、無色になり、さらに可視光が透過出来る状態にあり、さらに反応が促進される。高分子化の過程は、昇温した場合には、可逆になり、また得られた高分子は、その軸に沿っては強いため、複合材料の中の強化成分として利用しうる。もし高分子が壊れた場合には、色が変化し、どの部分が壊れてしまったかが簡単にわかる。今回の高分子化に、興奮したかな?

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan, 20, p. 34.

DOI:10.1126/science.1245875

13.2.11

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反応性の高い

 官能基のアルケンへの付加は、有機化学者によって、通常のトリックである。またその隣接位、アリル炭素の官能基化もありうる。ただしさらにその隣り、となりますと、これが難しい。いわゆるホモアリル位炭素上での反応は、御しがたい。その中、Gevorgyanらは、1-アルケンを1,4-ジオールに変換する新しい方法を報告した[1]。まず1-ブテンをジヒドロシランでヒドロシリル化を行う。この場合ケイ素上には、t-ブチル基と2-ピリジルメチル基が結合している。ついでIr触媒を使って、この生成物のケイ素上のもう一つの水素と、もとのアルケンのホモアリル位炭素上の水素が脱水素しシラシクロペンタンを与える。さらに生成物を酸化することで1,4-ブタンジオールに至る。また同様の反応を、天然物やその誘導体を含むいくつかのアルケンにも適用し、ブタンジオールが導かれることを示している。Ir触媒反応が、イリノイ大から、切りのいいところで、公開された。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan, 20, p. 33.

DOI: 10.1038/nchem.1841

14.2.10

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労働するものを

 無精子にし、女王の生殖能力を維持することは、様々な昆虫の集団では、必要不可欠である。この形態は、カリバチやハナバチやアリたちで、ありがちで、それは化学的に類似の炭化水素フェロモンを使って行われていることがわかった[1]。ただしこれら三つの昆虫集団は、共通の単独行動する昆虫の先祖であるものの、別々に集団生活を営んできたため、この発見は意外であった。研究者らの考えによれば「昆虫の祖先は、ろうの様な飽和炭化水素フェロモンを、仲間への性的なシグナルとして利用し、その結果、集団生活を営むようになってきた。それが今では、メスの働くものが不妊になるように作用している」とのことである。フェロモンは、25から29の炭素鎖の飽和炭素鎖で、時には3位にメチル基が含まれており、これが産業上の価値を有している。たとえば、世界中で業務用の温室の中で、植物を受粉するマルハナバチの集団を、このシグナルがまとめる一助となっている可能性がある。フェロモンも、減るもんかもしれないので、大切に。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 20, p. 33.

DOI: 10.1126/science.1244899

14.2.9

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フェルスター共鳴エネルギー移動

 (FRET)は、分子スケールでの距離を測定するのに使われる方法である。それは蛍光供与体と受容体分子の間でエネルギーを移動させることで作用する。ただしFRETは、フレッフッレと言っても、10 mnより短い距離の測定しかできない。一方で、類似のエネルギー移動が蛍光分子と分子の蛍光をクエンチする金属との間でも起こることが知られていた。このMIETと呼ばれるエネルギー移動では、距離に依存して蛍光寿命が短くなるが、その長さは200 nm、すなわちFRET20倍まで測定可能である。そこでこのMIETが、生細胞のイメージを得ることに使われた。研究者らは金フィルムの上に三種類の細胞を成長させ、膜特異的な蛍光色素分子で染色し、細胞が表面に広がるにつれて、MIETで、低速度撮影のイメージを構築した。細胞膜の三次元での再構築によって、方位分解能が200 nm、距離分解能が3 nmの像を示していた。「MIETでしっかり見えるっと」いうことです。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 2o, p. 33.

DOI: 10.1038/nphoton.2013.345

14.2.8

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アルケンの還元にカップリング

 岐阜県でもやった人がいるに違いない。従来の還元法のうち、液体アンモニア中でLi金属を使って還元すれば、熱力学的制御で反応は進行する[1]。ただし近傍の官能基も反応中で別のものになってしまう。その副反応なしに還元し熱力学生成物を合成する方法が報告された[1]。フェニルシラン(C6H5SiH3)Mn触媒を使い、触媒を再生させるために、t-BuOOHを使う。医薬品分子などでしばしば見られる複素環の還元にも適用でき、出発化合物のアルケニル炭素に結合した塩素原子も生成物に残る。このグループはさらにこれを不斉還元に発展させようとしている。

 一方でアルケンの活性化として、不活性アルケンと電子不足アルケンとのカップリングがFe触媒とフェニルシランで達成された。反応は開放系のフラスコ内で、グラムスケールで行うことができ、1時間以内で完了する。別法では困難な、立体的に込み入った分子や四級炭素の構築も可能である。生成物の香りもよく、香料としても考慮してほしいとのことである。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 20, p. 20.

DOI: 10.1021/ja412342g; DOI: 10.1021/ja4117632

14.2.7

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リシン残基の

 アセチル化、あせっちると上手く進行しないかもしれない。ただしそれによって細胞内の様々な活動が制御されている[1]。最もよく知られているのは、遺伝子転写とガンの進行である。実際2006年、FDAは、リシン残基からアセチル基が脱離するのをブロックする分子であるボリノスタットを認可し、これによってリンパ腫の治療が行われる。アセチル化は、炎症にも影響し、研究者らは、ボリノスタットや同様の医薬品が、type I糖尿病のような自己免疫疾患を治療できるかどうかを検討してきた。その結果、ネズミに、ボリノスタットあるいは別のリシン脱アセチル化抑制剤であるギビノスタットを餌として与えることで、その発生が軽減されることがわかった。化合物は、発症を遅らせることができ、また効果的な投与量は、癌治療の際の二桁ほど少なくてよい。経口投与できることから、患者さんは、インシュリン注射とは違って、食事療法で対応できる。今後、type 1糖尿病の臨床試験の基盤研究に加えて、安全性確認を、ボリノスタットでも、スタートさせるとのことである。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 13, p. 27.

DOI:10.1073/pnas.1320850111

14.2.6

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白色OLEDの

 安価なシートの実現は、数十年来の夢である、有名なことに。それは光タイルや壁紙として利用できる[1]。いくつかの製品は市場販売にまで到達しているが、すべての期待する特性が引き出されているわけではない。一つのゴールは、完全に透明な正孔輸送層を開発することであった。これまでWMo酸化物とフッ素化テトラシアノキノジメタンがドーパント分子として利用されてきた。ただしこれらの色がついた化合物は、好ましくない色調を引き出し、光学効率を低下させる。その中今回、銅(I)フッ素化カルボン酸塩が無色のドーパントとして、バトンを引き継いだ。ドーパントは通常、多環芳香族アミン電子輸送層と相互作用し、非局在化した正孔が生じ、発光する層の中にあるリン光あるいは蛍光色素の中を動く。Cu(I)ペンタフルオロ安息香酸塩が、アミンと十分に相互作用し、正孔輸送層を刺激するものの、それほど強くないため、可視領域での電荷移動が起こらず、欲しくない色を発することはないことも示された。新しいドーパントで、どか〜んと性能も向上した。

[1] Chemical & Engineering News 2014 Jan. 13, p. 27.

DOI: 10.1002/adma.201303252

14.2.5

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理想的な生体適合性

 エレクトロニクスは、オリンピック体操選手の如く、ぴっくりするほど、細くて柔軟である。その性質が付与された材料でつくられた素子は、固い素子では出来ない技、すなわち身体の曲線に沿って曲がり、臓器や細胞を抱き込むことができる[1]。その中、超柔軟で、軽くて透明なエレクトロニクスをつくる新しい方法が考案された。1μmのポリパラキシレンフィルムとその下層にポリビニルアルコールを使った材料の上に、エレクトロニクスを組み立てる。組立完了の後、下層は水に溶かすことができて、薄くて軽くて柔らかな繊細な素子が完成する。通常の素子は人毛でカバーすると、感じんもうになるけど、これは作用できる。ポリパラキシレンの生体適合性のため、生物医学でも利用可能である。たとえば、薄膜半導体をつくり、それを歪みゲージに入れて、コンタクトレンズに加工された。これによって、緑内障患者さんの眼球圧をモニターすることも可能である。スイスETHでの成果も、え〜てば〜である。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 13, p. 26.

DOI:10.1038/ncomms3982

14.2.4

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二酸化チタンは

 水の浄化、分解、太陽光発電など様々な応用が期待される、安価な光触媒として、魅力的である。ただし難点がある。それは紫外光に応答して反応を触媒する。市街でも降り注ぐ紫外光だけど、可視光応答のほうが、より賢い。その中二酸化チタンの表面を窒素でドープすることで、光触媒活性を劇的に向上できる方法が報告された。これまでの、マグネトロンスパッタリングや高ネネルギーイオン衝撃などのドープする方法では、バルクの二酸化チタンに欠陥も生じ、触媒活性を低下させていた。今回シンガポールの研究者らは、二酸化チタンの表面に窒素原子の低いエネルギービームを当てことで、窒素原子で表面を被膜する方法を採用し、欠陥フリーの二酸化チタンを得た。その結果、可視光照射で、光触媒活性を示した。さらにこの表面をドープした二酸化チタンは、他の方法でドープされた二酸化チタンよりも、紫外光照射でも、高い活性を示した。ドープ法に、どっぷり浸かって得た成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Jan. 13, p. 26.

DOI: 10.1021/jp408798f

14.2.3

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外科手術のために使う

 接着剤、物足りない点が多い。たとえばせっかく接着しても、すぐにはがれる.毒性を示す可能性や接着力の弱さなどがその課題である。その中、これらの問題を回避できる、新しいタイプの外科用のりが開発された。新しい接着剤は。粘性があって広げることができる前駆体であるポリ(グリセロールセバシン酸アクリルエステル)からつくられる。この材料を紫外光にさらすと、アクリル部位が交差に連結し柔軟なポリマーフィルムを与える。前駆体は、血液の中ですぐには固くはならず、湿組織に接着することができる。こののりは、活性化しない限り、傷当てを開始しないため、つけなおすことも可能である。一旦紫外光にさらすと接着し、血管の中でも、強くて、その中の傷を、気づかないうちに、修復できる。研究者らは、この人工パッチをネズミや豚の心臓や血管の欠陥でも使った実験を行っている。生物工学の専門家と心臓外科医のチーム、結果いいのりができて、のりもいいはずである。

[1] Chemical & Enigneering News, 2014 jan. 13, p. 26.

DOI: 10.1126/scitranslmed.3006557

14.2.2

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STAP細胞

 の研究がスタートしたのは数年前か。着想は5年ほど前だと、小保方さんは言う。学部[1]では応用化学を専攻していたけど、分野をシフトさせた。ハーバードにも留学し、理化学研究所で機会を得た。細胞に様々な外部刺激を与える。考えられる様々なストレス条件の中、細胞がなんとか生き延びようとする。そこから今回の成果にたどり着いたらしい。でも時には「やめてやる〜」と思ったり、一晩泣き明かしたりした時もあった。それでも「今日一日だけは」また次の日も「今日一日だけは」で過ごした。もうダメだと思ったとき、詰まった時、助けてくれる人がそばにいた。午前一時頃の結果、それが大方仕上がり、さらに完成、論文投稿、「細胞生物学の100年の歴史を愚弄するのか」というコメントに、再び苦労することになった。さらに完成度を高めて、今週のプレスリリースになった。どこか重かった感じから、解き放された瞬間かもしれない。メディア攻勢が続く。こちらも万能対応を願う。幸いオリンピックも近い。

[1] 彼女は手相をみるのが得意で、学生の頃、休み時間には列ができていた。「手相は統計学だから」と話していたらしい。

14.2.1

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