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2014年4月

塩の添加が

 根岸反応を促進することが報告された[1]。ジアリール亜鉛は、亜鉛アニオン種を形成することなく、塩を添加する必要もなく、THFのような比較的極性の低い溶媒中でクロスカップリングが進行する。それに対してモノアリール亜鉛錯体(RZnX)は、THF中、塩なしでは、反応とも、縁がない。ただしこの場合には、DMI [2]のような極性の溶媒を共存させると反応は進行する。ここで重要なことは、亜鉛反応剤と溶媒の極性の適切な組合せである。しかも極性は塩を添加することで調整することができる。それによって反応剤が会合してしまい、反応を阻害することが防がれる。これまでいくつかの反応が上手く進行しなかったのは、塩気(しおっけ)が不足していた可能性も高い。アルキル亜鉛反応剤(RZnX32-)は、塩と高極性溶媒が必要であり、ジアルキル亜鉛では、ジアリール亜鉛とは異なり、塩が必須である。市販品のこれらでカップリングが成功していたのは、それらを調製した時に副生する塩を含んだままで、根岸反応における塩の本来の役割が認識されていなかったのではないかと指摘されている。ちなみに塩としては「塩化リチウムで、ええんか?」一度お試し(お)あれ。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 April 7, p. 7.

DOI: 10.1002/anie.201400459

[1] DMI: N,N-ジメチル-2-イミダゾリジノン

2014.4.30

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化粧品会社の

 気鋭の女性社員「三木さん」が命を落とす[1]。現場の状況から、彼女に恨みを持った人の仕業であると言われ、同期入社の「城野(しろの)さん」が疑われる。それぞれ育成のために、後輩とチームをつくっていたが、先輩・後輩の中での厳しい指導、暖まるアドバイス、それを逸脱した振舞い。時に落ち込む後輩たち。彼女たちの職場にいる男性上司。昼食のお弁当は城野さんの手料理、でも夜のお食事は三木さんを誘う。会社の売上げは好調「石けん」が世間に広まったお陰もある。事件のことを週刊誌も取り上げ、記者である赤星さんに、SNSやインタビューさらには手紙、情報が集まり、それをもとにした週刊誌の記事、ツイッターでのやり取り。城野さんが知ろないうちに、虚像が成長していく。それに抗議した大学時代の同級生。あることないこと語るふるさとのご近所さん。小学校の頃、近くであった出来事も、城野さんと、学校へ行くのが、のろかった友人とで、呪いをかけたのだとも言われた。事件があって以降、ホテルで過ごしていた城野さん。ついに語り始めた。少女の頃に手にした「赤毛のアン」が、かすかな清涼感を醸し出していた。

[1] 湊かなえ著「白ゆき姫殺人事件」(集英社文庫)(2014)

生協書籍部のお姉さんにベストセラーを聞いた。この本が売り切れているという。「告白」ほどではないけど、「読後感がねえ」とのこと。忘れていたら別の場所でも話題になった。図書館で借りて読んだ中学生。映画も上映中。次の日、近くの本屋に行く。ほんまやここにあったと、迷わず手にしてしまった。

14.4.29

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モルヒネは

 ケシの実から採れるアヘンから得られる、不可欠な麻酔薬である。何世紀にも渡って、極度な痛みを緩和するために使われてきた。さらに化合物は、コデインやヒドロモルフォンの様な麻薬の前駆体としても利用される。ただし、モルヒネを経済的に見合う工業的なスケールで生産するのに利用できる、合理的な長さの合成経路の開発に苦慮していた。その中、モルヒネのモデルとしてent-ヒドロモルホンの化学酵素法を用いた全合成が開発された[1]。新しい経路では、大抵のアヘン由来の麻薬に、あへん?ということなく、効果的にたどり着くことができる。合成の鍵となる部分は、光延反応による二つの部分のカップリングに、分子内Diels-Alder[4+2]環化付加で、これらを初めてモルヒネアルカロイド合成のB環の閉環に応用した点である。全合成は、最初からは12段階、主たる中間体からは7段階で導くことができ、これはモルヒネアルカロイド合成の最短記録の経路である。モルヒネについて、もう昼寝の時間になっても、考えてみましょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 31, p. 25.

DOI: 10.1002/anie.201400286

14.4.28

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プロ野球のスカウト

 可能性を買うと、チームがドラフトで指名すべきかを見極めるために、地方の試合を見てまわる。幼い娘をつれて、アメリカの田舎町を転々とする。母親と死別した少女、時に親戚に預けられるも、父の仕事の影響も受けて、大リーグ通にもなった。成長した彼女は、辣腕弁護士として活躍していた。そこに、昔から知る父の仕事仲間が訪ねてきた。「親父さんの様子がおかしい。緑内障であるかもしれない」父に嫌気をさしつつも、父の仕事場に出向き、久しぶりにスカウト見習いとして野球をみる。そこには父が発掘した元大リーグ豪腕投手で、肩を壊して、スカウトになった青年もいた。父が所属するチームの選手発掘戦略が、データやコンピューター解析重視に傾き、父の立場も危うくなりかけていた。データが推薦するドラフト一位候補、「カーブが打てない」と、父と娘で出した結論は無視され、チームは指名に至った。でも「しめしめ」とはいかなかった。

 アメリカ南西部の情景、居酒屋、地方球場に、80歳を過ぎたクリント・イーストウッドさんの演技で、ドラマチックに盛り上がった。

[1] 原題:Trouble with the Curve、邦訳:人生の特等席(2012)

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二枚貝である

 Placuna placentaとして知られているマド貝は、透明である[1]。殻の99%は、方解石、ほうかいなあ、であってCaCO3の最も安定な多形体である。「この高いミネラル含有量のため、殻はもろい?」いや、おもろいことに、通常の単結晶方解石よりも10倍ほど、貫通に対して強い。そこで、P. placentaと通常の方解石に裂け目をつけて、顕微鏡で比較観察が行われた。その結果、P. placentaは、より優雅に砕ける。裂け目によって、方解石は、ひびが入るようになるけど、軟体動物の殻は、双晶が解消されることによって、エネルギーを分散させ、これによって結晶にある原子が、ますますゆっくりと動き、固体が、再び、そうしようと、双晶をつくる。双晶は、お互いにわずかに違った配列をしている隣接する結晶ドメインが対になったものである。この現象は、貫通に強い軽量の鎧をデザインするヒントになるかもしれない。双晶の形成、想像してみよう。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 31, p. 24.

DOI:10.1038/nmat3920

14.4.26

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アクチニド

 その研究、らくちんやないど。でもCf(カリホルニウム)ホウ酸塩が合成された。研究者らは、249CfCl3と融解したホウ酸を反応させ、Cf[B6O8(OH)5]の緑色の微結晶を成長させた。スペクトルさらには計算解析では、Cf-O結合がかなり共有結合性を有し、酸素2p軌道からCf6d, 7p, 5f軌道に電子が供与されている。またポリホウ酸鎖にCf(II)が包み込まれ、遷移金属における、配位子の共有結合とも類似していた。これはPu(III), Am(III), Cm(III)ホウ酸塩や様々なランタニド化合物が、共有結合を含まず、あるいは今回の化合物よりも遥かに弱い共有結合性を有しているのみであることとは対照的である。そのためこれまでアクチニドは、イオン結合で結合していると考えられていた。今回の新しい発見、すなわち共有結合したアクチニド化合物を形成できることから、核廃棄物を分離・貯蔵する別の方法も考案しうるとしている。共有結合(covalent bond)、ばれんということはないらしい。

[1] Chemical & Engineering News 2014 March 31, p. 24.

DOI: 10.1038/nchem.1896

14.4.25

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イタコン酸

 甚く混んだ構造ではない。メタクリル酸のメチル基の水素一つがカルボキシル基に置き換わった構造である。人の免疫系が、危険なバクテリアと対峙して、退治するときに、防御のための化合物の一つがイタコン酸である[1]。マクロファージと呼ばれる免疫細胞が侵入してきた病原体を取り囲み、そこでイタコン酸を生産し、バクテリアの代謝を妨げる。ただし多くの病原体が、この毒物を回避する戦略を考案していることが明らかにされた。体内にあるカテーテルに伝染しうる多くの病原体は、イタコン酸を有用な化合物に分解し、侵入する微生物に栄養を与える。このプロセスに含まれる酵素が、抗菌剤のあらたな標的であると述べられている。1960年代には、土のバクテリアが、イタコン酸をピルビン酸とアセチルCoAに分解することが報告されていたが、あまり注目されていなかった。その後この変換に三種類の酵素が関わることなどの発見を経た。さらに今回の成果に至り、バクテリア病原体がホストの防衛機構を無力化するだけではなくて、それらのいくつかが、えいようということで、栄養として利用するということが、さらに明らかになってきた。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 31, p. 8.

DOI: 10.1038/nchembio.1482

14.4.24

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ハンチントン病は

 難病に指定されている遺伝病の一つで、患者のDNAにおいて、変異タンパク質の遺伝暗号を指定する遺伝子配列が繰返されることが、疾患の要因である。ただしこの遺伝子変異がどのように起こり神経が壊れるか、わからなかった。それに対して疾病の細胞機構が提案された[1]Snyderらの理論によれば、疾病の徴候は、脳の中の硫黄を含んだアミノ酸であるシステインの不足から生じる。これはネズミによる実験に基づくものであり、人に拡大することができれば、治療の糸口も提供されうる。現在使われている最も確かな治療法は、遺伝子治療であるが、これは複雑でリスクも、理屈ぬきで、大きい。ハンチントン病の徴候は、中年に現れ始め、認知の問題から、筋の協応性さらには、認知症にいたる。発症してからの余命はおよそ20年に縮まる。今回研究者らは、変異タンパク質が、シスタチオニンγ-リアーゼ(CSE)と呼ばれる酵素を生産するのに必要な転写因子にバインドし、脳細胞内の酵素のレベルを減少させることを示した。CSEはシステイン合成の鍵となる段階を触媒するため、結果として、脳内で、それが枯渇する。そこでその症状を示すネズミにシステインを投与したところ、症状の改善も見られた。システインのこと、報道しステーションでも、伝えてほしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 31, p. 6.

DOI: 10.1038/nature13136

14.4.23

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Organic Letters誌の

 編集委員長A. B. Smith III先生のところに、「ある研究グループのNMRデータのいくつかに、疑問の余地がある」という情報がもたらされた。Smith先生らが、隅々まで調査された結果、それが「あからさまであるかどうか」は触れずに、あるピークを消去するという操作が行われていたことを示し、それは「だめだよ(no-no)」と、言われている[1]。これに端を発して、OL誌、JACS誌の、ADDITIONS AND CORRECTIONSには、毎号の様に、NMRデータの差替えが掲載されている。 記事のほとんどの部分は、この件に関する日本の先生方の言だけど、ここではコーネル大学、NMR施設のディレクターであるI. Keresztes先生のコメントを要約しておく:NMR処理ソフトによるピーク消去、さらにPhotoshopや別のソフトウェアを使っても、スペクトルをごまかすことはできて、期待とは違うピークの消去は、今では容易である。ファッション雑誌のカバーを制作する編集者と同様の課題を、化学コミュニティも有しており、NMRスペクトルはこうあるべきであるという、あり得ないような期待感が持たれている。完璧なスペクトルを見せなくてはというプレッシャーがある一方で、スペクトルが完璧であることはめったにない。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 April 21, p. 32.

2014.4.22

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自己組織化単分子膜(SAM)が

 誕生してから30年、表面保護、センシング、超小型電子技術、薬物送達などで利用される。金表面を、長鎖アルキル鎖を有するアルカンチオールの単分子膜で修飾したものがほとんどである。ただしこのチオールを用いたSAMも、さめた目でみると、完璧ではない。硫黄置換基は、一週間から二週間経つと、金表面から剥がれはじめ、空気、光、水にさらされると徐々に分解する。さらに、熱やTHFなどの溶媒で、その分解が促進される。そのような中、SAMを形成する他の分子が探索されてきた。その中、Crudden先生が来られて、NHCで単分子膜形成を達成された。反応は、金表面にアルカンチオールが、お〜るところに、NHCを反応させると、置換反応が進行し、NHCが表面にのったSAMができる。NHCは、より強く金と相互作用し、空気、水、高いあるいは低いpH、沸騰するTHFいずれがあっても、より長い間変化しない。ここでNHCが有する置換基があまり嵩高くないことが重要だと述べられている。現在、バイオセンシングや自動車で使われる反応性の高い金属の腐食から保護する実験も行われている。新型単分子膜、実験しまくって見つけたのかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 31, p. 7.

DOI: 10.1038/nchem.1891

14.4.21

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メタラシクロブタンは

 オレフィンメタセシスの中間体として、合成化学では特別な位置を占め、小さな分子や高分子合成法を一新させた。この手法がフッ素化分子を導く方法に適用された。素敵よう〜。従来のフッ素化メタラサイクル合成では、テトラフルオロエチレンガスが使われ、これによってC2F4C4F8ユニットをラジカル付加反応で導入することができる。ただしガスの取扱いが難しく、環境への影響もある。そこで研究者らは、メタラサイクル二亜鉛反応剤を使ったメタセシス経路を開発し、テトラフルオロエチレンガスを使わないで、C3F6ユニットを導入する方法を確立した。ジエチル亜鉛とI(CF2)n)I (n = 3,4 or 6)とから反応剤を調製し、銅が媒介する芳香族ヨージドとの反応で、二環式フッ素化有機金属環状化合物あるいはパーフッ化アルキルリンカーを有する環系が構築される。これらの化合物は医薬さらには材料分野への応用に資するものである。

 メタラサイクル、見たら回してね、他のひとにも。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 24, p. 28.

DOI: 10.1021/om401016k

14.4.20

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リグニン廃棄物と

 ビスフェノールA(BPA)の危険性は関連がないと思われている。でも一つ目の課題を解決できると二つ目にも応用できることが報告された。毎年、紙やパルプ工業では、軽く数百万トンの廃棄物が生じ、それらは通常焼却されている。それに対して、リグニンをつくっている二種類の芳香族アルコールを、プラスチックに固さをもたらすモノマーとして利用されているBPA代替物に変換する方法が開発された。リグニン成分のビスグアイアコールFは、BPAと類似の構造であり、前者では二つのメトキシ基を含んでいる。BPAはエストロゲン受容体にバインドし、打撃を与えるが、先のメトキシ基によってトキシックになってしまう挙動が回避されているらしい。さらに安全性について、ビスグアイカコールFの具合がいいかが評価され、機械的・熱的特性がBPAと同じであるかどうかを予測するために、ガラス転移のフラクタル理論を使って評価も行われた。リグニンでグリーンな系開発中である。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 24, p. 28.

14.4.19

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ビタミンAは

 細菌や菌の病原体と免疫系が戦う時に、それを助けることが知られていた。さらにネズミの実験では、ビタミンは、胎児が子宮で成長する時に、免疫系を構築するのに必要不可欠かもしれない[1]。妊娠したマウスにビタミンAが不足した食物を与えた結果、通常より小さなリンパ節を持った子マウスが生まれた。ここでリンパ節は、免疫系の発達や長期間にわたってそれを維持するには重要な部位である。さらにそのネズミの免疫応答は、通常より弱かった。これらのことから「親マウスの食べ物が、胎児前の胚の免疫系に、取り返しのつかない結果をもたらし、この時期は極めて重要で、生きていく上で、ビタミンAが免疫系をあらかじめプログラムしている」と研究者らは指摘している。さらにネズミと人の免疫系の発達はかなりの類似点があり、この考えは人にも応用しうるとしている。妊婦さんがビタミンAを消費すると、酵素はそれをレチノイン酸に変換する。成長過程のマウスの胎児では、レチノイン酸が遺伝子発現を活性化し、RORγtと呼ばれる受容体ホルモンの生産を促す。この受容体が、3型の生来からあるリンパ細胞の生産と変化とを組織化し、リンパ節細胞を確立し、さらに生きていく上で、免疫応答を起動する助けをすることも、明らかにされた。ビタミンAは、誕生前の民んにとっても、え〜です。日本人とニンジンも研究対象にすべし。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 24, p. 8.

DOI: 10.1038/nature13158

14.4.18

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実験ノート再び

 些細なことかもしれないけど、会見のニュースを見て気になった。確かに副センター長自ら、ユニットリーダーと、実験ノートを見ながら、考察することはないと思う。でも「大学院生には、実験ノート持って来て見せなさいというような、ぶしつけな依頼をする」という類の内容があった。なんだか違う。「実験ノート持ってきて、NMRチャートも」というのは、一緒に考えようということである。実験者本人のその場を、再現したい。決して「ぶしつけ」でもなければ「しつけ」でもない。基本である。自分が世話になっている分野では、ある著名な先生も言われているように「実験に、失敗はない」どんな手順を踏んで、どんな結果になったかである。「当量を間違えたことで斬新な結果になること」や「こぼした液体を、やばいと思って、実験台からフラスコに戻した結果、期待通りにいっちゃった」ということもあり得る。特に後者の場合、そのことが指導者に伝わらないと悲劇が起こることもある。それらの情報満載が実験ノートである。

臆することなく、書いていこうね。

14.4.17

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紙パック入の牛乳を

 パクッと飲んでしまう時はよい。一方でしばらく保存した後に、飲む場合もある。消費期限を頼りに、飲用してもいいんよう、かどうかを判断する。ただし工場からスーパーマケットに運搬される際に、しばし冷蔵庫から出された状態を経ることもあって、消費期限は正確ではない。その中、金ナノロッドと塩化銀を埋めこんだゲルセンサーの応用が考案された[1]。以前、そのゲルはオレンジ色だけど、ナノロッドがコーティングされていないために、銀イオンが沈殿し、ゲルは緑色に変化することが明らかにされていた[2]。今回、このゲルの色の変化とミルクの中で大腸菌が成長する速さを、様々な温度で確認した。さらにそれにアスコルビン酸や酪酸を添加して、同様の実験を行い、銀の沈澱速度に対する影響が明らかにされた。これらの成果をもとに、出荷当初はオレンジで、深緑色になったら飲用不可を示すという安価なゼラチンのような材料が開発された。インジケーター使用で印字は不要である。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 24, p. 8.

[2] DOI: 10.1021/nn401266u

14.4.16

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飽和な複素環である

 ピペリジンやモルホリンは、生理活性な分子として知られており、医薬品製造者は、これらを、様々な骨格に直接組込みたい。ただし、これらに別の分子骨格を組込むことは容易ではなくて、手間のかかる多段階法が採用されてきた。その中、飽和な複素環構築の新しい方法が報告された。研究チームはこれまで、ラジカルが媒介するアルデヒドを出発化合物とする飽和な複素環合成を開発していた[2]。量論反応で、6, 7, 8, 9員環含窒素複素環に様々な芳香環や脂肪族置換基の組込みに成功していた。今回、失敬ではなくて、湿気や空気に対して安定なSnAP反応剤を開発した。ここでSnAPはスズとアミンを含む原型モデルである。STAPではない。このSnAPに銅を添加することで、炭素ラジカルが生成し、分子内でアルデヒドとから形成されるイミンに付加して含窒素複素環に至る。実際に利用してもらえるように、スズを使わない系への展開も行われている。ちなみにSnAPのスナップ写真はなかった。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 24, p. 6.

[2] Nat. Chem. 2014, DOI: 10.1038/nchem.1878; DOI: 1 0.1002/anie.201208064; DOI: 10.1021/ol500210z

14.4.15

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分子の結合の動きに

 関する情報を使って、触媒反応の立体選択性の結果を予測できる一助となる数学的な方法が開発された[1]。この型の反応に使いうる方法を、分子の立体構造や電子構造と組み合わせると、科学者は、医薬品や材料の設計と合成を、より正確に行うことができる。研究者らは、様々な反応の様子を赤外照射に呼応して起こる結合の振動を相関づけることに成功した。ついでその相関をもとに、別の反応の結果を予測できるコンンピューターモデルを開発した。それらを三つの反応で試してみた。すなわちペプチドが触媒するビスフェノールと無水酢酸の反応、1,1-ジアリールアルケンのエナンチオ選択的な水素化反応、さらに酸化的Heck反応である。研究チームは研究室でもこれらの反応を行い、それらの結果はモデルが妥当であることを示していた。Sigman先生とチームのヤングマンらの成果である。

VIDEO ONLINEにつないだ。でもアドレス見つからず、しばし「あ、どれですか」と捜した[2]

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 17, p. 34.

DOI: 10.1038/nature13019

[2] http://cen.acs.org/articles/92/i11/Bond-Motions-Reveal-Reaction-Outcomes.html

14.4.14

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選手別応援歌

 毎年、ヒッティングマーチ委員会が、その年の活躍が期待される選手について、新たに作曲する[1]。結局使わなかったということがないようにという願いも込める。委員会が所属する応援団は、NPB特別応援許可団体の一員で、作曲した歌の著作権は、球団に譲渡されている。今年始め、ある選手の応援歌を作曲して発表したところ、別の球団の選手の歌に酷似しているという指摘を受けた。もちろん悪意のない酷似である。でもそれを迅速に取り下げ、新たな歌を作曲して披露した。変更したこと自体はホームページでも報告されている。 で球団の本拠地から西へ移動すること30分ほどで研究所に着く。「悪意のない間違い」「見やすいように工夫した」などで、撤回しないと言われている。渦中の人、選手別応援歌を手にして、甲子園に足を運んでみては如何でしょうか。阪神の応援に感心して、気分一新で新たな境地になるかもしれません。次回は418日ヤクルトが、やってくるとのことです。

[1] http://tigers-hm.info/index.htmlを参考にしました。

14.4.13

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モータープールの

 管理人熊吾[1]。これまで同様、熊吾一家は開放系で、モータープールを借りる客人、車の出入れでごったがえす朝の時間帯。昼間、時に留守番を請負うデコボコ・コンビ。コンビニのなかった昭和34年頃である。熊吾と縁あって城崎で働いていたヨネが死んだ。骨を余部鉄橋から撒いてほしい。その日、骨をすりつぶした長男伸仁。メス犬ムクとも暮らす。むくむくと育ち、はらんでいる。お産の日、六匹が誕生。そのうち一匹の目が開かない。しばらく前にモータープールの一角を仕事場にした無愛想な佐古田、ホウ酸とその使い方を授けた。その教えよろしく元気に育った。ジンベエと名付けた伸仁。伝書鳩を買うはめにもなった。ひ弱な身体改善のための毎日の注射。かつての友達、故あって北朝鮮に帰る。その見送りに淀川の堤防沿いから鯉のぼりを振る。熊吾が開業した中古車店、幽霊かと思いきや、なんだか人がいた。時に傍若無人な夫に、嫌気をさす房江。息子の成長も感じる。その息子「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」の意味がわからんと父に聞く。世阿弥「花伝書」の言葉である。

[1] 宮本輝著「慈雨の音、流転の海 第六部」(新潮文庫)。

14.4.12

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実験ノートの

 詳しい記述が、事件を回避できるすべの一つである。研究記録、財産なので、課程終了後には置き土産になる。ボールペンなど簡単には消せない筆記用具を使う。たとえば、まずは見開き2ページを使って一つの実験経過を記す。実験を開始した日、天候、実験の目的、ついで合成実験の多くは、使ったすべての薬品の種類、重さ、モル数を、箇条書きにする。化学反応式も加える。同じ実験を繰り返す場合でも必ず書く。普段あまり使わない薬品や分解し易い薬品は、仕入れた試薬会社やロット番号も書く。ロットが、やろっと思っていた反応の成否を左右することもある。時間経過、色の変化も記す。下書きを別に作って清書する必要はない。経時の変化を記録するものである。その後のTLC、同定や物性測定の記録も残す。しかも一連の実験番号とスペクトルの番号は同じでなくてはいけない。研究室では、その番号を卒論や修論に記載する。日々の生活の中で繰り返すと、気がつけば大いなる財産になる。でもこのこと、かの方には、重かったかもしれない。比して、研究室の学生諸氏、よりよいノート作成の力量ありである。期待してまっせえ〜。

14.4.11

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天然ガスの

 燃料や化成品への変換を、石油由来の製品と同様な経済性で達成しうる新しい方法が報告された[1]。これまでの市販の触媒は、C-H結合を、ラジカル種を含む反応で解裂させる。この場合、炭化水素よりもアルコール生成物とより速く反応し、二酸化炭素を発生させてしまう。今回開発された系では、可溶なタリウム(TI(III))あるいは鉛(Pb(IV))塩を、トリフルオロ酢酸中で化学両論的に用いる。反応温度は180 °Cで、既存の反応がおよそ900 °Cで実施されているのとは対照的で、相当なエネルギー節約になり得る。実験あるいは計算実験では、TlPbのトリフルオロ酢酸錯体が、ラジカル種を含まない系で、C-Hを活性化し、金属アルキル中間体を与え、トルフルオロ酢酸エステルが導かれることが明らかにされている。今話題のシェールガスに言え〜ることだけど、エタンやプロパンを多く含み、PtAuがメタンとしか反応しないのとは異なり、今回の金属塩は、いずれの炭化水素とも反応し、メタノールからプロピレングリコールまで、種々のアルコールを制御しながら製造できる。まずはプロパンからの、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール生産が工業化の最初の目標である。生産が、Tlで足りうる上に、Pbでもたんまりつくろう」という系である。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 17, p. 7.

DOI:10.1126/science.1249357

14.4.10

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芳香環のメタ位の

 C-H結合の切断と官能基導入、Yu先生らはこの系をこれまでも実現してきた。ただし電子豊富なアニリンやテトラヒドロキノリンは、気乗りんせず、同様の反応の成功には至っていなかった。これを改善すべく、配向基に改良を加えてきた。さらに今回は、追加の配位子として、自由に動くことができるN-アセチルグリシンも添加され、アクリロイル基が導入されている[1]。一方で、アミノ酸であるアラニン誘導体のメチル側鎖に二つの異なる芳香環を導入する反応にも成功している。同じ二つの芳香環が入ってしまうのを避けるため、2-メチルピリジンやキノリンを、ここでは追加の配位子として選択している。2-メチルピリジンの配位力は弱く、モノアリール化だけを促進する。さらにキノリンは二つ目のアリール化を促進する。「弱い配位で金属の反応様式を制御するという戦略を、他の系でも適用できるようにしたい」と、Yu先生は述べている。「Weak is powerful」が表題。付かず離れずで、C-H結合が離れて、C-Cが付く系である。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 17, p. 5.

DOI: 10.1038/nature12963DOI: 10.1126/science.1249198

14.4.9

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電子たばこ

 「煙はでんし」ではない。このe-シガレットは、様々な香料やニコチンの量が調整された液体が蒸気になって、それを人が吸引できる電子機器である。水溶液の中には、グリセロールとプロピレングリコールも含まれ、加熱によってこれらが不透明な蒸気に変わる。ニコチンは、1 mLのジュースの中で、0 mgから24 mgまで五段階の量がある。愛吸引者も増え、2014年には、15億ドルの売り上げが見積もられ、「通常のタバコよりも安全で、多くの公共の場でも使える」と言われている。それに対してそのリスクや健康への影響が議論になっており、米国内の、複数の州、群、ニューヨーク市を含む市で、e-シガレットの使用が禁止されている。これまで長期的な視点での健康被害についてはほとんど研究がなされていないが、ロボットに吸引させ、その煙を分析したところ、四種類の危害を及ぼす可能性のある化合物が見つかった。また六種類の化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、トルエン、二種類の発がん性ニトロソアミン)が、通常のタバコの9-450倍の量で、蒸気に含まれていることが報告された。さらに少量のCd, Ni, Pbや金属微粒子もみつかり、これらは肺やのどに炎症を引き起こしうる。通常のタバコと同様に、受動喫煙や、ニコチンが空気中で反応して、発がん性ニトロソアミンに変化する。これらのことから、製造業者が「禁煙促進につながる」と宣伝することも、取り締まるべきであると述べられている。

 e-シガレット吸って、しれっとしているわけにはいかないかも。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 10, p. 32.

14.4.8

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学科編成が

 変更になって二年目である。昨年スタートした体制は、これまでと違って数学や英語のクラスは、所属する学科にこだわらず、工学部510名をクラス分けする。一方でこれまで同様一年目で単位取得に至らなかった学生もいる。なので「二年目はどのクラスの講義を受講すればよいかがわからない。共通の試験なので、どのクラスで暮らすてもよいけど、クラス指定がしてあるのか、ないのかもわからない」という課題がありますよと言いつつ、この絡み合った糸をほぐす糸口も見えずに、新年度を迎えた。加えてカリキュラムの大幅な変更で、開講されない読替科目があって、今年度の三年生に多大な影響がある場合もある。他にも個別対応満載である。その中、関連のメールが日曜日の夜遅くに飛来。それを見てしまった自分がいる。「この時間帯、事務の方は通常業務をしてはいけません」とは言え、それでも対応しきれない現場、今週さらに学生や先生方が集中する係、なんとか乗切っていただけるよう、お祈りしています。

14.4.7

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「実験をすることは

 芸術活動であり手工芸である。文化的な最高傑作を創作することと、化学の新しい本質を具体化する新奇な特性を設計することは、同様の事象に挑戦している。専門知識、技能、粘り強さが必要なことに加えて、挑戦するための青写真や、困難に遭遇したときに計画を継続的に適合できる実行力、これこそが最後まで到達するために最も重要であるが、も必要である。扱いが困難な分子の集合体を実現するには、研究者は、合理的な働きかけと、直感に導かれる試行錯誤による方法を身につけなくてはいけない。このような意識的あるいは潜在的決断をする基本の一つは方法論である。それは既存の方法を厳しく批評することであり、もう一つは(反応)機構である。個々の現象をまとめ上げ、一般的かつ予見的な概念となったものである。この方法論と機構は、本書第一巻の主題であり、続く巻でも、それを踏襲している。・・・以下続く」

M. Schlosser編「Organometallics in Synthesis Third Manual(Wiley, 2013)の前書きに感激し、間隙を縫って訳してしまった。「やく者やなあ」のひとときでした。

14.4.6

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有機EL素子

 「(OLED)は、俺やど」という分子の探索が続く。ディスプレイや照明では、青色の光が、未だに課題である。蛍光発光を利用した青色OLEDは効率が低く、金属をドープしたリン光発光を利用するそれは、製造に経費がかかる[1]2012年九州大学の安達先生らは、より安価な新しいタイプの青色OLEDを開発された。ただし当時のものは、高い電流密度では、素子効率が減少する傾向があった。今回コンピューターで信頼性の高いエネルギーレベルの電荷移動分子が予測され、それに基づいて、より安価な青色OLEDに利用できる分子が設計された。その分子は効率的な蛍光発光に必要な構造を安定化するように、歪んでいる。最もよい青色発光分子は、ジフェニルスルホン受容体に、二つのジヒドロアクリジン供与体が、スルホニル基の硫黄のパラ位で繋がっている。この化合物が組込まれたOLEDの全体効率は19.5%で、リン光を利用した素子と同様の効率を示した。発光を運っんでくれる分子、硫黄がここでも、いいようだ。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 10, p. 31.

DOI: 10.1038/nphoton.2014.12

14.4.5

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チオクロマン

 テトラヒドロナフタレンを書いて、そのベンゼン環に隣接する炭素を硫黄原子で置換えた骨格が基本で、にきび、乾癬や乳がんの治療薬として使われている[1]。一方すでに周知の通り、既存の薬剤にフッ素原子を導入することで、その性能を向上させたり、他の疾病へも応用できる薬剤を導くフッ素化学研究が、ルネサンス時代である。その中、キサントゲン酸エチルエステル(ROC(S)Set, R = CF2SC6H4Cl-4)誘導体が開発された。それをラジカル反応条件下で、C-S結合を解裂させ、様々な置換様式のアルケンへ付加させる。さらに付加体を過酸化物で処理することで、フッ素が組込まれた双環性チオクロマンを導くことができる。「苦労もおまんねん」と開発者であるZard先生は、「素直いえなくて」かもしれないけど、グロリアス・マインド(愉快な心持ち)だったかもしれない。タイトルは「含フッ素化合物群をradicallyに拡大する」でラジカル反応とで洒落ている。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 10, p. 30.

DOI: 10.1021/ol5002939

14.4.4

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骨折を治療する

 医者の道具は、壊れたボードを修理する大工さんが使う道具と、ほとんど変わりない[1]。ねじ釘や他の骨折治療用の部品は金属で出来ているのが通常で、それを身体が自然治癒できない部分に使う。ただし問題がないわけではない。患者は、筋肉の凝り、炎症、創傷治癒の遅れ、時には、身体に埋め込んだ金属を取り除くはめになることもある。患者さんにとって、いかんじゃないかである。まれなケースとして、高分子でできた部品も使われるが、それらは身体に吸収され、炎症を引き起す可能性もあり、金属より繊細である。そのなかこの課題を、絹タンパク質からできた外科用のねじ釘と板材で解決できる可能性が報告された。材料は丈夫でかつ生分解性である。200 °Cまでは耐えることができて、滅菌もできる。実際ネズミの大腿骨で試され、ねじ釘は頑丈で、それを埋め込むために、事前に穴を開けることなく終わり、移植がより簡単になった。絹製ねじ釘で、なにも起きぬように、くぎをさすことができそうである。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 10, p. 30.

DOI: 10.1038/ncomms4385

14.4.3

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細胞は

 増殖あるいは分化する。たとえば傷を負った皮膚、「ひ〜ふ〜み〜よ」と増殖して傷は癒える。分化は他の機能を持った細胞に変化する現象。たとえば足の皮膚の細胞が顔の皮膚の細胞になる。ただし細胞に刺激を与えて起こるのは増殖だけで、増殖しすぎるとガン化する」と、教えていただいた。雑駁さとあいまいさは、こちらの理解不足である。で「STAP細胞は、外部刺激を与えると違った機能を持った細胞に変化する」という発表から2ヶ月余り、その論文について研究不正があったと言う会見である。その中「3年分の実験ノートが二冊だけ」との報告。会見では「日付の記載もあまりなし、実験を再現するに足る記述もほとんどない」と回答されていた。衝撃である。実験経過や観察を、卒業研究であれ、成果のインパクトの大きさに関わらず、Noといわずに、丁寧にノートに書き込むこと、研究に浸るときの原点である。ここから自然科学の成果を、贈り物として完成する一歩が始まる。

14.4.2

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歯科用アマルガム

 虫歯を削った後に埋める材料として使われていた。ただし水銀を含むためにあまり使われなくなってきている。いわば余るがむ状態かもしれない。その中、歯につめた水銀で悪影響を受けた人たちと、健康に関する弁護士団が、FDAを訴えた。訴えは、FDAが歯科用アマルガムを禁止する、あるいはその使用を脆弱な人には厳格に制限するという請願書に対して、タイミングよく対応しなかったことに対してで、最初にグループがFDAに誓願したのは2009年である。代理人らによれば「米国の人や歯医者さんたちは、米国歯科協会によって欺かれている。広く使われている銀色の詰め物で、保険でカバーされるものは、45-55%金属水銀であって、健康被害や環境リスクがある」とのことである。高いレベルの水銀蒸気にさらされることは、神経あるいは腎臓障害の可能性もある。これに対してFDAは「歯科用アマルガムは、かように高いリスクがあるわけではなく、成人や6歳以上の子供たちにとっては、健康へ悪い影響を及ぼすベレル以下である」としている。虫歯治療、無視はできない。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 March 10, p. 28.

14.4.1

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