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2014年10月

研究室のかくはん子

 誰も隠さんし、でも小さくて見失うこともある。されにそれがナノスケールになる可能性が報告された[1]。オランダの研究者らは、異なる長さの棒状の分子ローターを合成し、これが化学反応を制御しうる。研究者らは以前、紫外光照射でスピンする分子モーターを開発していた。ただし、このコンパクトな分子では、化合物をかき混ぜることはできなかった。今回、柔軟なヘキサデシル鎖あるいは堅いフェニレンエチニレンオリゴマーが、回転する分子に組込まれ、そのリーチは32 Åの長さに到達した。さらに分子軸にそった回転がNMRや紫外可視吸収スペクトルで明らかにされた。回転速度は溶媒の粘度の増加に伴って小さくなり、より長くて堅い分子ではその傾向が顕著であった。ただし、より大きなかくはん分子はより多くの溶媒を動かすことができた。このことから「アームの長さと堅さがナノミキサー設計の鍵であると述べられている。

「かくはん子、ハぬけで、かくんかくん」と回転します。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Oct. 6, p. 35.

DOI:10.1021/ja507711h

14.10.31

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アセトフェノンに

 

 ビニルシランを混ぜても、何も起こらない。そこにRu錯体を加えた。Aldrich社から購入した錯体を混ぜた。なんだかそれまでには起こらない反応が起こった。その錯体を研究室で調製するものの同様の反応が進まない。気もすまない。こだわりたい。自分たちの調製した錯体とAldrich社の販売する錯体、それぞれのNMRをチェック。前者の純度の高さと、後者の不純さが結果に反映された。触媒サイクルに入ることができる錯体を特定してclose to dreamになった。盛り上がる懇親会。剣術を伝える「たて」のパフォーマンス。たってのお願いをしていただいたらしい。女剣士の強さを発見、加えて熟練剣士の技も堪能した。その後、往時C-Hを解裂させた学生さんに、招待された先生が登壇。剣の使い方を学んでいた。ついでC-HC-CRuを頭につけた。切れ味鋭いRuC-Hを切断してC-Cがつながった。1993年の出来事が研究者のマインドを変えた。これが「まいるんやど」

14.10.30

 

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ビナフチル基を組込んだ

 亜リン酸アミド、それまではありんかったそれを1993年にFeringa先生は報告した。当初は鏡像体過剰率を水中で決めることを目的に合成。それがその後、単座の光学活性配位子として拡大した。欧州で研究される先生方ともコラボしながら発展する。一方で今回は有機リチウム反応剤を使ったクロスカップリング反応である。多くの有機金属反応剤がこの反応で使われるとはいえ、それを導くためにリチウム反応剤が使われる。戻って1970年代、村橋俊一先生らがリチウム反応剤とハロゲン化合物のクロスカップリングを報告された。そのオリジンを紹介した後にその適用範囲を格段に広げた結果が登壇する。塩化メチレンやトルエンを溶媒に使う。含酸素系ではその配位がややこしい。ただしリチウム反応剤そのものはこれらの溶媒の中、絶妙な反応系である。講演予告の先生の写真、スターウォーズを彷彿させるも、ギャップが素晴らしい。オランダからの先生、ここにおるんだである。

14.10.29

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認可されている

 主な医薬品の25%には硫黄原子が含まれる。ただしそれを組込むための反応剤や出発化合物は、硫黄原子を含むためか、異様な臭い、空気中で酸化を受けやすいなどの課題もある。その中、アレン化学で学位を取得し、その後Scrippsで天然物合成に取り組んだ中国の化学者がNa2S2O3に注目した。この硫黄原子を二つ有する化合物、それぞれ形式上2価、6価である。脱離基として6価側は、ろ〜か〜行ってしまえる。2価側は、カチオン種、ラジカル種さらにはアニオン種として作用する。薬理活性を示すアニリン誘導体のC-NH2結合がラジカル的に切断されて、その部位がC-Sに変換される。反応機構はともかく反応例が半端ではない。Na2S2O3は還元剤としても働く。講演会場の近くには仁王像があるけど、この化合物は臭わない。短期間の多大な成果、研究室のメンバーはmidnight fighterであるというJiang先生、jingle bellのシーズンには休息を。

14.10.28

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アンドロゲンとエストロゲンは

 それぞれ男性、女性ホルモンである。これらの変換によって、体内の性ホルモンのバランスが維持されている[1]。ただし意地になってもこの反応は起こらず、P450 19A1と呼ばれる鉄を含むアロマターゼ酵素が反応を触媒している。この酵素が、エストロゲン依存の乳がん、子宮がん、卵巣がん治療薬として研究されている。そのため分子レベルでの反応機構の解明も行われていた[1]、ただし反応の第三および最終段階での、酵素の中の鉄の化学種が不確かだった。いくつかの研究結果は、化合物Iと呼ばれるFeO3+種を支持していたが、より期待される機構は、鉄過酸化物であるFeO2-を含んだものだった。その中今回、同位体ラベルが、選ばれることで、化合物Iが第三段階の活性な鉄種であることの決定的な証拠を得た。得体がわかって、え〜たいです。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Oct. 6, p. 35.

DOI: 10.1021/ja508185d

14.10.27

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コンクリートは

 世界で最も使われている建設材料である。ただしその生産によって、工業が排出するCO210%押し上げている[1]。この課題を解決するために、国際共同チームは、コンピュータ分子モデルを使ってコンクリートの中のセメント水和物であるCaO-SiO2-H2Oがバインドした部位を解析した。一般にコンクリート用のセメントは、面倒がらずに、炭酸カルシウムとシリカが豊富な粘度を、年度が変わっても、1500 °Cで加熱することで製造される。この過程で大量のCO2が排出される。これまでCa/Si比は、1.7が工業基準だった。ただしそれ以外の比のものを比較した例はなかった。そこで1.1から2.1の比のものを実験的にも比較し、剛性と堅さの最適な日は、1.5であることがわかった。これによって、より少ない炭酸カルシウムの使用と、より少ないコンクリートに、CO2排出削減も達成しうる。セメントを攻めんといかんかったです。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Oct. 6, p. 34.

DOI: 10.1038/ncomms5960

14.10.26

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医薬品を工業的に

 製造する際に、用いられる原材料のおよそ半分が溶媒である[1]。それが奪い合いになることはないけど、環境負荷を軽減させるため、その最小化はインパクトも大きい。では実際どの程度の溶媒が使われているかを、1997年から2012年までに、ACS論文誌Organic Process Research & Developmentに掲載された388の論文で調査が行われた。これは,持続可能な医薬品工業の方法を官民共同で開発する欧州のChem21の一部として実施された。望ましい傾向としては、100 kg以上のスケールのプロセスでは、用いる溶媒量は削減されていたこと、再生可能な糖鎖から導かれる2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)の使用が増加していること。継続的な課題としては、塩化メチレンの使用量はほとんど同じであること、またある特定の反応にはある特定の溶媒と、固定化している場合があること、である。たとえば求核置換反応では、非プロトン性極性溶媒であるDMFが使われるが、これを2-MeTHFやエタノールに置換えてみてはどうかと、提案されている。「溶媒が不要やばい」プロセス、どうでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Oct. 6.

DOI: 10.1021/op500276u

14.10.25

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トウモロコシや

 小麦、ライ麦のような穀物は、ベンズオキサリノイドと呼ばれる防衛化合物を含む。植物の細胞は、これをシュガーβ-D-グルコースで保護した状態で保持している。さらに植物は、葉っぱが昆虫で食べられたときに、この保護基をはずす酵素も製造する。脱保護されたベンゾオキサリノイドは、多足のたかり屋たちには毒である。その中、秋のアワヨトウの幼虫やその仲間にはこれが効かない。これを明らかにするために、研究者らは毛虫の消化管や排泄物を液体クロマトグラフィー、質量分析、NMRで解析を行った。その結果、消化管には、糖鎖を再び結合させることができる酵素があること、しかもその酵素が作用したときには、もとの立体配置とは逆の形で結合させることがわかった。そのため植物が製造する酵素では、その脱保護ができない。アワヨトウに、あらよという間に、やられてしまった。この昆虫が持つ、植物の防衛手段から一歩先んじたシステムは、他にはわずかにしか見つかっていないが、立体化学を変更する別の例もあると思われる。キラリと光る、キラリティー逆転である。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Oct. 6, p. 10.

DOI: 10.1002/anie.201406643

14.10.24

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年間250億ガロンの

 エタノールが、輸送機関の燃料として供給されている。ただしこの製造プロセスには、改善すべき課題も多い[1]。使われるイースト(酵母)が、糖を発酵させていると、加熱されて酔った状態になる。高温に弱い。微生物もまた製造したアルコールで酔ってしまう。熱とアルコールの両方が、細胞膜の質に影響し、アルコール製造が遅くなり、生触媒である酵母細胞を殺してしまう。この攻防をなんとかしたいと酵母を公募しても集まらない。それに対して、高温でも耐える酵母菌株が確認された。通常イーストは30 °Cで元気に育つが、今回のものは40 °Cでも大丈夫で、これは人間のコレステロールに相当するイーストのステロールの組成が違っていることに起因している。変異によって、通常のエルゴステロールに替わってフェコステロールが高いレベルで含まれている。結果、発酵効率の向上と発酵装置の冷却に係るコストを削減することができる。また別の研究者らは、カリウムイオンと水酸化物イオンの濃度を上げることで、イーストの細胞膜の電気化学的な勾配を変化させた。これによって、高濃度のアルコールでも耐えうるイーストになった。どちらの酵母も、い〜すと思います。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Oct. 6, p. 9.

DOI: 10.1126/science.1258137

DOI:10.1126/science.1257859

14.10.23

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紙製の工芸品を

 保存するために重要な仕事は、古くなった糊や接着剤を取り除くことである[1]。ただし伝統的に使われている湿式のクリーニング法は、壊れ易い工芸品にダメージを与え、これでは、だめ〜じである。そこでヒドロゲルを広げることで、糊を柔かくする方法も採用されているが、ヒドロゲルを今度は除去しなくてはいけない。その中、でんぷんを消化できる酵素であるα−アミラーゼを浸透させた堅いヒドロゲルが、より簡単に糊を取り除くために開発された。研究者らは、市販で入手できるデキストランヒドロゲルを、α−アミラーゼに混ぜた。得られたヒドロゲルは、これまでのものより、少量の水しか放出しなかった。これによって一段階で、こすることもなく、糊などを取り除き、堅いゲルも除去でき、しかも工芸品の上には、この除去のための素材は残らなかった。実際これを使って18から20世紀の本の断片を含む様々な紙のサンプルから、接着剤を除去できた。これで決着がついたかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 29, p. 30.

DOI: 10.1021/am504295n

14.10.22

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名鉄岐阜駅にて

 特急電車に乗車。ほぼ一年ぶりのいわゆる出前講義。腕前を確かめるべく、車内でパワポを確認。笠松停車。些末なことはさておき流れを伝えたい。木曽川を渡る。基礎も大切である。一宮、国府宮、飲み屋もあるけどここはパス。地下に入って名古屋駅、50分ほどして知立到着。一流の方も多いここで乗換、単線の路線を経て目的地に到着。題目はいつもとほぼ同様で「色香」がポイントである。LEDの写真を加えた。どんなしくみで光るのか、正確さを犠牲にして、エッセンスを伝えることができるか。その前に光、エネルギー、三原色、絵具、奥が深くて謎も多い。これらを短い時間で伝えるのは至難である。なので「知らなんだ」でも「面白そう」と記憶の片隅に書込んでもらうこと、密書はないけど、これがミッションである。校長先生の「知的好奇心を多いに刺激して、かきまぜてほしい」と言うご挨拶で教室に向かった。先週急ぎお送りいただいた貴重な周期表も配布。その中、福井謙一先生のお写真が教室にもあった。

14.10.21

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地震予知を

 環境の変化で行うことは、地球科学者のゴールの一つである[1]。一方で「それは無理」も含めた、いろんな異論がある。その中、アイスランドでモニターされた新しいデータは、二つの地震のまえの地下水が大きく変化したことを示し、これがその予知の可能性をもたらしている。誘導結合プラズマ発光分析とキャビティリングダウン分光法によって、ナトリウム、カルシウム、ケイ素と重水素の量が、100 mの深さの掘り抜き井戸の中で、マグニチュード5.55.6の地震が起こる一週間前に変化していた。研究者らは、地殻を広げる揺れによる力で、地下水が新鮮なミネラル表面と接触し、それまでに蓄積していた水とそれらが混じり合ったのではないかと推測している。ただし他の研究者らは、この組成の変化は、マグマの流れが変化する他の地質学的な変化によるものであると述べている。それでも地下水化学が将来の地震予知の、見込みある方法であることは、どちらの研究者らも認めている。地下水を、生かすいために、研究は続く。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 29, p. 30.

DOI: 10.1038/ngeo2250

14.10.20

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クライマックスシリーズ

 例年、暗さがマックスになる季節だった。でも今回は違った。ゴメス選手の凄めの空振りの後、バットが回っとんなあと思ったら、マートン選手の3ランホームラン。とどめは福留選手のソロアーチ。この四点先制がなぜか、能見投手にプレッシャーをかけた。「の〜びの〜び」から緊張の連続でランナーを背負ったピッチングが続いた。三人の中継ぎ投手が相手打線を抑えた。その間、相手チームは塁を埋めて満塁策でダブルプレーを期待するも、ゴメス選手の2点タイムリーヒット「ごめんです。これで勝負はほとんど決まり」になった。最後はオ・スーファン投手、ファンも見守る中15日からの四連投。少々球が軽くなったところを強力打線の二人が逃さなかった。ハラハラするも得点差もあって試合終了。勝利監督インタビュー、選手へのねぎらい、ファンへの感謝、そして「(ペナントレース)セリーグの覇者は巨人、日本シリーズのセリーグの代表は自分たち」という。ルーキーイヤーだった1985年に日本一を経験。

14.10.19

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ある種の微生物が

 窒素分子をアンモニアに変換するのに利用している酵素であるニトロゲナーゼ、な〜ぜ働くのかを知りたい。今回ついに結晶構造が、触媒の金属クラスターに基質がつながった様式で明らかにされた[1]。構造のスナップショットは、Fe, S, C, Moで形成されるかご型アセンブリーで、FeMo補酵素内で、二つのFe原子に配位している硫黄原子がCO で置換えられ、二つのFe原子へはCOCが配位することを示している。これまで研究者らは、エネルギー大量消費型プロセスであるHarber-Bosch法に替わるアンモニア合成も視野に入れて、ニトロゲナーゼの窒素還元反応の機構の解明を行ってきたが、ここでCON2と、当然、等電子(価電子を数える:C: 4, O: 6, N: 5でどちらも10電子)である。この補酵素内でN2が二つの鉄原子に配位している様子は、Haber-Boschプロセスで利用されている鉄触媒表面へのN2の配位と類似である。Caltechの研究者らの成果、借りてくることはできるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 29, P. 30.

DOI: 10.1126/science.1256679

14.10.18

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アルキル化アミンは

 有用な合成部品で、様々な局面で利用されている。そのため長年にわたって、時に安眠しながら、多くのアミン合成法が開発されてきた。最も確立された方法の一つは、アルデヒドやケトンのようなカルボニル化合物の直接的還元アミノ化反応である。それに対して、より安定で、より容易に入手できるカルボン酸を使ったアミンの触媒的N-アルキル化の最初の例が報告された[1]。研究者らは、一級あるいは二級アミンとカルボン酸、さらにヒドリド還元剤としてフェニルシランを用いPt触媒による反応を行った。反応の多様性を、フルオロアルキル置換のアニリンを調製することで実証している。さらにシナカルセト塩酸塩の最初のワンポット触媒合成も報告している。ここでシナカルセトは、肝臓疾患、副甲状腺ガンに伴う高カルシウム血症で引き起される副甲状腺機能亢進症を処置するアルキルアミンを骨格の一部に含む医薬品である。シナカルセトまで導くとは、泣かせる系です。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept 29, p. 30.

DOI: 10.1021/ja5093612

14.10.17

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銅触媒を用いた

 アルキンアジドの環化付加であるクリックケミストリーは、しばしば、生体分子の機能解明のために細胞表面でそれらをラベル化するのに使われる。一方で、細胞質では、銅が細胞に対して毒性を示すため使われることがない[1]。その中、銅を安定化し無毒化するために嵩高い置換基が利用され、これを用いた反応では、生きたバクテリアを傷つけることなく、それらをレベル化することができる系が開発された。研究者らは、通り過ぎることなく、トリス(トリアゾリルメチル)アミンを基本とする配位子を使い、銅を囲うようにした。ついでこれを用いて細胞質やペリプラズマ内で、pH依存で配座変化するタンパク質を蛍光標識させた。このアプローチで大腸菌の細胞膜全般のpHの変化を決定することができた。さらに大腸菌の膜透過電位を測定し、中性あるいは酸性条件下で、バクテリアの膜内でプロトンが移動するのに必要な力も決定された。研究対象となった大腸菌、だいぶ緊張したでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 29, p. 30.

DOI: 10.1038/ncomms5981

14.10.16

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超高圧を

 数立方ミリメートルの液体のベンゼンにかけて、白色の粉末結晶が得られた[1].この固体はこれまでに観測されたことのない物質で構成されていた。炭素原子の超薄い糸(スレッド)が、ダイヤモンドと同じように、お互いが繋がっていた。この結晶を作成した大学院生Fitzgibbonsさんや共同研究者らは、この素材がいつか自動車や他のもので、強くて軽量な材料として利用されることを期待している。これまでベンゼンに高圧をかける実験は繰返し行われていたけど、乱雑な物質が生じるのみだった。それに対して今回の実験では徐々に加圧し、地球の20万倍の圧力とし、それを戻すのに20時間をかけた。このこれまでにないゆっくりとしたペースが故に、積み重ねられたベンゼンが、全然混乱せずに、ゆるりと重合し、厚の秩序を保ったスレッドを形成した。共同研究者で理論化学者のHoffmann先生は、ご不満もなく、数年前に、この構造を予測されていた。初めてのナノスレッド、色は赤ではないからね。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 29, p. 7.

DOI: 10.1038/nmat4088

14.10.15

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冷たい星間空間が

 熱い場である。何年もの間の探索の結果、天文学者は、宇宙で180以上の分子を発見している[1]。ただしフラーレンを除いて、これらの分子はすべて直鎖の骨格を有している。実際、直鎖のニトリルであるC3H7CN(n-プロピルニトリル)を研究者らは発見していた。今回同じ研究グループが分岐型である、イソプロピルニトリルの存在を確認した。それらは星が誕生する領域に存在し、直鎖型と同様の量である。この発見はアミノ酸が存在する可能性を示唆している。アミノ酸はすでに、隕石や彗星で見つかっており、それらは、星間空間の、熱い星が誕生する領域で形成されることが期待されてきた。とりわけ最も単純なアミノ酸であるグリシンの探索が続けられている.ちなみに以前の望遠鏡では、大量のスペクトル線の中で、枝分かれ分子とは、お別れになっていた。それに対して今回の発見は、チリ・アタカマに設置された大型ミリ波サブミリ波干渉アレイ(ALMA)によって、あらま〜」と発見に至った。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 29, p. 6.

DOI: 10.1126/science.1256678

14.10.14

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アミノグリコシドは

 重篤なやけどや、嚢胞性線維症の患者さんの感染に対する抗生物質の一つである。ただし耐性菌が誕生し、それはアミノグリコシドを不活性化する酵素を有する。この酵素に対して、高速で反撃するために、グリコシドのある部分の水酸基を除去した化合物が合成されたが、それは肝臓に対する毒性を持つ。その中今回、アミノグリコシドの一つで、薬店で販売される軟膏の成分であるネオマイシンBがフッ素化された[1]。ネオマイシンのA環の水酸基をアキシャルフッ素で置換えた。これによって、え〜感じで、アミノグリコシド不活性酵素を避ける類縁体が合成された。X線構造解析では、A-サイトとよばれる位置で、細菌のリボソームRNAにしっかりとバインドすることでバクテリアのタンパク質が合成されるが、それをアミノグリコシドは妨げること、またアキシャルフッ素は、この部位で、グアニン核酸と、隠さんでも、接触することがわかった。S. Hannessian先生らの成果である。この成果で、グループは、羽伸ばしやんかもしれんけど、先生は来年80歳を迎えられる。

[1] Chemical & Engineering News, 2-14 Sept. 22, p. 25.

DOI: 10.1039/c4sc01626b

DOI: 10.1021/cb5003416

14.10.13

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10月19日−25日

 National Chemistry Week (NCW)である。数千人のボランティアが全米各地の開催場所で、活動する。NCWACSの会員と一般市民が「化学がどれほど日々の生活を向上させているか」を理解する唯一の機会とのこと。「どこでも化学」「化学は楽しい」を皆さんに紹介している。オバマ大統領からも、NCW2014を賞賛する手紙が届き、米国の上院も、上品に、このイベントを祝福する決議を行った。ACSProductionMember Communitiesがコラボし、キャンディ化学者の生涯について三つのビデオを制作し、甘みの化学に関する新しいビデオもリリースされる。米国の化学の先生の協会では、キャンディについて学ぶことを提案し、ACSの学部事務局は、SweetFailuresと呼ばれるブログをつくり、爽快な勝利(sweet victory)に至らなかった科学をハイライトする。今回、キャンディが軸で、幼稚園から高校生を対象とし、絵入りの詩のコンテストも開催され、化学を祝福するNCWの出版物も入手できる。ここは「キャンディ、あかんでぃ、食べ過ぎたら」とは別の世界かな。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Oct. 6, p. 11.

14.10.12

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人工甘味料に

 魅了されるときもある。でもここではその代謝に注目された。ネズミにグルコースと人工甘味料を混ぜた飲料水を与えた。その結果、ネズミの血中の糖の濃度が、水だけを飲んだネズミや砂糖水を飲んだネズミに比べて、かなり上昇した。さらにネズミに腸管細菌を一掃できる抗生物質を与えたところ、血糖値は低下し、通常のネズミとほぼ同じレベルになった。これは人工甘味料が、消化管に棲むバクテリアの種類と機能を変化させ、血糖値を糖尿病の前兆の値まで向上させた可能性を示している[1]。研究者らはさらに、人工甘味料の消費、微生物の変化、さらにはグルコースの代謝を、7人のボランティアで一週間観測した。これまで食事を変えることで、腸内微生物の組成と機能が変化することを示していたが今回、人の健康と栄養学の研究で、カロリー制限のため人工甘味料を使っても、肥満の拡大を抑制しないことも示された。人工甘味料、恩恵があるか安全性か、わかれば感無量である。

[1] Chemical & Engineering News, Sept. 22, p. 25.

DOI: 10.1038/nature13793

14.10.11

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原子番号106

 Sg(シーボギウム)は、超アクチニド元素の一つで、粒子加速器を使わなければ発生できない。一方でその化学の解明は、化学理論の正しさや、周期表での元素の位置が反応性を正しく反映しているかどうかを知ることもできる。超アクチニドは、内殻のS軌道が収縮する一方で、外側のd,f軌道は拡大、スピン軌道カップリングによって、電子のエネルギーレベルは分裂するという相対論効果を受けて、元素の反応性にも影響を及ぼすために、元素の特性がはっきりとしていない。その中、理研仁科センターとドイツの大学が共同で、Sg(CO)6を製造した。248Cm(キュリウム)標的に22Neを衝突させ、磁気的にSgを、周期表の上位にあるMoWから分離した。ついでこの金属をCOと反応させ、それらを放射検出器つきのシリカゲルカラムに通した。Sg(CO)6は、Mo(CO)6W(CO)6と同様にシリカに、しっりかりと、吸着した。この結果によって、理論予測の妥当性も確認できたとのことである。超アクチノイド、ちょっとラクチンかなと思ったけど、そうでもないようです。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 22, p. 25.

DOI: 10.1126/science.1255720

14.10.10

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化学合成では

 よりステップが少ないほど、標的分子の全収率は高くなる。そのため化学者は、複数の部品を一段階でつなげることができる多成分連結反応を指向する。ただし複数の部品を正確にかつ予見性のある順番で組込むのは、いわば分子づくりの匠の技のようなものである。その中、安価な銅触媒を使った系が報告された[1]。一置換アレン、ジボロン、さらにはリン酸アリルの三成分を連結し、従来法では合成困難なZ体の三置換アルケニルボロンが、産地から直送された。とりわけ多くの全合成で困難を伴う三置換アルケンを選択的に導くことができる点、およびアルケニルボロンが生成物であるため有機ホウ素化合物の化学を適応できる点、特徴的である。この方法で、抗がん作用を示すherboxidieneと抗生剤rottnestolがグラムスケールで合成された。またこの系は化学量論量のキラル補助剤を使うことなく、ポリケチドを立体選択的に構築できる系にもなり得ると評されている。多成分で達成できるっていいねえ。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 22, p. 5.

DOI:10.1038/nature13735

14.10.9

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1985年

 「20世紀中は不可能」が実現した。一つはタイガース日本一、こちらはこれで上がりだった。もう一つが「窒化ガリウムの結晶化で、青色ダイオード」ここから始まった。すでに赤と緑のダイオードはあったけど、青がなかった。それを突破したという。そのエッセンスがわからなくてブルーな自分はともかく、「10年間の試行錯誤の上、青色発光を可能とする半導体結晶を作成」という報道、スパンの長さを伝えている。学術界から実用化に向けた道のりも険しかった。多くの大手企業が撤退する中、日亜化学工業の一人の社員がそれに道筋をつけた。自由度はあるもののここでも試行錯誤の繰返しだった。自分で装置も工夫しながら突破した。でも成功の大きさに比較して、特許報酬の低さで訴訟を起こされた。東京地裁はこの事例について「発明の対価は604億円」と判断した。和解の後、カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校に移籍された。

 身の回りに溢れ過ぎていて「発見・改良・世に出す」凄まじさを忘れていました。ご受賞おめでとうございます。

14.10.8

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短寿命放射性化合物を

 陽電子断層法(PET)のために、調製する折には、時間が極めて重要である。反応がとれ〜えさ〜ではなくて、レサーの如く素早く、トレーサー原子F-18(半減期:110分)を組込まなくてはいけない。グルコースのような放射性低分子が、悪性の活性を発見するのに使われているけど、ペプチドを使うことができれば、さらに特異的な診断を可能にする。ただしペプチドのラベル化は、より難しい。今回一段階F18放射性ラベル化の新しい方法が開発され、数種類のペプチドや酵素抑制剤をラベル化することに成功した。研究チームは、新しい両性イオンであるアルキルアンモニオメチルトリフルオロボラート化合物(AMBF3)を合成し、ここには三つの異なる放射性部品が組込まれていて、ラベル化が可能である。このAMBF3放射性部品の組合せは、トレーサー生体分子に容易に取り付けられる。ネズミの腫瘍をイメージングするのにも利用された。トラベルするラベル化分子合成の新手法、他と比べるのもよい。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 15, p. 28.

DOI: 10.1002/anie.201406258

14.10.7

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バージン・ロードを

 新婦と父が歩く。ゆったりとした足取り。進路の先に新郎が待つ。一礼をして、二人の手を合わせて、ここで世代をパスすることができた。二人が宣言に署名をしてその後、式は完了した。階段を降りる二人をフラワーが飾る。ブーケをトスした。他にはないです、ナイスキャッチ。披露宴の前のドリンク。宴席の始まりは、その場がスクリーンになった。二人が入場する。主賓の方、親戚の方のご挨拶に乾杯。ケーキ入刀、ファーストバイト。新郎から新婦へ。新婦から新郎へ。ないふりして、大きめのナイフを出す。でも優しさで場が和む。お色直し。ご挨拶にテーブルを回る。いえいえとすすめられる。「お酒を避けるの、情けない」と思ってしまって、ついついグラスを差し出す。二人が改めて入場。退場した入口に注目するも動きがない。右上に突然のスポットライト、階段上にある踊り舞台に二人がいた。映画の一シーンの如くにフラッシュが交錯する。出席していただいた方々と記念の一枚をカメラに収める。屋外にて、風船に願いをこめる。花火も打上った。再び席に戻った。新婦からの言葉に、ぐっとくる。たくさんの方々が二人の門出を祝していた。改めて「この日を忘れずに、歩んでほしい」と願った。

14.10.6

 

 

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献血で集まった血も

 スーパーマーケットの棚にあるミルクのように、消費期限がある。米国では42日までの保存は許されている。保存している間に、物理的生化学的な変化が、赤血球で、設計していなくても、進行する。たとえば代謝が変化したり、酸化的なダメージも受ける。さらに膜が堅くなる点が問題である。堅くなった赤血球は酸素を運搬することが難しくなる。ここでこの堅さを推定する確立された方法は、特殊な装置と使用者の訓練が必要であった。そこで部分的に改良した白色顕微鏡を使った光学的な方法を使って、この赤血球の剛性を非侵襲で測定できることが報告された[1]。既に研究者らは2011年に空間光干渉顕微鏡(SLIM)を開発していた。この方法は膜の振動を50 nmまで測定することができる。それによって、顕微鏡観察では、正常なように見えても、保存している間に、赤血球の膜はだんだんと堅くなっていることが明らかにされた。白色で、真っ暗だった「膜観察」に明かりが灯ったか。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 15, p. 28.

DOI: 10.1038/srep06211

14.10.5

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走査型イオン伝導顕微鏡

 (SICM)は、ナノスケールでの表面解析に、利用されている電気化学的な手法である。今回別の特性を明らかにするために利用できるように、その能力が拡張された、これによって、化学的あるいは生物的分析を向上させることも可能である[1]。研究者らは、電解液と接する表面付近に電解液で満たされたナノピペットを置いた。(でも、おいたはしない)ナノピペットの内と外には、二つの疑参照電極がある。これら二つの電極に電圧をかけることで、素子は、表面電荷に繊細な電流を測定できる。表面とチップの距離を調節すると、表面電荷に繊細な交流電流も生じる。位置と距離の関数としてイオン電流を測定することで、イオン電流、トポグラフィー、フェーズを示す表面のマップを同時に記録することができる。ここではフェーズの測定が他の二つの情報を同時に取得できる鍵になっている。これほど小さなスケールで表面電荷を決定できる方法は、現状他にはないらしい。走査型の操作を創作したのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 15, p. 28.

DOI:10.1021/ja506139u

14.10.4

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ハロゲンが組込まれた

 天然物。念仏を唱えなくても、ハロゲンが生物活性・安定性や分子の別の特性に大きく影響することは知られており、バンコマイシンやサリノスポラミドなどの天然物が、つくられている。天然では鉄を含むハロゲナーゼがハロゲン導入で活躍しているが、これは基質が一旦タンパク質につながり、そこでハロゲン化が進行し、その後再びタンパク質から離脱するという過程を含んでおり、合成化学分野でキラルハロゲン化合物合成などに応用する場合に、利便性が低い。その中、タンパク質に繋がらずにハロゲン化を達成できる酵素が発見された[1]WelO5と呼ばれる鉄の手伝いを必要としないハロゲナーゼは、タンパク質に繋がっていない脂肪族炭素を塩素化する。酵素の活性部位で基質の配向が制御され、選択的にハロゲン化が進む。この成果はさらに、長年の課題であったwelwitindolinoneの生合成経路や関連する経路における、塩素置換反応の酵素の起源についても、機嫌良く明らかにできている。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 15, p. 9.

DOI: 10.1038/nchembio.1625

14.10.3

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組立ライン方式で

 自然は、化学を遂行することができる。そこでは同じ反応あるいは一連の反応が繰返されて、標的分子を生み出す。たとえばポリケチド天然物は、この方式で生合成される。それに対して人工的に同様の系を設計することは困難であった。その中今回、フラスコでこの類の反応が達成された[1]。ボロン酸エステルと有機リチウム化合物との組合せである。炭素ホウ素結合が形成されて炭素鎖が伸長、新調されたボロン酸エステルに、再び有機リチウムが付加し、ホウ素上から炭素置換基が転位する。この繰返しで10炭素までが繋がった。炭素鎖のそれぞれの炭素上にはメチル基が結合し、その立体化学も制御されている。さらに炭素鎖の形も制御できる。たとえばメチル基が交互に配列すると、鎖はヘリックスに、へ理屈なしに、丸くなる。今回の反応では連続する炭素上のメチル基の立体を制御できるため、L型、U型、V型分子を自在に創れる可能性がある。合成化学の挑戦的課題の一つは、立体配置と分子配座を制御することであり、今回の系はそれをプログラミング出来る点、素晴らしくて、有用でもある。次の段階は、立体化学と機能とを関連させることである。「組立ライン、嫌いん」では、見立てが違っているようです。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sept. 15, p. 8.

DOI: 10.1038/nature13711

14.10.2

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末端V(III)オキソ種は

 V(バナジウム)が触媒する、グリコールやナフトールのカップリングにおいて、炭素-炭素結合解裂を含む多くの反応で、重要な役割を果たす高い可能性が示唆されてきた。ただしその種の錯体の単離には苦労していた。その中、ポリピリジル配位子が五座配位子として、御座候し、末端V4+(O)錯体が調製された。ついでそれがV3+(O)錯体に還元された[1]V3+(O)種は、濃青色でV-O結合は1.621Åであり、これは報告されている末端V-O結合の中では最も長かった。また水素や酸素移動反応剤に対しては反応性を示さなかった。一方でプロトン化を受け、V3+(OH)種になると、新しいプロトン還元の化学を生起することになった。さらにコンピューターによる分析で、V2+(O)錯体を、V3+(O)錯体の還元で調製する方法を探索したけど、その場合には、Vから配位子への一もしくは二電子移動が起こってしまった。それでも末端錯体を単離して、まったんりしているでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 Sep. 8, p. 24.

DOI: 10.1021/ja504031d

14.10.1

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