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2014年12月

NMR物語V

 工学部の使われる研究室への公開。予約のルールを決めて、測定料金も決めて運用が始まった。運よ〜うくフル活動できますようにとの願いを込めた。出だし好調な様子。1H13Cが標準で測定時間も短時間で完了。オートチューニングプローブが装備されて多核種測定にも対応。当初から皆様が利用するかもしれない核種のmenu fileも作成された。画面をクリックするだけでマグネット下のモーターが回り始めて、核種が変更される。隠す必要はない。微調整の後に停止して、その核種を測定するとシグナルが観測される。うなるほどの高性能だった。がある日、データをプリントアウトするのがアウトになっていた。1993年当時の最先端レーザープリンターである。担当保守部門に連絡。若手の技術者が登場。原因不明。手を真っ黒にしてプリンター内部を清掃。数時間の後に動き始めた。「中が汚れているようでしたので、時々掃除をしてください」稼働して二月弱、プリント枚数はそれほどでもなかった。それほどの掃除が必要な装置だったのか、消沈した。結果、その後の数ヶ月に代替品が二台、送られてきた。「だいたいやねえ」と言いたい気持ちを抑えた。

NMR物語は2014.12.27から連載

14.12.31

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NMR物語IV

 年会開け、いよいよ「自分たちのサンプルを測定したい」と意気揚々に戻るも未だドリフト中とのこと。地元では埒があかず別ルートで連絡。東京から別の方が来られた。三日間こちらに宿泊されて午前8時頃からの作業になった。午後8時を過ぎても調整が続く。NMRの往診に来られたその方、1日半後にはS/N比が高い素晴らしいスペクトルを実現していた。400 MHzの威力を実感した。ただし、まだ磁場がドリフトするのでこのスペクトルを維持するための注意事項も教えていただいた。測定手順、少しアドバンスな一次元測定(decouplingNOE程度、それでも今も是非使ってほしい測定法である)に多核の測定方法も学んだ。同様に聞いておられた先生、マニュアル作成を引受けられた。夜遅くまで確認される様子が伺われる。感謝の思いの数日後、初級編・中級編・管理者編が、見事に用意されていた。その手順に従って使う。難なくFIDが登場して変換された。マニュアルをリニューアルする部分は何もなかった。ただし磁場が踊るふりする如くのドリフトに注意。誕生から数週間、heavyなシステムでもbabyだった。

NMR物語は2014.12.27から連載

14.12.30

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NMR物語III

 巨大なマグネットを立ち上げるために、専門の方が来られた。二重の開扉を越えて鉄人が移動する。声をかけながら適切な位置まで移動させて納まった。この鉄の塊みたいなものをNMR用のマグネットに変身させる段階になった。業者から長身の方と小柄な方が担当者として来られた。作業が始まるかと思いきや、時に部屋の中が目に入ると、二人で大笑いしている様子。慎重さを持って作業すべきところを、この身長差のある二人は「隠し砦の三悪人」[1]を彷彿させた。帰りがけに作業報告は受けるものの、遅々として進んでいない様子。なんだか言い訳が入る。一体何日になったら測定が開始できるのかも不明。それどころか作業の終わる日すら曖昧である。3月半ば過ぎに納入完了の儀式は行われた。ただし測定は、ままならない。マグネットを立ち上げると磁場がドリフトするので今は安定なデータを取得できないとの説明。春季年会に突入してしまった。その間にも調整したいと言う。その言葉を信じた。「信じるものは救われなかった」

NMR物語は2014.12.27から連載

[1]スターウォーズのC-3POR2-D2の原型は、黒澤明監督のこの映画にあるとのこと。

14.12.29

 

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NMR物語II

 19933月、いよいよ装置が導入される。ある日、日通関連の業者から自分に連絡とのこと。ハテ、事前打合せ。マグネットをクレーンで上まで引き上げる。夕暮れ〜んではなくて午前中の作業。ただしその後の経路確保も確認。後期日程試験の後の頃、巨大なマグネットが納入された。置き場についての話がなかったため、一旦研究室の実験台の間に保管することになった。ほぼ同じ日、様々な部品が入る。これらを保管する場所もなし。ほかんっておくことも出来ずに、自分たちの実験室の隙間を提供。足の踏み場もなくなった。実験を一時中止にせざるを得なくなった。でもこの誕生前の鉄人28号のように横たわったマグネット、ネットがなかった当時でも、きっと活躍してくれるに違いないと念じた。その当時、通常の1H NMRの測定もままならず、日程を決めて、代表者に研究室のサンプルを集めて分子研まで通ってもらっていた。本学に装置はあったものの、一研究室当たりが使用できる時間帯の制限は大きく、それによるトラブルもあって、迷惑もかけていた。

NMR物語は2014.12.27から連載

14.12.28

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NMR物語I

 1992年、核磁気共鳴装置が導入されることが決まった。どうしようと仕様書作成、開示、入札を経る。申請当時の仮の設置場所。所有する研究室の先生方から使用の許可を得た。納入業者が確定して担当部署と、た〜んと打合せになった。場所整備の事務方「一番いい部屋、開扉に、前室さらに開扉、床もこれにしておくから色はどうや、装置存分に使いなはれ」短時間で終了。電気工事「電気容量はいくら、配線はいくつ」「???」「そんなこともわからんで打合せに来とるんか、装置入れる気はあるんか」「じゃあ最大容量を入れてください」「国の経費を使うので過剰装備にはしたくありませんので」と沈黙を保っていた方の言葉。「それは事前にお渡ししている資料で、プロであるあなた方が提案すべき事項ではないですか」・・・しばし沈黙の後、担当業者の方を、矢面に立たせてしまって、説明をお願いした。突然の振りに戸惑いながらも,柔和な語り口が功を奏した雰囲気である。そんな構想はなかったけどね。

NMR物語、本日から新年15日までの予定です。

14.12.27

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2014年年末

 今年一年、何やったか、仕出かしたか?建物改修に関連して「自分の命と引換えになんとかしろ」と迫った。これまで以上に「やっかいなやつ」になった。「有機硫黄化学」出版のお手伝い。販売すぐに参考文献の名前が間違っているという指摘を受けた。同様のお話を受けるつもりが、今日まで大間違いの話はまだない。明日から研究室がお休み。小さな発見、先につながる展開はあったかと、例年の如く問いかける。小さなことでも実感してほしい。とりわけ四月から実験が主になった新人諸氏には、3月までの生活との違い・面白さ・奇妙さを振り返る機会である。「もし・・・だったら」と考えたい年の瀬・年明けである。関連する論文誌を見ると溢れるような新しい成果。すごいねえ、緻密だねえ、という内容に圧倒されてしまう。その中でも「この違い・このこだわり」で、来年も、もっとチャレンジしたい。

 ところで明日から10日間、ブログでは「NMR物語」で、皆さんとお会いします。よいお年を

14.12.26

 

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アルコールと

 トリメチルホスフィンの二分子錯体中で、従来には見られなかったリン原子への水素結合が観測され、その強さも測定された。通常H-Pの間で水素結合は形成されない。でも今回の研究では、リン原子が部分陽電荷を持ち、これまででは考えることが難しい水素結合を形成していた[1]。コペンハーゲン大学の研究者、ハーゲンダーツを好むと好まざるに関わらず、この実験を展開した。これまではロシア科学アカデミーのグループがホスフィンの中の水素結合を観測していた。それに対して今回のそれは、この現象の二例目ではないかと研究者らは考えている。そこでは、トリメチルホスフィンのリン原子は部分陽電荷を有するものの、その静電ポテンシャル表面には孤立電子対の周りに負のポテンシャル領域が存在していた。この結果は、「電荷分布は、原子、分子、さらにはイオンの周りに、球状で広がっているとのみ、考えることはできないこと」を示しているとコメントされている。電荷分布考える人、もっと、いでんかなあ。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 December 15, p. 24.

DOI:10.1021/jz502150d

14.12.25

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3分間

 ウルトラマンのカラータイマー、カップヌードル、ドラッグストアでチェックアウトするのに必要な時間。その時間内に、抗炎症剤であるイブプロフェンを製造できる方法が報告された[1]。連続フロー系を使ったプロセスで、基本的な合成部品から導かれている。この系によって、連続フローは、極端な条件を取扱うことができること、大きな反応容器を使わないで、活性な医薬品成分を導くことができることを示している。実際、合成では、激しいFriedel-Craftsアシル化反応を利用し、高い活性を示す酸化剤であるヨウ化モノクロリドが使われている。それでも通常の研究室のドラフの半分のサイズの反応器の中で行われ、三つの結合形成反応、後処理、液液分離の五工程で、1時間で8 gのイブプロフェンを製造している。ちなみに研究者らは2009年に報告されたフロ〜リダ大学の連続フローによるイブプロフェン合成に刺激を受け、今回の系を開発した。このことは「連続フロー合成は化学プロセスの将来」であることを示している。プロセス開発、苦労せずには終わらない。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 December 15, p. 24.

DOI: 10.1002/anie.201409093

14.12.24、イブだね。

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触媒設計と選択性の

 相関を理解できるようになってきた今日この頃。それに伴って同じ出発化合物の組合せで、異なる触媒を使って違った生成物を導く方法の開発が課題にもなってきた[1]。その中研究者らは、どうな〜るかと、エナールとヒドラゾンとの環化付加反応を行い、1,2-ジアゼピンを与えるか、ピラゾールを与えるかの選択性をスイッチさせることに成功した。触媒はN-複素環カルベン有機触媒である。より嵩高いメシチル置換の触媒は[4+3]環化付加反応を引き起こし、嵩高くないメトキシフェニル置換の触媒は[4+1]環化付加を達成している。N-複素環有機触媒の電子的あるいは立体的特性が、反応経路の制御に極めて重要な役割を果たし、多様な1,2-ジアゼピンあるいはピラジンを、同一の出発化合物から導くことに成功している。これらの化合物は、多くの天然物や生理活性を示す合成化合物の中に見られる重要な複素環である。違ったカルベンで反応経路も変わるべんの反応例でした。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 December 8, p. 30.

DOI:10.1021/ja510737n

14.12.23

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分析法としては

 通常利用できない低周波の振動モードのラマンスペクトルを得る、新しい音響効果法が開発された[1]。新しい方法はextraordinary acoustic Ramanと名付けられた。略してEARこりゃあいいやである。スペクトルを得るために、わずかに異なる波長の二つのレーザーからのビームを合わせる。これによって、うなり周波数を発生させ、ナノ粒子あるいはタンパク質を保持しているレーザーピンセットの中の電場を変調させることができる。その結果、ラマン活性な振動が励起され,粒子あるいはタンパク質の中の機械的な伸縮が引き起される。これらの振動は、サンプルの大きさ、形、機械的な特性に関する情報を与える。タンパク質の場合、スペクトルはアロステリック効果のような現象の研究にも利用でき、そこでは、配位子がバインドする片側が、別の部位の配座変化を引き起す様子が解析できる。ラマンが、ウルトラマンスペクトルになりつつある。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 December 1, p. 27.

DOI: 10.1038/nphoton.2014.283

14.12.22

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トリフルオロメチル基は

 溶解性、配位力、農業化成品や医薬品の代謝や電子材料の特性を制御する一助になる。ただし芳香環に組込まれたSF5基は、CF3基よりさらに電気陰性であり、先の分野でも魅力的な官能基である[1]。これを有機分子に導入する従来法では、SF5置換した芳香族化合物、アルキンあるいはSF5Clが必要となる。その中Floridaの研究者らはフロリダ化ならぬ、新しいフルオロ化を開発した。すなわち2,2’-ビピリジルジスルファン中の硫黄の、KF/塩素・アセトニトリル系による、過剰の酸化的フッ素化である。ここではフッ素化硫黄前駆体を使う必要がない。この系ではまず、SF4Clが生成する。ついでフッ素化を完成させるためにAgFを加えるとSF5基が得られる。「この反応は、簡単な調製法で、容易にスケールアップできる、既存の複素環の硫黄官能基をSF5置換複素環に変換できる反応である」と研究者らは述べている。SF5導入、SFの世界のお話ではありません。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 24, p. 24.

DOI: 10.1002/anie.201409990

14.12.21

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トリクロサンは

 手洗い石けんから織物まで幅広く消費者製品で使われている抗菌作用を示す化合物である。それがネズミの肝腫瘍を誘発することがわかった。現在利用されている少量では、トリクロサンは、ほ乳類に対して急性毒性を示さない。ただしトリックはないものの、低濃度でも、長期間にわたって、それにさらされた時の結果について疑問が呈された。餌あるいは水に30-70 mg/kgのそれを加え6-8ヶ月間ネズミに与えた。人がトリクロサン入りの歯磨き粉を毎日使う場合には、一回の歯磨き当り0.05 mgのそれに触れることになる。先のネズミの実験結果は、肝臓傷害のサインが見られた。さらに検討の結果、トリクロサンとDNA損傷剤との組合せは、DNA損傷剤単独と比べると、より大きな肝臓がんを誘発した。全体として、トリクロサンの肝臓毒性を人でも検証し、適切な使用法を見極める必要がある」ことが提唱されている。恩恵も受けているトリクロサン、「これくろ さん」と簡単に言うこともできない。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 24, p. 23.

DOI: 10.1073/pnas.1419119111

14.12.20

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より小さく・より小さく

 という絶え間ない探求が続く電子部品。「なかなか出んし」ではなかった。コンピューターやスマートフォンの中のフラッシュメモリー部品は現在、金属酸化物半導体材料が使われている[1]。ただしこれらの材料をさらに小さいサイズでしかも記憶容量を大きくすることは挑戦的な課題である。研究者らは単一分子を使ったメモリー部品の可能性を提案していた。ただしこれまで提案されている分子は、低い電気伝導性、高い抵抗値、熱的安定性に限界もあった。その中Glasgow大学のCronin先生らは、フラスコ〜も使ってかの苦労人の末、[W18O54(SeO3)2]4のようなポリオキソメタルクラスターに着目した。これはフラッシュメモリーのプログラミングにも最適なだけではなく、電子的に活性なドーパントとしてSe(IV)Se(V)という二つの酸化状態の間をシフトできる。さらに現状のデバイス製作技術とも相性がよいとのことである。Seで、いいこと、みせれんでえ」という系の一つである。

[1] Chemical & Engineering News, 1014 November 24, p. 23.

DOI:10.1038/nature13951

14.12.19

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メルクの研究者らの

 ノートをめくると、極少量のスケールで反応探索を行っていた。実際、20 μgの出発化合物を用いてナノモルスケールでPd触媒によるC-N, C-O, C-Cカップリング反応の探索を、違った触媒配位子、塩基を使って行い、液体クロマトグラフィー/質量分析で生成物を分析し、この手法によって、スケールアップのための反応条件の確定に成功した。この種のハイスループット法では、カップリング反応で使用される低沸点溶媒は、直ちに蒸発してしまうために不向きで、ここでは極性の高い高沸点溶媒であるDMSOを使う。Pd触媒をDMSOから保護するために、電子豊富な配位子も使われた。しかもカップリング反応で使われる強塩基と極性溶媒の共存が難しく、ここではDMSO中で反応を活性化するために溶解性のあるスーパーベースが使われた。これによってナノリットルの液体の扱いが可能なロボティクスも利用できた。その結果、ハロゲン化アリールとアミンとのマイクログラムスケールでのC-N結合形成を達成し、スケールアップに成功した。マイクロスケールでもスケールの大きな発見、反応開発を助け〜る系になった。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 24, p. 7.

DOI:10.1126/science.1259203

14.12.18

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芳香環への

 置換基の導入はしばしば、芳香環に存在する置換基がメタル化反応剤の反応する位置をガイドして脱プロトン化が進行する。ついで親電子剤の付加で生成物を与えるが通常、それは配向基のオルト位におるそうである。一方メタ置換はめちゃ難しくてまれである。そこで目立ちたいわけではないけど、オルト位選択性を超えた系を確立したいと努力が行われていた。その中スコットランドStrathclyde大学の研究者R. E. Mulvey, C. T. O'Haraらは、ジソジウムマグネシウムアルキルアミド反応剤を許容できる配向基は、アレンの二つの部位、すなわちオルトあるいはメタ位、またはメタ位二カ所をメタル化できることを明らかにした。従来のメタル化では、配向基が反応位置を決めていたが、今回の例では、反応剤が環の反応位置を主に制御している。従来はメタル化が進行しなかった位置のメタル化・官能基化のため、すぐにでも使われそうである。メタ位置換は、これに決めた。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 17, p. 35.

DOI:10.1126/science.1259662

14.12.17

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[2+2+1]環化付加

 いわゆるPauson-Khand反応によってγラクタム合成が、西部のガンマンならぬ、日本の研究者によって開発された[1]。五員環環状アミドは、創薬のための生理活性分子の合成や開環重合における有用な中間体である。通常のPauson-Khand反応では、アルキンとアルケンにCOが組込まれてシクロペンテノンを与える。アルケンの代わりにイミンを使うと形式上γラムタムに至る。そこで探索の結果、Ni(0)ホスフィン錯体が最も高い効率で反応を触媒することがわかった。ただしCOガスを使うと、鍵となる環状Ni中間体が触媒反応では低い反応性のNiカルボニル錯体を形成してしまう。そこでCO代替品としてギ酸フェニルを使い、CO濃度を制御しNiカルボニルの形成が抑えられ、触媒サイクルの回転を可能にしている。アルキンの代わりにノルボルネンを使って二環式γラクタム合成にも成功している。今回のPauson-Khand反応にも感動した。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 17, p. 35.

DOI:10.1021/ja509171a

14.12.16

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かゆいので

 引っかく、ますますかゆい。おかゆ食べてもかゆい。この脊髄におけるサイクル、特に疾病に関わる慢性のかゆみは患者にとって辛く、これを緩和したいと研究者らは考えていた[1]。それに関する8年をかけた研究結果は、かゆみとセロトニンが関わることを示していた。鈍痛を和らげる指令としてセロトニンが放出される。これは同時にかゆみを増加させる。実験では、脊髄にセロトニン受容体のないネズミにかゆみを引き起す化合物であるクロロキニンが投与された。その結果、受容体を持つネズミと比較して、ひっかくことは大幅に減少した。別の実験は、セロトニンは背骨にある二つの神経細胞、これらがどのように相互作用しているかは不明だけど、を活性化することでかゆみを増幅させることも示していた。セロトニン、素人にんには難しい。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 17, p. 34.

DOI: 10.1016/j.neuron.2014.10.003

14.12.15

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複素環に含まれる

 C-H結合の選択的官能基化は、納期が決まっていても難である。窒素や硫黄原子が触媒毒として作用したり、配向基と同様にこれらが金属触媒に配位し、結果としてヘテロ原子近接位のC-H結合の切断が進行する。その中、配向基として二級N-メトキシアミド(NHOMe)を採用し、Pd(0)と組合せた。ここでは、NHOMeから発生するアニオンが唯一の配向基として働く。これによって医薬品候補になり得るピリジン、オキサゾリジン、インドール、フラン、チアゾールやホスホリル部位のC-H官能基化が行われた。主な酸化剤として酸素を用い、示された反応例では、t-ブチルイソニトリルを添加し、分子内環化反応で、フタルイミドのC=OひとつがC=NOMe基に置き換わった生成物を得ている。Merckの人は「どんな新反応も合成反応道具箱に加えることができる一方で、マニアックな生成物を導く系もあって一般性が必要であること」を指摘している。ちなみに今回の反応では、生成物を、合成困難なラクタムを含む化合物に変換できる。Merckの人のコメントもまるくおさまっている。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 17, p. 7.

DOI: 10.1038/nature13885

14.12.14

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ポテトを食べると

 ぽてっとアクリルアミドを摂取することになる。2002年この発ガンの可能性のある物質が、報告された。ただしどの程度の摂取で、健康被害が生じるかは定かではない。グルコースやアミノ酸の一つであるアスパラギンを、揚げたり、焼いたり、オーブンで焼いたりすると、それからMaillard反応が進行して、アクリルアミドが生じる。とりわけアスパラギンはポテトに多く含まれている。そこでこのアスパラギン生合成に含まれる遺伝子の働きを、他の種から遺伝子素材を加える事なく封じることに、アイダホにある農業に関連した会社が成功した。その結果、この新しいポテトは、より少ないアスパラギン量だけども、茶色を保ち、アクリルアミドの生産量も少なくできる。ただし十分すぎるフライドポテトを食べていると、その毒性効果を受けることになってしまう」ともコメントされている。明日からアスパラギンの摂取量、減らしてみましょう。ちなみにモンタナ・ワイオミング州とワシントン・オレゴン州の間ほどに、アイダホ州は位置している。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 17, p. 6.

DOI: 10.1111/j.1467-7652.2008.00363.x

14.12.13

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CO2固定は

 工業的な温室効果ガスを削減するための必須のプロセスである。その最も大きな挑戦の一つがCO2利用である[1]。たとえばCO2をエポキシドに挿入し、環状カーボネートを調製する。生成物は溶媒、バッテリーの電解液、さらにはポリカーボネート原料として、買〜おうぼね〜と」なる。ただしこの反応は従来、高い温度と圧力を必要としていた。その中、いわゆるMOF触媒を使って、常温・常圧で行う方法が開発された[2]MOFに組込まれたハフニウム(Hf)は、他の金属と比べて、より強い金属酸素結合を形成する。その結果、より強いブレステッド酸として最適な触媒となり得る。一方で別の研究者らは、シランジオールが、同様の温和な条件で、CO2のエポキシドへの挿入を可能にすることを報告している[2]。シランジオールは、非共有結合性有機触媒であり、様々な化学反応を促進するけど、これは水素結合相互作用によって、反応物をカップリングさせている。カーボネートで、車(car)のボンネットもできればいいです。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 10, p. 29.

[2] DOI:10.1021/ja508626n

[3] DOI:10.1002/cssc.201402783

14.12.12

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リグニンは

 地球上の有機炭素の30%を占める、植物の細胞壁に存在する成分である。ただし芳香族高分子であるそれは相当に扱いにくい代物であり、紙、パルプ工業の廃棄物として扱われ、焼却される。結果、「有用な芳香環が火の玉になる」とのたまう人もいる。その中、研究者らは、リグニンを低分子芳香族化合物に変換できる方法を考案した[1]。プロセスは、リグニン骨格の中のベンジルアルコール部位を酸化することから始まる。これによって、続く110 ° Cにおける、ギ酸やギ酸ナトリウム水溶液による処理で、近傍のβエーテル鎖も解裂することを用意にする。この方法を使って、植物であるアスペンから得たリグニンを分解した。構造的に同定されたモノマー芳香族化合物の全体収率は、これまで報告されていた系よりも高く、いくつかは直接工業製品としても利用できる。さらに重要な点は、これによって、溶解性を示す芳香族フィードストックをさらにアップグレードできる道筋ができたことである。リグニンからリクライニングシートはできまいか。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 10, p. 28.

DOI: 10.1038/nature13867

14.12.11

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光化学反応を

 初めて行う研究者は、バッチ式がばっちしか、フロー系がふろっているかを明らかにする必要がある。この解が「複雑である」ことが報告された[1]。研究者らは、12の異なる反応を、時間、流速、光源、反応物の濃度を最適化した条件で行った。バッチ式の反応は石英あるいはパイレックスを使用し、フロー反応器は光源の周りを一つあるいは三つの層でカバーした紫外線透過のチューブで行った。バッチ式・フロー系いずれも同じ時間スケールでは、同様の収率と生産性であった。ただしフロー光化学を専門におこなっているオーストラリアの研究者は、今回の研究は、一種類のフロー反応器のみを見ていること、バッチ式でもスムースに反応が進行する系を扱っていることを指摘している。フロー化学は、材料のコストを抑制できることも特徴であるとしている。さらに工業化学者が、フロー光化学を探求し改良することを促している。フローだけに、ウ流しているのかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 10, p. 28

DOI: 10.1002/chem.201404347

14.12.10

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触媒反応を

 可視光を使って行うことは、賢うくて、単純、安価、環境調和な温和な条件で、複雑な分子を与えるよい方法である[1]。その中、実用化も可能な二つの方法が報告された。一つは、強くない可視光とキラルなIr錯体を組合せ、エナンチオ選択的にカルボニル化合物のα位をベンジルあるいはフェナシル化する系である。光によって出発化合物を活性化することと生成物の立体化学を制御するこれまでの方法では二種類の触媒を必要とするけど、ここでは、キラル触媒が同時にその働きをし、エノラートの発生とラジカル中間体が提唱されている。もう一つの方法は、毛筆で書いてもよいけど、ペリレンジミド有機触媒で、通常の光触媒よりも多くの光エネルギーを吸収する。すなわち二光子電子移動過程を経て、励起ラジカルアニオンを発生し、これがハロゲン化アリールを還元する。生じたアリールラジカルは、水素原子供与体でトラップされ、芳香族誘導体を与える。「ペリレンジミド、じみやど」ではない。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 10, p. 9

DOI: 10.1038/nature13892

14.12.9

 

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炭素繊維

 と言えばテニスのラケットやゴルフのシャフトだった。学生の頃、金属じゃない素材でも出来るんだと思った。その頃すでに、炭素繊維を技術・開発する企業、ちなみになかなかに通れへん企業だけど、では黒いボディの飛行機を飛ばしたいという先を見据えていた。軽い・強い・さびないという特徴だけど、対抗馬はアルミ合金。1978年頃はミクロンサイズの欠陥があった。それが1998年にはナノサイズ欠陥まで縮小化した。素材の可能性の高さに、欧米の多くの企業も参入したものの、性能向上の難しさ故にほとんどすべてが撤退した。生きの長い技術開発を可能にした日本企業が先導し、今では国内メーカー3社で世界シェア7割。ボーイング787の機体に使ったことで、20%の軽量化と20%の燃料節減を達成した。航空機用途から自動車用途へも展開していくとのこと。化学力をこれまで以上に向上させ、化学が地球規模の課題解決を先導する。快調な語りに「化学」へのつきぬけるような思いが伝わってきた。会長講演でした。

14.12.8

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ブリストールも

 素通りすることはできない。縁あって6年ぶりに訪ねた。実験室と学生居室が見事に区分けされて、廊下からも開放的に状況が把握できる建物。しかもほとんどの学科がバロック建築風である。それでも前回ホストの先生に「この町並みの汚さには驚いた」と言ってしまった。街路にゴミがぞんざいにあった当時。先生は「日本と比較したらyes、ローマと比べたらno」と言われた。今は大学経営に関わる立場になって多忙である。立ち話も難しい。自分たちの業務が終わって、気鋭の先生方と談笑。化学科事務室に出向く。冷蔵庫からワインが登場。これを切らさないようにするのも秘書の任務。ただしつまみはだされることはなかった。自分もね。で食事の場。レンストラン二階のその場所からプールが見える。老若男女を問わず泳ぐ姿が見える。しばらく前、著名なある先生が他大学へ移動した。米国同様のカウンターオファーはあるか?給与を相当に上乗せすることはあまりない。ただし研究室専用のNMRを用意するなどの提案があるらしい。結果、ここでも「移動はいいどう」になる。

14.12.7

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カーディフ

 北緯51度。宗谷岬のそれが45度やそうやので、さらに北極圏に近い位置の町に来た。昨年の夏、早い夜明けと午後8時を過ぎても夕暮れを楽しんだのとは反対に、8時前の日の出、午後4時過ぎの日の入。街路を歩くと冷たい風が身にしみる夜。でも昼間のそれはなぜか一部心地よい。澄んだ空気のせいかもしれない。どんよりした日が続く中、珍しく快晴。main buildingと呼ばれているカーディフ大学化学科の建物。実験室と学生居室は隣接するものの、教授室は少し離れて位置する。そのルートを新人は記憶しなくてはならない。100年以上前に建立された建物、ホグワーツ魔法学校を彷彿させる。迷路が如くの通路・階段を、明朗な心持ちで移動する。先生は短期滞在の学生もやりくりして複数のプロジェクトを展開。その中のフロー系の反応。数年前に編集を担当したWiley社出版の本がある。その中国語版が出版された。記載された漢字を、こんな感じと考えてみた。「微」がmicroに相当する様子だった。

14.12.6

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Herb medicineの大学院

 に通う女子学生。5年前、交流協定を結んでいる大学からの交換留学生として1年在籍していた。どの授業も一番前の座席で熱心に、わからぬ日本語を書き留めていた。日本語クラスにも半年間通い、イギリス人、フランス人、タイ人らとも友達になった。後にタイで集合したこともあったらしい。そのときは英語混じりの日本語で会話した。ソウルに戻って、そうするうちに大学を卒業して就職。それに物足りずにイギリスでボランティア。戻って先の学問を学びたいと一念発起して再びロンドンに入った。英国が課す英語の試験と推薦状で入学が許可された。高額な授業料に生活費、少しの蓄え、週末のアルバイトと仕送りでなんとかやりくりをしている。ハーブのことを知る前に一年生は医師のやることを学ぶ。聴診器を使う。長身の留学生でも試す。身体をさわるのに勇気がいる。同じ大学院には、ヨガや針を学ぶ専攻もあって、一年生のときは同じ授業を受ける。今後、ハーブ成分の化学構造を学ぶ場があるかわからない。複雑なハーブ成分、半分でも分かりたい。

 5年ぶりにロンドンにて再開。今も変わらない流暢な日本語・向学心に燃える姿に、スピード感のある英語が加わっていた。

14.12.5

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バスが到着しない

 ボードには30便を超えるバスの情報がある。さすがにロンドン中心部のコーチステーション。ただし、でえれ〜、delayが多い。しかもno information available、のんびり待つしかない。中には予定から1時間ほどしてから到着したバスもある。トイレが近くにあった。使用不可、Gate 1のそれを利用してほしいという。「そこまでえらい遠いれ」である。近くに別のトイレもあったがそこも使用不可。有料なので、不可はご無用にしてほしい。バスに乗る。リクライニング最後部の座席、壁にへばりついていてレバーを引いても動かない。たられば〜で、壁が柔らかだったらと思う。ただし後ろにスペースがあってもリクライニングのレバーが故障のときもある。一泊17000円のホテル、昭和40年代かのつくり。横幅1 mもない階段を上る。エレベーターはない。途中にシャワー室と便所、共同利用である。4階の部屋に上り切った。幸い部屋にもシャワー室があった。赤い印のノブを回す。冷たい。色を間違えたかと青いほうを回す。やっぱり冷たい。身体全体に十分シャワーを浴びたくらいの水を出した頃、ほんわかとぬるま湯が出始めた。言うことなしだった。

14.12.4

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陰性の分子金属酸化物を含む

 新しいタイプのイオン液体は、銅の表面を酸による腐食から保護するだけではなくて、傷のついた表面を自己修復させることもできる[1]。いわゆるポリオキソメタレートからつくるイオン液体(POM-ILs)が開発された。このイオン液体は遷移金属で官能基化されたシリコンタングステート(Keggin)アニオンと四級アルキルアンモニウムカチオンを含む。これまでPOM塩が腐食を、払拭までとはいかないまでも、抑制できることは知られていた。そこで今回のPOM-ILが銅ディスクで試された。その結果、POM-ILコーティングは、粘性が高く疎水性であって、固体のPOMや市販のイオン液体より、酢酸蒸気や酸性雨の水滴から銅ディスクを、よりよく保護できた。加えてその銅ディスクに傷をつけたところ一分以内に修復されていた。そのため大理石の様な酸に敏感な材料を保護するにもこのコーティングは使えそうである。だれか使うためのコーチングしてください。

[1] Chemical & Engineering News, 2014, November 3, p. 41.

DOI: 10.1002/anie.201408171

14.12.3

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金属表面での

 水の挙動は、電気化学や表面触媒での中心的な課題の一つである。にも関わらずその挙動はいまだに議論の的である。その一つが「どう暮らした〜らよいか」とは縁はないけど、水クラスターの構造と配向である。今回STMと量子コンピュータによる計算を組合せてそれが解明された[1]。すなわちSTMのチップで白金表面の孤立した水分子を横に動かすことで孤立した水素結合した水二量体が形成された。ついでこのSTMを基本とする方法で、個別の二量体の振動スペクトルが測定され、その配向が決定された。それは、モノマーの一つが酸素を通して表面に結合し、対をなす分子は、表面にバインドした種とOH基を使って、表面とは垂直に水素結合を形成していることを示していた。これらの発見は、以前から知られていた理論研究とは矛盾するけれども、実験的な測定を解釈する場合や、表面の現象を予測するために利用される表面化学のモデル化法を改良する一助になり得る。その結果、新しいモデル化法も、もうでるかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 3, p. 41.

DOI: 10.1021/nn504824z

14.12.2

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酵素と金属の組合せで

 様々な位置を選べる有機反応が開発された。同じ反応で、触媒あるいは反応条件だけを変えるだけで異なる生成物を導くことができるdivergent 位置選択性は、有機合成化学者によって、挑戦すべき課題の一つである。二つの研究チームが、方向性選択性を、より容易く得る方法についての新しい知見を報告した[1]。ひとつはチトクロームP450BM3の二つの変種酵素を、ちと苦労するかもしれないけど、調製し、窒素原子の移動を制御し異なる位置選択性を発現している。一方は、ベンゼンスルホニルアジドのアルキル置換基のα位で閉環アミノ化を引き起こし、もう一つの酵素はβ位での反応を促進する。一方別のグループは、2-ヒドロキシベンズアルデヒドと末端アルキンとの反応で、環形成クロスカップリング反応の選択性を制御している。金触媒ではイソフラヴァノン骨格を、ロジウム触媒ではクマリン骨格を形成できる。研究者らによれば、酵素は、金属触媒酵素ミミックを開発することで、有機合成における選択性を解決できる多様なプラットフォームである」とのことである。ミミックを、ぷらっとリフォームできるのかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 November 3, p. 41.

DOI: 10.1021/ja509308v

DOI: 10.1002/anie.201407589

14.12.1

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