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2015年1月

空気酸化は

 効率の点から有機合成では魅力的な反応であるものの、医薬製造ではしばしば回避される方法である。酸素と溶媒の混合物が可燃性大気として「かなわんせい」になる。このギャンブルのリスクに代わって、プロセスエンジニアは、必要なあるいはより高い酸化状態の反応剤を利用する。この課題を解決すべく、酸素と九種類の通常使用される溶媒との組合せで、安全に利用できる条件が実験的に決定された。これは複数の化学会社で構成される基礎研究の共同体の研究であり、工業における空気酸化の開発と実用化の促進を目的としている。爆発に耐えうる反応容器を使って、酸素の最小部分圧が測定され、これによって製造スケールの反応で使われる高温・高圧条件下での、酸素とそれぞれの溶媒の燃焼しうる混合比を割りだすことができ、空気酸化の安全な適用の指針が提供される。混合比を今後、ふんだんに活用しましょうね。たとえば酢酸、200 °C, 1 barの時、酸素10.6Vol%です。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 12, p. 24.

DOI: 10.1021/op500328f

15.1.31

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トヨタの最初の燃料電池車

 'Mirai'の販売が開始される。この燃料電池車の成否は、幅広い分野の前例のない共同研究・共同開発が不可欠である。そこでToyota Motor Sales U.S.A.はラスベガスで行われた展示会で、従来の壁を突破するために、Toyotaが持つ5680の燃料電池関連の特許を無償で提供することを発表した。これらは燃料電池スタック、高圧水素タンク、システムコントロールソフトウエア、水素製造と供給をカバーするもので、自動車会社、燃料電池部品メーカー、燃料ステーションに公開される。同様にTeslaモーターのCEOは、昨年6月に「われわれの本当の競争は、tesla以外の電気自動車会社同士の小さな競争(small trickle)ではなくて、日々世界の工場で製造される莫大な数のガソリン車 (enormous flood)である」と述べている。もしToyotaが他の自動車会社にも燃料電池車の生産と販売を誘発させることができれば、政府や利害関係者は、水素燃料のインフラ整備を展開しなくてはならない状況にもなりえる。ただし特許が無償供与されても「無理でしょう」という部分として、別の会社が効果的に特許を利用するための、開発者が持つノウハウ(know-how)が指摘されている。ただしToyotaはすでに複数の自動車会社をパートナーとして、燃料電池開発に取組んでいる。Murai君もMiraiに乗れるかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 12, p. 7.

15.1.30

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ヒドロホルミル化

 オキソ法とも呼ばれるこの反応は、重要な工業プロセスの一つで、アルケン、一酸化炭素、水素からアルデヒド製造を達成し、様々な工業製品の中間体を導くことができる。今回この反応を、気体の反応剤を使わずに、方向転換させる方法が開発された。ここでの方向転換、何言ってんかん?であるけど、アルデヒドからアルケンを導く脱ヒドロホルミル化反応である[1]。これを開発した研究者らは、どうして誰もこのタイプの反応開発を行っていないのかと直感的に感じた。でも医薬品研究では、複雑な分子を修飾するオプションになり得る。たとえば酵素が媒介するアルデヒドのデヒドロホルミル化は、コレステロールのようなステロールの生合成の間に進行する。このプロセスを模倣すべく、選択的なアルデヒドC-H結合活性化によるC-C結合解裂を引き起す遷移金属触媒の設計が必要だった。その結果Rh(III)(Xantphos)(benzoate)触媒が、アルデヒドからホルミル基と水素化物を、ノルボルネンのような水素受容体にシフトさせることに成功した。実際、(+)ヨヒンビンが(+)ヨヒンベノンに変換され、「よい日やのん」になった。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 5, p. 21.

DOI: 10.1126/science.1261232

15.1.29

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ナフィオン

 50年以上前にデュポンが、ポンと開発した高分子で、イオン交換樹脂として広く利用されている。パーフルオロスルホン酸高分子だけど、高いイオン伝導率に、力に対する安定性や化学的安定性も高いという特徴を有している。一方で、そのイオン輸送の機構の解明が行われてきた[1]。材料の微視的なモルホロジーが、機構を理解する鍵になりそうであるけど、未だに議論の対象になっている。その中ある程度の結果が示された[1]。高いイオン伝導率には水和した状態が必要であるらしい。そこで低温電子顕微鏡で分子間の微視的三次元構造が可視化された。乾いた状態と凍った水和状態を比較した結果は、乾いた状態におけるナフィオンの疎水性硫酸層は、直径3.5 nmの球状のクラスターだった。高分子を水和することで、その孤立して暮らしていたクラスターは、それぞれが連結した3-Dナノスケールのチャンネルネットワークを形成し、膜全体に広がっていた。「ナフィオン、なぜよん」ひょんなことからか、見え始めた。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 5, p. 21.

DOI:10.1021/mz500606h

15.1.28

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フェロセンは

 サンドイッチと構造が一致した化合物で、これまで多くの研究者の食欲をそそり、数えきれないほどの誘導体が合成されてきた。それに対して、シクロペンタジエン環の水素原子をフッ素原子で置換えた誘導体は、1971年にモノフッ素化体が報告されて以来報告例がなく、近年触媒におけるフッ素化炭化水素の重要性が示されていることとは対照的だった[1]。その中ドイツの研究者らは、リチオ化フッ素化を連続して5回繰返し、ペンタフルオロフェロセンを収率6.7%で得た。さらに得られた化合物のNMR, IR測定さらにはX線構造解析も行い、DFT計算によってもその性状が解明された。1960年代の化学者は、ポリフッ素化フェロセンは酸化に対してより高い安定性を示すと予想していた。一方で今回の化合物のCV測定結果は、ペンタクロロフェロセンやルテノセンに比べると、容易に酸化されることを示していた。それでも「ペンタフルオロフェロセン、披露せんと」が実現した。

[1] Chemical & Engineering news, 2015 January 5, p. 21

DOI:10.1021/ja511588p

15.1.28

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ディーゼル燃料を

 野菜オイルから製造することで,輸送燃料工業は恩恵を受けている。ただし、オイルの中のトリグリセリド(いわゆる中性脂肪)を、燃料を構成する脂肪酸メチルエステルに変換した後に、グリセロールが残る。いまやこのふんだんに余ったグリセロール、十分には燃焼せず廃棄物となったものの有効利用が課題の一つだった[1]。今回、バイオと化学的な触媒的プロセスで、苦労せずに、グリセロールを乳酸に変換する方法の妥当性が評価された。ここで乳酸は、別の重要な化成品中間体や生分解性ポリ乳酸に変換できる。バイオ法では乳酸は通常、発酵で合成されるがここでは、グリセロールが酵素によってジヒドロキシアセトンに変換され、ついでそれを、スズがもとになった微小孔なゼオライト触媒を使った異性化反応で乳酸に変換される。この方法ではCO2の発生量やエネルギーも抑えることができ、バイオディーゼル、ポリ乳酸製造、どちらの経済性の改善にも寄与できる。(バイオ法+化学法)のパイオニアでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 5, p. 20.

DOI: 10.1039/c4ee03352c

15.1.26

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蛍は熱を出さずに

 蛍光発光する。なんの稽古もせずにである。酵素ルシフェラーゼが、ルシフェリンと酸素を結合させ、電子的な励起状態でオキシルシフェリンが形成し、これが緩和するときに光を発する。その際、発光体(ランタン)の中で酸素の流れを制御するだろうと考えられていたが、その特異な機構が議論の対象だった[1]。今回研究者らは、X-線顕微鏡ならびにX線マイクロトモグラフィーを使って、サブミクロンの解像度で、ランタンの器官のマッピングが行われた。ついでその地図を使って、酸素が拡散する容量を、要領よく引き出し、ランタンの中で拡散できる酸素量が計算された。その値は、蛍がライトアップするときの酸素量に近い値である。その結果、蛍の呼吸と生物発光の間の酸素量が、制御されていることがわかった。このことは、蛍は、発光に必要な十分な酸素を確保すべく、一時的にミトコンドリアをオフにしていることを示唆していた。このことミトコンドリアには「見てこんときや」と言わなくていいでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 5, p. 20.

DOI: 10.1103/physrevlett.113.258103

15.1.25

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ポリフェニレンは

 芳香環が連続して連結した高分子で、これまでパラ位あるいはメタ位で繋がった分子は広く知られていた。一方、オルト位で、御出でるとどうなるか、その合成例もほとんどなかった[1]。ただしオルト連結で、高分子は従来とは異なるヘリシティや、異なる刺激応答性が期待され、その結果、キラル触媒のためのナノ炭素材料や、電子デバイスや化学センサーのための薄膜開発の可能性も拡大しうる。従来は、双環性アルケンを重合し脱水することで合成されていたが、今回1902年に発見されたアリーン(ベンザイン)、三重結合を含む六員環化合物に、東大チームは着目した。アルキン重合の長い歴史に比べてアリーン重合の例はなく、その高反応性の中間体の制御が困難であるとも考えられていた。今回、芳香環にシリル基とトルフルオロメタンスルホキシル基が組込まれた前駆体とフッ化物イオンとの反応でアリーンが発生し、Cu(I)反応剤が、高分子化を促進し、100ユニットまで連結されたポリ(O-アリレン)が提供され、ありへん話ではなくなった。

[1] Chemical & Engineering News, 2015, January 5.

DOI: 10.1021/ja5112207

15.1.24

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科学の名のもと

 女性生物科学者は、180000回ほど、前腕を、ナンキン虫に嚼ませることを黙認した。難儀な虫であるそれを建物内で発見することは難しく、これまでの方法ではマットレスやベッドのスプリングの辺りの安全な生息場所で、そのフェロモンは発見されていた。でも虫の蔓延を防ぐには、より高い効率で検出できる方法が必要で、探索されてきた。その結果、免疫応答の間に人間が生産する、簡単な化合物であるヒスタミンが成長阻害物質として同定された[1]。ヒスタミンは吸血の後、糞や角質で発見された。さらにそれは、ナンキン虫が隠れる場所、しばしば食べ物の近くで蓄積する。さらにヒスタミンに加えて別の化合物がたくさん同定された。それらを集めて解析した結果、2-ヘキサノン、ジメチルスルファンを含む五つの鍵となる揮発性化合物を生産していることがわかった。そこでヒスタミンとこれら揮発性化合物を調合したけど、それぞれの化合物が身近にあることから、10セントもせんと作成できた。このブレンドフェロモンでナンキン虫を捕まえ、軟禁することにも成功した。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 5, p.9.

DOI: 10.1002/anie.201409890

15.1.23

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トラヤヌス市場と

 呼ばれている古代ローマの省庁やショッピングモールは、回復力のある建造物の典型である。1900 以上前この建物は、中程度の地震と洪水に耐えることができた。ここでマーケットを組立てる材料である、丸石サイズのレンガと多孔質の岩がお互いに引き寄せるモルタルの回復力が力の源である。この維持できる力の秘密が、断層診断法、シンクロトロンなどを使ったローマ時代のモルタルの複製の研究で明らかにされた。180日間かけて、消石灰と火山灰から、ハイカラではないけど、簡単な方法で作成したモルタルは、耐久性のあるカルシウムーアルミノシリケート鉱物の平板の結晶になった。これらの鉱物プレートは、耐久性を向上させ、モルタルに広がるクラックから守る役割を果たす。さらに同じ鉱物プレートがトラヤヌス市場から取り出されたモルタルにも、もった〜ることがわかった。ローマ時代のモルタルは、現在の高炉セメントと比較すると、より少ない二酸化炭素の放出過程によって、より強いコンクリートになっていることもわかった。これ、コンクリートのコンクールでも生き残りそうである。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 December 22, p. 13.

DOI:10.1073/pnas.1417456111

15.1.22

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NASAの火星探査機

 キュリオシティーは最近、メタンガスの存在を明らかにした[1]。メタンは通常、生命体によって製造されるが、他にも土、水の生命体のない反応あるいは太陽放射でも合成されうる。これまでもメタンの噴煙は報告されていたが、今回は火星表面の裂け目からの放出である。キュリオシティーはまず20ヶ月かけてメタンのバックグランドが0.7 ppbであることを解明し、ついで数ヶ月で9 ppbまで突然上昇したことを示した。周期的に地下から放出されている可能性が指摘されているものの、現段階では、火星のどこから来ているのかを決定する方法がない。一方で今回探査機は、複数の有機化合物も検出した。クロロベンゼン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、ジクロロブタンである。これらは前駆体である有機化合物から生じ、過塩素酸物が豊富な火星の土が加熱されている間に形成されたものと思われる。これからもキュリオシティーに「これ教えて〜」とNASAの方々は、なさねばならないミッションを遂行されるに違いない。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 December 22, p. 13.

DOI: 10.1126/science.1261713

15.1.21

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動物は情報伝達に

 化合物を使う。ポケモンならぬ、フェロモンと呼ばれるこれらは、警報を発信したり、ロマンスの引き金にもなる。今回ネズミのフェロモンが始めて特定された。日本に住むねずみ(たぶん)が、ストレスを感じた時に、二種類の鍵化合物(ヘキサナールと4-メチルペンタナール)が同定された。ネズミをこれら二つの化合物を混ぜたものにさらすと、げっ歯類は不安げな行動が増長された。どちらのアルデヒドも単独ではそうはならない。混合物で存在する必要がある。ヘキサナールは多くの昆虫によって生産されている警報フェロモンである。一方で4-メチルペンタナールについては、その類いのことは余り知られていない。ただしそれが種に特異的な情報を送信し、ヘキサナールはその情報の正確さを示している可能性がある。このアルデヒドが二つあるでという発見は、ほ乳類におけるchemical communication(論文誌の名前ではありませんが)の理解をさらに深めることになった。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 December 22, p. 12.

DOI: 10.1073/pnas.1414710112

15.1.20

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分子状酸素

 大気中では安定で、どこにでもある化合物である。でもその酸素原子一つを硫黄原子に置換えたSOは不安定でわずかな寿命しかない。そこでこのSOを安定化し、小分子として有機合成に利用できないかと検討はされてきたものの、ほとんどその例はなかった。その中、Stephan先生らが提案した系はフラストレイテッドルイスペア(FLB)を使ってSOを捕まえることだった。FLBは、嵩高い置換基で着飾った酸塩基対であり、ついつい、近づこうとすることが妨げられ、中性の化学種を完全には形成しない。その結果生じる反応性化学種は、金属触媒として作用し、H2, CO2, CON2Oなどの小分子を活性化できる。そこでトロントチームは嵩高いホスフィンと嵩高いボランの組合せで、N-スルフィニルアミンを捕捉し、通常ではない異なる六つの元素を含み、SO部位も有する七員環複素環を形成させた。この化合物からのSOのホスフィン、Rh錯体、N-複素環カルベンへの移動も達成され、SOを反応剤として利用する第一歩となった。SOのこと、OSが違っても読めると思います。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 December 22, p. 12.

DOI:10.1002/anie.201409969

15.1.17

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イタリア料理店を18年間

 営む。その店の店主が、東京にある最高級寿司店のドキュメントを見て衝撃を受けたという。それぞれのネタにマッチする米を、数ある品種の中から選んで絶品に仕上げる。徒弟制度で技が伝承される。学校教育も同様で、独特の日本文化を維持する。(とイメージされていた様子)日本に来て言葉を交わす、成田・羽田空港の入国審査官、高い好感度。「夜ホテルから出ないでくれ」とは言われない。ただし報道で知る限り、今時の日本政府は奇妙に感じる。特に隣国との関係はどうなのか、軍事的に強くなりたいのか。そうでなくても世界で存在感のある国だったのに、そのスタイルを維持する方が賢いはず。軍事は「報復の連鎖」になって終わりがない。歴史的に、民族。国同士の争いは絶えない。生き物としての「人」のDNA、種族を守るための好戦性がプログラムされているのかも知れない。それをなだめるために教育も必要、異民族が直接会って言葉を交わすことも必要、強うにお話されていた。その通りです。

15.1.18

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移民してきた人が

 市民になる。たとえば人口約500万人のトロント、半数がそうらしい。ポルトガル、イタリア、南アメリカ諸国、インド、中国など様々な国々から移り住む。自分たちの同胞の社会あれば、そこで暮らし、二代目以降になると、かなり、カナディアンである。六年住めば、市民権を得ることもできる。かつての研究室メンバー、ユーゴスラビア出身。年下の女子学生が研究室にやってきた。二人は恋に落ちた。結婚式に参列して彼女のお母様にお会いした。イタリア出身なるもカナダ暮らしも長い。でもNo English, No Frenchだった。これまで7,8組のカップルが結婚に至っている。Professorが、気づくあるいは知らされるのは、律速段階を終えた生成系に至る直前である。現在博士研究員が六人、中国から二名、博士課程にも一人中国からの学生が在籍する。全員、中国政府が用意する奨学金でカナダにいる。10年前とは全く違う状況。特に学生さんは中国国内の大きくない大学の出身。「中国政府は、教育の機会均等を広げているのではないか」と先生はおっしゃっていた。

15.1.17

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夢をカナダで

 叶えるんだ」とこの地へ渡った人も多い。〇〇タウンが散在する。米国の課題が見える。研究費はすべて応用指向になってきた米国。独自でかつ、後に波及効果の可能性のある研究を指向するのは困難な状況。カナダのほうがまだよいとのこと。それでも「curiosity-oriented research」とは距離がある。話変わって、食べきれないほどのポテトが盛りつけられる。米国の習慣である。実際、米国ボーダーでの観光。小学生の横幅の違いが顕著。エネルギー問題も関わる政治的課題である。バイオ燃料促進のためトウモロコシ生産を政府が推奨。あまった分がファストフードになる。コーンチップスの台頭でもわかる。しかもそれらは相対的に安くて、夫婦二人が働いても十分な収入を確保できない家庭の食事になる。子供達はそれにさらされる。一方で「野菜が安い」状況ではない。不足する調理機会、高騰する野菜。糖分が十分すぎるほど含まれるソフトドリンク。ハードな状況がリンクしている。

という感じのお話も聞かせていただいた。

15.1.16

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VIA RAIL CANADAにて

 トロントに移動。「新幹線と比べて見てほしい」ということで日本からチケットを予約。同様のことはJRではできない。せっかくなのでbusiness classにした。駅にはちょっとしたラウンジ。プラットホームは道路脇の歩道くらいの高さ。北米方式である。なので扉が開くと階段が下ろされる。そこは粉雪だらけだった。ほうきで掃いてもらって中に入る。しばらくすると飲み物が供された。ついで飛行機内と同様の昼食、ワインも勧められた。スピードを第一としている様子はない。車窓左手にはオンタリオ湖、凍ってはいない。五大湖の中では最も小さいらしいけど、びわ湖の30倍ほどの大きさ。かつてこれを超えて米国が攻めて来たこともある。それでカナダの首都も、キングストンからトロント、ケベックさらに、今はオタワで落着いたわである。トロント駅に到着。再び歩道程度の高さで、しかも横幅が1 m程度のプラットホーム。列車がそびえ立つように見える。長旅の始まりを予感させるつくりだった。

141.15

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キングストン郊外

 Little Cataraqui Creek保護区。語られることはあまりないけど、洪水を防ぎ、水量を調節するため広大な土地が整備された。今では、シカ、熊、ビーバーも居住する。快晴の中、そこのハイキングコースに入った。背筋も多少は鍛えられる。それ以上にユキヒメドリと呼ばれる小鳥のさえずりを逃さない。ひまわりの種を手のひらに載せる。しばらくすると鳥たちが急降下してきて、手に止まっては、すばやく種を持ち去る。一度に数羽の小鳥が来ることもある。ニット帽の上に種をまけば、そこもえさ場になる。人を恐れることはあまりない。小鳥たちとの遊び、その瞬間をカメラで切り取りたいと、夢中だったそのとき、ふと我に返る。手の先が、短い時間なるも、かじかんでいた。凍傷のおそれあり、どうしよう。太陽の日差しが気温を錯覚させていた。-8 ℃ほどらしい。クロスカントリースキー、スケートに興じる人たちを見ながら手にしたコーヒー、ホットする瞬間だった。

15.1.14

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CCチームの

 ミーティングが終わる頃、スニーカーを履いたSnieckus先生が入ってこられた。Snieckus innovationに案内していただける。先生の自家用車に乗る。移動しょうとするもタイヤが雪深くて、エンジンが空回りする。近くを歩く学生を呼んだ。「押してくれ」でも彼一人では埒があかない。この様子を見ていた女子学生が走ってきた。二人のパワーで脱出成功。昨年購入した自動車、今回は韓国製。シートも暖房できるなどのオプション。融雪剤と雪が混ざった道路、ただしノーマルタイヤ。たぶんアブノーマルである。目的地に到着、重たい荷物を担がれている。ここでグループミーティング。先の荷物からビールが出て来た。ただしフローズンビール。車のトランクの中でそうなった。学生のプレゼンが始まった中、メンバーの一人がビールを融かした。ビールが配られる。北米の瓶ビールの栓は手で簡単に開く。一斉に開け始めたところ、あちこちで泡が吹き出した。こぼれたビールを拭くメンバー、ボトルの口から口を離さないメンバー、プレゼンを続けるメンバー。その後のディナー、村上春樹著「走ることについて語るときに僕の語ること」でも盛り上がった。3時間を超えても話題は尽きなかった。

15.1.13

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超臨界CO2

の研究に3年間研究員として携わった。その後、独立したポジションを得て研究を続けるも、他のビッグチームが参入して来た。弱小チームは、畜生とも思わずに撤退した。溶媒にこだわり始めた。化学反応の後、溶媒は減圧留去、あるいは蒸留。他の方法はないものか、沸点の高い溶媒も使えないかと考えていたある日、アミンとCO2の反応はカルバミン酸塩との平衡であることに気がついた。アミンを溶媒に使って、反応後CO2を吹き込めば、大幅な極性の変化が期待できる。これによって生成物を沈殿させてろ過、その後窒素ガスの吹込みで、もとのアミンも回収できる。10万種類のアミンをコンピューターで絞込んで、新しい溶媒を誕生させた。CO2の代わりにCS2を使った反応。でも反応機構が不明。それを教えてほしいというクイズ。奇跡的に思い出してこんなカラクリやと書いてみた。クリアになったかどうかは不明。でも計算化学者にお願いしたいとのこと。他にもconfidentな、でもconfidentialなプラン・途中経過も教えてもらった。外は厳寒なるも、室内は暖かい雰囲気だった。

15.1.12

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トロントから

 キングストンへオンタリオ湖の北を東へ移動する。Megabusとは言え24名分の座席、願わくば吹雪の中、目的地までの無事を祈る。道路はアイスバーンになっている様子。真っ白なのは、固まった粉雪なのか融雪剤かわからない。それでも、かなりなスピードでバスは走る。道路脇に広がる野原に雑木林、雪で覆われる地面、全体が凍った川。岩肌を流れていた水もアイスになった様子。合図がなくても窺い知れる。目的地が近づくにつれて、トンネルを抜けなくても雪国になってきた。バス停に着いた。アナウンスはないけど、到着予定時刻まで40分ほどあると思って座っていた。自分以外の乗客はすべて降りた。ドライバー曰く「ここが終点や」「bus terminalに行きたいんだけど」「それは一つ手前や、たくさん人が降りとったやろが」「どうやって行けばいい?」「タクシーでも拾ったらいいで」とは言え、タクシーなど一台も走っていない。雪がちらつく中、そこは大学構内だった。幸い携帯のお陰で手痛いミスにはならなかった。

15.1.11

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トロント・ピアソン国際空港

 に着陸。ボーディングブリッジが接続される。厳寒のそこを通過して玄関へ。入国審査、指紋収集や写真撮影はなし。ただし「西アフリカに行ったか」という質問があった。でも短時間で完了。今度は荷物が出るまで待ち時間。自販機で飲み物を買う。600 mL弱で3ドル、紙幣を入れる。動画が始まって自分が欲しいものが出て来たときにタッチパネルに触れる。商品は一つずつ紹介されるので見逃すとしばらく待つ。外では待つ人も多いタクシー乗場。やっと来たタクシーに行き先を告げると21ドルだと言う。ハテ?メーターを使っていない。1 kmも走ったかと思ったらホテルに到着。口約束だけなので、価格交渉しようかと思ったけど、-30 °Cの中、スリップもせずストップもせずにたどり着いたので支払った。次の日再び空港に移動してバスに乗る。30分ごとに空港までの無料のシャトルバスがあることを聞いた。先に知っとるべきだった。とろ〜んとしていると色々ありそうである。

15.1.10

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シカゴ・オヘア国際空港

 お部屋の中は暖かい。でも外は-10 °C以下らしい。入国審査に長蛇の列。速くしてちょうだいと言っても埒はあかない。乗継ぎ便までの時間が迫っている方が「なんとかならないか」と担当の方に聞いていた。ここはどんな政治家が来てもだめだとのこと。次は自分の順番、とその時、担当者が場所を離れて、前の入国者とどこかに行ってしまった。他の列ではゆっくりでも入国審査が進んでいる。ようやく戻ってきた。感じのよいおじさまの質問に答えて、左右の指紋と目の辺りの写真撮影で程なく完了。ここでは乗り継ぎでも荷物を一旦受け取る必要がある。すでにベルトの上をむなしく回っていた。が再び長蛇の列。税関検査を待つ人たちである。再び荷物を預けて保安検査場へ。ここでも人だらけの中、ジャケットを脱いで、パソコンを出して、それから靴も脱いで検査機を通過。胸に入っているのはなにか?シャープペンシル(mechanical pencil)。やっと乗継ぎ便のゲートに着いた。飛行機を降りて二時間が経過していた。警戒体制も、もうちょっと軽快にならないものかと思った。

15.1.9

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ヘテロ原子を含むアルケンと

 アルケンとのカップリング反応ではしばしば欲しくない生成物も副生してしまう。それに対して今回、切れ味鋭い鉄触媒が、還元剤、弱塩基との組合せで、期待の反応が達成できることがわかった。電子供与性置換基を有するアルケンとして、エノールエーテル、エナミド、ビニルボロン酸エステル、ビニルチオエーテル、ビニルシラン、ハロゲン化ビニルを使い、電子求引性置換基を有する受容体アルケンに付加させることができる。常圧で進行し、空気や湿気を反応前に取り除く必要もない。論文では60種類の生成物が90%収率で合成されている。この新しい方法は、様々なヘテロ原子置換アルケンを利用できる点、驚きであるとともに、合成化学者が逆合成解析する場合、懐石料理を口にするかはともかく、可能性のある別の経路を提供しうる。エタノール溶媒中(アルコール飲料でもいいらしい)、安価な鉄触媒を使っている点も素晴らしい。鉄がお手伝いを超えて、一徹に反応を触媒している。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 December 22, p. 7.

DOI: 10.1021/ja4117632

15.1.8

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世界のアジピン酸の製造の

 95%が硝酸を酸化剤として使う。その結果、酸化窒素(N2O)が副生する。このガスは地球上空で、オゾン層を食うことになって、大損する。温室効果ガスとしては二酸化炭素、メタンに次ぐガスとしてランク入りしている。いくつかの製造業者は、このN2Oを捕まえて破壊しているため、今では1990年のおよそ半分になっている。それでもかなりな量が放出されている。そこで化学者は、酸素、過酸化水素あるいは酵素を使った、N2Oが出ないアジピン酸への変換方法を探索していた。これらの方法は、エネルギー効率も高く、硝酸を使った時の腐食の課題も払拭できる。が大容量での経済性については未だに実証されていない。その中台湾の研究者らが、オゾンと紫外光を室温、常圧で使った酸化反応を開発した[1]。ただしこれについて別の研究者は、オゾンを使った場合には、爆発性の有機過酸化物が生じることや、大スケールにした場合に、光を中まで効率的に浸透させることができるかの課題があることから、実験室レベルの興味ある成果であるとしている。アジピン酸製造、アラジンにもお願いしてみるか。

[1] Chemical & Engineering News, 2014 December 22, p. 6.

DOI: 10.1126/science.1259684

15.1.7

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2015年

 研究室に戻る。改修工事で生じる粉塵よけのためということで、研究室のすべての部屋の入口とその周辺が透明シートで覆われている。じーっとしていても、部屋に入ることができない。「入室されるときは剥がしてください」とあるので、シートを破る。とは言え粉塵が飛び散る工事が行われている気配がない。静かな建物内だった。実験室に入るための扉は三カ所。同様にシートで覆われている。一つの扉を開けようとシートを少し剥がして扉のノブを引く。鍵は空いているにも関わらず、いつもの力では開かない。気合いを入れて引っ張ると、ようやく扉が開いた。中からはゴ〜という音が聞こえる。ふと気がついた。ドラフトである。稼働している三台のドラフトに対する吸気を、三つの扉が担っていた。すきま風の効力だった。それをシートで知ら〜ずと覆ったために、実験室全体が陰圧になった状態である。幸いに室内に大きな乱れはなさそうである。それでも「よかれ」と思って積み上げてきたものごとが、乱暴に壊される2015年なのか、そんな予感がした。

15.1.6

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NMR物語X(完)

 A4サイズの60枚のNMR管理簿、右ページに、そのときどきのトラブル、エラー、対応結果を記載していた。導入から一年でその半分が記入済みになっていた。当初導入され部品の半分程度は、一年以内に交換されたようにも思える。ただし修理、部品交換を繰返すことで、鉄人NMRが強靭になっていった。月曜日の朝、業者さんに電話する。「ただいま朝礼中です」「超えれ〜えのは、こっちの装置やで」とか思っていると同じ時刻の対応が「ただいま打合せ中です」になり、さらには、打合せ中でも担当者が応対してくれるようにもなった。その後、マグネットがクエンチしてしまったこともある。7年前にはシステム部分だけを更新した。お陰で20年を超えても稼働。ただし20149月不良発生、担当技術者の体調不良に担当業者の対応不良。でも復活した。それでも建物改修で、寿命を断ち切ることになった。鉄人28年には至らない。絶命する。消磁の日まで50日余り、正直、感慨深すぎて言葉もない。それまでフル稼働、画面をタッチするその操作、プリントアウト、核種変更、すべての操作の終わりが近い。

NMR物語は2014.12.27から連載

15.1.5

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NMR物語IX

 自慢の「オートチューニングプローブ」が作動しない。別にあったプローブに交換。こちらのチューニングはスティックを使って手動で行う。マグネットの真下での作業。胸ポケットに金属物があれば、引込まれるおそれもある。おそるおそるの操作になった。で不調なプローブは東京行になった。しばらくして戻ってきて、再利用が始まるも、最良の結果にはならなかった。再び不調。東京から別の技術者と、そのプローブを設計したと言う方が来られた。相当に優秀な技術者という雰囲気が漂っていた。三日間、モニターを見ては作業を繰返された。NMR室で、苦悩の様子が伺える。こちらも不安になる。三日目に説明を受けた。低周波のチューニングの後、再び1Hのチューニングをする操作の繰返しで繊細な部位がブイブイ動き出すのが課題。多核のセットではその作業を省いて対応してほしい。それでも分解能やデータの信頼度にはほとんど影響なしとのことだった。多核対応、業者さんには、高くついた様子である。

NMR物語は2014.12.27から連載

15.1.4

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NMRVIII

 13C NMRの積算中にエラーメッセージが出た。B-bassラインではない様子。装置の各部分、分光計コンソール、マグネット、コンプレッサーなどが正常に動作していることを示す画面が表示されていた。一カ所赤い部分がある。クリックするとair consoleが異常みたいなことが書いてある。回転が不調なのか、スピンさせるモードで積算中、スピンが止まると、この画面になって止まってしまう。担当技術者は、サンプルの汚れ、サンプルホルダーの汚れ、それに取り付けのO-リングの劣化などを確認してほしいという。溶媒をキムワイプに施して、掃除をする。汚れが原因か。が再び同様のエラー。なんだかコンプレッサー付近から「かちかっち」という異常音、こっちこっちと呼びかけるが如くだった。ここでもハード面での不調だった。コンプレッサーそのものも不調になった。頻度の多さに、予備のそれが搭載されて、自分で組み替える方法もご教示いただいた。この巨人、強靭どころか、未だにきゃしゃだった。

NMR物語は2014.12.27から連載

15.1.3

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NMR物語VII

 B-bassラインが正常復帰するも、数週間、時には一週間後に、同じエラーメッセージが表示される。えら〜いことである。不良品を設置されたのではないか。修理のお願いをすると大きなダンボールがいくつも届く。スワップ品である。技術担当者も4人目。導入して半年程度の使用なのに故障の頻度の多さ、同じエラーメッセージに、「なんとかしてよ」と焦燥感もアップする。修理に来られるごとに改めて修理時間を確保。当然、未測定サンプルがたまる。これがたまらない。復帰した後の測定も集中した。「土日対応できないのは、おかしいやろう」やろうとしている実験ができない。担当技術者の自宅の電話番号が記された。中日—巨人の頂上決戦の日、その試合を見ようと気合いも入っていたら、B-bassラインの不調だと、自分の自宅に電話あり。急ぎ駆けつけるもこちらの手に負えない。担当技術者の自宅にコール。「この電話は現在使われておりません」ではなかった。でも留守電だった。不安定な化合物が分解してしまった。

NMR物語は2014.12.27から連載

15.1.2

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NMR物語VI

 13Cの測定ができません。エラーメッセージが出ています。との報告。「B-bassラインが不調」だとか言う。保守担当部門に連絡。「電流不足の可能性があるのでチェックしてほしい」とのこと。はて?・・・打合せで十分な電気回路を確保してもらったはずである。大学の担当部署にお聞きするも剣もほろろ。こちらは「とほほ」な状態である。ともかく確認をしてほしいと担当業者に強く念をおした。保守部門課長の方が登場。「こちら側の電気系は問題ない」という言葉に懐疑的だった。テスターを出して、電気回路の電圧を測定し始めた。1時間ほどして「問題ありません」でも装置には問題がある。分光計コンソールの中を確かめ始めた。部品交換の必要があるとのこと。ありゃbabyにしては健康ではなさそうな予感がした。こんなとき、よう考えるべきである、その後の対応を。学生さんの実験を停滞させてはいけない。一方で装置のリカバーも必要である。時間単位で修理時間を確保しつつ、長期使用できない状態を回避する日が始まった。「We just lost the moon[1]にしてはいけない。

NMR物語は2014.12.27から連載

[1]トム・ハンクス主演「アポロ13号」から

15.1.1

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