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2015年2月

前期日程試験

 試験室に入る。板書の出番でしょ。科目名などを黒板に書く。なかにはスマホでゲームに興じる受験生もいた。ゲームの得点はみるみる上がる。本試験も同様でありたい。受験票の写真と本人照合。こちらをまっすぐに見てもらっても、マスクで顔が隠れる受験生も多い。「これから試験を始めます」の合図で、不必要な机上に置かれた物品が、几帳面にカバンに仕舞われる。試験を受ける際の注意事項を話す。解答用紙、表面(おもてめん)だけと思ってても、裏入りする場合もある。そのときは「裏面にも続く」と書くように指示。決して裏はない。問題冊子と解答用紙を配布。「問題冊子がない」という問題のある人がいないかどうかを聞く。こちらで察するだけではいけない。本人確認が必須。「解答始め」で一斉に問題が開かれる。一様に試験に真剣に取組む。静かな空間。筆記用具の躍動する音。数十年代わらない情景。巡回の順番かいと思って、室内を歩く。消しゴム落としても、問題を見落とさないように、祈りつつ120分、おつきあいした。

15.2.28

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ジアリールヨードニウム塩は

 有機合成では、なじみのあるアリール化反応剤で、結晶で高い反応性を示すことから、調製しやすく簡単に利用できる。しかも用度係も必要ない。形式上ヨウ素原子上に二つのアリール基が乗り、電気陰性の置換基一つもヨウ素上にある化合物である。ただしこの化合物の原子効率は高くはない。二つあるアリール基のうち一つが生成物に組込まれると同時に、ヨウ化アリールが廃棄物になってしまう。その中、英国マンチェスターの研究者らは、系中で精製したヨウ化アリールを二番目のアリール化反応に使えないかと考えた。その結果、反応条件を最適化したところ、インドールの銅触媒によるC-Hアリール化では、C-Hアリール化に続き、同じインドールのN-アリール化も同じ銅触媒で進行し、ヨウ化アリールの用が終わった。記事の題目は「ONE-TWO-PUNCH FOR DIARYL IODIDE REAGENTS」連続パンチを受けるインドール、幸い引導は渡されていない。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 2, p. 28

DOI: 10.1021/ja5124754

15.2.27

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窒素原子を

 余分に組込むという単純な違いで、医薬品開発では大きな違いをもたらすことができる[1]。たとえばエリスロマイシン。ここからケトンを取り除き、代わって三級アミンを組込むとアジスロマイシンができる。これは治療にまい進しすぎるので、より少ない服用回数で、より短い治療期間でしか使ってはいけない。そこで温和な鉄触媒によるC-H結合のアジド化反応が開発された。反応はアジドを含む超原子価ヨウ素化合物を使い、三級のC-H結合をC-N結合に変換できる。結果として得られたアジドは、様々な窒素を含む、アミンやトリアゾールのような官能基に変換できる。反応例の一つとして、植物ホルモンであるジベレリン酸誘導体のアジド化が行われて、最も電子豊富で立体的に込み入っていないC-H結合が選択的に反応した。研究者らは、これによって天然物や医薬品候補類縁体の合成や、蛍光タグや別の部位を複雑な分子構造に直接組込むのに有用であると考えている。アジド化の味を、まじで、占めたご様子です。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 2, p. 28.

DOI: 10.1038/nature14127

15.2.26

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純粋なグラフェンは

 水にも通常の溶媒にも溶けないため、限定的な応用しかできない。そのため酸化などの化学的変換を施して利用されているが、その結果、グラフェン本来の特性が、知らふぇん、ようになってしまう。その中、新しい材料をつくる安価な方法が開発された[1]。すなわちグラフェンを界面活性剤として使い、油中水滴型エマルジョンを安定化させ、水と有機層の界面への引力を十分に活用する。これによって、エマルジョンがテンプレートとなってグラフェン/高分子発泡体が合成された。得られた複合材料は、軽量、強靭で、電子導電性を示すことから、建設材料、高性能キャパシタ電極、触媒担持への応用が期待できる。研究者らによれば、水とスチレンや他のモノマーのような混ざらない液体にグラフェンを加えると、グラフェンシートは界面に沿って、捕捉されて広がり、界面の表面エネルギーが低下する、とのことである。さらにシートは、水滴の周りで薄皮が形成され、水モノマーエマルジョンを安定化する。穏やかな加熱でモノマーは重合し、水が除かれて、堅い発泡体がつくられる。四方八方に新材料が広がりそうである。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 2, p. 28.

DOI: 10.1021/ma5024236

15.2.25

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イミダゾリウム塩から

 簡便(かるべん)に発生できるN-複素環カルベン(NHC)は、遷移金属錯体触媒における配位子や金属を使わない有機触媒として有用である。ただし光学活性体の例は多くはなかった。その中、金属サントイッチ錯体とNHC骨格を組合せることで、新しいタイプの堅い面性キラルなイミダゾリウム環系を合成し、光学活性配位子あるいは触媒として利用できることが報告された[1]。まず始めにサンドイッチの片側がシクロペンタジエニルで、もう一方が偽エフェドリン側鎖を有するシクロペンタピリジニルのフェロセン誘導体が合成された。その鏡像異性体を分離し、さらに変換反応を施すことでイミダゾリウム環系を構築した。この新しい分子は、面性キラリティがNHC配位子触媒上での結合形成反応に伝播している。たとえばアリールホモエノラートのアリールα−ケトエステルに対するエナンチオ選択的付加や、NHC-Ni触媒がフェニルプロピンとアルデヒドの還元的カップリングを触媒し、高い位置選択性と鏡像体過剰率でアルコールが導かれている。「面性を、工面せい」から始まった成果です。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 2, p. 8.

DOI: 10.1002/anie.201410118

15.2.24

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アルカリ金属を

 水に入れると、明かりとともに爆発する。これは金属が水と接したときに、大きな熱が発生し電子が水に移動、蒸気、水酸化物イオン、水素が発生するためであると考えられていた。ただし反応の進行に伴い、金属表面に緩衝層が形成し、水との接触が妨げられるはずであるとも考えられていた、その中、詳細を明らかにすべく、室温で液体のNa-K合金を目盛り付きのシリンジで液滴として水にたらす実験の様子の、超高速写真撮影が行われ、コンピュータで解析された。分子動力学分析の結果は、水にたらされた合金は、たくさんの釘のような破片を形成し、ほぼ同時に水へ電子が移動、陽電荷を帯びたアルカリイオンを形成した。これが激しく反発し、いわゆるクーロン爆発を引き起すことを示していた。さらにこの反応は伝播し、活性な金属表面が生じて全体の爆発を誘発する。なお電荷を帯びた液滴の気相中での爆発については、1882L. Raleighによって明らかにされているとのことである。それでもクーロン爆発に至るまで、苦労〜んしたに違いない。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 2, p. 7.

DOI: 10.1038/nchem.2161

15.2.23

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引越が近い

 見越した準備はそれほどできず。本棚の本をダンボールに入れる。乱暴に扱ってはいけない。本棚のあちらこちらに散在していた本を、分野ごとに取り出してまとめる。同じ本が二冊、それなりの価格である。買ったことを忘れて数年後に再び購入。多分二回とも読み切ってはいない。洋書も容赦なく要所・要所に登場する。光物性、薬化学、有機金属、典型元素、分類分けしては箱に詰める。梱包用の箱に溢れんばかりに入れてしまうと、運搬が難しい重さになってしまう。間が空きすぎると運搬中にガサゴソになる。レトロな本、多分いずれは処分に至るけど今はそのまま。有機硫黄関連、古い分と、比較的新しいものも、あったらしい。英語版と日本語版がない混ぜで、どちらも多い。次にセレン・テルル関連、すべて洋書だった。Amazon検索「セレン」サプリメント満載でカテゴリー「本」にはない。「テルル」出ました。○○写真集。「照れるじゃん。見ているのを発見されたら」という類だった。

15.2.22

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ペロブスカイト材料は

 安価でかつ合成も容易である。太陽光を電気に変える効率も、結晶シリコンのような標準半導体に匹敵している[1]。従来のペロブスカイト電池は、多結晶のメチルアンモニウム鉛ヨウ化物のフィルムが使われている。ただし典型的な微結晶内での電荷移動量は、砕いて結晶欠陥を作成したり、境界を粉に砕くまえには、マイクロメートル以下で、このことが素子の性能を制限していた。そこで、高い品質のミリメートルの結晶を成長させるための、簡単で溶液を使ったテクニックが開発された。二つの研究チームがその方法を報告すると同時に、三番目のチームがミリメートルサイズの粒の多結晶ペロブスカイトフィルムを作成した。このフィルムを使った太陽電池は、18%の電力変換効率を示した。これまでの微結晶ペロブスカイト太陽電池の最高は20.1%で、それには達成していないものの、なかなかの成果であること、それでもさらに改良の余地もあると指摘されている。一方で高い品質の結晶によって、基本的な材料特性に関する、ペロブスカイトからの解答を引き出すことも可能であるかもしれない。ペロブスカイトのこと、すかっと、書いときました。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 2, p. 6.

DOI: 10.1126/science.aaa2725, 10.1126/science.aaa5760, 10.1126/science.aaa0472

15.2.21

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微生物が

 メタンをメタノールに変換する反応で使う酵素の触媒的中間体は、酸素分子由来の二つの酸素原子によって橋架けされた鉄二原子を含むことが、ミネソタ大学の研究者と、志願してきたミシガン州立大学の研究者らによって明らかにされた[1]。化合物Qとして知られている可溶性のメタンモノオキシゲナーゼ中間体の構造はこれまで長い間議論の対象であった。Qをよりよく理解することで、メタンの液体燃料や化学原料への新しい変換方法の開発も可能になる。Qの構造に対する可能性のある構造は、二重に橋架けしたダイアモンドコアか、酸素ひとつが橋架けし末端にFe4+=Oを有するオープンコアの二つであった。今回酵素と16O2, 18O2,  16O18Oとの反応を連続フロー系で行い、Qの共鳴ラマンスペクトルが集められた。その結果、Qは酸素の均一分解で橋架け配位子が生成しダイアモンドコアを形成していた。反応をさらに追跡することで、続いて生成する化学種Tについて、酸素一つは橋架け状態で、もう一つの酸素がメタノールに変換されることも明らかにされた。Qについて急展開、橋架け解明、足掛け何年だったのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 26, p. 31

DOI: 10.1038/nature14160

15.2.20

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フッ素化金ナノ粒子を

 使って、多様なバイオイメージングの名人になった[1]。これによって細胞の分子的あるいは解剖学的な特徴を同時に可視化できる。金ナノ粒子はすでに、X線マイクロコンピューター断層撮影法(μCT)では造影剤として使われている。ただし材料は、ナノ構造イメージング質量分析(NIMS)の様な分子イメージング法では、高エネルギーのため、サンプルである生体分子の解裂が必要以上に起きたり、低い解像度であったりして、相性が悪かった。今回これらの課題解決に研究者らは、低エネルギーレーザーでも分離できるパーフルオロデカンチオール配位子で修飾した金ナノ粒子をつくった。レーザー照射で、配位子は過剰のレーザーのエネルギーを吸収しながら脱離する。ついでNIMS分析のためのサンプルから検体である生体分子を穏やかに脱着させることができる。さらにフッ素化金ナノ粒子はμCTの造影剤としても利用できるため、二面の多様なイメージングを可能にしている。なのでイメージソングもつくりたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 26, p. 31.

DOI:10.1038/ncomms6998

15.2.19

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紀元79年

 イタリア、ベスビオ山が噴火し、古代ローマの都市のひとつヘルクラネウムも灰に埋もれて廃墟になった。いわば入っていきようがなくなった。それから1700年ほど経過した頃、考古学者らは昔の図書館とパピルスの巻き物を発見した。これらの焦げて炭化した巻き物は、歴史的さらには文学的な書物の宝庫であると信じられてきた。ただしこの巻き物を開き、それらを解読しようとすると崩壊する傾向にあった。そこで研究者らは、X線位相差顕微鏡断層撮影法を利用すれば、巻き物を開かずに読むことができることを明らかにした[1]。これまでX線イメージング法が考古学的な発見で利用されていたが、それらは、材料の吸収の違いに依存していた。ただしヘルクラネウムの巻き物の炭化したパピルスや炭素を使ったインクは、吸収では区別することができなかった。それに対して屈折率が異なっている。この光学特性の違いが、巻き込まれたサンプルに浸透するX線で違った相変化を引き起こし、書かれた文字を再構築できる。最高です。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 26, p. 31.

DOI:10.1038/ncomms6895

15.2.18

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微小孔性の

 シリカアルミナ材料であるゼオライト族は、工業用の触媒や分離のための、かなり貴重な資源である。一般に材料は、大量の水あるいは別の溶媒を使い、そのため最終収率が減少し、大量の汚染した廃棄物が生じる[1]。これに対して国際的な共同研究チームは、簡単でかつ溶媒を使わない、いわばヤ(ヨウ)バくない方法で、様々なタイプのゼオライトを合成する方法を開発した。これによって環境負荷を大幅に削減することができる。これまでも溶媒を使わないゼオライト合成法は知られていたものの、それらはシリカゲルの水和したものを使っており、工業的には無水材料が必要であるため、工業的応用を制限していた。新しい方法では、無水シリカゲル、フッ化アンモニウムとアルキルアンモニウムゼオライトテンプレートを室温でかき砕き、ついで混合物を240 °Cまで加熱する。これによって単純化とより高い収率を達成している。なおここでフッ化物は無水ゼオライトの結晶化を促進しており、solvent-freeで溶媒の奪い合いもなくなった。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 26, p. 30.

DOI:10.1021/ja5124013

15.2.17

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80年前に発見された反応を

 利用して積極的にカプセルを開き、香料、農薬や他の揮発性化合物を送り出す方法が開発された[1]。すなわち香料と風味を製造する会社の研究者による、2-オキソアセテートの光分解反応によるポリウレアマイクロカプセルを押し開ける系である。紫外光と酸素存在下では、2-オキソアセテートは反応し、ケトン、カルボン酸、二酸化炭素が発生する。もしここで酸素がなければ、ケトン、アルデヒド、一酸化炭素が発生する。これらの反応で発生するガスは、マイクロカプセルを、マイ苦労なしに空けるに十分である。類似の戦略は窒素ガスを使ってマイクロカプセルの壁を破ることが30年前に報告されたものの、この方法が、活性な化合物を放出させるために使われることはなかった。それに対してここでは、2-オキソアセテートと香料化合物とを組合せることや、あるいは香料前駆体分子を2-オキソアセテートから導くことも可能になり、カプセルが解放されるとともに、これらも飛び出す仕組みである。なおカプセルに、何かをかぶせると光反応は起こらないかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 26, p. 30.

DOI: 10.1002/anie.201410778

15.2.16

 

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メタノールやギ酸のような

 単純な分子は、太陽光や別のエネルギー源で水素を発生させることができる魅力ある分子である。水素発生に使われる通常の触媒はRuIrなどの高価な金属触媒だけど、それに代わって、それほど価格は高くなくて同様の効率の金属が探索されている[1]。その中、今回モリブデン錯体が候補であることが報告された。シクロペンタジエニルモリブデン水素化錯体、ここでMo0価から三価までの価数をとり、COPMe3が配位子である。配位子の組成と反応条件次第で、ギ酸から水素と二酸化炭素が発生する場合や、触媒付近から不均化によってメタノール、水、CO2が発生する場合、さらに触媒は、ギ酸を反応剤としてケトンやアルデヒドに水素移動も可能にする。脱水素から不均化、ついで水素移動と、触媒の活性が異なる反応を選択的に行えること、またそれが単に配位子で制御できる点は、再生可能エネルギー開発にとっても重要である。モリブデンの武勇伝でした。ちなみに武勇伝:ぶうぶう言うことではありません。

[1] Chemical & Engineering News, 2015, January 26, p. 30.

DOI:10.1039/c4sc03128h

15.2.15

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年間およそ2億トンの

 アンモニアが生産され、肥料や含窒素化合物の合成に利用されている。合成はHarber-Bosch法で、水素と窒素を400 °C、大気のおよそ250倍の圧力雰囲気下で反応させる。鉄を含む触媒を使用するこのプロセスは「かわらんもにあ」と数十年に渡って稼働している。一方で自然界でも窒素分子はアンモニアに変換される。いわゆる窒素固定で、ニトロゲナーゼ酵素を持つ微生物の中で、反応は遅いものの、かなり温和な条件で進行する。これらの触媒は、鉄、モリブデン、硫黄の反応性クラスターを含む。このエネルギー効率の高い系に倣った系がいくつも合成され、そのうちいくつかが触媒活性を示す。その中今回、Sn2S6が連結したMo2Fe6S8クラスターからなる光吸収できる多孔性アモルファス固体であるカルコゲルが、開発された。これと、プロトン源(ピリジニウム塩)に電子供与体(アスコルビン酸ナトリウム塩)を含む水溶液に、窒素ガスを吹込んだ。そこに白色光を照射したところ、照射中のアンモニア濃度が上昇した。現状、反応は遅いものの、72時間後でも、焦げることもなく、カルコゲルは安定だった。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 26, p. 8.

DOI: 10.1021/ja512491v

15.2.14

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旭化成が

 完成させたプロセスの一つは、ホスゲンやエチレンオキシドを使わないで、CO2とアルコールから直接ポリカーボネートを導くものであり、これによって2014ACS Heroes of Chemistry Awardが授与された[1]。加えてプロセスの有効性を実証するために、2017年にはこのCO2を化学原料とする年間百万トンのプラントが倉敷で稼働する。日本から話変わってドイツ、Bayer。ポリウレタン製造のための架橋したペンタメチレンジイソシアナート(PDI)を開発している。しかもPDI70%は、飼料用のコーンのようなバイオマス由来でおますそうで、食糧供給源とは直接競合しない。近年の「環境調和」の考えにならって、顧客は、より環境適合性を指向する傾向にある。そこでこのPDIをポリウレタンだけではなくて、コーティングや接着剤にも応用することも見据え、この四月には新しい製品を提供する。加えて2016年には、年間二千万トンの製造をもくろみ、その後、たくさん売れたんや、も目指している。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 26, p. 8.

15.2.13

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金を触媒とする反応の有用性が

 過去10年以上にわたって実証されてきた。ただしそれらはAu(I)を使った反応である。それに対してAu(III)触媒は、それを調製するために扱いにくい反応剤を使う必要があること、また得られたとしても安定が低く、こりゃあ「あかんてい」ということで、利用するのが困難だった。その中、Au(I)化合物を炭素炭素結合に挿入させる、いわゆる酸化的付加によって、安定なAu(III)触媒がつくられた[1]。金は通常、一価の酸化状態を好み、Au(III)からAu(I)の還元的脱離が熱力学的に有利なプロセスである。それに対して、系に「ひずみ(strain)」を加えることで三価錯体が調製できた。ビフェニルの二つのベンゼン環のオルト位がAuに結合し五員環を形成した錯体が記されている。しかもこのAu(III)錯体は、Au(I)触媒とは異なる挙動を、向山アルドール反応やDiels-Alder反応でも示す。「金属の電子的な性質を変化させることが出来たために、違った反応性を引き出すことができたのかも」と責任著者は述べている。金さんの活躍が絶賛されている。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 26, p. 8.

DOI: 10.1038/nature14104

15.2.12

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67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星

 名前も複雑だけど、形態学的にも複雑な彗星であることがわかった[1]2014年ヨーロッパ宇宙機関の探査機ロゼッタがその周回軌道に到達。集会の開催は確認されなかったものの、ロゼッタが8月、9月に送ったデータでは、水星表面が期待されていたよりも不均一で、くぼみや平らなど5つの地形のカテゴリーが同定された。一方で彗星の表面のスペクトルは、化合物組成は、違った表面でもほぼ同じであり、これは、ちりが大きく拡散したためであると考えられる。すなわち67P彗星は、様々な炭素水素あるいは酸素水素官能基を含む高分子状の物質で覆われており、これらは、彗星が誕生したときに、存在したCH4, CO, CO2, CH3OH, CH2Oの氷に由来し、宇宙線や紫外線照射により反応して生成したものであると考えられている。これらはロゼッタからの2ヶ月間のデータによるもので、今後さらに詳細なデータを収集することが大いに期待されている。ロゼッタ、絶対にね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 26, p. 6.

DOI: 10.1126/science.aaa0628

15.2.11

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フェノール・ホルムアルデヒド樹脂は

 ボードのコーティング剤や接着剤として広く利用されている。ただし「ホルムアルデヒドに発がん性があるで、ひどいのでは」ということが発見されて以降、ホルムアルデヒドを含まない同様の樹脂が探索されている[1]。その中今回、ホルムアルデヒドを使わない上に、直接的に樹脂を製造し、硬化する方法が開発された。クロム・テトラメチルアンモニウム塩を使い、グルコースがヒドロキシメチルフルフラール(HMF)に変換された。ついで同じ反応容器の中、HMFとフェノールが重合された。また硬化剤としてヘキサメチルテトラミン(HMTA)が利用されているものの、アンモニアとホルムアルデヒドに分解するため、課題の多い化合物になってきた。そこでここではそれに代わって、可溶化リグニンをアルキル硬化剤として使っている。全体として、ノボラックフェノールホルムアルデヒド樹脂と同様の構造を持ち、典型的なHMTA硬化フェノール樹脂と比較しうる、ファイバーグラスで強化された複合材料が提供されている。新しい硬化法も公開された。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 19, p. 25.

DOI: 10.1002/aic.14716

15.2.10

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溶質は

 これまで考えられていた以上に長い距離まで、溶媒のネットワークに影響を及ぼす可能性が、二つのグループから明らかにされた[1]。この結果は、溶媒の分子や粒子の安定性や反応性にいかに影響するか、さらに溶質が溶媒の特性にどう影響するかを理解する一助になり得る。研究者らは、コロイド金属や金属酸化物のアルコールやヘキサン中での効果を、高エネルギーX線散乱を使って解明した。その結果、ナノ粒子は、直径が2.5から7 nmであり、このナノ粒子表面から 2 nmの距離にある溶媒を配列させ、それらは溶媒全体とは区別できる状態だった[1]。一方別の研究者らは、赤外光解離スペクトルを使って、水中でFe(CN)63-の気相クラスターの構造を解明した。ここでは単一のFe(CN)63-分子が水分子を配向させ、最大70個の水分子を含むクラスター表面の水素結合ネットワークに影響を及ぼしていた。このクラスターはイオンから、半径およそ0.8 nmだった。溶質のこと「よう知っているわけではなかった」和室ででも考えてみましょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 19, p. 25.

[2] DOI: 10.1126/science.1261412

[3] DOI: 10.1021/ja5119545

15.2.9

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リチウム・空気電池(Li-Air)

 陽極でLiを酸化、陰極で酸素を還元、リチウムイオン電池と比較して重さ当り概ね10倍のエネルギーが獲得できるとされている。ただし放電の際にLi2O2のような酸化リチウムが生じるために、動きが緩慢で寿命も短い。また生じた酸化物は、電極表面に堆積し、バッテリーの化学反応を駆動する触媒部位が埋もれ、ヘバッてりーになってしまう。その中、この課題を緩和するために、バッテリーのデザインの改良が行われた。すなわち触媒であるPdナノ粒子が分散したポリアクリロニトリルナノファイバー製のメッシュの膜もデザインした。研究者らは、ファイバーがバインドしたナノ粒子上で、酸素を変換する電極を膜でカバーし、LiO2生成を抑制するようにした。これによって放電の間、新しいナノ粒子が残り、逆反応を触媒することができる。また膜のないバッテリーは通常40サイクルで劣化し始めるけど、今回のものは60サイクルでも安定で、さらに効果的に作動する。お先真っ暗だったかもしれないLi-Air、膜を使って、うま〜く幕が開いた。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 19, p. 25.

DOI:10.1021/nl503760n

15.2.8

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アンモニアは

 化学では、最も単純で最もふんだんなN-H源であり、すべての含窒素化合物は、この安価な化学原料から合成しうる。ただし「安価」でもあかんなという点は、工業的には不均一系触媒を使って高温高圧で反応させなくはいけないことである。その結果、選択性も中程度に留まっている。ごく最近化学者は、均一系Pd触媒を用いてこの反応を探索し、温和な条件で選択的なアンモニアカップリング反応を可能にした。さらに今回、カナダの研究チームは、この高価なPd触媒に代わって安定なNi触媒を使った系を報告した[1]。反応はNi(COD)2あるはNiCl2(ジメトキシエタン)にJosiPhosとして知られているフェロセニルホスフィン配位子を組合せて、様々な置換芳香族やヘテロ芳香族ブロミド、クロリド、トシラートをアンモニアと反応させ、幅広いアリール、ヘテロアリールアミンが導かれている。ちなみにJosiPhos、女子だけではなくて、男子も欲することができる。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 19, p. 24.

DOI: 10.1002/anie.201410875

15.2.7

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フラグメント分子を

 もとにした創薬(Fragment-Based Drug Discovery, FBDD)2アミノチアゾール(2-ATs)はしばしばヒットする[1]。以前の研究では、NMRによる解析を使って14種類の異なるスクリーニングでそれがピックアップされた。そこで表面プラズマ共鳴を使って、6種類のタンパク質標的に対して、すべての2-ATsのバインドする部位の特定が試みられた。そのうち4-フェニルチアゾール-2-アミンでは、6種類のアッセイすべてでポジティブな結果になってしまった。他のいくつかの2-ATsも少なくとも5種類の標的にバインドした。加えて、一連の2-ATsの標的への分析結果から、構造と活性の相関が明確に引き出されることはなかった。実際多くの既知の薬には2-AT基を含んだものも多いものの、2-ATフラグメントを含み、弱くかつ選択的にバインドさせる化合物の開発は極めて困難であるもののやりがいも多い。「こんなん」でしたと示すこともできる。ただし研究者らはFBDDのためのスクリーニングからこの尻軽の2-ATsを除外するようにアドバイスしている。記事の表題をプラッとみると、2-ATsを「PRATS(間抜け)」とも呼んでいる。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 19, p. 24.

DOI: 10.1021/jm501402x

15.2.6

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ROMP

 開環メタセシス重合反応をノルボルネンに施すと、衝撃吸収剤やグリップ力の高い材料さらには水ろ過剤として利用できるポリノルボルネン(商品名ノルソレックス)を導くことができる。また同様に製造されたポリジシクロペンタジエンは、トラクターのボディや建築材料として使われている。一方でこの高分子合成では、ROMPの際に用いる遷移金属触媒が残存し、電子材料へ応用した場合に、伝導性や電気容量に影響する。また生体へ応用するときにも、それらの金属は毒性を示す。その中これらをavoidするためにBoydstonらは、金属に代わって、電子豊富なビニルエーテルの一電子酸化で発生させたラジカルカチオン種を使った[1]。ラジカルカチオンは、二重結合と反応し、シクロブタンラジカルカチオンが発生する。もし二重結合がノルボルネンのような小員環の一部だった場合には、環のひずみが開環を促進し重合が開始される。探索の結果、光酸化還元反応がラジカルカチオン発生に適した方法であることを突き止めた。現状、出発化合物の候補として、ノルボルネンのみが登るねんけど、今後その範囲拡大が期待される。「新型ROMP[2]で大はしゃぎ」とまではいかないようです。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 19, p. 6.

DOI: 10.1021/ja512073m

[2] romp:はしゃぎ回る、いちゃつく など

15.2.5

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アルケンに対して塩素が付加

 する反応は、有機化学を学んだ初期に登場する反応で、Cl+がクロロニウムイオンを形成し、そのC-Cl結合と逆側からCl-が攻撃する。いわゆるアンチ機構で、シン機構はしんどいとされている。それに対して今回二つの塩化物イオンをシン付加させる反応が開発された[1]PhSeCl3とアルケンの反応でセレノニウムイオンが形成される。この場合五配位Seである。それに対して塩化物イオンがアンチで付加するも、片方のC-Se結合はそのままでここでは四配位Seである。そのC-Se結合の反対側から塩化物イオンが再び攻撃し、結果としてアルケンに対して塩素がシン付加した生成物に至る。一方で脱離基として作用した[PhSeCl2]-からCl-が脱離してPhSeClも生成する。これが酸化されて、アルケン付加に再び参加できるようになり、有機セレン反応剤は触媒的として作用できる。「触媒と反応剤は単純で容易に利用できること、さらに言えば、反応の概念が、広く利用されるでしょう」とコメントされている。セレンを使った見せれる反応がまた増えた。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 19, p. 5.

DOI:10.1038/nchem.2141

15.2.4

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鎖状Z-アリルアルコールは

 有用である一方で、合成が簡単ではない分子骨格である。それに対して新しいRuジスルフィド錯体を触媒とする新しい合成法が開発された[1]。市販品である前駆体と容易に発生できる空気中安定なカテコールチオール亜鉛錯体とから触媒が調製された。この触媒は、Z-2-ブテン-1,4-ジオールと他のアルケンとのZ選択的クロスメタセシス反応で、理想的に作用し鎖状のZアリルアルコールを与える。クロスメタセシス変換の間、二つの炭素炭素二重結合が反応し、結合パートナーを入れ替える。これによって、アルデヒド、カルボン酸や嵩高いグループを有する様々なZ-アリルアルコールを導くことができる。たとえば、オレイン酸をメタセシスのパートナーとすることで、一挙に抗真菌薬も、親近感を持って高い選択性で合成されている。加えて別のZアルコールも生成し、これも立体選択的有機合成に適用できる。カテコールチオラートの活躍に拍手・喝采。カーテンコールのRu触媒だった。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 12, p. 25.

DOI: 10.1038/ature14061

15.2.3

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安価な材料である

 ペロブスカイト結晶構造を使った太陽電池の開発が急速に進む中、電子的に有望ではあるものの、化学的には不安定な光吸収する化合物を、持続的に利用できる方法が開発された[1]。この分野の研究では(MeNH3)PbI3が注目され、類縁体であるHC(NH2)2PbI3は、太陽電池が吸収する太陽放射の範囲を増加させることができる。ただしこの化合物は、ただちに望ましくない、黒いペロブスカイトから黄色の非ペロブスカイトへの相転移を引き起こし、もはや幅広い吸収をせず電荷移動能力も低下してしまう。そこで研究者らは、先のホルムアミジニウムとメチルアンモニウム臭化鉛(MAPbBr3)との、ある一定割合におけるブレンドを工夫して、性能を向上させた。最適化はしていないけど、モル比0.15MAPbBr3を混合した電池は、18.5%効率の太陽電池になった。この値はペロブスカイト型としては最高の20.1%に近い値である。ここに、ペロブスカイト型向上の解答があった。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 12, p. 24.

DOI: 10.1038/nature14133

15.2.2

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ゾルピデムは

 睡眠薬として広く知られている化合物で、有効な抗結核菌作用を示すイミダゾ化合物と類似な構造を有している[1]。そこで研究者らは、せっかくなので、ゾルピデムにも抗結核菌作用があるかどうかの検証が行われた。ゾルピデムそのものは、中程度の効果で最小発育阻止濃度(MIC)10 μMである。ただしゾルピデムの構造の一部を転位させた異性体は、MICが相当に向上し、ある化合物では、MIC0.004μMを示した。研究者らは、異性体からさらに様々な類縁体を合成し、合計15化合物について、ドラッグに繊細である、あるいは多くのドラッグに耐性を示す、あるいは広範囲薬剤耐性の、結核菌に対して、臨床的に意義があるかどうかテストされた。様々な病原菌に対するアッセイの結果は、化合物はヒト型結核菌に対して選択的であることを示していた。これまで化合物は、細胞株でのテストに留まっており、動物モデルでのそれは実施前だけど、最適化合物を選定する研究が進行中である。ドラッグに仕上げること「どえらい楽」とはいかない。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 January 12, p. 24.

DOI: 10.1021/id500008t

15.2.1

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