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2015年3月

スペインの建築家

 アントニオ・ガウディ(Gaudi)が、遷移金属錯体を設計したとしたら、トリス(ヒラゾリル)ボレートW(NO)[PMe3](h2-ベンゼン)のような分子だったかもしれない。ただしガウディは、違うでぃと言うかもしれない。それでもこの相当に派手な(gaudy)分子は、フェノール、ピリジン、ピロール、ナフタレンの様な芳香族化合物をバインドさせ、その後、それらを脱芳香族化させることができる。この反応は天然物や他の生理活性化合物の鍵となる骨格を構築する大切なステップである。一方でW反応剤はラセミ体混合物として調製されており、その結果、先の反応生成物もラセミ体混合物であり、合成をさらにすすめる時にはそれらを分離しなくてはいけなかった。その中研究者らは、W錯体の(R)および(S)体を導く方法を開発し、それをエナンチオ選択的脱芳香族化反応に利用した[1]。まずW錯体のジメトキシベンゼン類縁体がL- またはD-ジベンゾイル酒石酸でプロトン化され、錯体のジアステレオマー塩の一方が選択的に沈澱した。それによって光学分割し、脱プロトン化などを経て、光学的に純粋なW錯体を得ることができる。ガウディさん、今度は錯体、買うでぃと言ってくれるかも。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 9, p. 34.

DOI: 10.1021/jacs.5b00490

15.3.31

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リグニンは

 燃料や基幹的な芳香族化成品の効率のよい資源になりうる、豊かなバイオマス原料でおます。課題は、フェノールバイオポリマーを切断し得られた芳香族アルコールやメチルエーテルを脱酸素化する、実用的な方法を開発することである。ここで障害になるのは、酸素官能基が置換した芳香環では、C-O結合の水素化分解よりも、金属触媒による水素化が優先して起こる点である。それに対して東京大学の研究者らは、一連のIrヒドロキシシクロペンタジエニル触媒を使って解決できるかもしれない系を報告した[1]。その触媒は、芳香環を分解することなく、アリールあるいはメチルC-O結合を選択的に水素化分解することができる。実際に、置換フェノールやナフトールの脱酸素化を行い、ベンゼンやナフタレンを導いている。さらにリグニンのモデル化合物であるバニリルアセトン、ここには三つの異なるC-Oを含む官能基があるけれども、それのブチルベンゼンへの変換も行っている。他をぶっちぎる成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 2, p. 29.

DOI: 10.1038/ncomms7296

15.3.30

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IC乗車券

 のお陰で、切符を買わなくてよい。ここでは消費税8%で計算された料金が引き落とされるらしい。一円単位の料金である。学会会場のもより駅、そこではかつて、「帰りの切符の購入のすすめ」を駅員さんが連呼されていた。その風景はもうない。今回は津田沼にあるホテルを宿とした。そこから新京成電鉄に乗る。神経戦になるわけではない。しばし安らいだ後「北習志野に、来たらしいのう」と降車駅を確かめて乗り換える。東葉高速鉄道に乗換えて一駅を、高料金電車で移動。学会には大学の理工学部と薬学部を会場として提供していただいた。この二つの間の行き来、滑走路ではないかと思うほどの広大な道。上空には双発のヘリが飛ぶ。有機化学関連は三つの建物が主な会場だった。四階にあるE会場から一旦一階へ、次に隣の建物のG3会場へ移る。じいさんには、ちょっとしたエクササイズだった。この移動で身体のサイズの変更も可能か。D2会場、一階だった。でも発表者はD1D3の学生さんだった。

15.3.29

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しなやかな高分子に

 取り付けられた品やがな、ならぬ液晶でできたソフトマテリアル、加熱や化学的な刺激で、平板なシートから三次元の物体に変化する[1]。液晶エラストマー(LCE)として知られている材料は、航空宇宙、医薬品、包装材料や調節できるアンテナのような消費者のための商品として利用できる。液晶は、液体のような流動的な配向を持つと同時に、結晶として配列している材料である。その可視偏光の変化で、光を遮断したり透過したりすることができるために、液晶ディスプレイテレビセットにもなる。それを三次元に変化させるために空軍研究所の研究者らは、光を使ってアゾベンゼンをもとにした液晶を配列させ、それらをポリ(β-アミノエステル)ネットワークに重合させた。最初のデザインに依存して、生じたLCEは、円錐状の作動装置や分子蝶番のような様々な形に変化する。「だれでも液晶できそう」ではない。エラストマーに仕上げた人、えらいすと思いま〜。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 2, P. 29

DOI: 10.1126/science.1261019

15.3.28

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サンゴ礁は

 相当に多彩なエコシステムを維持しており、それらを囲んでいる水には、生命に必須な元素であるリンが含まれていないようである。その中今回、サンゴのような海綿動物に棲むバクテリアが十分なリンを吸収し、それをポリリン酸として食物連鎖に供給していることが明らかにされた[1]。研究チームは顕微鏡で、窒素固定バクテリアを探していたところ、フロリダキーズに生息するホラ貝礁から得た三種類の海綿は、ポリリン酸の粒を含んでいることを、偶然にも発見した。そこでチームの大学院生は、DNAにバインドすると青色蛍光発光する染料でバクテリアを染色した。が青ではなくて黄色蛍光が観測された。これはポリリン酸が染料にバインドしたことを示しており、さらにエネルギー分散X線スペルトルでも化合物は確認された。加えてポリリン酸は、海綿と共生する微生物や海綿の細胞から培養したバクテリアでも、観測されたことから、それは微生物由来であることを示していた。サンゴ礁、響きは沙悟浄に近いですが、西遊記には登場しないと思います。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 2, P. 29

DOI: 10.1073/pnas.1423768112

15.3.27

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地球の奥深くで起こる

 地球規模での炭素循環に影響を与えるプロセスは、他で起こる場合よりもかなり速度は遅い。それでもそれは、大気中の炭素の量や地球の気温に影響を及ぼす。ただし地球の奥深くに埋められた炭素や、炭素化合物の構造については議論のあるところだった。その中、研究者らは、シンクロトロンスペクトル法と量子計算を使って、地球深部に貯蔵されていると考えられている強磁性体である鉱物の一つであるMg0.25Fe0.75CO3の研究を行った。この鉱物、人の好物にはならないかもしれないが、に地殻で見られる超高圧・温度がかけられた。その結果、80ギガパスカル以上の圧力では、炭酸塩の部分が、三角形のsp2結合したCO3相から四面体のsp3結合したCO4相に変化することがわかった。この相は、異なる化学反応性を示す。そのため高圧相は、より粘性が高く、地殻の中での炭酸塩が融解したものの動きを抑えているものと思われる。地殻のお近くまで迫って確かめてみたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 2, P. 29

DOI: 10.1038/ncomms7311

15.3.26

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セスキテルペンである

 天然物のアルテミシニンやその誘導体は、マラリアとの戦いでは、効果的な治療に利用される。今回新しいタイプの水素化方法が、それらの合成での障害を取り除く一助になることが報告された[1] アルテミシニンは現在、改変したイーストによって生産される中間体であるアルテミシニン酸から合成する経路と、中間体としてジヒドロアルテミシニン酸を使った、連続フロー系による合成法の二つがある。ただしアルテミシニン酸をジヒドロ化体へ還元するための、高効率大量法が、「あるて」ではなく、欠如していた。そこで、触媒を使わないフロー反応器法が開発され、安価なヒドラジン水和物(N2H4•H2O)と酸素とから、ジイミド(N2H2)を発生させ、それが先の酸の水素化剤として利用された。この方法では、水素分子や、水素化反応ではしばしば利用される高価な金属触媒を用いることはない。さらに窒素分子が唯一の副生成物である。ジイミド、君もどう、使ってみるのは?

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 23, P. 35

DOI: 10.1002/chem.201406439

15.3.25

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セラミックスや合金のような

 固体の性能にとっては、原子がお互いどのように配列しているかは、重要である。電子顕微鏡を使って、固体状態の材料を、オングストロームスケールの正確さで観測することはできるけれども、微妙な、ふいに起こるサンプルの動きによって、重要な構造の詳細が曖昧になることは避け難い。その中、走査型透過電子顕微鏡が使われ、ピコメートルスケールの正確さで、結晶格子のゆがみが明らかにされた[1]。顕微鏡の電子ビームのスキャンする方向を回転させることでサンプルのドリフトを、リフトを使わず修正し、ランタン、ストロンチウム、アルミニウム、タンタルを含む金属酸化物で、これらの原子の位置を直接可視化することができた。研究者らは、サンプル中のAlTa原子は、近接する酸素原子と共有結合によって効果的に閉じ込められていること、一方でLaSr原子は、位置を変化させる自由度があることがわかった。セラミックス、いろんな原子がミックスされている。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 23, P. 35

DOI: 10.1063/1.4908124

15.3.24

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テルペン族の多くの分子は

 天然ゴム、メントール様の香り、ステロイドやアルテミシニンのようなドラッグを含む。酵素は、これらのテルペノイド化合物をエレガントに組合せることができる。その折には、五炭素がユニットになって、カルボカチオンを続けて生じる系に従う。ただし同じタイプの反応は、反応容器内でのことは、よう聞かん。実際、激しい反応条件が必要で、しかも複雑な混合物が得られることが多い。その中研究者らは、テルペンの二つの異なる端を環化する反応を触媒する分子カプセルを考えついた[1]。カプセルは環状化合物であるレゾルシナレン部位が六つと水分子が八つで構成されている。それはブレンステッド酸として作用し、1,2-転位が起こるには十分な間、カルボカチオンを安定化し、たとえば酢酸ゲラニルのα-テルピネンへの環化反応を達成する。カプセル内の反応で、この類の環化反応を、酵素はどのように触媒するかにもスポットをあてることができる。カプセル、出発化合物に、かぶせるわけではない。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 23, P. 35

DOI: 10.1038/nchem.2181

15.3.23

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フィンランドの

 オーランド諸島近く、誰もおらんど〜ではない。1849年頃に沈没した難破船から、ダイバーによって、だいぶはないけど、ビール瓶が回収された。これによって考古学的に、かつて船上で酒盛りをしたビールについて考察をすることができる。このバルト海に170年間沈んでいたビール二本が、現代のビール分析で通常使われるクロマトグラフを使って分析された。さらにビールの味を評価するbeer tasterにもビールを体験してもらった。その結果、ビール瓶には、違ったバッチのホップからつくられた、異なる二種類のビールが含まれているようであった。ただしどちらのビールも現代のビールと同様、公募はしないけど、酵母によって誘導される香り化合物を含んでいた。それでも、より心地よい香りは、二世紀近くも、ビールを餌としていたバクテリアによって生産されたと思われる、酸っぱくて、ヤギのミルク様の有機酸で隠されていた。ちなみに19世紀始めのビール、浴びーるほど飲んだ人いたのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 23, p. 35.

DOI: 10.1021/jf5052943

15.3.22

 

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紫外光がDNAに

 損傷を与えるのはピコ秒で起こる。それに対して紫外線にさらされた後に、DNAが損傷する、いわばそんでしょうという機構があることがわかった[1]。その暗くなってから起こるプロセスは、日焼けや他の害のある紫外光から、ほ乳類を守る色素であるメラミンから導かれる化合物が関わっている。すなわちメラニンによってDNA中にシクロブタンピリミジン二量体として知られている損傷ができ、これが突然変異を引き起して、皮膚がんの一種である黒色腫を引き起す。これらの損傷は、紫外光による直接のDNA損傷と同じである。紫外光は酵素を刺激して、スーパーオキシドと酸化窒素が生じる。これらのラジカルが反応し、ペルオキシ亜硝酸を与え、それがメラニン高分子を酸化し分解する。ペルオキシ亜硝酸はこれらの分解物と反応し不安定な化合物を与える。さらにそれらが分解し、電子的に励起した化学種になって、このエネルギーがDNAに伝達されて、DNAはダメージを受ける。イメージできますか。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 23, p. 7.

DOI: 10.1126/science.1256022

15.3.21

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リンゴを切って

 しばらく放置しておくと茶色になっちゃいろ」である。これは酵素であるポリフェノールオキシダーゼ(PPO)によって引き起される[1]。そこでその遺伝子の発現を、遺伝子抑制あるいはRNA干渉と呼ばれるプロセスで抑えることができれば、PPOの生産も少なくなり、リンゴが茶色っぽくなることも防げる。遺伝子工学によって生産されたこのリンゴ、Arctic Granny and Arctic Goldenの名で販売され、そのことを米国農務省が認可した。それに対して、リンゴの生産者は、生物工学によってつくられたリンゴと通常のリンゴの区別がつかないではないかと苦言を呈している。実際には、ある一つの酵素の発現を抑えただけで、他の成分や栄養素は、通常のリンゴと同じであるという会社側に対して、消費者や、環境グループは、リンゴの安全性が米国食品医薬局では評価されていないこともあって、安全性に懸念を抱いている。2016年の終わり頃には、売り出されるらしいが、消費者が購入するかどうか、未だにわからない。リンゴのこと、隣国の話でとどまらないかも。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 23, p. 5.

15.3.20

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Food Babeの名前で知られた

 

 議論好きなブロガーであるHari氏のキャンペーンの結果として、米食品会社General Millsは、抗酸化剤であるBHTを穀物類から除くことにした[1]。ただしGeneral Millsは、ブログによるものではなく、独自の検証の結果であるとしている。Hari氏は、針仕事はするかもしれないけど、科学者ではない。それでも食品添加物に関するブログは大きな流れを生み出す力を持っていて、たとえばSubwayサンドイッチは、生地改良剤であるアゾジカルボンアミドを使わなくなった。米国の穀物類には、少量のBHTが含まれているが、これによって野菜オイルからの悪臭発生を予防している。BHTが直接添加される場合もあるが、通常は包装用のプラスチックや紙の裏地に含まれていて、そこから食品に移動する。BHTFDAが承認しているものの、包装に使われる量がどの程度の被害があるかの科学的検証は行われていない。天然から得られる抗酸化剤と同様の抗癌効果がある可能性もある。ただし大量をネズミで研究した結果は、人にはない臓器である前胃のガンを引き起す。なおBHTに代わって、ビタミンEAC、ローズマリーやタイム・ハッカの抽出物が使われている。食品添加物、展開も速い。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 23, p. 6.

BHT3,5-(t-ブチル)-4-ヒドロキシトルエン

15.3.19

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歯のエナメルは

 過酷な環境にある。強敵の口内バクテリアによって発生する腐食性の酸に囲まれ、食物を砕く摩耗にも耐えなくてはならない。ただし秩序だった結晶であるヒドロキシアパタイトナノワイヤが、エナメルが壊れることを回避させ、それが材料の大部分を構成していることが知られている。それに対して新しい研究では、わずかに存在するアモルファス化合物が、かなりの硬さや腐食に対する抵抗性をエナメルに付与させていることが提案された。まずうさぎやネズミの真珠のようなエナメル、酸の腐食に、より強くてより硬い着色したビーバーのエナメルを集めることにした。ついで様々な物理的な手段を用いて、これらの複雑な構造が解析された。その結果、通常のエナメルのアモルファスな部分は、主にマグネシウムで置換したリン酸のカルシム塩(Mg-ACP)であることがわかった。さらにビーバーのエナメルでは、Mg-ACPが、鉄を含むミネラルやリン酸と置き替えられていた。これらの結果をもとに、虫歯の予防や最小限にするためのエナメル強化策を導くことが可能である。ビーバーでもフィーバーした成果である。

Chemical & Engineering News, 2015, February 16, p. 27.

DOI: 10.1126/science.1258950

15.3.18

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地下鉄を

 誓って使わない」というわけにはいかない。東山線名古屋駅。平日の昼間、多くの人が電車を待つ。キャスター付き鞄「人にきゃすった〜」にならないように慎重に引っ張る。中には25組の分子模型。儲け話ではない。いわゆる出前講義。高畑行きに乗車。目的地を確かめる。他ごとをやりながらの乗車、乗り過ごしに注意。栄、見境もなく降りはしない。千種駅、道草せずに先へ。今池、まあいいっけ、さらに先である。駅を降りるとレトロな雰囲気と今風なムードが混在した町が広がる。「ランチ、いらんち」を回避すべく、昼食を済ませて目的地を目指した。広大な運動場、モダンな建物、ゆとりのある造り、厳かで文化的な雰囲気。講義をさせてもらう部屋は、近いけど地下だった。抜群の視聴覚設備、ワイドビューな廊下側の窓。授業の様子が一望できる。爽やかさが漂う制服、躍動感のある視線を浴びる中、90分が過ぎた。ケミストリー関連のストーリー、一〜人〜でも多くの生徒さんにわかってもらえたかな。「どこでも化学」である。

15.3.17

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がん細胞が

 元気に育つためにはグルコースが、フルコースとして必要である。そこでこのがんの糖鎖が足りない状況で、18Fフルオログルコース(18F-FDG)を利用して、腫瘍を陽電子放出断層撮影(PET)で可視化することが行われている。ただし18F-FDGは、gliomas(神経膠腫)と呼ばれる見えない脳腫瘍では、よい仕事ができない。これは脳細胞も多くのグルコースを消費し、脳内でのラジオトレーサーの高いバックグランドになるためである。その中、がん細胞が好んでバクバク食べる別の化合物を使ってgliomasの活性を効果的に視覚化する方法が見つけ出された[1]。研究者らは、ラジオラベル化された18F-FGln(フッ素化グルタミン)を使い、それがgliomasにたくさんおますこと、他の脳の部分では低濃度であることを示した。ついで18F-FGlnを使って、腫瘍の栄養素の代謝を評価することができgliomasにおける活性についてのヒントも得た。この方法で脳腫瘍を追跡することで、それらの進行のモニタリングのよい方法を医師にも提供できる。フッ素化グルタミン、多民族国家でも使えます。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 16, p. 26.

DOI: 10.1126/scitranslmed.aaa1009

15.3.16

 

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遷移金属触媒による

 クロスカップリングは、広く使われている反応で、鈴木・宮浦や、檜山カップリングのようなname reactionでは、有機金属求核剤が、親電子剤であるハロゲン化アルキルやアリールと結合し、生成物を与える。一方で二つの親電子剤あるいは求核剤同士のカップリングの例は少ない。同士の例が少ないのはどうしてか、ホモカップリング生成物を与える副反応が優先してしまうためである。その中、檜山反応剤であるアリールトリアルコキシシランと鈴木反応剤であるアリールボロン酸とのクロスカップリング反応が報告された。Pd(II)触媒にBINAP配位子を加えると、ホモカップリングが抑制される。この成果は、臭素やヨウ素置換基を含むボロン酸反応剤がしばしば鈴木カップリングでは利用できないけど、その場合にでも利用できる点にもある。またアルキル反応剤へも適用範囲が拡大されることが期待されている。求核剤同士の反応、童心に帰って、もっと考えてみたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 16, p. 7.

DOI: 10.1002/anie.201412288

15.3.15

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3月14日

 Pi Dayらしい。芳香族化合物の日ではない。数学定数のπ3.14159•••である。1988年物理学者L. Shawがサンフランシスコのエクスプロラトリウム(体験型科学教育施設)にて、Pi Dayの祝賀会を開催した。マーチングバンドがサークルを一周し、フルーツパイも振る舞われた。その後2009312日、米国下院では、同年314日をNational Pi Dayとするという拘束力のない決議を行った。20143(March 2014(3/14)、一ヶ月間をPi Monthとして、祝ったところもあった。201531492653秒が、さらに特別に位置づけられている。円周率の最初の10桁(3.141592653)に相当する[1]Piが世に出ておよそ4000年、πというギリシャ文字が使われ始めたのは1700年頃。でも未だに近似[2]。「人生は割り切れないものである」ことを知る最初。Pi Day他にもいっぱいありそうである。

[1] Wikipedia free encyclopediaより

[2] http://www.exploratorium.edu/pi/index.html

3.14.15

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アイドルだった

 純子さん。昭和の頃、建物二階にあった事務室。おじさま先生たちが集まる。なぜか長居をする。おもしろくもない話をされても、笑顔で聞いてクールにかわす。洒脱な様が人気を呼んだ。学生さんの間でも話題だった。自分たち同世代は別の機会をつくって宴に興じたこともあった。数年後農学部に移られたと聞いた。それから十数年たって、自分が担当させてもらっていた監査室に赴任された。当時と同様に、真摯で熱心に業務に取組まれた。内部監査は、監査項目を立てて、膨大な資料を集める。時には部局や事務部に、恐る恐る資料の提出をお願いすることもあって「なんでそれが監査対象なの」という視線を感じる時もある。それでも冷静に業務に専念する。昨年3月研究成果発表会でお会いした。「こんなのもいいですねえ、前向きで。監査は・・・」と話されていた。この四月で四年が過ぎようとしていた。その純子さんの訃報に接した。告別式、穏やかな素顔にお花を添えた。喪主をつとめられているお母様、交わす言葉もない。無念である。クラクションとともに、棺を乗せた車がその場を後にした。

15.3.13

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Zeise塩

 どんなサイズだったかはともかく学部の頃に学ぶ。世に登場してすでに200年近くになるその塩(K[PtCl3(C2H4)])は奇妙な遷移金属錯体で、エチレン分子が白金原子にサイドオンで毎度、配位している。その塩について、オーストリアの研究者らは生理活性の全体像を明らかにしようとしていた。その中、錯体は酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)を強く抑制すること、それでもがん細胞に対しては、低い細胞毒性を示すことがわかった。この結果は、化学療法ガン治療薬の候補であるPeyrone塩、いわゆるシスプラチンPtCl2(NH3)2とは異なる働き方を、Zeise塩がすることを示唆している。シスプラチンは、COX酵素に対して不活性である一方、がん細胞のDNAにバインドし損傷を与える。COXの過剰発現は、ある種のがん組織と関連しており、Zeise塩は、新しい化学療法剤の開発の端緒になり得ると考えられる。今後、さらに研究が必要ではあるものの、この結果は、必ずしも新しい分子を設計したり、通常ではない天然物を探しあてる必要がなくて、古い分子をふるいにかけて、宝石を探し当てることができることを示している。Zeize塩のこと、あいつにも教えてあげてください。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 9, p. 9.

DOI: 10.1002/anie.201410357

15.3.12

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単一分子から

 キーマテリアル探索に関するシンポジウム。情報記録素子のメモリー容量、これまでも指数関数的に増加、今後もその傾向が続く。ギガやテラの単位を超えて、今後は絶対ゼタ(Z)で表される。1021乗。ただし従来技術では、容量を要領よく増やせても,限界が見える。新しい概念、材料、技術が期待される。金属の単結晶面に、有機化合物を吸着させる。得られたものの電気特性、磁気特性を明らかにする。ここで物理系の研究者らは、金属を含まないフタロシアニン(Pc)FePc、金属ポルフィリンなど、この世に誕生してすでに80年以上にもなる化合物を丁寧に扱う。合成化学では「終わりかな」という分子に、新たな可能性が見事に吹き込まれる。自分の順番がやってきた。門外漢の方々がほとんどの中、岐阜の紹介から始めた。名古屋−岐阜間のJRの時間距離は、東京—千葉より短し。岐阜市は奥飛騨、高山と違って雪深くはない」とも話した。終わって戻ってきたら名古屋から岐阜への帰り、雪だった。諭吉さんにも伝えたい。

15.3.11

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均一系金触媒の反応を

 o-ヨードエチニルトルエンに適用した[1]。当初は、金ビニリデン錯体を経由して、トルエンのメチル基C-H結合がo位のヨードアルキニル基に挿入することが期待された。予想とは全く違っていた。二種類の有機金を経て、一方の分子のアルキンC-I結合が、別分子のエチニル基にhead-to-tailで付加し、何が遠因かはわからないけど、1,1-ジヨード共役エンインを与えた[2]。さらに研究者らは、アリールジインのインデン誘導体への変換を含む金ビニリデン錯体の化学を探求する中、水存在下では、これまであまり例のなかった金アシル錯体の発生に出会った[3]。触媒サイクルでは、そこからCOが脱離。これまで不均一系(表面)触媒では、CO脱離は鍵プロセスの一つだったけど、均一系(溶液中)での金触媒における、脱カルボニル化は、知られていなかったプロセスである。ドイツ、ハイデルベルグのHashmi先生、アルキンの端見て、反応を設計されている。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 9, p. 24.

[2] DOI: 10.1002/chem.201406594

[3] DOI: 10.1002/ anie.201409859

 

15.3.10

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もし化学者が

 Niをいつも手にしていたら、Ni触媒を使って、医薬品、天然物、高分子の合成を行っていただろう。周期表の従兄であるPdは、いいとこどりで、クロスカップリング反応では、最も注目されているけれど、Ni触媒反応も、経済性、環境調和の点から一般的になり始めている。しかも三級ハロゲン化アルキルのようなPdでは難しい反応も、Niではいっけるという場合もある。一般にNiは、0, +1, +2あるいは+3酸化状態である。その中今回、あまり例のない四価状態の錯体が報告された。この錯体は室温でも三日間安定であり、Ni(II)前駆体と、酸化剤であるS-トリフルオロメチルジベンゾチオフェニウムトリフラートとの反応で得られる。このNi(IV)錯体は、高選択的な炭素ヘテロ原子カップリングを引き起こし、sp3炭素と酸素、窒素、硫黄との結合形成を達成している。反応例ではMe4NSPhNi(IV)錯体との反応からSPh基の組込まれたNi(II)錯体が生成している。四価Niに用がある時代がやってきたNi~

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 9, p. 24.

DOI:10.1126/science.aaa4526 

15.3.9

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はなれの中の離れた部屋を

 居室にしていただいた。部屋の北側、東側が窓、採光は最高である。静寂の空間には本棚もあった。ありがたい。棚の高さの変更に挑む。本棚の両端には、棚板を止める金具のための穴がある。セットしてもらっていたサイズだと「A4のファイルはえ〜よん」ではない高さ。まずは先の金具、かなぐり捨ててはいけない、丁寧に外して少し上の穴で合せようとする。慌てているわけでもないけど、前後・左右の高さがずれてしまって、なかなか収まらない。なんとかセットして、ホッとしてファイルを並べる。自分が使う事務机の左すぐ横なので、なかなかに便利そうである。概ね物品を片付けて外にでた。おっ〜と、オートロックだった。鍵は部屋の中。閉め出し状態。仕出し弁当も来ない。胸ポケットには携帯電話。事務の方にわざわざ来ていただいた。ついでに「わざ」も教えてもらった。おまけにこの扉、開けた状態では止まらない。セキュリティ抜群、これに合せてキュリオシティ(好奇心)も旺盛になりたい。

15.3.8

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はなれは

 慣れるのにしばし時間がかかるかもしれない。カリスマならぬ仮住まいの場として、工学部を一旦出たところにある研究棟へ移った。学生さん達の獅子奮迅の活躍で、実験室、測定室などにある器具、機器、書籍すべてが梱包された。薬品類、ガラス器具類は自分たちで運んだ。器具運搬中、「奇遇ですねえ」と立ち話をする者もいない。机、イス、棚に書籍類は、専門の引越し業者さんに運搬をお願いした。実験台の上に設置していた35年もののアングル、あんぐりと見とれていると、実験台から下ろされて、車つきの板の上に乗せられた。転がしながらエレベーター乗車、六階から一階、道を渡った向いの棟の三階に到着。待ち受けていた学生さんによってサイズが調整されて、アングルは新天地での活躍の場を得た。21名が利用する事務机が、所狭しに並べられた。机上の本棚がスペースを占める。それでもペースを乱されないようにと祈る。テンポラリーでもテンポよく、過ごしたい。

15.3.7

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イソシアナート

 ねーと困る。ポリウレタンのような高分子の製造に利用される。ただし職業ぜんそくを引き起すことが1950年代から知られていた。ただし数十年経っても、その機構が不明だった[1]。今回、メチレンジフェニルジイソシアナート(MD2)によって誘起されるアレルギー反応は、気道の体液に高いレベルで見られるトリペプチド抗酸化剤であるグルタチオンによって媒介されることが報告された。グルタチオン-MD2複合体をネズミに投与したところ、アルブミンの特定にリシン残基にMD2が、おそらくカルバモイル基の移動を伴って、転移し、MD2が引き起すぜんそくの時に放出される特徴的な免疫タンパク質であるマクロファージが放出された。これは別のアレルギーに特徴的なT-Cellとは違っていた。加えて、MD2に応答した時の、これらのタンパク質の量も同定された。これによってタンパク質の濃度が、MD2にさらされた量やぜんそくのバイオマーカーで、おまっか〜と利用可能である。アレルギーの研究、エネルギーも要る。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 9, p. 24.

DOI:10.1021/tx5005002

15.3.6

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仕出し弁当

 いつしだしたのかは知らない。縁会って岐阜に赴任した時にはすでにあった。いわゆる宅配、10食分の値段で11枚綴りのチケット、けっちと思われてもそれを買う。昨年4月消費増税を機にそのサービスが消えた。お手頃な値段とバランスのよい献立。数十年の間の研究室での人気度の浮き沈みは大きかった。10膳を超える弁当箱が、研究室前に置かれた時期もあった。日によって「当たり、はずれ」があるという。「はずれとは」おかずの箱を開けて「お新香系が多い日」いや「弁当箱の底が見える割合が基準」など議論したこともあった。「献立表があれば混雑する日もあろうに」と思っていたら今はそれも配っていただける。配達は午前9時前から、工学部6階へは12時前の到着である。予約制ではないので、6階にたどりつくまでに弁当がなくなった日、高級お弁当が余って割安でいただいた日。その弁当屋さんの名前は「バイパス弁当」このたび本学への配達をバイバイするという通達を受けた。ガソリン代に原材料費の高騰のためか、こうと思って決められた。

15.3.5

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人の身体は

 20種類のアミノ酸を使う。そのうち必須アミノ酸9つは、体内には、いない。ところで口に入ったタンパク質。まず胃では、塩酸がそれを変性させるとともに、塩酸によって刺激された消化酵素ペプシンが、タンパク質をより小さなペプチド分子に分解する。ついで役所とは関係のない小腸(しょうちょう)では、それらがアミノ酸に分解され血管から肝臓に配達される。肝臓は、アミノ酸をアミンとα-ケト酸に変換させる。そこで身体の需要に応じて、アミンとα-ケト酸の違った組合せで別のアミノ酸がつくられる。ただし先の9つはここでは生産されないため、たとえば豆と米を同じ日に食してこれらを補わなくてはいけない。アミノ酸に変換されなかったアミンは、ヌクレオチド合成に使われ、それでも残ったアミンはアンモニアから尿素に変換される。一方で残ったα-ケト酸は、蹴飛ばさんけど、グルコースあるいは他の脂肪酸前駆体となり、エネルギーとして使われるか、脂肪として蓄えられる。その後尿素は腎臓に引継がれる。タンパク質の代謝でも、肝臓・腎臓がたいしたやつ、「肝腎」である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 9, p. 11.

15.3.4

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高反応性ヒドロパーオキシラジカルである

 (QOOH)化合物は、大気中のエアロゾルの中に凝縮される化合物のような、高度に酸素化された分子を発生させる連鎖反応で重要であると、考えられている。またQOOH種やそれらの反応は燃焼エンジンでも、変人ではないけど、鍵である。火花点火エンジンでは、エンジンのノッキングを起こしうる一方で、新しい圧縮点火エンジンではQOOH種がスタートと燃焼の維持に関わっている。それに対して実験的データが不足しているため、QOOH種の化学の理解とモデル化は立ち後れていた。その中研究者らは、1,3-シクロヘプタジエンを酸化することでラジカル種を発生させ、2-ヒドロパーオキシ-4,6-シクロヘプタジエニルを得た。シクロヘプタジエニル環の共鳴が、環になった炭素上にあるラジカルを安定化している。得られたラジカル種やその速度論は、紫外光で作用する光イオン化質量分析で解析され、コンピューターモデリングで、ラジカル反応機構についての知見も得られた。ラジカル種と燃焼、考えると寝れんでしょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 9, p. 7.

DOI: 10.1126/science.aaa1495

15.3.3

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昆虫は

 こんちくしょう」と思っても、年間10億ドルに相当する農産物にダメージを与えている。様々な疾病も媒介して、厄介である。その中研究者らは、アジアでよく見られる低木と、北アメリカに広く生息する多年生植物に注目した[1]。殺虫剤を開発している研究者らは、環境や人の健康に被害のある化合物を避け、変わりに害虫の特異的なタンパク質を破壊することに焦点を合わせている。その中、蚊の幼若ホルモン(JH)受容体が注目された。この受容体に作用するアゴニストは、すでにいくつかの殺虫剤の基本になっている。ただしアンタゴニストのほうが、より効果的であるものの、今まで発見されていなかった。研究者らは、LE3Bを含む二つのテルペンが、JHアンタゴニストであること、また蚊の幼虫の卵巣の成熟を抑制することを明らかにした。ちなみにアンタゴニスト、アルピニストのような人ではない。

なおLE3Bは、カルコンのC=O基に結合したベンゼン環の、2位に水酸基、3,4,5,6位にメトキシ基が組込まれた化合物である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 2, p. 29.

DOI: 10.1073/pnas.1424386112

15.3.2

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ベンゼンは

 最も典型的な芳香族分子で、医薬品、プラスチックや他にも、なくてはならない合成部品である[1]。ただしベンゼンが有する六つの炭素上に異なる置換基を組込む一般的な方法が開発できた例はなかった。その中、名古屋化学者は、この空白を埋めるべく、豊富な有機合成の手法を利用して、ヘキサアリールベンゼンや多置換ナフタレン、ピリジンを調製するためのプログラム化したアプローチの方法を創成した。総勢4名が名を連ねる論文。そこでは様々な合成の方法論が検討され、3-メトキシチオフェンを出発化合物として、C-H活性化、クロスカップリング、[4+2]環化付加反応を組合せることで、系統的に多置換芳香族が調製できる。すでに多くの新しい化合物を合成しているものの、置換基の配列を考えると、10億種類以上のヘキサアリールベンゼンが未だに合成されていないと、推定されている。

10億にも臆せず、平気さ、あり得るね」意気込みも、全然違う。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 February 2, p. 29.

DOI:10.1038/nchem.2174

15.3.1

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