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1960年代に

 出生異常をもたらしたラセミ体である医薬品サリドマイド、今では、その類縁体が開発され、抗炎症、抗がん剤として販売されている。一般に医薬品化合物の一方の鏡像異性体は、治療の効果を示すが、別の異性体は不活性あるいは、深刻な場合には健康障害を引き起す可能性がある。ただし望ましい鏡像異性体のみを送達しても、それが素早く、一斉に、異性化する場合もある。そこで重水素利用によるキラルスイッチ法 (deuterium-enabled chiral switching)を使い、研究者らは、二つのサリドマイド類縁体(CC-11006, CC-122)の望ましい鏡像異性体を安定化させた。キラル中心の重水素化は、化合物の代謝や薬物動態には影響をおよぼすことなく、ラセミ化を減速させることができる。CC-122では(-)の異性体が活性を示し、しかもラセミ混合物よりも高い活性だった。ポジティブマインドで、サリドマイドを多発性骨髄種のための医薬品へと発展させることも計画されている。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 16, p. 26.

DOI:10.1073/pnas.1417832112

15.4.7

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