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2015年4月

原油を精製した時

 ベンゼン、トルエン、キシレン(BTEX)の混合物が特に難題である。これ何だい?ではない。これらは類似の芳香族特性のために分離することが難しい。一方で、それぞれ個別には価値のあるフィードストック(工業用原材料)である。たとえばp–キシレンは、テレフタル酸ポリエチレンを導くモノマーの前駆体である。その中、研究者らは、BTEX成分を環境調和型で分離する方法を開発した[1]。シクロデキストリンがベースになったMOFCD-MOFs)を使う。それはγ-シクロデキストリンとアルカリ金属カチオンの拡張型多孔質ネットワークであり、この空間を利用して分離が可能になる。シクロデキストリン部位とO-キシレンとの間の相互作用は、化合物をCD-MOFの中に、より長く留めることになるけど、p-キシレンは、より簡単に通り抜ける。CD-MOFはキログラムスケール合成できることから、現在使われている流動型の技術の、よりグリーンで経済的な別法として提案されている。CDとキシレン、切れん関係である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 April 6, p. 23.

DOI: 10.1021/ja511878b

15.4.30

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NHCカルベンが

 配位子として働き金属錯体を形成する時には、カルベン炭素は通常反応せずに残る。ただしある状況では、その炭素も反応する。その模範になるかどうか不明だけど、その典型的な例が報告された[1]。研究者らは、安定なイミダゾリウムカチオンをイミノNHC中間体に変換した。ついでHf(CH2Ph)4を加えてハフニウム錯体合成を試みた。その結果、カルベン錯体は得られず、カルベン炭素とハフニウム金属が入れ替わった錯体になった。形式上Hfは、1,2-ジアミノエチレンの二つのアミノ基と結合し、五員環を形成、イミノNHCのイミノ基窒素の配位も受けている。一方で、もとのカルベン炭素、N2C:だったものがR3C-に変わるべんである。ここでRHf上に結合していたCH2Ph基でしかもR3C-Hfと結合している。反応では全体として、中性だったイミノNHC中間体がジアニオン型キレート配位子に変換され、N-C結合が切れ〜とったんである。

[1] Chemical & Engineering News 2015 April, 6, p. 23

DOI:10.1039/c5cc01560j

15.4.29

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高純度のシリコン

 のインゴットを工業的に薄く切って、エレクトロニクスのためのウエハーを製造する際には、材料のほぼ半分がドロドロの廃棄物になってしまう。このドロドロをそろそろ、なんとかすべく今回、韓国の研究者らは、その廃棄物からシリコンナノ粒子を再生し、リチウムイオン電池の陽極に組込む方法を開発した[1]。まずウエハー廃棄物を乾燥させ、塩酸でリンスし、切断過程で出た汚染物質を除去した。これによってナノスケールのSi粒子と炭化ケイ素のミクロスケールの塊を含む粉末が残った。水中で埃を取り去り、それを超音波噴霧器に入れた。それは家庭用の加湿器の如くに働き、より小さなSi粒子は、水滴に入り、機械から飛び出した。一方でより大きなSiC粒子は噴霧器の中に残った。回収したSiナノ粒子が、電池の陽極作成に使われ、リチウムイオンを貯蔵するために合成された伝統的なSi構造物と同様の性能を示した。インゴットゴミでも、いいこっとあったね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 April 6, p. 23.

DOI:10.1038/srep09431

15.4.28

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太陽系で

 最も内側にある惑星である水星。その表面に鉄分は、節分でなくても、ほとんどない。一般に鉄があれば、太陽系小天体は黒ずんでくる。そのため、より鉄が豊富な地球の衛星である月の方が明るいのはなぜか不確かだった。その中研究者らは、地球より内側にある惑星に、炭素が豊富な太陽より遠い彗星が衝突している可能性を報告した[1]。その種の衝撃は、炭素をグラファイトやナノダイヤモンドのような熱的に安定なものに変換しうる。研究者らは、壊れた状態にある彗星からもたらされる微小隕石から、水星に高速で到達する炭素の量を計算した。その結果、水星の表面では、月の50倍の炭素が蓄積することがわかった。さらに現象を研究所でシミュレートすべく、岩のサンプルと炭素化合物を混ぜ、混合物をパイレックスの弾と衝突させた。結果として生じた溶融物は、くすんだ炭素粒子を含み、サンプルの反射率を水星の表面と同等なレベルまで低下させた。この成果によって、水星のこと、類推せいでもよくなったでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 April 6, p. 22.

DOI: 10.1038/ngeo2397

15.4.27

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ガソリン製造で利用する

 触媒粒子が不活性化するのは、高解像度イメージング研究で、公開された結果によれば、粒子表面の孔が金属汚染によって詰まるためである[1]。世界でおよそ450の製油所では、流動式接触分解(FCC)によって、原油の中の長鎖分子を、ガソリン成分を含む、より短くて付加価値のある分子に変換している。FCCの間、触媒粒子は、微小孔性のゼオライト、粘度とバインダーで構成されており、そこに原油や製油設備からの金属が蓄積して活性を失う。FCCによって得たフレッシュなサンプルと様々な年代もののサンプルを分析した結果、粒子表面にある広いナノザイスの孔の入口に鉄とニッケルが蓄積していた。本来フィードストック分子は、より狭い内部の触媒部位、そこは汚染されないままではあるが、そこにアクセスするはずだけど、先の金属がそれを妨げる。そこでゼオライトをマクロ多孔性の層でコーティングすることで、不活性化を遅らせことができる可能性が提案されている。多孔性使っても、値段は高こうせんように、お願いしたいです。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 April 6, p. 22.

DOI: 10.1126/sciadv.1400199

15.4.26

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菌の代謝物である

 サイトカラシンBが、より若々しい肌の秘密かもしれない。人は年齢を重ねるに連れて、皮膚細胞が硬くなってより大きく成長する。これに関連して研究者らは、サイトカラシンBが皮膚細胞に弾性を復活させることを明らかにしていた。今回彼らは、それによって細胞を縮小できることも示した。サイトカラシンBを含むクリームをネズミにつけたところ、ネズミの皮膚細胞のサイズが50%ほど小さくなった。またそのネズミの肌は、通常のクリームで処置したネズミに比べて、よりスムーズな肌になっていた。サイトカラシンBは毒だけれども、ネズミに害はなく、肌の奥でも変化は見られなかった。さらに培養した人の皮膚細胞へも応用したところ、より年老いた皮膚細胞は、化合物に呼応して20-40%縮小し、より若い細胞では、それほどの縮小はみられなかった。この成果は、肌に若さを与えると同時に細胞が老化する過程を、知ろうかということにも貢献できる。サイトカラシン、最初から信じて使ってみましょうね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 April 6, p. 22.

DOI: 10.1371/journal.pone.0122774

15.4.25

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世界最大で

 13億ドルの大口径ミリ波/サブミリ波合成電波望遠鏡ALMAが、チリ・アンデスにあるんです。そのALMA66のアンテナによって、天体化学者らは、分子雲が星や惑星になる時の様子を、よりよいスペクトル感度で、よりよい空間分解能で観測することができる。特に研究者らは、銀河系における原始の連星に狙いを定めることができた。それによってそれらの星の間では、驚くほど違った化合物組成であることを明らかにすることができた[1]。一つは酸素化学が主であり、もう一つは、窒素化合物がより多く存在していた。これはおそらく、星の温度の違いによるものであると、研究者は類推している。加えて、酸素化学が主な星では、エチレングリコールが存在し、これは星間媒質としては珍しく、むしろ太陽系の彗星の中に豊富に存在している。このことは地球の太陽も、同様の形成過程を経たのではないかということを示している。これからも、すべてがわかるまで、ALMAは稼働する。でも時にはアルマニャックで一息を。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 30, p. 31.

15.4.24

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大気汚染の悪化と

 アレルギー患者数の増加との間には、関連があることが知られている。ただし、この相関に関する可能性のある分子機構については、聞こうと思っても、ほとんど知られていなかった。その中、大気汚染物質であるオゾンや二酸化窒素が、樺の木の花粉のアレルゲンであるタンパク質Bet v1をどのように化学変換するかが、ドイツのMax Planckの研究者らによって明らかにされた[1]。その結果、タンパク質のチロシン残基がオゾンによって酸化され、反応性酸素中間体を形成する。この化学種が次に二酸化窒素と反応し、ニトロ化チロシン与える。一方で反応性酸素中間体が、別の酸化中間体で、二量化する経路もある。これらのタイプの修飾で、抗体が認識する抗原構造であるタンパク質の抗原決定基が改変されるか、新しい抗原決定基が形成されることで、タンパク質のアレルギー性が向上する可能性が記されている。オゾンに依存した既存の反応が最初に起こるらしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 30, p. 31.

15.4.23

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包装用ピーナッツ

 ポリスチレン製である。これを炭素処理することで、たんと得られた炭素のマイクロシートを使って、リチウムバッテリーの電極が組立てられた[1]。研究者らは、ポリスチレンあるいはでんぷんピーナッツをアルゴン雰囲気下、500–900 °Cで数時間加熱した。さらに金属塩をもとにした触媒を加え、ポリスチレン粒子を炭素処理した。それを細かくして陽極を作成し、その性能を、コイン電池バッテリーで試験を行った。これまで電極にはグラファイトで、ファイトしていたけど、今回のバッテリーの方が、より速く充電できた。これはマイクロシートがグラファイトより薄いためである。またピーナッツ電極のほうが、グラファイトのそれよりもおよそ13%貯蔵容量が大きい。これはマイクロシートが、より乱雑な多孔質のネットワークを形成するために、リチウムイオンをより多く吸収したためである。もしこのシートが商業化されれば、これまで廃材になっていた緩衝材の使い道が開かれることにもなる。緩衝材について、感想お聞かせください。「あかんそうや」ではないからね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 30, p. 30.

15.4.22

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パーキンソン病患者の

 脳では、α−シヌクレインが蓄積し線維が形成される。そのタンパク質は、四つのチロシンを持ち、それらのいくつかがニトロ化されると、線維の形成が促進されて、神経崩壊が起こり易くなる。このチロシンのニトロ化を制御する既存の方法の特異性は限定的であり、その現象を解明することも困難だった。その中ETHローザンヌの研究者らは、固相のペプチド合成法、天然の化学連結法と新しい脱硫法によって、α­−シヌクレインの特定の部位一カ所か二カ所のニトロ化、「通常は、しにくいで〜」という方法を、初めて開発した[1]。これによって、α−シヌクレインにおけるチロシンニトロ化の効果、オリゴマー化、線維の形成に関する研究が可能になる。さらにこのアプローチによって、「抗体の開発や、パーキンソン病患者の脳で、会合体形成するα−シヌクレイン種の検出と定量化する方法の開発が加速される」と研究者らは述べている。チロシンに関する自信ある成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 30, p. 30.

DOI: 10.1021/ja5131726

15.4.21

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食品を食べた後

 小腸では、象徴的に、N-アシルホスファチジルエタノールアミン(NAPEs)が生じる。この化合物は、満腹感と関係している。そこで研究者らは、技術的に改変した腸内細菌をネズミに与えNAPEsが生じると、高脂肪食でも、それを与えないネズミと比べるとスリムなままであることを示した。そのことから「太り気味の人では、食品に対してこの化合物が、十分な量できずに、食べ過ぎになっているように思われる」と研究者らは述べている。一方、他の研究者らは、「N-アシルエタノールアミン(NAE2)が小腸で生じると、NAPEsを切断し、空腹感が減少する」と考えている。それに対して先の研究者らは、NAEsをつくるバクテリアもつくり、ネズミに与えた。その結果、NAPENAEどちらを生産する細菌も、同様のスリムさを維持する効果があること、一方で、NAPEsNAEに変換できる酵素がない場合には、NAEを生産するバクテリアだけが効果を示すことを明らかにした。そのことから、NAEsには食欲抑制の効果があり、それを直接生産できるバクテリアは、肥満を抑える可能性があること、を提唱している。大切な細菌、毎日働くそれには、皆勤賞を

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 30, p. 8.

15.4.20

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改修チームの

 若い衆の一人、紋付羽織袴、凛々しい姿に思わず溢れる笑顔。自分たちの学部のメンバーになって7年余り。面接主任の先生の「彼しかいない」の一言で採用が決まった。でも原石は鍛えるべし。「装置のメンテナンス」それってなんです?とも聞かずに手順を覚えた。難しいデータの解析。出〜たとこ勝負ではいけない。こちらも手順がある。学生実験の指導、安全衛生、事務長からのお願いで改修にも参画。担当が、たんと増えて多忙になった。それでもオフには彼女が暮らす半島まで往復した。白無垢の彼女をエスコートするお父様。列席の人たちが、二人の結婚を祝福、新しい夫婦が誕生した。先の白無垢、日の光を浴びると桜が浮かびあがった。真っ暗あるいは室内では再び消える。宴では、杓文字一杯のウエディングケーキが彼の口に運ばれた。大きな風船、中には4~5個のハート型風船。二人で大きな風船を割った。音の大きさに驚くも、飛び出すハート型風船、お福分けである。式の始まりから宴の終わりまでに、マイクを三度手にした彼。さわやかで端的かつ完璧な言葉。二重マル ちゃん。幾久しく幸多かれと祈ります。

 

15.4.19


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化成品兵器ソマン

 GDとも呼ばれている。サリン、タブンなど高い毒性を示す有機リン化合物の中でGDは最も高い毒性を示す。ただしそれではすまん話である。その貯蔵庫を破壊、また高い効率でろ過できるガスマスク材料が必須である。現状、神経ガスからの保護を目的として、活性炭や金属酸化物がガスマスクのフィルターとして広く利用されている。ただし神経ガスをトラップし中和できる、より高い効率の材料開発が検討されている。その中、金属有機構造体であるMOF、有機基で連結された金属イオンあるいはクラスターによって構成されている多孔質結晶材料が使われた[1]。すなわちZr6クラスターが、ピレンに安息香酸部位が組込まれた配位子で連結されたMOFNU-1000が開発された。この化合物は、31Åという広いチャンネルを持つ。これによって有機リン化合物が内部の触媒部位に入り込むことができる。そこではZr(IV)中心が分子の加水分解を促進する。この反応は、より小さな孔のMOFでは不可能である。実際NU-1000は通常のCuが組込まれたMOF960倍の速さで分解を促進し、ガスマスク内と同様の湿気の条件でも、従来のものより80倍速くGDを分解した。それでもMOFを塗布したマスク、無用な世界がよい。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 30, p. 6.

DOI: 10.1038/nmat4238

15.4.18

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分子建築家

 化学者はしばしばそう呼ばれる。このあだ名に最もふさわしいP. J. Stang先生、一連の自己組織化有機メタラサイクル、メタラケージ、いずれも目新しいもの、を創った[1]。直鎖と角のある金属錯体と有機リンカーの組合せを選ぶことで、魅力ある形と多様な特性を有する二次元あるいは三次元の分子を構築することができる。今回Stang先生らが開発した系は、ビス(エチニルピリジル)アニリン配位子と白金フェナントレン錯体を組合せて、ひし形の環を導いている。アニリン環上の置換基を変えることで、分子の蛍光色がチューニングできる。さらにこのひし形メタラサイクルは、がん細胞にも吸い寄せられ、抗癌活性を示し、それは超分子配位錯体としては最初の例である。別の超分子としては、ピリジンで官能基化したテトラフェニルエチレン、ベンゼンジカルボン酸、白金錯体であり、3Dメタラゲージをつくり、外側は糖鎖で、修飾されている。その発光挙動は、溶液中の濃度や会合状態によって変化し、白色発光も溶媒を変えるだけで実現可能である。

超分子に関する長文、短くまとめてみました。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 30, p. 9.

15.4.17

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シクロヘキサン環の

 すべての炭素にフッ素原子が一つずつ組込まれた分子で、それらすべてのフッ素原子が上向き、一方で六つの水素原子すべてが下向きの化合物が、結晶として合成された[1]。この化合物は、いす形配座を取り、水素原子がある側は電子的に陽性に、またフッ素原子がある側は、かなり電気陰性で、双極子モーメントは6.2Dである。この値よりも大きなモーメントを有する多くのイオン性化合物は知られているけれども、より極性の高い脂肪族あるいは芳香族化合物の例はなかった。合成は、それぞれの炭素上に水酸基が結合した、無色の色しと〜るmyo-イノシトールが原料である。またすべてのフッ素をシスに配置させることは、これらのフッ素原子同士間の反発のために極端に難しい課題だった。得られた化合物の高い極性は、フッ素化シクロヘキサンが層状にスタックすることを可能にし、液晶のような材料を調製することも可能である。X線結晶スナップショットでは、双極性のC-F結合には弱い静電相互作用があることを、示していた。

大きなモーメントを記念したモニュメント、もめんと製作してほしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 30, p. 5.

15.4.16

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メラニンは

 人の目、肌、髪の毛の色をつくる生体高分子である。加えてメラニンは、害のある紫外線照射や酸化ストレスから自分たちを守る役割も果たしている。このメラニンに、めらめらにんなった研究者らは、この特性を、エレクトロニクスや別の工学的材料の保護コーティングに使えないかと考えた[1]。ただし天然のメラニンは、ほとんど溶媒に溶けないため頑丈である。最近化学者は、実際のメラニンの挙動を模倣できる、塩基性水溶液に可溶な人工のメラニンを開発した。さらに今回、テキサス大学とテキサスA&M大学の研究者らは、メラニン代替物の溶液を、保護した薄膜に堆積させる方法を開発した。すなわちガラスのスライドを、アニオン性のポリアリルアミン塩酸塩(PAH)あるいは中性のそれと、カチオン性の合成メラミンに、交互に浸けた。これによって多層のUVを吸収できるPAH-メラニン二重層を構築することができる。テキサス生まれで、出来もさすがです。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 23, p. 37.

DOI: 10.1021/acsmacrolett.5b00080

15.4.15

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ペリレンは

 多環芳香族炭化水素の一つであるが、それに補助的な置換基を組込むことで、これまで報告された中で最も高い集光性を示す、色素増感太陽電池のための、金属を含まない分子が開発された[1]。ペリレン誘導体は、光触媒や有機発光ダイオードとして、広く利用されている。一方で太陽電池に応用する場合には、Ru, Zn有機金属錯体ほどの性能を示すことはなかった。それでもペリレンは、これらの金属錯体ほど高価ではないため、分子をマイナーチェンジすることで、高効率化が検討されてきた。ただし未だに、うまいな〜というマイナーチェンジの例はなかった。今回、窒素で縮環したインデノペリレンに、エチニルベンゾチアジアゾリル安息香酸を、アルキル化、クロスカップリング、さらに数段階を経て、組込んだ。一連の電気化学、スペクトル試験によって、新しい色素は12.5%の変換効率を達成できることがわかった。これはこれまでの金属錯体の最高値に匹敵する。最近急に注目を浴びてきたペロブスカイト集光材料では、金属含有、金属フリー、どちらも研究対象になっている。ペリレンも便利ね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 23, p. 37.

DOI: 10.1021/jacs.5b01537

15.4.14

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衣類、ソファー、カーペット

 などのカラフルな繊維製品の多くは、不織布に吸着し共有結合できる反応性染料分子によって、成り立っている。ただし通常の染色処理のあいだに、始めは繊維を占領していた染料分子の40%が加水分解し、水素結合の様な静電相互作用によって、繊維とわずかな力で繋がっている状態に変化する。そのため工業プロセスでは、織物の繰返しの洗浄とリンスを行わなくてはならない。この染料を洗い流す過程をより高い効率で行うことに興味をもっていた研究者らは、ピニルピリジンを組込んだ高分子を導入し、静電的に染料を引きつけると同時に、逸脱した染料を取り除く方法を開発した[1]。ポリビニルピリジン-N-オキシドのような高分子は、染色の堅牢度を維持するために洗濯洗剤に添加剤として使われている。そこでこの高分子をここでも使うことによって、染色の間に使う水の量を半分にすることができた。さらに時間を75%、エネルギーも10%程度まで下げることができた。染色の専門職の方も利用できる技術である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 23, p. 37.

DOI: 10.1021/acssuschemeng.5b00034

15.4.13

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タンパク質の

 セリンあるいはトレオニン残基を、糖鎖であるN-アセチルグルコサミンで修飾する反応(GlcNAc)は、細胞生理学では重要な役割を担っている。ただしそれがどのような機構によって進行しているかは完全には理解されていなかった。その中、このわカらナんダことを、カナダの研究者らは明らかにした[1]。すなわちO-GlcNアシル化は、高いレベルで共翻訳的に起こること、すなわちリボソームでタンパク質が合成されている間に起こる。さらに研究者らはO-GlcNアシル化は、発生しようとしているタンパク質のユビキチン化を抑制していることを見つけた。このユビキチン化の抑制によって、細胞内のタンパク質は安定化し、タンパク質恒常性も保たれ、機能性タンパク質がある一定レベルで維持されている。研究グループでは、さらにO-GlcNアシル化が、発生期において、ユビキチン化を抑える分子機構について解明したいとしている。ユビキチン化、ゆうべ、きちんと調べてはみました。これによって異常あるいは不要タンパク質が除去されるらしいです。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 23, p. 37.

DOI:10.1038/nchembio.1774

15.4.12

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芳香環の

 メタ位置換反応、めっちゃ難しい。その反応開発に取組んでいる研究者らは、この妙技を完成させる改良法を報告した[1]。しかもそれは、用いる反応剤のうち、二つを使わない場合には、オルト位置換反応を選択的に達成できる、切替可能な方法である。これまですでに、U型のPdを基本とする触媒で、芳香環に結合可能であり、メタ位のC-H結合の切断とその位置への新しい置換基の導入について報告がなされていた。ただしその場合、配向基が複雑で不便であった。それに対してより単純な系が開発された。そこではアミドを配向基として用い、Pd(II)が芳香環のオルト位置換反応を触媒する。予備的な実験結果は、別の配向基も利用できることを示している。さらにピリジン配位子とノルボルネンを加えると、置換の位置がオルト位からメタ位に置き換わる。この方法は、医薬品候補を多様化するのに、有用な方法になる可能性も高い。Jin-Quan Yu先生、勇敢人です。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 16, p. 27.

DOI: 10.1038/nature14214

15.4.11

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化石燃料や

 将来減少し始めたとき、糖鎖や他のバイオマスから調製できるレブリン酸は、プラットフォームケミカルとして大いに期待されている。そこで化学者は、レブリン酸や関連するバイオをもとにしたプラットフォーム化成品を、より川下の化学原料に変換する多くの反応を探索してきた。これらのプロセスの多くは、改変された微生物を使った発酵法である。一方で、大スケールでも、より迅速で経済的な化学反応も模索されてきた。そのうちもっとも最近の例がレブリン酸の過酸化物を用いた選択性をスイッチできる酸化反応である[1]。酸性条件下、過酸化水素酸化によってコハク酸が得られる[2]。一方で同じ反応を塩基性条件で与えると3-ヒドロキシプロピオン酸が得られる。バイオベースのコハク酸は、高分子、1,4-ブタンジオール、無水マレイン酸、フランを製造する成長力のある化合物であり、3-ヒドロキシプロピオン酸は、高分子、アクリル酸、アクリル酸エステルの原料である。特許出願中のこのプロセス、工業化も検討されている。レブリン酸、プリンでも食べて考えよう。化石燃料の代替で、稼ぎたいと思うかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 16, p. 27.

[2] DOI:10.1039/c5gc00098j

[3] DOI:10.1002/cssc.201500025

15.4.10

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安価で豊富にある鉄

 そのためにFishcer-Tropsch(FT)法を媒介する、値段のかかるコバルトに代わる金属として魅力的である。工業的な炭素カップリングプロセスでは、COH2の混合物が、液体燃料や他の付加価値のある有機化合物に変換される。ただし鉄触媒は、FT合成中、活性が吹っ飛び、作用しなくなる。そこでは金属ナノ粒子が塊になり相転移を引き起こし、炭素の集まりが蓄積されて、それによって鉄触媒が不活性化される。今回これらの問題が、鉄が入ったMOFから触媒を調製することで解決されることが報告された[1]。研究者らは、市販で利用できるMOF(Basolite)とフルフリルアルコールとを混ぜ、鉄の炭素の比を調整し、空孔とチャンネルのネットワークを含む結晶材料を熱分解した。これによって触媒活性のある閉じ込められた鉄カーバイド粒子ができ、従来の触媒よりも高い効率を示した。しかも新しい触媒は、カーバイド層の焼結や分解、他のタイプの不活性化にも耐え、絶えることなく、利用できる。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 16, p. 26.

DOI: 10.1038/ncomms7451

15.4.9

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アミンは

 生体系では働きもので、馬車馬の如くである。また至る場所(薬剤や医薬品候補)で主骨格としても見られる。今回そのよくあるキラルアミンを検出あるいは異性体を区別できる簡単な方法が報告された[1]。そこではortho-CF3OC6H3CH(CF3)N基が結合しているフッ素化キラルピンサー配位子が利用されている。錯体のキラルなバインディングポケットでアミンと会合した場合には、19F NMRで区別できる化学シフトのシグナルが観測される。この技術は化学者に、キラルアミンの鏡像体過剰率を決定する簡単な方法を提供するため、キラル中心を有するアミンを含む医薬品の開発の迅速化を可能にする。研究者らはさらに、錯体は溶液中12種類のアミンを同時に同定できることも示している。加えて脂肪族アミン、一般にキラルHPLCを使ってもその分離は困難であるけど、それでも今回の系は利用できる。眠れぬ夜も、このアミン区別で安眠できるかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 16, p. 26.

DOI: 10.1021/jacs.5b00556

15.4.8

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1960年代に

 出生異常をもたらしたラセミ体である医薬品サリドマイド、今では、その類縁体が開発され、抗炎症、抗がん剤として販売されている。一般に医薬品化合物の一方の鏡像異性体は、治療の効果を示すが、別の異性体は不活性あるいは、深刻な場合には健康障害を引き起す可能性がある。ただし望ましい鏡像異性体のみを送達しても、それが素早く、一斉に、異性化する場合もある。そこで重水素利用によるキラルスイッチ法 (deuterium-enabled chiral switching)を使い、研究者らは、二つのサリドマイド類縁体(CC-11006, CC-122)の望ましい鏡像異性体を安定化させた。キラル中心の重水素化は、化合物の代謝や薬物動態には影響をおよぼすことなく、ラセミ化を減速させることができる。CC-122では(-)の異性体が活性を示し、しかもラセミ混合物よりも高い活性だった。ポジティブマインドで、サリドマイドを多発性骨髄種のための医薬品へと発展させることも計画されている。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 16, p. 26.

DOI:10.1073/pnas.1417832112

15.4.7

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カドミウムは

 化石燃料の燃焼や電子部品廃材のリサイクルで、街角でも生まれる。ただしその蓄積にもかかわらず、細胞内の毒性に関わる分子機構、とりわけ、それが酸化ストレスをもたらす機構については、完全には理解されていなかった[1]。その中今回、モデル化された細菌性生物の中では、CdMnZnの細胞内での貯蔵を激減させることで問題が引き起こることが報告された。Cd2+は、肺炎連鎖球菌の中にある輸送タンパク質に必要なMn2+と競争して潜入する。Cd2+が中に入ると、細胞の金属センシングシステムがそれをZn2+と間違えて、Zn2+を運び去るタンパク質の発現が引き起される。すなわちCd2+は直接酸化ストレスを引き起さない代わりに、Mn2+の量が低下することで、スーパーオキシドラジカルを除去する酵素の発現が抑えられ、この酵素なしでは、細胞は反応性の高い酸素種に鋭敏になってしまう。一方でたとえCd2+の量が多くても、Mn2+を満タンにしてやれば、酵素発現とともに、細胞の酸化ストレスに抗する力も向上する。少ないマンガンに我慢は禁物です。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 16, p. 26.

DOI: 10.1038/ncomms7418

15.4.6

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ビンセント・ヴァン・ゴッホは

 絵を描く時に、真っ赤を引き出すために、鉛系色素であるPb3O4を含む絵の具を使っていた[1]。今回、この特殊な絵の具は、徐々に白色に変ることやその様子が明らかにされた。古代から、広大に使われている鉛染料を含む絵の具の脱色は、よく知られた現象であり、黒ずむか白くなる。その中研究者らは、X-線粉末回折トモグラフィーを使って、ゴッホの1889年の作品「Wheat Stack under a Cloudy Sky」から得たサンプルの解析を行った。サンプルの中の赤橙色のPb3O4コアとそれを取り囲む明るい青色のPbCO3層との間のスペースには、プランボナクライトである3PhCO3•Ph(OH)2•PbOがあった。これは、20世紀半ば以前の絵画でこの化合物が発見された最初である。またこの発見によって、赤い鉛の分解について新しい見解を提案することができ、二酸化炭素や光を含む機構が提案されている。絵にも鉛が、たんまり使われている。絵画の素晴らしさ、たまりません。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 16, p. 26

DOI:10.1002/ange.201411691

15.4.5

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分子工場が

 登場した。複雑な低分子の合成と精製を自動化することは未だに困難である。その中新しい装置が開発された[1]。メチルイミノジ酢酸のホウ素エステル(MIDAボロネート)を使った鈴木宮浦カップリングでポリエン天然物骨格の合成[2]に成功していた研究者らは今回、MIDAボロネートを精製のためのタグとして、たぐりよせた。これによってcatch and releaseシステムを構築している。それぞれのカップリング反応の後に、中間体はシリカゲル上に担持されると同時に、過剰な反応剤や副生成物は洗い流され、その後中間体が解放される。ついでこれは次の段階で利用できる。さらに研究者らは、脱保護、カップリング、精製という合成の基本的な三段階を自動化する合成装置を設計し組立てた[3]。これによってmg量の14種類の低分子が合成され、その中には大環状多環化合物も含まれている。なおこの成果は、化学合成における偉業(tour de force)であるとも評されている。自動化に一同、感動である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 16, p. 3.

[2] DOI: 10.1038/nchem.1947

[3] DOI: 10.1126/science.aaa5414

15.4.4

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大型トラック

 船舶、航空機を動かすための再生可能な燃料への期待が高まる中、海軍の研究者らは、きれいに燃焼できる高性能なバイオ燃料を、セスキテルペンとパラフィン炭化水素をブレンドすることで、フレンドリーに作り出した[1]。研究者らは複数の環状、長鎖の炭化水素を混合しテストを行った。その結果、カリオレフィンと5-メチルウンデカンの混合に至った。カリオレフィンとは、大麻やクローブや別の植物のオイルに含まれる三環式セスキテルペンを水素化した化合物であり、植物から抽出されるか、あるいは糖鎖の発酵でも得られる。5-メチルウンデカンは、発酵と化学合成の組合せでバイオエタノールから調製できるケロセンのC12炭化水素成分である。65%セスキテルペンと35%5-メチルウンデカンの混合が、ディーゼルの性能と安全性の基準を上回っていた。さらにブレンド比を40%, 60%にすると、低温になった場合の粘性の増加も軽減でき、ジェットエンジンにも利用しうることがわかった。5-メチルウンデカンとの出会い、運でっか?違います。ブレンド研究と連動しています。

[1] chemical & Engineering News, 2015 March 9, p. 35.

DOI: 10.1021/ef5027746

15.4.3

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自己洗浄式材料

 水がその上で、ビーズを形成して転がりどんな汚れも除去できる。そんな材料になり得るナノ粒子をもとにしたコーティングが開発された。この成果は衣服、硝子、鋼鉄に応用できる[1]。この度量の大きな塗料は、パーフルオロオクチルトリエトキシシランで覆われた二つの異なるサイズの枠の中にある二酸化チタンのエタノール懸濁液である。塗装はスプレーを使ったり、浸したり、材料の上に押し出したりすることで、実行できる。塗料と市販の接着剤を組合せると、より硬いコーティングを可能にし、自己洗浄特性が、傷がついたりや摩耗しても、維持される。加えて油の混入や油に浸かると、水に対する反発特性を示す超疎水性コーティングがはがれるのが通常であるが、この材料は機能を維持している。これによって、しばしば油と接触するギアーやベアリングでも、汚れていない状態を保つ塗料としても適用できて、素敵ようである。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 March 9, p. 34.

DOI:10.1126/science.aaa0946

15.4.2

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有機触媒と光レドックス触媒の

 組合せが実を結び続けている。Ir光触媒とチオール有機触媒を使うことで、アリール基を直接アリルsp3C-H結合に付加させることを達成した[1]MacMillanらはこれまで、触媒コンボ(混紡でもこん棒でもない、combination)によって、アルデヒドの非対称アルキル化、アルデヒドのα-トリフルオロメチル化、アルデヒドやケトンのβ-アリール化を行ってきた。新しい反応では、電子不足な芳香族ニトリルをオレフィンに連結することができ、多くのタイプの分子をつくるのにお手軽な方法である。ここでは二つの触媒サイクルが結びつくことで反応が進行している。光レドックス触媒は、電子移動によって、芳香族ニトリルを寿命のあるラジカルに変換する。同時にチオール有機触媒は、オレフィンからアリル位水素を引き抜き、ラジカルを導く。ついでこれら二つのラジカルが巡り会って生成物を形成する。触媒コンボ、今度試してみませんか。

[1] Chemical & Engineering News, March 9, p. 35.

DOI: 10.1038/nature14255

15.4.1

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