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2015年6月

ニクトゲン原子

 15族元素の俗称、窒素原子を含むかどうかは諸説がある。「肉で元気に」とは全く関係ない。今回その族にある元素だけで芳香族化合物が合成された[1]。化学式はP2N3-で、二リンとナトリウムクリプタンドカチオンを有するアジドアニオンとを反応させて調製している。結果として得た結晶の構造が解析され、アニオンは平面で芳香族π電子系を有することが示されて、これは電子構造の計算結果と一致した。それは、すべての窒素ならびにリン原子上に電荷が広がっていることを示している。これまで化学者は、二つのリン原子間の多重結合を有する化合物の単離は、反応性の高いπ結合をブロックするために、嵩高い置換基が必要であると考えていた。それに対して今回のアニオンは嵩高い置換基がない場合でも単離できている。研究者らは「この安定性は、有機化学領域では伝統的に確保されている効果の芳香属性として、理解できる」と指摘している。化学に奉公した成果かもなあ。

[1] Chemical & Engineering News 2015 June 1, p. 27.

DOI: 10.1126/science.aab0204

15.6.30

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連続環化付加を

 一回の反応操作で引き起すことができるジエンが開発された[1]。これによって、多環天然物やイメージング剤の合成を、時間やコストを節約し、廃棄物も少なくて、達成できる可能性がある。Wender先生らは、自然界では、連続した結合形成過程を経て、どうやって複雑な構造を導きだすのかを深く考察し、反応剤を考案した。まずは既に利用されている有用なDiels-Alder付加物と金属触媒環化付加反応の合成的有用性を増幅させるアプローチを採用した。調製が難しく短寿命のテトラメチレンエタン(TME)ジラジカルをモデルに、DMTBと呼ばれるジエンを設計した。TME等価体に対して、信じれることに、様々な親ジエン体が最初の環化付加で反応し、脱離の段階を経て、新しいジエンが生じ、二回目の環化付加が起こった。反応例の一つとして、ソルバトクロミズム染料で、生体系での蛍光のon-offプローブとして利用できる6-DMAの合成が行われた。連続環化でも、カンカンと音はしないと思います。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 25, p. 33.

DOI: 10.1021/jacs.5b04091

DMTB: 2,3-ジメチレン-4-トリメチルシリルブタン-1-オール

15.6.29

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パリ凱旋門

 専門外の自分でもその威容に圧倒される。ラセン階段を上り切って屋外に出る。増える観光客、エッフェル塔を背景に写真撮影。四方を見渡すと、ここから八方に道が広がっていることがよくわかる。通りごとにテーマがあるような風情。両側の木々は一定の間隔で植えられている。交通量の多い道路の雰囲気を緩和させる。下りのラセン階段は上りとは逆向きで回る。ここからシャンゼリゼ通りを歩く。対向二車線の車道ほどの歩道の広さ。それに沿って著名なブランド品のお店が並ぶ。歩道の一角を利用したレストラン。さらに通りを進むとコンコルド広場から、美術館が並ぶエリアになる。どの美術館も建物そのものが作品である。チケット購入にエチケットを守って並ぶ。持ち物検査の後に入場。ほとんどの芸術品、フラッシュなしでの写真撮影が許されている。ラッシュになる代表作「モナリザ」。混雑の中ではスリがすり寄ってくることもあるので注意。モネはマネのまねから始めたのか、後の作品は印象派そのもの。三次元を二次元カンパスに描いたピカソ。若い頃の画風とのあまりの違いに、ひっくり返りそうになる。

15.6.28

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肺の炎症を含む

 ぜんそくの人は、イエダニでアレルギー反応を引き起す。今回、肺の中の酵素の活性が、ダニの外殻をつくっているポリサッカリドであるキチンを細かく切り刻むことで、この免疫系の反応を止めることができる可能性が報告された[1] これによって将来、家庭害虫に対するアレルギーを持っている患者さんに対する治療法を提供しうる。研究者らは、遺伝子工学的にネズミを操作した。そのネズミは肺の中にあるキチンを、きちんと食べる二つの酵素のうちの一つであるほ乳類の酸性のキチナーゼを持たない。突然変異による酵素はキチンにバインドはできるが、それを分解することはできない。このネズミ、イエダニの空気感染に、通常のネズミより以上に、アレルギー反応を示した。さらにアレルギー反応の程度は、キチンの塊の大きさにも依存した。分解していないキチンはより大きなアレルギーを引き起こし、小さなそれはそれほどでもなかった。キチンとの直接の接触とは異なり、肺の細胞は、小さなポリサッカリド片を吸収するため、免疫反応を引き起す経路を不活性化しうる可能性がある。「イエダニへの対処法、言えるだに」に近づいた。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 25, p. 32.

DOI: 10.1073/pnas.1507393112

15.6.27

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ナノチューブは

 非局在化した電子を共有することを厭わないとき、風変わりな電子的特性示すことができる。ただし新品のチューブを所定の軌道の重なりをつけて成長させることは挑戦的な課題である。その中、ポルフィリン分子を使って、はっきりした形のπ共役ナノチューブをつくる方法が報告された[1]。研究者らはまず、ポルフィリンの二量体をつくった。亜鉛を分子内にもつ分子はお互いに平面で連なっている。そこへヘキサピリジルテンプレート分子を加えると、二量体は、樽が段になったように配置した。テンプレート分子が持つ六つのピリジル基はそれぞれ亜鉛一つと会えるように連結している。これらのテンプレートのうち二つが、六つのポルフィリンの段の中心で、きれいに積み重なると、それが二量体をシリンダー内に引き込み、それぞれのポルフィリンが隣接するそれとπ共役するようになる。これらのチューブの高さは二量体の長さと同じであるけど、より長い構造を組立てることで、チューブの電子的な特性を、より深く理解できるものと思われる。チューブ内のテンプレート、宙〜ぶらりんのようにも見える。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 25, p. 32.

DOI: 10.1002/anie.201502735

15.6.26

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典型元素化学にとって

 二元多原子カチオンは珍しい化合物ではない。ただしリン原子と16族元素を含んだそれは、これまで合成例がなかった。その中三つの研究チームが独立で、でも同時に同じP-Seカチオン[P3Se4]+を異なる方法で合成した[1]。それらについてJ. J. Weigand先生ら多国籍チームが、かご型分子の合成と性状として報告した。ひとつめのチームは、ルイス酸性イオン液体([bmimCl][AlCl3])中、赤リン、灰色のセレン粉末に、四塩化セレンの支援も借りて、加熱することで調製した。別のチームは、塩化メチレン溶媒中、P4Se3のアリール化をC6(CH3)5Brを用いて行い、カチオンの形成を観測した。ついで三つ目のチームは(Me3Si)2SePCl3MX3 (M = Al, Ga, X = Cl, Br)の塩化メチレン溶液に加えて合成した。研究者らは、X-線構造解析と、31P, 77Se の固体および溶液中のNMRスペクトル、ラマンスペクトル、量子力学計算を組合せて、様々なP-Seカチオン塩の性状を解明した。このカチオンも、かっちょいいよ〜ん。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 25, p. 32.

DOI: 10.1002/chem.201406476

15.6.25

 

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鉄は熱いうちに打て

 この鍛冶屋のアドバイスを真摯に受けて、カリフォルニアの研究者らは、二級アミンを導く鉄触媒反応を開発した[1]。この方法を用いると、これまでの方法では合成に手間取る化合物を、安価で豊富な出発化合物からつくることができる。カルボニル化合物からイミンを経た還元的アミノ化は一世紀ほどの歴史のある反応である。それに対して今回の方法は「還元的アミノ化2.0」と研究者らは呼び、ここではヒドロシラン、鉄触媒存在下、ニトロアレーンが還元されてそれがアルケンに付加し二級アミンを与える。またアルコールやボロン酸などの官能基を有する基質も用いている。反応の有用性を示すために、HIV-1逆転写酵素阻害薬の中間体を、従来法では1.5 gを合成するのに三段階を要しおよそ$1450必要なものを、一段階で、およそ$60で合成している。反応は適用限界がないわけではない。ニトロアルカンではあまりうまく進行せず、また三当量のアルケンも必要とし、反応後は「余るけん」である。それでも113の反応例に関するsupporting informationには、必要な情報が満載である。また課題が生じたときには、Open Flask blog[2]でお答えするという体制で、威勢もいい。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 25, p. 7.

DOI: 10.1126/science.aab0245

[2] http://openflask.blogspot.jp

15.6.24

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パリから出国

 やっぱりか。東京・成田行きの便の搭乗手続き用のカウンターがセットされた。担当者は通路をつくるためにそれまであったポールを一旦のけて、新しいラインがセットされた。離陸の3時間ちょっと前から手続きは始まった。スムーズに通過。出国検査に向かう。ここに長蛇の列。水ちょうだいと言わずとも水を配る担当者。Closedな窓口も多い。そのうちフライトは何時かという会話が聞こえだして窓口が増えた。でもこの段階で持ち物検査はない.日本の空港とは順番が逆。免税店で液体を買った。このまま行きたいと思ったけど、その後に荷物検査の場所があった。さっきもらった水、これを持ち込むのは禁止だと言う。「いや〜配ったのは出国検査場で働いている人やけどなあ」と思いながら、ペットボトルを捨てた。「免税店で購入したものは液体か?」確かにそれもある。免税店の店員さん、袋を二重にしてくれた。でもこちらの検査場では、その中から液体が取り出された。しかも小さな文字で印字された搭乗券の番号と照合していた。

15.6.23

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ICHAC-11が

 閉幕した。前日の午後9時前始まりで午前様になったバンケットだったけど、最終日の講演を聞く人もいた。不斉水素化である。P-キラル配位子のリン原子上の芳香環オルト位置換基が鏡像体過剰率を決める。ついでホスホールに関する講演がホールに流れた。最後は、超原子価ヨウ素化合物が鍵になるCF3化剤、Togni先生の講演の詳細はChemical Reviewにアルッとニーです。オープン・アクセス。どこでも誰でも見ることができる。ついで今回の会をサポートしたメンバーが紹介された。最後は次回の開催場所の紹介。今回の会議の前にも決まらず、その方の招待講演はなかった。でも説き伏せた先生がいたらしい。カナダ、バンクーバー。昼も何かを食ってもよい。人口200万を超える。居住するには、教授にとっても高い場所。学会参加者は、学生寮で宿泊できるようになるとのこと。カルガリーオリンピックの会場も近い。熊、禿鷲、シャチにも出会える。処置に困るかもしれないけど気にしない。2019年開催、今から準備を

15.6.22

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中国の先生と

 カーンで話した。だれもあか〜んとは言わない。中国から発表される論文の数、そのクオリティの上昇率、その勢い、本邦とは全く違う。基礎研究(fundamental research)への財政的支援。ここ数年の金額的な伸び率は18%とのこと。大学院生の授業料は無料、加えて生活できる程度の給与が支払われる。その額はがっくりしない。学卒で働く同世代と同様あるいはそれを上回る額が毎月支払われる。その先生が言われるに、大学にはCourse ProgramResearch programがある。前者は、これまでにある知識を吸収するプログラム。学部生はその典型である。加えてMBAの大学院生、どちらも授業料が発生する。一方で後者、たとえ学生であっても新しい発見(discovery)に身を投じている。そこでは給与が発生する。先生は香港の大学に在籍される。中国本土とは、ある部分一線を画すものの、学生の授業料やサラリーについては同じシステムらしい。ただし香港の先生が、中国政府の研究費への応募はできない。それでも共同研究での申請はOKらしい。

 このことカナダ、ポーランドの先生にもお聞きした。大学院生が授業料を払うことはない。2010年にフィンランドで聞いたときも、「誰が大学院生になった子供の授業料払うのか!!」と教えてもらった。スロベニアしかり。対して本邦、博士後期課程の学生さんでさえも、授業料が発生する。世界の中でのトップクラスの独自性、いわゆるガラパゴス化です。

15.6.21

 

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モン・サンミシェル

 坊さんでなくても知っている、フランス西海岸にある小島。カーンからバスでおよそ二時間、シャトルに乗換える。昨年末に橋が完成して、満潮でも往来ができるようになった。それでも満干がある海岸沿いを歩くのは勇気がいる。足を軽めに入れても、ぬかるみだったという場所も潜在する。700年頃かに礼拝堂がつくられて、その後増改築が繰返されて概ね今の形になった様子。石段を上るといくつもの部屋がある。その後の歴史、イギリスとの百年戦争も経て、時には上流階級の人が居住し、食堂や厨房、寝室だった場所もある。往時は時代を特徴づける絵画や装飾品もあった。そのうちに監獄にもなった。フランス革命では先の装飾品一切が破壊されて、修道院はなくなった。それでも監獄として残ったとのこと。しばらくすると修道院が復活。建築様式もゴシックからノルマン、ロマネスク様式など変化に富む。階段を上るにも息切れしそうなガイドさんの説明、難解なことも多かった。「学ぶべし、世界史、これ正解やし」

15.6.20

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カーン城近くの

 駅からトラムに乗って国際会議開催の大学に向かう。チケットを買った。「ケッチと」思われんように10枚綴りにした。聞けば、ある先生が現金で購入を試みるも、故障のために使えない。見かねたフランス人(多分)、自分のクレジットカードで購入して、本人から現金をもらったとのこと。でも別の先生のお話「そんな感じで買ってもらって、実は安いチケットだった」という。チケットのエチケットも大事やなあと乗車する。車両内のポールに設置の機械に通す。「これで乗車一回分ね」が確認できる。車掌さんもいないし駅でそれを確かめる担当者もいない。その手続きなしで乗車して降りることもできる。でこの日は途中駅でメキシコからの先生と乗合せた。名古屋開催のICOS-15でお会いして、ICOS-16のメキシコ・メリーダでもお会いした。母国での国際会議の主催、政府に対して、制服はいらんけど、書類が山ほどいる。しかも完了後、官僚との色々なやり取りも必要とのこと。それでも三年前にも物理有機化学関連の学会を開催された。場所は、ユカタン半島内、スタイルは浴衣でなくてよい。リゾート地カンクーン近く、パイレーツ・オブ・カリビアンである。もしや次回のICHACとよぎってお聞きした。

15.6.19

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ICHAC-11

 Gaumonto女史が主催。200名以上が集まったらしい。でもスタッフの一人に聞くと170名ほど、そのうち日本人がおよそ50名。ウェルカムパーティーはカーン城内で開催。この土地特有の、リンゴベースのお酒も振る舞われる。飲んで振り回されるわけではない。お味も独特だった。コンファレンス会場は1423年に設立されたカーン大学のキャンパス。ただし建物は往時のものではない。オープニングセレモニー。まずは組織委員長の挨拶、ついで大学関係者二人のお話。予定していた時間のうち20分ほどが余った。そこで最初の基調講演がプログラムより早く始まることになった。様々な安定カルベンをつくるBertrand先生、最後のトピックは、先生のチームがつくったカルベンが配位する銅錯体で、クリック反応の機構を解き明かした。その展開に驚愕している間、謝辞が語られる。シニアスタッフが三名。4年程度で移動するらしい。でも、ひとりは期待としてもう少し長くいてほしい、自分の奥様とのこと?! 拍手の後、コーヒーブレイクで、座長を担当。そこには時計係、照明係はいなかった。おおよその時間を、予想して開始。発表者も時間を実感できない場だった。お陰で悠長な場に。幸い「なに言うちょうねん」という雰囲気にもならずに時は流れた。

15.6.18

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空港からパリ市街

 タクシーに乗る。三つトランクも積んでもらった。90 kmを超えるスピードで快調に走行。それを追い抜くビークルの数もそれなりの中、市街に近づいた。くねった道を無事通過してホテル前に到着。48ユーロなり。憂慮することなし。50OKと手渡した時、52+αだという。お荷物がおにもつになるというので、1.5/トランクが必要のこと。サン・ザラールにあるホテルにチェックイン。「バザールでござ〜る」というキャンペーンはここにはない。部屋に移動のため、エレベーターを待つ。着いた様子。手動で扉を開けて入る。1 m程度の四方に閉じこもる。動き出すと、きしんだ音が臨場感をかき立てた。ともかく引っ張りだこのパリ。わずかな時間を使ってコンコルド広場まで散策。六年前「今度も来るど」とは思わなかった。かつて公開処刑もあった場所。ルクソールから、高いリスクをクリアして移動させたオベリスク。今は広場の真ん中に立つ。

15.6.17

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シャルル・ド・ゴール(CDG)空港

 がゴールの飛行機に搭乗。エコノミーにもウオシュレットがしれっと装備されている。この時間帯のヨーロッパ線、かつては窓のブラインドを閉めるお願いがあった。それでも空いている場所は客室乗務員が専用の棒で閉じていたはず。でもそれがない。外は見えるけど、なんとなく、いいくらいに、暗い。はて?聞けば、窓の手元に採光が調整できるような仕掛けがあるという。そんな機内、「コーヒーいかがでございましょうか」通路を通る乗務員。想定する答えは「お願いします」「結講です」あるいは無言。でもあるおばちゃま「カボスジュースちょうだい」客室乗務員「かしこまりました」ジュースを受け取ったおばちゃま、座席前のモニターでドラマを鑑賞されている。終わった模様、今度は、客室乗務員をコール。「半沢直樹五話まで見たんや。六話にしたいんやけど」などとこちらまで聞こえる話し声。担当した人は丁寧にセットされた。客人は直樹に再び会えて「なお機嫌もよし」のご様子でした。CDGにも無事着陸した。 

15.6.16

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イサチン

イサチン

 血液中にあってストレスのバイオマーカーでおまっかーの可能性がある。今回その検出に酵素を使った新しいアッセイ法が報告された[1]。これによってストレスの際のイサチンの役割についての研究を後押しし、患者のストレス診断のルーチン法への道も開かれる可能性もある。ノルウエーの研究者らはイサチンを測定するために、既知の量のイサチンを、異なる割合で加えた血液サンプルを調製した。ついですべてのイサチンを血液そのものと、調製した血液から抽出した。そこに加水分解酵素と過酸化水素を加えて蛍光発光させる。蛍光強度と加えたイサチンの量との相関をとることで、血液にもともと含まれるイサチン濃度を計算することができた。ある健康な人の血液サンプルを使ったところ、天然のイサチン量は420 から462 nMであり、以前液体クロマトグラフィーで決定した量と同じだった。なおこの蛍光法は、96-マイクロプレートに適用しうる技術である。イサチンを「いち・に・さん」ときちんとカウントする方法である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 18, p. 31.

DOI: 10.1021/cn500346x

イサチン:1H-インドール-2,3-ジオン

15.6.15

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地位類とは

 藻類と共生する菌類である。これが北極圏の海岸線で成長することで、毒性を示すメチル水銀が、地球の食物網に広がる可能性が報告された[1]。北極圏の先住民にとってトナカイの一種カリブーは、日常食す肉類である。地位類はそのトナカイと仲が良い。かれらの冬のえさの77%をも占める。そこで研究者らは地位類の中のメチル水銀の量を、北極海にある二つの島の複数の箇所からサンプルリングして測定を行った。一つの島は一年のほとんどが氷で覆われていて、そこでは水銀のレベルは、どこで集めた地位類も変化はなかった。一方で、一年中水が流れているエリアの隣の島では、海岸に近いところの地位類は、島の中で成長したそれの10倍のメチル水銀とナトリウムを含んでいた。これはメチル水銀が大洋から来たことの証拠である。この研究は、これまで考えられていた教義である「地球の食物網はメチル水銀が、一般には残存していない」の正当性を疑うものである。地位類について、知ること、親類にも伝えよう。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 18, p. 31.

DOI: 10.1021/acsami.5b01380

15.6.14

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生体で見られる

 ある種の生化学構成要素は、ほとんど一つの鏡像異性体で存在する場合がある。天然のアミノ酸はL体、糖鎖はD体である。これまでこの起源を説明する機構が、無期限で、不機嫌ではないけど、提案することがなされて来た。今回この生体系のホモキラリティに関する別の例が報告された[1]。研究者らは、気相のキラル分子をアキラル表面に吸着させ、混合物の鏡像体過剰率を増幅させた。これまで何年にも渡ってエナンチオ選択性に関して、吸着課程が働く役割が研究されてきた。ただしこれまでは、天然に存在する水晶の様なキラル鉱物を含むキラル表面だけだった。今回驚いたことに、吸着をもとにした鏡像体過剰が必要ないことを示された。研究者らは、アキラルな銅表面を、13Cでラベル化されたDLの混合物でDがわずかに過剰であるアスパラギン酸にさらした。吸着された鏡像異性体の質量分析の結果と多くの比較実験をもとに、アキラル表面への吸着はD異性体の鏡像体過剰率を30%から90%に向上させることが示された。感情も高ぶる結果です。

[1] Chemical & Engineering News, 2015, May 18, p. 29.

DOI: 10.1038/nchem.2250

15.6.13

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地球上の光合成の

 ほとんど半分を担っているAlexandrium minutum と呼ばれる単細胞藻類は、走塁はしないけど、時にきままに成長し、神経毒のアルカロイド化合物を生産する。これが食物連鎖で蓄積し、漁業に悪い影響を及ぼす。何がこれらの植物性プランクトンそうさせるのか、長い間の疑問だった。その中今回、藻の動物性プランクトンを捕食するものが要因であることが報告された[1]スウェーデンの研究者らは、植物性プランクトンを食べる動物性プランクトンが、コペポダミドと呼ばれる藻の消化を助ける極性脂質を生産することを発見した。そこで藻は、もがくわけではないけど、コペポダミドを検出すると、防衛戦略として、サキシトキシンのようなアルカロイドを生産し始める。たったピコあるいはナノモルレベルのコペポダミドが、神経毒アルカロイドの生産を20倍も増加させていた。「それはだみやど」とコペポダミドにお伝えしなくてはいけないでしょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 18, p. 29.

DOI: 10.1073/pnas.1420154112

15.6.12

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ニンジンジュース

 の絞りカスのような野菜食品の廃棄物から出発して、セルロースナノファイバーを生産する方法が開発された[1]。加えて他のナノセルロース製造方法と比べた、環境負荷、パフォーマンス、経済的なデータを含むライフサイクルの評価も行われ、この新しい方法が商業的に利用可能であることも示された。セルロースナノファイバーは、食品包装、医療への応用、有機ベースのディスプレイに応用されている炭素あるいはグラスファイバーの代替物として、綿、ココナッツ、木のパルプのような再生可能な資源からつくられる生分解性材料である。がそれは商品化されたばかりであり、今でも製造方法が検討されている段階である。その中研究者らは、エネルギー利用、出発の材料、水、用いる溶媒と廃棄物との損失評価を行った。まずは低分子化を化学的な酸による加水分解ではなくて酵素を選択しセルロースを単離した。ファイバー表面を、ポリマーコーティングで官能基化し、湿式紡糸法で、繊維を配向させ糸にした。いいと思います。さらにニンジンの絞りかすは、エネルギーを得るために燃やすのがよいか、肥料として使うのがよいか、ナノセルロース源がベストなのかについても詳しく検討された。ニンジンの技術、日本人にもできるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 18, p. 28.

DOI: 10.1021/acssuschemeng.5b00209

15.6.11

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地球全体の

 二酸化炭素の平均的なレベルが、この3400 ppmを超えたことが報告された。長年にわたって地球上の離れた40カ所の大気サンプルのCO2の平均が観測されている。2012年に数カ所で400 ppmを超えたことが報告されたが、今回はすべての観測地点でその数値を超えていた。前回地球の大気のCO2400 ppmになったのは、およそ450万年前の暖候期のピークの時であると考えられている。これは1950年からの分析結果と、氷床コアや別のところから得たデータを組合せて引き出されている。CO2レベルが280 ppm辺りになったのは、産業革命以前の1800年半ばで、その後徐々に上昇しているが、これは化石燃料の燃焼の増加のためである。観測結果について、感想聞くことはないけど、1850年以降の120 ppmの上昇のうち半分は1980年以降であり、上昇の速度が増大し今では年平均2.25 ppmである。科学者は、地球全体の平均は、植物や土壌生物が増えたり減ったりすることで季節によって増減はあるけど、全体として上昇傾向であると記している。少々の上昇だけど、継続が気がかりです。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 18, p. 28.

15.6.10

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チョコレート好きな人

 好物のラップを開けると白っぽいかすみのようなものが浮いていてがっかりした経験があるに違いない[1]。このいわゆるファット・ブルームは、脂肪がチョコの表面に移動して、そこで再結晶することで生じるもので、チョコレートメーカーでも、ちょこっと以上に致命的であり、商品棚での長寿命化が課題の一つである。その中、小角X線散乱を使って、この再結晶化が起こる構造的な変化の課程が、研究者らによって追跡された。すなわち脂肪がチョコレートの孔を通して表面に移動し始める時、脂肪はトリグリセリドの混合物であるココアバターに溶けることがわかった。これによって「こわばった〜かどうかはわからないけど」ココアバターの結晶構造が破壊される。その結果、チョコ独特の触感が失われて味わっても期待はずれに終わってしまう。この新しい成果は、チョコレートメーカーが、チョコの多孔性と脂肪の移動パスを制御できるよりよい方法を明らかにすることで、まがい物を阻止する一助になるかもしれない。ファット・ブルームのブームも、ふあっと終わるかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 18, p. 28.

DOI: 10.1021/acsami.5b02092

15.6.9

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一杯やりたい

 と衝動的に人を導く脳の機構を、神経科学者たちは完全には理解していない。その中ネズミで行った実験で、イオンチャンネルサブユニットにあるタンパク質の発現が減少すると、ばか飲みが増加しうることが示された[1]。研究者らは、カリウムイオンチャンネルのひとつであるGIRK3を生産しないように遺伝子操作されたネズミが棲むかごに、毎日2時間ずつ、アルコール溶液で満たされたボトルを置いた。ただしおつまみはない(多分)。それでもねずみは毎日そのボトルからエタノールを飲んでほろ酔いになった。しかもGIRK3がないネズミの飲酒量は、遺伝子操作されていないネズミより30%増だった。ついで科学者は、ネズミの脳の腹側被蓋領域(VTA)GIRK3を含むウイルスを注射した。これによって飲酒を抑制することができた。この領域は、恩恵を探すふるまいを制御する脳回路の部分であるものの、GIRK3の欠如がなぜ、ばか飲み行動に連動するか不明である。それでもGIRK3のないVTAニューロンはエタノールには応答しないことも示された。脳回路のこと難解です。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 18, p. 28.

DOI: 10.1073/pnas.1416146112

15.6.8

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ラム酒、ウオッカに

 他の蒸留酒を、アンモニアとホワイトビネガーと組み合わせると、HPLC用の安価な環境調和型の溶媒になることが報告された[1]HPLCで五種類の標準サンプルの混合物を分離するために、これまでとは違う溶媒が使われた。その結果、$22/Lのグレイン・アルコールがHPLCグレードのエタノール、価格は高く、$120/Lだけど、それと同等の結果を得た。ラム酒では、カラムに化合物が絡むためか、効果的ではなかった。酒屋さんで手に入る液体を溶媒として使う方法は、醸造紅茶にあるカフェインやテアニン、オレンジやサプリメントの錠剤から得られるビタミンCを測定するHPCL/MSでも、これまでと同等の性能を発揮した。ただしこれらの分析結果は、$50-130/Lのアセトニトリルを使うと、より速く高い精度で得られる。それでもグリーンケミストリーとリキュール溶媒の安さは、HPLC/MS法を、診療所や研究室で利用できる一助になる。成果にも溶媒にも酔いしれる日が来るでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 11, p. 28.

DOI: 10.1021/acssuschemeng.5b00133

15.6.7

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多孔質炭素構造は

 大きな表面積と安定性を与えるために、電極や触媒を組込む場のための材料として魅力的である。ただしその孔のサイズの制御をあなどってはいけない。これまでその信頼できる方法が欠如していた[1]。そこで金沢大学の研究者らは、オングストロームの正確さの孔で満たされた炭素繊維で制御する方法を開発した。ピラー[6]アレンと呼ばれる研究者が以前開発したフェノール性高分子の溶液から始め、超原子価ヨウ素を使って、六角形の構造を部分的に酸化した。ピラー[6]アレンの酸化された端には、ベンゾキノン基が存在し、近接するアレンに結合した変化していないヒドロキノン基と電荷移動錯体をつくる。そこで分子は二次元ハニカム格子を組立て3-D繊維が積みあがる。溶液から繊維を抽出し900 °Cで炭化させて、90%以上が炭素で、ちょうどより大きなピラー[6]アレンの内部の直径を保持した孔を含む構造をつくりだした。ちなみに反応はアレンのアレンジから始まった。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 11, p. 27.

DOI: 10.1002/anie.201501854

15.6.6

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光化学系II

 として知られているタンパク質錯体は、光合成で主導的な役割を果たしている。このタンパク質のある成分で、酸素発生錯体として知られている部位が、ブイブイと、水から酸素、電子、水素を発生させ、結果として二酸化炭素を有機化合物に変換している。科学者は長年、この酸素発生錯体の中心的な金属錯体を人工的につくりたいと探索を続けている。今回、これまで報告されてきた天然模倣の錯体より、構造的に天然型により近い金属クラスターが報告された[1]。酸素発生錯体の中心は、Mn4CaO4クラスターで構成されており、キュバンMn3CaO4コアとぶらぶらしているMnを有している。天然系では、ぶらぶらした金属はキュバンと二つの酸素架橋で連結されている。一方で新しい人工のシステムは、金属は酸素架橋が一つである。研究者らによれば、この人工系は、より天然に誓いミミックの最初のステップであるとのことである。旧版とは違って、キュバン型の新しい系が創出された。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 11, p. 27

DOI: 10.1126/science.aaa6550

15.6.5

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二つの状態間を

 スイッチできる機械的に連結された分子は、分子シャトルと呼ばれ、データ貯蔵やナノスケール素子の成分として、かなり有望で、要望も多い。ただしこの類の分子で、実用化レベルになり得るものを提供することはチャレンジングな課題である。それに対して、溶液状態では、ランダムでまとまりがない動きをする分子シャトルが、固体の金属有機構造体の構造成分として、より秩序だったものに変化することが観測された[1]。研究者らは、一対の連結したベンズイミダゾールユニットを含む二量体から分子シャトルをつくった。この部位を取り囲むクラウンエーテルはベンズイミダゾール基の間を滑らかにすべる。二量体部位の末端にあるカルボキシル基は、Zn4Oクラスターに配位し、拡張したMOFを形成する。固体NMRで、クラウンエーテルシャトルが、堅い骨格間を行き来することが確認できた。このことは密に組織化された場合でも、分子シャトルが作用できることを示していた。シャトルのこと、しゃべっとるのでした。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 11, p. 27.

DOI: 10.1038/nchem.2258

15.6.4

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グリコシル化は

 よくあるタンパク質の翻訳後修飾である。それでもこの化学変化を特定できる直接的方法はない。質量分析ではグリコシル化の位置と組成を明らかにすることはできるが、タンパク質の酵素消化を必要とすること、正確な立体化学や糖鎖の連結を決定することはできない。その中今回、損傷を受けていないグリコシル化タンパク質を検出し、特性を明らかにするための、単純で直接的なNMR法が報告された[1]。すなわちグリコシル化を知る鍵がそこにあった。研究者らは、それぞれのタンパク質の二次元NMR(1H-1H1H-13C)を集めた。特徴的なパターンによって、それぞれの反応で、サッカリドの型と繋がりを明らかにすることができる。変性条件での分析も行われ、すべてのアミノ酸の化学シフトがランダムコイル構造を反映しており、それからのずれは、修飾を示している。さらにバクテリア、菌類、植物、動物からのグリコシル化タンパク質の分析も行われ、およそ20までのサッカリドを含むグリカンでも分析ができた。ただしこの新しい方法は、タンパク質配列の修飾されている位置の同定には使えないので、質量分析と相補的になると思われる。NMRMassのコラボ、ラボでも出来そうかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 11, p. 26.

DOI: 10.1002/anie.201502093

15.6.3

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細菌性バイオフィルムは

 結腸ガンに影響を及ぼすことが提唱されているものの、実験的な検証はあまりなかった。その中、よろしくないガンバイオフィルムサイクルが明らかにされた[1]。結腸がんは、結腸内で、几帳面に、細菌性バイオフィルのさらなる成長を刺激し、一方でフィルムはガンの増殖を促す。そのためバクテリアを抗生物質で処置するとバイオフィルムは除去されガンの成長が妨げられた。研究者らは、代謝学とナノ構造質量分析イメージングを使って、ガンが促進するポリアミン代謝物であるN1,N12-ジアセチルスペルミンの生成量を明らかにし、結腸ガンは細胞内でも増殖するが、バイオフィルムがある結腸では、さらにたくさんあることを示した。これらの結果は、結腸粘膜のバイオフィルムがガンの代謝を変化させ、細胞増殖と結腸ガン成長を調節する遺伝子が生じて、ガン発生と進行に影響する可能性があることを示している。「代謝も操作、大したやっちゃあ」と感心しているわけにはいかない。

[1] Chemical & Engineering News, May 11, P. 26.

DOI: 10.1016/j.cmet.2015.04.011

15.6.2

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フルクトース

 古くから知られている糖鎖だけど、食べ物の摂取を制御する脳内の視床下部を活性化することが2013年に報告された[1]。一方でグルコースは、カロリー的にはフルクトースとほぼ同じであるものの、こちらは食べたいという活動を抑制し満腹感を感じさせる。今回これら二つの糖鎖の違いがさらに明らかにされた[2]。フルクトースあるいはグルコースで味付けされたチェリーの香りの水を、被験者に飲んでもらった。ついでその人たちに食べ物の絵を見せて、それに対する脳内の活動を機能的MRIで解析した。フルクトースを飲んだ人たちでは、食べ物のイメージが眼窩前頭皮質でわき上がり、それはグルコースを飲んだ人よりも強かった。脳内のこの領域は、食べ物やドラッグなどの実りを求める活動が亢進されることと関連している。さらに研究者らは彼らに、「今スナックが欲しいか、一ヶ月後にお金を受取りたいか」を聞いた。その結果、フルクトースを飲んだ人のほうが、一ヶ月後のお金よりも、食べ物を好む傾向にあった。糖鎖のこと、お父さんにも教えてあげてください。

[1] DOI: 10.1001/jama.2012.116975

[2] Chemical & Engineering News, 2015 May 11, p. 6.

DOI: 10.1073/pnas.1503358112

15.6.1

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