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2015年8月

粉ミルクへの

 メラミンの混入(2008年中国)。これによって高タンパク質のように見せかけることができた。ただしこの不純物のため幼児の死者6名に30万人が病気になった。そこでメラミン、見んとわからんでは困るため、67.5 ppbまで検出できる新しい方法が開発された[1]。三種類のDNAをミルクサンプルに加える。特異的にメラミンにバインドできるアプタマー、磁気ビーズに連結したDNAらせん、インベルターゼに結合したDNA。メラミンが存在しない場合には、アプタマーは、ビーズとインベルターゼに結合し、溶液から磁石を使ってインベルターゼを取り除くことができる。一方で、もしアプタマーがメラミンにバインドすると、それはビーズあるいはインベルターゼとはバインドできなくなる。そこで溶液中に残ったインベルターゼ。スクロースをグルコースに変換できるため、サンプルにスクロースを混合することで、グルコースが生産される。これをグルコースメーターで測定すれば、メラミン量を特定することができる。アプタマーの「メラミンあったわ〜」から検出のリレーが始まる。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 Aug. 3, p. 34.

DOI: 10.1021/acs.analchem.5b01085

15.8.31

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大学の北西にある

 ローソン、この街道をここから北へ走ってもかなりの間コンビニはない。売上げも好調らしい。他の店舗と同様、お弁当やら飲み物、様々な小物を扱う。ただしローソンとは言え、硫化剤はない。大損をしないためではない、誰もここでは買わない。店を出てその街道を北へ走る。岐阜市中心部からおよそ20 km、夏草の香りが漂い、畑が広がる。そこに「黒にんにく」の看板。こちらは硫黄の宝庫。古代エジプト。「宮殿やピラミッドはにんにくでつくった」とも言われている。賃金として渡していたらしい。歴史、成分、分析手段、それをモチーフにした建造物、Block先生の本に詳しい[1]。で実際の成分、半分弱は水分、ついで糖類にポリフェノール。構造を特定するまでは至っていないけど、その種類や成分比が品種や地域で異なっている。硫黄成分としてS-アリルシステイン。他にもあるけどS-アリルが活躍する。にんにくの薫製場所。硫化水素でも二酸化硫黄でもない硫黄成分の臭いがほのかに漂う。

[1] Eric Block著「Garlic and Other AlliumsRSC Publishing (2010).この本、中国語訳が出版される。先生は2016ACS Ernest Guenther Award in the Chemistry of Natural Productsを授与された。

15.8.30

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ヘテロ芳香環の

 C-H結合を活性化する新しい方法として、フラストレイテッドルイスペアを使った系が開発された。親電子剤(ルイス酸)と求核剤(ルイス塩基)は通常反応するけれども、これがブロックされて結合形成は挫折、でルイスペアで落ち着く。一方でC-H結合活性化の主役は遷移金属触媒である。その中カナダ、ケベックの研究者らは、ボランを基本とするフラストレイテッドルイスペアが、フラン、チオフェン、ピロールのC−H結合を触媒的に活性化し、ボロネートを形成することを発見した。触媒の求核的アミンがヘテロ芳香環のC-Hプロトンを引き抜き、親電子的ボロン錯体が、新弟子ならぬ、C-H炭素を引き寄せ、ボリル化を引き起す。金属触媒を使っていないことから、生成物から金属を除去する必要はない。また遷移金属では簡単に触媒できないいくつかの反応を触媒することもできる。フラストレイテッドルイスペアの、イラストのスペア、どなたかつくりませんか。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 3, p. 33.

DOI: 10.1126/science.aab3591

15.8.29

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B-N-C-O

 が混成したものが、小さいけど原子的に薄い二次元(2-D)材料に、仲間入りした[1]。この発見は、ナノエレクトロニクスのためのチューニングできる特性を持った別の超薄い多元素フィルムを導く、新しい方法にもなり得る。以前研究者らは、二種類の原子的に薄い材料である六角形の窒化ホウ素とグラフェンが、化学蒸着(CVD)で混成し、異なる2-D材料を形成することを報告していた。今回CVD装置の中に、必ずあるわずかな量の酸素が、BNC生成物にどのような影響を与えるのかを解明しようとしていた。研究者らは、一連のCVDフィルムを、一定量の酸素を異なる流速で流しながら、メタンとNH3BH3から作成していた。その結果、予想とは異なり、BNCマトリックスの中に、ミクロサイズのBNCOドメインも、メインであり、またその結果は再現性もあった。ドメインのサイズと組成は、酸素濃度と密接に関係していた。計算結果は、BNCOは常磁性であり、スピントロニクスに応用できることを示唆していた。BNCOのサイズ、文庫本より遥かに小さい。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 3, p. 33.

DOI: 10.1126/sciadv.1500094

15.8.28

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赤ワイン成分である

 レスベラトロールが、高いリスクの疾病に罹患した患者さんで、心臓病やガンなどを、ほとんど副作用なしに、防ぐことができる可能性があるとして、注目を浴びている[1]。今回の研究成果は、レスベラトロールがネズミを大腸ガンから守る効果が、その量が多いより少ないほうが効果的であることを示していた。たくさんとろ〜るではないらしい。研究者らは、腸に腺腫ができやすいように遺伝子変異させたネズミに、レスベラトロールを飲んでもらった場合とそうでない場合を比較した。その結果、飲んだほうが、腫瘍の大きさはサイズとして25%小さかった。さらにわずかな量を飲んだネズミでは52%小さいサイズになっていた。ただしこの少ない量の効果は、高脂肪の食事をしたネズミにだけ作用したため、理由を完全には解明できていない。それでも飲む量とその効果が直線的ではない可能性を示唆している。「ワイン、わいも飲みたいわいん」とネズミは言わない、多分。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 3, p. 33.

DOI: 10.1126/scitranslmed.aaa7619

15.8.27

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三つの会社が

 バイオをもとにしたフィードストックであるグルコースからの有機酸合成を商業化することを提示した[1]Rennoviaはグルカン酸を製造するパイロットプラントを、英国Stocktonの、パートナー企業であるJonson Matthey の敷地で稼働させている。得られたグルカン酸は、6,6-ナイロンの中間体であるアジピン酸を生産するために使われる予定である。フランスではDeinoveが、発酵によるシスシスムコン酸合成、婿さんも参画しているはずだけど、それを開発し、こちらもアジピン酸やポリエステルの原材料であるテレフタル酸を誘導するのに使われる予定である。さらにPlaxica(たぶん英国)は巨大合成ゴムメーカーであるInvistaと共同で酪酸への経路を開発する予定。Plaxicaは発酵ではなく化学変換を利用し、バイオポリマーを製造することを計画している。グルコースからの変換、フルコースで発展している。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 3, p. 22.

15.8.26

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長さ2.7マイル

 ダンベル型の、67pと略される彗星に着陸して観測した結果が、science誌に二論文、報告された[1]。名前は彗星でも、すいすい成果が出たわけではない。様々な困難を乗り越えた末、一つの質量分析装置は16種類の有機化合物を検出、そのうちアセトン、プロパナール、メチルイソシアナアート、アセトアミドの四種類は、これまで観測されたことがなかった化合物である。このことは前生物的な年代に、彗星が地球に衝突して、生命の起源を供給した可能性を示唆している。別の質量分析装置は、高分子を観測、その多くは、ホルムアルデヒドの照射によって引き起される重合で形成した可能性が高い。かなりの量の二酸化炭素も検出した。ただし二つの質量分析の結果には、つじつまがあわない点もある。たとえば、一方は含窒素化合物が豊富であることを示し、一方は全く検出していない。このことは彗星の不均質性を示しているか、装置の向きの違いによるかもしれない。どちらにしても、通信の不安定さによる課題なども解決しつつ、ミッションを遂行中。一緒ンになって成果を待ちましょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 3, p. 7 .

DOI:10.1126/science.aab0673 and 10.1126/science.aab0689

15.8.25

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触媒を選択すれば

 化石燃料の燃焼で生じる二酸化炭素を大気に放出する代わりに、化学フィードストックとして、ストックはしないけど、利用することができる。たとえば工業的なプロセスでは、銅触媒を使い、COCO2H2の混合物である合成ガスから、10から100気圧、数百度の温度で、メタノール合成ができる。それに対して今回、銅原子の小さなクラスターが、CO2から1.25気圧、225 °Cでメタノールを発生できることが報告された[1]。この方法はプロセスのエネルギーコストを削減することもできる。アルゴンヌ国立研究所の研究者らは、銅原子四つのクラスターを組込んだアルミナの薄膜を使った。この触媒を1%CO23%H296%ヘリウムを含んだガス気流でテストした。将来有望な成果を得たけれども、研究者らは、この系が化学的にも経済的にも、発電所から発生するCO2を使うに価値のある系かどうか、経過をみたいとしている。軽快に、とはいかないようです。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 27, p. 46.

DOI:10.1021/jacs.5b03668

15.8.24

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カメムシが飛来した

 冷めた鉄板、そのヘリに沿って移動する。火箸を置いた。こちらもすでに冷めている。その上を駆け上がる。曲がったところで、突如として立ち止まる。何かを考えている様子。飛び立つ機会はいくらでもあるはずなのに、涼しくなった夏の夜、二次元だけの世界の移動を繰返す。ちょっとだけ刺激をするも飛びはしない。カメムシと言えばα、β-不飽和アルデヒド臭を出す。でもこのカメムシ、揮発性の臭い化合物を出さなかった。ヒューマンフレンドリーだった。腕にも上がってきた。左腕の行く手に右手を置く。今度は右腕を歩く。かなりなスピード、疲れを知らない。心地よい夜、かなりな時間をカメムシと過ごした。学生さんの検索では「チャバネアオカメムシ」とのこと。でも「おばちゃま」とは縁がないはず。確かに写真はそれを示していた。ロッジの中へ入った。「こいつ、飛ばへん」と披露していたその瞬間、羽を開いて、飛び立って床に着地した。お遊びはそこまで、野に帰ってもらった。本人(虫)は、やになって帰ったかな。

15.8.23

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フッ素化学は

 過去10年間飛躍的に発展し、より使い易くて、より多用途なフッ素化反応剤の導入が実現している。その新しい例として、2-ピリジンスルホニルフルオリド(PyFluor)が、温和に作用し、熱的に安定な脱酸素フッ素化剤として報告された[1]PyFluorはアルコール基をフッ素原子で置換することができ、選択性、安全性、コスト面で優れている。たとえば従来から知られているジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST)、使いだすと止められなかったけど、PyFluorのほうがよい。研究者らは、PETイメージングのための18Fラベル化化合物を導くのに有用であることを示している。もう一つ別の例として、N-ジフルオロメチルチオフタルイミドが、SCF2H基を温和な条件で組込むことができる反応剤として、報告されている。近年、医薬品や農薬の開発者は、最も疎水性な官能基の一つであるSCF3基に注目していたけど、ジフルオロバージョンも、ボロン酸、アルキン、インドールなどの特性をチューニングできる柔軟性があると、研究者らは述べている。以前は不足していたフッ素化剤、豊富になってきた。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 27, p. 45.

DOI:10.1021/jacs.5b06307

DOI:10.1021/jacs.5b03170

15.8.22

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遠赤外線

 宴席の用意はしない。でもそれが表面における競争化学反応で利用できることが報告された[1]。この発見は、テラヘルツ光(1THz = 1012 Hz)としても知られている遠赤外線を使うことで、触媒表面反応の選択性向上、化学反応の動的挙動を検証できることを示唆している。研究者らはRuの結晶をCOと酸素の雰囲気下、テラヘルツパルスのCO酸化への影響を研究した。反応は、典型的な金属表面反応であり、自動車の排ガス浄化の触媒化学の中心をなすものである。結果は、テラヘルツ光が選択的に酸素原子を活性化し、それによってCOが反応し、CO2が生じること、でもCOの脱着を引き起さないことを示していた。対照的に、これまでの研究では、紫外可視赤外領域のレーザー光は、COの脱着と酸化を促進し、前者がむしろ優先していた。また従来の表面加熱では、COは、CO2には変換されず、単に表面から脱着していた。脱着が課題、決着はついたでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 27, p. 45.

DOI: 10.1103/physrevlett.115.036103

15.8.21

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2000万年以上前

 石炭が豊富で森林で覆われていた土地が、現在の日本の沖に徐々に沈んでいった。この炭素の層が太平洋の海底の1マイル以上のところに埋められて、昔の地球の環境下で生まれた微生物個体群を、今ももてなしていることを、日本の海洋研究開発機構とドイツの研究チームが報告した[1]。研究者らは、海底から1.5マイルのところから、お参りはしていないけど、サンプルを採取し、最も深い場所にいる微生物個体群が、石炭を炭素源さらにはエネルギー源として、メタンを生産していることを発見した。同位体分析、DNA塩基配列決定、別の分析手段をもとに研究者らは、微生物が海洋環境に特有ではなくて、2000万年まえの古第三紀後半の、炭素層の陸上が起源ではないかと主張している。さらに「この発見では、最も深いところでの生命活動が検出され、より深いところでも生命体が存在する可能性も示唆している」ともコメントされている。「海底の資源、買いてい」という人もおられるやもしれません。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 27, p. 44.

DOI: 10.1126/science.aaa6882

15.8.20

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イミンの

 炭素原子、通常は電子不足で親電子剤として炭素求核剤と反応し、アミン生成物で新しい炭素炭素結合を形成する。それに対して通常ではないumpolung反応(ドイツ語で極性反転に相当)ではイミンの炭素原子が、電子豊富になり、炭素親電子剤と反応するようになる。しんどいしざい、とは言わない。そのような極性反転反応でもアミンが形成し、しかも別の方法では導くことが簡単ではない化合物に至る。ただしイミンを使ったその類の反応はまれだった。その中、キラル相関移動触媒が、イミンの極性反転反応を、エナール親電子剤と引き起すことが報告され、まれだった例が生まれた。少量の触媒が、N-ベンジルイミンのベンジル炭素から脱プロトン化し、形成した中間体がエナールに付加、え〜な〜である。高い立体選択性と高収率でアミンを与えた。この系は「合成的、構造的に有用な化合物を高い鏡像体異性体比で導く、有用な系になり得る」とコメントされている。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 27, p. 44.

DOI: 10.1038/nature14617

15.8.19

 

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更年期障害を

 経験したり、卵巣の摘出手術を受けた女性の脳内では、エストロゲンのレベルが低下する。このほるもんではないホルモン欠乏が、顔面紅潮、鬱病、睡眠障害、記憶障害をもたらす。ホルモン補充治療は女性の生活の質を向上させる一方で、エストロゲンを摂取すること自体に、乳がん、子宮がんのリスクが伴う。そこで新しい化合物が、これらの副作用、いわゆる脳外でのエストロゲンの働きを抑えうることが報告された[1]。研究者らは、10β,17β-ジヒドロキシエストラ-1,4-ジエン-3-オン(DHED)を同定し、これが人の主なエストロゲンである17β-エストラジオールに変換される。ただしその反応は脳内でのみ起こり、身体の他の部位では起こらない。研究者らはDHEDを子宮のメスの齧歯動物に投与すると、エストロゲンの脳内濃度は上昇するものの、他の組織では変化しないことを示した。そのため一連の実験を通して、化合物は神経学的な効果のみをもたらすことを実証していた。ホルモンに凝るもんで生まれた成果かな。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 27, p. 44.

DOI: 10.1126/scitranslmed.aab1290

15.8.18

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原油は

 信じられないほど複雑な混合物であり、多分100000以上の個別の化合物を含んでいる。その中の高分子量原油成分であるアスファルテンは、アルキル鎖、ヘテロ原子、金属を含む多環芳香族分子群を形成し、これがオイル回収プロセス、輸送のパイプライン、改質装置や触媒をだめにする。そこでアスファルテンの構造や他の特性の詳細を理解することで、これらの課題を軽減すること、またそれらを利用する方法を見出す一助になり得る。ただしその会合の多様性や傾向が、分子構造の同定をも、どうしていいか、わからなくしていた。その中、原子間顕微鏡と走査トンネル顕微鏡から得られる分子軌道のイメージによって得られる原子の解像イメージをつなぎ合わせる方法で、これらの情報が得られる日が近いことが報告された[1]。この方法を開発したIBMの研究者らは、100以上のアスファルテンで、組成、大きさ、形の異なるものの構造をすでに明らかにしている。アスファルテン全容解明、がんばるてん。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 27, p. 44.

DOI:10.1021/jacs.5b04056

15.8.17

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花火大会の会場で

 漫才を披露していた[1]。そこで先輩に呼び止められた。先輩は言う「・・・つまりな、欲望に対してまっすぐに全力で生きなあかんねん。漫才師とはこうあるべきやと語る者は永遠に漫才師にはなられへん。長い時間をかけて漫才師に近づいて行く作業をしているだけであって、本物の漫才師にはなられへん。憧れてるだけやな。本当の漫才師というのは、極端な話、野菜を売ってても漫才師やねん」それからおよそ十年、それなりに売れた後、最後の漫才を披露した。今度は自分が実感していた「僕は小さなころから漫才師になりたかった。・・・・・世界の景色が一変することを体感してほしいのだ。自分が考えたことで誰も笑わない恐怖を、自分で考えたことで誰かが笑う喜びを経験してほしいのだ。・・・・・臆病でも、勘違いでも、救いようのない馬鹿でもいい、リスクだらけの舞台に立ち、常識を覆すことに全力で挑めるものだけが漫才師になれるのだ。それがわかっただけでもよかった。・・・」

 漫才師のところが、研究者に読めてしまった。「火花」しばらくぶりに手にした小説だった。

[1]又吉直樹著「火花」(2015)

 

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大阪環状線

 いわゆる時計回りの外回りと逆向きの内回り。以前は律儀にこのどちらかだけだった。小回りはきかない。お陰で、車内で寝込んでしまっても、いずれは目的の駅には到着できる。一周しても山手線の半分の時間。オレンジっぽい色の電車だけだったのが、最近は違ったデザインの電車も発着。中にはいくつかの駅には停車しない便や、新大阪からノンストップで天王寺さらには白浜方面に行く特急列車も路線を共有している。混雑する大阪駅ホーム、あるおばさまが青年に尋ねていた。「寺田町に行きたいんやけど、どっちに乗ればよいのか」青年「どちらもいずれは着くと思いますが」と戸惑いながら、今到着せんとしている列車を指差す。見れば大和路快速、内回りで天王寺から奈良行き。並んでこの列車に乗ってもどこかで乗換が必要になる。で思わず世話焼きのおじさんになってしまった。「反対側です」。20分ほどで寺田町のはず。ただしダチョウに会いたいときは、天王寺動物園がよい。

15.8.15

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猛暑で

 どうしょうもない名古屋駅。ほぼ満席の新幹線自由席、外国人旅行者が鞄を棚に載せることに挑戦、ただし鞄の重さに我慢できずにふらつく。手を差し伸べた。ただ手もとに握っていた特急券をそこで落とされた。乗客の足下を覗く外国人、一見怪しい。新大阪止まりなのでそこで探しましょうと席についてもらった。成田に着陸、東京・名古屋を経て大阪に4泊さらに京都を観光して、再び成田から出国するのこと、友人と二人旅。新大阪駅到着、思いバッグを下ろして座席下を探索、特急券を発見して安堵。乗車券は名古屋—天王寺。そこにある宿にチェックインの予定なるも、列車の乗換が不案内らしい。そこでコートはなくてもエスコートした。冷房の効いた車内。大阪ではどこを観光するのか?temple, castle, and USJ. ハリポッターに是非会いたいとのこと。天王寺駅に到着、初めて聞くホテルの名前、地図を見せてもらった。日本語満載の地図で小さくホテル名だけが英語で記されていた。Have a nice trip.フランス人女子学生二人とお別れした。

15.8.14

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アミド基は

 タンパク質中アミノ酸と連結している官能基部位である。天然物や合成分子でもたくさん存在する。御堂筋にもあるはず。ただしO=C-N基では窒素の孤立電子対の非局在化で、この中のC-N結合切断は、人工的には容易でなかった。その中、計算化学と実験化学のコラボで、C-N結合を切断しアルコキシ基を導入するNi触媒の反応が開発された[1]。計算結果は、まずはC-N結合の金属への酸化的付加、続く配位とアルコールの脱プロトン化を含む配位子交換反応で、不必要になったアミノ基を解放し、還元的脱離でエステルを与える。実験を行った結果、Niに対してCODNHCが配位した錯体がこの反応を、トルエン中、アルコールがわずかに過剰な条件で80 °Cで可能にしている。また出発化合物の中には、遷移金属触媒反応では競合しうる官能基も共存できる。これによってアミドから始める合成戦略を立てることも可能であり、高価なPdから安価なNiへ移行する潮流ともマッチしているとのことである。Niここでも「いっけてる反応」を触媒している。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 27, p. 9.

DOI:10.1038/nature14615

15.8.13

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簡単な組立方法で

 実験用太陽電池をつくるために広く使われているペロブスカイト半導体の高度な結晶膜を、導く方法が報告された[1]。これによってメチルアンモニウムトリハロゲン化鉛ペロブスカイト化合物をもとにした太陽電池の効率を格段に向上させることができる可能性が高くなった。光起電装置における光吸収では、正および負電荷が生じる。これらは反対の電極に移動し、電流が流れる。電荷はしばしば結晶領域、いわゆる粒子境界の間で、トラップされて中性になってしまう。そこで研究者らはこの欠点を最小限にしようと努力している。ただし液相の合成法では、結晶化度を制御することは難しかった。それに対してここでは、トリハロゲン化前駆体の溶液を、スピンコート法で析出させ、フィルムを湿気の高い空気にさらし、それらを窒素雰囲気下で加熱することで、ランダムではなく、でも簡単に、垂直に配列した粒子境界を持つペロブスカイト結晶が調製された。得られたセルは、最適化はしていないものの16%の変換効率を示した。ペロブスカイト型太陽電池の20%にほぼ近い値だった。ペロブスカイト、しっかりと書いときましょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 20, p. 28.

DOI: 10.1021/jacs.5b03144

15.8.12

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アリーンは

 ベンゼンや他の芳香族化合物の隣接する環上の炭素から、水素あるいは置換基を取り去った化学種である。高反応性で寿命が短いため、この化学種を捕捉することは困難だった。その中研究者らは、低温で走査トンネル顕微鏡と原子間力顕微鏡を使って、極薄の絶縁フィルム上に発生させた多環状オルトアリーン分子を同定し撮像した。颯爽としていたアリーン。さらにこの成果は、アリーンの電子構造についての議論や不確かさについてある程度の解をもたらしてくれる。たとえばアリーンはベンゼン環の特定の二重結合を三重結合にした構造なのか、三つの連続する二重結合が存在するクムレン型であるか?AFMによって得られた結合距離は、クムレン共鳴構造の寄与が、使われた実験条件では、支配的であることを示していた。この発見は、アリーン中間体を経由する多環状化合物の合成や、グラフェンシートやカーボンナノチューブの修飾の一助にもなる。あり得ない「アリーン」あり〜ん得ました。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 20, p. 28.

DOI: 10.1038/nchem.2300

15.8.11

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シリコンの化学

 驚きがいっぱいである。今回二つの新しい例が報告された[1]。コフィン石、コーヒーのもとではない。USiO4で、豊富にあるウラン鉱物である。ただし化学者がこれを研究室でつくることは難しかった。その中フランスの研究者らは謎を解明した[2]。コフィン石合成の際、系統的にpH、温度、加熱時間、U:Siのモル比を検討したところ、pHが重要だった。10-12pHがコフィン石を導くウランシリケートコロイドを形成するのに重要であった。この発見は、地層処分場に置かれた核廃棄物の挙動を理解するのに有用であるかもしれない。変わってドイツ、単量体のSiS2が初めて単離された[3]。これはCS2のケイ素同族体であるけれども、Si-S結合の高い極性のために、通常の条件では、高分子状である。その中、嵩高いNHCでキレートした、他に何も配位していないゼロ価のケイ素を発生させ、そこに硫黄を加えることで単量体のSiS2を形成できることがわかった。たくさんシリコンについて学んで、お利口になりたいね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 20, p. 27.

[2] DOI: 10.1021/ic502808n

[3] DOI: 10.1002/anie.201504489

15.8.10

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超原子価ヨウ素は

 トリフルオロメチル、アルキニル、シアノ、他の親電子的な置換基を様々な求核的な有機分子に、温和な条件で組込むことができる、よく知られた反応剤である。それに対して、この置換基移動の概念、なかなかいいどう、でもヨウ素以外の化学種に展開した例はなかった。このことに注目した研究者らは、イミダゾリウムスルフランが、超原子価ヨウ素と同様の電子構造を持つことから、代替反応剤として使えるかもしれないと考えた。そこで新しい硫黄原子が軸となる反応剤を設計し、それらがシアノ化、アルキニル化に有用であることを示した[1]。まず既知の環状尿素のハロゲン化を行い、超原子価スルフランを調製した。スルフランをトリメチルシリルシアニドあるいはプロピニル酸銀と処理することで、目的のイミダゾリウムスルフランシアネートやアルキンを導いた。ついでシアノバージョンでは、アミンとの反応でシアナミドを、また芳香環のC-H直接シアノ化を行った。アルキニルバージョンはチオール、アミド、ケトエステルのアルキニル化に用いられた。スルフラン、知らんふりして大活躍。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 20, p. 27.

DOI: 10.1021/jacs.5b05287

15.8.9

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天文学者は

 星だけをみているわけではない。別のスター、バックミンスターフラーレンC60+が、拡散した星間雲から得られた不可解で広がった赤外吸収スペクトルの中で同定された最初の化合物であることを報告した[1]。バッキーボールは、星の周りの密度の高い領域や、密になった星間雲で、気体あるいは固体でスペクトル的に観測されている。ただしいわゆる拡散星間帯(DIBs)を形成する、宇宙の密度の薄いところにある分子は神秘的な謎のままだった。それについてH2C=C=Cを含むいくつかの候補が提案されていたけれども、決定的な同定には至っていなかった。以前化学者は、DIBsの中の二つのスペクトル線はC60+ではないかとも提案していた。それに対して今回は、研究室内で再現した、気相のC60+からの二つのスペクトル線が、先のものと一致した。これによって、C60+は星間媒質の成分であると確かに同定できた。研究に没頭する天文学者、食事はてんやものかも。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 20, p. 27.

DOI: 10.1038/nature14566

15.8.8

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コンタクトレンズの

 表面を抗菌性フィルムで覆うことで、目への刺激や感染のリスクを削減することができる。現在世界でそれを使用する人は1億4千万人ほどである。その中企業の研究者らは、四つの異なる成分を混ぜ合わせたコーティング剤をつくった。決して凝っているわけではない。すなわち枝分かれポリエチレンイミン(bPEI)、カテコール、ポリエチレングリコール(PEG)と疎水性尿素である。bPEIは別の成分の高分子の足場として作用し、カテコールは、得られたコーティングをレンズ表面につなぎ止める。PEGは、微生物やタンパク質が吸着するのを抑制し、疎水性尿素は細胞膜を壊す。研究者らは、きれいなコンタクトレンズをコーティング剤に浸け、消毒を行った。その結果、様々なバクテリアや菌がレンズ表面で成長するのが抑えられることを7日間観測し、培養した人の角膜細胞には、24時間以上毒性を示さなかった。この方法、現在のレンズ工業プロセスにも容易に導入できる可能性も高い。いずれ入れんずには、終わらないプロセスになるかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 13, p. 26.

DOI: 10.1021/acs.biomac.5b00359

15.8.7

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プルトニウムは

 元素周期表の中で最も複雑な元素である。前期アクチニドは、遷移金属のように振る舞い、後期アクニチドはランタニドが如くである。一方でプルトニウムは、その間を橋渡し、両方のグループの物理的な特性を反映している。このプルトニウムの奇妙で複雑な特性の要因の一つは、六つの固体層の一つに対して、電子の基底状態が重なっているためであることが、中性子散乱の研究から、報告された[1]。プルトニウムの特性の基礎を理解すべく、研究者らは、常温常圧でのプルトニウムのδ層に着目した。何かデルトよい。先行の理論的な研究結果を確かめる過程で、δ-Puは、5f6, 5f5, 5f4状態の間で、一つあるいは二つの電子が伝導荷電帯に非局在化することで変動していることがわかった。この状態はおおよそ0.015ピコセカンドの寿命を有していた。このことは、プルトニウムで、期待される磁性が、このご時世、実験的には観測されないことを説明している。5f4 5f5は磁性があり、5f6は非磁性である。さらに様々な状態で、イオンの大きさが異なり、わずかな温度変化に対するプルトニウムの体積変化は、最大25%程度ほどだった。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 13, p. 25.

DOI:10.1126/sciadv.1500188

15.8.6

 

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大抵の低分子医薬品は

 がん細胞の微小管を標的とするけれども、これらの化合物の多くは、がん細胞と正常細胞の微小管を区別することがないため、重大な副作用を引き起す。その中化学者は、光照射によって、不活性な配座が活性な配座に変化できる化合物を使って、がん細胞だけを選択的に標的とすることができないかというアイデアに至った。そこでPhotostatinあるいはPSTsとして知られている化合物が開発された。PSTsの構造は、天然物であるブレタスタチンA-4がもとになっている。その天然物が持つC=C結合がN=N結合で置換えられた。これによって簡単に可逆な光異性化が、低い強度の可視光で進行する。賢こ〜う。青色光ではPSTsは活性なシス配座をとる一方で、暗闇あるいは緑色光では、トランス配座に変化する。細胞培養実験では、シス体はトランス体の250倍の細胞毒性を示す。患者さんを治療するために、がんになった肌の損傷に対しては、光を装着した包帯を、また腫瘍に対しては、体内に埋め込み可能なLEDを使うことが想定されている。異性化を利用するのが正解です。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 13, p. 25.

DOI: 10.1016/j.cell.2015.06.049

15.8.5

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再充電可能な

 リチウムイオンバッテリーは、電気を使う携帯のガジェットや道具に電気を今日も、供給する。それの持つ信頼性は高い物の、電池には可燃性の有機電解液は、わずかだけども、重大な危険を引き起す可能性を持つ。不燃性の固体電解質は、液体の代替物としては理想的ではあるものの、大抵の固体は、弱いLiイオン伝導体であるため、最適なものはまだなかった。ただしLi4SiO4Li3PO4の混合物は例外である。純粋な成分と比較して、いくつかの混合組成は、イオン伝導性を三倍のオーダーで向上する。ただしこれまで、それらの層と組成の詳細の検討が行われていなかった。それに対して今回、NMR、電気化学、計算手法を使って、これらの課題に取組み、新しいタイプのバッテッリーをつくる鍵となる方法が明らかにされた[1]。すなわち、ケイ酸塩とリン酸塩のLi層の混合比が、0.25:0.750.5:0.5の伝導体が、固体LIイオン電池としては優れていた。さらに三次元ネットワークの間で、格子間と格子にあるLiイオンの協奏的なホッピング運動によって、Liイオンの拡散が進行することもわかった。このことはLiの不規則性がイオン伝導性をさらに向上させている可能性を示唆していた。今後も、混合固体電解質に、期待が集まります。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 13, p. 24.

DOI: 10.1021/jacs.5b04444

15.8.4

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環境調和型で強力な爆発物

 を探求する中、新しいタイプの最もパワフルな非核爆発物の一つが合成された[1]1-ニトラミノテトラゾール類は相当に高い爆発特性を示すと考えられてきた、その中Klaptöke 先生らは、その一つである1,5-ジ(ニトラミノ)テトラゾールを調製した。ただしKlaptöke先生は「生成物にラップしとけ」とは言わない、たぶん。さらに得られた1,5-ジ(ニトラミノ)テトラゾールの金属塩を合成し、ほとんどすべての塩が相当に衝撃に対して敏感で、アジ化鉛と同等であることを明らかにした。ただしその中で、ジカリウム塩が240 °Cまで安定であることもわかった。そこでこのカリウム塩は環境調和で熱的に安定な起爆剤になりうると先生らは述べている。また従来の窒素原子をたくさん含んだテトラゾールのような爆発物が毒性示すことから、その代替としても利用できるとしている。なお化学式は、C1H2N8O3で、炭素が窒素の間で小っそうになっている。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 13, p. 24.

DOI: 10.1002/anie.201502919

15.8.3

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液体ヘリウムの

 価格の急上昇が、研究機関には打撃である。それによって、研究をあきらめるか、従業員や学生を一時解雇するかのどちらかを選択しなくてはならない[1]。ヘリウムは、核磁気共鳴装置の大きな磁石を冷却するのに使われており、いわば日用品でその価格の変動や不安定になることで、研究機関には法外な額が要求され、何年にも渡って大きな課題である。ただしヘリウム供給が減りウムではない。2013年テキサスにある連邦ヘリウム貯蔵が2021年まで閉鎖されるはずだったのが、今は解放され、過去二年間、ヘリウムは安価で販売されている。またACSと米国物理学会(APS)は、液体ヘリウムの仕入共同組合をつくり、現在7つの大学がそれに参画している。これによってヘリウム価格のおよそ15%が節約できる。さらにACS, APSならびに材料研究学会は、ヘリウムの回収と再利用の最良の方法も考案し、実践する取組みも行っている。これらは、液体ヘリウムへの期待の大きさを示している。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 July 13, p. 6.

15.8.2

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学内引越も

 楽じゃない。およそ五ヶ月前に組立てた減圧ライン、再びアングルから外して梱包。移設の業者さんにお願いする場合には「緩衝材なしでは、あかんでしょう」なので、箱に入れては自分の分を自分で運搬。3階から一階、さらに6階まで、を何回も繰返す。冬の寒さが残る頃、一旦箱から出したたくさんの本、この間に一度は見るだろうと思ったものの、ほとんどが見ずじまいで店じまいになった。乱雑に移動した書類、連休の頃には整理できるだろうと思ったものの、その頃は何をやっていたのか、確かな記憶がない。とほほである。台車を貸していただいた。壊したら台無しなので丁寧に取扱う。書籍やプリンターでそれなりの重さにもなる。移動の途中段差がある。旦那さんは簡単に通過できるかもしれない、でも重みのある台車。ちょっと心配、でも何の抵抗もなく段差を、ダンサーの如く通過。エレベーター前までスムーズに移動できた。「改修後の実験室、居室サイズの部屋、広いです」と思ったのもつかの間、物品で溢れている。ありふれてはいないけどね。

15.8.1

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