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2015年9月

骨疾患である

 進行性骨化性線維形成異常症(FOP)は、人の軟組織が骨化あるいは骨に変わる珍しい病気である。これはACVR1と呼ばれる骨をつくるタンパク質受容体で、アルギニンがヒスチジンに変わるという遺伝子変異が起こる。これによって受容体が活発になりすぎて、骨の異常成長が引き起される。その中、研究者らはFOPを研究するためのネズミモデルをつくった[1]。ついで怪我をしたときに、骨の成長を促すアクチビンAと呼ばれるタンパク質が、先のネズミで作用するかどうかを試験した。次に、コラーゲンスポンジをアクチビンあるいは骨をつくるタンパク質BMP2に浸し、それらをネズミに移植した。その結果、BMP2スポンジはすべてのネズミで骨化を引き起こし、アクチビンAは、アクチブに、FOPネズミの場合に限って骨化を進行させた。このことはアクチビンAが、FOP患者で、骨化の引き金であることを示していた。そこで、アクチビンAを標的にしたモノクロナール抗体をつくり、これでFOPネズミを処置したところ、六週間目立った骨化はみられなかった。骨が折れる研究を成就させている。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 September 7, p. 32.

DOI: 10.1126/scitranslmed.aac4358

15.9.30

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ホルムアルデヒドは

 アルツハイマーを含む様々な疾病に関わるよくある代謝物であり、環境汚染物でもある。ただしその反応性のため、生細胞では観測することが困難である。その中、ホルムアルデヒドと反応した後発光する二種類の蛍光プローブが報告された[1]。どちらのプローブも弱い蛍光発光を示すシリコンロダーミン色素からなっている。これらはホルムアルデヒドと反応するとイミンを形成し、その後、2-aza-Cope転位、加水分解を経て、強い蛍光分子になる。プローブは様々なアルデヒドの中、ホルムアルデヒドのみに反応し、それがあるでヒドということがわかる。アセトアルデヒドとの識別も可能である。またそのうち一方のプローブは生細胞中、200μMまでアルデヒドを検出できる。さらに研究者らは、疾病におけるホルムアルデヒドの役割にも興味を持ち、二光子バージョンも開発、より深い生物サンプルのイメージも出来るようにしたいとしている。蛍光使う、お稽古も必要である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 September 7, p. 13.

DOI: 10.1021/jacs.5b05340

15.9.29

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トリニトロトルエン(TNT)は

 一般に植物の成長を阻害し、軍事サイトの近くでは汚染物質であると考えられている。それでもそれを摂取しても通常に成長するシロイヌナズナがあった。このなぞなぞの如くの疑問は、遺伝子変異によって理解され、このことは植物を使った環境浄化の可能性を示している[1]。研究者らは、ナズナが持つ酵素の一つであるMDHAR6TNTを植物のミトコンドリアや他のオルガネラの中で還元することを発見した。この過程では、ラジカルを形成し、それが大気中の酸素と反応し、害のある活性酸素種であるROSsを導き、根の成長を阻害、場合によっては、植物は死に至る。一方で、TNTで汚染された植物で根の成長に影響がなかった場合には、MDHAR6の変異遺伝子があることがわかった。これによってタンパク質の1000の1以上が切り取られ、この欠陥のある酵素は、TNTと相互作用せず、未反応のまま植物の組織に残っていた。この研究ではTNTと反応した後の活性酸素の発生に関することと、植物に対する爆発物の毒物学についての重要な知見が明らかにされている。「ぶつぶつぶつ、つぶぞろいの成果です」

[1] Chemical & Engineering News, 2015 September 7, p. 13

DOI: 10.1126/science.aab3472

15.9.28

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メスのミツバチ

 には、二つの運命がある。一つはロイヤルラクチンを含む、ロイヤルゼリーを栄養として与えられる将来の女王バチ。一方で働きバチになるグループは、三日間だけそれを与えられ、それから食べ物はハチによって製造される発酵した花粉である蜂パンになる。で研究者らは、この食べ物の違いで、前者は繁殖力があるのに、後者はなぜないのか、と謎でハチきれそうになった。そこで働きバチが不妊なのは、栄養不足のせいかあるいはハチが食べるものの成分が化学的に幼虫を去勢しているのかを解明した[1]。研究結果は後者を支持していた。すなわちp-クマリン酸が、卵巣の発達に必要な遺伝子の発現を変化させることによって、化学去勢剤として働いている可能性を見出した。この化合物は花粉の中にあって、働きバチの主な食べ物である。一方で女王バチのロイヤルゼリーには入っていない。ここで研究者らは女王バチのロイヤルゼリーにそれを加えたところ、女王バチの卵巣の成長が抑制された。ハチが食べ物を間違えるという場違いは、ないにちがいない。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 31, p. 25.

DOI: 10.1126/sciadv.1500795

15.9.27

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シロキサンポリマーで

 相当に伸びる材料、すなわち2ヤードのそれがフットボール場サイズまで広がるものを、つくったことが、ボストンのACS学会で明らかにされた[1]。このポリマーは切断されるまで、慎重に見積もっても、およそ5000%伸長を達成しており、現在市販のシロキサンポリマーのおよそ10倍である。ポリマーは、医療用インプラント、フレキシブルエレクトロニクスやマイクロ流体チップなどで有用であるため、開発した企業はこれを今年中には販売することを計画しているけれども、このエラストマーは、ラストま〜で謎の可能性も高い。これまでのポリマーの知見によれば、新しいエラストマーは交差で連結し、それが伸縮性を付与している可能性がある。ただしNMRGPCによる初期的な試験によれば、材料は直鎖のポリマーであり、これは企業にとっても驚きであった。別の研究者は「通常の直鎖ポリマーの挙動ではない。これが直鎖かどうか、実証することが重要である」としている。伸縮に、寝食も忘れたかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 31, p. 25.

15.9.26

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硫化水素に

 極限の圧力をかけると硫化ヒドリド層が形成される。そこでは203 Kで超伝導を示すことが報告された[1]。一世紀ほど前に、熱としてエネルギーを失わずに電気を流すある種の材料が発見された。この類いの材料は、エネルギー効率の高いモーターや送電システムに利用できる。ただし大抵のそれは、実用的ではない低い臨界遷移温度(Tc)以下でしか、超伝導はでんどうである。一方で今回のヒドリドのTcは、これまで報告されている水銀、カルシウム、バリウムを含む酸化銅のそれよりも、およそ70 K高い。分析によれば、硫化水素はギガパスカルまで圧縮されると分解し、元素状の硫黄とH3Sすなわちヒドリドを与え、これが超伝導に関わる。この発見は、単純な共有結合で形成された水素豊富な化合物が、相当に高いTcを示すことができるという理論予測と一致すると同時に、単純な室温超伝導への期待を抱かせるものである。ヒドリドがリードする超伝導である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 31, p. 25.

DOI: 10.1038/nature14964

15.9.25

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予讃線を

 走る。ようさん線路があるわけではない。単線区間も多い。岡山と松山の間、特急「しおかぜ」が走る。児島を過ぎて瀬戸大橋を渡る。車両と鉄道の併用の橋で、列車は下の階なので、たくさんの橋桁で、時に視界が遮られる。丸亀から西へ向かう。右手に瀬戸内海を眺めることができる。なんにもないかいではない。様々な生き物が暮らす豊かで穏やかな場。人間もその恩恵を受けている。船も行き交う。日が暮れていくとともに海岸沿いに明かりが灯る。なんだか寂しさを感じる。反対方向の列車とすれ違うために、駅にて待つ。すると車両全体にアンパンマンたちが描かれた電車が入ってきた。JR四国によれば200010月から運行開始。現在四国内に21車両あるとのこと。アンパンマンの生みの親やなせたかしさんは高知県で育ったらしい。いよいよ伊予エリアに入る。伊予の語源は諸説あるらしい。なお今回の基礎有機化学討論会では、伊與田正彦先生が基礎有機化学会賞を受賞されます。おめでとうございます。

15.9.24

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ペロブスカイト材料は

 メチルアンモニウム鉛トリヨージドの結晶で太陽電池に応用できるけど、その電力変換効率(PCE)が急上昇していることから、この実験デバイスを太陽光発電にしたいという要望も強くなっている。ただしそれは熱や湿気にさらされると分解する傾向にある。いわばパワーを湿気に失敬されてしまう。その中この分解を抑制する方法が報告された[1]。研究者らは、ペロブスカイト前駆体とブチルホスホン酸4-アンモニウムクロリドをスピンコートすることで、水素結合で交差結合された秩序だったペロブスカイト結晶をつくった。得られた結晶を55%の相対的な湿気の中でテストを行った。その結果この添加物で処理された太陽電池のPCEは、40日間でゆっくりと14%から10%に下降した。一方で処置していない太陽電池は一週間で7%から1%になった。別のテストでは、処理したそれは、85 °Cのところにおいても、350時間かなり安定で、そのままだった。ペロブスカイトをすっかりと安定化できるらしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 31, p. 24.

DOI:10.1038/nchem.2324

15.9.23

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フェロセンが

 1951年に報告されて以来、金属中心が二つのアレーン配位子に挟まれたサンドイッチ錯体は、化学者の想像力をかき立てている。フェロセンの路線上にある類似の錯体に加えて、今では、違った形、大きさ、組成の様々なメタロセン化合物が触媒や新しい化合物・材料を導く構成単位として利用されている。その中、中国の研究者らは、新しい分子サンドイッチメニューを提供した[1]。それはすべてが金属で構成された初めてのサンドイッチ錯体[Au3(Sb3)2]3-である。三層になったプリズム型のアニオンは、三角形のAu3クラスターが二つの三角形のSb3クラスターの間に配置されている。金ホスフィン化合物とキレート剤である2,2,2-クリプタンドを含むK5Sb4のエチレンジアミン溶液との反応で合成され、Kクリプタンド塩として単離されている。Au-Sbσ結合を含み、アンチモン環はπ芳香族性を有する。「この錯体は、新しいタイプのサンドイッチ錯体合成への道を切り開くものであり、低温金ナノ触媒のような応用も見据えることができると」研究者らは述べている。サンドイッチ錯体の一門が、アンチモンでできた。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 31, p. 24.

DOI: 10.1021/jacs.5b07730

15.9.22

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花火や発煙筒の

 赤色、これは塩素を含む化合物を使わなくては、出んそうや、とされていた。ただしこの成分が燃えるとガンを引き起す化合物に変化し地上に落ちる可能性があった。そこで新しい塩素を含まない花火製造術が、より環境調和型で、健康にも害の少ない赤として、開発された[1]。現在使われている赤色は、主にストロンチウム化合物と塩化ポリビニルと他の様々な原料を燃やすことで生まれている。その結果、多塩素芳香族化合物が発生する。そこで研究者らは、これまで、酸化ストロンチウムが、花火師が避けたい橙赤色をつくってしまうため、あまり注目されていなかったストロンチウムモノヒドロキシドを対象にした。実はそれは強い赤色に燃える。ついで塩化ポリビニルの使用をやめ、ヘキサミンあるいは5-アミノ-1H-テトラゾールと組合せた。この混ぜ物が発火したとき、真っ赤な花火ができた。この技術は花火だけではなくて、軍隊が使う発煙筒にも応用することで、環境浄化をはかることもできる。「軍隊も真っ赤、まっさかなあ」

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 31, p. 6.

DOI: 10.1002/anie.201505829

15.9.21

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アルケン同士

 またはアルケンとジエンを[2+2]環化付加させることでシクロブタンをつくる反応は、より小さな四員環を導くための電子軌道の制限を克服しなくては行けないため、強い駆動力を必要とし、苦労もする。反応を進行させるために光を使って出発化合物の少なくとも片側を刺激することが行われるものの、単純アルケンはこの作戦にはのらない。そこで金属触媒が使われるも、低い選択性で、混合物を与え目的生成物の収率も低い。その中、これまで鉄ピリジン(ジイミン)錯体触媒が不活性ジエンの[2+2]を促進することを報告していた研究者らは、鉄錯体の末端にあるアルキル、アリール基をわずかに置換えることで、鉄中心の酸化状態や立体環境を制御し、単純アルケンに対する触媒活性に影響を及ぼすことを明らかにした[1]。たとえば嵩高い置換基を持つ新しい触媒の一つは、プロピレンあるいは末端アルケンの環化二量化を促進し様々なシクロブタンを与える。一方で触媒により小さな置換基を導入すると、プロピレン二分子が2,3ジメチルブテンに変換される。この成果は、間違いなく[2+2]環化付加の多様な触媒プラットフォームである。違った反応様式が、置換基次第で、喚起される。歓喜に沸いているかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 31, p. 4.

DOI: 10.1126/science.aac7440

15.9.20

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松本市はかり資料館

 度量衡に偽りがあってはいけない。「謀ったな」ではすまない。重さ、長さ、面積、体積(容積)規格が厳格である。天秤、化学実験でも、かつては頻繁に使っていた。分銅、不用意に埃などつけてはいけない。指紋もアウト、なのではピンセットでつまんで乗せる。そこには1 gの分銅はなかった。代わりに1 円玉があった。その組合せで人参のおもちゃの重さを計ることができた。人の感覚と重さ、長さ、なんだか釣り合わない。小さな碁石一合分を枡に入れてみる。思った以上の量である。米だとさらに小さいのでずれも大きいとのこと。ずだ袋、以外に重い。1 kgに違いない。実際は500 gだった。でさらに重い袋二つ。一旦感覚をつかんだ後のこと、概ね重さは類推できた。蚕の繭、買い込む人、昔ほど今はいない。往時は、雌か雄かを見分けるのに熟練の技に頼っていたらしい。その中ある人が、雌と雄の蚕の繭では、前者のほうが10 mg重いことを発見した。そこで重さで雌雄を決することになった。はかりはかなり奥が深い。

15.9.19

この日の未明、計り知れないことが起きた。

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指紋の分析

 通常は「しんもん」で「結果もしらんもん」である。ただし犯罪科学に関わる人には重要である。とりわけ指紋が残されて何日が経過したか、いわば指紋の年齢の解明は、より多くの情報をもたらす[1]。あるものの表面には数千の化合物があって、人はそこに指紋を残す。犯罪科学では、そこに秘められた情報である、指紋の主の年齢、性別、直前に爆発物やドラッグに触れていたかなどを割り出したい。その中、これまで指紋の中の微量成分の分析をしていた研究者らは、指紋の中のある成分が指紋のトップから谷のところに、時間が経つにつれて移動することに気がついた。そこでそれらを、時間飛行型二次イオン質量分析を行い、指紋の年齢を解明することにした。その結果たとえば、パルミチン酸(C16H32O2)のような脂肪酸は、イオン化できる小ささであり、時間とともに移動することを特定した。これによって指紋の年齢の類推が可能である。まずは指紋が残されてから最初の四日間に注目した。さらに数ヶ月経過したことの予測も可能である。指紋の年齢について、押し問答はいらない。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 31, p. 4.

DOI: 10.1021/acs.analchem.5b02018

15.9.18

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虫除け剤

 として知られているDEETN,N-ジエチル-m-トルアミド)。それに対して虫除け剤候補が二種類、ある植物(Sweetgrass)から同定された[1]。研究者らは、クマリンとフィトールを抽出した。これらの効果を試験するために、血液のような液体を入れた小びんを用意し、それらを肌様の膜で覆った。ついで膜に、クマリン、フィトールあるいはDEETをしみ込ませた。そこで蚊の挙動を観察、不審ならぬ、蚊が避けた膜は、クマリンとフィトールで、それはDEETの膜よりも割合が高かった。これら二つの化合物は、比較的毒性が低いものの、商品として虫除け剤には利用されていない。一方で効果に対する別の説得力のある証拠もある。たとえばクマリンは、Avon's Skin So Soft製品の成分の一つであり、それは後に、虫除け特性を示すことが明らかにされている。お困りになったときにはクマリンを、あるいはフィトールを、ひきと〜るのもよいかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 24, p. 30.

15.9.17

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発光ダイオードが発する

 光の質を改良し、コストも削減、より環境調和な系にする試みが続いている。その中、新しい白色LEDが設計された[1]。まずテトラフェニルエチレンをもとにした一連の発色団の開発から始められた。それらは異なる波長で発光する。ついで発色団を亜鉛イオンで連結し、MOF蛍光材料を作成した。これによって、異なる色のLEDを様々な蛍光物質でコーティングすることによって、様々な色のLEDの提供が可能になる。基本となるLEDが出す光で、蛍光物質が励起する、ついでLEDと蛍光物質からの発光の混合で期待の色の光を調製できる。白色LEDのためには、MOFベースの黄色いH4tcbpeと名づけられた発色団を使った黄色の蛍光物質で、青色LEDをコートする。高等技術が必要かもしれないけど、材料は、市販の最もよい蛍光物質に匹敵する性能だった。しかも稀金属は使わず、毒性を示すCdSeも不要とのことである。なので「このLEDもエ〜で〜」である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 24, p. 30.

15.9.16

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アルコール依存症者が

 飲むアルコールの量を減らす助けになる、重大な副作用を引き起さない新しい医薬品候補が開発された。いわゆるアル中、どこにでもあるっちゅうに、でもないけど、FDAは現在三種類の薬を承認している。ただしどれも課題がある。すなわち、ナルトレキソンは鬱病を引き起す可能性があって、しかもそれ自身に中毒性がある。アカンプロセートは、アレルギー症状や不整脈を引き起こす。ジスルフィラムは、脈拍を速くし、呼吸困難や吐き気を引き起す。その中研究者らは、β-カルボリンに注目した[1]。以前の動物実験における節酒効果の機構が、それの作用と類似だった。新しい研究では、β-カルボリンの二段階合成を開発し、3-イソプロポキシβ-カルボリン塩酸塩を含むいくつかの化合物を、アルコール依存症になったネズミに与えた。経口投与が有効であり、副作用なしで、ネズミの不安やアルコール消費を軽減できた。カルボリンの化学構造わかるぼりん、でない人は調べてみましょうね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 24, p. 30.

15.9.15

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討論会に参加

 口頭発表に登壇する選ばれた講演者、彼らの人生は今の倍以上はある、ヤバイことがない限り、多分。その中、数十年来の研究のこだわりでエントリーされた先生も同じ土俵に立つ。帰り道「未だに間違ったメカニズムを発表している人もいる・・・」とのこと。話はずんで中国の状況。数年前とは大違い、玉石混交の中に素晴らしいものも増えた。政府が学術分野にかける予算の伸び率、欧米の名だたる化学の分野で修行した研究者が国に戻り、ヤングを育てる形。そこから公表される論文。論文審査にも喜んで応じて同朋とともに伸びようとする姿勢。適用範囲を示すエントリーの多さ「一方で我が国は???」ついでに法案に話が飛んだ。「中国をネタに不安をあおる?彼は姑息だねえ。ソフトみたい、でも祖父とは全く違う、もっとナイーブにつきあわなくては・・・」でお別れした。で別の先生、法案に反対する会にも名前を出されている。「法案は通ると思います」「いや、ここであきらめてはいけないです。現役の先生方は立場もあって難しいですが、私らは、勉強会もしながら・・・」科研費削減・防衛科研の充実の可能性、その後のことなどなど。「討論会自体が、論外」みたいな「存立危機」にしてはいけない。

15.9.14

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町では

 埃で汚れたフィルムで、通り、像や建物が覆われている。この都会の埃が太陽光を受けた時、「痛いよう」ならぬ、酸化窒素が発生する可能性が研究された[1]。この化成品フィルムが都会の酸化窒素の存在量にどの程度影響するかを理解することは、環境科学者が、大気環境についてよりよいモデルを生み出す一助にもなり得る。これまでの実験室レベルでの研究で、都会の埃に対して、光が独自の光化学を引き起すことが研究されてきた。この化学が都会で起こるかどうかを決定するために研究者らは、屋根の上にトレイに入れたガラス玉を、黙っておいた。いくつかは日陰になりそうな場所に、他は太陽光が直接あたる場所にである。その結果、光があたる場所においた球は、日陰においたそれよりも、硝酸塩が10%ほど少なかった.失われた硝酸塩の行く末を理解するために、研究室にもどり埃で覆われたガラス粒子を光反応器の中に置いた。その結果、照明を当てた埃から放出されるガスの一つとしてNOxを観測した。Noxを残っす機能はどこにあったのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 24, p. 29.

15.9.13

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非対称ビアリール化合物を

 二つの異なるアリール親電子剤から直接合成する最初の一般的な合成法が報告された[1]。新しい方法は、二種類の触媒を使い、従来法ではクロスカップリングしないもの同士を結合させている。また二つの遷移金属触媒の間の選択的な配位子の移動に関する新しい知見も含んでおり、これは幅広い化学反応に適用できる。反応のプロトコールはハロゲン化アリール同士のホモカップリング反応である一世紀ほど前に報告されたUllmann反応(Ultramanではない)であり、これをクロスカップリングに拡大する系は未解決だった。二つの金属触媒は類似の反応性を示すが、違ったアリール親電子剤を好む。Niビピリジン触媒は臭化アリールと反応し、反応性の高い中間体が発生、一方でPdホスフィン触媒はアリールトリフラートと反応し安定性のある中間体が生じる。反応機構の詳細は未解明だけど、これら二つの中間体の間で配位子交換が起こり、一方の金属から還元的脱離が進行して生成物を与える。親電子剤同士の反応、しんどいし、ではなくなってきた。

[1] Chemical & Engineering News August 24, p. 6.

DOI: 10.1038/nature14676

15.9.12

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並外れた

 負の酸化還元電位を有する有機電子ドナーが、伝統的な金属還元剤を補完する反応剤として報告された[1]。反応剤は、置換したビスピリジニリデン骨格を有し、扱いにくいスルホンアミドやマロノニトリルの還元を、光による励起をすることなしに、きれいに、達成できる。還元剤には、さきの骨格に四つの強いπ供与性イミノホスホラノ置換基が組込まれており、塩化第一水銀に対する還元電位が-1.70 Vであり、これまで報告された最高のものよりも0.2 V低い値である。化合物は単離することもできるが、マルチグラムスケールの反応で、系中で発生させることもできる。二電子ドナーがハロゲン化アリールをアレーンに還元すること、多段階合成におけるトシル保護基の脱離に重要なアレーンスルホンアミドのS-N結合の還元的解裂や、従来法ではスズヒドリドとラジカル開始剤であるAIBNを利用するプロセスであるマロノニトリルのシアノ基一つの除去によるモノニトリル合成にも適用できる。還元剤の還元セールもあるかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 17, p. 49.

DOI: 10.1002/anie.201505378

15.9.11

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ムカデより

 さらに小さいヤスデ、安いで〜ではない。臭いがきつくて夜、家にも侵入する。ただしそれが、医薬品に有用なキラル分子を高速で合成する鍵になる可能性が、富山県から発表された[1]。台湾生まれのそれが1980年代日本に入ってきたが、ヒドロキシニトリルリアーゼと呼ばれる酵素を生産する。それは工業で利用されている触媒的なタンパク質よりも速い速度で、鏡像的に純粋な(R) -マンデンロニトリルを導くことができる。ヤスデは、シアノヒドリンから、臭いのあるシアン化水素を出し、これが化学兵器になる。ただし、研究者らによれば、工業化学では、この酵素反応を逆方向で利用し、シアノヒドリンを生産し、アクリルアミドのようなバルク製品や、血液凝集阻害薬の一つであるクロピドグレルを製造する。これまでおよそ一世紀に渡って、ヒドロキシニトリルリアーゼについて研究が行われてきたが、バクテリアや植物由来であった。それに対して、ヤスデの酵素では、それらより遥かに反応が速く、99%eeという驚異的に高い鏡像体過剰率を保持している。でも普段ヤスデは、シアン化水素出して、知らん顔している。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 17, p. 49.

DOI: 10.1073/pnas.1508311112

15.9.10

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高度なマイクロエレクトロニクス

 応用分野では、グラフェンの高い有用性のため、超薄い炭素材料を得る様々な方法が開発されてきた。たとえば高品質のグラフェンシートは、グラファイトの断片を手で剝脱させることや、蒸着法でグラフェンを成長させることで、製造できる。ただしこれらの方法は、収率が低く、値段も高い。やったかいは高くはない。それに対して酸化剤と酸で、グラファイトを液相剝脱させ、ついで還元を経て、安価に大量のグラフェンの酸化系(いわゆる還元グラフェンオキシド)が得られる。ただしその材料には欠陥があり、様々な官能基を含み、純粋なグラフェンとかなり違った状態であった。その中、東京大学のチームは、オリゴマーイオン液体(IL2PF6あるいはIL4PF6)とグラファイトをマイクロウェーブ照射することで、出発化合物を30分以内で、欠陥のないグラフェンへの変換を達成した[1]。欠陥のないそれ、血管ももちろんない。でも結果、すばらしいです。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 17, p. 48.

DOI: 10.1038/nchem.2315

15.9.9

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天然にある

 標準的な20種類のアミノ酸が、生命機能にかかわるタンパク質を作りだすのに必要な化学的な多様性をもたらしている。それに対して、研究者らは、どれほど少ない多様性でも、生理活性があるかを明らかにしたいと考えた。そのため26個のアミノ酸の長さで、タンパク質ライブラリーを構築した,その際メチル基の位置だけが違うロイシンとイソロイシンを使い、これらをランダムに配列した。得られたライブラリーを、ぶら〜りと訪ねて、マウスの細胞の成長活性を、それらを使ってスクリーニングした。その結果、血小板由来の成長因子β-受容体を活性化できる配列を同定した。たとえば、たいていの活性な配列は、13番目の位置にイソロイシンがあり、この部分が特異的に受容体と相互作用する可能性がある。「たとえ二つの類似のアミノ酸でも、その配列が大切であって、側鎖の化学的な多様性から、多様性が生まれているのではないように思われる」と研究者らは感じている。ここに「ハイッレちゅうに」と言わんでも、天然では配列ができている。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 17, p. 48.

DOI: 10.1073/pnas.1514230112

15.9.8

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ROMP

 ロンパールームとは違う。リビング開環メタセシス重合。遷移金属錯体触媒が、ひずみのあるオレフィンを高分子鎖に組込む。これによって分子量の制御もできる。ただし高価であること、また得られた高分子を生体医療で使う場合には、通常利用されるRu金属を出来る限り除去する必要もある。そこでRuの量を削減する方法が探索されていた。その結果、重合過程に、連鎖移動剤を添加することで、通常のROMPに必要なRuの量を2%まで削減できることが報告された[1]。新しい重合反応では、高分子鎖は、一時的に錯体によって活性化されモノマーと反応し、ついで連鎖移動剤で不活性化される。たとえば1-(2-フェニルエテニル)-2-シクロヘキセンがこの目的に適している。そこでRuは、不活性化された高分子から別の鎖に移動できる。このプロセスが繰り替えされることで、高分子の分子量が制御でき、いつ反応を停止すべきかも決定できる。この新しい方法は、工業、生体医療、学術に、構造制御された高分子を、安価で少ないRu量で、提供しうる。連鎖移動剤との縁、切れんさ。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 17, p. 48.

DOI: 10.1038/nchem.2320

15.9.7

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特急「しなの」

 知らないのという人のために:長野−名古屋間のエル特急、概ね1本/1時間、一日一便大阪行きあり。でその列車を塩尻駅で待つ。駅アナウンス:長野駅で車両点検を行ったため、到着は30分遅れる。乗車してしばらくすると、車内アナウンス:業務連絡、業務連絡、車掌は5号車を点検してください、しばらくして異常ありません。非常通報装置の調子が悪い様子。さらにしばらくして同様のアナウンスと同時に、運行には支障がないとのこと。南木曽を過ぎた辺りか、改めてアナウンス:本日、この列車は車両不具合のため、名古屋で運転を中止させていただきます。パックツアーに参加の方々、名古屋からこだまで新大阪方面だった様子。すでに40分以上の遅れで、予定の列車への乗車はできない。添乗員さん曰く「つぎのこだまになると、1時間待たなくてはいけない。ひかりに振り替えてもらえる可能性はないわけではない。ただしのぞみは望みうす」名古屋駅近くでの、車内放送、のぞみがかなったらしく、歓喜の穏やかな雰囲気が漂った。自分は、JR岐阜駅にて手続き、駅員さんの丁寧な対応に感激、到着の遅れは忘れていた。

15.9.6

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特急「かいじ」

 怪人には出会わなかった。新宿発、幸福も運んで甲府に向かう。途中駅石和温泉、小さい子供が、甲府行きの列車に興奮している。ホテルに到着。50回を迎えるセミナーに加えてもらう。呼びかけの先生の「ともかく人を集めたい」という性格から始まった。理念はなかったと言う。でもスマートな成果を紹介する場ではなかった。未発表データで困っている点を披露して、意見を交わす。発表時間無制限だったため、順番が後ろの方の人、発表しそこねて、来年またどうぞ、ということもあった。今回も幅広い化学を学んだ。ホテルでは40名を超える中国からの団体さん。一方で中国雑技団のショウ。シーソーに乗ってバランスをとる。そこに載せた「おさら」タイミングを図って放り上げて頭で受ける。見事です。四枚でしまい、かと思いきや10枚以上がのった。ついでに缶をその上に、最後はスプーンも受けていた。翌日。団体さんは移動された。変わって別の団体さん。同様に40名以上。英語まじりの会話。聞けばフィリピンから。露天風呂で身を清めて、浴衣姿。よかった似合っている。

幹事さん、大変お世話になりました。

15.9.5

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ミミズたちにとって

 葉っぱが生産するポリフェノール類は害をもたらす。それらを摂取すると、タンパク質の沈澱を促し、酵素の破壊が始まる。植物はこれによって草食動物から自分たちを防衛している。一方でミミズは、自ら食したくなくても、生活環境にはそれがふんだんにある。その中ミミズにはこれに対処する代謝系が備わっていることが報告された[1]。より多くのポリフェノールを食べるミミズにはdrilodefensinと呼ばれる代謝産物の量も多い。Drilodefensinとは、2-エチル-5-ヘキシルフリル基の4位にSO3H基が結合した化合物で、ミミズの体重のおよそ1%が存在する。これは生物学的な界面活性剤として作用し、酵素の活性を低下させずに、タンパク質の沈澱を防ぐらしい。当初はミミズの表面に存在すると考えられたが、化合物はミミズの消化管に豊富に存在する。それでもその代謝産物を抽出しようとすると消えてなくなる。酵素が代謝産物を分解し、とりわけその中の硫黄を再利用するのではないかと考えられている。代謝産物、歯医者さんも扱うかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 17, p. 9.

DOI: 10.1038/ncomms8869

15.9.4

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畜牛のような

 家畜が、消化の時にメタンガスを放出する。「消化なのでしょうがない」とはいかない。これが米国では人為的メタンガスの1/4の量に相当する。その中研究者らは、3-ニトロオキシプロパノール(3-NOP)12週間、牛に与えたところ、メタン放出が30%削減することを発表した[1]3-NOPは牛の内蔵に棲む微生物によって使われる酵素である、メチルコエンザイムMリダクターゼを抑制する。これら共生する微生物は、牛が牧草や他の繊維成分が多い食物を消化するのを助けるが、その時にメタンも生産する。そこで牛の消化を邪魔することなく、この生産を抑制するテストをするために、三種類の異なる濃度の3-NOPを含む添加物と、プラシーボを牛の餌に入れた。48頭のホルスタインで三ヶ月実験を行った。他にも同様のメタン抑制剤はあるものの、3-NOPは顕著に抑制できてしかも牛や環境に対して安全な、最初のものである。加えて3-NOPで、食物の効果も向上し、牛の体重が増加した。動物に餌を与えるとき、その7%のエネルギーはメタンとして消えていることになる。それを節約することで、牛は他の活動、たとえばミルクの生産などにエネルギーを使える可能性もある。またこれは、米国全体のメタンが、たんと出るのを防ぐ新しいアプローチにもなり得る。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 17, p. 8.

DOI: 1073/pnas.1504124112

15.9.3

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香料、化粧品や医薬品で

 使われている化合物の一つであるアリールエーテルを、Ni触媒に光を使うことで、臭化アリールとアルコールとから、室温で導くことができた [1]。この一般的な光触媒系は、他の金属への拡大することも可能である。PdCu触媒は、C-O結合の形成を促し、アリールエーテルを与える。ただしこれらの反応は高温と強塩基を必要とし、基質の置換基に影響する場合がある。低原子価のNiもこの反応を触媒できるけれどもほとんど例がない。高原子価Ni、高原で使う必要はないけれども、この反応を促進できる。ただし量論量が必要になる。その中今回の系では、反応剤であるアルコキシドとアリール基は、始めNi(II)に配位する。光はIr(III)触媒を活性化し、これがNi(II)を酸化しNi(III)に至る。そこからの還元的脱離で生成物が得られる。IrNi触媒同士が反応し、もとの酸化状態になり、触媒サイクルでリサイクルされる。反応は、様々なアレン、ヘテロ芳香環、一級、二級アルコールにも適用できる。Ni触媒、日経も取材してほしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 Aug 17, p. 7.

DOI: 10.1038/nature14875

15.9.2

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空気や湿気に敏感な

 反応剤を取扱うためにグローブボックスを使ったことがある人には、それがボクシンググローブをはめてピアノを演奏するのと同類であることがわかる[1]。そのような反応剤をより簡単に扱うために、前処理した一回分の化合物を組込んだパラフィンカプセルが開発された。それはグローブボックスの外の反応容器に、陽気のことは気にせずに、入れることができる。研究者らは、10年前に開発されたKHが均一に分散したパラフィンワックスに刺激を受けた。加熱するとワックスが融けて、反応剤が溶液に放出される。パラフィンは反応を阻害せず、ろ過とクロマトグラフィーで除去できる。ただし今回研究者らが、フッ素化反応に同様の方法を適用したところ、ワックス中で均一な分散が得られたなかった、そこで先に調製した反応剤入りカプセルに、イメージをかぶせることにした。カプセルの調製には片側を塞いだチューブを使い、反応剤を加えた後、熱した金属スパチュラを押し当てるとよい。ただしこれによって、化学者がグローブボックスから完全に解放されるわけではない。反応剤そのものは不活性ガス雰囲気下でチューブにいれなくてはいけない。それでもいずれカプセルそのものが市販される可能性も高く、長期保存も可能である。カプセルで稼げる日も来そうである。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 August 17, p. 6.

DOI:10.1038/nature14654

15.9.1

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