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2016年1月

海産食品物

 いわゆるシーフード産業から年間およそ64百万トンの廃棄物が出ることが試算されている。通常は知らん。今回それらすべてが有益な資源になり得ることが報告された[1]。魚の頭や腸が、hydrocharと呼ばれる炭のような物質に変換され、燃料あるいは、土に混ぜて肥料や長期保存の炭素を改良することができる可能性がある。マギル大学の大学院生らは、熱水炭素化と呼ばれるプロセスを、シーフード廃棄物の中の、複雑な糖鎖やタンパク質、脂質に施した。最初に地方の市場から得たすりつぶした魚やエビの廃棄物のサンプルを、市販で入手できる酵素製品、それは複雑な高分子をより単純なグルコースのような分子に加水分解できるが、で16時間処理を行った。ついで廃棄物を石英容器に入れ高圧150 °C1時間、レンジで加熱した。このアレンジで炭素が豊富な固い炭化物が得られた。その結果、炭として、魚からは乾燥重量比29%、エビからは36%が回収された。マギル大学での、紛れのない成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 11, p. 27.

DOI: 10.1021/acs.energyfuels.5b01671

16.1.31

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通常の有機溶媒に替えて

 水を溶媒として使う研究者も多くなっている。水は普段からふんだんにあって安価で燃えず、害もない。その水中での反応の最近の例が、非固定化キラル不均一系触媒を使った研究である[1]。触媒は水に不溶だけど、有用で、脂溶性の反応剤同士の反応を媒介することができる。研究者らは、銅アセチルアセトンとキラルビピリジン配位子を対にして、シリルボロネートの、様々なα,β-不飽和受容体分子へのエナンチオ選択的な付加を達成している。生成物はキラルなシリル置換基を有し、これはC-CC-O結合を、より後半の段階で構築できるプレースホルダーである。新しい反応は水中でのみ進行し、触媒あるいは反応物が溶解する有機溶媒中では起こらない。このことから水は、立体的に閉じた固い遷移状態を構築し安定化すること、またその後のプロトン化を促進することで、高収率・高エナンチオ選択性を導くための卓越した役割を果たしていると、考えられている。溶けない触媒の研究も、放っとけないです。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 11, p. 25.

DOI: 10.1021/jacs.5b11418

16.1.30

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金属の腐食は

 大抵悪いことである。ただしある場合には、この腐食、払拭しなくても、治療の分野でさえも有益なこともある。たとえば生分解性金属合金を開発しこれを従来の骨折した骨を固定するための腐食しない金属のピンやネジの代わりに利用したい。研究者らは今回Mgのネジが、骨の健康を増進する元素であるCaZnとどのように繋がるかを示した[1]。これによって手や手首の小さな骨折の治療の一助になり得る。蛍光顕微鏡やエネルギー分散型X線分光法を含む様々な測定法を使って研究者らは、大学病院にて患者の体内のネジの水が引き起す分解を、数ヶ月にわたって観測した。この分解の副生成物は水酸化マグネシウムであり、これがネジ近くで、リン酸カルシウムの形成を促進する。加えてこの活性が骨の成長を促すことを研究者の一人は指摘している。昨年4月韓国FDAに承認されたMgのネジ、NGではなかった。さらにそれは一年ほどで骨折を完全に治療する支援をしていた。深遠です。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 11, p. 26.

DOI: 10.1073/pnas.1518238113

16.1.29

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シリコン太陽電池の

 太陽光を電気に変換する効率が、従来のシリコン電池と独自に調製したペロブスカイト化合物をもとにしたそれとを組合せた直列構造を形成させることで、格段に向上させることができることが報告された[1]。「工場でも恒常的に生産」という口上も近いにちがいない。一般に、直列の電池では異なる波長を相補的に吸収できるため、太陽スペクトルのより広い範囲が利用できる。ペロブスカイト型のハロゲン化物はエネルギーの高い青色領域のエネルギーを吸収し、これと低いエネルギーを吸収するシリコンとの異なる組成が検討されてきた。ただしこれまでのペロブスカイトは、メチルアンモニウム鉛トリヨージドであり、長い間光と熱にさらされると分解する。それに対して今回は、[(HC(NH2)2)0.83Cs0.17Pb(I0.6Br0.4)3が青色領域の光を強く吸収し高い安定性を示すことが報告された。またこれと19%効率のシリコン電池との組合せは、25%以上の変換効率であることも示された。「直列電池、ちょっとくれっ」と言ってみたくなります。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 11, p. 25.

DOI: 10.1126/science.aad5845

16.1.28

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窒素原子より

 三つ目あるいは四つ目の炭素に立体中心を有する、いわゆるγ-、δ-キラルアミンは、多くの医薬品や天然物で重要な構造の一つである。これらがもし簡単に合成できればいいけれど、多段階合成を経ずに、お気楽に、キラル中心から一つあるいは二つ以上遠い位置にアミンや別の官能基を選択的に組込むことはできない。その中、今回研究者らは、アリルアルコール、アリルエステル、アリルエーテルからγキラルアミンを、またアリルエポキシドからδ-キラルアミンを導く単段階反応を開発した[1]。反応は一つ以上のアリル基を持つ基質を連続的にアミノ化することもできる。銅ヒドリド触媒によるこの方法は、還元的伝達ヒドロアミノ化と研究者らは呼んでいる。そこでは、アリル出発化合物の二重結合を形成している一つの炭素から、三つあるいは四つ離れた炭素上でアミノ基が構築され、その後反応の途中で、二重結合がキラル炭素中心に変換されている。リモートキラルアミン、妹さんにも教えてあげてください。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 11, p. 25.

DOI: 10.1038/nchem.2418

16.1.27

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シドニー大学の研究者らは

 しんどいに〜ことも忘れて、Cr(III)サプリメントは、糖尿病患者さんのインスリンへの感度を向上させることを提案した。また実際に2型糖尿病患者さんの中には、それを飲用されている方がおられる。ただし以前の提案の際には、細胞内で問題となる事象については実証していなかった。今回Cr(III)を投与したネズミの脂肪細胞を使い、微小X線吸収端近傍構造(-XANES)解析を使った。その結果、細胞内でCr(III), Cr(V)に加えてCr(IV)がすべて存在していることがはっきりした。そのことから、残念な酸化反応が細胞内の、大抵は還元的環境である部位で、起こっていることを提案している。これはインスリンのプロセシングを含む細胞シグナル過程では、強い酸化剤である過酸化水素が使われるためである。これらの発見を鑑みると、Cr(III)サプリメントがガンにかかる危険性を変化させるかどうかを確かめる疫学的な研究が必要であると、述べられている。Crの検証、苦労生むかもしれませんが、お願いします。

[1] Chemical & Engineering news, 2016 January 11, p. 25.

DOI: 10.1002/anie.201509065

16.1.26

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1973年

 エポシキドをPhSeアニオンで開環させた後、脱離でアリルアルコールを与えるという切れ味鋭い反応をSharpless先生が報告された。決してsharp lessではなかった。それからおよそ40年経た頃、セレン触媒を用いたアルケンの官能基化の分野をDenmark先生に加えて、Breder, Zhaoら気鋭の先生方が開拓されている。セレン原子の酸化還元特性、四価セレン化合物からの脱離についても言及されている。

 この時宜を得た「最近のトピックス」[1]、記事に記載の先生方も講演される「第13回セレン・テルル化学国際会議」が本年523日より岐阜で開催される。23日のウエルカムミキサーに始まり24日のオープニングセレモニー。有機化学に加えて、セレノシステインが関わる生化学、中には「セレンと糖尿病」も含まれる。ついで非シリコン系太陽電池に関わる話題や量子ドットについて、加えてセレン・テルル原子が関わる錯体化学も取り上げられる。

この機に、有機、無機などの自分自身の専門はもとより、元素を鍵に他の分野を学んでみませんか。325日が参加登録の締切日です。中には、見せれん話が登場するかもしれません。

[1] 佐瀬祥平、後藤敬著「発展する有機セレン化学」(月刊化学、20162月号、p. 70

[2] http://www1.gifu-u.ac.jp/~iccst/

16.1.25

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鈴木—宮浦カップリング反応は

 Pd触媒の炭素—ハロゲン結合の挿入(酸化的付加)、続く有機ホウ素化合物からPdへのトランスメタル化、最後に還元的脱離で生成物を与える。一方触媒的ではないホウ素反応を使った量論反応では、有機リチウムがそれに付加し、金属ボロネートになり、ついで親電子剤を加えると有機ボロネートの上の置換基が1,2-メタレート転位というルートを経て、ホウ素、置換基、親電子剤が生成物に組込まれる。今回これら二つの反応が一つのフラスコで合体した[1]。すなわちビニルリチウムと有機ホウ素でボロネートをつくる。一方でハロゲン化アリールの酸化的付加によって生じた親電子的なキラル配位子を有するPdが系中にある。それが先のボロネートを捕捉する。ただし鈴木−宮浦トランスメタル化とは異なり、ビニルボロネートのビニル基がPdに配位し、1,2-メタレート転位によってホウ素上の置換基がビニル基にシフトするとともに、π錯体はσ錯体になり、そこから還元的脱離が起こる。これによって二つの新しいC-C結合に加えて、CB結合の立体中心が高い鏡像体過剰率で形成される。このボロネート、おもろね〜と言われる方はいない。

[1] Chemical & Engineering news, 2016 January 11, p. 5.

DOI: 10.1126/science.aad6080

16.1.24

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食品包装紙に

 使われている三種類のパーフルオロアルキルエチル基を含む、油や水をはじく材料を今後は、米国で販売されている食品に利用することができないとFDAは発表した。これは2014年に環境や公衆衛生に関するグループからの「それらの化成品はガンや出生異常と関連づけられる」という陳情に対するFDAのアクションである。その材料は、電子レンジポップコーンバッグ、ピザの箱、ファーストフードの包装紙などで使われている。化合物は2011年以降米国では製造されていないけど、別の国でこれらを含む包装紙がつくられて輸入されている。今回のFDAの発表は、構造的に類似の化合物の新しい毒性試験のデータに基づいている。FDAに請願したグループの、FDAのアクションに対するリアクションは、まずは歓迎しているものの、米国の食品の安全性を改善する小さな一歩でしかない、としている。これによって食品包装会社は、およそ100種類ほどある類似の化成品、それらも同様に有害である可能性があるものの、その使用を止めるわけではない。自分たちは、他のパーフルオロ化化合物の安全性についてはほとんど知らない一方で、廃止になるものとよく似た構造をしている。限定的な安全性試験の結果は、健康上有害である可能性を示唆していた。包装紙に関するニュースも放送してください。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 11, p. 4.

16.1.23

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早期陣痛で

 毎年1500万人の赤ちゃんが生まれていることをWHOが報告している。しかも現状の治療法は早産を防ぐのに役立ってはいない。細胞内のCa2+のレベルの増加が子宮収縮を引き起す手助けとなるものの、主たるカルシウムチャンネルをブロックしても妊娠期間を伸ばすことにはならない。その中研究者らは、非選択的なカルシウムチャンネルであるTRPV4が、子宮組織で収縮を制御するのに重要であることを示した[1]TRPV4が遮断されたときには子宮収縮性が減少し、逆の場合には、収縮性は増加する。早期陣痛のネズミモデルでは、TRPV4の遮断で、分娩の開始が遅くなった。ついで妊娠中のネズミに人工妊娠中絶に使われる薬剤であるRU-486を与え化学的に子宮収縮を、至急、引き起させた。ついでネズミにTRPV4のアンタゴニストであるHC067047を与えたところ、出産が遅くなった。これらの結果より、TRPV4が早期陣痛を防ぐ治療の標的である可能性が提案されている。ちなみにWHOって誰ですか?ふ〜[2]

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 4, p. 21.

DOI: 10.1126/scitranslmed.aad0376

[2] World Health Organization

16.1.22

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神経変性病では

 ある種のタンパク質が、脳で間違った折りたたみ構造をとり凝集する。しかも今日中には終わらずに継続する。ネズミの研究ではアルツハイマー病と関連するタンパク質は、細胞のプロテアソームの機能を損ない、間違った構造のタンパク質を分解するのに細胞が利用する廃棄物処理が滞る可能性がある。そこで低分子でプロテアソームの活性を向上させることできれば、この損傷を克服でき、より少ない凝集と認知の機能を改善できる。その中研究者らは、凝集し易いタウタンパク質を発現する遺伝子操作したネズミを使った研究を行った[1]。その結果、これらのネズミから得られたプロテアソームは、通常の動物から得られたそれらよりも、タンパク質を分解する活性が弱かった。研究者らは、タウがプロテアソームを所有するとその機能を損なうのではないかと考えた。そこでプロテアソームの活性を向上させることが知られているリン酸化する機構を引き起す低分子化合物であるロリプラムに注目し、4~5ヶ月の遺伝子操作したネズミにそれを投与したところ、プロテアソームの活性が向上し、空間記憶も向上した。これで気後れすることもない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 4, p. 21.

DOI: 10.1038/nm.4011

16.1.21

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積層造形法は

 高分子や金属から複雑な形をした製品をつくるのに広く用いられている。ただし三次元で印刷したセラミックは、航空学や熱保護系では恩恵を受けているものの、ほとんどの場合一般的ではない。これは多くのセラミックは、びっくりするほど高い融点を持っているためである。この方法でつくられた限られた製品は、セラミックの粉をバインドさせるために糊のような材料を利用するか、それらをレーザーを使って溶融することで、組立てられている。ただしこれでは、時間を要し、多孔質な製品になるため、もろくて、日々、ひびが入る傾向である。その中今回の方法はそれらの解決になり得るかもしれない[1]。研究者らは、3-Dプリンターで、様々な単量体を紫外光で効果的に硬化させることで、複雑な形状の高分子構造を形成させ、熱分解することで強い多孔質のセラミック製品を得ることに成功した。たとえばシロキサンをもとにした樹脂から、研究者らはシリコンオキシカーバイド製品を作った。それは同様の密度を持つセラミック発泡体よりも強かった。よかったね。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 4, p. 21.

DOI: 10.1126/science.aad2688

16.1.20

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ACS Omegaが

 発刊される。著者が経費を支払い、読者は無料購読できる。ACSからの査読つき論文の二つ目のオープンアクセス誌となる。一つ目はACS Central Scienceで、より選られた学際的な論文誌で2015年に発刊された。これは著者、読者ともに費用は不要である。ACSはさらに他の論文誌でも、著者が経費を負担することでオープンアクセスに出来ることを提案している。これらの論文誌と違って今回のACS Omegaは、採択の基準として結果のインパクトや重要性は考慮しない。採択の決定は主に、投稿論文の中の成果が実験的に確かであるかどうかである点である。それでもACS Omegaにも他の論文誌と同様の、厳密な科学的基準と、迅速な出版の体制が保たれる予定である。この新しいオープンアクセスジャーナルは科学界や一般社会で、すぐに利用されるはずであり、化学や複合分野を含むすべての領域からの投稿が期待されている。ACS Omegaでは四名の共同編集者が、中国、インド、欧州、米国から招かれる予定である。2016年春から投稿受付。おめえさんが出すんだよ、おめがねにかかった成果の公表は2016年夏から始まる。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 December 21, p. 39.

16.1.19

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この町ができた頃

 戸数は片手ほどだった。当時は水道料金の集金も委託されていた。どこかに連絡したいときには、電話が設置されているご近所さんのそれをお借りしていた。それが今ではそれぞれが持つようになった。周りは、田んぼや畑、とりわけ柿畑だったのが、宅地になって、託された。地図にあるその数、何度数えても間違える。そこで二つに区分けされることになった。皆さん集まる最後の新年互礼会。バスで会場まで移動。あまりの多さに点呼も取れずに、バスはてんこもり。一昨年は出席、でも「久しぶりやのお、何年ぶりや?」みたいな感じ。参加者の多さに、存知あげない方々も少なくはない。どちらにお住まいですか?「〇〇さんのとなりじゃ」「〇〇さんところはどこですかねえ」「うちの隣じゃ」という。「先生、歌謳って〜」というリクエスト。う〜困った。GLAY歌い終えた。「若いですねえ」「いえ20年前の歌です」3時間ほどの宴、元気で長生きされている方の一本締めで、今年が始まった。

16.1.18

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ゴキブリが

 寄り集まりたいとき、それぞれのお尻にある集合フェロモンを彼らは嗅ぎ付ける。今回の研究では、これらの揮発性成分はゴキブリの胃腸内の特殊な微生物に依存していることがわかった[1]。町内の人にも報告したい。で研究者らはドイツのゴキブリの老廃物から集合フェロモンとして働く40種類の揮発性のカルボン酸を見つけた。ただし純培養したゴキブリ、これらは微生物が存在しない無菌条件で、でもむきにはならずに、育てられた虫だけど、それが出す糞では、それら多くのフェロモンが不足していた。比較実験では、幼虫は純培養より、そうでないゴキブリの糞に魅せられていた。ただし純培養のゴキブリに、通常のゴキブリで培養された六種類のバクテリアを注入すると、それらのゴキブリの糞も幼虫を引きつけた。さらに六つのフェロモンの合成品をブレンドしたものを使ったところ、関係のないゴキブリから来た市販のフェロモンブレンドよりも、より強く幼虫を引きつけていた。ブレンドと魅力が連動している。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 December 21, p. 17.

DOI: 10.1073/pnas.1504031112

16.1.17

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化学反応の動力学を

 深く理解するために、研究者らはスペクトルデータを使い、遷移状態エネルギーと反応座標を決定している。遷移状態は、反応物が生成物に変換されるポイントで、反応座標は、反応系のエネルギー経路あるいは通り道であり、実験的にこれらに到達することはできない。その中研究者らは、これらの物理パラメーターを、反応系の振動エネルギーレベルの間隔の変化を研究することで捕えることができることを発見した[1]。研究者らは、その方法を使って、アセチレンのシストランス異性化反応とシアン化水素の水素イソシアニドへの変換反応を検証した。測定した値は、以前に理論計算から割り出された値と一致していた。これでスイッチが入ったこの手法「遷移状態の直接分光法という夢をかなえるものではない。ただしゴールドではないけど、そのゴールにさらに近づいたものである」と1986年ノーベル化学賞を受賞したトロント大学のJ. Polanyi先生は述べている。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 December 21, p. 17.

DOI: 10.1126/science.aac9668

16.1.16

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タンパク質の周期表が

 提案された[1]。これによって一連のタンパク質複合体の可能性のある四次構造を体系化し予測すること、さらに構造を理解することでタンパク質の機能や進化についての洞察もできる。研究者らは、ホモメリック、ヘテロメリック複合体両方の集合経路について実験ならびに計算結果から表を作成した。その結果、五種類の集合過程が同定された。ついでそれらを使って、与えられた量論で、複合体に対するサブユニットのすべての可能性のあるパターンを解明した。得られた構造が、サブユニットの繰返しの数と独自のサブユニットの数をもとに体系化された。にやっとしたに違いない。これまで知られているタンパク質の構造のうち、おおよそ92%がこのモデルに適合していた。残り8%については、同定が間違っている可能性もあると指摘されている。この表によって、タンパク質のバイオエンジニアリングでは、サブユニットと接合部分のどの組合せが、期待の配列を持った複合体を形成するかを示す一助になる。周期表作成にもご祝儀を

[1] Chemical & Engineering News, 2015 December 21, p. 17.

DOI: 10.1126/science.aaa2245

16.1.15

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ほ乳類の死骸は

 森のエコシステムでは、稀な栄養素の資源である。また微生物群は、死んだ植物の落葉に対して、三倍のオーダーの速さで、それらを分解することができる。このことに関して研究者らは、死骸の微生物のコミュニティが、芝居はしないけど、タンパク質や脂質が濃縮された資源をどうやって楽しむようになったのかという問を立てた[1]。これらの食べ物は、植物にある大量のポリサッカロイドとは随分と異なる。研究の結果、死骸の微生物群は、十分に再現できるレベルで変化し、微生物の食するものとして何があるかを試験しながら、情報が伝達される。研究では、四つの人の分解物や多くの死亡したネズミを使った。その結果、微生物のうち、リシンやアルギニンを嫌な臭いのプトレッシンやカダベリンへ分解する窒素循環やアミノ酸崩壊に関わる微生物が、時間依存で確実に増加していた。これらのことから、死骸の微生物群は、死亡時刻の推定に使えることを提案しており、この方法は従来の昆虫を使った方法と相補的に利用、あるいはそれを改善できるとしている。死骸の研究、やりがいもあるけど、以外と難である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 December 21, p. 16.

DOI: 10.1126/science. aad2646

16.1.14

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単純なオリゴメリゼーション過程を

 利用して巨大な炭素環状化合物が合成された。それはこれまでに結晶化されてX線回折で構造が明らかにされた最も大きな単分子である[1]。なお今回の分子より多くの炭素原子を含む単分子化合物の報告例はあるものの、X線構造解析はなされていないか、構造の中に金属が含まれていた。新しい多環式化合物は、単に大きいというだけではなくて、可逆な炭素—炭素共有結合を経たカップリングで構成要素を自己縮合させることで構築しているという戦略の点でも独自である。大きな共有結合分子の合成は一般に、鋳型を使った方法(これがよかった場合もあるけど)、あるいは労力を必要とする多段階合成の手法を必要としていた。一方今回の方法ではリチオ化を利用して、フルオレノン基をスピロビフルオレニル部位に結合させ、ついで還元的水銀カップリングによって、六つのユニットを連結するという方法で、超でっかい多環式炭化水素が構築されている。すなわちフルオレノンから、これ俺のんという分子が構築された例です。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 December 21, p. 16.

DOI: 10.1002/anie.201509608

16.1.13

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IUPACと

 物理の団体の合同委員会は20151230日、仮の名前だけがつけられていた113, 115, 117, 118番元素にお墨付きを与えた[1]。でも墨は使わずに済みだった、多分。でこれらの元素を最初に発見した研究者らには元素記号と名前をつける権利が与えられる。113番元素は日本の理化学研究所で、これはアジアの研究者が名付け親になる最初である。別の三つの元素については、ロシアの核研究のジョイント機関と、米国ローレンスリバモアとオークリッジ国立研究所を含む欧州と米国の共同チームである。IUPACはまずは今月末までに、四つの元素と別の部分のアップデートを加えた周期表を公表する計画である。さらに六ヶ月後には、それぞれの元素の名前がIUPACに届くことが期待されている。その段階で再び周期表はリニューアルされる。第七周期以降の超重元素の面白さは、原子核のプロトンの数が増加するにつれて、電子の速度が速くなり、相対論的効果が発生し、軌道エネルギーレベルも変化する。これは周期表縦列の反応性の傾向が維持されないことを示唆している。ただしこれら短寿命の元素の研究は難易度も高く、たとえば118番元素は希ガスであるが、それをどうやって確定するのか、挑戦的な課題である。気を利かすとしても、その希ガス、半減期0.00089秒である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 11, p. 6.

16.1.12

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イーサンが

 所属するIMF(Impossible Mission Force)、自作自演でトラブルを起こして解決する組織であるというCIA長官の進言で解体されることになった[1]。買いたいという人もいない。その中イーサンは一人、犯罪組織「シンジゲート」の調査を敢行。IMFの仲間だけど今はCIAの監視下にあるベンジーをオペラに呼び寄せた。週末だけのミッションでCIAに戻るように伝えるイーサン、それに強く反論するベンジー。ルーサーや英国諜報部員のイルサもそこにいる〜さ〜で、モロッコで厳重に管理されているデータをUSBで入手した。ただしそのデータを開くには、英国首相の手のひら認証、決まった文言による声認証も必要だった。英国首相も出席しているオークション会場に行く。殊勝に首相を呼び出し、それらをゲット。データの中には、世界中の富豪の預金額、口座番号、暗証番号がリストになっていた。しばらく前にシンジケートに捕われていたベンジー。救出するためにこのリストを利用。データは、イーサンの記憶になって、USBはもうない。一件落着。CIA長官の手柄とするというIMFの提案、IMFは存続。「イルサ、どこに行くんさ」との問いかけに、I don’t know. I have done my part. You know how to find me.という言葉を残してイルサは去った。

[1] トム・クルーズ主演「Mission Impossible – Rogue Nation(2015) のことブロ〜グに書くんでしょん でした。

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造影CTやMRIは

 膝の怪我から腎臓の血餅まで広い範囲の医療の課題を診断するのに使われている。ただし腎臓や腎動脈に疾患がある人にはこれらの利用が避けられている。それはヨウ素あるいはガドリニウム(Gd)を含む造影剤が、さらなるダメージや好ましくない毒性を引き起す可能性があるためである。これに対してMn錯体のような、安全な代替物の探索が行われている。それでもこれまで開発された化合物は、Mnが他の金属と置き換わるのを防ぐほどの安定性がないこと、身体から直ちに除去できるかの基準を満たしているか、の課題があった。その中今回、新しい型のMnキレート配位子がデザインされ、これによって課題解決の可能性が出て来た[1]。配位子であるPcC3AMnが解離してしまう可能性を抑え、また標的となる細胞にバインドできるカインド(kind, 種類)の官能基も有し、身体から出て行くのもスムーズである。配位子は五段階合成で、得られたMn造影剤の線維素を標的とした誘導体は、ネズミの動脈の血餅のイメージを、これまでの最も高い解像度を示すGd造影剤と同様の解像度で「Mn造影剤の映像も、え〜えぞう」で映していた。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 December 7/14, p. 37

DOI: 10.1021/jacs.5b10748

16.1.10

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1,1'位で連結したビアリール化合物は

 キラルな医薬品分子を調製するための配位子や触媒として一般的である。1,1'-ビアリール構造はまた、多くの天然物でも見られるユニットである。ただしこのユニットを合成すること、にやっとしていて完了と言えるほど簡単ではない。特にビアリールが非対称のときには難しい。通常、前段階の修飾や遷移金属触媒を使って合成が行われる。その中ここでは有機触媒を用いた非対称な官能基化された1,1'-ビアリールの合成が報告された、反応ではキノンモノアセタールとヒドロキシ芳香族化合物が、有機酸触媒の助けを借りて、繋がっている。この一段階反応は、金属や高価な出発化合物を必要とせず、スケールアップの例としてビアリール化合物を26 g提供している。反応は混合アセタールの形成、続くシグマトロピック転位を含んでいる可能性が示唆されている。これによって様々な非対称な官能基化された1,1'-ビアリールを導くことができ、既知の、あるいは新しいタイプの反応における触媒や配位子として利用可能である。ビアリール合成に、美あり〜るです。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 December 7/14, p. 37

DOI:10.1002/anie.201508419

16.1.9

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より高い解像度の

 時間分解光電子スペクトルやナノ構造イメージングを可能にするために、長年の目標だったアト秒X線パルスを出す装置が開発された[1]。この技術は、高調波を発生させることができ、レーザーパルスは原子から一電子を引き出したり戻したりすることができる。もし電子が原子と再結合した時には、アト秒間のX線の破裂として、動的エネルギーが放出される。原子ごとのX線の放射は、超紫外レーザーの調子がいい時が最も高い。ただし研究者らはX線を放射する多くの原子も必要であるが、それによって位相がマッチする。研究者らは、アルゴンガスにUVレーザーを照射してそれを実現し、ArArイオンとのプラズマ混合物をつくっているが、これは従来の赤外レーザーでは不可能であった。またイオンの屈折特性がもたらす位相整合がX線放射の一助になり、得られたX線は従来のものよりも明るいだけではなくて、狭い線幅のくし型のスペクトルを示している。これによって解像度も改善されている。アト秒、あと何秒と聞く暇はない。10のマイナス18乗秒である。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 December 7/14, p. 37.

DOI: 10.1126/science.aac9755

16.1.8

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Pacifichemの間は

 休暇だよという「うわさ」がある中、五年に一度の会議の開催、最先端の研究発表が行われるとともに最近の流行(catch a few waves:ハワイです)を知ることができたかもしれない[1]。サンシャインとサーフィンを横目に17000人が集い330のセッションで口頭発表があった。化学のcollaborative natureと、開催する7つの化学会の会員たちのネットワークづくりを強調した今回の主題は「Chemical Networking: Building Bridges Across The Pacific」だった。加えてポリネシアンダンスを楽しみ、開催期間の間、化学オーケストラのコンサートも行われた。2003年に東京で設立された化学者のボランティアで結成されている楽団、Pacifichemのポスターセッション、昼食会、閉会セレモニーでもアンサンブルが披露された。という記事に組込まれたショット、ちょっと待って。なんと昨年もお世話になった名古屋の方々の和やかな一枚でした。これ「いっちまえ」と珠玉のショットが選ばれたのだと思います。

[1] Chemical & Engineering News, 2016, January 4, p. 25.

16.1.7

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過酸化水素を

 水素と酸素から直接合成できれば、過酸化水素の生産のコストをさらに下げることができて、有機化学、廃水処理や別のプロセスでも利用されている塩素化酸化剤の、環境調和型の代替品になり得る。金属触媒を使った直接合成は、大量の水が生じ、その除去と濃縮段階でのコストがかなり必要になる。一方で過酸化水素は通常、アントラキノンから、呑気かもしれないけど、多段階でつくられている。その中、触媒効率の悪さは反応機構を詳細に理解することで克服できると考えられた[1]。それをするために研究者らは、ナノサイズのPd触媒を使い、広い範囲の水素と酸素の圧力の幅と溶媒のpHの値で過酸化水素合成を調査した。その結果、これまで受け入れられている機構とは異なっていた。まず酸素が触媒に吸着し、触媒から二電子を受取り、その後、溶液からの二つの水素イオンと反応し、過酸化水素が形成される。触媒表面の別の部位では、水素が吸着し解離し、必要となる電子と水素イオンが供給されている。今日急にわかったことではないよ〜ん。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 December 7/14, p. 36.

DOI:10.1021/jacs.5b10669

16.1.6

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メタンガスは

 最も重要な温室効果ガスの一つである。ただしこれを追跡することが難しく、気候モデルに必要な高い信頼性のメタン排出のマップを輩出することが難しい。その中今回、地表面のメタンの濃度を高い空間分解能で検出できるカメラが、彼らによって開発された。彼らとはLinköping大学の研究者らである。ハイパースペクトルイメージングの技術で、ガスの赤外スペクトルが、それぞれのカメラの画素に対して、積算される。その結果、1 m2以下の解像度でメタンの濃度の測定が可能である。実際に、湖や工場の煙突、18の鼓腸性の牛の舎から出るメタンガスが測定された。新しいカメラは、従来の飛行機や衛星をもとにした技術の40から100倍の感度でメタン測定を達成している。記事には例として沼地でのメタン発生が観測できた写真が掲載されている。なお研究者らは、カメラはこれまでの空輸法による測定を補うことができることを期待している。メタン、見えたんや、高い感度で。感動です。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 December 7/14, p. 36.

DOI: 10.1038/nclimate2877

16.1.4

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フォースの覚醒を

 隠せんことの予兆を、ダースベーダーを引継ごうとする青年レンも体感していた[1]。その血筋の彼は、以前はソフトなるも、今は祖父と同様にダークサイドにほとんど引込まれている。闇の世界:シス、帝国、そしてファースト・オーダー。呼び名は変化しても、宇宙を「従えばとりあえず生かす、さもなくば殺す」で支配しようとする。急襲された星でさまようドロイドBB-8「頭の回転・動き、決してのろいど」ではない。廃品回収を生業とするレイと過ごすことになった。がこれで彼女の生活が一変した。BB-8に、オーダーから脱出したフィン、攻撃を受ける中その星を去る。ハン・ソロ、チューバッカとの出会い。レジスタンスに向かう。レイア将軍と再会するハン・ソロ、オーダーがオーダーメイドの兵器に太陽エネルギーを充填している。達成されれば共和国は滅びる。阻止すべく旅立つフィン、レイたち。レイがオーダーに捕獲された。冒頭の青年レンの試練。親子の再会・対決・別れ。巨大な星もどきは破壊された。その時レイは青色のライトセーバーを手にしていた。May the Force be with You.

[1] スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015).

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初詣

 実家の近くの神社にお参り。忍者はそこにはいない。でも警備を担当される方が、お祈りは二カ所に別れてしてもらえるように、というガイドをされる。例年ほどの混雑ではなかったお陰で、手を浄めること、おみくじも引くこともしばしの間で終わった。みくじなしを免れた。お札を買ってお稲荷さんにも参拝。身なりが気になる。しばし歩いて不動尊。本堂、水掛不動尊、梵鐘。待たずに鐘をついた。なぜだか「共鳴しますように」と願っていた。地下鉄で移動、大阪天満宮。去年までのお札をお返しした。巫女の舞を見んことには新しい年の実感がない。「遠くからお賽銭を投げないで下さい」という声に従って少しずつ前に進む。本殿前に到着。願いごとを唱えて左へ移動。「今年は何年だったっけ?昨年とは何が違うの」という時間の流れがここにはある、色々なお店、沿道・商店街を賑わす。流れにそって移動。その左手に繁盛亭。上方落語の至芸が繰り広げられている。その足下に届かんと修行の日が続く。

16.1.3

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113番元素の

 命名権を得ました。森田先生始め共同研究者の方々、おめでとうございます。「どんな名前を提案されるか」わくわくの日が続きます。時に、一家に一枚周期表を配っては113番目の日の丸を紹介してきた。ウンウントリウム、半減期0.0014秒。BiZnをぶつけるとできるという説明。ちょっと不躾。実際にこれら二つの比較的安価な金属を手に入れてそこら辺でぶつけても113番元素はできない、多分。確認の方法すらない。加速器が活躍する。10年ほど前に初めてその元素の発生が確認された。2015年の大晦日のトップニュースになった。元素周期表がニュースの画像を支配していた。授業では〇〇と覚えたとのこと、加えてプルトニウムまでは自然界に存在する元素で、それ以降の元素は人工的につくられること。ロシア・米国の研究所でもその発生を確認しつつも、IUPACは最初の第一歩を理化学研究所と認定した。113番は30番目の素数。そうするのが自然だったと思います。

16.1.2

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平成28年1月1日

 お雑煮づくりに、御曹司ではないけどチャレンジした。幼少の頃から白味噌だった。昆布だしを前日から出す。朝は鰹節を煮出して、この二つがベースになる。でもそれには至らずに出し抜いてしまった。食品メーカーさんの助けを借りた。沸騰したお湯に袋ごと入れる。心地よい出汁の香り。具材は、人参、大根(それぞれお正月用だけど)、豆腐、(里芋は買い忘れた)、それにお餅。お持ち帰りはしない。煮込み始めたけれど、しばし柔らかくならない。不用意にもとろとろしていて、お餅もとろとろになってしまった。朱塗りのお椀、物心着く前からここにある。60年近くの間、年初に現れては360日ほど眠っている。隣に座る四段の重箱、重ねると松と鶴が静かに合わさる。一段重は加工食品、かまぼこ、伊達巻きなんかが収まる。ついで二段重と三段重は煮物、芽が出ますようにとクウイもあった。芽が怖いと思ったこともあった。四段目、豆を煮込んでつくりあげる。豆にしわができないよう、仕込みをしていた。こみ上げる思いを押さえて、今回はこちらもメーカーさんから購入。これもうめえか〜で新年が始まった。

16.1.1

 

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