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2016年2月

カーボンナノチューブのシートが

 強い構造的なシートや、軍人にとっての防護服になり得る。ただし、ナノチューブフィルムはナノチューブとは強さの点ではかなり異なっている。今回研究者らは、以前のフィルムの五倍の強さで、ケブラーや炭素繊維よりも強いカーボンナノチューブフィルムを報告した[1]。新しいフィルムの強さは、密に詰まったナノチューブに由来し、それがほぼすべて平行である。さらにフェロセンとチオフェンを触媒として、エタノールを加熱したチューブにスプレーし、位置の合わさったカーボンナノチューブでできた壁を持つ、中が空洞のシリンダーがつくられた。ついで浮遊するシリンダーを回転ドラムに入れるとそれが平面化されてフィルムになった。最後にフィルムを二つのローラーの間で繰返し圧力をかけ、ナノチューブをよりきつく圧縮した。そこで得られたフィルムは、9.6 GPaの引張強度を持っていた。以前のフィルムが2 GPaで、ケブラー繊維や市販のカーボンファイバーはそれぞれ3.77 GPaの強さである。 ちなみにGPa、大学の成績とは関係ない。圧力・応力の単位(ギガパスカル)である。それでもGPAで圧力をかけられる時もあるかもね。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 February 8, p. 25.

DOI: 10.1021/acs.nanolett.5b03863

16.2.29

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星間の環境では

 放射が引き起すメタノールの変換は、炭化水素を生産する重要な過程であるかもしれない。それについて1994年にノーベル化学賞を受賞された、おらが、オラー先生らは、メタノールはメタンより反応性が高いことに注目して、この反応過程を提案された[1]。メタンは、星間媒質の中、巨大な雲の中に存在し、より複雑な星間にある炭化水素を導く原料であると、長い間考えられてきた。ただし過去の二十年以上に渡って天文学者は、メタノールを含む星間雲を発見していた。そこで研究者らは、メタノールを含む何年もかけた実験と計算により、メタノール化学が炭化水素生産を導く数多くの過程を指摘している。たとえば、メタノールは大気圏外で強い放射にさらされると、プロトン化されたメタノール二分子から、カルベンが生成し、これの連結で中間体であるエチレンを与える。ついでこのオリゴメリゼーションによって、炭化水素が形成する。メタノールからの炭化水素、単価も推測してみましょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 February 8, p. 24.

DOI: 10.1021/jacs.6b00343

16.2.28

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ドローンは

 とろ〜んと飛行しているかもしれない。それでもその使用が格段に増加している。その中、米国の国会は、化学プラントや石油精製施設の上空や近くの空域の無認可飛行を禁止する第一歩を踏み出した。議案は連邦航空局(FAA)に対して、重要な経済的基盤から離れて飛行させる厳格なガイドラインをセットすることが提案された。たとえば石油化学、石油改質の設備が他の地域に比べて多いヒューストンで、それがすと〜んと落ちれば、電力網や情報タワーにも甚大な影響があること、さらに最大の脅威は航空写真によるスパイ行為である。個人で積極的にドローンを飛行させて航空写真を撮影、それをライバル企業に販売する可能性がある。中には設備の企業秘密も含まれている。ドロ—ンはまた、操作性、お手頃感、物品を運搬できる能力から、テロリストが爆薬で工場の標的を攻撃することも可能になる。この議案は下院の議場では投票に入る。また上院では別の法案が作成されることが期待されている。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 February 22, p. 8.

16.2.27

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大気中の硫酸塩は

 エアロゾル粒子が核を形成し拡大する際に重要である。形成されたエアロゾル粒子は、雨をもたらし、太陽放射を反射あるいは吸収し、健康にも害をもたらす。ただしアンモニウム硫酸塩のような塩の形成機構の詳細が明らかではなかった。計算化学が今回、水が媒介して、アンモニウム重硫酸塩が汚染物質であるアンモニアや三酸化硫黄から生成することを示した[1]NH3は農作業で放出され、サンサンと輝きはしない三酸化硫黄は化石燃料の燃焼で生じる。さらに水三量体あるいは水滴から水分子は、NH3SO3分子を連結するループのようなものをつくる。このネットワークが、フットワークよく、水分子が媒介するプロトン移動を促進し、OH-SO3に与えHSO4-になり、H+は他の水分子にパスされる。H+をもらった水はオリジナルのH+NH3に渡し、NH4+になる。反応のエネルギー障壁は低く、エアロゾル粒子の形成に関わることができるらしい。この機構え〜やろゾル。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 February 8, p. 24.

DOI: 10.1021/jacs.5b13048

16.2.26

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ペストを

 ストップさせたいと何十年も努力が続けられているものの、まだまだマダガスカルでは、主な健康問題である。2014年の大流行のピーク時には335人が感染し、少なくとも79名の命が奪われた。ペストは主にある種のネズミがもたらす。この疾病を食い止めるべく、ノミの数を殺虫剤で制御しようとしている。ただし今回の研究では、12種類の通常の殺虫剤のうち、6種類、そこには最もよく使われているデルタメトリンも含まれているが、それらは、その地のノミには効果がないことが明らかにされた[1]。さらに島の周りの8種類のノミが調べられ、1種類の殺虫剤、すなわちディルドリンのみが、これらすべてのノミに100%効果があることがわかった。ディルドリンは有機塩素化合物であり、ほ乳類には毒性を示し、環境に蓄積することも知られている。なので1993年以来マダガスカルでは使われていない。そこで研究者らは、ペストの拡大を防ぐために、殺虫剤の代替方法を探索することを推奨している。たとえば餌入りのアミでネズミを捕獲し、その数をコントロールすれば、全体として殺虫剤の使用量を抑えることになる。アミにまさる方法もあみ出したいです。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 February 8, p. 23.

DOI:10.1371/journal.pntd.0004414

16.2.25

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酸化チタンでできた

 ナノサイズの棒状構造の化合物であるナノロッド、棒状でも強情かはわからない。これが水から酸素と水素を発生させる反応を触媒している。その効率をさらに向上させるために触媒表面のどの部分が、電子が引き起す還元反応に、また正孔がもたらす酸化反応に、関与しているホットスポットかを明らかにしたかった。そこで研究者らはイメージング技術を応用した[1]。すなわち蛍光発光しない有機化合物を埋め込んだ水分解セルを使って反応を行うと、酸化、還元いずれの反応でも、先の有機化合物が蛍光発光化合物に変換された。分子が光ることで直ちにナノロッドのどの部位が反応に関与しているかが明らかにされ、触媒活性のマップがつくられる。ついで顕微鏡技術を使って、ナノロッドのホットスポットに、少量の酸素発生を触媒するコバルトホウ酸塩を加えると、触媒活性が向上した。今回の「半導体で光によって発生した電子と正孔の行方をナノメートルスケールで追跡するための蛍光リポーター分子技術は、飛躍的な進歩である」と評されている。蛍光分子つくるお稽古も大切です。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 February 8, p. 8.

DOI: 10.1038/nature16534

16.2.24

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医師はしばしば

 張りや別の通常の痛みを処置するために、骨格筋にマッサージ療法を処方する。今回国際共同研究チームは、埋め込み可能な磁場ヒドロゲルを開発し、これがセラピストに代わる手になり得ることを報告した[1]。研究者らはまずペプチドで修飾したアルギニンを使って生体適合性のあるヒドロゲルを開発した。ついでゲルに酸化鉄を入れ込んだ。これで磁場によって材料が伸びたり縮んだりする。これを損傷を受けたネズミの筋肉に埋め込み、磁石で傷のマッサージを行った。まっさかネズミが受けるとはだけど、これが数週間12時間ごとに5分間続けられた。その結果、処置を行っていない筋肉と比べると、ヒドロゲルマッサージを受けた筋肉は、より大きな繊維が再生し、より強い縮む力を維持することができていた。理想的には、外付けのデバイスを開発し、同様の効果的な治療を施したいとしている。それでも埋め込み可能なヒドロゲルは、より深い位置での損傷の処置に利用可能である。磁場によるヒドロゲルの動き、地場産業として広げることもできるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 February 1, p. 29.

DOI: 10.1073/pnas.1517517113

16.2.23

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「自分に不足しているものは」

 基礎学力、献身性、実験技術、力強い論文を書く力」ではないかと自分を見つめる。米国ではresearch proposalという枠がある。わくわくできればよいけど、テーマを提案すれども「それはしょうもないなあ」とのこと。再び提案するけど同様な指摘というループを繰返した。そこで「つまらないテーマはしないほうがよい」「遊んでいたほうがマシ」ではないかと感じた。研究室のスタッフになった。リーダーの言葉:「お祭り広場にいることはありません。オリジナリティのある研究をしてください」そこで「何か新しいことをしてみよう」と始めた。ラジカルが一酸化炭素をキャッチしてアルデヒドになる。遷移金属触媒を使ったカルボニル化は多い。でもハロゲン化アルキルではβ脱離が優先してしまう。独自な反応系だった。でも審査員の指摘:「アルデヒド合成だったらアルコールを酸化すればよいじゃん」いや、リソースが違う、反応様式・条件が新しいという内容を主張した。これが体系の始まりになって書籍にもなっている。来週はない、最終講義。ありがとうございました。

16.2.22

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キラルアルコールやアミンを

 ケトンやイミンのエナンチオ選択的な水素化でつくることは、化学者にとっては容易いことである。ただし安いことではない点は、これらの反応ではRu, Ir, Rh触媒という高価で毒性のある金属を使わないといけない点であり、工業的な応用では魅力に欠けてしまう。多くの製薬製品、農薬製品、香味料や香料は、立体中心がα位にあるアルコールあるいはアミンで特徴付けされているため、安価で毒性のない鉄触媒で同じ反応が開発されてきた。ただしこれまでの反応では、高価な金属ほどの収率と選択性を実現できた例はなかった。その中今回、二つの鉄触媒が、極性を有する二重結合を水素化し、キラルアルコールとアミンを最高収率99.7%99.4%eeで製造できることが報告された[1]。使われた触媒はFe(II)のカチオン錯体で、配位子は、窒素原子とリン原子が二つずつと10個の炭素原子からなる大環状化合物だった。この結果は、貴金属触媒反応を、収率と選択性を犠牲にせずに、鉄触媒に置換えることが可能であることを示している。Feカチオン錯体がイチオンシ錯体になるかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 February 1, p. 29.

DOI: 10.1021/acs.oprd.5b00391

16.2.21

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月の誕生について

 広く理解されている過程は、数十億年前に、テイアと呼ばれる巨大な惑星体が、えいやっと、発生期の地球と衝突し、破片になってそれが惑星の衛星になった、とされている。科学者は、この衝突については確かであるとしているものの、詳細については未だに議論がある。たとえば「月はテイアからの破片のみか、二つの惑星からの破片でできているのか」である。これを明らかにするために、月と地球の岩のサンプルの同位体比が調べられた[1]。テイアと地球はおそらく、異なる同位体比であり、それがすべての惑星を特徴づけている。新しい研究結果は、月と地球では区別できない酸素の同位体比であることを示していた。これは衝突の間、二つの惑星の間で、水と岩とがかなり混合したため、地球の平均的な酸素の同位体比が月の破片でも反映されているとのことである。それでも地球とテイアの出会いが月の始まりには変わりはない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 February 1, p. 28.

DOI: 10.1126/science.aad0525

なおギリシャ神話では、テイアはセレネ(月)の母で、セレネとテラでselenium and telluriumICCST-6で初登場のロゴがICCST-13 http://www1.gifu-u.ac.jp/~iccst/ )でも使われている。割引参加登録は325日までです。

16.2.20

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細胞の奥深くまで

 光は浸透することができないため、光をもとにした治療、たとえば医薬品を活性化することが難しい。そこで研究者らは、高分子状の導波管を開発し、これによって光を細胞の奥深くに到達させ、生分解する方法を確立した[1]。ここではポリ(L)乳酸が使われ、クシの形をした複数の導波管を有する平面素子がつくられた。ついで研究者らは、豚の肌、豚はぴっぐりしたにちがいないけど、に傷を入れて、ローズベンガル染料を適用し、素子を傷口に入れ、光学ファイバーを通して、レーザー光を光らせ、素子に入れた。染料によって発生した反応種は、細胞内のコラーゲンの交差連結を引き起した。導波管がない時には、光は細胞表面のみの染料を活性化したが、それがある場合には、染料は素子全体に沿って活性化された。照射の後は、生体に吸収される素子の端を切り離し、細胞に埋め込まれた残りはそこに残った。同様の素子を使えば、光化学療法や光学遺伝学のような光をもとにした治療も改良できる可能性もある。ちなみに導波管の性能は、どうはかんのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 February 1, p. 28.

DOI: 10.1038/ncomms10374

16.2.19

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超重元素の

 結合の特性を相対論効果が変えるという仮説が、何十年も以前から言われている。この効果は、こうかなと見せることはできないけれども、原子の原子核の電荷がかなり大きくなって、電子が高速に近い速度で軌道を回るようになると現れる。今回新しい理論研究の結果から「超重VI族元素でできた二原子分子は、より軽い同族の分子よりも、より低い結合次数である」という詳細が加えられた[1]。たとえばCr2Mo2, W2のような二原子分子は、六重結合を誇示するけれども、今回のモデルは、超重分子Sg2は六重を固辞し、四重結合にとどまるとしている。さらに研究結果は、VII属の超重二原子分子でも、同様の結合次数の減少が提唱されている。超重元素の寿命がせいぜい秒のオーダーなので、今日の技術ではテストすることが出来ない分、同定は挑戦的な課題である。この結果は、非相対論的なドメインにおける周期性が相対論効果によって変化した珍しい例である。ちなみに超重元素の二原子分子、どこにも逃げんしとはいかない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 February 1, p. 28.

DOI: 10.1021/jacs.5b11793

16.2.18

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走査トンネル顕微鏡プローブからの

 電圧パルスを使って、9,10-ジブロモアントラセンの一方のC-Br結合を切断してモノラジカルを導く[1]。ついでもう一方のC-Br結合を切断しジラジカル中間体とする。この反応が進行している表面がラジカルを安定化し、その様子の原子間顕微鏡観察(AFM)を可能にした。そこにさらに電圧パルスをかけてジラジカルが双環性ジインに変換された。全体の反応過程は、勝手に言わしてもらうと、開環レトロBergman反応で、Bergman機構には正確には含まれないモノラジカル生成段階を含む。研究者はさらに、ジインにじい〜んと衝撃を加えて、ジラジカルを再形成させることで逆反応の様子も観測した。ちなみに以前のAFMを使ったエンジインの環化反応の観察では、分子を熱することで反応を生起させていた。今回は別の手法であること、また反応の双方向を観察できたことは革新的であり、これによって単分子反応の開始とまさにその分子の結合変化を見ることが可能になった。単分子を扱う散文でした。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 February 1, p. 7.

DOI: 10.1038/nchem.2438

16.2.17

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カメレオンは

 自然界の変装の名動物である。肌にあるグアニンナノクリスタルの間の空間を変化させることで外界の色で、肌をぶれることなくブレンドする。このトリックによって、肌が吸収あるいは反射する光の波長を変化させている。このカメレオンの賢い隠れ技に刺激を受けた技術者は、人工カモフラージュ系を開発した[1]。そこではナノ粒子の光の反射と吸収特性を利用している。研究者らは金のナノドームの配列をおよそ50 nmの幅で、銀イオンを含むゲル電解質で満たされたセルに入れ込んだ。電気メッキあるいは、銀を金ナノドームの表面からはがすことで、ナノ粒子のプラズモン特性を変化させ、それによって、セルの色も変化する。これによってナノドームを基本とするセルでできた薄片で覆われた人工カメレオンがつくられた。薄片はカメラに取り付けられて、色を分析し、適切な電圧を送り、色が生じ、それが背景の色とほぼ同じで隠れることになる。現段階ではこのカメレオン、赤、緑、青にしか変化しないけれども、今後さらに洗練された色センサー系と組合せたいとのことである。カメレオン、カメラで切り取ってもかめへんおん。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 25, p. 27.

DOI:10.1021/acsnano.5b07472

16.2.16

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研究室での生活は

 楽しくてゲームのようである」とはいかない。使ったNMRチューブの洗浄も手間である。指南を受けなくても使える市販クリーナーもあるけど、高価で一回に数本しか洗浄できない。この問題を解決するためにある研究者は、一回に数ダースのNMRチューブを洗浄する方法を工夫した[1]。まずNMRチューブを空にして、逆さまにして溶媒あるいは洗浄液の入ったビーカーに入れる。これを真空デシケーターに入れる。そこで減圧と常圧に戻すことを数回繰返す。それによって液はチューブの上に登ったり落ちたりを繰返してきれいになる。仕上げはアセトンで洗って完了である。これを発案した研究者は、研究費が不足していたときに、時間、薬品、人手を最適に活用しなくてはいけなかったので、思いついたとのこと。この論文に対するTwitterでの反響、中には「NMRチューブ、企業では使い捨て」「研究室の廃液が増えるなあ」というのもあったけど、概ね良好だった。You Tubeにもアップしてほしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 25, p. 27.

DOI: 10.1021/acs.oprd.6b00001

16.2.15

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ハロゲン化アリールの

 難燃剤、難儀やねんと、近年やり玉に挙げられている。その健康被害や環境負荷のためである。一方でグラフェンが高分子の難燃添加物として効果的であることから今回、主に炭素同素体だけで難燃剤をつくることができないか検討された[1]。その結果研究者らは、グラフェン、酸化リン、窒化リンナノ粒子からできた超軽量な発泡体の調製に成功した。まずグラフェン化物溶液とヘキサクロロシクロトリポスファゼンを混ぜる。ついでこのブレンドを凍結乾燥によって発泡体に変換する。この方法は単純でスケールアップも可能であり環境調和型である。ついでそれを炎にさらすとグラフェン酸化物がグラフェンになり、塩素も脱離する。得られた発泡体は、難燃性の高分子、金属酸化物や金属水酸化物よりも、高いパフォーマンスを示した。加えて、その泡は、慌てることなく、軽量で超音波吸収できることから、商用あるいは軍事用の航空機のレーダー遮蔽材料としても有望である。この難燃材料、何年か先には医療でも使われるかも。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 25, p. 26.

DOI: 10.1021/acsnano.5b06710

16.2.14

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超分子構造である

 カテナン、ロータキサン、分子ひも、分子Borromean環は、織り合わさった二次元あるいは三次元の部位を有している。今回研究者らは、一次元の糸が織り合わさった最初の構造を設計し合成した。得られたものは結晶の共有結合性有機構造体を形成している[1]。まず二つの有機置換基が織り合わさった反転したU配向しているCu(I)ビスフェナントロリン錯体が合成された。ついでベンジジンを有機基の末端に付加させ、イミン結合を形成することでベンジジンを連結させ、自陣の陣形を整えることで、COF-505と呼ばれる織った材料が導かれた。銅イオンは除去することと再び組込むことが可逆で進行させることができる。糸は銅がない状態では運動しやすいため、脱金属化材料の弾力性は10倍ほど増加している。そのためこの材料は、制御できる程度の柔軟性を持つ薄膜や電子デバイスを調製しうる。しかも固体状態で織り込まれた最初の有機の糸であることから、予期せぬ特性を有する未開拓材料を導くことも可能である。織った材料に、おったまげましたか?

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 25, p. 26.

DOI: 10.1126/science.aad4011

16.2.13

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イリジウムやロジウムのような

 高価な金属触媒はC-Hボリル化反応を促進するのに広く利用されている。その反応ではボロン酸が水素に替わって組込まれる。アリールボロン酸生成物は、クロスカップリングや他の反応でも利用されC-H結合の官能基化を完結できる有用な中間体である。アリール環の炭素をピナコールボロンで官能基化することも広く知られている一方で、トルエンのような分子のベンジル位に同じ置換基を組込む例はあまり知られていない。その中、反応を知り尽くしたP. J. Chirik先生らは、ボロン酸部位一つをトルエンのメチル基に組込む反応に加えて、反応物の量比、触媒量、反応時間に依存して、二つ、三つ組込む反応を開発した[1]。加えてこれらのアプローチは、これまでは達成されていなかった枝分かれアルキルアレーンでも進行した。この成功は、新しいα-ジイミンコバルトジアルキルとビスカルボキシラート触媒によって可能になった。地味〜にコバルトも頑張ることができます。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 25, p. 26.

DOI: 10.1021/jacs.5b12249

16.2.12

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3Dプリンターの

 価格が下がり、オフィス、学校や家庭でも使われる機会が多くなっている。それにつれてプリンターが設置されている空間で、粒子やガスの放出にさらされる状況を抑えることを考えるべきである、という指摘がなされた[1]。研究者らは、五種類の市販のデスクトップ型3Dプリンター、これらからは高分子が超微粒子として放出されるけど、それを使ってみた。その超微粒子の直径は100 nm以下であり、カプロラクタムやスチレンを含む揮発性の有機化合物である。研究者らはプリンターを使って、九種類の高分子フィラメント出発材料から、面倒がらずに、標準の部品をつくった。その間の放出はプリンターの種類よりもむしろ、材料のタイプによって、より大きく変化した。45 m3空調の効いたオフィスでの放出をモデルとした結果、研究者らはカプロラクタムやスチレンが健康に害を及ぼす濃度に達する可能性があることを予測している。プリンターもプリン体も、過ぎたるに注意すべし。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 25, p. 26.

DOI:10.1021/acs.est.5b04983

16.2.11

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澤君

 高校時代「絶対にケアレスミスをしない男」と評された。ある授業では同じ先生に学んだ。それから40年たった先月16NHKが報じる訃報に唖然とした。その澤君が数年前に解説した番組のシーンが数秒流れた[1]。その瞬間、思わず涙があふれた。衝撃。柔らかで包み込む様な大阪弁。官庁でエネルギー問題を担当してその後独立した。エネルギーは、安定供給・価格・今では環境が鍵で、リスク分散も重要課題であると解説する[2]。昨年9月癌を告知された。死期は遠くはない。でも士気を衰えさすことなく伝えたいことがある。短い間にするべきこと。すべての講演を仕事のパートナーに託すことにした。奥様とプリンストンにもう一度行きたい、という思い。少し長く生きるけれども副作用の多い薬の使用を限定した。プリストン旅行を実現できた。衰弱する様子、ほほがやせこける。死期がせまる中の原稿の完成。「ほんとうにありがとう」という編集者への言葉。この穏やかな大阪弁が我が身を刺激する。その二日後にこの世を去った。でも「なんでそんなに早うに死んでもうたん」無念や。

[1]「クローズアップ現代」2016.2.9放送

[2] 澤 昭裕著「精神論ぬきの電力入門」(新潮新書)(2012).

16.2.10

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フルクトースから

 フランジカルボン酸メチルエステル(FDME)をつくるプロセスを、デュポンとアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社(ADM)が公表した。これら二つの会社はさらに、1,3-プロパンジオールと反応させて、新しいバイオをもとにした包装用高分子(PTF)をつくる計画である。FDMEはフランジカルボン酸(FDCA)のメチルエステルだけども、これが化成品材料として高いポテンシャルを有している。オランダ企業であるアバンティウムは、FDCAを原材料として、ポリエチレンフラノエート(PEF)を製造し、従来のPETの代替品として謳っている。一方デュポンは、PEFよりも性能のよいガスバリア性を示す材料をPTFで提供しようとしている。飲料用ボトルの包装材料に加えて、繊維やエンジニアプラスチックにおける新しい高分子としての可能性も視野に入れられている。デュポンとADMは年間60トンを製造することを計画し、アバンティウムはコカコーラやダノンと共同でPEFを開発している。どちらにしてもPETの代替とするには、大体のリサイクル方法も描く必要がある。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 25, p. 6.

16.2.9

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より魅惑的な

 炭化水素の一つが、ほとんどがSP2混成炭素で出来上がった分子である。その一つがデンドラレンである。ブタジエンの2,3位でつなげると、直鎖と交差の共役が交錯する。これまで[3]デンドラレンから[8]デンドラレン、それぞれC=C3個から8個連結している化合物は報告されていた。それに対してここではさらに[9]から[12]デンドラレンが、伝統的分子群に加わった[1]。決して簡単ではないデンドラレン合成、アイデアも取られんようにしなくてはいけない。研究者らはPd触媒のクロスカップリング反応を用いて、様々なポリエン部品をつなげた。得られた一連の化合物のスペクトルの解明と計算化学による研究によって、より小さなバージョンの反応性や特性がC=Cの数が奇数と偶数とで異なるのは、配座の違いであったけれども、より長い場合には、この違いは小さくなっていた。またデンドラレンはDiels-Alder反応で複数のジエノファイルと反応し、複雑な環状分子を与えた。これらの反応は、天然物の迅速構築や、特異な電子的性質を有する化合物合成のお手軽な方法にもなり得る。デンドラレンの伝道師も登壇するに違いない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 18, p. 28.

DOI: 10.1021/jacs.5b11889

16.2.8

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八卦見

 らしき人物,親とはぐれた坊やを連れてきた[1]。同居人に世話を頼むも断られて、前で金物屋を営む女性に託す。「私しゃあ、子供嫌いなんだよ」と言いながらその日は預かる。寝小便をしてしまった。干してある布団を団扇であおぐ坊や。幸い内輪もめはここにはない。いつまでも家で預かるわけにもいかず、住んでいたという場所を二人で訪ねた。しばらく前までは住んでいたけど、そこへは戻って来ないと言う。海岸沿いでおにぎりを食べる二人、困った金物屋。「貝殻を拾って来てちょうだい、お土産にするから」と坊やを走らせる。その間に一人で逃げた。が貝殻を拾った坊やも走って来た。じゃんけんはしないけど邪険にする。でも少し後からついて来た。やむなく再び家に戻って預かることにした。大胆な寝小便、それでも少しずつ言葉を発するようになってきた坊や。なじみ始めたおばちゃん。そのとき来客あり。「坊や見ておいで」お父ちゃんだった。はぐれてしまった経緯、ここを教えてもらって来たこと、数日間世話になったお礼にと芋を差し出す。いいもんである。お父ちゃんと坊やは去っていった。よかったじゃないかとご近所さんは言うも、金物屋のおばちゃんには情が芽生え始めていた。

[1]小津安二郎監督「長屋紳士録」(1947)

16.2.7

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ビタミンB-2として

 知られている(-)リボフラビンは、健康増進と同様に反応の健康状態も改善できる。すなわちそれは有用な光触媒として共役アルケンの不可逆なE体からZ体への異性化を実現できる。この威勢のいい異性化反応を報告していたドイツミュンスター大学の研究者らは今回、別のタイプの反応もリボフラビンが触媒することも報告した[1]。一般に有機合成化学では、反応条件を変えることなく、連続的に反応を進行させることで複雑な分子を構築できる系は力強い道具になり得る。ここでは単一の光触媒であるリボフラビンが、異性化反応と閉環反応を触媒しC-O結合が形成されている。たとえばリボフラビン存在下、可視光照射条件で、エネルギー移動過程を経て、(E)-桂皮酸を異性化させる。同じフラスコの中、発生したZ体が一電子移動過程を経て、医薬品として重要なクマリン誘導体に変換されている。この桂皮酸からの連続反応の経費、きっと安価だよね。あんたわかりますか?

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 18, p. 27.

DOI: 10.1021/jacs.5b12081

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Anellotech(アネロテック社)

 食料品ではないバイオマスから、競争力のある価格で供給できる再生可能な化成品にフォーカスする持続可能を実現する会社である。今回のバイオマスは、芳香族化合物でおます。日本の飲料メーカーであるサントリーとパートナーシップを結び、すべてがバイオをもとにしたポリエチレンテレフタレート(PET)容器を立ち上げたいとしている[1]。このために、アネロテック社が供給するp-キシレンを使うことが計画されており、これでPETの原材料品である純度の高いテレフタル酸を製造する。すでにいくつかのPETボトルでは、バイオ由来のエチレングリコールが使われている。サントリーはアネロテック社に15百万ドルの資金提供を行っている。両者は、アネロテック社が現在ニューヨーク州Pearl Riverに建設中のパイロットプラントでこのテクノロジーの実証をしたいとしている。サントリーが提供する三通り以上の飲料(伊右衛門、天然水、ジムビーム、響、クルボアジュ、プレミアムモルツなど)が写真に収まっていた。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 18, p. 17.

16.2.5

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金属イオンを含む

 タンパク質の結晶構造を決定する際に、X線が金属周りに損傷を与え、分子の構造が変化してしまう。この照射による損傷について、詳細な計算が行われた[1] [Mg(H2O)6]2+クラスターをモデルとしたところ、X線の吸収によって金属から電子が飛び出し、Mg4+が形成、その後二種類の緩和過程によってMg2+にもどる。その過程の一つが原子間クーロン減衰(ICD)で、もう一つは電子移動が媒介する減衰(ETMD)である。ICDでは金属が電荷を変えることなく過剰のエネルギーが近接する水分子に移動する。一方でETMDでは、近接する水分子が電子を金属に移動させ、金属は過剰のエネルギーを配位子や別の水分子に移動させる。どちらの過程も一つあるいはそれ以上の水分子がイオン化しラジカルになり、それが別の分子を攻撃しうる。ICD1フェムト秒、ETMD20ヘムト秒である。これを避けるために実験的には自由電子レーザーが使われているけれども、今回の計算結果は、それでも分子の崩壊が起こってしまう可能性を指摘している。ICD緩和過程が特にいかんわ。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 18, p. 8.

DOI:10.1038/nchem.2429

16.2.4

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慢性閉塞性肺疾患(COPD)の

 患者さんは息をするのに苦労するため、気管支拡張剤を服用される。ただしこれはCOPDの症状を和らげるだけで、この進行性の疾患を引き起す経路そのものを塞ぐものではない。その中COPDの可能性のある機構が報告された[1].喫煙が最も高いリスク因子だけど、遺伝的要因も同定された。その一つが鉄に応答するタンパク質(IRPs)である。研究者らはネズミに六ヶ月間一日当たり二時間、タバコの煙で満たされた部屋で過ごしてもらった。その結果通常のネズミはCOPDのような疾患を発症したものの、IRPs遺伝子がないネズミは発症しなかったことが実証された。研究者らはCOPDネズミのミトコンドリアを見ることにした。その結果、細胞小器官が機能障害を起こしダメージを受けていた。特に細胞質の鉄の量が増加していた。そこで通常のネズミにFDAが承認する鉄にキレートする薬を与えたところ、タバコの煙にさらされても発症しなかった。また既に発症している動物に同じ薬を投与したところ、症状が改善されてミトコンドリアの鉄のレベルも低下していた。煙の中で無理したねずみ、棲家にもどったかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 18, p. 8.

DOI: 10.1038/nm.4021

16.2.3

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産学の共同研究で

 二種類の反応が開発され、これによって医薬品候補を大量に提供できることが可能になる[1]。一つ目、従来はIr触媒を使っていた、芳香環に組込まれた水素を三重水素に置換える反応が鉄触媒で達成された[2]。とりわけ触媒が基質や溶媒へ広く適合出来る点魅力的である。一方で研究者らは、鉄触媒の安定性の向上と取扱いをより簡単にするための方法を思案し、市販していきたいとしている。二つ目はひずみエネルギーの解消を利用した甲斐性あるアミノ化反応である[3]。プロペラのようなビシクロ[1.1.1]ペンタン、シクロブタンやアゼチジンが組込まれた化合物は、代謝安定性が向上するなど有用であるものの、その導入が難しかった。その中、ひずみによってバネのようになったC-CあるいはC-N結合の開裂が利用されている。反応は様々な官能基を許容し、合成の後段階でも実行可能である。この方法によって見捨てられていた可能性のある臨床応用できる候補を提供することも達成している。共同研究の強度がちょうどよかった成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 January 18, p. 5.

[2] DOI: 10.1038/nature16464

[3] DOI: 10.1126/science.aad6252

16.2.2

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前半が終わって

 床についた。朝刊には「後半に三得点でアジアの頂点になった」との記事。見れば午後にBSで試合の放映あり。「ほうえいねえ」と観戦。韓国チームのプレッシャーが凄い。結果を知っていてもハラハラドキドキの展開。韓国チームのコーナーキック。ここな〜決めないかんとのキック。それに合わしたヘディング、ゴールポストの上に落ちた。展開は瞬時に変わる。競争になる両チームの選手。その中、浅野選手のシュートが決まった。それでも1点ビハインド。喜ぶ間もなく次の展開に移行。どんどん行こう。韓国チームのゴール近くまでボールが運ばれた。ボールに合せた矢島選手のヘディングが決まった。よもやの同点劇。俄然盛り上がるも日本ゴールに迫る韓国の選手。ほとんど紙一重の展開。再び瞬間で攻守が交代。ボールを追った両チームの選手が一人ずつ。浅野選手がそこにいた。ゴールキーパーが前に出る。身体を回す。ゴールポスト右端にボールが収まった。まったく凄い試合だった。

16.2.1

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