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2016年4月

彗星の氷で観測される

 メタノール、水、アンモニアを彗星の氷の温度条件下紫外線照射すると、様々な有機分子ができる。これらの分子の一つが五炭素糖鎖であるリボースである。これはリボ核酸の骨格であり、地球上の生命によって利用された自己複製できる遺伝材料の最初の例である[1]。この星間の氷の実験室モデルが、実際の宇宙でも起こっていれば、地球上の生命を誕生させた有機材料は、一連の彗星の崩壊によってもたらされたものであることを支持する結果である。もしリボースのような糖鎖が星間の氷条件下で合成できれば、これらのタイプの化合物は、彗星や隕石のボース(both)で、普通に生産されていた可能性もある。探査機Rosettaが示す予備的なデータは、彗星67Pにはアセトン、プロパナール、アセトアミドを含む複雑な有機分子があることを示していた。ただしたとえリボースがあっても、RNAの形成は熱力学的に不利な反応であるため、核酸塩基とリボースのカップリングの過程を含めて、謎は残ったままである。彗星で威勢のいい反応が起こっている様子である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 11, p. 6.

DOI: 10.1126/science.aad8137

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車いすを

 杖代わりに歩き出す。100 mも行かないうちに膝が痛いと言う。「痛いのは生きてる証拠や」と性懲りもなく繰返す。それでも車いすに座ってもらって、公園の辺りを散策。この時期の花が一斉に咲き始めた。平戸ツツジが満開、基本は赤でピンクに白が混ざった花、それに白色、「珍しいなあ」と目を細める。マーガレットにユキヤナギ、藤棚から紫の花が垂れている。ささやかなしばらくの間の華やかさ。その横には開業医が並ぶ。本日休業。かつては世話になった整形外科、今は行かない。でも膝は痛い。紫色の六編の花が見えた。あるお家の入口、それが育って門の上まで花をつける。「テッセン」だという。「どんな字を書くんや」「鉄に人偏に山と違うか」自分の子供や孫の人数もままならない一方でクリアな答えをもらった。Webでチェックした。蔓性の花、陽気な季節に咲き始める。諸説はあるものの花言葉は「精神美」次の散策のとき、この花が咲いていたら同じ会話を繰返すだろう、しかも最高の鮮度で。「今度は車いすでは来るまい」と願った。

16.4.29

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イタコン酸と

 そのエステルは、エネルギー省によれば、トップ12に入るバイオマスから誘導できる化合物で、大量の原油由来の化学原料の代替物であると指定されている。これらは、高分子、潤滑油、プラスチックをつくる豊富な部品であり、このリストを作成した目的は、化学者や化学工学に携わる人が、これらを大量のスケールで経済的に効果的に生産する方法を開発することを促すことである。イイダコには多分ない、イタコン酸は、アクリル酸、無水マレイン酸、アセトンシアノヒドリンの代替になり得る。その中今回研究者らは、ハフニウムゼオライトが効率的に、糖鎖から誘導したピルビン酸エチルの自己アルドール縮合反応、続く加水分解で、イタコン酸エステル類縁体を導くことができることを報告した[1]。研究者らの化学分析によれば、ゼオライトに独自の二面的な機能性が付与されているとのことである。ハフニウム中心がルイス酸としてアルドール縮合を触媒し、ブレステッド酸であるシラノールが加水分解を触媒している。ゼオライトにライトがあたっている。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 11, p. 9.

DOI: 10.1021/acscatal.6b00561

16.4.28

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既知の化学の

 いくつかの組合せで、発見が難しい、末端オレフィンの触媒的な隣接ジフルオロ化反応が開発された[1]。研究者らは、医薬品、農業用化成品、電子材料で使われる有機分子の構造と機能を調節するために、フッ素原子を使った無数の戦略を考案している。ただしそこには未だにギャプがあってジャンプも必要である。たとえば、不活性オレフィンの触媒的直接ジハロゲン化は、塩素や臭素では開発されているもののフッ素では未開拓だった。これは、モノフッ素化や同じ炭素上で起こるジフルオロ化を引き起さず、隣接ジフルオロ化を達成できる適切な触媒がない点であると考えられた。そこで研究者らはp-ヨードトルエンを触媒に、アミン・HF反応剤をフッ素源とし、Selectfluorを酸化剤として用い、系中で超原子価ジフルオロ化剤を発生させた。触媒は空気中室温で隣接フッ素化を進行させ、アルコールやトシレートがあっても反応を阻害しない。また不斉隣接ジフロオロ化の予備的結果も公表し、未開拓なエナンチオ選択的なオレフィンのジハロゲン化の可能性も示されている。不っ足していたジフッ素化が提供された。

[1] Chemical & Engineering News, 2016, April 11, p. 8.

DOI: 10.1021/jacs.6b01183

16.4.27

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6000以上の炭素が

 一列に連結した物質で、長さがミクロメーターにも及ぶものが報告された[1]。ただしミクロメーターでも微細構造が見えた〜りはしない、たぶん。これまでの記録は100炭素原子程度であった。また今回の物質がカルビンを彷彿させた。理論的には、カルビンは無限の炭素のつながりで、単結合と三重結合が交互に連結し、他の炭素の多次元同素体であるグラフェン、ナノチューブ、ダイアモンドより強くて剛性もある。ただし実際の直鎖の炭素鎖は、交差連結を直ちに起こす傾向がある。このカルビンとして同定された物質の不安定性と繰返し構造によって、カルビンが登場するごとに熱い議論が巻き起こる。その中今回の研究成果を、研究者らは「長い直鎖の炭素鎖」と呼びカルビンとしては言及していない。また不安定の課題は、鎖を保護したカーボンナノチューブの中で成長させることによって乗り越えている。二重になった壁は、内側のものの直径が高真空中では0.7 nmで、直鎖の炭素鎖を支えている。チューブの中で宙ぶらりんになっているのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 11, p. 4.

DOI:10.1038/nmat4617

16.4.26

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原子移動ラジカル重合反応

 ATRPは高分子合成ではよく利用される手法の一つである。反応は触媒を使って、ハロゲン化アルキル開始剤からラジカルを可逆的に発生させる。このラジカルがスチレンやメタクリル酸メチルのようなモノマーの二重結合と反応し、ついで他のモノマーが、ものまねをするが如く、連鎖反応が、原料が消失するまで続く。ATRPは高分子の長さの成長を正確に制御できる一方で、金属触媒が通常用いられてそれを除去することが困難である。その結果、折角つくった合成高分子が生体医療やエレクトロニクスの応用では使えない。それに対して近年、有機触媒を使ったATRPの開発が行われている。ただし紫外線を必要とし、これもある種の高分子をつくるには適さない。その中今回可視光を使った賢いATRPが報告された[1]。可視光であるが故に、太陽光でも反応が進行し、UVランプが不要になった。計算化学との組合せで、ジアリールジヒドロフェナジン触媒が開発された。フェナジンが反応になじんでいる。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 4, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aaf393 5

16.4.25

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MRIは

 医療用診断の基盤技術であり、化学者は、新しいタイプのMRI造影剤の開発を続けている。その最近の例が、金属イオンが組込まれた常磁性フッ素化ナノエマルジョンである[1]。研究者らはまず金属にバインドしたフッ素化化合物を、β—ジケトン基をパーフルオロポリエーテル前駆体の端に導入することで作成した。ついでこのフッ素化オイルを、市販の界面活性剤を入荷し、乳化させた。次に様々な遷移金属あるいはランタニド金属を加え、これらにジケトナート基が配位する。研究者らが驚いたことに、通常の1H NMRでは最もよい造影剤であるGd(III)を抑えて、Fe(III)が最も高いMRI感度を示した。この新しいナノエマルジョンは、健康回復に効果的な幹細胞や免疫細胞をラベルし、19F MRIで、これらを患者さんに移植した際の動きを追跡することに利用できる。すでにネズミではデモ実験が行われた。「ナノエマルジョンに鉄がうまくおさまるじょん」である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 4, p. 9.

DOI:10.1038/nmat4585

16.4.24

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コーヒーを少し

 こぼしてできる液滴が乾くと、端に特徴的な輪ができる。それはコーヒー溶液の中の水の蒸発の仕方による。水は、中心より端のほうがより速く消えるものの、液は外側に向かって流れ、ふたたび端のほうにたまって、浮かんだ粒子がそれに伴って移動する。これに対して、ウイスキー、We好き〜だけど、より均一な蒸発のパターンになる。これはウイスキーには、アルコールやリン脂質のような天然の界面活性剤、リグニンやポリサッカリドのような高分子が含まれているためである[1]。研究者らは、ある写真家が提供した乾いたウイスキーのイメージに触発されて、蛍光マーカーを使って、流体の動きを追跡、液体の蒸発の機構を解明した。それによればアルコールの素早い蒸発は、混沌とした流れを引き起こし、十分に混ざった状態が維持される。一方で高分子は、表面をコーティングし、粒子が比較的均一なパターンをつくるような状況をもたらす。この成果は、より均一なコーティングを調製するための方法のための新しいヒントを与えている。液滴から素敵な成果が生まれた。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 4, p. 8.

DO I:10.1103/physrevlett.116.124501

16.4.23

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デンドリマーにも

 歴史とドラマがある。今回のそれは、フェニレンコアにトリフェニルプロピニル基が結合している[1]。さらに六つのフェニル環に、別のトリフェニルプロピニル基が組込まれている。その結果、分子は三つのタイプのフェニル環を持つことになる。コア部位のフェニル環一つ、六つの枝になったフェニル環、さらにデンドリマー末端のフェニル基18個である。X線、NMR、分子動力学のデータは、化合物の結晶は、ゆるやかに詰まっていること、脂肪族の骨格は固定されているものの、三種類のフェニル環それぞれがお互い独立して回転している可能性がある。ただしフェニル環のある特別な組合せの中では、動きが連動している可能性もある。たとえば末端の三つのフェニル環では、一つが回転すると他の二つは振動する場合や、三つの環すべてがシンクロし、苦労せずに、回転することもあり得る。この分子は分子機械として利用しうるものである。UCLAの勇士が結集した成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 4, p. 8.

DOI: 10.1021/jacs.6b01398

16.4.22

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シトシンは

 DNA中のあちらこちらでメチル化を受ける。このシトシンに誰も嫉妬しんけれども、これによって遺伝子が鎮静化し、固有の細胞は適切なDNAにしか転写しない。この安全戦略によって、たとえば脾臓細胞からまつ毛細胞が生じることはない。同様のアデニン塩基のメチル化については、単細胞有機体で観測されていた。また2015年までには、藻、植物、蚊、ミバエ、ミミズのような多細胞有機体で観測されていたものの、ほ乳類での可能性については明らかではなかった。その中今回、成人とネズミの細胞でそれが観測された[1]。ただしメチル化アデニンは、はでに生じるものではなくて、ネズミの幹細胞では、アデニン塩基のうち6-7ppm個がメチル化を受けるだけで、これはシトシンメチル化の数十倍のオーダーで珍しいことである。ただしメチル化シトシンと同様、メチル化アデニンもネズミの幹細胞で遺伝子を鎮静化させている。ただしミミズやハエでは、アデニンメチル化が近傍の遺伝子を活性化するのに関係しているのとは対照的で、さらに今後の研究が必要である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 4, p. 6.

DOI: 10.1038/nature17640

16.4.21

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アンチPD1として

 知られる抗体医薬のナノ粒子処方は、通常の静脈注射による処方と比較して、より効果的にネズミの黒色腫を抑制できることが報告された[1]。アンチPD1は黒色腫が拡大するのを抑制することができる。黒色腫細胞は、プログラム化された細胞死タンパク質1(PD1)に、T細胞の表面で、インドでなくても、バインドし、短絡的免疫応答を引き起す。もしアンチPD1PD1に最初にバインドするとこのガンの防衛システムは無力化する。ただしアンチPD1は健康な細胞への攻撃も刺激し、タイプ1糖尿病を含む自己免疫疾患を引き起してしまう。そこで研究者らは極微針を黒色腫に影響を受けた細胞組織の治療のために利用した。ナノ粒子の中では、アンチPD1は修飾したデキストランのマトリックスの中に包みこまれており、マトリックス中には、グルコースオキシダーゼ酵素も含まれる。これが血液のグルコースをグルコン酸に変化させ、生じた酸が修飾したデキストラン粒子を壊し、マトリックスができとらんことになって、抗PD1を数日に渡って継続的に放出することになる。アンチPD1、あんちゃんにも聞いてみてください。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 4, p. 5.

DOI: 10.1021/acs.nanolett.5b05030

16.4.20

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水の水素結合ネットワークは

 イオンの溶解や、極性化学、タンパク質の折りたたみのような、わかっている過程を含めて、様々な点で重要な役割を担っている。そこでこのネットワークがどのように変動するかを理解することは、水の影響を受けたプロセスがどう作用するかを理解するためにも重要である。これまでの研究結果は、凍った水分子は、水素結合を一切切断せずに回転することで転位するか、あるいは水素結合している一つが別の水素結合している水素と置き換わる様な水の回転いわゆる分岐によって、再配列することを示していた。それに対して、クラスター中の一対の水分子が解離し、トンネル機構で新しい二つの水素結合を形成する可能性が示された[1]。その場合二つの分子が同時に回転する。研究者らは、(H2O)6プリズムにおけるトンネル転位を、マイクロ波分光法と量子力学的模型を使って研究し、細胞や閉じ込められた環境では、水は同様の転位をしているかもしれないとしている。ケンブリッジ大学の研究者らによる、水のブリッジに関する研究成果が無事公表された。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 28, p. 10.

DOI: 10.1126/science.aae0012

16.4.19

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穴のある壁を持つ

 空洞になったナノサイズの粒子の貴金属、いわゆるナノフレームは、触媒、プラズモミクス、ナノ医薬品として有用であることが示されている。このナノフレームにクレームはないものの、これまで金、白金、パラジウムからできた数種類のそれらが調製されているのみである。この特殊な会員制クラブが今回、新しい会員としてルテニウムを承認した[1]。研究者らは、塩化ルテニウム溶液を用いて、RuをナノサイズのPdオクタヘドラル種結晶の端と角に優先的に沈殿させた。次にPdを化学エッチングで、除去して2 nmの厚さの空洞を持つRuオクタヘドロンができた。そのナノフレームの壁にはたくさんの穴がある。大抵のRuのナノ結晶は、六方稠密構造(hcp)だけど、今回のは面心立方構造(fcc)だった。これら二つの錯体の触媒活性を、p-ニトロフェノールの還元と、アンモニアボレートの脱水素化で行ったところ、fccは、同様のサイズのhcpRu触媒の2-4倍高い活性を示した。錯体が持つ穴、あなたも、あなどってはいけない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 28, p. 10.

DOI: 10.1021/acs.nanolett.6b00607

16.4.18

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ハロゲン化ホウ素

 これをスリ付きのナスフラスコに保存していると、スリの部分が腐食してしまって栓が開かなくなる。その場合、ガラスにキズをつけて、焼き玉をその横につけると、フラスコの上の部分一周に線が入る。このフラスコの上部を引き上げると大丈夫、ハロゲン化ホウ素を取り出すことができる。同様に開かなくなったナスフラスコに困った学生、「これを水の中で開ければハロゲン化ホウ素が水と直ちに反応して白煙が出ることもない」と考えた。大きめの流しに水を満たした。そこにフラスコを勢いよく投げ込む。残念、フラスコは流しに浮いたまま。内容物の半分以上は不活性ガス。そこでモップを持って来た。その柄のほうでフラスコを破壊し始めた。見事にフラスコが割れた。とその瞬間、ハロゲン化ホウ素と水が激しく反応して、その勢いで流しの底が抜けてその辺りが水浸しになった。30年近くも前の話が話題になった。この大学の流しの強度不足が課題であるということになった。聞き流しておいて下さい。

16.4.17

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小春日和の

 週始めに来日。翌日一転して朝夕に冷え込みコートが必需品に、どこかで買っとけばよかったけど時すでに遅し。季節はずれのコート販売も少なく、代わってジャケットを購入された。著名な先生にお会いしたときには、声が出ないほどの体調、熱もあった。それでもなんとか東京での日程を終えて岐阜を訪ねていただいた。のど飴・のどスプレーさらに風邪薬も常備されている。精力が高まるランチはないかと思案しながら北へハンドルを握る。日本式だけど母国を彷彿できるものはどうかと中華レストランに立ち寄る。それなりのボリュームのものを注文、すべて食べていただけた。学科内での化学ツアーの後の講演。ボイスの心配もあったのでマイクを使った。これでうまくいく。メタセシス反応を使った梯子状の高分子合成、今後の展開にも注目。その後の予定はすべて変更、週末はoff。ホテルでのチェックイン、禁煙室をお願いしていたはずが違っていた。喫煙室ではきついねん。粘り強い探索の結果、希望の部屋でお休みになっていただけた様子だった。

16.4.16

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古代ローマの

 書記官は、諸機関で、鉛インクを、これまで考えられていたより四世紀早く使っていたことが、A.D.79年ベスビアス火山の爆発で破壊された町、イタリアのヘルクラネウムから得られたパピルスの分析で明らかになった[1]。マイクロX線蛍光・回折装置を使い、爆発の中に埋没していた二つの書類のインクの中の鉛を同定した。研究者らは以前、A.D.5世紀の金属のインクを同定したときには、それより以前は炭素がもとになったススのインクが、使い勝手のよい筆記媒体であると信じられていた。この金属インクを使っていたという徴候を検出できたことは、考古学上の遺物の理解を改善できる成果である。たとえば考古学者が、ベスビアスのAD79年の灰に埋められていたポットの中の金属残渣がみつかったときには、インクではなくて化粧品であると想定していた。加えて、バラ色かどうかはともかく、クリストバライトと呼ばれるケイ素の鉱物も発見され、これによって直線や等間隔な筆記が可能になっていたことが類推された。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 28, p. 10.

DOI: 10.1073/pnas.1519958113

16.4.15

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新生児が誕生すると

 役所に申請する。この手続きは、シデムシは、しねえで無視できる。ただし人と同様に育てるのはタフである。同様に種族を増やすための行為も続けなくてはならない。この育てることと生殖のバランスをとるためのメスのシデムシの戦略があることがわかった[1]。一つはメス自身が不妊になること。加えてメスは、生殖の努力をしても何も得るものはないということをオスに知らせる揮発性化合物を出す。重水素ラベル化実験の結果は、メスが不妊になるホルモンと、抗媚薬なフェロモンであるメチルゲラネートは同じ生合成前駆体から導かれることを示していた。この虫の世界では、オスとメスが交わる回数や生まれたての幼虫を育てるのにどの程度関わるかについて対立がある可能性がある。今回の研究結果は、「ホルモンとフェロモンの間の生理的な相互作用が、両親が子供に注意を向ける程度を保証している機構」も示していると研究者らは述べている。ウルム大学の研究者らによる「生む」ことに関する研究成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 28, p. 9.

DOI: 10.1038/ncomms11035

16.4.14

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有機化学の中で

 決まりの悪い事実 (dirty little secrets)のひとつは、ハロゲン化アルケニルをつくることが難しい点であるとHoveyda先生は言われる。臭化あるいは塩化アルケニルは難しい、ましてやフッ化アルケニルの合成はほとんど前例がない。その中先生らは、クロスメタセシス化学を使って、Z体のフッ化、塩化アルケニルの合成法を開発された[1]。クロスメタセシス反応は金属触媒を使って二つの炭素—炭素二重結合の炭素のパートナーを交換する反応で、これによって新しい二つの二重結合が形成する。先生らによって開発されたモリブデン触媒を使ってZ-ジハロアルケンにこの反応を適用したところ、予想に反して効率的に反応が進行し、Z-ハロゲン化アルケニル、別名シスアルケンが高収率で得られた。反応は様々な官能基を許容することから、触媒を長い工程の合成の後段階で利用できることを示している。さらに先生らによれば、空気中で安定な触媒を含むパラフィンカプセルが市販される予定であるとのことである。付っ加価値の高いフッ化アルケニル合成が、ここにあるけにる。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 28, p. 8.

DOI: 10.1038/nature17396

16.4.13

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メタノールは

 工業的には、原油由来の一酸化炭素と水素の混合物である合成ガスから、豪勢につくられ、化成品の鍵出発化合物や燃料として使われる。それに対して温室効果ガスである二酸化炭素の直接水素化は、より効果的で環境調和な方法である。ただしこの反応を工業的なスケールで生起できる実用的な触媒はまだない。その中以前研究者らは、酸化インジウムが実験室レベルでCO2CH3OHに変換できることを示していた。今回、酸化ジルコニウムを担持したIn2O3が、工業的に利用できる条件下、この反応を触媒することが明らかにされた[1]。担持した触媒は、CO2H2CH3OHに少なくとも連続1000時間、CH3OHに変換できることから、従来の大抵の水素化触媒よりもパフォーマンスがよい。また触媒表面の酸素の空孔が反応を可能にしていることが理論計算から示されている[2]。さらに実験的にはCOを出発化合物に加えて温度を変化させることで、空孔の数を調整し反応が最適化されている。この系のパイロットプラント建設に、入ろっとしている。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 28, p. 7.

DOI: 10.1002/anie.201600943

[2] DOI: 10.1021/cs400132a

16.4.12

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ホルボールは

 ほうぼうにはないけれど、およそ80年前にハズ油の加水分解物から単離された、密に官能基化された多環式化合物で、化学者ならびに生物学者の興味を引きつけて来た。これを含む樹液に接触すると、水ぶくれを起こす。またホルボールエステルとして知られている誘導体は、細胞の成長を促進する。加えてホルボール属の化合物は、免疫調節、抗ウイルスさらには抗癌療法でも有望である。これまで一連の誘導体の合成は、その基本骨格を多くの天然成分から取り出し、その化学変換に依存していた。ただしこの方法では、導くことができない種類のものもあった。その中今回、新しいエナンチオ選択的な合成法が報告された[1]。それぞれの合成の過程は、最新の反応ではなくて、1978年までに発見されたものである。研究者らが以前合成した抗癌化合物であるインゲノールの合成法を転用しており、これまでの40から52ステップ必要だった経路が19ステップに短縮され、祝福もされた。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 28, p. 6.

DOI: 10.1038/nature17153

16.4.11

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リン化合物を

 調製するには、テトラヘドラル構造の同素体である白リンP4が使われる。ただしこれは毒性を示し可燃性である。それに対して空気中で安定なアモルファスでオリゴメリックな同素体である赤リンが代替品である。ただしこの比較的反応性の低い材料を大きなスケールで、高温や還元剤を使わずに利用することは難しかった。その中、赤リンを、責任もって、可溶なポリホスホリドに変換する方法が発見された[1]。フロリダの研究者らは、安価なエトシキカリウムを溶かした溶媒を、わずかに加熱した条件で安価な赤リン溶液を通すことで、(P5)-(P16)2-(P21)3-を生産した。これら様々な大きさのクラスターは、カリウム塩あるいはテトラブチルアンモニウム塩として単離され、それはリン化合物合成に使われるかあるいは、二次元半導体やリチウムイオンバッテリーの陽極になり得る。さらに連続フロー反応で、カリウムエトキシドを赤リンをつめたステンレススチールのカラムに通すことで、数十グラムの可溶なポリホスホリドが発生した、斯様に簡単な手順で。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 21, p. 11.

16.4.10

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ラクトンの

 開環重合は、生分解性高分子を導く一般的な方法ではあるものの、γ-ブチロラクトンだけは、例外で、分子の安定性のため、超高圧で中程度の温度下でなくては、重合しなかった。この糖鎖由来のラクトンを開環し、さらに閉環することで、もとに戻すことができれば、真に持続可能な高分子になり得る。その中今回、様々な熱力学、速度論やプロセス条件を検討していた研究者らは、ランタンやイットリウム触媒が簡単に、γ-ブチロラクトンの重合を達成できることを発見した[1]。さらに200 °C以上で高分子は再環化し、γ-ブチロラクトンに戻ることも明らかにした。ただしこの場合、毒性などを考慮しなくてはいけない金属触媒が必要になるため、さらに有機触媒の探索が行われた。その中ポリアミノホスファゼンが着目された。ホスファゼンは超塩基であり、γ-ブチロラクトン環から水素を引き抜き、活性種が生じて、重合が伝播する。これは機構の理解、持続性、実用性が、見事に組合わさった成果であると評されている。ホスファゼンの活躍に、あぜんとしている。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 21, p. 7.

16.4.9

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セシウムとフッ素は

 周期表の左下と右上にある原子で、最も電気陽性と電気陰性な元素である。これら二つの原子をつなぐ研究を行っていた研究者らは、Csまわりに16個のFが配位している分子をみつけた[1]。この配位数は新記録であって、蜃気楼ではない。通常12以上の配位数は、原子のまわりの空間のサイズと静電相互反発のためにほとんど例はない。15あるいは16配位のTh-H分子はその珍しい例である。ここでは弱い配位力しか持たない[H2NB2(C6F5)6]-アニオンを持つ一価のCs+錯体が塩化メチレン中で調製された。結晶構造は、五つのアニオンから16個のFCsに配位していることを示していた。水素を配位子として使わない最初の16配位化合物である。またこの新しい化合物は、低い水溶性のために、核廃棄溶液から、134Cs137Csを取り出すのに利用できる可能性を示唆している。取り出したそれらは131Csに変換することで埋め込み可能に、また137Csは放射療法へと、両方の行き先がある。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 21, p. 6.

16.4.8

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不活性C-H結合の

 修飾がルーチンになりつつある中、最近の例として、フェロセンとヘテロアレーンとの不斉C-HC-H酸化的クロスカップリング反応が、前修飾なしで進行することを、上海有機化学研究所のYouさんらが報告した[1]Youさんが言うには「新しい反応は、不斉触媒反応におけるキラル配位子として有用な面不斉を有するフェロセンを、より環境調和に、安価で導くことができる」とのことである。研究者らの戦略では、保護したキラルアミノ酸配位子を持つPd触媒が利用されている。触媒はまずフェロセンのC-Hを活性化し、ついでヘテロアレーンのC-Hが活性化される。原子効率の高い反応は、ハロゲン化アリールやアリール有機金属前駆体の使用を避け、しかも酸化剤として金属酸化剤ではなくて、空気中の酸素を使って進行している。研究者らはこれによって、N,ON,SN,P二座の面不斉キラルな配位子と金属触媒を導いている。「フェロセン」のつもりが変換したら「ゼロ戦」になっていた。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 14, p. 11.

DOI: 10.1021/jacs.6b00127

16.4.7

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ゼオライト内の分子

 ハワイの研究者らは、加熱や化学的な処理をした後、小さい孔で何が起こっているか、ゼオライトにライトを照らそうとしている。1 nmテストチューブ内での現象である。この成果は、工業的に重要な触媒や吸着剤がどのように作用しているかを理解する端緒になる。研究者らは今回、ゼオライトA, Xとして知られている合成のナトリウムアルミノシリケートに着目した[1]AXではナトリウムイオンのいくつかが銀イオンに置き換わっている。材料の結晶化度は、ゼオライト骨格の酸素原子の挙動と酸素の存在に依存して増大、劣化する。さらに量子ドットのようなハロゲン化銀クラスターはオクタヘドラルのAg6クラスターの形成が、様々な条件で確認されている。Ag6は形成できる最も小さな銀のクラスターであり、これを含むゼオライトにアンモニアを通すと、前例のない曲がったN3H5や環状のN3H3の形成が観測される。さらにメタノールを通すと、ベンゼンに電子的に等価な環状のC3H3O33+が観測された。ただしこれらは孔の中だけの風変わりな分子で、取り出すことはできないと研究者は戒めている。でも「これでおしめい」ではない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 14, p. 11.

DOI: 10.1021/acs.jpcc.5b11490

16.4.6

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マンノペプチマイシンとして

 知られているバクテリアと戦う天然物は、直接対決で、メチシリン耐性あるいはバンコマイシン耐性菌に対峙し、これらを上手に退治する。ただしそのマイシンは、通常ではない構造であり、珍しい構造変化も引き起すため、興味ある合成の標的である。しかも類縁体は、その抗菌活性をさらに改善できる可能性や、その作用機序の解明の一助にもなり得る。ただし糖鎖で通さんように修飾された環状のヘキサペプチドを調製することは、かなり挑戦的である。部分構造の合成例はあるものの、全合成そのものは報告例がなかった。最も大きなハードルは分子中のN-グリコシル化グアニジン部位を発生させることであり。そのようなモチーフは、他の天然物では見られていない。その中、この難解な課題にNankai大学の研究者らが挑戦し、金触媒を使って、糖鎖部位を立体的に混雑するグアニジン窒素に組込むことに成功し、それを使ってマンノペプチマイシンα、βの最初の全合成を達成している[1]。自慢の反応でマンノペプチマイシン合成に邁進した成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 14, p. 10.

DOI:10.1021/jacs.6b01384

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希ガスであるネオンが

 値を言うこともないし、気をきかすこともない。ただしトランジスターや他の素子を製造する現場では、深紫外線レーザーが使われ、そこでネオンガスはバッファーとしての任を負っている。これによってトランジスターの小型化も進展し14 nmサイズのものも提供されている。半導体製造業者は、今年の年末までには、より薄いものをつくるためのレーザーで希ガスに依存しないものへの移行を期待しているものの、技術革新は進んでいない。ネオンガスは、酸素や窒素を製鉄業者に供給するウクライナの会社が、容量として18.2 ppmのネオンを取り出して販売している。実際すでにチップのメーカーはネオンガスの価格の高騰を経験している。需要の伸びに加えて、2014年の価格高騰はウクライナとロシアの関係悪化に関係していた。さらに過去二年の間に、価格が10倍になったこともあり、また配達が4週間後から8ヶ月後に変更されたこともある。このネオン不足の影響を受ける職種としては、視力矯正手術を行うためにレーザーを使う医師、超伝導ワイヤーやネオンサインの製造業者である。ネオン街も案外、縮小されるかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 may 7, p. 14.

16.4.4

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弱いタイプの水素結合も

 だいぶある。C-HN-HO-H基と芳香環のπ電子雲との間である。同様の相互作用が、ジボラン(B2H6)o-カルボラン(C2B10H12)のような化合物上のB-H基でも予測されてきた。ここで電子構造はB-Hの水素にわずかに陽電荷があることを示している。これが、ようでんか、あるいはπ相互作用するかが解明され、B-HHとフェニル基との相互作用が報告された[1]。なおこのタイプの相互作用を促進する能力は、分子集積化や医薬品のバインディングでも応用可能である。研究者らは、Irジチオレンカルボラン錯体にトリフェニルホスフィンを加え、カルボランのB-H基とホスフィン上のフェニル基とが水素結合できる分子をつくった。その結果、NMRX-線結晶解析により水素結合が確認され、H•••πの距離は240-276 pmだった。水素結合の伸縮力の定数をコンピューターで見積ったところ、B-H•••πの相互作用は水の二量体の水素結合のそれとほぼ同じ程度であった。新しい水素結合が推測された、実験的に。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 7, p. 12.

DOI: 10.1021/jacs.6b01249

16.4.3

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複数のフッ素原子が

 組込まれたビアリール化合物をつくる一般的な方法を開発していた化学者のコンビ、コンビニに行くかどうかはともかく、アリール化合物に含まれるC-F結合と別の芳香族化合物に含まれるC-H結合との直接カップリング反応を達成した[1]。オクラホマ州立大学の研究者らは以前、Ir光触媒とアミン還元剤とを使って多フッ素化芳香環のC-F結合の選択的な官能基化を行っていた。その中で多フッ素ラジカル中間体に出会い、適切な反応条件を選べばフッ素化してない芳香族パートナーとカップリングしうることを見出していた。青色LED光のもと、ペンタフルオロピリジンと芳香族化合物を出発化合物に、Ir触媒と嵩高いアミンの組合せで、様々な多フッ素化ビアリールを導いている。それらは医薬品、農薬、電子材料としても有用な骨格である。中には収率が中程度の系もあるものの、直接合成と官能基許容性の高さから、合成の基本的な方法になり得る。オクラホマでお蔵入りしなかった系である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 March 7, p. 12.

DOI:10.1021/jacs.5b13450

16.4.2

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パラジウム(Pd)は

 金属触媒として、誰もが認めるチャンピオンで、これによって化学者は多彩なカップリング反応を遂行することができる。そのなかサンタバーバラのLipshutz先生らは、ばらばらではなくて、この有用な触媒を、より環境調和型にしかも効果的にしたいと研究を展開していた。その中今回、構造的に最適化されたホスフィン配位子を考案し、ppmレベルの量のPdを触媒とするクロスカップリング反応を達成した[1]。これは従来の量の10あるいは100分の1である。いわばこの量が、他を凌駕している。化学者は、Pdのコストと入手の容易さ、合成に使った後の残存量がFDAの承認以下であることに関心を寄せており、これに関しても先生らは水溶性ナノミセル反応系を開発している。脂溶性のナノ反応容器では、通常の有機反応を水溶液中で行うことができて、触媒のリサイクルも可能である。新しく開発された配位子であるHandaphosも同様で、0.1mol% 以下で、鈴木宮浦カップリング反応を達成している。Handaさんの半端じゃない努力でHandaphosができた。本当です。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 7, p. 10.

DOI: 10.1002/anie.201510570

16.4.1

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