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2016年5月

ICCST-13付録1

 3月半ば、基調講演・招待講演の先生方の要旨送付の締切。迅速対応の先生方は、要旨・プロフィールどちらも、フォーマットや参加登録の方法をこちらからお知らせした昨年12月の時点で送っていただけた。そうではない先生方には3月上旬、念のためreminderを出した。これって「まいるんだなあ〜」という先生もおられるかもしれない。締切り間近、順調に送っていただく。でも当初の締切を過ぎても届かない先生もおられる。収率100%の難しさ。再びreminder。でも回答なし。そこで念押しのメール「返事がないと講演をキャンセルする」と数名の先生に送った。直ちに返事が来た。明日までには完成させる。しかも添書が必ずある。「日本語入りのメールだったせいか、村井君からのメールはスパムメールに分類されていた」「自分が病気だった。しかも例外的に長い間、臥せっていた」「奥さんが病気で世話をしていた」招待を受けると病が流行するらしい。この正体はなんでしょうか。

16.5.31

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ICCST-13最終日

 触媒反応、錯体化学、蛍光発光分子に量子ドット、いずれもSeTe原子がどっと登場する。前日までのセレンタンパク質も含めると、とりわけSe原子が関わるフィールドの広さがわかる。講演を聴きつつ、学生さんのポスター賞の賞状に名前を手書きする。24, 26日に開催したポスター発表、12名の海外審査員、6名の国内審査員で評価チームを編成。絶対評価と相対評価。結果がばらけるかと思いきや、それぞれの区分で上位は一目瞭然だった。ただし中には「これらの学生は、議論できるレベルではない」というコメントもあった。審査員のご苦労を経てClosing Remarks。受賞者の名前を表示。「ここに名前のある学生さんはステージへ」と呼びかけども登壇者は2名のみ。短い授与式になった。ICCST-14についてVitoからの紹介。3年後、南サルデーニャ・カリャリ。日本からかりゃり遠いイタリア。至れり尽くせりを予感。いよいよICCST-13の閉幕。この日まで、先生方、大学のスタッフを始め、実務を担当してもらった研究室の学生さん。お陰で会議を終えることができた。皆様ありがとうございます。

16.5.30

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バンケット前の

 セッション、時間超過を避けたい。多分大丈夫と感じて打合せの電話のためにホールを出た。しばらくして戻ると時間超過でも質問を受けている。結果15分ほどの遅れ。暗いホールの中「迅速に」というメッセージも送れない。再び会場を出て電話で到着予定時刻を告げる。方やバンケット会場ではイベントの場所のセッティングで苦労された様子。ゲストが到着して、ソフトドリンクを受取ってもらった。当初は着席で見ていただく予定だったのが変更、立ち見になってしまった。話題に事欠かない。50名の高校生による和太鼓・笛の演奏が始まった。日本語のみでの説明。高校生たちは広島で開催される全国大会で演奏を競うことになっている。それに対する思い、曲が表現する自然や自分たちの感情。即座に見事な通訳が流れた。自分自身も全く知らない中、すべてを良好に進めていただけた。短い挨拶、Thomasのショートスピーチと乾杯。大学生によるお琴の演奏、楽器をおこっとすこともなく進行。二時間ほどの宴は、一丁締めで、一応終わった。

16.5.29

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鵜飼中止の可能性

 という連絡をもらった。海外の方、加えて国内の方でも、未体験の方が多い中、この機会に楽しんでいただこうと企画、一週間前からは天気予報を気にしていた。それが果たせなくなった。乗船は自動的にキャンセルになるので経費は発生しない。一方でオードブルは注文済、ブルーになる。ポスター会場になっている場所にそれを並べて小さなパーティーをする案。でも5月下旬の夕方の屋外の爽やかな風を感じてほしい。国際会議場の上階にある会議室、扉を開けると長良川から岐阜城が一望できる。当初ウエルカムパーティーを考えていた鵜飼ミュージアム横のレストラン、どちらもこの日の使用予定はなし。ただし場所の設定と撤収、課題である。エクスカーションに参加されない方がその気になれば、ミュージアム見学をしてもらって直接参加ができるということで後者にした。ただしチケットを配布できない。けちっとってはいかん。ICCST-13の名札の提示で入場ができるようにしてもらった。篝火のない川面、船頭さんの無事を祈った。

16.5.28

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PL-1

 Denmark先生の最近の成果をマークしていた。他の先生の支援も受けて貴重な基調講演が実現した。緊張することもなく、ルイス塩基の配位でルイス酸性が向上するという、基本的で重要な現象と考え方の説明から始まった。講演の二日ほど前、今回の会議では、親電子的セレン化合物が関わる反応を開発する研究者も多いこと、C-H切断に続くSe原子の導入も発表されることなども話した。ついで「日本で開催される会議なのでスケジュールがタイトであること、先生のお近くで研究されている方で40分講演が1時間講演になった先生がいること」をお伝えした。「そりゃあ、みクルスィーナ」とパワーポイントの1/3をカットしたとのこと。それでもアルケンの不斉ジ塩素化を含む多大な成果を紹介していただいた。会場のプロジェクター、数年前に設置されていた機器の輝度は小さく、気の毒やということかで、パワフルな機器が設置されていた。その輝度の画面に、先生のレーザーポインターも強さもマッチしてバッチリ、講演が完了した。

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25年前

 大阪で開催されたICCST-6、その後、ヨーロッパ、アジア大陸、南アメリカ大陸を巡って日本に戻ってきた。そのときのバンケット、ピアノ演奏を披露された組織委員長。今回はオープニングでの演奏をお願いして、ご快諾していただいた。とは言え前日「この年になって引き受けるもんやないで」と言いつつリハーサルをこなされた。9時過ぎ、Today, I am not a chemist, but I play a piano.と告げられて演奏が始まった。月光(ベートーベン)、幻想即興曲(ショパン)、鍵盤の上ではすべての指が躍動、流れる音楽が会場を包み込む。ついで二人目のプレイヤーが登壇、月の光(ドビュッシー)、I am (森田真奈美)、合せて20分ほどの演奏に高揚していた。うまくいくかなとマイクを手にした。「スタッフも含めて223名分の名札の作成。21カ国からの参加登録。学会・財団・一般企業・岐阜県・岐阜コンベンションビューロー、様々な方々からの多大な支援で会議が可能になったこと。ポスター発表。次の日の夕方のイベントの紹介」「スタッフは、アモルファスセレンを象徴する赤とブラックセレンの黒の紐」しゃべりが速すぎた。で時間も過ぎた。

16.5.26

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参加登録前の準備

 要旨・レポート用紙・ペン・記念品・五種類のチラシをユーティリティバッグに詰めてもらう。発表会場のセッティング、リハーサルが完了。自分たちも首から名札をぶら下げて、ふだつきになった。ウエルカムパーティーを始める。Welcome to the Welcome party of the ICCST-13. ボランティアの方が、岐阜市内のツアーについてパンフレットを配布予定。市内で修行される三人の舞子さんもお見えになった。舞子さんをマイコンピューターで撮影する人もいる。踊りも披露していただいた。主催者にも予想外の、男性の芸者さんによるパフォーマンス。皆様、前にせり出してカメラに収めていた。海外からの参加者。メールだけのやりとりだった人、苦労したビザ取得、ここに来ることができたこと、大いに喜んでおられた。I am ・・・・・.フルネームを早口で伝えられる。スウェーデンで学ぶ中国の学生さん、メルボルン大学で学ぶウクライナの学生さん、ポーランド、ルーマニア、セレン・テルルのマニアがここにもおられた。

16.5.25

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ペロブスカイト型

 太陽電池のためのフィルムを、メチルアンモニウム三ヨウ化鉛(MAPbI3)から沈澱させることができる。ただしこの鉛からのフィルムあんまりよくない。好ましくないモルフォロジーを有し、光を獲得するための最適化ができない。さらにMAPbI3フィルムは太陽電池の中の温度に達すると壊れる可能性もある。その中昨年、研究者らはMAPbI3フィルムのミクロ構造を改善するために、材料をメチルアミンガスにさらした。これによってフィルムが液体になり、ガスを遮断したところ、フィルムが結晶化し、より効率的な光吸収材料になることを明らかにした[1]。さらに今回、改良したフィルムをホルムアミジンガス(FA)150 °Cでさらしたところ、炭素の置換え反応が進行し、MAPbI3がホルムアミジン三ヨウ化鉛(FAPbI3)に変換された[2]。これはさらに優れた熱的安定性を有し、反応中、ホルムアミジンによるモルフォロジー変化は微塵もなかった。FAPbI3フィルムでつくられた光起電素子は、従来のシリコン太陽電池と同様の効率を示した。

[1] DOI: 10.1002/anie.201504379

[2] Chemical & Engineering News, 2016 May 9, p. 8.

DOI: 10.1021/jacs.6b02787

16.5.24

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妊娠中の女性の

 胎盤の機能不全、たとえば生命を脅かす子癇前症に妊婦さんが罹患した場合、医師は、胎児を早期に世に出させて、胎児と母親にそれ以上の疾病が及ばないようにする。ほとんどの会社が、胎盤の疾病の軽減や治療について研究を行っていない。それは薬が発育する子供に害を及ぼす可能性のためでもある。「胎児は痛いじ」とは教えてくれない。ただしもし胎盤にだけ薬を運ぶことができればどうだろうか。この課題に取組んでいる研究者らは、ある種の胎盤の細胞は、固形腫瘍細胞と同じ表面タンパク質を有していることから、腫瘍を標的とするペプチドが違った仕事、すなわち治療用積み荷の胎盤への配達ができないかと考えた[1]。ネズミで行った実験では、インシュリン様の成長因子2をげっ歯類の胎盤に届けたところ、胎盤と胎児の重さが増加し、胎児に危害を加えることはなかった。もしこの結果が人にとっても適用できるとすれば、これまで治療ができなかった妊婦さんの疾病を治療する薬剤の開発の道を開くものである。機能不全の胎盤治療、太鼓判を押せるまでになってほしい。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 9, p. 8.

DOI:10.1126/sciadv.1600349

16.5.23

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スパイが

 秘密のメッセージを送るとき、蛍光スペクトルを使うかもしれない。研究者らは、複数の蛍光色素分子と認識部位を合わせ持つ分子を合成した[1]。通常の化成品がこのセンサーにバインドすると、隠されたメッセージのための暗号として活用できるような、蛍光スペクトルの変化が起こる。ついでセンサーとランダムに選んだ化成品とが合わさった発光スペクトルを20 nm間隔で、強弱をつけながらメッセージとして並べた。メッセージを解読するためには、もらった側は、同じ条件でエミッションスペクトルを測定し、暗号化されたメッセージからの強度を引き出せば、もとのそれが明らかになる。この電子情報時代に暗号化技術は広がる可能性が高いしかも情報を保護する基本的な機構は、従来の数学やエレクトロニクスではなくて、ここでは化学であるため、現在知られている暗号解読法に対しては免疫がある。スパイのミッションは、エミッションの測定、失敗することはないか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 9, p. 7.

DOI: 10.1038/ncomms11374

16.5.22

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火星の軌道を回る

 探査機が、表面の斜面に季節ごとに縞模様ができることを観測していた。この奇妙な現象に科学者は、水の流れを期待するものの、乾いた土の崩壊である可能性も否定できない。そこで研究者らは、火星の薄い大気を実験室で作り出し、低沸点の水の蒸気を土の粒にふきつける実験を行った。その結果、水と土の滑りが組合わさった状態が再現された[1]。すなわち火星の大気圧を再現したチャンバーの中で、土で覆われた斜面の一番上に氷の塊を置いたところ、ほとんど直ちに氷が溶けて水になり沸騰した。この沸騰が土を弾ませ、水と土の両方が坂を下っていった。この実験で得た流れのパターンは火星で観測された地形と、近けい様子だった。対照的に、地球の条件での同じ実験では、液体の水の弱くてスムーズな流れが斜面で観測された。この機構を検証するためには、探査機には、より解像度の高いイメージングの装置を搭載する必要があるけれども、火星ではわずかな量の溶けた水が、一気呵成に、大きな表面の形状変化をもたらす可能性を示している。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 9, p. 6.

DOI: 10.1038/ngeo2706

16.5.21

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シアネート

 (N=C–O-)2-ホスファエチノラート(P=C–O-)との類似性が探索されている中、15族で次に重い元素である2-アルサエチノラート(As=C–O-)が、ここにあるさと、単離できる誘導体として、初めて報告された[1]。研究者らはまず、金属ナトリウムとヒ素を触媒量のナフタレン存在下反応させ、Na3Asを調製し、これをt-ブチルアルコールでプロトン化しNaAsH2をつくった。ついでそれを炭酸ジエチルと反応させることで2-アルサエチノラートを導きクラウンエテール錯体として単離した。またヒ素アニオンが簡単にケテンやカルボジイミドと[2+2]環化付加反応を引き起し、ヒ素を含む四員環複素環を、イソシアナートとは五員環複素環を与えることがわかった。さらに2-アルサエチノラートは容易に脱カルボニル化を引き起こし、これまでにはなかったAs102-As124-を含むクラスターを形成することも明らかにされている。イソシアナート(RN=C=O)の次はヒ素シアナートでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 2, p. 11.

DOI: 10.1002/anie.201602310

16.5.20

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太陽光発電の

 効率をさらに改善するために、太陽電池の骨格の中の異なる成分である正孔輸送材料が注目された。正孔輸送層は、正孔として知られている電気的に正電荷を有するキャリアを通す部位であり、ペロブスカイトや色素増感太陽電池でも使われている。最も一般的な正孔輸送材料は、アモルファス薄膜でスピロOMeTADと呼ばれる多環芳香族分子から調製される。それに対して今回スピロ-OMeTADDMSOに溶かしそれをゆっくりとメタノールの蒸気にさらすという結晶化を工夫することで単結晶が作成された[1]。得られた結晶のX線構造解析にも成功し、スピロ-OMeTADの構造を初めて明らかにすることもできた。さらに結晶内の分子のパッキングは、現在使われているアモルファス薄膜材料よりもはるかに正孔を伝導させることができることを示していた。このDMSO、メタノール蒸気という二度漬け法が、単結晶による正孔輸送層を、精巧に成功させている。丹精込めた成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 2, p.11.

DOI: 10.1126/sciadv.1501491

16.5.19

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バクテリアから誘導された

 Btトキシンと呼ばれる殺虫剤タンパク質をつくる工学的なプラントによって、狡猾な害虫から野菜や果実を守ることが行われてきた。ただし昆虫の数が増加する中で、Btトキシンに耐性を示す害虫が生まれ、農家を脅かしている。そこで研究者らは革新的な対抗手段を、Cry1AcとよばれるBtトキシンで開発した[1]Btトキシンは虫の腸細胞の表面の特殊な受容体にバインドする。この相互作用によって、細胞膜に気孔ができて、細胞死から虫を死に至らしめる。抵抗できる虫では、受容体が変異しているためにこの機構が効くこうとがない。そこで研究者らは、バクテリオファージがアシストする漸進的進化(PAGE)によってBtトキシンを修飾し、虫に特異的にバインドできるそれをつくった。これによってCry1Acよりも最大335倍強く効果を発揮した。虫には再び耐性ができるけれども、PAGE法が素早く起動し様々なバージョンのトキシンを生み出すことができる。トキシンのこと得心できましたか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 2, p.9.

DOI:10.1038/nature17938

16.5.18

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ハチミツは

 巨大ビジネスの一つで、時に信用できないときがある。一種類の花の蜜だけでできたハチミツは、たくさんの花からのそれより、はなから価格が違う。そこにペテン師が登場し、高級なそれを薄めて販売する。一般にハチミツの香りの源を同定するために、顕微鏡で花粉粒を研究することで決定されるが、かなり労力のかかる作業である。その中今回NMRが利用できることが報告された[1]。まずクロロホルムで、16種類のイタリア製ハチミツを代表する1000サンプルから化合物が抽出された。これらの抽出物のNMRは、それぞれのタイプの花に特徴的なスペクトルを示した。700以上のスペクトルを使って、香り源に沿ってサンプルを分類したモデルが作成された。これによって、それぞれのサンプルが主成分のみであるか、第二の何かが入っているかを判断することができる。この分析方法の結果は花粉を使った場合と90%一致していた。密談してできたハチミツで甘い汁を吸わせない作戦に、緻密なNMRが使われている。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 2, p. 11.

DOI: 10.1021/acs.jafc.6b00619

16.5.17

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六員環をつくりたいとき

 Deils-Alder反応があるだ〜。一方で五員環をつくりたいときには、同様の明確な反応が簡単には浮かばない。その中、カルボニル−オレフィン閉環メタセシス反応が五員環構造を簡単に導くことができることが報告された[1]C=O結合とC=C結合がメタセシス反応を経ると再びC=OC=Cが形成される。この反応は古くから知られているものの、化学量論量の遷移金属錯体を必要とするため、コストならびに環境負荷の点で課題があった。それに対して今回は、触媒量の安価で豊富にある塩化鉄触媒が利用されている。アミドやエスエルのような官能基を許容し、難易度の高い四級炭素を含む環を構築することもできる。研究者らは、反応がオキセタン中間体を含み、これがFeCl3触媒からの鉄に配位すると考えている。この機構を確かめるために、コンピュータ化学の専門家が開発したZStructを使って数千の可能な反応経路が探索された。その結果、オキセタン機構が、エネルギー的に有利で可能性が最も高いことを示していた。素晴しい五員環合成であること、合意んしていただけるでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 2, p. 8.

DOI: 10.1038/nature17432

16.5.16

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東南アジアに生息する

 ほ乳類であるビントロング、尾っぽがロングで、bearcatとも呼ばれる。この動物がポップコーンのような臭いを発している。その要因の化合物が2-アセチル-1-ピロリノン(2-AP)であり、この分子は調理したポップコーンに香りを付与している。研究者らは26頭のビントロングの尿のサンプルをガスクロマトグラフィーならびに質量分析で試験をした[1]。その結果、すべてのサンプルから2-APが検出された。さらに2-APの濃度はビントロングの血液中のアンドロステンジオンのレベルと関連があった。アンドロステンジオンはエストロゲンやテストステロンのホルモン前駆体であり、ビントロングは尿中のポップコーン臭を使って、性や性的成熟に関する情報交換を行っていることが類推された。ただしその生成経路が不明である。ポップコーンのそれは100 °Cに加熱されるとメイラード反応が進行し2-APに至るが、数百年にわたって誰もビントロングを加熱していない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 25, p. 11.

DOI: 10.1007/s00114-016-1361-4

16.5.15

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Kroto先生

 C60の玄人で、1996Smalley先生、Curl先生とともにノーベル化学賞を授与された。炭素数60原子のサッカーボール型分子の発見である。この発見は熱狂と懐疑によって迎えられた。物理学者、化学者どちらもが、そのような対称な分子が発見されることは予想だにしていなかった。受賞後Kroto先生は、科学に対する国民の理解を広げるために多くの時間を使われた。1995年、テレビ製作やインターネットビデオを手がけるVega Science Trustを設立することにご尽力、ここではメディアの干渉なしに科学者が生の声で、国民が興味を抱く話題・関心のある課題を直接伝えることができる。ついで教材を、オンラインを通して無料で入手できる取組みも先生は始められた。先生の自叙伝には「私のアドバイスは、自分の興味をそそること、自分が楽しむことができる何かをやることだ。しかもそれを、自分の能力を最大限に発揮して。またもし興味がそそられたものが平凡だったとしても、探索しなさい。見かけとは違って思わぬことが見つかることも多々ある。この方策があればどんな限界があっても、他の誰よりも確実に続けることができるだろう」と記されている。そのKroto先生が43076歳でご逝去された。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 9, p. 6.

16.5.14

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使用済みの電球型蛍光ランプ(CFL)から

 水銀を除去して再利用することは、環境に飛散する可能性のある埋め立て地の有毒元素を排除する一助になる。水銀リサイクルを発展させるために研究者らは、現在の方法よりもエネルギー的に効果的なCFLの処理方法を開発した[1]。現状の回収方法は、他の成分と分離するために、高温で水銀を、電球の中から全然でんきゅう、になるまで蒸発させている。それに対して今回の方法は酸化鉄ナノ粒子(Fe3O4)を使い室温で、水銀をトラップしている。まずCFLをナノ粒子があるチャンバーに連結した容器の中で壊す。すると水銀蒸気は、上機嫌で、チャンバーに移動してナノ粒子によってそれが捕捉される。ついで磁石を使ってナノ粒子を電気化学炉に移動させ、そこでイオン化した水銀を還元し元素状Hg(0)にすると同時にナノ粒子と分離できる。このプロトタイプのシステムで水銀の85%が回収された。また小さなソーラーパネルでも供給できる電力に相当する20wで系は稼働し、成果に感動した。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 25, p. 9.

DOI: 10.1021/acssuschemeng.5b01612

16.5.13

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ホタルの提灯のような

 三層構造を模倣した有機ELが、従来の有機ELよりも、明るい輝きを持つことが報告された[1]。ここで有機ELはテレビやコンピューターのスクリーンの省エネをもたらしうる技術である。ある種のホタルの提灯は10μmの幅でキチンがきちんと屋根のタイルのように配列し、ナノスケールの棟がそれらの表面を修飾している。これらの構造が、平たいキチンよりも空気の屈折率とマッチし、内部の屈折を軽減し、提灯の外への光の透過を改善している。キチンの下には光を生み出す細胞の層があって、さらにその下には、光を反射する層があって、提灯の外側に光を放っている。そこでKAISTの研究者らはこれに倣って、一番上の層がキチンのような構造でパターン化された高分子樹脂、ついで通常の緑色有機EL材料の層、最後にアルミニウムの反射体の層をくみ上げた。この生体系にヒントを得た有機ELは従来の緑色有機ELよりも60%明るく輝いていた。ホタルの観察、怠ることなく続けられた。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 25, p. 9.

DOI: 10.1021/acs.nanolett.5b05183

16.5.12

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鉄触媒によるハーバー・ボシュ法は

 窒素からアンモニアを製造する世界で最も大きな工業プロセスである。アンモニアは肥料になり、これによって穀物生産を向上させることができたため世界人口が維持されている。さらにアンモニアは燃料電費の可能性のあるエネルギー源でもある。ただしこのプロセスは高温・圧力も必要であり、化石燃料に依存している。それに対して窒素固定のバクテリアもそのエリアの反応をカバーするものの八段階を要し大量のアデノシン三リン酸(ATP)も必要である。そこでこの系に倣ったレドックス活性なナノ結晶が検討されていた中、硫化カドウミウム(CdS)ナノロッドが、ニトロゲナーゼのMoFeタンパク質に効率的に電子を移動し、N2NH3への変換が開始されることが報告された[1]。ナノロッドはニトロゲナーゼのFeタンパク質の代替として、ATPが駆動するエネルギー発生過程を司ることができる。このハイブリッドな技術は、太陽エネルギーでN2NH3への還元をCO2の発生なしに達成している。ただし天然のニトロゲナーゼの63%程度の効率で、ハーバー・ボッシュ法の速さには到底、追いついていない。それでもいつか、これによってハーバー・ボッシュ法が没収される日が来るかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 25, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aaf2091

16.5.11

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典型元素の組合せで

 つくられる珍妙な新しい分子を探索する研究者らは、N-複素環カルベン(NHCs)の発見によって、その新しさをさらに探索することができるようになった。このルイス塩基は、頑丈な電子の孤立電子対が、金属や分子のある特定の部位に強固に配位し、これまでにはなかった方法で、それらを安定化することができる。最も最近の例として、ジョージアの研究者らにとっては「常識や」であるNHC安定化戦略を使って、ホスファホスフェニウムカチオンの母骨格HP2+を導くことに成功した[1]。カチオンの名前の複雑さは、化学者にとって一見単純であるように思われる化学種を単離するのに苦労したことを彷彿させている。HP2+をつくるために、二リンP2を使っているが、それはN2と異なり不安定であるため、ピリジンの塩酸塩を使い、NHCで安定化されたP2がプロトン化された。さらにNHC安定化HP2+X線結晶構造解析が施され、スペクトル解析やコンピューターによる結合解析も行われた。この成果は、有機合成や材料科学の分野での二リンの使い方にヒントを与えるものである。実際アリールジアゾニウム塩RN2+Pd触媒のクロスカップリングに利用されている。HP2+、二輪車にも搭載できるはずである。

[1] Chemistry and Engineering News, 2016 April 25, p. 10.

DOI: 10.1039/c6cc0175b

16.5.10

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イソキノリンは

 ベンゼン環とピロリジン環が縮環した化合物であり、この基本骨格を有する天然物は主に植物で生産されていると考えられてきた。またこの基本骨格の有用性は、麻酔、血管拡張剤、抵真菌剤、殺菌剤などで実証されている。その中今回研究者らは、予想外にも、微生物が様々なイソキノリンをつくることを発見した。これまではそこにあるイソキノリン探索に、気乗りんしなかったかもしれない。それでも堆肥の山の中にいるある菌の不可解な生合成遺伝子クラスターを解き明かすことで発見に至っている。また別の多くの菌も、今回発見された菌が持つのと同様の生合成遺伝子クラスターを有していることから、様々なイソキノリンを合成するのに菌が利用できるかもしれない。実際、フミソキンA, B, Cと呼ばれるイソキノリンは、アミノ酸であるチロシンからフェノールヒドロキシル化、N-メチル化、酸化的環化という植物のイソキノリン生合成を思い出させる系で、合成されていることもわかった。ただし植物と菌の生合成には、相同性はないことから、これらは別々に発生したものの同じ合成連略を採用したものと考えられる。名前はイソキノリン、研究は昨日から明日へ続く。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 18, p. 11.

DOI: 10.1038/nchembio.2061

15.5.9

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金レドックス触媒反応を

 より単純化するために、可視光が媒介する新しい反応が報告された[1]。ここでは補助的な酸化剤やRuIr光増感剤を必要としない。これらの反応剤は通常Au(I)Au(III)に酸化し、再び触媒サイクルに参加できるようにするために必要であった。研究者らは、ホスフィンAu(I)塩化物触媒そのものが可視光照射下、光増感剤として作用できる系を発見した。アリールジアゾニウム塩と対になったときAu(I)種は酸化されてAu(III)種に変化し、アルキンの二官能基化を完了し、α-アリールケトンを与える。さらにP,N-二座配位子を使うことで、Au(III)種を単離しX線結晶構造を明らかにしている。これまでAu(III)中間体は金の高酸化状態であるために、反応に含まれているか議論があったけれども、今回の成果はその最初の証拠を提示している。さらにアリール金(III)錯体を発生させる一般的な方法も報告している。Au(III)について遠山さんじゃなくて、Hashimiさんである。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 18, p. 11.

DOI:10.1002/anie.201511487

DOI: 10.1039/c6cc02199a

16.5.8

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Walter Kohn先生が

 419日ご逝去された[1]93歳だった。先生は、今では化学、物理、材料科学で広く使われている、密度汎関数理論(DFT)の理論的な礎を築かれて、1998年ノーベル化学賞を授与された。1964年、分子の基底状態の電子密度は、分子の全エネルギーと基底状態の特性を正確に規定することを、先生は実証された。翌年、密度汎関数式を解く方法を開発された。

 先生は1923年オーストリア・ウイーンでユダヤ人一家の子として誕生した。両親はホロコーストの間にアウシュビッツで絶命されたものの、本人は1939年イングランドに移民することができ、1940年にはカナダの難民収容所に送られた。その後、トロント大学にて数学と物理の学士、応用数学の修士を取得、物理分野でPh.D.をハーバード大学で取得した。1950-1960年、今ではカーネギーメロン大学である大学で物理の教授、ついでカリフォルニア大学サンジエゴ校、ついでサンタバーバラ校では理論物理の研究所の創設者として勤めた。1991年より名誉教授であった。

[1] Chemical & Engineering News, 2015 May 2, p. 10.

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環化三量化反応は

 化学者が利用できる合成手法の中で、複雑な環状化合物を、三つの単純な分子の部品から一段階で組立てるための効果的なアプローチである。このプロセスの限界の一つは,既知の例が芳香族あるいはヘテロ環状化合物の合成のために、アルキンやアセトフェノンの[2+2+2]環化三量化反応で置換ベンゼンを、アルデヒドからトリオキサンを導く反応に限定されている点である。その中今回この手法がシクロプロパン合成に拡大された[1]。研究者らは、様々な置換アセトフェノンを、イトーではないですがヨウ化銅、2,2'-ビピリジン触媒、過酸化物酸化剤を使ってつなぎ合わせた。[1+1+1]カスケード反応は、これまでには知られていないラジカル過程を経て進行し、そこでは銅エノラート中間体が、二つのアセトフェノン分子のメチル基の不活性なC-H結合を官能基化し、ジケトンが生成する。このジケトンはついで、三番目のアセトフェノンと反応しシクロプロパンに至る。一流の三量化反応である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 18, p. 10.

DOI: 10.1002/anie.201600807

16.5.6

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炭素上に四つの異なる

 炭素置換基が組込まれたキラル炭素は、多くの天然物などで見られるモチーフの一つである。その合成には有機金属反応剤の共役カルボニル化合物への付加反応が利用される。この反応は効果的なるも高価で、後悔することもある。それに対して四級炭素に対するラジカル過程の最初のエナンチオ選択的な反応例が報告された[1]。従来のラジカル過程を経た反応では、不安定なラジカルカチオン中間体の形成で反応が阻害されていた。それに対して今回は、有機触媒が持つアミンが出発化合物であるエノンと反応し、キラルイミニウム塩を形成する。ついで求核的なラジカル炭素置換基が、分子の二重結合に付加し、不安定なラジカル中間体が発生する。この不安定な中間体を直ちに、有機触媒中のレドックス活性なカルバゾール基が還元し、それが分解するのを抑制している。還元された中間体は互変異性し、続く還元・加水分解を経て、もとの有機触媒が再生する。別の光触媒過程が求核的ラジカル種の発生と最後の還元を請け負っている。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 18, p. 9.

DOI: 10.1038/nature17438

16.5.5

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新鮮な水資源が

 世界中で減少する中、穀物への水やりに、投げやりにならずに、処理を施した廃水をまく方法が拡大しつつある。ただしそれによって得られる農産物は余分なものを含んでいるかもしれない。新しい研究は、そのような水で育てた野菜を食べた人の尿の中には、廃水で通常観測される抗てんかん薬であるカルバマゼピンの量が増加していることを示していた[1]34名のボランティアに一週間農産物を食べてもらった。一方は、処置した水で育てた野菜、もう一方は、フレッシュな水で育てた野菜である。一週間後、前者の方々は皆さん、検出できるレベルの医薬品が尿に含まれていた。このことはこれまで「もしかしたら」という事柄を実験的に検証した例である。実際には、その薬そのものを服用している患者さんよりも4乗のオーダーで少ない量でしか観測されてはいないけど、たくさんの農産物を食べることによって、一生涯そのような残留物にさらされることになる可能性がある。野菜やさかいに水も大切である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 18, p. 9.

DOI: 10.1021/acs.est.5b06256

16.5.4

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硝酸(HNO3)は

 安定、長寿命、光化学的には不活性であるために、大気の活性窒素の最終生成物であると考えられてきた。今回の研究成果[1]はこの想定が間違いであるかもしれないこと、エアロゾル粒子に含まれる硝酸は素早く亜硝酸や酸化窒素に、光化学反応でリサイクルされることを提案している。「提案っていいあん」である。研究では大気の浮遊物や海洋と接する層の大気を使った。たとえば北太平洋上を飛行して得たサンプルでは、HONO10 pptであった。この量そのものは小さいものの、HONOは光化学反応で直ちに酸に変換される。全体の測定を通して、HONOHONOの前駆体であるNOxとの相関は見られなかった一方で、エアロゾル粒子中のHONOと硝酸塩との間の相関が見られた。そこでHONOは硝酸塩由来かどうかが、実験室の光化学反応で確かめられ、実際HONONOxが発生していた。もし陸地にいれば、たくさんのNOx源がある一方で、発生源が遠くの場所では、リサイクル過程が重要で明確であると、述べられている。HONOにほのぼのしましたか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 18, p. 8.

DOI: 10.1038/nature17195

16.5.3

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1865年

 研究に明け暮れたケクレが、芳香属性の概念を提案した。平面炭素環であるベンゼンの高い安定性と低い反応性を説明するためである。1931年、4n+2π電子系、いわゆるヒュッケル則が芳香属性の定義に加えられた。それに対して1965年、低い安定性と高い反応性を示す平面炭素環で4nπ電子系の反芳香属性が提唱された。どちらも当初は、純粋に有機化学の範囲内であると考えられていた。ただし過去20年の間にその状況は一変した。1995年、フェニル置換の二π電子系Ga3環が報告され、金属芳香属性(metalloaromaticity)の概念が導入された。さらに2003年、Li3Al4-が反芳香属性の4π電子を持つAl44-四員環が報告された。ただしガス状の分子がレーザーを使った実験でつくられたため、濃縮した状態でトラップすることができなかった。それに対して今回、ランタニドとSbで構成された一連の「Ln(Sb4)33-が単離できる無機の反芳香属性化合物として報告された[1]。ここでSb4環はランタニド金属で安定化され、非局在化したπ電子を持つと同時に、有機化合物の中の反芳香属性化合物の代表格であるシクロブタジエンと類似エンである。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 18, p. 5.

DOI: 10.1002/anie.201600706

16.5.2

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無人グライーダー

 あるいはドローンは、発信源より数百メートル離れたメタンを嗅ぎ付けることができる[1]。そのためこれらをガス漏れ早期検出に利用できる。NASAとカリフォルニア大学と民間の会社がquadcopterとして知られる1.7 kgのドローンが、ppbレベルのメタンを検出できることを4月上旬に発表した。それには小型化したレーザー分光計が搭載されている。この感度は、上空から天然ガスパイプラインや貯蔵施設からのわずかな漏れを、もれなく同定するために必要である。センサーのレーザーはメタン分子を励起させ、装置の中に、それらを誘い込み、測定できる乱れを生み出す。その結果、ドローンのネットワークは、24時間態勢で、天然ガスの基盤設備の監視が可能になる。ただしその前に、検出系の最適化も必要で、より遠く長時間飛行できる小さな翼のドローンにセンサーを取り付けること、メタンの源が家畜かガスラインかも区別できるようにすること、課題である。ドローンの高性能化、どろ〜んこになってやっているのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 April 11, p. 11.

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