« 2016年5月 | トップページ | 2016年7月 »

2016年6月

げっ歯類に

 月謝を支払ったわけではない。その腸内細菌が高脂肪食をとった場合には、アセテートの量が増加し、それが消化器系から血液に入ることが示された[1]。アセテートが脳に到達すれば、それは副交感神経を活性化し、身体の呼吸、心臓の鼓動、さらに消化などの無意識な動きに関連する。そこで副交感神経が活性化されると二つの方法で肥満が促進される。一つは、膵臓がインスリン生産を増加させこれによって脂肪がたまる。もう一方は空腹ホルモンであるグレリンが増加しここでも脂肪がたまる。その結果食欲旺盛になりさらに腸内細菌によってアセテートが増加するループが形成される。この成果に追随する報告もなされており[2]、腸内細菌のうちある特定のそれがなぜアセテート生産を促進するのか、またげっ歯類では体重減少と健康な代謝を促進するプロピオネートを生産[3]する腸内細菌との比較も行いたいとしている。ただしこれらが人に適用できない時には単なる研究に終わるものの、痩せ型と肥満型の方々で、循環するアセテートの量をチェックするとよい、とされている。アセテート、焦っていませんか。

[1] Chemical & engineering News, 2016 June 13, p. 5.

DOI: 10.1038/nature18309

[2] DOI: 10.1038/534185a

[3] DOI: 10.1016/j.cell.2013.12.016

16.6.30

| | コメント (0)

半導体ポリマーで

 発光ダイオード、太陽電池、トランジスターに利用されるものの開発は1980年以来、すでに長い年月が経過している。その中チオフェンのような基本となるモノマーを用いて、ものま〜ねではないけど、高分子の電子的特性をより良く制御することができる点、特徴的である。直近の日本で開発された例では、イミドで官能基化されたテトラチオフェンを新しい電子不足半導体高分子ブロックとして利用している[1]。ここではすでに電子受容性が向上することが知られているビチオフェンイミドをもとにその特性向上のために、多段階合成でN-アルキル基を有する化合物の縮環した二量体が導かれた。さらにこのダイマー(TBI)と、チオフェンあるいはチアゾールをもとにしたモノマーとで共重合体を合成している。得られた分子は分子構造に依存して、太陽光発電やトランジスター素子としては、p型あるいはn型半導体として作用できる。大魔神級のダイマーです、まじで。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 June 6, p. 10.

DOI: 10.1002/adma.201601373

16.6.29

| | コメント (0)

粉になった

 パルメザンチーズをふんだんにかけるとスパゲティが仕上がる。ただしそれがチーズの王様であるパルメザンチーズであると、どうやって判断するのか、地図もなくて難しい。そこで研究者らはパルメザンへの他のチーズの混入や、全くの偽物であるかを決める一助になる方法を開発した[1]。研究者らは以前、貯蔵飼料を食べて育った牛からのミルクやチーズには二種類のシクロプロパン脂肪酸(CPFAs)がわずかに含まれていることを発見していた。これはおそらく貯蔵飼料の中の乳酸を製造するバクテリアのためである。そこで今回ガスクロマト−質量分析スペクトルを用いて304のチーズサンプルの中のこれらの分子が探索された。EUのチーズに関する規制では貯蔵飼料を与えることを禁止している。その結果、貯蔵飼料で育てた牛からのGrana Padanoでは、脂肪分1 kgあたり300-830 mgCPFAsが観測された。この方法でパルメザンチーズの不要成分もわかるめざんである。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 June 6, p. 10.

DOI:10.1021/acs.jafc.6b00913

16.6.28

| | コメント (0)

アクチニド化学を

 理解することは、核廃棄物処理だけではなく、結合様式と反応性に関して、未だに不明な軌道の役割に焦点をあてることができる。その中今回、Np(II)Np(III)有機金属錯体が初めて調製された[1]。ここでNpNipponならぬネプチニウムである。研究者らは、放射性化合物であるNpCl4と大環状化合物であるトランス-カリックス[2]ベンゼン[2]ピロールとを反応させ、単核のNp(III) Npがピロール基の窒素原子と結合し、芳香環に挟まれ、さらにNp(III)は塩素と結合している錯体を導いた。ついでこれを還元することで、同様のNp(II)構造を導いた。ここで塩素は中性分子であるDMEと置き換わり、DMEは二座配位している。ただしNp(II)錯体は二核Np(III)錯体に崩壊する。先の単核のNp(III)の分析では、その結合は類似のU(III)錯体よりも、より共有結合的であり、これは空間に広がった軌道の重なりに由来している。アクチニド化学も開くど〜

[1] Chemical & Engineering News, 2016 June 6, p. 9.

DOI: 10.1038/nchem.2520

16.6.27

| | コメント (0)

ニトロアレーンは

 医薬品化学や材料科学における合成前駆体として重要な化合物の一つである。ニトロ化は一般にアレーン出発化合物の電子供与性置換基のオルトあるいはパラ位に、パラダイスが如くに組込まれる。それに対して今回、ニトロ基がアレーンのメタ位に付加できる系が報告された[1]。これはC-H結合の直接官能基化でC-N結合をつくるために配向基を使った最初の例である。Ru3(CO)12を触媒に、Cu(NO3)2•3H2Oをニトロ基源として用い、様々なN-へテロ複素環あるいはオキシイミド置換のアレーンのメタ位をほぼ選択的にニトロ化している。反応では、触媒と出発化合物が結合し、オクタヘドラルRu中間体が形成する。ニトロ基はこの中間体のRu-C結合のパラ位で出発化合物のメタ位に付加する。ニトロ化基質が錯体から離れることでメタ誘導体が導かれる。研究者らはこの反応を使って医薬品中間体、治療に利用する候補薬や市販の医薬品を合成している。また得られた生成物は、さらなる変換反応の中間体としても利用できる。めた位への導入法が見〜た系である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 June 6, p. 9.

DOI: 10.1021/jacs.6b03402

16.6.26

| | コメント (0)

人を含む多くの生命体は

 それらの腸管内菌叢に依存しながら、葉っぱの中にある複雑なポリサッカリドの消化を行っている。一方でナナフシは自分でそれを行う方法を選択した。七不思議である。6千万年以上前これらの生き物は、管内菌叢から出るペクチナーゼ酵素ためのDNAの設計図を盗み取り、それら自身のゲノムの中のバクテリア遺伝子に組込んでいたことが明らかにされた[1]。葉っぱを持つ植物の細胞壁にあるペクチンの分解を腸管内菌叢なしに可能にしたことで、ナナフシ目(もく)におけるナナフシの種類が数千に増大した。実際研究者らが、複数のナナフシのゲノムの中のペクチナーゼDNAを分析して、これらの生き物は、普通のナナフシ腸内バクテリアであるガンマプロテオバクテリアからそのスキルを盗み取ったと類推した。ただし奇妙なことに、ナナフシによって捕まえられたペクチナーゼ遺伝子すべてが分解されたわけではない。いくつかのペクチナーゼが進化したものの、それらの現在の機能は「な〜ぜ?」のままである。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 June 6, p. 9.

DOI:10.1038/srep26388

16.6.25

| | コメント (0)

かなり攻撃的な脳腫瘍である

 高悪性の神経膠腫に罹患した患者さんによって治療方法は限定的である。それに対して今回のPhase I試験の結果は、ウイルスとプロドラッグの組合せが治療に有効であることを示していた[1]。神経膠腫は脳の中で、固形がんあるいは正常細胞に侵入するがん細胞として存在する。神経外科医は固形がんを除去することはできるものの、侵入物を除去することはできない。そのため手術の後患者さんは放射および化学療法で、拡散したがん組織を攻撃する治療を受ける。それでもそのための医薬品は、脳血液関門を通ることが難しいため、がん細胞に到達することがほとんどできない。そこで開発された新しい方法はトロイの木馬方式で、とろくはない。工学的に改変されたToca511と呼ばれるウイルスが患者さんの脳に注入された。ウイルスはがん細胞に感染し、細胞にシトシンデアミナーゼと呼ばれる酵素を製造させる遺伝子を送達する。これはプロドラッグである5-フルオロシトシンを5-フルオロウラシルに変換させる。前者は脳血管関門を簡単に通過するのもの後者は通過しない。ここでは45名の患者さんにこの方法を試し首尾よく酵素遺伝子を送達させることができた結果、従来の神経膠腫の治療法を受けていた患者さんのおよそ二倍生き延びた。結果、ウラシル製造の裏を知ることになった。[1] Chemical & Engineering News, 2016 June 6, p. 7.

DOI: 10.1126/scitranslmed.aad9784

16.6.24

| | コメント (0)

工業的推計によれば

 毎年、生体系や環境のサンプルのイオン濃度の測定が、イオン選択的電極(ISE)を使って、10億回以上行われている。この測定は工学的な実験用器具を使って行われるが、それは数百ドル以上のコストが必要である。それに対して近い将来、安価で使い捨ての紙ベースのシステムがつくられる可能性がでてきた。研究者らは一枚のろ紙に、電位差測定のセルを乗せることで、ISE測定を単純化した。この安いシステムはプリントしたポリウレタンをもとにしたマイクロ流体のチャンネルからなり、水溶液の流れ、イオン交換に使われるようなイオン選択的な膜、参照膜、謄写で印刷したAg/AgClを制御している。単純な電圧計が読み取り素子として使われている。研究者らは、別の紙ベースの検出と比べて、新しい使い捨ての素子は、注意深い組立、前処理、較正が不要である。血清中の塩化物イオンやカリウムイオンレベルの測定では、20 μL程度のサンプルでも、高い再現性を示し、威厳を保っていた。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 June 6, p. 8.

DOI:10.1002/anie.201603017

16.6.23

| | コメント (0)

植物にはリンがいる

 ただしリンが豊富な肥料を農夫が、植物に納付することは難しい。その中セントルイスワシントン大学の研究者らは、酸化亜鉛ナノ粒子エアロゾルスプレーを開発した。これによって緑豆の一種であるヤエナリは、土の中のリンを集めて、それをより有効に使い、無駄も削減できる[1]。研究者らはヤエナリが、アジアのような開発途上で人口密度も高い地域では、重要な食品タンパクであることからそれに注目した。植物は、酸化亜鉛ナノ粒子を葉っぱから吸収する。一旦亜鉛が中に入ると、フィターゼやホスファターゼのようなリンを吸収する酵素の活性が向上する。その結果、ナノ粒子を含む植物は、より多くのリンを取り込み、より多くのクロロフィルを生産し、豊富な根に成長する。この方法は、より少ない肥料を使いたいと言う農家の希望の一助になると考えられている。これによって、コスト削減、環境負荷の軽減の両方に貢献できる。ヤエナリで投げやりにならなかった成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 30, p. 11.

DOI: 10.1021/acs.jafc.5b05224

16.6.22

| | コメント (0)

宇宙船ロゼッタ

 が示すデータは、彗星67P/Churyumov-Gerasimenkoにはグリシンとリンが存在することを示していた。発見に苦心したかどうかは不明なものの、これらは生命の起源として重要な生体の構成要素である。この成果はこれまで67Pで発見された、メチルイソシアナート、アセトン、プロパナール、アセトアミドを含む有機化合物の発見に続くものである。全体としてこれらの成果は、彗星の衝突が地球に生命の起源をもたらす重要な役割だったという理論を指示している。グリシンはROSINAと呼ばれるロゼッタに搭載された質量分析計で複数回観測されている。観測されたグリシンは、67Pにある塵微粒子から放出されたと考えられている。以前グリシンは、Wild2彗星から得られたサンプルでも発見されていたものの、それには彗星由来ではない不純物の存在を同位体分析結果が示していた。なお67Pでロゼッタはアミノ酸の存在も直接観測している。これは地球に戻るまでの間の不純物混入を避けることもできるため、ロゼッタの結果には絶対の信頼が寄せられている。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 30, p. 10.

DOI: 10.1126/sciadv.1600285

16.6.21

| | コメント (0)

オフィオボリンセスキテルペンは

 一連の菌の代謝物の一つで、がん細胞を死滅できる特性を有している。しかも、医薬品耐性を示す脳のガンである多形性膠芽腫に対してもである。たいしたもんである。ただし全合成の標的としては、多くの挑戦的な段階がある。複数の立体中心が、5-8-5の縮環系に組込まれている。これまでの合成法では、オフィオボリンA47段階、オフィオボリンC38段階であった。その中今回、同族の(-)-6-エピ-オフィオボリンNが、ファルネソールから9段階で合成された[1]。鍵となる過程は、ラジカルカスケード反応である。このラジカル反応を行った当初は、ある炭素の立体化学が異なる化合物の混ざり物で、しかも主生成物の立体化学は欲しくないタイプだった。そこで研究者らは試行錯誤を繰返した結果、複雑な構造のチオールを加えることで、課題を克服した。研究者らによれば、この手法は別の複雑な環系の構築とも関係する基本的な方法論として全合成ではプラスになるものであるとのことである。ラジカルで助かる系である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 30, p. 10.

DOI: 10.1126/science.aaf6742

16.6.20

| | コメント (0)

ホスフィン配位子は

 多くの遷移金属触媒反応を成功させるための脇役を演じている。これまで報告された中でトリ(ターシャリーブチル)ホスフィンが最も電子豊富なアルキルホスフィンであると、長い間特徴づけられていた。それに対してそのハードなハードルを、トリ(1-アダマンチル)ホスフィンPAd3で超えることに成功した[1]。これによって、より電子供与なN-複素環カルベン配位子とトリアルキルホスフィンの間を橋渡しすることができる。アダマンタンは、通常ではない堅いC10三環性アルカンである。これまでアダマンタンが二つ組込まれたホスフィンは知られていた。それはまたN-複素環カルベンでも嵩高い置換基として利用されている。ただしリン原子上に三つ目のそれを導入することは挑戦的な課題であった。それに対して今回は、市販のHPAd2AdCO2CH3を反応させることで調製されている。得られたPad3Pd錯体を形成することで高い安定性を示し、それを使った鈴木—宮浦カップリング反応では、塩素化ヘテロアレンも利用されて、医薬品中間体や誘導体を導いている。アダマンタン、満タンな力量発揮、まだまだこれからです。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 30, p. 10.

DOI: 10.1021/jacs.6b03215

16.6.19

| | コメント (0)

ゼオライトのような

 多孔質の吸着材料が持つ天然ガスを貯蔵する容量を増加させることができる新しい方法が開発された。これによって乗り物の燃料としての天然ガスを貯蔵できる、コンパクトで軽量・安価な技術を導きうる。研究者らはまず市販のゼオライトビーズをアモルファスシリカついでアルミナでコートした。これによって材料の孔のサイズは1.34から1.42 nmの間になった。ついで研究者らは天然ガスの主成分であるメタンを高圧でビーズの入ったタンクに汲んだ。ビーズ一杯にメタンを吸着した後、それらを2,3-ジメチルブタン蒸気にさらして孔の蓋をした。これでビーズは小さなガスタンクになっている。ビーズは0.1Mパスカルまで貯蔵することができ、これは大気圧に非常に近い。コートしたビーズは、していないそれの二倍のメタン吸着が可能であった。メタンを放出するために、150-200 °Cまでビーズがゆっくりと加熱されて、孔から封止剤が徐々にはがれていった。この方法と金属有機構造体(MOF)の組合せで、高度な多孔質材料も視野に入れることができる。多孔質で多幸でありますように。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 30, p. 9.

DOI: 10.1021/acs.nanolett.6b00919

16.6.18

| | コメント (0)

Pd触媒を用いた

 芳香族ハロゲン化物やトリフラートとアリールあるいはアルキルアミンとのクロスカップリング反応は、有機化学でもっともよく知られた反応の一つである。この基本的な反応をさらに効率化することは公立の機関でも困難であった。その中Dow Chemicalの研究者らはアミノ化の際の親電子剤として、芳香族フルオロスルホネートを系中で発生させることでこの課題を突破した[1]Dow チームや他の研究グループは以前、芳香族フルオロスルホネートを鈴木カップリングのために事前に調製し、ついで芳香族ボロネートと反応させていた。ただし今回のワンポットアミノ化への道は遠かった。その中、フェノールとフッ化スルフリルと塩基とを室温で反応させ、アミンカップリングパートナーを加え、PdあるいはNi触媒で、アミノ化生成物を得ている。さらに芳香族フルオロスルホネートは、これまでの親電子剤よりも高いパフォーマンスを示していた。加えてフェノールはバイオマテリアル由来で入手可能・安価で、石油資源よりも環境調和である。Dowはさらに特殊化学製品(specialty chemical)製造への応用を検討している。Dowのプロジェクト、ダウンしないで成果になった、どうでしょうか。

[1 Chemical & Engineering News, 2016 May 23, p. 9.

DOI: 10.1021/acscatal.6b00865

16.6.17

| | コメント (0)

貴金属は

 高価なため、これを使っている燃料電池や触媒コンバーターで、その効率を向上させる方法が探索されている。その中今回、原子的に薄い貴金属を安価な金属カーバイドが、か〜ばったタイプのナノ粒子触媒が開発された[1]。研究者らは、酸化タングステンナノ粒子を(NH4)2PtCl6と反応させ、ついで粒子をシリコンナノスフェアで包み込んだ。ついでその材料をメタンと水素の混合物に入れ、温度を徐々に900 °Cまで上昇させた。最も低い温度では白金クラスターは酸化タングステン上に形成していたが、温度上昇に伴って表面材料は白金とタングステンの混合物に移行していき、さらに白金・タングステンカーバイドになった。貴金属は遷移金属カーバイドに溶けないため、白金はそこから分離しタングステンカーバイドコアの回りで殻を形成した。同様に混合金属殻もつくられた。これらを使ったメタノールの電気酸化を試したところ、Pr-RuあるいはPtをコートしたタングステンチタンカーバイド触媒は、より安定で、現在市販されている触媒よりも10倍活性が高かった。貴金属のための基金も有効利用できそうである。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 23, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aad8471

16.6.16

| | コメント (0)

鳥の肌や

 蝶蝶の羽のような自然界で見られる明るく強烈なある種の色は、色素によってつくられるのではなくて光と相互作用する物理的なナノ構造でつくられる。いわゆる構造色である。想像してみよう。そのような色はしばしばチラチラ光り、赤と緑は青の色合いになる。これらの特徴が構造色を使ったペイントやコーティングをつくることを制限している。それに対してつや消しの色が目的である。その中研究者らは、純粋なつや消しの色のフルスペクトルをつくる方法を開発した[1]。ここでは高分子をエアポケットでパターン化している。理論的考察は、つや消しの赤をつくる最も良い方法は空気と同様の屈折率を持つ粒子を使うことを示唆していた。このアイデアを確かめるために、ポリエチレングルコールジメタクリレートにシリカナノ粒子を分散させた。ついで交差連結させ固体樹脂を導いた。次に酸を使って、シリカを溶かし直径およそ200 nmのエアポケットをつくった。これがつやのない赤色フィルムになり様々な表面に適用可能である。168 nmあるいは185 nmのシリカ粒子を使って青と緑もつくられた。つやのない色、いつぞや使われるに違いない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 23, p. 8.

DOI: 10.1021/acsami.6b03217

16.6.15

| | コメント (0)

四つの新元素

 113, 115, 117, 118番元素に対して、ニホニウム(Nh)moscovium(Mc), tennessine(Ts), oganesson(Og)が提案された[1]。これっていいあんである。2015年末IUPACは公式にこれらの元素を周期表に加えた。またこれらを発見した人たちは、それらの名前と元素記号を提案する権利を得た。提案された名前は公開レビューとIUPACの委員会によって最終的に決まる。名前は神話的な概念、鉱物、場所や国、あるいは科学者にちなんでつけることができる[2]。またそれは歴史的・化学的な一貫性が反映され・維持される必要もある。日本の理研は、Japanを意味する二つの単語の一つであるNihonを選択した。これはアジアの国で発見・命名された最初の元素である。他の三つは、欧州と米国の共同チームにその権利が与えられた。Mcはモスクワ、Tsはテネシー、Ogはロシアの核物理学者Yuri T. Oganessianにちなんでいる。既に同じ国の4人の科学者の名前にちなんだ元素が周期表にあり彼はその仲間入りをした。原則に従った元素の命名をめいめいが行った。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 June 13, p. 7.

DOI:10.1515/pac-2015-0802

16.6.14

| | コメント (0)

ドローン支持者は

 無人機は今後、災害の状況をビデオ撮影することで、現場の状況や化学的な危険を明らかにし緊急救助する人に安全に道を指図するために、必要不可欠になると予測している。とりわけ昆虫サイズのドローンである。泥んこになっても働いて欲しい。ただしバッテリーのパワーが課題である。この小型ドローンは飛び立つとすぐに電力を使い果たしてしまう。そこでもしこの無人機がどこかにとまってバッテリーがチャージされるとミッションを続行する時間も長くなる。その中研究者らは、静電付着を利用して電力消費を1000倍改善させた[1]。これまでも研究者らは、停止と充電の戦術を開発してきたものの、電子付着戦略は、特に有用である。それは葉っぱ、木、鉄のような様々な材料で、かつ粗い面から滑らかな面まで色々利用できる。電子付着で、迷路のような回路が伝導性のないポリマー、この場合にはポリイミドフィルムに組込まれている。電圧がこのデバイスにかかれば、充電が始まり逆の電荷が接触した材料のほうに誘起される。付着は二つの表面の間の静電相互作用で引き起される。電子付着を深く研究して決着したのでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 23, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aaf1092

16.6.13

| | コメント (0)

沼地や動物の腸では

 年間、数億トンのメタンガスが生産されている。この反応の最後の段階を、メチル補酵素Mリダクターゼと呼ばれる酵素が触媒し、水素原子がメチル基に付加してガスになる。そこでこの段階について1990年代後半機構Iが提唱された。そこでは歩行するかどうかはしらないけど、補酵素Mと呼ばれる生体分子が電子をMe-Ni(III0中間体に移動させる。2002年にはDFT計算によって機構IIが提案された。それはNi(II)チオラートとメチルラジカルを含んでいる。メチルアニオンを含む機構IIIの可能性も示されたがこれはほとんど起こらないとされている。そこでIIIを明らかにしたかったもののNi中間体はかなり速く反応し分析手段による同定が困難だった。今回反応過程の速度が低下する補酵素Bの類縁体を使った実験が行われた[1]。電子常磁性共鳴スペクトル、磁気円二色性スペクトル、計算および実験による遷移状態エネルギー測定によって、機構IにあるMe-Ni(III)が検出できなかったこと、機構IIにあるNi(II)チオラートがあれば観測しうるスペクトルが観測されたことなどから、機構IIが確かめられた。機構をもっと聞こうという方は原著をどうぞ。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 23, p. 7.

DOI: 10.1126/science.aaf0616

16.6.12

| | コメント (0)

2011年

 Tobias Ritter研から飛び出したフッ素化剤であるPhenoFluorは、フェノールの水酸基をフッ素原子に置換えることができる。その後これを使って18Fを有する放射性トレーサーをつくることができるのではないかと先生は考えていた。とりわけ脱酸素フッ素化は、求核的芳香族置換反応によって進行し広がりも大きく、電子豊富な芳香環を利用することができる。その中今回先生らは、反応機構を深く考察し、脱酸素フッ素化が協奏的に進行することを発見した[1]。すなわちフッ素原子が芳香環に組込まれると同時に酸素原子は、PhenoFluorのイミダゾリウム部位に移動し尿素として外れる。この反応機構を手に、さらに18FでもPhenoFluorが利用できるように、病院の先生と共同で微調整を行った。空気、水の影響も受けず、反応も容易に起こる点、広がりも大きい。最近Ritter先生、ドイツに移りった〜である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 23, p. 4.

DOI: 10.1038/nature17667

16.6.11

| | コメント (0)

フッ素原子が

 空間を通して親電子芳香族置換反応を促進させることが報告された[1]。研究者らはDiels-Alder 反応を利用して、フッ素原子が芳香環のπ電子雲に入り込んだ分子を組立てた。ついで分子のニトロ化を行ったところ、同様の分子でフッ素原子が反応点より遠い位置にあるものの1500倍反応が速く進行することがわかった、一般にフッ素原子は、芳香環に共有結合した場合には芳香族置換反応の速度へはほとんど影響を及ぼさないこととは、対照的である。これはπ電子雲上が、運動場が如く、フッ素原子が活性化剤として作用している。フッ素原子の孤立電子対が、陽電荷を帯びた中間体を安定化し、ニトロ化や他の親電子置換反応が促進する。この効果は低分子だけではなくて、フッ素化アミノ酸を含む突然変異酵素でも利用しうると指摘されている。「フッ素原子が異空間に、行くかんな」で反応促進、得心しましたか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 16, p. 11.

DOI: 10.1002/anie.201601989

16.6.10

| | コメント (0)

類似な環境の中にある

 単一のC-H結合を標的に、その切断に伴う不斉C-C結合形成反応の開発は挑戦的な課題で、過大な努力を要する。その中今回研究者らはジロジウム(Rh2)触媒を使うことで、直鎖アルカンの違ったタイプの炭素の識別を達成した[1]。研究者らは過去20年ほどの間Rh2触媒を開発し、アリールジアゾ酢酸エステルとの反応でカルベンを発生させ、これをC-H結合に挿入させていた。これまで直鎖アルカンでは複数の生成物を与える可能性も高かったため、しようがなく、その使用を避けてきた。それに対して今回設計された触媒前駆体であるキラルRh2は、触媒反応の発見を短期間でできるように改善されている。三次元的に設計された配位子の場が、鍵と鍵穴の関係の如く、特定のC-H結合のみを、反応点であるRh2に接近させることができて、そこで高ジアステレオ選択的、エナンチオ選択的な反応を達成している。示された例は、アルカンのC2位の二級C-H結合だけど、今後すべてのC-Hの識別を達成したいとしている。アカンと思われたアルカンの選択的反応である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 16, p. 9.

DOI: 10.1038/nature17651

16.6.9

| | コメント (0)

目の下の

 しみやくまを、目立たないようにする第二の肌が開発された[1]。これは皮膚炎や乾癬の様な肌の状況から、保護するバリアーとしても利用できる.第二の肌は、二段階過程を経る。始めにポリシロキサンをもとにしたクリームを肌に直接塗り、Pt触媒を含むクリームを次に使う。触媒はポリシロキサンを数分以内に交差連結できる。これによって肌に、接着できる薄膜が生じ、弾性特性、湿気、見かけの良さも生まれる。これに至るまでに、5年を要し、100以上の異なる高分子が試された。高分子は、毎日使う必要があるが、洗浄することも、はがすこともできる。また実際にそれがそこにあることには気がつかない。別の研究者は、アンチエージング化粧品として興味ある方法で、これもえ〜ジングなるも、Ptの高さが課題であるとも指摘している。ただしPtの量はほんのわずかで、これによって価格上昇にはならないとしており、商品化が計画されている。肌ケアに関する、華々しい成果である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 16, p. 9.

DOI: 10.1038/nmat4635

16.6.8

| | コメント (0)

縮環構造は

 多くの天然物や合成化合物にみられる特殊な構造で、化合物を特徴づけており、生理活性を生み出し医薬品や農薬として有用であるものにしている。科学者は、六員環から小さな環をつくる様々な方法、Diels-Alder反応や他の環化付加反応を利用できる。さらにまた10あるいはそれ以上の大きな環をつくる方法として、マクロラクトン化や環閉環メタセシスなどがある。それに対して、中員環を注意んしてみると、とりわけエナンチオ選択的な合成方法が、立体的な規制のために挑戦的な課題として残っていた。その中研究者らは、不斉7から9員環をインドール骨格に組込むための分子内カスケード反応を開発することで、この課題を克服する方法を発見した。例えば、キラルIr触媒はアリルカルボリンの脱芳香族化を引き起こし、架橋の中間体を与える。続く開環・レトロMannich反応、加水分解によって、ピペリジンの環サイズが拡大されている。この方法によって新しい縮合環化化合物が導かれ、それらが市販の生成物の仲間入りする可能性も高い。カスケード反応が手をかすけ〜どで縮環が構築されている。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 9, p. 8.

16.6.7

| | コメント (0)

オールシスの

 ヘキサフルオロシクロヘキサンは昨年トップニュースになった分子で、これまで知られている分子の中で最も極性が高く、カチオンもアニオンもバインドすることができる。しかもこのカインドなバインディングはこれまで測定された中で最も強い。この化合物は六つのフッ素原子すべてがシクロヘキサン環の同じ面に位置し、六つの水素がすべて逆に向いている。この配列のために分子は大きな双極子モーメントを持つ。今回この化合物は、フッ素原子側を使ってカチオンにバインドし、水素原子側を使ってアニオンにバインドする傾向が報告された[1]。実験は気相中ESIで、一あるいは二配位したナトリウム、塩化物錯体を発生させ、それらの分離に質量分析が使われた。さらに赤外多光子解離スペクトルとコンピューターによって、イオンのバインディングエネルギーが見積られた。その結果、クラウンエーテルや最も塩基性の大きいアミノ酸を除いて、ナトリウムイオンへのバインドが大きな例はなく、塩化物イオンに対しても、中性分子ではこれより強くバインドする化合物はないんど、であった。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 16, p. 8.

DOI: 10.1021/jacs.6b02856

16.6.6

| | コメント (0)

赤絵は

 磁器を飾るために使われる日本の伝統的なエナメル技術である。歴史的にそれは、鉛ガラスの粉と三酸化鉄を水が主の溶液に加えて赤い色を獲得していた。磁器製造者は、直にかどうかはともかく、鉛を使わないガラスに転換しようとしていたものの、高品質なサンプルの作成には苦慮していた。今回、様々な粒子サイズのガラスと三酸化鉄の組合せ実験の結果、三酸化鉄の殻でコートしたガラス粒コアをつくる最適な方法が報告された[1]。さらに酸化鉄がガラス粒子の間の空間で分離したような赤絵では、より品質が落ちたエナメルにしかならないこともわかった。一方でここでは2μmのガラス粒子と100 nmの酸化鉄粒子を組合せてコアシェル材料が調製されている。ただし調製法が鍵である。すなわち漆喰(モルタル)の中で粒子を緑茶溶液でブレンドする。この混合物を乾燥させるという過程を3回繰返す。モルタルや乳鉢は磁器業者が通常利用するものであるため、この方法は簡単に実行できるものと思われる。他には替え難い赤絵である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 9, p. 8.

DOI:10.1021/acsami.6b01549

16.6.5

| | コメント (0)

ナノワイヤ電池電極

 そんなのはいや、とは言わずに読んでほしい。それは小さな設備面積でかなりな電力を提供することができる、ただし壊れ易い。その中研究者らは、二酸化マンガン(MnO2)でコートした金ナノワイヤに注目した[1]。それは可能性のあるリチウムイオンバッテリーの陰極材料である。そのワイヤの性能が、通常の電解液あるいはポリメチルメタクリレート(PMMA)ゲル電解液の、二種類で検証された。その結果、液体電解液と組合わさった陰極は、2000-8000回の充電サイクルが可能だった。一方でPMMAゲルとのそれは100000回の充電と放電でも持続した。しかも故障を促すシステムを組込んでいたにも関わらずである。ここでゲルはMnO2を適切な位置に保持し金から離脱するのを防いでいるか、あるいはゲルがゆっくりとMnO2の孔に中にしみ込み、それを柔軟にして砕けることを防止している可能性がある。どちらにしてもこれによって、電荷を保持することが決して終わらないバッテリーに近づいた。人の方が先に、へばってり〜になるかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 9, p. 8.

DOI:10.1021/acsenergylett.6b00029

16.6.4

| | コメント (0)

ICCST-13付録4

 岐阜の会議。海外の先生からもギフトをたくさんもらった。ありがとうございます。しゃれた感じの筆記用具、しかけがそこにある。地元を紹介するパンフレット、ゲーテの胸像,ふるさとのワイン。日本までの間に、荷物になること、じゃ〜まんになることも厭わず12時間以上をかけてここに持参された。自分が在籍する国がモチーフになった一品。参加登録の時の彼女との厳しいやりとりがよみがえった。でも笑顔がそれを打ち消した。地元で育まれるお茶色々、どれもその地方の雰囲気の包装にメッセージつき。クッキーには、くっきりと名前が見える、王室のムードが漂う。高麗人参ヨウカンに高麗人参正果、独特の香りがほのかに漂う。おすそ分けした。食べると熱くなったとのこと。身体が刺激に応答している。巨大な身体から小さなプレゼントが登場した。これは自分の地方でつくるチョコレート、特別の味。イタリアからの板チョコ。「ICCST-14にいったり〜や」だ。

16.6.3

 

| | コメント (0)

ICCST-13付録3

 5月上旬、招待講演の先生の一人から「5歳の娘と二人で行くことになった」というメール。大丈夫か!! nursery (託児所)、ここには「な〜さり〜」と送った。ウエルカムパーティーに彼女も参加。屈託のない少女。次の日のオープニングもほんわかとその場にいる。その先生の研究室から参加した学生さんが、時に面倒を見ている。ブレイクの時、会議場の数段が追いかけっこの場になった。その先生、JTBの担当者に幼稚園をお願いされた。「会議場近くにあり。英語をしゃべられる先生も赴任」とのこと。パパとの別れは寂しかったけど、その後はなじんだ様子。先生はほとんど会場におられた。バンケット前の太鼓に衝撃を受けた様子の少女。バンケット担当者から「黒ひげ危機一発」「お魚釣り」をその場で提供していただいた。ナイフをはめ込む。「海賊が飛び出しませんように」とワクワク感のあるゲーム。方やお魚釣り、隣に座っておられた別の国の方がご満悦。遠い国の方でもtoyは共通みたいです。

16.6.2

| | コメント (0)

ICCST-13付録2

 3月下旬、基調講演、招待講演の方々の発表時間帯をプログラムの枠に入れる。それを先生方にメールにて連絡。概ね「了解」という回答。オーラル発表の方もおられるので同様に連絡してプログラムを固定した。それに呼応して「成田空港がいいのか、関西空港がいいのか」という質問をある先生からもらう。「近いのは関空だけど」と感狂わずに伝える。最終版の印刷が始まった頃その先生から「自分の得た資金では自国の航空会社を使わなくてはいけない。残念ながら23日の関空便はない」との連絡。プログラム修正を作成せざるを得なかった。会議にお見えになった。「招待ありがとう。実は523日は自分の誕生日、三人の孫が祝ってくれた。そのとき家にいないわけにはいかない」?! こやつに引導を渡したくなったけど、私日本人は「Congratulation on your birthday, and tell my regards to your grandchildren」と言っていた。

16.6.1

| | コメント (0)

« 2016年5月 | トップページ | 2016年7月 »