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オフィオボリンセスキテルペンは

 一連の菌の代謝物の一つで、がん細胞を死滅できる特性を有している。しかも、医薬品耐性を示す脳のガンである多形性膠芽腫に対してもである。たいしたもんである。ただし全合成の標的としては、多くの挑戦的な段階がある。複数の立体中心が、5-8-5の縮環系に組込まれている。これまでの合成法では、オフィオボリンA47段階、オフィオボリンC38段階であった。その中今回、同族の(-)-6-エピ-オフィオボリンNが、ファルネソールから9段階で合成された[1]。鍵となる過程は、ラジカルカスケード反応である。このラジカル反応を行った当初は、ある炭素の立体化学が異なる化合物の混ざり物で、しかも主生成物の立体化学は欲しくないタイプだった。そこで研究者らは試行錯誤を繰返した結果、複雑な構造のチオールを加えることで、課題を克服した。研究者らによれば、この手法は別の複雑な環系の構築とも関係する基本的な方法論として全合成ではプラスになるものであるとのことである。ラジカルで助かる系である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 May 30, p. 10.

DOI: 10.1126/science.aaf6742

16.6.20

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