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アスコルビン酸

 昨日も今日もアスコルビン酸、有用な還元剤である。たとえばそれをt-ブチル亜硝酸(t-BuONO)と組合せると複素環N-オキシドのC-H活性化とラジカルアリール化が進行し、ビアリール化合物を導くことができる。この反応が昨年、金属を使わない選択的なカップリング反応として報告された[1]。この成果を発表した研究者らはさらにこの系を探索、そこで見た光景は、アスコルビン酸が無くても同じ結果になることだった。アスコルビン酸はすでに確立された添加剤だったにも関わらずである。そこで研究者らは先の論文をゲラ段階で取り下げ、反応機構の掘り下げた調査を続け、今回新しいバージョンの論文を出した。そこにはアスコルビン酸の役割を当たり前のように採用してはいけないということも記されている。今回のことは有機化学における機構の理解の重要性も示している。また従来のこの化学がどのように修正されるかも次の課題である。寛大に見守りましょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 July 11, p. 10.

DOI: 10.1021/acs.oprd.5b00231

DOI: 10.1021/acs.oprd.6b00117

16.7.29

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