« 2016年7月 | トップページ | 2016年9月 »

2016年8月

コンクリートは

 どこにでもある建築材料だけども、クリープ(creep)(ここではコーヒーに・・・ではない)、いわゆる変形が課題である。それは自身の重さで引き起され、材料の完璧さが失われて、亀裂や崩壊の危険が生じる。今回そのクリーピング現象がコンクリートの主要相であるカルシウムシリケート(CSH)の粒の変化であることが見出された[1]。これによってクリープに対してより強い成分開発も行われている。コンクリートは砂や砂利とバインダー、水など様々な混合物であって、建築材料としては数千年利用されており、現在世界中で、水に次ぐ使用量である。それに対して、クリープ機構モデルは提案されていたものの、物理的にすべてを説明することはできていない。その中ナノスケールでの鉱物の分解についての実験的なデータとCSH組成の挙動のシミュレーションの組合せが、CSH粒子は高い応力で溶けて低い応力では再び沈澱することを示し、さらにCSHを変異させた材料は変形しないことも同定されている。コンクリート研究にもコンプリートはない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 August 8, p. 9.

DOI: 10.1063/1.4955429

16.8.31

| | コメント (0)

グルコースで駆動する

 燃料電池は、ペースメーカーや脳刺激装置のような埋め込まれた医療機器を動かすバッテリーの理想的な代替品である。ただしこの燃料電池単独では、迅速高エネルギーパルスを出すことは出来なかった。その中今回、高性能コンデンサーとグルコース燃料電池の組合せで、必要な電力を供給できる系が作成された[1]。炭素電極を酵素でコートし、これが酸化・還元反応を触媒し電流が発生する。アノードにはグルコース脱水素酵素が搭載され、ポリエチレンイミンでコートされている。これによって電気を貯蔵し、中は電気で混んでんさである高性能コンデンサーとして働く。グルコースが酸化されると電子は外部回路を通ってカソードに移動する。そこはビリルビンオキシダーゼでコートされている。電力が必要な際には、コンデンサーから放電され、高エネルギー出力が達成できる。このデバイスを金属メッシュに入れることで、血液は電極に到達できて、グルコースの一定供給が可能になる。しかも1 gあたり300ファラデーの電気容量を持ち、これは従来のものの四倍の容量である。グルコースベースのフルコース素子ができた。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 August 8, p. 9.

DOI:10.1021/acsenergylett.6b00225

16.8.30

| | コメント (0)

アミノ酸やペプチドの

 多様化は微生物ほど、科学者は上手くはない。研究者らはしばしば労力と時間のかかる方法で、修飾アミノ酸を使ってペプチドを合成しなくてはならない。分子を修飾するための酸化の方法がいくつかあるもののこれらは難しく、時にアミノ酸の立体化学を変えてしまう。その中今回、以前に開発されたFe(PDP)Fe(CF3PDP)と呼ばれる鉄をベースにした触媒はアミノ酸の特異的な酸化も得意であることがわかった[1]。納得いく方法である。プロリンのヒドロキシル化が環の5位で選択的に起こり、得られた5-ヒドロキシプロリン中間体をさらに修飾できる。またこの方法でプロリンを21の非天然アミノ酸に変換し、プロリンを含むトリペプチドを八つの修飾トリペプチドに変換している。ペプチドは現在、製薬会社やバイオテックの世界では低分子治療としてやはり、流行(はやり)であることから、このエレガントな方法は現代の薬物設計と直結している。peptide英語ではペプタイド、態度も大切である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 August 8, p. 7.

DOI: 10.1038/nature18941

16.8.29

| | コメント (0)

姫路駅を出た頃

 雨脚が強くなってきた。岡山駅に到着。駅構内のアナウンス「岡山−倉敷間で降水量が基準値を超えたため運転を一時停止しています」とのこと。混雑する駅の待合場所、運転再開が何時になるかのアナウンスが、ないんす。今回のセミナーを担当してもらっている先生にお電話、タクシーでの移動案をもらう。駅西口、長蛇の列。30分ほど待って乗車。「お客さん、道が混んでるんで」とのこと。確かに岡山市内も車で溢れる。山陽新幹線沿いの国道、ここ走るん酷やどう」見たいなほとんど進まないスピード。思わずwebで移動地点を確認。なんとか市内を出た。なんにもしない乗客、しばしスムーズに走った。倉敷市内らしき案内。「うお〜あとわずかなり」と内心期待するも再び交通渋滞。いったい何時になったら到着か。目的地まで残り400 mほど。歩いた方が速い。でも1時間以上一緒だったドライバーさんと最後までつきあった。通常の二倍の時間だったらしい。大渋滞、重大な課題だった。

16.8.28

 

| | コメント (0)

部屋に戻る

 夜は長い。それまでの熱い話題、要因はわからずとも、余韻も残る。ルームサービスを紹介する冊子。いつ刷新されたかは知らない。ビール、カクテル、スピリッツ一通り並ぶ。ラブリーな気持ちのカクテル、はたまた別世界に入って行けんねんビールなハイネケン。後者を選択、ダイヤル2にてお願い。会議資料・衣類の分類、帰国便か手持ちか、と過ごしつつ時間も過ぎる。注文し損ねたかと思いつ再びダイヤル2、必ずだれかがいやる。注文記録もあり。ルームサービス担当に聞いてみるとのお返事。しばらくして部屋をノックする音。セキュリティ窓越しにビールが見えた。おもむろに扉を開ける。男性と思いきやスレンダー女性、黒がベースのスーツ。ガラステーブルの上に置いてシャイな声で「May I open your mind?」違うthe bottle. Yes, please. May I pour it to your glass?」「You do not drink with me?」「I am still working」で新しいミッションが告げられた。こんなシーンみんでしょん。

16.8.27

| | コメント (0)

アミノ酸に

 新しい置換基を組込むことで、新規な触媒、医薬品特性を導き出すことができる。ただしトリプトファンのβ炭素上へのメチル基導入は困難で効果的でないことが知られていた。その中β-メチルトリプトファン類縁体の一段階合成を触媒する酵素をつくる研究が、Caltechで推進された[1]。トリプトファン生成酵素のサブユニットはインドールやアミノ酸であるスレオニン(素浪人ではない)から、β-メチルトリプトファン合成を促進できるものの活性が低かった。そこで研究者らは酵素を無作為に突然変異させることで、より活性の高い突然変異体を探し、最も高いそれの遺伝子コードを再結合させた。その結果、八つの変異を持つ酵素は、β-メチルトリプトファン合成について、天然のそれよりも1000倍の活性を示した。置換したインドールを導入することで一連のβ-置換のトリプトファン全体を導くことができた。その全体をトリップするとファンになります。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 August 1, p. 9.

DOI: 10.1021/jacs.6b04836

16.8.26

| | コメント (0)

高速かつ高選択的に

 ラクトンやカーボネートを開環重合できる一連の新しい有機触媒が報告された。これまでの有機触媒は、高速あるいは高選択的のどちらかで、両方をカバーできるものはなかった。研究者らは、アニオン性チオイミデート触媒を、アルコキシドを使ってチオ尿素から脱プロトン化することで発生させた[1]。この触媒は二官能性であり「あかんのう」の真逆である。これを使えばラクトンあるいはカーボネートモノマーと、成長する高分子鎖の末端を同時に活性化させることができる。これによって鎖が生成する時の高い選択性が説明でき、高い融点と狭い分子量の範囲を持つ明確に定義された高分子構造を導くことが出来る。研究を主導するWaymouth先生は、自分たちのチームは、生体医療に応用できるオリゴマーをつくるために触媒を使っていると述べている。また彼は、同様の二官能性アニオン触媒は別のタイプの反応でも有用であることが実証できるだろうと考えている。Waymouth先生らの方法、うまいっす。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 August 1, p. 9.

DOI: 10.1038/nchem.2574

16.8.25

| | コメント (0)

ネイルサロン

 気持ちよくて寝入るかどうかは知らない。そこに対してニューヨーク州は、従業員を艶出しや他のネイル製品から浮遊する害のある化学物質から保護するための換気の基準を満たすように要求している。艶出し、除光液、硬化剤に含まれる成分は、アセトン、トルエン、フタル酸ジブチル、ベンゼン、ホルムアルデヒド、塩化メチレンを含む。これらの化合物にさらされることは健康問題とリンクしている。これらの化合物に露出してすぐに見られる作用としては、頭痛、吐き気、皮膚の炎症がある。さらに長期的には肝臓、腎臓、神経系に影響をおよぼす。保険局はおおよそ30の害のある化合物をネイル製品で見出した。このうちアセトンやトルエンは、家庭やオフィスと比べてサロン内では上昇する。ただし製品の仕様がしばしば変わることやボトルのラベルに間違いもあることから、この化合物リストは完全ではない。それでも10月からは、ニューヨークで営業を始める新しいネイルサロンはこの基準を満たすための換気装置が必要になり、すでに営業しているサロンでは202110月までには基準をクリアする必要がある。ニューヨークのサロンの後はサーロインステーキを

[1] Chemical & Engineering News, 2016 August 1, p. 14.

16.8.24

| | コメント (0)

バルクのガリウム

 歩くことはないけど30 °Cで液化する。この温度は暑い夏の日の温度で、大抵の金属より融点は低い。その中研究者らは、ガリウムのナノ粒子の熱に対する別の変則を発見した[1]。すなわち粒子を堅い不活性なサファイア表面に置いた時には、おおよそ-90 °Cから525 °Cの範囲で、固体のコアを有する液体の塊として存在する。ナノ粒子の中では圧力は十分に高く、コア周りでガリウムが結晶化する。一方で表面と界面張力の間のバランスが液化した殻に有利な平衡を生み出す。このバランスは、温度によって変化するものの、基質の化学的機械的特性を変化させることによっても変化する。たとえばガリウム粒子は、反応性の高いシリコン基質やアモルファスな変形しやすいガラス基質上に沈澱すると、単一の液相を形成した。異なる基質を選択することで、触媒系や光電子工学素子に応用できる二重相のナノ粒子の特性を調製する新しい方法にもなりえる。ここではガリウムが頑張りを生んでいる。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 August 1, p. 8.

DOI: 10.1038/nmat4705

16.8.23

| | コメント (0)

強い酸と塩基

 と言えば硫酸に水酸化ナトリウムが思い浮かぶ。これらの基質は確かに強くて腐食性もある。ただし研究者らが説明するように、酸と塩基の強さは一般には分子のプロトンへの親和性で測定される。これは分子が水素イオンにバインドしたときに放出されるエネルギーである。ただしこの測定では、水酸化物イオンが水溶液中で最も高いプロトン親和性を示し、それは1633kJ/molになる。一方で、何か起きそうな気相中では最も強い塩基はリチウムモノオキシドアニオンで、1782kJ/molのプロトン親和性を示す。そこで気相中でこれに競うことにして新記録を目指した研究者らは、コンピューターモデルを使い、最も強い可能性のあるアニオンでかつ調製するのに十分な安定性を持つものとして、多重の電荷を持つアニオンを探索した[1]。その結果標的として、ジエチニルベンゼンジアニオンが同定されて、これを質量分析計の中で、連続的にイオン化することで調製するプロセスが開発された。すなわちO-ジエチニルベンゼン異性体が最も強く、プロトン親和性は1843kJ/molであり、これは気相中でベンゼンを脱プロトン化するのに十分である。強塩基と共演している。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 August 1, p. 8.

DOI: 10.1039/c6sc01726f

16.8.22

| | コメント (0)

DNAの95%を

 人類とシェアするオランウータン、アジア以外ではおらんタン。猿とは違う。Great Apesと呼ばれる。ここクチンの森に野生で暮らしていた。森林の伐採や乱獲で数が減少する中保護された。餌付けをして森に帰す。家族ができて社会生活も送ることが出来るようになった。いまでは野生の一家も多くなった。家族ごとに名前がつけられている。一方でリハビリは幼稚園から始める。ここSEMENGGOH Wildlife Centreでは一日に二度餌付けの時間帯がある。ただし森から出て来るか来ないかはオランウータン次第である。幸いにして、ゆるりとした足取りで一頭が現れた。一斉にカメラが向けられる。餌の置き場まで誘導された。恥じらいを感じてか見物する人に背を向けてそれを食べ始めた。さらにもう一頭、バナナの束をつかんで素早く木に上って行った。食べてはバナナの皮を落とす。食べ終わった後、両手・両足を器用に使いこなして曲芸を披露する姿はヒーローだった。

16.8.21

| | コメント (0)

バンケット

 ICCSEISPAC合同である。短い挨拶の後、フルートの演奏、ルートは不明なるも日本からお見えになった。根岸先生がフルートの伴奏に合せて歌を披露された。琵琶湖周航の唄、北国の春を日本語にて披露された。講演とは違う音域。でアンコールモード、アルコールが少し入った皆様からのリクエスト、英語版マイウエイ、旨い過ぎる。ついで著名な方々が登壇されて挨拶が続く。やっとのこといつもの先生のカラオケが始まる。再び「北国の春」ついで「昴」、素晴らしい。でも日本からの学生さんにはなじみがなかった。時代は移動する。どこかのお偉い方が登場。You raise me upとのこと。トリノオリンピック、荒川静香さん。歌い込んでおられた。台湾からの参加者のグループ、マレーシア・ドイツ混成チーム、そこに高橋先生率いる日本チームも加わった。舞台への移動は足下も気にしながら壇上では「上を向いて歩こう」。その後しばし続くも午後1015分頃、ファイナルダンス。民族衣装を纏うダンサー、段差をもろともせずに登壇して最後の踊りが披露された。

16.8.20

| | コメント (0)

オープニング・セレモニー

 この街の要人の到着が遅れるとのこと、代わって根岸先生が登壇された。1963年当時の話を回顧される。渡米した頃、ケネディがニクソンに勝利して月にいくのだと宣言。ずきんと心に残った。実際1969年、腕っ節も強いアームストロング船長が月を歩いた。パデュー大学の卒業。クロス・カップリングの話、周期表から最近の成果など盛りだくさんだった。ISPACの基調講演10:30開始の予定。その頃要人が到着されたとのこと。11時頃からセレモニーが始まるということで部屋を移動。ICCSEISPAC34カ国から400名以上の参加者、日本から108名、お盆の時期に煩悩と同じ数。最初の基調講演は12時前に始まった。二人目がパソコンをセットしているとき座長が告げる。「30分でお願い」15分短縮を要請された。ようせんとも言わずに収められた。食事時にキーノート講演が続けられた。急ぎ食事をして戻って来てほしいとのこと。その後も講演者の入れ替え、プログラムより前に始まる講演。こちらも盛りだくさんだった。

16.8.19

| | コメント (0)

クチン国際空港に降りた

 航空運賃、支払い済み、家賃は無用。ホテルまで10数キロをタクシーで移動。朝でも夜でも「ヒルトン」にチェックイン。フロントデスクの「もちろん」スムーズですという応対。WiFiのパスワード、朝食の時間帯が告げられる。皆様を歓待しています。しばし迷ってエレベーターの踊り場、目的の階に到着。カードキーを差し込んで入る。「寒〜い」エアコン設定20 °C、そんなんせんでいいって、とスイッチオフ。考えを一致してもらえる人はいない部屋の中。八畳ほどのリビングとベッドルーム、四畳半サイズのバスルーム。トランクの置き場を思案、ランキングする。キングサイズベッドのそばにした。身体を横たえて朝が来た。古い建物と新しい建物が混在する街クチンは「ネコ」を意味するとのこと。朝8時、コンファレンス会場行きのバスに乗る。4キロ程とのこと。わずかに曲がった道路、そこには車が溢れていた。40分程して目的地に到着。ICCEISPACのオープニング・セレモニーである。

16.8.18

| | コメント (0)

関西空港まで

 特急「はるか」を利用。中を見張る方はいない。でも指定席は満席、自由席も混雑、立ったままの方も多かった。アジア系から欧米人まで国際色豊か。ターミナル1北ウイング。国際線ロービーも人で溢れている。マレーシア航空チェックインカウンター、搭乗予定の人が稀やしなあとはいかない。トランクを預けて幾ばくかの日本円をマレーシア・リンギットに換金。換金に稟議は不要、およそ30円/1リンギット。保安検査場への早めの移動を促す人、そこに向かう列の最後尾を案内する人。ジャケットを脱いでベルトを外す。パソコンも取り出してそれぞれ別のカゴに入れてゲートに入る。芸当は不要なるも警告音が鳴りはしないか、ズボンがずり落ちないかとしばし不安である。出国審査場も列が続く。それでも通過した時点で航空機への搭乗時刻まで1時間半ほどだった。夏休みのこの時期家族連れも多い。免税店やレストラン辺りも賑わい子供たちの声も飛び交っていた。クアラ・ルンプールまでおよそ7時間のフライト、その間、かつては発表のスライド、今ではpptファイルが、時間内に入るかチェックをする。

16.8.17

| | コメント (0)

多形

 (polymorphs)と呼ばれる異なる形に、材料や医薬品に応用したい化合物は、しばしば結晶化する。多形は、安定性、溶解度や他の特性も様々で、そのうちのある特定の多形が、あったっけい、ということが重要である。化学者はこれまで、機械化学的な製粉で、個別の液体を結晶化させると、個別の多形が得られると考えていた。この定説をテストするために研究者らはカフェインとアントラニル酸の1:1混合物200 mgをボールミルを使って結晶化させた。その際10–100μLの異なる液体を加えた。四つの液体(アセトニトリル、ニトロメタン、エチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール)は添加量に関わらずそれぞれある多形を形成した。他の液体は、液体の量に依存した違った多形あるいは混合物を与えた。たとえば10から20μLノエタノールは多形IIを、40から60μLのそれは多形Iを形成した。さらに10μL1-ヘキサノール、1-オクタノール、1-ドデカノールは、これまでは脱溶媒和でしか調製されなかった多形IIIを与えた。同様の効果は単成分結晶でも起こりうる。この機構の解明は今後の課題だけれども、ナノ粒子の熱力学的安定化、多形の異なる成長機構、製粉条件による多形間の自由エネルギーの差によるものかもしれない。「他県だから多形も違う」とは記されていない。

[1] Chemical & Engineering News 2016 August 1, p. 7.

DOI: 10.1021/acs.cgd.6b00682

16.8.16

| | コメント (0)

およそ40億年前

 彗星と小惑星が地球に衝突し、地球の大洋が蒸発したころ、バクテリアと古細菌の間の全生物最終共通祖先(LUCA)が原始の熱水孔で誕生していた[1]。今回この結論に至った研究者らは、現在のバクテリアと古細菌のゲノムを、バイオインフォマティクスを使って、6百万の有機体の遺伝子をLUCAのライフスタイルの基礎が形成された頃であると考えられる数百まで数を絞って分析を行った。この一連の遺伝子によれば、LUCAは熱を愛する好熱細菌で成長には酸素が不要である。代わって鉄、ニッケルのような金属に依存して、水素を電子供与体として窒素や二酸化炭素を固定していた。LUCAはおそらくエネルギーのためにイオン勾配を利用し、生化学者にはなじみのある多くの共同因子を、いいひんし、ではなくて、フラビンやS-アデノシルメチオニン、補酵素Aを含むそれらを使っていた。実際、原始の有機体は地球上に現存するクロストリジウムバクテリアやメタン細菌と似た生き方をしていた。LUCAのこと理解できましたか?

[1] Chemical & Engineering News, 2016 August 1, p. 6.

DOI: 10.1038/nmicrobiol.2016.139

16.8.15

| | コメント (0)

地上から洞窟に

 水が流れて鍾乳洞や石筍(セキジュン)ができる。その席順は決まっていない。ただその水、同位体比によって古気候に関する情報をもたらす。その中研究者らは今回、この地球化学的な記録は、火事によっても変化し、古気候の解釈を複雑にしている可能性があることを示した[1]2005年から2011年の間、研究者らは、南西オーストラリアにある森の下にあるYonderup洞窟の二カ所の落下する水の18O/16Oの比を測定した、18O16Oよりも重いために、よりゆっくりと蒸発し水中により多く含まれこれが温度変化のマーカーになる。それでもYonderup洞窟の一カ所で採取したデータは、モデルで予測したよりも多くの18Oを含んでいた。一方で、同様な乾いた環境にあるGolgotha洞窟に近い場所での酸度同位体比にはそのような豊富さはみられなかった。ただし2005年にYonderup18Oが豊富な地域では激しい山火事があって巨木が失われた。これによって蒸発も促進されて今回の同位体比に至ったことも考えられる。どちらにしても同位体比の変化は、5年から10年の経過観察が必要である。Yonderup洞窟の話、読んでる?退屈ではないよ。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 July 25, p. 11.

DOI: 10.5194/hess-20-2745-2016

16.8.14

| | コメント (0)

無機化学の楽しみの一つは

 周期表を探索して、新しくて面白うそうな何かを、幻想的かもしれないけれども、元素でつくれないかと探索することである。今回の研究者らは、周期表で同じ族のより多くの元素を組込んだ複素環をつくりたいと考えた[1]。ここでは第15族元素のうち四つの違うものを使った環の形成が行われていた。ただし当初の目的は達成できなかったものの、前例のないSb-N-As=P鎖を含む鎖状化合物にたどり着いた。研究者らの知る限り、これは鎖状に四つの異なる15族元素(ニクトゲン元素)が組込まれた最初の例である。原理的にはBiも組込み可能であるものの、相当に難しい系になるため、Biは、なしですますことになった。周期表では、13族から15族の元素だけが異なる元素の連結が可能であるものの、13族(BからTl)では同様の四つさらにはより多い元素のつながりの例はない。また14(CからPb)では四元素を含む系が知られているが、五元素組込みの例はない。見たら動けんそうになるかもしれない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 July 25, p. 11.

DOI: 10.1002/chem.201601916

16.8.13

| | コメント (0)

国道156線を北へ

 白鳥町辺りで左に入ると「阿弥陀ケ滝」を訪ねるための駐車場がある。小学生が車を誘導して駐車。滝まで徒歩で5分程坂道を登る。わずかに水しぶきを体感しつつおよそ60 mの落差で滝壺に落ちる水を眺める。猛暑の中まさに清涼。戻る途中「流しそうめんはこちら」に誘われて右の道を選ぶ。そうめんと岩魚(いわな)のセット、これを言わないわけはない。マタタビスカッシュ、再びはないかもしれない、スカッとしたい。これも注文。待ち時間あり。昼時で賑わう。しばらく待って呼んでもらった。木製の長椅子に座って、目の前の石造りの溝の中はゆるやかな水の流れ、そこにそうめんが流れる。2 メートル余りの溝が往復する端からそうめんが流される。ゆるりとした水の流れ、それにのってそうめんが流れる。聡明な人は箸を差し出してしばらく待つ。そこに集まったそうめんをおもむろに自分のものとする。自家製生タマリ。これもたまりません。そこに生わさびが入る。アリルイソチオシアナート[1]なり、多分。満喫するまで食す。美味さにショックヤス。

[1] 2010.4.7「村井君のブログ」

16.8.12

| | コメント (0)

使い捨ておむつの

 売上げ増に呼応して日本の化学会社は、赤ちゃんや大人のケア商品のための原材料を供給する設備を増強させる[1]。日本ゼオンは6千万ドル以上のプラントを完成させ、粘着に利用できる熱可塑性エラストマーを製造する。この最大の用途の一つはおむつ用のファスナーである。ついで東レと三井化学は、使い捨ておむつ用の不織布製造設備を拡大することをアナウンスした。また、おむつでは、ほとんど使われるアクリル酸べースの材料の世界のトップメーカーである日本触媒は、超吸収性高分子の新しいプラントをスタートさせる。今後の使い捨ておむつのアジアの需要の伸び率は9%と見込まれ原材料の供給が厳しい状況である。日本では大人用おむつの需要増大である一方、需要の伸びが著しい中国では、親御さんが裕福で都会的になりつつあり、自分たちのジュニアに使い捨ておむつをあてがうようになっているためである。そのため中国の伝統的な股割れズボン(open-crotch pants)が中国の通りでは当たり前ではなくなってきた。需要が重要、おむつ(diaper)も偉大やぱ〜。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 July 25, p. 14.

16.8.11

| | コメント (0)

強さと生体適合性のために

 チタンは、医療用インプラントのための金属としてプランされるようになった。今回さらにわずかな金をチタンに加えると、より良い材料ができることがライス大学のEmilia Morosanらのグループから報告された[1]。もろさはないMorosanらの新しい化合物であるβ-Ti3Auは、純粋なチタンや多くの合金鋼よりも4倍ほど硬い。この極端な硬さは、短いTi-Au結合と中にたくさん存在する価電子に、部分的には起因する。より硬い材料はいつも期待されるものの、「お硬いだけ」では生物医学への応用には不十分である。「生体適合性」も必須で、多くの硬いチタン合金はそうではない。それに対して幸いなことにβ-Ti3Auは、純粋なチタンよりもよりよくすり減り、より長寿命の材料に変わる。これらの特性のために、β-Ti3Auは様々な歯科用インプラントや接合部位の長寿命化を可能にする。さらに医療・掘削・スポーツ用品への新しい応用も見据えることができる。やっぱチタンに落ち着いたんや。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 July 25, p. 10.

DOI: 10.1126/sciadv.1600319

16.8.10

| | コメント (0)

化学オリンピック

 中国チーム金メダル四つ、ロシア・台湾・ルーマニア・韓国それぞれ金メダル三つ、シンガポール・イラン・タイ・インドそれぞれ金メダル二つ、去る7月23日より81日まで第48 回大会が、グルジアの首都トビリシで開催された。グルじゃないけどチームワークも大切。67カ国・264人の高校生が参加。5時間の試験に加えて5時間かけた実験室での試験が課せられた。試験の一つは、地元グルジアの有名なミネラルウォーターのサンプルの分析。米国から参加の学生さん試験終了後、実際に水を味わった。硫黄と塩の味がしたと言う。彼はまた友人とグルジア内のミネラルウォーターが生産されている地域へ遠出。参加した生徒たちは、今回の経験は単にメダルを獲得したに留まらない。他の国からの参加者との交流、同じ経験をしたこと、将来について語りあったこと、すべて人生で一度しかない出来事である。と感じている。49回大会は201776日−15日タイで開催予定。体制を整備して行きたいねえ。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 August 8, p. 5.

16.8.9

| | コメント (0)

1959年の

 リチャード・ファインマンさんの講義では、原子を使ったデータのエンコードで驚くほど大量のデータを保存することができることが提唱されていた。今回それに一歩近づく系が報告された[1]。すなわち塩素原子を銅表面に配置させた書換え可能なデータ保存をする系である。これは今使われているハードディスクの500倍のデータである1 平方インチ当り500テラビットのデータを保存することができる。でもラビットはでない。これによって米国議会図書館全体にある内容が砂粒に匹敵するサイズに収まる。調製は塩素原子を銅表面に蒸発させて、それぞれのビットは塩素原子と空間あるいは隙間から成り、二つの相対的な位置が「1」あるいは「0」を示す。これまで同様のシステムが報告されていたけれど、それらは10 K以下に冷却する必要があるが今回のこれは77 Kでよく1000倍多いデータを貯蔵できる。またSTMと自動ソフトウエアを使ってデータを読み取り、書換えは塩素原子を押すだけでよい。今回の成果が直ちに保管技術を革新的に一新するものではないが、原子の隙間を使ったデータ貯蔵は、最も高密度になることは想像できる。ただし読み取りと書換えには1,2分を要するため、この点も解決すべき課題の一つである。データ貯蔵が頂上に向かっている。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 July 25, p. 5.

DOI: 10.1038/nnano.2016.131

16.8.8

| | コメント (0)

リチウム空気電池がもし

 理論的な性能まで向上できたら、リチウムイオン電池の10倍程度、重さあたりのエネルギーを、今日からでも急に、供給することができる。ただし空気を呼吸する電池は、実際にはそれほどのパワーがない。現状ではゆるりとした反応速度と短い寿命に悩まされている。ここでの主たる課題は、放電の際にLi2O2のような酸化リチウムが生成し、この固体が陽極表面に蓄積し、酸化物の形成を元に戻すのに必要な触媒の部位を埋めてしまう点である。その中研究者らは、陽極表面から触媒を移動させることでバッテリーの性能向上を行った[1]。すなわち多孔質の酸化アルミニウム膜を触媒のPd粒子で修飾し、陽極の近傍の膜に配置した。得られた膜の試験の結果は、触媒膜上に酸化リチウムが生成するものの、触媒粒子を埋めてしまうことはなかった。粒子は充電の間にも性能を維持し、酸化リチウムが分解したことから電気化学反応が可逆で進行していた。電池の陽極・陰極、歌謡曲にはならんか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 July 25, p. 7.

DOI: 10.1021/acs.nanolett.6b00856

16.8.7

| | コメント (0)

アミロイド-β血小板は

 アルツハイマー病の顕著な特徴の一つである。ただし科学者は、何がこのペプチドの凝集体の形成を引き起すのか、何が脳組織を取り囲むようにさせるのかをまだ理解できていない。その中ネズミや人の脳の中の血小板の三次元イメージをつくる新しい技術が開発された[1]。それをつくるためにまず、抗体あるいは低分子色素を使ってアミロイド血小板が染色された。ついで脳組織を様々な有機溶媒を使って脂質を除去し、組織を透明にした。最後に光シート顕微鏡を、ひっかり使って数時間かけて組織の個別の部分のスナップショットを集めることで、全体の像が見えてくる。ネズミの血小板のサイズは概ね均一だけど、人のそれはより変化に富み、あるものは大きくて複雑な形だった。研究者らはこれをもとに結晶の変化が患者さんの病状の進行の違いに相当するかどうかを解明しようとしている。さらに血管、別の脳の部位や様々なタイプの細胞を染色することで、血小板の周りの環境をより深く理解したいとしている。なおそれでご相伴になれるかはわからない。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 July 18, p. 8.

DOI: 10.1016/j.celrep.2016.06.060

16.8.6

| | コメント (0)

携帯電話と交信できる

 スマートチップである市販の近接場の情報通信タグを改良することで、新しいデバイスが開発された[1]。研究者らは、イオン液体に浸けた単層炭素ナノチューブでできた化学抵抗器を先のチップに加えることにした。これによって化学兵器に類似の親電子分子が導電性ナノチューブでコートしたイオン液体に触れた際に、分子が加水分解される。ついでタグの中の抵抗の変化をモバイル器がたぐり寄せて検出できる。神経ガスに類似のクロロリン酸ジエチルを使ったテストでは、この化合物に対する被ばくの程度が低い場合から高い場合まで様々なレベルで、しかも何度も検出された。今日の携帯電話は、光、磁場、温度、加速、圧力、音波を含む様々な現象を検出できるセンサーとして、繊細に作用できる。ただしこれらすべては物理現象である。それに対して今回のような研究成果は、安価な小型化学センサーであり、莫大な応用の機会をモバイル機械に付与するものである。決して奇怪ではなくて。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 July 18, p. 7.

DOI:10.1002/anie.201604431

16.8.5

| | コメント (0)

くらげやいかは

 お家芸として、からだの表面構造の形態を、筋肉を制御して変化させることによって見かけを素早く変化させる。これにヒントを得た研究者らは。機械的に誘導される折り目やゆがみに呼応して可逆的に見かけが変化する高分子材料を設計した[1]。動物は、カモフラージュや安全のため色を変える能力を有効に利用する。先の研究者らのつくった材料は、機械センサー、光学スイッチ、色が変化するスマート窓として利用できる。たとえば柔軟なポリジメチルシロキサン(PDMS)上にポリビニルアルコールとシリケート化合物でつくった透明で堅いフィルムを沈澱させて得たメカノクロミズムを示す材料も提供されて、その二層系の材料を40%伸ばすだけで、透明と不透明が可逆に変化する。これは伸長によって生まれる微視的なクラックと折り重ねが光をトラップし散乱させるためである。ほかにもUVを遮蔽するフィルムと蛍光発光化合物をドープしたPDMSとを組合せ、わずか5%伸ばすだけで蛍光と無蛍光を、無抵抗に制御していた。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 July 18, p. 9.

DOI: 10.1038/ncomms11802

16.8.4

| | コメント (0)

三つのホスファアルケンを

 含む四座配位子とそれを用いたRh, Ir錯体の初めての例である[1]。これによって金属中心での新しい化学の誕生も期待される。ハワイ大学のCainらが牽引して、オルト置換のトリフェニルホスフィンのそれぞれのオルト位が置換された化合物を足がかりに、トリス(ホスファアルケン)ホスフィン配位子が合成された、それぞれのホスファアルケニル基のリン原子上には嵩高い置換基である2,4,6-トリ(ターシャリーブチル)フェニル基が組込まれている。そこでRhあるいはIrとの錯体を形成させると四つのリン原子それぞれが金属と近接し、カップの形をした構造をつくる。表に突き出している金属部位を停泊させるポケットとエネルギー準位の低いπ*軌道との組合せが、異常な立体的また電子的な環境を提供している。さらにこれを使って反応性の低い典型的な化学種の化学を展開することも可能である。ちなみに記されたRh錯体のRhにはアジドが結合し、あじとができている。後味いかがでしょうか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 July 18, p. 9.

DOI: 10.1021/acs.organomet.6b00250

16.8.3

| | コメント (0)

窒素は

 炭素と違って、長鎖の化合物や環に多数が組込まれた分子をつくることは少ない。ただし後者のような環に窒素が、窒息するくらい組込まれると、この多窒素化合物は、高エネルギー材料として利用可能である。そのような化合物の一つが、シクロペンタゾールアニオンであり、それは芳香族性を示すために幾分安定ではないかと期待されていた。これまでの研究では、五員環のすべてが窒素の化合物は気相中で、競うわけではないけど、同定されていた。ただし溶液中での直接観測は報告例がなかった。その中今回フェニルペンタゾールをTHFNaで還元することで、シクロペンタゾールアニオンを発生させることができることが報告された[1]。この反応ではフェニルラジカルと対応するアニオンが生成していると考えられている。さらにこのアニオンを使った反応も期待されている。それ自体は-40 °C以下ではかなり安定で、室温でも数分は壊れずにそのままである。多窒素環に立ち入った感ありです。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 July 18, p. 8.

DOI: 10.1002/anie.201605400

16.8.2

| | コメント (0)

バナナ結合が解裂する

 って、微妙だけど、美味に聞こえる。ただしこれは表面化学での話で、特に光が駆動する水の分解で触媒から水素分子が解離する時のことである。通常解離は熱的に引き起されると考えられているものの、今回の研究結果は光によっても誘起されることを示していた[1]。燃料電池のための水素を水の分解でつくる一般的な方法は光電子を放出することができる半導体とRuO2のような共触媒とを組合せてレドックス化学を促進させる。これまでは発生した水素はσ結合からRu4dz2軌道に電子を供与することでRuO2に吸着していると考えられていた。これによって、三中心二電子系のまがったバナナ結合ができる。それに対して今回Ru(IV)上の分極したH2と反対に分極したRuO2との間の静電相互作用が同定された。さらに可視光照射によってRuO2で光学遷移が起こり、電荷の再配分が起こり、静電相互作用が弱まり水素が発生する。この発見は、これまで認識していなかった共触媒上での光学遷移があることを提案している。光学遷移、学生さんも学んでください、高額ではないので。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 July 18, p. 9.

DOI: 10.1021/jacs.6b05083

16.8.1

| | コメント (0)

« 2016年7月 | トップページ | 2016年9月 »