« 2016年9月 | トップページ | 2016年11月 »

2016年10月

白いお城

 姫路城、事情が会ってしばらく前に改修工事が施された。白漆喰がしっくりなじんでいる。お陰で国内外を問わず、たくさんの観光客を集めている。姫路駅を降りた場所からも、はるか向こうに天守閣が見える。1 kmほど歩いて信号を渡る。城内に入るために門をくぐる。そこは広場、江戸の頃には、家臣あるいは地元民を集めたのだろうか。しばらく進んで再び門をくぐる。左へ曲がって右へ曲がる。不信な者の侵入を防ぐ構造。靴を脱いで天守閣の急な階段を上がる。登りは400年前のそれで現存している。城内の廊下、直径80 cm以上もあろうかという梁が数メートルごとに配置されている。張り切ってカメラで切り取る。ほぼ一周して次の階へ。1333年に建立されて1580年頃には秀吉の居城にもなっていた。安土桃山時代の建築美が栄える。ただし外周とは違って、城内は軍事建築物ベース。それでも優美な表現があると解説されていた。青空のもと、緑葉樹との鮮やかなコントラストのラストシーン、お城については素人でも堪能させてもらった。

16.10.31

| | コメント (0)

バース投手の

 ヒット。その3時間程前、いきなり三塁打を放つも一回表は1点に抑えられた。その後逆転して2-1にされるも3得点した。それでもついに同点にされた。8回表、これまでチームを牽引してきた相手投手がマウンドに立つ。満塁のチャンスをもらった。そこに打点王。その実績、なかったことにはできない。これまでにはない緊張感の投手、打者もしかり、フォアボールを選んだ。思わずガッツポーズ。2アウト満塁は続く。そこで打順は投手。DH制をしくパリーグ、投手の打席は基本的にはない、時に招聘される選手もいるけど一名である。それでも打席でバットを振り切った。バットがボールを捕えて二塁守備選手の上に落ちた。2点差になった。落ち込む投手(多分)、動けないベンチ、でも次の打者は、レアものなり。打球は相手チームのファンも多いレフトスタンドに吸込まれた。ほとんど勝負あり。四時間を超えた試合、マウンド周りで日本一を祝福する勝者。加えてそれをみつめる相手チーム「おめでとう」でも「いたたまれない悔しさ」、披露してました。

16.10.30

| | コメント (0)

神経毒である鉛を

 人類は過去3500年に渡って大気に放出してきた。鉱山、有鉛ガソリンや別の活動からである。ただし過去数十年の努力で鉛の放出量が減少してきたことが、カナダアルバータの泥炭湿原のデータが示していた[1]。アルバータ大学の研究者らは、六ヶ所からでた泥炭の中核を抽出し、大気から放出される鉛の評価を行った。一般的な鉱物の量のインジケーターである鉛とトリウムを、様々な中核からのサンプルで測定している。年代の特定には、14C210Pb法が使われている。その結果、地域による違いはあるが、1960年から1995年が鉛のピークであり、これは米国やカナダで自動車が有鉛ガソリンを使っていた頃とその排除が始まった頃と合致する。とりわけアルバータ中核の表面層にある鉛の量は、6000から9000年前のスイスの沼地から採取したサンプルの中の量と同等であり、これは自然界のバックグランドレベルである。この成果は、人為的な放出を削減するという過去数十年に渡る国際的な努力の証拠である。鉛があまりないようになった。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 October 10, p. 11.

DOI:10.1002/2016gl070952

16.10.29

| | コメント (0)

C-H結合のフッ素化では

 フッ素原子を供給できる反応剤を選び、標的分子の配向基が絶好であるか?期待するC-H結合を活性化してそこにピンポンイトで組込むことができるか?を吟味しなくてはならない。君にできるか?時に難しい。それに対して今回研究者らは、この考慮すべき因子の数を削減するために、フッ素化アミド反応剤をフッ素源として、またこれ自身が配向基として作用する反応系が開発された[1]。方向性のないC-H結合のフッ素化はラジカル反応で進行し、最適のC-H結合を選択的には選べない。一方で配向基を使う反応は正確に特定の位置を狙える。ただし官能基化された分子の場合には制限があり、コストのかかるPd触媒も必要になる。ここでは出発のアミドとN-フルオロベンゼンスルホンイミドとから調製したフッ素化アミドに安価な鉄トリフラートを加え温和な条件でベンジル位が選択的にフッ素化されたアミドを導いている。この新しい方法は複雑な医薬品合成の後半段階で分子の選択的フッ素化に使える点利便性も高い。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 October 10, p. 11.

DOI: 10.1021/jacs.6b08171

16.10.28

| | コメント (0)

形を変える材料は

 ドラッグデリバリーや生体医療素子を含む様々な応用のために有用である。一般にそれらは外部のトリガーで望みの動きが、苦労せずに駆動する。その中今回研究者らは、外部の刺激がなくても事前に決められた速さで変化するようにプログラムされた材料を開発した[1]。新しい材料は、N,N-ジメチルアクリルアミドとメタクリル酸の共重合によってつくられた交差連結した二重のネットワークを持つヒドロゲルである。最初のネットワークは、元のかたちの記憶に沿った低濃度の連結である。次のネットワークは、可逆の水素結合が存在する高濃度で、これが新しい形を一時的に確保し、ついで解離することで材料はもとの状態に戻る。この変化は、秒でも時間でも必要なタイムスケールで可能であり、水素結合の寿命が、共有結合が形成しもとの形に戻ることがらせん構造で起こるよりも長くなくてはいけない。研究者らは、この形が変化するヒドロゲルを使って人工の花をつくった。それは二時間ほどかけて花びらが開き開花するようにプログラムされていた。快感。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 October 10, p. 10.

DOI: 10.1038/ncomms12919

16.10.27

| | コメント (0)

自動車の排ガスは

 燃焼した燃料からの様々な微粒子を含む。そのうちカーボンナノチューブが悩ましい。それは長くて薄い形で、より大きなマイクロメートルサイズのアスベストファイバーと類似で、ベストどころか、肺の組織に居座って呼吸器障害を引き起しうる。新しい研究では、ディーゼル燃料で見つかった硫黄とフェロセンが自動車エンジンの中でおよそ100 nmの長さのナノチューブの形成を促進することもわかった。その中機械工学士らは系統的に、硫黄とフェロセンの濃度を増加させてエンジンに入れた。ついで透過型電子顕微鏡で粒子の排気と形を捕えた。燃料が硫黄だけあるいはフェロセンだけの場合には、それほど多くのファイバーは生成しなかった一方で、4500 pmの硫黄と36 pmのフェロセンがある時は、集められたナノチューブのイメージが増加していた。この硫黄濃度は米国の濃度よりも高いものの、いくつかの国のディーゼル燃料のレベルと同等であることから、厳しくない基準を採用している発展途上国では、より多くのナノファイバーにさらされている可能性が指摘されている。ファイバー、売買もなくてバイバイできるといいけど。

[1] Chemical Engineering News, 2016 October 10, p. 10.

DOI: 10.1021/acs.estlett.6b00313

16.10.26

| | コメント (0)

軍事の実験場や

 他の場所で、爆発物が残留する土壌を修復する方法を科学者は探索している。今回爆発物のひとつである2,4-ジニトロアニソール(DNAN)をバクテリアによって検出し破壊する方法が開発された[1]。研究者らは以前、ある種のバクテリア、照れ屋かもしれないけど、にあるエーテル加水分解酵素をDNANが製造されている工場の廃水で見つけた。さらに過水分解酵素は、なんの補助因子を加えなくても微生物の外でも働く。酵素はDNAN2,4-ジニトロフェノールに変換し、その化合物が呈する黄色でDNANの存在がわかる。そこでまず酵素をシリカに担持し廃水の流れの中にあるDNANの検出に使えること、さらにバイオリアクターの中でその分解も可能であることを示した。またセルロースのろ紙を酵素でコートし、DNANの残存を示すフィールドでも使えるようにした。国防総省はDNANTNTなどと比較して安全で、感度が高くないため興味を示している。また今回の系は、爆発物を生分解する方法の草分けである。成果は世界で山分けに。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 October 10, p. 8.

DOI: 10.1021/acs.est.6b03044

16.10.25

| | コメント (0)

シアノバクテリアは

 植物のように、太陽光と二酸化炭素をエネルギーに変換できるため、微生物由来の化成品を製造できる再生可能な魅力的な候補である[1]。ただし生産のスケールアップが難しい。とりわけ大きな工場設備では太陽光に制限があるためである。ひるまんでも昼しか太陽光はない。その中カリフォルニア大学デービィス校の研究者は、この課題解決のためにシアノバクテリアを工学的に改変し二番目の炭素源であるグリセロールを代謝できるようにした。グリセロールはバイオディーゼルの安価で豊富な副生成物で、常々その利用方法の新しいバージョンが期待されていた。以前その研究者は、よく使われる高分子前駆体である2,3-ブタンジオールを製造する種の遺伝子操作をしていた[2]。今回シアノバクテリアがグリセロールの消化を可能にする酵素を遺伝子に組込み、昼夜を問わず2,3-ブタンジオールを製造中やに改良された[3]。「なんちゅうやつや」「シアノバクテリアです」

[1] Chemical & Engineering News, 2016 October 3, p. 13.

DOI:10.1021/acssynbio.6b00239

16.10.24

| | コメント (0)

材料の微視的なひび

 日々成長する可能性があり、航空機や宇宙船、エレクトロニクス、パイプに使われるプラスチックやコンポジットで、より大きな割れ目になり得る。これを小さな見えない段階で検出する技術が開発された[1]。この初期警告によって技術者は、不具合のある部分を交換したり、修理を行うことができて、大惨事を回避できる。研究者らは様々な高分子材料に、1,1,2,2-テトラフェニルエチレン(TPE)の希薄溶液で満たしたポリウレタンマイクロカプセルを埋め込んだ。TPE分子は会合した際には、明るく蛍光を発する。プラスチックの中で小さなキズが生じるとカプセルも壊れ、これによって溶媒が蒸発し、カプセルの殻でTPEの結晶が成長する。紫外線を照射することで、結晶は青色蛍光発光する。またプラスチックを可視光雰囲気下ナイフで傷つけた時も、TPE10%濃度含むマイクロカプセルがあれば、紫外ランプで発光した。研究者らは、ダメージが起きて40日以内に2μmより小さなクラックを、楽々、検出することができる。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 October 3, p. 13.

DOI: 10.1021/acscentsci. 6b00198

16.10.23

| | コメント (0)

レバウジオシドは

 植物であるステビアが製造するステビオール配糖体で、カロリーのない甘味料として、ソフトドリンクや食品に使われる糖やフルクトースに置換えることができる。大抵の市販のステビア製品は、捨て身でつくられるわけではないが、ステビオシドとレバウシオシド(Reb) Aがもとになっている。ただしいくつかの人工甘味料と同様に、これらの化合物は好ましくない苦みや金属っぽい味がする。とりわけ濃度が濃くなった場合には顕著である。それに対してステビオール配糖体の中でReb Mは、最もバランスのとれた味のプロファイルを示し、飲料や食品に甘味をつけるのに適した特性である。今回特許を出したManus Biosynthesisによれば、Reb Mは、ステビア植物にはあまり含まれず(葉っぱの重量の0.01 %)経済的に供給が難しい。そこでこの会社は、MITの研究者らが開発したコアな技術に基づいてそれを95%以上の純度でかつ大量に製造する方法を示した[1]。甘味料で感無量である。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 October 3, p. 12.

WO2016073740

16.10.22

| | コメント (0)

ナノ粒子に

 薬を包み込むことで細胞膜を透過させる一助になる。ただし細胞はそのナノ粒子を、飲食作用によって吸収してしまうために薬がエンドソームにトラップされ、ジエンドになる。生医学工学の研究者らは、この問題をコネクトソームと呼ばれる構造を使って迂回させ、薬を直接細胞質に届ける方法を開発した[1]。コネクトソームの脂質膜は、細胞の間の分子を交換するためのチャンネルである細隙結合で密になっている。研究者らは、細隙結合をつくる蛋白質であるコネキシンを大量につくるように改変されたドナー細胞からコネクトソームを作成している。また薬をドナー細胞に積み込むことで薬は、コネクトソームが形成するにつれて、それに包込まれる。あるいは求められる荷物の溶液でコネクトソームを生み出すことも可能である。細胞アッセイの結果は、コネクトソ—ムが抗癌剤であるドキソルビシンの必要な量を、それを使わない場合の一桁多く、さらに従来のリボソームに包み込んだそれの数桁多いオーダーで放出させていた。なので桁外れである。◯◯ソーム、総務係にも聞いてみるか。

[1] Chemical & Engineering News 2016 October 3, p. 12.

DOI: 10.1021/jacs.6b05191

16.10.21

| | コメント (0)

分子量子力学的な

 能力、すなわち同時に二つの状態が存在することを利用して、研究者らはX線パルスを使い、気相のヨウ素分子における電荷と核の動きの動画が、原子空間レベルでかつフェムト秒の解像度で作成された[1]。すなわちヨウ素分子を可視光レーザーパルスで励起させ、分子を励起状態にすると、それと基底状態とが同時に存在する。ついで聴講している間もなく、超高速のX線パルスを両方の状態から散乱させ、分子の励起状態の電荷と核の動きを追跡している。この効果はほとんど常にX線回折では古くからあったもので、それを今回新しい使い方をしている。研究者らはさらに、この手法を使って、DNAのビタミンによる保護や、視覚のためのレチナールの異性化のような、より軽い原子が組込まれた低分子の光化学を理解するために利用することができるのではないかと期待されている。良心的な量子力学的能力だった。

[1] Chemical & Engineering News 2016 October 3, p. 12.

arXiv:1608.03039

16.10.20

| | コメント (0)

ハエの一種である

 ミバエ、見栄えはともかく、フェロモンを使って、仲間に新しい餌のもとやロマンスが芽生える場所について情報を交換している。ただしミバエはこれらの化合物をフェロモンの分泌腺からだけ出しているわけではない。それらは排泄物の中の分子メッセージとしても残されている[1]。研究者らは熟したブルーベリーの上にあるミバエの糞には、ラウリル酸メチル、ミスチリン酸メチル、パルミチン酸メチルを含む様々なフェロモンがあることを見つけた。これらは集合と交配のシグナルの一種である。ハエの落とし物の中のセックスや餌フェロモンの存在は他のハエにもその近傍に卵を生むことを促し、幼虫は、熟した実を食べる前に、前消化された糞の中の餌を食べることができる。研究者らは関連するハエのお尻化学を研究すれば、穀物の保護や寿命を伸ばすことにつながることを期待している。排泄物はある種族の個体間の重要なコミュニケーションツールであるように思われる。にもかかわらず多くの生態学研究では、この点が無視されている、虫だけに。憤慨される方もおられるかも。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 26, p. 10.

DOI:10.1007/s10886-016-0737-4

| | コメント (0)

9月17日ニューヨーク市

 で起きた爆発では、Tanneriteが利用された可能性が報道された。Tanneriteは、長距離射撃練習に利用されるものであり、訓練者が音によってショットが成功したかどうかをショートで確認できる。特許によれば、酸化剤として85%(重さの割合)の硝酸アンモニウム粉末と15%の過塩素酸アンモニウム、触媒成分として90%爆発等級のアルミニウム粉末、チタンスポンジと水素化ジルコニウムがそれぞれ5%でつくられている。ただし製造業者は、Tanneriteは最低2000フィート/秒の高速弾丸を標的に向けるための有害性が緩和された爆発物であること、わずかな共通成分が検出されただけで17日の爆発物であると特定はできないとしている。しかもそれは安定で非常に強いショックも必要である。現場ではTanneriteに加えてヘキサメチレントリパーオキシドジアミン(HMTD)も同定された。HMTDは、2015年のパリや2016年ブリュッセルで使われたトリアセトントリパーオキシドに類似の有機爆発物である。ただしHMTDは安定ではなく簡単に爆発する。またHMTDを使うためには合成も必要であるものの容疑者が入手した経路などは特定されていない。記者は容疑者らをさらに探るにちがいない。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 26, p. 7.

16.10.18

| | コメント (0)

芳香環の

 直接トリフルオロメチル化は化学者にとって重要な合成反応である。より害の少ない反応剤を使った新しい多くの例が報告され、これによって生成物の選択性の向上と廃棄物の量が削減されているものの、費用効率の高いスケールアップできる系は、未だにアップされていない。その中今回、スケールを大きくした光化学フロー系の反応器が設計された[1]。そこでは温和な条件下、安価な反応剤の組合せが採用されて、キログラム量のトリフルオロメチル化アレーンとヘテロアレーンが生産されている。研究者らは4-フェニルピリジンN-オキシドをレドックストリガーとして用い、これが青色を吸収するRuビピリジン触媒によって活性化されている。光レドックス系では、無水トリフルオロ酢酸が脱カルボキシル化し、トリフルオロメチルラジカルが発生し、さらにアレーンやヘテロアレーンと反応する。粗生成物は再結晶によって高純度にすることができる。反応はパーフルオロエチルやプロピル基導入にも拡大し、パーフェクトになりそうである。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 26, p. 11.

DOI: 10.1016/j.chempr.2016.08.002

16.10.17

| | コメント (0)

有毒物質X

 いわゆるVXガスや関連するホスホン酸誘導体からなる神経ガスは酵素であるアセチルコリンエステラーゼの働きを不活性化し人を死に至らしめる。これによって神経伝達物質アセチルコリンが、懲りんと、より多く生産されて中枢神経さらには抹消神経系に毒をもたらす。現状医師は、これらの神経ガスにさらされた患者のアセチルコリンの蓄積の徴候をなんとかコントロールすることで処置している。ただしVXにさらされてからと有機リン化合物を無毒にするためのあいだに時間差がある。そこでより迅速対応するために、研究者らは、ヒドロキサミン酸基を組込んだスルフォナートカリックス[4]アレンを開発した[1]。これは、VXや関連する化合物を温和な条件下3-5分で不活性化できる。陽電荷を帯びた有機リン化合物は、陰電荷を帯びたカリックスアレンに入り込み、ついでヒドロキサミン酸との反応で不活性化される。反応は量論的で、現在開発されている触媒的な生物スカベンジャーほどは魅力的ではない。ただしこのカリックスアレンを使った手法はVXガスなどを取り除く確かな合成化合物への道を開く。いずれびっくりするほどに

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 26, p. 10.

DOI:10.1002/anie.201606881

16.10.16

| | コメント (0)

天然ガスを綺麗にし

 メタン成分を主成分にするために、アルキルアミンの水溶液を使い、硫化水素と二酸化炭素を、混合ガスから取り除く。硫化水素を取り除いた後のガスは、ましな臭いがするために甘味として知られるプロセスである。ただし労せず完結するわけではなくて副生成物として粉末硫黄が生じる。硫黄は、銃の起爆や硫酸として利用されているものの、それらのスケールはそれほど大きくはない。その中今回、硫黄を使った天然ガスから二酸化炭素を取り除く方法が報告された。研究者らは、粉末硫黄を使って、超微小性ベンゾトリアゾールポリマーが、触媒なし溶媒なしの条件で合成された。これらの硫黄を含む高分子は、天然ガスのメタン、燃焼排ガス、埋め立て地ガスから二酸化炭素を除去できる。この類いの高分子は、二段階甘味に利用できる。まず硫化水素がアミン溶液を経て天然ガスから硫化水素が取り除かれる、ついで二酸化炭素が高分子によって取り除かれる。硫黄は、天然ガス精製に繰返し利用できるため、高付加価値の応用や、低付加価値への利用の可能性を示している。かちかちになってはいけません。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 19, p.9.

DOI:10.1016/j.chempr.2016.08.003

16.10.15

| | コメント (0)

高配位金属錯体では

 配位子の中の配位する元素は、窒素、リンあるいは酸素のようなヘテロ原子である。炭素は通常含まれない。その中研究者らは、金属に配位する五つの元素がすべて炭素である前例のないキレート配位子を調製することでこの状況を一変させた[1]。これは平面の炭素配位の新記録である。導かれたメタラサイクルは12の炭素のループに囲まれたオスミウムで特徴受けられている。研究者らはこの配位子をカルボロング(carbolong)と名付け、配位子としてオスミウムでなくてもお墨付きをいただくことができて、配位化学の基本的な構成要素になり得る。計算分析によれば、多環式芳香族炭化水素であるものの、従来のそれとは異なっている。さらにオスミウムカルボロングは紫外線から近赤外までを吸収することができるため、光熱療法の確かな候補である。そこではレーザー光の吸収によって引き起される局在化した熱ががん細胞を破壊する。実際に化合物でネズミの腫瘍退縮が観測されている。高配位のこと、後輩にも教えてあげてください。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 19, p. 9.

DOI: 10.1126/sciadv.1601031

16.10.14

| | コメント (0)

葉っぱのような黄色の耳を持つ

 熱帯の白いコウモリ、広がった鼻も持つ。鼻持ちならないわけでも奇妙なだけでもない。ここには器官を黄色に色付ける色素を貯蔵する特別の能力が備わっていた[1]。この色素ルテチンは、カロテノイド族に属しとりわけ酸素ダメージから目の細胞を保護するのに有用な化合物である。ただしほ乳類のうち、この白いコウモリを除いては、ルテチンを含むカロテノイドをあまり蓄積できず、代わって身体全体にそれを分配し、ある特定の部位が酸素ダメージをうけるリスクを軽減している。そこでこのコウモリのカロテノイド貯蔵能力を研究することで、失明の一種である黄斑変性を避けるルテチンを使った新しい方法を、導くことができるかもしれない。さらにコウモリを飾る色素がルテチンであることを同定した研究者らは、ホンジュラスの白コウモリはカロテノイドの機能と代謝の研究を推進するために必要なモデルであるとしている。コウモリ研究には子守りも必要か。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 19, p. 8.

DOI: 10.1073/pnas.1609724113

16.10.13

| | コメント (0)

アテネの廃水処理施設で

 2010–2014年に採取した廃水のサンプルの液体クロマトならびに質量分析が行われた。これによって研究者らは148の合法・非合法ドラッグとそれらの関連する代謝物を探った。その結果、抗精神病薬(34)、ベンゾジアゼピン系薬(19)、抗うつ薬(11)のレベルが極端に上昇していた。これはギリシャの国内総生産(GDP)の低下や失業率の増加と関連している。潰瘍、てんかん、高血圧を治療する薬もまた増加している一方で、抗生物質や抗炎症剤は低下しておりこれは医療費カットによるものではないかと、葛藤している。それでも違法なメタンフェタミンのレベルは二倍である。これらの結果は、ギリシャの人の総体的な健康、特にメンタルヘルス面は、この期間に悪化していることを示唆している。またデータは経済状況の安定化に伴い、それらのうちのいくつかのドラッグのレベルの低下を示していた。廃水と社会現象を関連づけるこの方法は新奇で有用であるものの、因果関係を確定しまうのは早計である。でも廃水からのデータ、はいこれですと見せていただいた。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 19, p. 7.

DOI:10.1021/acs.est.6b02417

16.10.12

| | コメント (0)

木材植物や草木類は

 セルロースの莫大な供給源である。この植物材料から抽出された糖鎖の発酵でエタノールを製造できる。このエタノール製造は現在、再生可能燃料を年間数億リットル供給しており、その量は増加することも期待されている。バイオマスから糖鎖を抽出するには植物材料を分解しなくてはいけない。通常これは厳しい酸処理で行われている。この方法は悪くはないが、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)やフルフラール誘導体が副生する。これらの化合物は発酵する生物にとって毒性を示し、プロセスの効率化を制限している。またそれらを糖鎖溶液から分離することも手間である。そこでそれらをトラップする吸着剤が使われるが、それは価値のある糖鎖も通さんようになる。この課題を克服するために、NU-1000と呼ばれるピレンリンカーを持つ金属有機構造体(MOF)が利用された[1]。フルフラール誘導体は通さず糖鎖は通過する。試験結果は、処理した液のグルコース濃度はHMF300倍で、NU-100080%HMFをトラップし、そこでは糖鎖は検出されなかった。牛ロース、肩ロースここではセルロースのコースである。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 19, p. 6.

DOI:10.1039/c6cc05864g

16.10.11

| | コメント (0)

月の誕生について

 謎は尽きない。今回カリウムの同位体比が、巨大な衝突が地球のマントルとすべての仮想の天体テイアを蒸発させ混合させて月が誕生したという説を支持することが報告された[1]。新たに開発されたカリウムの同位体を分析するより正確な方法を使って研究者らは、アポロ計画で持ち帰ってきた七つの月のサンプルには、重いカリウム同位体が、地球のサンプルのそれよりも豊富にあることを発見した。酸素の様な他の元素の同位体の比はどちらも同じであることは、地球とテイアが衝突の際に混ざり合ったことを否定するものではないけれども、カリウム同位体のわずかな比の違いがその機構の鍵である。カリウム同位体が分かれる唯一の過程は、高エネルギーな現象の後で月ができる段階で、より重いカリウムの優先的な凝縮である、と研究者らは述べている。今後さらに揮発性元素の同位体効果が明らかにされることが期待されている。同位体について、どう言いたいことありますか。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 19, p. 4.

DOI: 10.1038/nature19341

16.10.10

| | コメント (0)

二種類のモノマーを

 交互に連結する高分子合成は簡単な仕事ではない。それはあたかも男の子と女の子を幼稚園のクラスで交互に整列させるようなもので遅延もともなう。その中今回AB共重合体を導く単純な方法が開発された。今回の方法は開環メタセシス重合(ROMP)が基本である。触媒にはMoあるいはWと炭素との二重結合を含む。金属上の別の配位子は、かさ高い置換基を含み、これが二重結合の一方をより大きくブロックしている。反応に使われた二つのモノマーは、わずかに構造が違うトランス-2,3-二置換-5,6-ノルボルネンである。これらはどちらもエナンチオ的に純粋でありほとんど鏡像関係にある。触媒の金属−炭素二重結合がROMPを開始する場合には一方のノルボルネンのかさ高くない部位に接近する。これによって生成するメタラシクロブタン中間体は開環するにつれて触媒のキラリティが逆転する。そこで次に接近できるモノマーは別のもう一方のそれである。45通りの反応条件を試し、そのうちの9種類は常に90%の割合で、AB共重合体を与えることがわかった。今回のポリノルボルネンはこれまでのそれらとは明らかに異なり、マイクロエレクトロニクスや高性能高分子へのより緻密な応用も可能である。ノルボルネン、忘年会も近いか?

[1] Chemical & Engineering News 2016 September 19, p. 5.

DOI:10.1021/acscentsci.6b00200

16.10.9

| | コメント (0)

アニリンから

 フッ化アリールを合成するBalt-Schiemann反応は有用である。ただし課題もあって寛大ならぬ、いかんだいである。この方法にはアリールジアゾニウム塩を調製し単離する過程を含むか、それらをバッチ条件下系中で発生させなくてはいけない。ジアゾニウム塩は突然激しく分解する可能性があるため、どちらもリスクがあって反応のスケールと有用性が制限されていた。その中ここでは、連続フロープロセスを開発することで、危険性のあるアリールジアゾニウム塩を直接は使わない経路が開発された[1]。まず研究者らは、時にBalt-Schiemann反応を邪魔する副反応を避けることができる反応剤と条件の最適化を行った。ついで合理化された方法で発生させたジアゾニウム塩を撹拌中のバッチ反応容器に加えて最後の脱ジアゾ段階を行った。これによって反応器のチャンネルを目詰まりさせる沈殿塩の生成を避けることもできる。その結果、グラム量のフッ化アリール、ヘテロアリールの合成が達成された。フローの話、皆に振ろう。

[1] Chemical & Engineering News 2016 September 12, p. 10.

DOI: 10.1002/anie.201606601

16.10.8

| | コメント (0)

微生物が

 存在することを科学者が発見するまでは、酵母を飼いならして、有機体にお口にあうビールを作らせていた。今回157出芽酵母の、遺伝子さらには表現型分析が包括的に行われた。その結果、ビールをつくる酵母は素早く進化したいくつかの普通の原型であった [1]。研究者らは、野生の酵母と比べてビール酵母は遺伝子を複製し、それによって有機体は、ビール麦芽汁の中のマルトトリオースを分解することを発見した。多くのビール酵母の菌株は、変異株も発達させ、これによってビールの香りを害する4-ビニルグアイアコールの生産を抑制する。一方でビール酵母はあるバッチから次のバッチへ、ばっちりと連続で使われているために、有機体が生き延びて、ストレスのかかる環境で有性生殖する能力が失われる。対照的にワイン酵母は、秋にだけワインを生産するために、有性生殖力が保たれて、一年の他の時期も自立することができるらしい。酵母工房の攻防についてでした。

[1] Chemical & Engineering News 2016 September 12, p. 10.

DOI: 10.1016/j.cell.2016.08.020

16.10.7

| | コメント (0)

携帯電話や電子機器は

 電磁波を放射する。これが耳障りな音を発生させて、たとえばテレビ、ラジオから聞こえる。デバイスメーカーはこれらの製品を、漂遊する電磁波干渉(EMI)から守るために、銅やアルミニウムの層のようなシールド剤を使って干渉を低減させんといかんでしょうとしている。それに対して今回、二次元の金属カーバイドやニトリドの新しく発見された特性が、安価でより薄くて軽いEMIシールディングの供給を可能にするかもしれないことが報告された[1]。すなわちmax-eensと発音するMXenesと呼ばれる強くて柔軟な導電性材料であるTi3C2Tx, Mo2TiC2Tx, Mo2Ti2C3Tx (T = OH, Fで表面終端である)のフィルムが、純粋な金属より、また炭素ファイバー、ナノチューブやシーディングのために研究されている別の合成材料よりも遥かに効果的に、EMI保護を行える。加えてポリマー複合材料に組込まれたMXenesは、溶液中でも簡単に加工できて、不規則な形のデバイスにも噴霧できる。〜ふむふむ勤務中でも納得。

[1] Chemical & engineering News, 2016 September 12, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aag2421

16.10.6

| | コメント (0)

化学はいつも

 臭いがあって危険に満ちたビジネスである。時にギネス級の成果も生まれる。そのため科学者は危険な化合物を安全に取扱うために真空ライン・グローブボックス・局所排気装置などを開発してきた。ただしこれらの方法は経費がかかり使うのが不便である。そこで研究者らは賢い方法として、空気や湿気に敏感な反応剤をパラフィンカプセルに入れる・交差連結した会合体に酵素を入る・反応性金属の保存にシリカやアルミのパウダーを使うという工夫をしてきた。その中今回、有機反応剤を結晶で包み込み不活性な配送システムとして利用できる方法が報告された [1]。これによって塩化ベンゾイル、シクロヘキシルイソシアニド、三塩化リンの様なやんちゃな反応剤を手なずけることができる。すなわち研究者らはテトラキス(ジメトキシフェニル)アダマンタン(TDA)を先の反応剤と混合させて、結晶材料をつくり、それらの反応性と臭いをマスクすることができる。一方でこれらを適切な溶媒に溶かすことで、通常の様に反応し、TDAは沈澱し回収することで再利用できる。アダマンタンで包む、あらまあかんたんだわ。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 12, p. 9.

DOI: 10.1002/anie.201605507

16.10.5

| | コメント (0)

人の毛髪は

 古くから、犯罪が起きた場所にある証拠の一つである。ただし毛髪が誰のものかは特定できそうだけど、それは危うい(hairyである)。昔から専門家が顕微鏡で観察しているが、これは定量的な評価ができない。その中この状況を一変させることを期待した研究結果が報告された [1]。毛髪の毛幹は300以上の異なるタンパク質を含んでいる。これにヒントを得て、個別の人の毛のサンプルの単一のアミノ酸の違いを明らかにすることで、分子指紋として利用するシステムをつくることが始まった。これによって犯罪現場の曖昧な点を、合間をぬって、明らかにしたい。すなわち欧州・米国から得た66の毛のサンプルのタンパク質の質量分析が行われた。その結果、このいわば「毛紋(hairprints)」を二人で共有する確立は12500分の一で、犯罪操作の中で、罪のない人を除外するよい方法である。なおこの研究は人の毛の遺伝子解析を主導する特許を保有するG. J. Parkerの研究に端を発しており、彼の会社はこの手法の商業化も視野に入れている。からんだ毛髪でわからんだった謎を解く毛紋、専門分野になりそうである。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 12, p. 9.

DOI: 10.1371/journal.pone.0160653

16.10.4

| | コメント (0)

磁鉄鉱粒子が

 人の脳の中で発見されたのは20年以上前である。そのときその構造は、それが生物起源由来であることを支持していた。それに対して今回電子顕微鏡法で発見された粒子の多くは、大気汚染物質からの磁鉄鉱に類似だった[1]。磁鉄鉱は通常、燃料とりわけディーゼルの燃焼で生じる鉄の不純物であり、室内の起源は、漏れやすいストーブやプリンターのトナーとな〜っている。別の最近の研究では、アルツハイマー脳の特徴的なペプチド凝集体であるアミロイド班で磁鉄鉱粒子が発見されている[2]。ただし磁鉄鉱の形成は加齢とは直接関連していないことも示されている。磁鉄鉱が脳の中で最も多かったのはメキシコシティーに住む32歳の人であり、その人の脳は、信じられないほどの強い磁気だったらしい。ただし磁鉄鉱あるいは他の鉄化合物とアルツハイマーの間の因果関係は明らかにはなっていないことも記憶に留めておきたい。磁鉄鉱について知ってるこうことが一つ増えた。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 12, p. 8.

DOI:10.1073/pnas.1605941113

[2] DOI: 10.1038/srep24873

16.10.3

| | コメント (0)

慢性疲労症候群(CFS)

 別名筋痛性脳脊髄炎は、不安感、不眠症、痛みに特徴づけられる複雑な疾病である。その原因が明らかではなくて診断と治療も難しい。今回代謝学研究はCFSの人の血漿の中の特徴的な化学的徴候を明らかにした[1]。これを聴講するとCFSの生物学や原因の理解の助けになりうる。研究者らは液体クロマトグラフィー・質量分析を使って84人の男女(そのうち45人はCFS)の血漿にある63の生物過程からの612の代謝物の分析を行った。その結果、63の過程のうち20CFSの影響を受けていた。これらの異常性のうち9つはCFSと診断された男女に共通で、11が性別によって異なっていた。CFSが関連する代謝物のうち、スフィンゴ脂質とスフィンゴ糖脂質の濃度の低下が特徴的だった。これは環境負荷に対するミミズの応答で起こる代謝物濃度の減少と類似だった。研究者は、さらに幅広い集団からのデータの検証、鬱病や心的外傷の場合との比較も必要であるとしている。症候群の証拠集め、一歩踏み出した。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 September 12, p. 7.

DOI:10.1073/pnas.1607571113

16.10.2

| | コメント (0)

窒化ガリウムを

 平たくすることには大変な労力を必要とする。これはグラフェン、ヘキサゴナル窒化ホウ素、大抵の他の2-D材料の場合と同様に、半導体の3-D結晶が大量の原子の層として天然には存在しないためである。その中研究者らは、ガリウムと窒素原子を欠陥が豊富にある二重層とシリコンカーバイドの間の微小ギャップに閉じ込めることで、2-DGaNを実現した[1]。蒸着系を使って最初に、トリメチルガリウムガスを分解し、ガリウム原子が二重層欠陥に入り込めるようにした。ついでアンモニアガスから窒素を発生させ、グラフェンを通して窒素が移動し、ガリウムと反応し2-DGaNの個別の島を生むことに成功した。バルクのGaNよりも大きな電子ギャップを持つ2-DGaNはエレクトロニクス、光学エレクトロニクスへの応用面で、魅力的な材料である。さらに近い将来、より大きな連続したGaNフィルムや、グラフェンでキャップした合成法で別のタイプの2-D材料もつくることができるとしている。優秀なグラフェン、ほかにはあらへんかも

[1] Chemical & Engineering News 2016 September 5, p. 13.

DOI: 10.1038/nmat4742

16.10.1

| | コメント (0)

« 2016年9月 | トップページ | 2016年11月 »