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逆の電荷は

 引き寄せられ、同じ電荷は反発する。クーロンの法則である。苦〜労して覚えたかもしれない。それに対して今回、アニオンがペアをつくってお互いを安定化している系が報告された[1]。これまでリン酸二水素二量体の存在に関する間接的な証拠が指摘されていたが、直接の証拠はなかった。研究者らは、シアノスチルベンがベースになった大環状化合物のシアノスターと重硫酸塩HSO4-とを組合せることで、以前に報告された過塩素酸のように、二つのシアノスターの間に塩が一つ挟み込まれた錯体の形成を期待していた。ただし予想外にも、一対の重硫酸塩が水素結合し、二つの積み重なったシアノスターの中心に、それらが心地よく落ち着き、全体をテトラブチルアンモニウムがキャップした2:2:2錯体が得られた。アニオン二量体は、シアノスチルベン由来のC-H基との水素結合相互作用で安定化されている。錯体は、結晶でも溶液でも存在することがX線結晶解析ならびに1H NMRで明らかにされている。この成果はイオンを認識し閉じ込める新しい方法を暗示している。安心してください。

[1] Chemical & Engineering News, 2016 October 31, p. 8.

DOI:10.1002/anie.201608118

16.11.24

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