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突然の話があって

 自分から家を去ったぼく[1]。一ヶ月ほどの間、東北から北海道を旅して東京に戻った。今は重度の認知症で入院している著名な画家である父が、かつて一人暮らしをしていた家を、息子である友人に紹介してもらった。静かな山間にあるその家の屋根裏で、自らも画家であるぼくは、密かに隠された未発表作を見つけた。強いメッセージ性と力強さのある絵。ある日近くに住む面識のなかった人、免色渉(めんしきわたる)から「肖像画を書いて欲しい」と依頼があった。その頃夜中に家の近くからかすかな鈴の音が聞こえてきた。封印されていた石室の3 mほどの深さの穴の下にそれがあった。肖像画の完成で免色氏の家に招かれ、食事をともにするとともに、中学生の少女、秋川まりえの肖像画の執筆も頼まれた。その頃イデアである騎士団長が、おいでやと言っていないのに現れてアドバイスのようなことを語る。その姿は屋根裏で見つけた絵の人物である。まりえが肖像画のモデルとして日曜日の午前中にぼくの家に来る。免色氏とも面会するも危うさを感じていた。その彼女が失踪、騎士団長が現れてまりえを発見できる手順をかすかに伝授。代償は大きかった。事が落ち着き9ヶ月前と同様の鞘に収まるものの、提示されたステージが変わっていた。

[1] 村上春樹著「騎士団長殺し」(新潮社)。

17.2.28

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