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多くの抗ガン剤は

 腫瘍に加えて正常細胞も攻撃し、ひどい副作用をもたらす。そこでその選択性向上のために今回、クリック化学を使った固定によって活性組織を標的とする方法(ATTACK)が開発された。二段階ATTACKの最初は、腫瘍を持つネズミに、アジド基を有しエーテル保護した糖鎖を与える。細胞は糖鎖を脱保護し代謝しうる。ついでそれが細胞膜にあるグリコタンパクと連結する。がん細胞は素早く増大し、それによってある種の酵素が過剰に発現される。これによってがん細胞は通常細胞よりも、生体分子には影響しないアジド基で標識されることになる。そこで第二段階として、ジベンゾシクロオクチン(DBCO)を有する抗がん剤をネズミに与える。DBCOのアルキニル基がアジド基と選択的なクリック反応を引き起こし、それに繋がっている薬が選択的にアジド修飾されたガン細胞に到達する。ネズミではATTACK法により選択性が50%向上するとともに、DBCOで修飾されていない薬よりも毒性も少なく、より効果的に結腸ガンや二種類の肺ガンを治療できていた。今回のATTACKは、現在静脈内投与されている抗体医薬に代わって、経口投与できる安価な薬になり得る。ATTACK, No. 1になる日も近いか。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 February 2017, 20, p. 8.

DOI: 10.1038/nchembio.2297

17.3.12

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