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2017年4月

原油由来の

 化成品合成と相補的に利用できるバイオ燃料ベースの高付加価値化成品合成の開発は、幸福になりそうでかつ、経済的にも意義がある。今回研究者らは、ポリウレタンやポリエステルプラスチックの構成部品である1,5-ペンタンジオールへの新しい経路を発見したが、経済分析結果は、より長い多段階経路のほうが、短い直接的な経路に比べて、収率、用いる触媒量、設備の費用の点で好ましいことがわかった[1]。バイオをもとにした1,5-ペンタンジオール合成は、ヘミセルロースから導いたフルフラールの水素化で得たテトラヒドロフルフラールアルコール(THFA)のさらなる水素化を経由する。ただしこの方法ではTHFA水素化の触媒活性が低い。今回の研究チームは、THFAを一旦2-ヒドロキシテトラヒドロフラン(HY-THP)に変換して、ついでその開環異性化と水素化によって1,5-ペンタンジオールを導いた。この系ではTHFAの水素化よりもHY-THPのそれの方が80倍速かった。この方法は、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールへも応用可能である。◯◯ンジオール合成から何か感じお〜るかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 3, p. 11.

DOI:10.1021/jacs.6b13379

17.4.30

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光触媒は近年

 有機合成で、より複雑な分子合成への応用で新局面にある。この成功をさらにレベルアップすることを考えていた研究者らは、安価な量子ドット、どっとじゃなくて少量が、炭素—炭素結合形成反応で伝統的に光触媒として使われていた、有機染料とRuIrに置換えることができることを示した[1]。量子ドットは、前途有望なナノサイズの半導体材料で医療用イメージングやカラーディスプレイで広く知られている。さらに水素製造のための金属触媒への光供給源としても使われている。この触媒のさらなる応用探索の中、3 nmCdSe量子ドットで、表面がカルボキシル基やホスフィン配位子でキャップされた光ドットと呼んでいるものが、β—アルキル化、β—アミノアルキル化、さらには還元的脱ハロゲン化を含む標準的な一連の反応で、光レドックス触媒として利用できた。量子ドットは他の触媒に比べて本来、光に対して安定で、より多くの光子を吸収、長寿命の励起状態をとり、より広い吸収スペクトルを示す。ただしCdSe量子ドットは万能ではなく試した全ての反応で効果的であるということはなかったものの、他のタイプあるいは他のサイズの量子ドットがより有用であることも期待できる。量子ドットも良心的に使いたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 3, p. 11.

DOI:10.1021/jacs.6b13379

17.4.29

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魚を食べる

 より大きな魚が、小さな歯先の尖った小魚であるFangblennyを飲み込むと、抵抗し難い量の毒を昼食として口に運ぶことになり、震えが生じて口をあけてしまう。この間に小魚は、怪我一つせず脱出することができる。この小魚の様子を注意深く観測していた研究者らは、この毒抑止力を出す時に、特有の特性があることを発見した[1]。たとえば防御のために毒を使う多くの魚は、鋭い針を持ち毒を出す一方で、今回の小魚は牙を持つ。さらにその牙は、置き場はともかく、毒を生産する生化学的な能力が発生する前に発生している。加えて小魚の毒には、効き目のあるホスホリパーゼを含み、それが膜を切り炎症を引き起す。これらの酵素はハチ、サソリ、ヘビ毒でもみられるものであり、ホスホリパーゼの活性は、マムシのそれと同等だった。ここで毒は、ニューロペプチド、オピオイド受容体を標的とするペプチドであるプロエンケファリンを含む。これら後者二つは、犠牲者の血圧を一挙に下げて、泳ぎも妨げ、これによって脱出がより促進される。小魚に降参かなである。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 3, p. 10.

DOI:10.1016/j.cub.2017.02.067

17.4.28

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神経科学者は

 脳の組織のサンプルを、将来の分析のために、脳銀行(brain bank)に保存する。銀行への納金の有無はともかく、この保存した組織にフローサイトメトリーのような細胞を分ける技術が適用できれば、ある特定の脳細胞に対する、医薬品、環境因子や疾病の影響を研究することが可能になる。ただし化学的に固定された冷凍の組織サンプルから細胞を分離し、損傷させることなく、フローサイトメトリーにかけることは困難である。その中今回この制限を克服できる新しい方法が開発された[1]。研究者らは、ホルマリンや亜鉛、パラホルムアルデヒドで固定した人やげっ歯類の脳の組織に、何度も針を差し込み、細胞間の化学結合を切断できる酵素溶液を注入することで、それらを液化させて細胞を分離した。ついで細胞を蛍光ラベルし、細胞懸濁液をフローサイトメトリーにかけて二種類のニューロンを単離した。これらの細胞の遺伝的あるいは生化学的分析結果は、細胞には損傷がないことを示していた。細胞に希望ありです。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 3, p. 10.

DOI:10.1021/acschemneuro.6b00374

17.4.27

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X線結晶構造の

 データベースには、ケンブリッジの構造データベース(CSD)と無機結晶構造データベース(ICSD)の二つがある。今年中にこれらに橋がかけられて一つになること、利用者はデータの登録と検索がそこで行えるようになることが327日に発表された。CSDには有機、金属有機化学種およそ875000種が含まれており、英国のCambridge Crystallographic Data Centreが運営している。一方でICSD187000の無機化合物を含み、情報インフラのFIZ Karlsruhe-Leibniz Instituteが運営している。両方のデータベースを同時に検索できることで、莫大な恩恵を研究者らは受けることになることが期待される。特に有機、無機、配位化学の境界領域の人にとってはである。現代の化学領域の科学は、ボーダーや接点が交わっており、今回の動きは前向きで時節を得た展開である。なお現存するすべてのデータの公開や出版の過程はそのまま残し、高い質の情報が維持されるとしている。また新しいポータルサイトはケンブリッジに構築される予定である。サイトに、くださいと依頼すればデータが得られる。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 3, p. 8.

17.4.26

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ケイ素とホウ素で

 つくられた触媒が、温和な温度でメタンのような不活性な結合を含む化合物に芳香環を付加させることができることが報告された[1]。有機ケイ素化合物と弱い配位力のカルボランアニオンとから新しい有機ケイ素触媒を研究者らは調製した。触媒はフッ化アリール基質の脱フッ素化を引き起こし、アリールカチオン中間体が発生、そこにアルカン基質のC-H結合が親電子的に挿入してアリール化アルカンを与える。フッ化アリール上の鍵となるトリメチルシリル基はフッ素の引き抜き、カチオンの素早い反応と触媒の再生を容易にしている。メタンの親電子的反応はかなり稀なケースであり、まねもできないけど、この場合には、メタンのC-H官能基化の活性が極めて高い。シリル基の使い方が上手で、ライオンのようなアリールカチオンを手なずけ、ライオンが素敵なトリックを施している。フッ化アリールが高価であること、あるいは調製が簡単ではない点課題だけれども、新しいアプローチとしての意義は大きい。ライオンが合成でもいおるんや。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 3, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aam7975

17.4.25

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クロマトによる精製を

 多くの研究者らは行うけれども、使った溶媒をリサイクルのためにどこかに運ぶよりも、精製して再利用するほうがよい。ただし様々な溶媒量を取扱うことができて、溶媒で腐食せず、また溶媒留分を正確に分離できるようにするものを市販で揃えることは難しい。その中オーストリアの研究者らは、自分たちでそれを構築し、すべての極性と広い範囲の沸点を持つ溶媒を自動的に分けて集める方法の詳細を、包み隠さず発表した[1]。研究者らはドラフトの中に6Lサイズの蒸留システムを二つつくった。基本構成は、10L丸底フラスコ、100cmX30mm直径の充填塔、冷却器,乾燥チューブ、回収容器で、これらを陽気に集める。温度センサーと電気的に制御したバルブが安全性を確保し、もし間違ったことが起こった時には、システムが遮断される。蒸留した溶媒は、市販の分析用の溶媒よりも純度が高い。これを開発した研究者らは、他でも大量の溶媒を再蒸留しないといけないときは、同様のシステム構築が可能であるとしている。再蒸留で最高級に。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 27, p. 8.

DOI: 10.1021/acs.oprd.7b00007

17.4.24

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ジフルオロメチル化化合物は

 激しい親電子的フッ素化反応によるアルデヒドの脱酸素化フッ素化によって合成されてきた。より最近では、次善の策として、事前に調製したCF2H基を有する反応剤を標的分子に加える方法も開発されてきた。この場合反応剤は、フッ素化高分子をつくるのに利用されている安価な工業化成品であるクロロジフルオロメタン(ClCF2H)のようなフルオロハルキルハライドからつくられている。そこで研究者らは、触媒過程でClCF2Hを直接使ってジフルオロメチル化ができないかと考えた。探索の結果、Pd触媒によるClCF2Hとアリールあるいはヘテロアリールボロン酸やエステルとのカップリング反応で一連のジフルオロメチル化誘導体を導くことができることを発見した[1]。これによって医薬品や農薬として利用される生理活性化合物の開発に新しい道も開かれる。さらに反応はこれまでほとんど理解されていないメタルジフルオロカルベン中間体が想定されており、その分野の理解にも繋がる気分やと著者らは述べている。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 27, p. 7.

DOI: 10.1038/nchem.2746

17.4.22

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オーストラリアの

 ジョウゴグモ、上戸かどうかは知らない。ただそのクモの毒ペプチドは人に死をもたらしうる。ただしクモ類の毒貯蔵の中のあるペプチド少量が、脳卒中の後のげっ歯類の脳の細胞をまもることがわかった。これが人でも活用できれば、Hilaと呼ばれる有毒なジスルフィドの豊富なペプチドが、脳卒中被害者の現在の治療法を補完することができる[1]。大抵の脳卒中では、脳への血液供給がブロックされて酸素とグルコース不足に陥る。脳の組織は、ブロックされたところに近いところから素早く死に始める。ただしそこから遠い組織は、数時間から数日たって滅び始める。脳卒中のための医薬品はこれらを救い出すことが目的であるが4時間以内に施す必要があった。それに対して新しいそれは、ニューロンの酸センシングイオンチャンネルをブロックし8時間後でも効果的であった。脳卒中になった際には限られた血液の流れによって脳の組織のpHレベルが低下するためにイオンチャンネルが活性化されて細胞死に至る。そこでクモ毒ペプチドがこのイオンチャンネルをブロックし最悪の事態が回避されることに加えて、神経構造を保存し動物の神経やモーター機能を修復する一助にもなっている。クモ毒で気の毒な方を救いたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 27, p. 7.

DOI: 10.1073/pnas.1614728114

17.4.22

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市販の

 白色発光ダイオードは、異なる色のLEDの組合せ、あるいは蛍光物質コーティングを励起させて白色光を出すLEDを利用している。さらに研究者らは以前、いくつかの二次元ペロブスカイト結晶を開発し、これが補助なしで、白色発光することを示していたが、それを実際のLED組立てには利用していなかった。それに対して今回、よりい〜で〜というLEDを目指して、実際に利用できる可能性を高めるためにペロブスカイトの結晶設計が行われた [1]。研究チームは三つの新しい鉛臭素材料で、異なるカチオン性アミンスペーサーを開発した。それぞれは鉛臭素オクタヘドラが連結し三次元表面をつくる。これらの表面が有機分子でサンドイッチになった部分に入り込んでいる。開発したペロブスカイト結晶二つは平面であるが、最も小さなカチオンである2-ジメチルアミノエチルアミン(DMEN)を使ったそれは、ひん曲がった鶏卵箱構造をしていた。このペロブスカイトもまた広いスペクトル幅の波長で発光し、蛍光灯に近い白色発光も達成できている。ペロブスカイト、しっかりと働いている。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 27, p. 5.

DOI: 10.1021/jacs.7b01312

17.4.21

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ガソリンに代わる

 よりクリーンで持続可能な代替物があれば、自動車やトラックのからの炭素の排出を削減することができる。その一つがメタノールを使って水素を触媒的に発生させ、水素燃料電池に利用することである。今回、モリブデンカーバイド粒子に原子レベルで分散した白金が開発されて、これが比較的低温で効果的にメタノールや水を改質し水素を発生させることができることが報告された[1]。この系は以前に報告された最高の系であるRu触媒によるメタノールからの脱水素よりもおよそ5倍効率が高い。ここでのPt/MoC150-190 °Cで作用し、以前使われていた腐食性の水酸化物を必要とせず、より安価な不均一系触媒でありリサイクルも容易である。研究者らの試算によればCH3OH50Lタンクに入れて6-10 gPtを触媒として利用すれば、トヨタのミライを、そうこうするうちに、690 km走行させることができる。CH3OH代およそ15ドル、Ptおよそ320ドルだけど、触媒はリサイクルできる可能性が高い。村井君もミライに乗れるかなあ?

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 27, p. 4.

DOI: 10.1038/nature11891

17.4.20

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親しみを込めて

 クマムシと呼ばれている緩歩動物は、微細な八本足を持ち、乾燥、凍結、高圧、放射線暴露、さらには真空空間のような、極限環境でも、苦言を呈せずに、生き延びることで有名である。その中、乾燥でも生き延びる鍵が、天然変性タンパク質(IDPs)である可能性が報告された[1]。研究者らは、水和したあるいはゆっくり乾燥させたクマムシの遺伝子発現を比較した。その結果、ゆっくりと乾燥させた生き物は、数種類のIDPsに対する遺伝子を発現していた。それらは明確に定義された三次構造を持っていないが、この遺伝子発現が乾燥条件でも生き延びるのに必要であった。研究者らは、バクテリアと酵母の中でもクマムシIDP遺伝子を発現させたところ、タンパク質は、これらの有機体の中でも、乾燥を許容できる力を引き出していることがわかった。このことから、乾燥するクマムシ細胞の中では、無定形の硝子状態のマトリックスをIDPsが形成して、これが別のタンパク質を変性や会合から保護していることが提唱されている。この提唱っていいでしょう。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 20, p.9.

DOI: 10.1016/j.molcel.2017.02.018

17.4.19

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二酸化炭素は

 安定なガスで結合様式はO=C=Oである。それに対してケイ素類縁体は単量体化学種としてはかなり不安定である。世間には相当量のSiO2があるものの、それらは例えば砂の中にあるようにSi-O単結合を伴ったネットワーク構造を形成している。化学者は個別のO=Si=Oユニットを含む分子をつくる方法を探索している中、Si2O3Si2O4まではたどり着いたものの、最も単純な化学種は捕捉されず、単離の法則もなかった。その中、安定化できる配位子とのほどよい組合せをみつけたことが報告された[1]。研究者らは以前、電子供与性あるいは受容性配位子を持つSi=OO-Si=OあるいはO=Si-OHユニットを持つ典型元素錯体を合成していた。その結果、アミン置換のピリジン供与配位子とイミノホスホランをもとにした供与—受容配位子がSiO2に対して安定な環境を提供することがわかった。新しい錯体は有機溶媒に可溶で室温では安定な固体である。面白いことに錯体はSiO2移動反応剤としても利用できる。たとえば錯体はフェニルシランと反応し、トリシロキサンを与える。二酸化14族、兄さんかにも聞いてみてください。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 20, p. 8.

DOI:10.1002/anie.201611851

17.4.18

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フィアンセのバスルームの

 引出しにある50種類のマニキュアの変わったボトルを見て彼は、滅入ることなく、ひらめいた。常にあるものが一つ足りない、それは真の金を含むマニキュアだと。その後幸いに結婚した彼は、ある大学の博士研究員でありレーザーを使うことが出来た。そこで金ナノ粒子を使って化粧品を作成することを考え、彼と彼の先生と大学院生のチームは金属ナノ粒子をマニキュアに積層する方法を開発した[1]。まず金、銀、白金、金銀合金の金属プレートをガラス容器に入れて、そこに無色のマニキュア液を入れた。ついで15分かけてレーザー溶発を行い、金属ナノ粒子を打ち砕いて艶出しをした。ナノ粒子は残存する化合物やキャップ剤の光を発しない。このトリックはナノ粒子を粘性の液体に入れる時に利用されるものであり、金属マニキュアを作成することに加えて、バイオメディカルな応用も可能である。銀色の艶のナノ粒子は、銀イオンに変化しているように思われ、これが抗菌特性を有している。フィアンセを安心させたかな。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 20, p. 9.

DOI: 10.1021/acs.iecr.7b00039

17.4.17

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蛍光冷光を発する

 天然の生き物は、様々な魚やある種の亀に見られるようにほとんど水の中に棲む。陸上では、オウムだけが、公務ではないけど、蛍光発光することが知られていた。その中今回、アメリカアマガエルの観察をしていた研究者らは、ある種のカエルが一連の蛍光染料を生産することを発見しそれらをhyloins(ヒロイン)と名付けた。これらの化合物は肌やリンパ線にあるジヒドロイソキノロンである。昼間の太陽光のもとではカエルは黄色に見える。ただし暗いところではカエルの蛍光によって黄緑色に見えて、個々のカエルの明るさが向上している。現状では、カエルがどんな恩恵を期待して蛍光を使っているかは不明であるものの、類似の肌と生理を持つ両性類七種類が提示されている。これまで地球環境では蛍光は最も無関係であると、あるグループの生物学者の間では長い間信じられてきたが、今回研究者らは、カエルの蛍光が幅広い現象である可能性を指摘している。蛍光動物の状況をカエルが変えることになった。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 20, p. 8.

DOI: 10.1073/pnas.1701053114

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美しさと文化的重要性を超えて

 芸術作品は様々な化合物で覆われていてそれによって歴史をひも解くことができる。ただし管理者は、唯一無二の作品に損傷を与えずにそれらを分析することはほとんどできない。その中で研究者らは、ある一定の表面から分子を取り出す非侵襲的な方法を、先週より以前に、報告した[1]。研究者らは以前ポリ(エチレンビニルアセテート)バインダーに含まれる疎水性のカチオン交換樹脂ビーズでできた押し出しプラスチックフィルムを開発した。それに対してここではアニオン交換ビーズを付加させて検出できる化合物の幅を拡大させた。ついでフィルムの一片を水で湿らせて分析したい表面にそれをセットした。さらに酢酸アンモニウムバッファーでタンパク質を溶出させて、メタノールとギ酸の混合物で染料分子を回収して分析した。これを羊皮紙、キャンバス、骨や亜麻布でも試験をした。さらにフラスコを使ったかはともかく、16世紀のフレスコ画や14世紀の木材塗装でも行い、その時代のタンパク質と染料と一致することを明らかにした。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 20, p. 8.

DOI: 10.1021/acs.analchem.6b03722

17.4.15

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メタロセンを持つ

 高分子、たとえばフェロセニルシランのようなメタロセンユニットから構築した高分子は、サンドイッチ構造で知られる強い鉄—シクロペンタジエニル共有結合のために、安定である。一方で亜鉛配位錯体は柔軟な金属—配位子結合を有しており、詳細はともかく、光照射で壊れる。今回研究者らは、金属高分子をつくることでこれらの挙動が可逆的にスイッチする系を、ニッケロセンを用いて開発した[1]。フェロセンと違って価電子が20のニッケロセンは、二つの余分な電子が不対で、次いでより長いより弱くて開裂しやすい金属—シクロペンタジエニル結合が導かれる。得られた高分子は、溶媒、その濃度、温度、時間に応答して特性が変化する。たとえばトルエンのような低極性非配位溶媒中では安定である一方、ピリジンのような極性配位溶媒中では、動的な開裂が進行する。さらに不対電子があるため溶解性のある、簡単に加工できる磁気材料への応用も、直にできる可能性もある。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 20, p. 6.

DOI: 10.1038/nchem.2743

17.4.14

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ある製薬企業は

 研究室での事故や他の有害な事象をカタログ化し情報を共有することはできないかと模索していた。そこで多くの企業や研究期間が集まってPistoia Alliance[1]の一環として「Chemical Safety Library」が構築された。始める前はどれほど興味を持たれるかわからなかったが、最初の集まりから多くの組織が参加することに興味を示した。このライブラリーを使うためには、tinyurl.com/chemicalsafetylibraryにアカウントを登録しないとあかんとのことである。ついで特殊な反応剤、反応様式、有害性のカテゴリー、スケール、特別な注意を入力することができる。一方で化学者は、特定の反応や反応剤あるいはフルデータセットをダウンロードできる。ダウンロードされたデータは電子図書館ノートシステムにそれらを入れ込むことで、反応剤の組合せがデータベース内の有害性とマッチしたときには、警告を発することができる。なおこのライブラリーツールは、コミュニティがデータベースを拡大し利用するかどうかの積極性を明らかにする試みでもある。ライブラリーをぶらり〜と訪ねましょう。

[1] http://www.pistoiaalliance.org

[2] Chemical & Engineering News, 2017 March 20, p. 6.

17.4.13

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結核に対する

 抗生物質のいくつかはプロドラッグであり、それらは疾病を引き起す病原体に化学的に修飾されることで威力を発揮する。それに対してヒト型結核菌はこの過程を避けることで耐性を示す。その結果、結核の世界的な発生を制御することができず2015年には25万人が耐性を示す結核によって死亡している。それに対してSMARt-420と呼ばれる低分子が、耐性を凌駕し、プロドラッグエチオナミドが再び利用できることが明らかにされた[1]。通常、バクテリアの酵素が生体内変化を引き起こし、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドがエチオナミドに付加し、不可思議ではないけど、その付加物が病原体の細胞壁の生合成経路を遮断する。それに対する耐性は付加物生成の抑制に起因している。今回の報告では、SMARt-420がこれまでには無かった生化学的な経路を引き起こし、エチオナミドを活性化している。ここでは耐性によって遮断される従来型の活性経路を通らずバクテリアを壊滅させることができる。その効果が耐性結核に感染したネズミで実証された。折角できた結核対策、長持ちして欲しい。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 20, p. 5.

DOI:10.1126/science.aag1006

17.4.12

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化学発光は

 化学反応で光が出たときに蛍光が、結構、点灯する過程である。これを使った活性酸素種のモニター、病原性感染の診断が行われ、さらにはクロマト、電気泳動、免疫学的検定、核酸アッセイやグロッティング実験での検出光としても利用されている。これらの分野ではこれまで主にSchaapの反応剤が利用されているが、それは有機溶媒中では良好に作用するものの水中ではほんのわずかしか発光しなかった。それに対して混合系であるSchaap反応剤、界面活性剤、励起できる蛍光染料の組合せは、水中でもおよそ100倍の明るさを呈する。ただし毒性のため混合物を細胞中で利用することはできない。そこで研究者らは電子求引性置換基を反応剤のフェノレート基の共役位置に組込み長いπ電子系をつくり、これによって水が主成分の溶媒中でも強い光を得た。アクリロニトリルと塩素を組込んだ系では、通常のSchaap反応剤の1000倍の光を得ることに成功し、これはルシフェリン-ルシフェラーゼとほぼ同等の明るさである。また細胞に入り込むこともできて遺伝子改変も必要ない。これによって単一細胞の中のβ-ガラクトシダーゼ活性のイメージングが行われ、水中でアルカリホスファターゼ、グルタチオン、過酸化水素の検出も行われた。明治の頃にはなかったイメージングである。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 20, p. 5.

DOI: 10.1021/acscentsci.7b00058

17.4.11

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ルイス酸・塩基は

 化学の基本的な概念の一つであり、対になる分子から電子対を受入れるか、電子をパートナーに供与するかの分子の能力を示している。たとえばアンモニアのような電子豊富な窒素中心はルイス塩基である。それに対して今回研究者らは、そのドナーアクセプター反応性を逆転させた。これによって窒素中心がルイス酸として作用する[1]。「これってずるいっすか」はともかく、研究者らはこれまでトリアゾリウム塩を研究し、それがイミダゾールをもとにしたN-複素環カルベンの類縁体であり、遷移金属への配位子として作用できることも明らかにしていた。分子中の飽和なN-N-Nトリアゾリウム部位の中心の窒素原子は、金属から空の軌道に電子を受入れることが出来る。その場合、SP2型の軌道にある孤立電子対が金属に弱く配位している。この情報をもとに、研究者らは様々なトリアゾリウム塩をホスフィド、ホスフィン、カルバニオンのような異なるルイス塩基と反応させて、窒素中心分子がルイス酸として作用することを発見した。この新しい窒素中心ルイス酸は、従来のルイス酸のリストに加えられるとともに、反応性の高いフラストレイテッドルイスペアあるいは他の型の触媒にもなり得る。ルイス酸につて類推できましたか。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 13, p. 11.

DOI: 10.1021/jacs.6b12360

17.4.10

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マルハナバチ

 だけではなくて昆虫も、自分が訪ねた花に足の香りを残す。実際には炭化水素のそれが強く24時間残ったままである。今回研究者らは、そこに残した足の暗号は、それら自身のものか、同じ巣の仲間も共有するのか、あるいは全く知らないマルハナバチも共有するのかを解き明かした[1]。まずこれらの臭い紋が区別されれば、不意な訪問者が花蜜源に来て、過密になることを避けることができると考えられた。花に臭いを残すのはマルハマバチだけではなくて、カリバチ、シロアリ、アリも同様に、あしからずと、足から炭化水素の混合物を分泌し、固有のアロマをつくる。分泌は接着も促し乾燥を防ぐ。マルハナバチの場合には、それらは(Z)-9-トリコセンや別の長鎖炭化水素を含み、これらの成分の相対的な濃度で個々を判別できる。新しい発見は、これによって同じ巣の仲間も区別できることを示していた。花蜜源で噛み付かれないように、炭化水素でマークしている。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 13, p. 11.

DOI:10.1038/srep43872

17.4.8

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新年度になって

 7名のメンバーが加わった。例年同様メンバー表記入には、アルコールの適量記入欄がある。これをもとに飲料を仕入れる新歓コンパ、でも読み違えてしまった。幹事さんが友人にドライバーをお願いして再び買い出しに行ってくれた。しばらくまえにいただいた貴重な獺祭を提供した。さすがブランドである。普段は日本酒を所望しない学生さんも希望する。「くだっさい」って言うんだよと少しお注ぎする。総勢23名、あちらこちらでなんだか盛り上がっている。お寿司、唐揚げ、サラダ、炒飯、天津飯に餃子、こんなにぎょうさんあったら残っちゃうんじゃないかと思っていたら、2時間ほどでほとんどなくなってしまった。留学生に箸の使いかたを教える学生さん。初めてのお寿司「わさび抜きは寂しい」って英語で説明[1]したのか、たっぷり載せて口に運ぶ。衝撃の日本体験だったかもしれない。しばらくすると目には涙を浮かべていた。サークル活動も活発な学生さんも多い。シュショウが二人いるとのこと、でもここでは損得も忖度も考える必要はない。午後10時前、一旦お開きとのこと、ここでお先に失礼した。

[1] You will feel lonely with only Shushi and without wasabi.でどうでしょうか。

17.4.8

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スイミングプールには

 30~80 mLの尿があると研究者らは類推している。この嫌な事実も然ることながら、問題は、水中で尿が消毒剤と反応し、有害の可能性のある副生成物を与える点である。プールや温水浴槽の安全性を追跡するために、科学者はどの程度の量の尿が水中にあるかを判断できる化学的なマーカー開発を行ってきた。それに対して今回、人工甘味料であるアセスルファムカリウム、これは飲料や焼き菓子で別の甘味料と一緒に使われているものだけど、それがマーカーとして賄えることがわかった[1]。人は甘味料を代謝しない。それは尿中でそのままで、排出される。研究者らは液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析を使って、31カ所のプールと温水浴槽から250サンプルを取り出しアセスルファムカリウムを測定した。研究者らは、全てのサンプルで30から7110ng/Lの濃度のそれを検出した。水道水のサンプルでは15 ng/L以下であったこととは対照的である。人の尿中の平均的な量を指標に、42万リットルの公共のプールでは、30 L程度の尿が混入していると推定された。プールに甘味料検出も完備しなくては。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 13, p. 10.

DOI: 10.1021/acs.estlett.7b00043

17.4.7

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深紫外線

 非線形光学(DUV NLO)材料は、半導体工業でより広く利用されており、広い範囲の波長の固体状態のレーザーをつくるためには必要不可欠である。フルオロオキソボレート(KBe2BO3F2)は、200 nm以下の光を発生できる唯一の実用的なレーザー材料であるが、ベリリウム、便利だけど、毒性があってこれを使うのを避けるために別のタイプのレーザー開発が急務だった。その中ここでは、ベリリウムなしのフルオロオキソボレート結晶が開発された[1]。研究者らの戦略は(BO3F)4-(BO2F2)3-、あるいは(BOF3)2-基を三次元のホウ素—酸素ネットワークに組込むことだった。材料は、ベリリウムが無くても期待通り作用した。また採用された合成方法では、末端の酸素原子形成が避けられた。そのため、それが原因の層が積み重なってしまう現象も回避できる。様々な化合物のうちとりわけLi2B6O9F2が有望で、NLO材料に必要なDUVの困難な状況を克服できる可能性も高い。深赤外線のこと、親戚にも教えたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 13, p. 10.

DOI: 10.1002/anie.201700540

17.4.6

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原油は

 様々な莫大な数の化合物の混合物で、質量分析などによる成分分析ができない。そこで油を飽和、芳香族、樹脂、アスファルテンに分けて分析する方法が行われている。ただしこれは分子の溶媒に対する溶解度をもとにしており、多くの種類のわからない化合物が、それぞれの成分に残ったままである。それに対してここでは、触媒毒になり従来法では分析が難しい窒素、硫黄、酸素を含む極性化合物の混合物を分けることができる方法が提供された[1]。この方法は、市販のイオン交換樹脂とシリカをつめた複数のカラムを使う比較的単純で、あかんことはない、安価な方法である。分離カラムを正しい順番で配列し、原油を、極性を徐々に上げた溶媒で流すことで、官能基がそれぞれのカラムにどの程度留まるかに依存して分子が単離される。これによってスルホキシド、キノリン、カルバゾール、フルオレノンなどが主成分のフラクションを得ることが出来た。またこれまでは知られていなかったチオキサントンの存在も明らかになった。この分離によって今後、パイプラインの腐食やつまりに対して、ずばり対応できる方法も提供されるであろう。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 13, p. 8.

DOI: 10.1021/acs.analchem.6b04202

17.4.5

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C-H活性化を

 使って有機化合物のある特定の水素原子を複雑な官能基で置換える反応が知られている。この戦略は一般に、Pd原子のようなC-H活性化基を含む共有結合で連結した反応剤を使う。配向基がC-H活性化基を、期待のC-H結合に接近させる。一旦結合が切断されると新しい官能基が組込まれて、その後配向基が取り除かれる。それに対して新しい二金属系反応剤では、酵素にヒントを得た可逆な金属配位を利用し、窒素を含む複素環のC-H活性化と官能基化を行っている[1]。しかも配向基を再考して利用する必要もなく、従来法では行うことができなかった遠隔位のC-H結合が活性化される。通常複素環のC-H活性化では、ヘテロ原子が金属に配位してしまい、反応が阻害されるが、ここでは一つ目のPdに出発化合物のヘテロ原子が意図的にかつ可逆で配位し、二番目のPdが遠隔位のC-H結合を活性化する。酵素のような距離と配座の制限をかけた配位子が使われている。具体的には、フェニルピリジン、キノリンや抗がん天然物であるカンプトセシンを含む複素環のアルケニル化を達成している。酵素をみて構想した系である。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 13, p. 8.

DOI: 10.1038/nature21418

17.4.4

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小さなアミノ酸から

 大きなDNAヘリックスまで生体分子はキラルで、それらがどのように相互作用するかはキラリティーに依存する。今回量子効果がその理解の一助になり得ることが報告された [1]。すなわち、二つの分子が相互作用するとき、練習しなくても、電子雲が再構成される。キラル分子では、この再構成は電子スピン分極を伴い、これが同じキラリティーの分子同士の相互作用を強める。この従来の機構とは異なる機構がもし広く認められれば、生物や有機化学での分子認識についての考え方が全く変わることになる。実験では、ヘリカルなオリゴペプチドと計算分析とが組合せられて、分子の相互作用による電子スピン分極が、相互作用に含まれる波動関数の対称性を制限すること。次に対称性の制限が、同じキラリティー同士か、そうではないときの相互作用エネルギーの差に違いをもたらし、前者が有利になる。この効果は、静電的あるいは他の非共有結合相互作用が分子を繋げるときにのみ見られて、希薄溶液よりも混雑した環境で、エナンチオ特異的な認識に影響を及ぼす。また大きな生体分子の表面で多くのキラル官能基が相互作用する時も影響し重要である。スピン分極、文京区でなくても起こる。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 13, p. 6.

DOI:10.1073/pnas.1611467114

17.4.3

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急速に発展する

 リチウムバッテリー工業がリチウム鉱物の需要を押し上げ、その後のグローバルな供給限界とこれらの材料の高コスト化に関心が寄せられている。そこで科学者は代替物を探索している。エネルギー貯蔵の芳しいキャパシティと別の電気化学的特性の点から、カリウムイオンバッテリー(PIBs)のほうが、ナトリウムイオンバッテリーより有望である。ただしPIBsの開発は、リチウムやナトリウムより大きなイオン半径を持つカリムイオンに適合できる適切なアノード材料が不足しているために滞っていた。その中研究者らは、Sn4P3と炭素でつくる安価な複合材料をもとにしたPIBアノードが、工業バッテリー利用に適した、高い充電容量、迅速な充電速度、電圧特性を示すことを明らかにした[1]。加えて材料の電気化学プロファイルは、Sn4P3-炭素アノードは、金属の樹状突起を形成するリスクがほとんどなく、回線がショートすることでバッテリーの不具合が生じる可能性が小さいことを示していた。の〜どから手が出るアノードが出来た。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 6, p. 11.

DOI:10.1021/jacs.6b12185

17.4.2

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大学の研究室に

 残ったわずかな荷物を車に載せて別れを告げる。「大阪弁忘れんといてください」「むこうでもしょうもないこと言い続けて下さい」とか見送りの言葉をもらった。運転手の癖も把握するアクセルを踏み出す。吹田キャンパスから程なく名神高速道路に入り東へ向かい、関ヶ原も過ぎる。日産チェリーは快走するも、そこで過ごした43ケ月のことが頭をよぎっていた。先輩たちとの圧倒的な差を感じた4年生の頃、「考えようぜ」と言われて「確かに」と思う反面、落ち込む自分。いくつかの分担を任されるようになったM1の頃、闊達な四年生と楽しく過ごしすぎて実験が疎かになったM2の頃。このままでいいんだろうかと悩んだD1学生、「あんなあ、兄ちゃん」と呼びかけられる。その学生時代に縁会って新天地に赴任した。夕方になると草の臭いが香るキャンパス、もどかしい思い、なかなか前に進まない。「なんて力のない人間なんだ」と気づいた。それから20年以上経って1年生最初の必修科目を担当していた。この学生さん大丈夫だろうか、4年生までの無事を祈った。それから9年経った3月終わり、研究室に残ったわずかな荷物を車に載せていたその学生さん。大学を巣立って西に向かった。今度は見送る自分、助手席にはミッフィーがいた。フィーリング(感性)もよし。

17.4.1

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