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オーストラリアの

 ジョウゴグモ、上戸かどうかは知らない。ただそのクモの毒ペプチドは人に死をもたらしうる。ただしクモ類の毒貯蔵の中のあるペプチド少量が、脳卒中の後のげっ歯類の脳の細胞をまもることがわかった。これが人でも活用できれば、Hilaと呼ばれる有毒なジスルフィドの豊富なペプチドが、脳卒中被害者の現在の治療法を補完することができる[1]。大抵の脳卒中では、脳への血液供給がブロックされて酸素とグルコース不足に陥る。脳の組織は、ブロックされたところに近いところから素早く死に始める。ただしそこから遠い組織は、数時間から数日たって滅び始める。脳卒中のための医薬品はこれらを救い出すことが目的であるが4時間以内に施す必要があった。それに対して新しいそれは、ニューロンの酸センシングイオンチャンネルをブロックし8時間後でも効果的であった。脳卒中になった際には限られた血液の流れによって脳の組織のpHレベルが低下するためにイオンチャンネルが活性化されて細胞死に至る。そこでクモ毒ペプチドがこのイオンチャンネルをブロックし最悪の事態が回避されることに加えて、神経構造を保存し動物の神経やモーター機能を修復する一助にもなっている。クモ毒で気の毒な方を救いたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 March 27, p. 7.

DOI: 10.1073/pnas.1614728114

17.4.22

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