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2017年5月

deadly carrotと呼ばれている

 毒を持つ地中海の植物から、誰かが仲介して単離される化合物であるタブシガルギンは、細胞内のカルシウム勾配を制御する酵素を抑制することで細胞を殺す。そこでこの化合物に変換されるミスパガルギンの抗がん剤としての可能性が探索されて、フェーズIII臨床実験に入る可能性も高い。ただし今後の実験のためにはトン単位でのタブシガルギンが必要となるものの、植物からの単離は難しく、生合成経路も完全にはわかっていなかった。2007年には全合成が達成されたけど42段階、収率1%以下だった。その中今回二つの研究チームがより効果的で合成段階も削減できた方法を報告した。一方のグループの方法は、戦略的な酸化と高価なキラル配位子やキラル補助剤を使わない立体中心の構築を含む。もう一方は、タブシガルギンのたくさんの酸素が組込まれたコアの立体化学を合成の早い段階で構築し、構造活性相関の探索のための類縁体合成を容易にしている。できたタブシガルギン、臨床に渡したがるぎんである。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 May 8, p. 7.

DOI: 10.1021/acscentsci.6b00313; DOI: 10.1021/jacs.7b01734

17.5.31

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核磁気共鳴スペクトルは

 感度の低さが課題である。動的核偏極法(DNP)が、とりわけ固体NMRではその課題を改善できる。そこでは常磁性剤の不対電子から対象となる分子の核へスピン偏極が移動する。これによって、核が整列しNMRシグナルを増加させる。ただし電子スピンがそのような強い磁場だと、それが核で引き起された磁化と干渉してしまい増加したシグナルは直ちに減衰、スペクトルのシグナルはブロード化する。それに対して今回、電子スピンによって引き起される弱点を低減させてDNPからの感度を保持することを、核スピンと電子スピンをデカップリングすることで達成できた[1]。このデカップリングを実現するために研究者らはジャイロトロンと呼ばれる新しいデバイスを組立てた。これによってマイクロ波周波数を素早くスイッチすることができる。まず電子スピンからの感度をDNPによってNMRスピンにシフトさせてついでマイクロ波の周波数を変化させ、電子スピンを連続的に高速で回転させると電子スピンの効果が平均化される。実際にガラスマトリックスに固定した13Cラベル化した尿素で様子をみたところ、シグナル強度は14%向上し、スペクトル幅は13%縮小した。祝勝会も待ち遠しい。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 May 8, p. 6.

DOI: 10.1021/jacs.7b02714

17.5.30

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ゲルマノシリケート

 モレキューラーシーブのR体とS体が、鏡像体過剰で初めて合成された[1]。研究者らは、計算化学の手法を使って、ゼオライト成分の三次元の会合をガイドするのに使える、有機構造を誘起できる反応剤(OSDAs)を探索した。ついでこれによって選んだOSDAであるビスイミダゾリウム塩のエナンチオピュアなサンプルをつくり、それぞれの鏡像異性体を別々に、ケイ素やゲルマニウムをもとにした前駆体と反応させた。ついでOSDAを除去するとゲルマノシリケートのキラル骨格が出来上がった。キラリティーの確認のためには新しい電子線結晶学が必要で、電子顕微鏡における単結晶からの一連の回折パータンも記録された。そこでは結晶は特定の結晶軸に沿って傾いていた。キラルゼオライトの有用性を示すために、触媒的なエポキシドの開環反応が行われた。モレキュラーシーブのRSの鏡像体が対応するジオールをエナンチオ特異的に与えた。ゲルマノシリケート、もっと知りてーと思います。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 May 8, p. 6.

DOI: 10.1073/pnas.1704638114

17.5.29

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炭化水素の

 ある特定のC-H結合を選んで官能基化することは難しい。そのため通常は事前に配向基などを組込んで反応できる位置を制御する。その中今回、炭素鎖を「チェーンウォーク」することで、選択的な反応が達成された[1]。末端に有機基を有する同じ炭素数の直鎖のアルカンとアルケンをまずは臭素化する。これによって臭化アルカンの混合物が得られる。ついでNi触媒存在下二酸化炭素を使ったカルボキシル化を行うと単一の脂肪酸を与えた。C-Br結合へのNi触媒の挿入の後、β脱理が繰返されて、しばらく待ったんといかんけど、末端アルケンに至り、そこでカルボキシル化が進行する。低温では、最も立体障害の小さい部位であるアルキル末端にCO2が組込まれて、より高い温度では熱力学的な制御で位置が決まる。このバルクで得られる化学フィードストックをより付加価値の高い化成品に変換できる点、特徴的である。チェーンウォーク:アルカンの上を歩かんといかんです。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 May 8, p. 5.

DOI: 10.1038/nature22316

17.5.28

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ポリ(α-ヒドロキシ酸)(PAHA)ポリエステルは

 医薬品、遺伝子送達、生分解性の縫合や移植のための細胞浸透性ナノ粒子のような製品の素材である。ただしその合成は難しかった。今回それらを、あくせくせずに、よりアクセスしやすい方法で合成できることが報告された[1]PAHAsは、骨格内のラクチドやグリコリドモノマーの側鎖を変えることで、個別のものが出来上がる。ただしこれらのモノマー側鎖を加えるのが難しく、多段階法でかつ低収率反応だった。2006年フランスの研究者らはPAHAsが、より簡単に構造修飾できるO-カルボキシ無水物(OCA)モノマーから合成できることを示した。それでもOCA重合は遅く余分な副反応も伴い、立体化学の制御が出来ず、幅広くてかつ予測できない分子量分布になる。今回の新しい方法はOCA重合の時に、光レドックスNi-Ir触媒を使い、OCAの脱カルボキシル化を行う。ついで亜鉛アルコキシドが脱カルボキシル化OCAの開環重合を触媒する。これは速いプロセスで副反応も抑えられて、制御された立体化学を持った予測できる分子量分布のPAHAsを与えた。PAHAs、つくったのはパパですか?

[1] Chemical & Engineering News, 2017 May 1, p. 11.

DOI: 10.1021/jacs.7b01462

17.5.27

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レジ袋は

 めっちゃ安くて便利な反面、広い範囲の汚染源でもある。その中今回、はらぺこあおむしがこの課題解決になる可能性が報告された[1]。生物学者で養蜂家でもある研究者は、ハチミツガあおむしが自分の家の巣箱から出てくるのを見つけた。このガの幼虫は、ハチの巣箱に群がり、見つかろうとも、蜜ろうを食べる。そこでこの幼虫を蜜ろうと化学的に類似の成分のレジ袋に捨てた。その瞬間、幼虫はプラスチックから脱出した。さらに研究を重ねた結果、ハチミツガあおむしまたは消化管にいるバクテリアによってつくられる酵素がポリエチレンを脱重合しエチレングリコールを生産することがわかった。研究者らは以前ゴミムシダマシの幼虫がポリエチレンを生分解すること、カブトムシの幼虫が発泡スチレンを食べること、土壌バクテリアがPETボトルを食べることを見つけていた。それに対してハチミツガアオムシは、商業的に育てられて釣り餌や鳥や亀の餌としても使われている。そこでこれらを使うかあるいは対応する酵素をポリエチレンにふりかけて、ポリエチレンの脱重合によるエチレングリコール製造が可能である。あおむしを、師と仰ぐしで、脱重合。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 May 1, p. 11.

DOI: 10.1016/j.cub.2017.02.060

なお「はらぺこあおむし」:the very hungry caterpillar Eric Carleの有名な童話である:https://www.youtube.com/watch?v=vkYmvxP0AJI

17.5.26

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同じフラスコの中で

 順番に四つの異なる反応を促進できる新しい複合触媒が開発された[1]。これによって抗生物質、抗がん剤や別の医薬品をつくるための中間体として有用な化合物をつくることができる。研究者らは、工業的応用も可能な環境調和型触媒反応触媒の開発を目指して、より少ない量のより高くない、より毒性の小さな溶媒でも、複雑な分子を導く系をゴールとして描いていた。そのためにまず、酸素欠損の、でも血相も変えずに、酸化タングステンナノロッドの表面に銀パラジウムナノ粒子を成長させることで触媒を調製した。ついで触媒にふさわしい反応を設計した。すなわちギ酸の脱水素化と続くニトロフェノールの水素化で芳香族アミンを導き、これをアルデヒドと縮合させて中間体を導く。ついでそれが脱水素を伴って閉環反応を引き起し、ベンズオキサゾールに至る。反応全体は温和な条件(ジオキサン/水溶媒、80 °C)で行われた。また関連するキナゾリン合成へも、大きな草履ンなしでも、適用できる。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 May 1, p. 10.

DOI: 10.1021/jacs.7bo1983

17.5.25

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生物発光する

 キノコの発光に含まれる鍵分子が、のこのこ、発見された[1]。多くの植物、動物や昆虫が生物発酵する。この発光現象に含まれる生化学的な経路は、たいていの場合、かなり明らかになっている。ただしキノコの生物発光に含まれる成分の一つが近年同定されてはいるものの、全体の機構は謎のままである。今回大きな国際共同チームが、キノコのオキシルシフェリンを同定し特性を明らかにした[1]。その分子が、光るキノコの中で励起状態から基底状態に至ることで特定のエネルギーの光子を放出する。生物発光は一般に、種の独自のルシフェリン分子とルシフェラーゼと呼ばれる酵素とが相互作用して引き起される。その中ブラジルの蛍光キノコと南ベトナムの雨林で見つかったそれから抽出されたオキシルシフェリンが単離された。キノコのルシフェラーゼは、他の場合と違って、反応する相手は幅広く、様々なルシフェリンと結合できる。生化学的な柔軟性が、発光色や強度を微調整を可能にしている。キノコのこと昨日のことではない。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 May 1, p. 10.

DOI:10.1126/sciadv.1602847

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大気中のCO2の

 上昇で大洋のpHの値が小さくなる。でもわからないのは、大洋の酸性化がどのように海洋生態系に影響するかである。窒素固定は大気のN2がアンモニアや別の分子に変換される工程で、これによって生き物が利用できる栄養素が供給される。海洋生態系ではN2固定の50%をシアノバクテリアであるトリコデスミウムが担っているが、それに対する酸性化の影響については以前、矛盾する結果が得られていた。今回、その矛盾は培養基の汚染によるもので、大洋の酸性化はトリコデスミウムの成長を妨げ、窒素固定も低下することが示された[1]。研究者らは以前の実験を繰返し、培養基の中の毒性の金属やアンモニウムが、結果に影響することを明らかにした。さらに今回、もし他の変数が一定であれば、CO2レベルの上昇でトリコデスミウムの成長と窒素固定は増加すること、ただしCO2の増加に伴うpHの低下(より酸性になる)がある程度以上になると、全体としてバクテリアの成長と窒素固定も低下してしまう。トリコデスミウムのとりこです、がよい。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 May 1, p. 10.

DOI: 10.1126/science.aal2981.

17.5.23

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9種類の神経変性病では

 あるタンパク質の中のグルタミンの数の増加が疑われている。たとえば健康な人では、6から35のグルタミンがハンチンチンタンパク質の中に配列している。それに対してハンチントン病に罹患した人では100以上のタンパク質が続く。これらの拡大したポリグルタミン(polyQ)の束があることで、ポリさんも知らずに、タンパク質は凝集しようとする。今回研究者らは、あるタンパク質の拡大していないpolyQの束の役割について報告した[1]。細胞はオートファジーと呼ばれる過程で細胞質の中の、会合したタンパク質、脂質、別の毒性の分子ゴミを片付ける。ただし細胞内のアタキシン-3と呼ばれるタンパク質の発現が低下するとオートファジーも抑制される。正常なアタキシン-3は、ベクリン-1と呼ばれているオートファジーの鍵となるタンパク質を崩壊から保護しているが、このためにはアタキシン-3polyQの束がベクリン-1にバインドしなくてはいけない。ただしより長いpolyQの束は、より強くベクリン-1にバインドし、正常なアタキシン-3を打ち負かしてしまい、ベクリンのレベルが低下、オートファジーも遅くなる。アタキシン-3は、わたくしんにもあるはず。

[1] Chemical & Engineering New, 2017 May 1, p. 7.

DOI: 10.1038/nature22078

17.5.22

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アレーンとαオレフィンとを

 連結する新しい触媒反応が開発され、分岐していないアリールアルケンやアリールアルカンを導くことができることがわかった[1]。これは対応する枝分かれアルキルアルカンを導く工業的な経路を補完しており、以前の系をほかすん必要はない。生成物によって石けん、洗剤、燃料、潤滑油添加物、高分子前駆体、香味料、香料をつくるのに利用できる化合物の多様性も拡大している。ヴァージニア大学の研究者らは、Rh塩触媒を配位子なしでCu(II)酸化剤と組合せて利用し、ベンゼン、トルエンや別のアレーンをプロピレンや1-ヘキセンのようなα-オレフィンで官能基化しアルケニルアレーンを合成している。この生成物は水素化によって、現在工業的に利用されている伝統的な酸触媒反応では導くことができない分岐していないアルキルアレーンを提供している。課題はRhの高いコストであるけど、回収・再利用によって経費が妥当になるものと考えられている。分岐なしでいい気分。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 24, p. 8.

DOI: 10.1021/jacs.7b01165

17.5.21

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オレフィンは

 香料、天然物、医薬品のような有機化合物で、重要な成分である。そこで二重結合を分子に組込む方法がたくさん報告されているが、それらの多くは30年以上前に開発されたものである。その中今回オレフィンを有機化合物に組込む新しい方法が報告された[1]。脱カルボキシル化アルケニル化として知られる反応は、よくあるアルキルカルボン酸からやりきることになる。まずカルボン酸を酸化還元活性なエステルに変換する。ついでエステルはニッケルあるいは鉄触媒存在下、アルケニル亜鉛反応剤の求核攻撃を受ける。全体のプロセスは、一つの容器内で起こり、モノ、ジ、トリ、さらには四置換オレフィンをつくるのにも使える。反応はまたオレフィンの配座制御も素晴しい。これはオレフィンメタセシスの場合のように、C-C結合形成段階で配座が決まるのではなくて、アルケニル亜鉛反応剤の配座に依存するためである。この反応を使ってプロスタグランジン(+)-PFG2αを含む60種類以上のオレフィンが合成されている。まさに豪勢である。

[1] Chemical Engineering News, 2017 April 24, p. 8.

DOI: 10.1038/nature22307

17.5.20

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有機硫黄化合物の

 典型的な合成方法は、とても持続可能であるものではないことは明らかである。すなわち原油に含まれる天然に見られる硫黄化合物の混合物が触媒的製油プロセスで水素と処理されて硫黄が除去される。採取の最終目的は、出来る限り多くの硫黄を除去し、輸送機関のためのより純度の高い燃料をつくることである。一方でこのヒドロ脱硫化反応で形成する硫化水素が粉末硫黄に変換される。ついで硫黄が別の基質とペアとなって期待の有機硫黄化合物がつくられる。全体としてはエネルギーを必要とする多段階プロセスで費用もかかり廃棄物も多い。それに対して今回前例のない直接的なC-H官能基化と有機硫黄化合物の混合物から単一の硫黄成分を分離する方法が開発された[1]。研究者らはPd(OAc)2と酸素、AgOC(O)(CF3)を組合せた酸化剤を使い、原油由来のフェニルスルフィドの混合物とアクリル酸エチルのようなオレフィンをカップリングさせ、アルールあるいはヘテロアリール硫黄化合物に変換した。硫黄が配向基として働き、C-H活性化とアルケニル化をガイドする。PhSCH2ArPdの配位に最も好ましい配座を提供し、より長いアルキル鎖が組込まれて、混合物中の一成分が一度に官能基化される。混合物の反応、今後も続けられる。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 24, p. 7.

DOI: 10.1021/acsomega.7b00

17.5.19

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木が大気に放出する

 鍵となる化合物の一つがイソプレンである。これが一旦大気に出ると、このジエンは、ジエンドにならずに、ヒドロキシラジカルや酸素と反応し、六種類の過酸化異性体が生じる。これらの過酸化種が大気の質に影響して窒素酸化物と反応、太陽光を反射するエアロゾル粒子に蓄積する有機種の形成を通して、気候に影響を及ぼす。新しい研究成果はこの複雑な動的化学を明らかにし、イソプレン由来の化学種の寿命や反応速度を包括的に示した[1]。研究者らは質量分析装置付きの環境室で、異性体が発生する特異的な反応の収率を追跡した。パーオキシラジカルの量は、熱力学的安定性と二つの異性体の間での水素移動の分子内化学の速度に依存していた。この結果は、典型的な大気下では、β-ヒドロキシパーオキシラジカル異性体は、当初の比とも異なったラジカルプール95%からなり、これは従来のパーオキシラジカルの比は発生期の比が反映されているという結果とは異なっていた。ラジカルを感じる時間でした。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 24, p. 7.

DOI:10.1021/jacs.6b12838

17.5.18

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トリフルオロメチル置換の

 シクロプロパンは、医薬品候補として重要である。堅いシクロプロパン環が化合物の脂溶性と代謝安定性を向上させ、膜への浸透性もアップし、アップリケーションも期待できる。以前の報告では、Co触媒を使いアレーン置換のトランス体シプロプロパン誘導体を84-94%eeで導くことができていた[1]。ただし欲しくない鏡像異性体を分ける困難さを避けるためには98%以上のeeが望ましい。その中今回、97-99.9%eeで、より短い反応時間、50倍以上も触媒効率の高い反応が報告された[2]。まずトリフルオロメチルアミンをカルベンドナー反応剤であるF3CC=N2に変換する。ついでこれを改変されたミオグロビンを発現するバクテリア細胞と混ぜると、アリールアルケンへのカルベン付加が進行する。異なる鏡像異性体を導くために、様々なバージョンの改変したミオグロビンがつくられた。なおこの二段階の化学と生体触媒反応は、両立できないため、異なる二つの容器で、陽気に行われている。

[1] DOI: 10.1002/anie.201004269

[2] Chemical & Engineering News, 2017 April 24, p. 5.

DOI: 10.1021/jacs.7b00768

17.5.17

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ハダカデバネズミは

 愛嬌のある醜さと、極端に長い寿命、ガンを避ける能力で有名で、今回さらに、酸素が無くても18分間生き延びることができることが明らかになった[1]。ハダカデバネズミは、群居し地下の近くでも生活している。ある地下のコロニーでは、ネズミの数はおよそ300まで上昇しうる。その結果、閉じ込められた、限られる空間の空気の成分が、酸素不足で二酸化炭素が増加する。この条件でも生き延びるためにネズミは、グルコースの代わりに、フルクトースを使ったエネルギー生産のためのグリコリシス回路を発動させることができる。別のほ乳類では、低酸素状態がグリコリシスのシャットダウンを引き起すが、この代謝経路がないと、細胞はアデノシン三リン酸(ATP)を生産することができず、エネルギー不足から死に至る。それに対してネズミは酸素危機になったときにはフルクトースを細胞に注入することができる。これらのハダカデバネズミのすべての性状はある意味、独特で奇妙だけれども、低酸素条件で生き延びる特別な手段を持ち合わせていることは驚くほどのことでもないかもしれない。フルクトースがフルコースで振舞われている。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 24, p. 4.

DOI: 10.1126/science.aan1505

17.5.16

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モンタナにある

 見捨てられた採掘ピット、退屈だった場所かもしれないけど、そこから得られた二種類の菌類を培養することで、四種類の耐性菌を退治する化合物「バークレーラクトンA」が得られた。1983年に停止された銅鉱山から出てくる地下水などで湖ができたが、その水のpH2.5で、鉄、銅、ヒ素、カドミウムを含む重金属が水に含まれていた。その毒性のために数千の渡り鳥(ハクガン)が命を落としていた。それとは対照的に微生物にとっては心地よい場所で、菌類は炎症、細胞死、ガンの転移を抑制する化合物を生み出していた。ただし抗生物質は構成されていなかった。そこで研究者らは、同じサンプルから得た二種類の菌類を、工夫した方法で培養して、新しい生理活性化合物を見出した[1]。それはラクトン骨格を含む16員環のマクロライドで、エリスロマイシンのような抗生物質の構造と類似である。ただしバークレーラクトンAには糖鎖も二重結合もないため、従来の抗生物質とは異なる作用機序であると考えられている。モンタナも大したもんだな。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 24, p. 3.

DOI: 10.1021/acs.jnatprod.7b00133

17.5.15

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芦屋へ行くのは

 明日や、という夜。ペケの軌跡を再びたどった[1]。五犬兄弟・姉妹の末犬、お姉ができるのは、その子を家族の一員として迎えること。でも最初が大切。用を足すのはここだよ。車でお出かけの辛さ、でもお姉のお陰で生きる力もよみがえった。そんなある日、公園で攻撃的な犬がいると言う。その子、お姉の懐に入って来た。でもK先生は「明日の朝、生きとったらなあ」という。不安な夜、ペケが寄り添う、これが本能か?ときに不安になり、ときに安堵、こりゃあかんどと自分を励ますお姉。人情ならぬ犬情、それを超えた「あんたも生きるんや」というペケからのメッセージに心打たれる。名前はポコになった。そこに瀕死の犬、後に福と呼ばれる彼が加わった。三匹とも天寿を全うした。写真でお会した三兄弟、数十年前と少しも変わらない姉さん。子供の頃、地球儀を見せてもらって「日本はどこやと思う」と言われた。大陸付近を懸命に探すもそこにはなかった。小っちゃな島国だと知っちゃった。「地球は回っている」この一言で約束がどこかに行っちゃった。「常識と身だしなみ」などなど盛りだくさんの話題、上品で美味のオードブルにワイン・ビール、貴重な時空間を授けていただいた。ありがとうございました。

[1] 松田明子著「ペケポコ福 幸運に巡り合った三きょうだい」(神戸新聞総合出版センター)

17.5.14

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ナノ科学者が

 グラファイトとファイトし、放電によって最初のカーボンナノチューブをつくる数十年前、合成化学者は反応容器の中で、同様の小さな構造を巧みに作り上げようとしていた。ただしそのときの検討では、ベルトの形をした全てが縮環したベンゼン環からつくる試みで相当に難易度が高かった。10年前に質量分析によってわずかにそのような構造は観測されたものの、これまで誰もカーボンナノベルトを十分に合成し単離できていなかった。その中今回名古屋チームは、12個の芳香環から連続Wittig反応続くニッケル触媒によるアリールアリールカップリングによって、思いがけずにナノベルトを作り出した[1]。全体収率は0.2%だけれどもX-線構造解析には十分であった。結晶構造は、ナノベルトの赤道における結合がベンゼンと同様の長さである1.4 Åであること、残りの結合は単結合や二重結合性を有していることを示していた。得られたナノベルトは、種分子として、様々に分身し、明確な構造を有するカーボンナノチューブへの変換に利用できると研究者らは考えている。ナノの次はピカ(コ)チューブか。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 17, p. 9.

DOI: 10.1126/science.aam8158

17.5.13

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アリが怪我をしたとき

 人とは違って、助けを呼ぶことはできない。その代わりある種のアリは、化学的なSOSを発信して安全を確保することがわかった。サハラ砂漠以南のシロアリを捕まえるアリ、触らなくても、戦いで負傷したときに、ジメチルジスルフィドやジメチルトリスルフィドを出すことがわかった[1]。このフェロモンカクテルは、より大きな同種のアリに助けを求める合図であり、合図を受けたアリは、負傷兵を救い出し保養場所まで連れて行く。傷ついた仲間を助けることで死に至る戦闘アリの数を減らすことになる。モデル研究の結果は、この救出戦略によって、コロニーのアリの数は30%程度多いことを示していた。このふるまいは進化上の軍事競争の一つである。アリによって捕獲されたシロアリは、餌として運搬されることをよしとしない。そこで兵隊アリは、シロアリ防衛部隊の鋭い顎で足を失ってしまう。命が助かった場合、この傷病戦闘アリは、1日以内に巣に戻り、より少ない足でどう歩くかを、安全な巣の中で考えている、ありがたや。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 17, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aam8743

17.5.12

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水なしで砂漠に

 取り残されたとしたら死活問題に直面する。それに対して今回湿度が20%以下(北アフリカの典型的な気候)でも持ち運びできる水を取り出すデバイスが開発された[1]。このデバイスは太陽光だけで駆動し、その基本となる部分は金属有機構造体(MOF)である。2014年水を吸い込むMOF-801[Zr6O4(OH)4(fumarate)6]が報告された。この化合物は水を吸い上げることで重さが25%増になる。そこでこれを別の研究者らに紹介しデバイス開発が始まった。そこでは、太陽光吸収帯と平板コンデンサーで挟さまれた埃ほどの大きさのMOF-801の結晶の試作品がつくられた。内側には空気に触れることができるチャンバーもある。空気が、チャンバラしなくても、チャンバーの中を通ると、水はMOFと接近する。そこで太陽光がMOFを温めると、水はコンデンサーに入り込み、そこで冷やされて集められる。これを一日続けると30 Lの水収集器に大気から12 Lの水が溜まりうる。この量は単身者世帯には安心な量である。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 17, p. 8.

DOI: 10.1126/science.aam8743

17.5.11

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発電所や他から

 排出されるCO2を捕捉し利用することができると、CO2排出削減になり苦言を呈されることもない。CO2はアミンと反応するために理屈上捕捉は容易であるが、実際には水溶液に温室効果ガスをトラップすることになり、捕捉したCO2を放出しアミンを回収するために莫大なエネルギーを必要とする。その中医薬品合成のために乾燥CO2を使っていた研究者らは、フェニル基のような疎水性官能基をアミンに組込みCO2捕捉に使えば水の量を削減できると考えた[1]。様々なアミンを検討した結果キシリレンジアミンが最も有望であることがわかった。これを水に入れて大気中のCO2の捕捉を行ったところ付加体が白色固体として得られ水を含んでいなかった。固体構造を調査したところ、シートの間にCO2がサンドイッチされた二層構造であり、その外側は疎水性のフェニル基が位置して隣接する層と相互作用していた。この固体を120 °Cに加熱するとCO2が放出され、湿気に繊細なGrignard反応へも適用できた。器用です。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 17, p. 7.

DOI: 10.1021/jacs.7b01049

17.5.10

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二酸化チタンは

 イオン化合物としてはTi4+O2-として表現されると考えているかもしれない。さにあらず [1]。二酸化チタンは光触媒や太陽電池、電池電極に使われている。これらの応用では、二酸化チタンの化学の理解は主にTi4+O2-であると想定され、チタンはそれ以上酸化されないし、酸素はそれ以上還元されないとしてきた。ただしこれらの酸化状態を示す直接的な実験による証拠はない。実際コンピューターによる量子分析は、考えているほど単純ではないことを示していた。これに触発されて今回TiO2の電子構造が、複数の理論法を用いてTiO2分子さらには、好物かは知らないけど、鉱物であるルチルとアナターゼの研究も行われた。その結果Ti3+で、残りの価電子は、TiO結合距離の半分よりも短い半径内に局在化しており、sd状態からの寄与もありTi3+O1.5-で共有結合性もあるという結論に至った。これら結果は、TiO2のとりわけレドックスに関して考え直す必要があることを示している。アナターゼの担当はあなただ〜ぜ。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 10, p. 6.

DOI: 10.1021/acs.jpclett.7b00313

17.5.9

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金属有機構造体(MOF)

 をトリス(P-カルボキシラート)トリフェニルホスフィンと希土類金属からつくる[1]。それぞれの希土類金属は、Eu(III)は赤、Gd(III)は紫外線、Tb(III)は緑と独自の発光色を示す。ただしMOFの中に溶媒分子が入り込むと溶媒の振動周波数が希土類の発光をクエンチする。しかもそれが溶媒と希土類の組合せそれぞれで特有である。研究者らはこれらの特性を利用して溶媒を同定するために、異なる比の希土類金属を含むMOFを調製した[1]。四種類のMOFを溶媒にさらし、さらに365 nmで励起し得られた発光強度を三つの波長で比較した。その結果、H2OD2O、メタノール、エタノール、トルエン、ベンゼン、さらに12種類の別の溶媒を区別することができた。加えて噴霧のりでMOFをガラススライドの上に堆積させて油量計のようなセンサーをつくり溶媒に浸すことで同定ができ、加熱すれば再び使える。ハロゲン、重金属へも適用可能である。溶媒を旨いこと識別している。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 17, p. 5.

DOI: j.chempr.2017.02.010

17.5.8

 

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ホウ素

 周期表で愛おしい変わり者、空のp軌道のために独自である。ボロン酸、ボロン酸エステルは、鈴木クロス・カップリング反応のパートナーや、高分子、さらには抗がん剤としても活躍する。その中今回、カルボン酸をボロン酸やエステルに変換する単純で実用的な方法が報告された[1]。ここではまずカルボン酸をレドックス活性なN-ヒドロキシフタルイミドエスエテルに変換する。ついでこれがニッケル触媒、ビピリジン配位子、ビス(ピナコール)ボラン存在下、脱カルボキシル化ホウ素化反応を引き起し、ボロン酸エステルを与える。この二段階反応は容器をようけ使う必要はない、一つで足りる。ついで加水分解によってボロン酸に至る。反応は幅広い官能基を許容し、密に官能基化された分子を導くことができる。バンコマイシンのボロン酸アナログ、多発性骨髄症治療薬であるボルテゾミブ、人の好球中エラスターゼ抑制剤のボロン酸アナログも提供し、その活性評価も行われている。その応用できる範囲は計り知れない。でも量りは知っている。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 17, p. 4.

DOI:10.1126/science.aam7355

17.5.7

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ある印象的な特徴を持つ

 新しいプラスチックが6年前に開発された。それはベークライトのような熱硬化性樹脂で、ガラスのような展性も天性であり、融解して形がリセットされる。この新しいプラスチックはvitrimer(ヴィトリマー)と名付けられた。ヴィトリマーは、エステルが交差に連結して加熱すると、それらが切断・再結合することで熱硬化性を示す。この概念を他の高分子でも応用するために、エステルの交差連結をジオキサボララン交差連結に置換えられた[1]。これらの置換基は、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレンや高密度ポリエチレンのような通常の高分子に組込むことができる。60 °Cに加熱するとジオキサボラランはメタセシスを引き起こし、バインドしている部位を置換える。新しいヴィトリマーは、熱可塑性プラスチックのように、工業プロセスにも適合、加工、すりつぶし、押出し成形、圧縮成形、射出成形することもできる。色々な形をとりま〜んねんのヴィトリマー、ヴィクトリーも得たかな。

[1] Chemical & Engineering News, April 10, p. 11.

DOI: 10.1126/science.aah5281

17.5.6

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B型肝炎が

 どのように副生し感染を引き起すかを理解するために研究が続けられている [1]。単にXとして知られているタンパク質が、わずか154アミノ酸の長さで、最も解明が進んでいないB型肝炎(HBV)のタンパク質である。HBVは肝臓に感染し短期で慢性疾患を引き起すしっかりんものであるが人にはよくない。生化学者はXがホスト細胞の中の多くのタンパク質と相互作用することを知っており、ウイルス感染、複製、最後にはガン形成で働くことを理解はしているが、タンパク質の構造と機構は未解明だった。その中今回、タンパク質が鉄を組込むことがわかり、元素分析やスペクトル解析の結果は、酸素存在下で単離すると[2Fe2S]クラスターを含んでいることを示していた。還元するとクラスターは[4Fe4S]に変換される。詳細は未だに不明であるものの、今後生化学分野では、鉄—硫黄クラスターの多様性と重要性がさらに明らかにされると思われる。クラスの人たちにもお伝え下さい。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 10, p. 11.

17.5.5

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アルミナの上に

 銅と酸化亜鉛を載せた工業触媒は、水素を一酸化炭素や二酸化炭素に付加させてメタノールを導くことができる。ただしこれらの触媒にも短所があったんでしょ、である。Cu-ZnO触媒はメタノール合成での効率や選択性が不十分である。反応は高温や高い基質圧力も必要。加えて触媒の活性部位の化学的な詳細が未解明でもあった。これまで高い活性のZn-Cu合金種が鍵となる触媒種であると多くの研究者らは主張していたが今回の新しい研究は、ZnOCuの原子界面で反応が起こることが示された[1]、この結論に至るために研究者らは、いくつかの種類のCuZnOの触媒を調製した。銅にZnナノ粒子やZnOナノ粒子を担持したものも含まれる。ついで光電子スペクトルと計算化学の手法で全ての触媒のCO2からメタノールへの反応が分析、比較された。その結果、Cu-ZnO表面種が最も活性だった。さらにZn-Cu種は反応条件では安定に存在せず酸素と反応してCu-ZnO種になることもわかった。Cu-ZnO種に、動ぜずにいたい。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 10, p. 10.

DOI: 10.1126/science.aal3573

17.5.4

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原子番号43テクネチウム(Tc)は

 サイクロトロンによって、とろ〜んではなくて高速で、人工的につくられた。これは人工元素の最初でかつ最も軽い元素である。今回Tcを研究していた研究者らが、Tcがホットな元素で、その研究の重要性を紹介した[1]Tcの核はいかにして放射能を持つようになったかを含む40ほどの論文を報告している彼らは、次の三つの鍵となる理由を述べている。まず第一に、合成・構造化学の観点から隣りの元素と比較した性状を知る必要がある。二つ目に放射性同位体である99mTcの半減期は6 時間であり、これを医療診断として活用することで心臓や他の臓器のイメージングが可能になる。99mTcの減衰生成物であって半減期が212千年の99Tcを組込んだ化合物を研究することで、短時間の99mTcをつくる方法も開発しうる。最後に、235Uの核分裂生成物の6%99Tcであることから、その化合物の研究は、使用済核燃料の長期貯蔵に関する最適解を導く一助になる。大切なのはTcを扱うテクね。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 10, p. 10.

DOI: 10.1021/acs.jchemed.6b00343

なお99mTcmは核異性体であることを示し、原子核のエネルギーが励起した状態である。

17.5.3

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レドックスフロー電池(RFBs)は

 エネルギー貯蔵が可能であるため、太陽や風力エネルギー設備には設置しておきたい。そこで科学者や技術者は、サイズ、コスト、寿命の点でRFBsを改良したいと考えている。その中今回、RFBsのための非水系電解液が開発されて、高いエネルギー密度と高い安定性が確保された[1]RFBsを充電するためには、発生したエネルギーがレドックス活性な電解液に入り込んだとき、陽極液が還元されて、同時に別の電極では、陰極液が酸化される必要がある。放電の時にはこの流れが逆になる、ギャグではない。ちなみに非水系電解液で理想的には、陽極液の反応のレドックスポテンシャルが出来る限り小さくて、陰極液のそれはできる限り高い方がよくて、どちらもサイクルの繰返しでも安定である必要もあった。それに対してここでは不斉合成やドラッグディスカバリーで利用されている多次元解析計算を適用して、レドックスポテンシャルや分解速度が測定された。その結果、ピリジニウム塩を元にした陽極液は約10%ほど低いレドックスポテンシャル、10%ほど高いエネルギー密度とより高い安定性を示した。200回以上の繰返しでも貯蔵能力が失われなかった。非水系が必須やけいのう。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 10, p. 9.

DOI: 10.1021/jacs.7b00147

17.5.2

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二価Pdに

 ホスフィン配位子を加えると0価に還元されて触媒サイクルが始まると考えられてきた。ただしPd(I)化学種を経由する可能性も提唱されていて、このサイクルが来る前の過程が正確には理解されていなかった、その中今回、あらかじめ調製したPd(I)の橋架けダイマー前触媒がPd(II)塩と配位子の組合せで発生させたPd(0)よりも、速い速度とよりよい収率をもたらすことが報告された[1]。これまにすでに別の研究者らがPd(II)臭化物塩へのホスフィン配位子の添加と臭素橋架Pd(I)ダイマーの形成、反応の加速について報告していたが全貌は明らかではなかった。それに対してここでは、Pd(II)前駆体と配位子の比やそれらを加える順番が、Pd(I)前触媒がPd(0)触媒が発生する前に発生するかどうかを決定することが明らかにされた。加えてこれまで知られていなかったPd(II)Br3二量体も発見し、これがPd(I)前触媒の形成と同じくらい重要であることもわかった。これからは触媒サイクル、リサイクルして記載か。

[1] Chemical & Engineering News, 2017 April 10, p. 7.

DOI: 10.1021/jacs.7b01110

17.5.1

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